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審決分類 審判 査定不服 特36条4項詳細な説明の記載不備 特許、登録しない(前置又は当審拒絶理由) A61K
審判 査定不服 2項進歩性 特許、登録しない(前置又は当審拒絶理由) A61K
管理番号 1158608
審判番号 不服2004-4202  
総通号数 91 
発行国 日本国特許庁(JP) 
公報種別 特許審決公報 
発行日 2007-07-27 
種別 拒絶査定不服の審決 
審判請求日 2004-03-03 
確定日 2007-06-07 
事件の表示 特願2000-121705「クレンジング材料」拒絶査定不服審判事件〔平成13年10月31日出願公開、特開2001-302450〕について、次のとおり審決する。 
結論 本件審判の請求は、成り立たない。 
理由 1.手続の経緯・本願発明
本願は、平成12年4月21日の出願であって、平成16年1月26日付けで拒絶査定がなされ、これに対し、同年3月3日に拒絶査定に対する審判請求がなされるとともに、同年4月2日付けで手続補正がなされ、その後、平成18年12月21日付けで当審による拒絶理由が通知され、その指定期間内である平成19年2月26日に意見書とともに手続補正書が提出されたものである。

そして、平成16年3月3日付けの手続補正は、補正前の請求項1及び3を削除し、補正前の請求項1を引用する補正前の請求項3を更に引用した補正前の請求項4に記載した発明を独立形式での記載に改め、補正後の請求項1としたものであるから、特許法第17条の2第4項第1号に掲げられた請求項の削除を目的とするものに該当し、平成19年2月26日付けの手続補正は、平成18年12月21日付けの拒絶理由通知に係る拒絶の理由に示す事項について明りようでない記載の釈明をするものであるから、特許法第17条の2第4項第4号に掲げられた明りょうでない記載の釈明を目的とするものに該当する。

よって、本願請求項1?3に係る発明は、平成15年12月1日付け、平成16年4月2日付け及び平成19年2月26日付けの手続補正書により補正された明細書の記載からみて、その特許請求の範囲の請求項1?3に記載された事項により特定されるとおりのものであり、本願請求項1に係る発明(以下、「本願発明」という。)は次のとおりのものである。

「【請求項1】 油剤10?80重量%、水10?80重量%及び界面活性剤0.5?10重量%を含有し、水性増粘剤及び油性増粘剤の両方を含有し、粘度が25℃で200?4000mPa・sであり且つ50℃で100?2000mPa・sであるW/O型エマルジョン化粧料を、30重量%以上のセルロース含量と20?120g/m2の平均坪量とを有し、且つ平均繊度5d以下の繊維から構成されているシート材料に含浸させてなるクレンジング材料。」

2.当審の拒絶理由
当審において通知した拒絶の理由の概要は、理由1として、「本件出願の請求項1?3に係る発明は、その出願前日本国内又は外国において頒布された下記の刊行物A?Gに記載された発明に基づいて、その出願前にその発明の属する技術の分野における通常の知識を有する者が容易に発明をすることができたものであるから、特許法第29条第2項の規定により特許を受けることができない。」というものであり、理由2として、「本件出願は、明細書の記載が下記の点で不備のため、特許法第36条第4項及び第6項第2号に規定する要件を満たしていない。」というものである。

3.引用文献及びその記載事項
当審の拒絶の理由において引用された、本願出願前に頒布された刊行物である、特開昭63-96111号公報(以下、「刊行物A」という。)、特開昭55-79316号公報(以下、「刊行物B」という。)、特開平11-49641号公報(以下、「刊行物C」という。)、特開平11-21211号公報(以下、「刊行物D」という。)、及び特開平9-301846号公報(以下、「刊行物E」という。)には、次の記載がある。

記載事項A:刊行物Aの第1頁右下欄第3行?第3頁左下欄第20行
「従来より、O/W型またはW/O型の乳化組成物の保存安定性を高める為、種々の増粘剤(ゲル化剤)が用いられている。例えば、水溶性の増粘剤としては、…ヒドロキシプロピルセルロース等が適用され、油溶性の増粘剤としては、…デキストリン脂肪酸エステル等が知られている。しかし、これらの増粘剤を単独で配合して成る乳化組成物は、保存安定性は充分でなく、他に、…界面活性剤を高濃度に併用することが不可欠であった。…そこで、本発明者等は、種々の増粘剤を配合せる乳化型化粧料に関して鋭意研究した結果、デキストリン脂肪酸エステル(以下、DFEと略記する)と、グリコールキチン、…等の水溶性キチン誘導体と、油性物質と、水と、更に界面活性剤を低濃度に配合してなるO/W型またはW/O型乳化型化粧料は、上記の問題点を悉く解決することを見出し本発明を完成するに至った。…キチン誘導体の配合量は、当該化粧料の総量を基準として0.2?5.0wt%の範囲が好適である。配合量が0.2wt%未満では保存安定性に劣り、また、5.0wt%を越えては、…粘調性等の実用特性が劣化する。…DFEの配合量は、当該化粧料の総量を基準として0.2?5.0…wt%…が好ましい。0.2wt%未満では保存安定性に劣り、また、5.0wt%を越えては、…粘調性等の実用特性が劣化する。…本発明に用いる界面活性剤は、…ノニオン型界面活性剤では1.0?3.0wt%が好ましく、…油性物質…の配合量は、当該化粧料の総量を基準として通常10?70wt%…水…の配合量は総量を基準として20?80wt%とすることが好ましい。…本発明の乳化型化粧料は、…クレンジングクリーム…等…に適用される。」

記載事項B:刊行物Bの第1頁右下欄第15行?第4頁右上欄第5行
「化粧品は水溶性物質、油溶性物質及び不溶性固体の混合物であるため、水だけでは除去できず、…最も一般的な皮膚面に付着した化粧材料の除去方法は…ガーゼ、化粧綿などに浸した乳液又は化粧水による皮膚面の拭き取り…によるものである。…本発明に使用される不織布を形成するセルローズ系繊維としては、綿、レーヨン、セルローズアセテートなど吸湿性の強い繊維を50重量%以上含んでいることが必要である。…繊維の太さは、清拭作用を高め、また皮膚を痛めないためには3デニールより細かいことが好ましい。…不織布の繊維目付けは、…100g/m2程度が好ましい。…実施例1 2デニールのレーヨン・ステープル糸を…ニードル・パンチングして不織布を作成した。繊維目付は約100g/m2に調整した。別にスチレン-ブタジエン共重合体ラテックス(…ゲル含有量約70%)125g、ポリオキシエチレンソルビタンモノオレート(…)27g、酢酸ビニル重合体エマルジョン(…)100g、オリーブ油5g、水70gを順番に攪拌しながら混合し、…この混合液を上記不織布の30×30cmの大きさに切断したものに、噴霧機で両面に吹き付けた。…口紅、アイシャドー、ドーランのいずれも完全に除去され、化粧剤は清拭材に収着された。」

記載事項C:刊行物Cの請求項1?段落0036
「【請求項1】 (a)(1)セルロース含量が50重量%以上であり、(2)平均坪量が20?120g/m2で、(3)構成繊維の平均繊度が3d以下である(4)水流交絡の不織布であって、(5)ドライ時の反射率が45%以上の不織布に、(b)非イオン性界面活性剤及び水を含有させてなることを特徴とする皮膚洗浄用シート。…
【0002】【従来の技術】 口紅、ファンデーション、アイシャドウ、マスカラ等のメイクアップ化粧料は、多量の油分、固体油を含有しているため、通常の石鹸を主体とする固形又はペースト状洗顔料を用いたのでは可溶化、乳化が不充分であり、メイクアップ汚れを除去することは困難である。従来、このようなメイクアップ汚れを除去するためには、油性基剤を主体とするゲル状クレンジング剤、クレンジングクリーム、クレンジングオイル等が用いられている。…
【0004】 また水系のクレンジングジェルは、マッサージしやすく、また扱いやすくするために、その多くがポリマーを添加することにより増粘させている。しかし、その粘度の高さから洗浄速度が著しく低下し、ポリマー由来のすすぎ時のぬるつきや残留感があるという問題があった。増粘剤を用いない場合には、洗顔時に顔から剤が流れ、服などを汚してしまうという欠点があった。…
【0005】 また、粘度の低いメイク落とし用液体を用いて、ティッシュペーパーなどでふきとる場合には、…裏うつり…固体状の汚れをはじめとする皮脂汚れに洗浄力は十分でないという問題があった。…
【0006】【発明が解決しようとする課題】 従って、本発明の目的は、水系洗浄剤の保持能に優れ、メイクアップ汚れや皮脂汚れに対して高い洗浄力を有し、汚れが裏うつりしにくく、かつ使用感触に優れた皮膚洗浄用シートを提供することにある。…
【0036】 …皮膚洗浄用シート(水系洗浄剤含浸量3.5g/g(不織布))を製造」

記載事項D:刊行物Dの段落0001?0035
「【0001】【発明の属する技術分野】 本発明は、メイク汚れや皮脂汚れに対して高い洗浄力を有し、かつ皮膚に対する刺激が低く、しかも操作性に優れ、安定性の良好な皮膚洗浄用シートに関する。…
【0026】 …表1?表3に示す組成の水系組成物を…シートに所定量含浸させ、皮膚洗浄用シートを得た。得られたシートについて、洗浄力、洗浄速度、操作性、使用感触、皮膚への刺激性及び安定性を評価した。…
【0034】(6)安定性:各皮膚洗浄用シート又は洗浄液を50℃?-5℃の恒温室に保存し、1ケ月後の外観を以下の基準により評価した。○:全温度において良好。…
【0035】【表1】 …カルボキシビニルポリマー」

記載事項E:刊行物Eの段落0040?0080
「【0040】 …粘度…25℃、12rpmの条件下で測定を行った。安定性 試料液を0℃、室温、50℃に保存し、性状及び粘度の変化を調べた。なお、保存期間は50℃で1ヶ月、その他は6ヶ月とした。…
【0055】 …ショ糖脂肪酸エステル…
【0056】 …キサンタンガム…
【0080】 実施例17 液状クレンジング乳液…前記測定法における粘度は1500cpsであり、-5℃?40℃において三ヶ月以上安定であった。」

4.対比・判断
刊行物Aには、『「種々の増粘剤を配合せる乳化型化粧料」であって、「化粧料の総量を基準」として、「デキストリン脂肪酸エステル」を「0.2?5.0wt%」と、「水溶性キチン誘導体」を「0.2?5.0wt%」と、「油性物質」を「10?70wt%」と、「水」を「20?80wt%」と、「ノニオン型界面活性剤」を「1.0?3.0wt%」配合してなる「W/O型乳化型化粧料」を、「クレンジングクリーム」に適用したもの」』についての発明(以下、「引用発明」という。)が記載されている。

本願発明と引用発明とを比較するに、引用発明の「デキストリン脂肪酸エステル」及び「水溶性キチン誘導体」は、粘調性に影響を与える添加剤であって、本願発明の「油性増粘剤」及び「水性増粘剤」に相当し、引用発明の「油性物質」、「ノニオン型界面活性剤」、「W/O型乳化型化粧料」及び「クレンジングクリーム」は、本願発明の「油剤」、「界面活性剤」、「W/O型エマルジョン化粧料」及び「クレンジング材料」に相当するから、両者は、「油剤10?70重量%、水20?80重量%及び界面活性剤1.0?3.0重量%を含有し、更に、水性増粘剤及び油性増粘剤の両方を含有するW/O型エマルジョン化粧料からなるクレンジング材料。」である点で一致し、
(イ)化粧料が、本願発明においては、粘度が25℃で200?4000mPa・sであり且つ50℃で100?2000mPa・sであるのに対して、引用発明においては粘度について記載がない点、
(ロ)クレンジング材料が、本願発明においては、30重量%以上のセルロース含量と20?120g/m2の平均坪量とを有し、且つ平均繊度5d以下の繊維から構成されているシート材料に含浸させてなるのに対して、引用発明においてはクリームである点、
の2つの点においてのみ相違している。

そこで、上記相違点(イ)及び(ロ)について検討する。

相違点(イ)について、刊行物Aには、DFE等の増粘剤の配合量が、基準未満では「保存安定性に劣り」、基準を超えると「粘調性等の実用特性が劣化する」ことが記載され(記載事項A)、刊行物Cにも、「皮膚洗浄用シート」の技術分野に関して、クレンジング剤の粘度が高いと、洗浄速度の低下、ぬるつきや残留感の問題があり、粘度が低いと、洗顔時に顔から剤が流れたり、裏うつりや、洗浄力が不十分という問題があることが記載されているところ(記載事項C)、クレンジング剤の粘度を保存安定性及び使用上好適な範囲に設定することは当業者にとって普通に考慮すべき技術事項にすぎない。
そして、例えば、刊行物Eには、「クレンジング乳液」の技術分野に関して、0℃、室温、50℃に保存した場合の性状及び粘度の変化を調べることが記載され、さらに、「クレンジング乳液」の25℃における粘度が「1500cps」であるものが「-5℃?40℃において三ヶ月以上安定」であることが記載されているところ(記載事項E)、絶対粘度の単位である「センチポアズ(cps)」は、本願発明の単位である「ミリパスカル秒(mPa・s)」と一致するものであり、当該1500cpsのクレンジング乳液の50℃における粘度は「100?2000cps」の数値範囲にあると解するのが自然であるから、本願発明の「25℃で200?4000mPa・sであり且つ50℃で100?2000mPa・s」という粘度の数値範囲については、クレンジング剤の粘度として通常の値を示したにすぎないものであって、引用発明のものの粘度も当然に本願発明の数値範囲から著しく逸脱しない数値範囲にあると解され、また、刊行物Dには、「50℃?-5℃の恒温室に保存し、1ケ月後の外観」が「全温度において良好」な「皮膚洗浄用シート」が記載されているところ(記載事項D)、クレンジング材料を室温や50℃で保存した場合の粘度等の変化を調べ、その物性値を好適な範囲に設定することは、当業者にとって通常の創作能力の発揮にすぎない。
なお、平成19年2月26日付けの意見書において、審判請求人は、「刊行物Eも、安定性と使用感触の点から常温(25℃)での粘度を考慮しただけであり、しかも刊行物Eに開示されている組成物は「水中油型乳化組成物」であって、本願発明でのW/O型エマルジョン化粧料には相当しない。」と主張しているが、刊行物Eのものは、50℃で1ヶ月の保存をした場合の粘度をも考慮するものであり(記載事項E)、出願当初の本願明細書の段落0013には、「エマルジョン化粧料はW/O型及びO/W型を含めていずれのタイプでもよい。」と記載されているところ、引用発明は、「O/W型またはW/O型の乳化組成物の保存安定性を高める」ことを前提にした刊行物Aに記載されたものであり(記載事項A)、本願発明、引用発明、及び刊行物Eに記載されるものは、いずれも「エマルジョン化粧料」に関するものであって、なおかつ、本願明細書の記載を精査しても「O/W型」と「W/O型」との技術上の意義について格別の差異を見出すに至らないので、審判請求人の上記(イ)に対する主張は採用できない。

相違点(ロ)について、刊行物Bには、水溶性物質と油溶性物質の混合物である化粧品を除去するための一般的な方法は、化粧綿などに浸した乳液又は化粧水による皮膚面の拭き取りであることが記載され(記載事項B)、刊行物Cにも、「皮膚洗浄用シート(水系洗浄剤含浸量3.5g/g(不織布))」が記載されているところ(記載事項C)、乳液や水系洗浄剤を、化粧綿や不織布シートに含浸して用いることは、当業者にとって普通に知られており、また、刊行物Bには、実施例1として、繊維目付が約100g/m2で、2デニールのレーヨン・ステープル糸からなる不織布を用いた化粧剤用の清拭材が記載され(記載事項B)、刊行物Cにも、セルロース含量が50重量%以上であり、平均坪量が20?120g/m2で、構成繊維の平均繊度が3d以下である不織布に水系洗浄剤を含有させてなる皮膚洗浄用シートが記載されているところ(記載事項C)、本願発明の「30重量%以上のセルロース含量と20?120g/m2の平均坪量とを有し、且つ平均繊度5d以下の繊維から構成されているシート材料」は、クレンジングに用いるシート材料として普通一般のものにすぎないので、引用発明のクレンジング剤を、刊行物B及びCなどに記載される普通一般のシート材料に含浸させて用いることは、当業者にとって格別の創意工夫を要することではない。
なお、平成19年2月26日付けの意見書において、審判請求人は、「刊行物Bに記載の組成物のうち、樹脂成分は、「油性増粘剤」にも「水性増粘剤」にも該当しないのであるから、刊行物Bの組成物を本願発明の組成物と関係付けて論じることは明らかな間違いである。」と主張しているが、化粧品を除去するための方法として「乳液」を化粧綿などに含浸させることが一般的であることは、刊行物Bに記載されるとおりであり(記載事項B)、本願発明の「エマルジョン化粧料」も、引用発明の「乳化型化粧料」も、ともに刊行物Bに記載された「乳液」という範疇に当てはまることは明らかであるので、審判請求人の上記(ロ)に対する主張も採用できない。

そして、本願発明の作用効果について検討するに、本願明細書の段落0013の「エマルジョン化粧料は、油性成分と水性成分とが均一に乳化した状態を有するので、本発明のクレンジング材料は、油性マスカラ等の油性メイクアップ化粧料だけでなく水性マスカラ等の水性メイクアップ化粧料を同時に除去する能力を有する」との作用効果について、刊行物A及びEなどに記載されるように、W/O型又はO/W型の乳化型クレンジング化粧料は普通に知られており、本願明細書の段落0014の「本発明においては、エマルジョン化粧料をシート材料に含浸させているので、本発明のクレンジング材料は、操作性と簡便性とに優れたものになる」との作用効果についても、刊行物B及びCなどに記載されるように、化粧料をシート材料に含浸させたクレンジング材料は普通に知られており、本願明細書の段落0015の「粘度が…比較的低粘度である場合…には、十分な液安定性が確保できず、また、…比較的高粘度である場合…には、メイクアップ化粧料の除去性能が十分でなくシート材料への含浸性も十分ではなく好ましくない。」との作用効果についても、刊行物Aには、増粘剤の配合量が、基準未満であると保存安定性に劣り、基準を超えると粘調性等の実用特性が劣化することが記載されており(記載事項A)、刊行物Cにも、粘度が高いと、洗浄速度の低下、ぬるつきや残留感の問題があり、粘度が低いと、洗顔時に顔から剤が流れたり、裏うつりや洗浄力が不十分という問題があることが記載されており(記載事項C)、刊行物Dにも、50℃?-5℃の恒温室に1ヶ月保存後の外観が全温度で良好な安定性に優れた皮膚洗浄用シートが記載されているので(記載事項D)、本願発明に当業者にとって格別予想外の顕著な作用効果があると認めるに至らない。また、平成19年2月26日付けの意見書において、審判請求人は、「比較例3?6で挙げた各製品は、剤形や使い方が異なり、同一の評価項目について同列で比較することは余り意味がない。」と主張しているところ、本願明細書の記載不備も相俟って、本願発明に格別予想外の顕著な作用効果があると認めるに至らない。

よって、本願発明は、刊行物A?Eに記載された発明に基づいて、当業者が容易に発明をすることができたものであるから、特許法第29条第2項の規定により特許を受けることができない。

5.記載不備
当審の拒絶の理由において、記載不備として、
「(い)本願発明は、「W/O型エマルジョン化粧料」であることを発明特定事項としているところ、本願明細書の段落0013には、「エマルジョン化粧料はW/O型及びO/W型を含めていずれのタイプでもよい。」と記載されており、当該発明特定事項の技術上の意義について、本願明細書の発明の詳細な説明の記載は、当業者が本願発明の技術上の意義を理解するために必要な事項を記載することによりしているものではないという点において、特許法施行規則第24条の2(委任省令)で定めるところによる記載となっておらず、特許法第36条第4項の規定に適合しない。」と指摘し、
「(え)本願発明は、「水性増粘剤及び油性増粘剤の両方を含有」することを発明特定事項としているところ、本願明細書の段落0022には、「水性増粘剤及び油性増粘剤の少なくともいずれかを含有させることができる」と記載され、さらに、本願明細書の段落0060?0062の記載においては、本願発明の発明特定事項を満たさない「実施例4」のものが実施例として称されて良好な作用効果を奏するとの記載がなされているところ、当該発明特定事項の技術上の意義について、本願明細書の発明の詳細な説明の記載は、当業者が本願発明の技術上の意義を理解するために必要な事項を記載することによりしているものではないという点において、特許法施行規則第24条の2(委任省令)で定めるところによる記載となっておらず、特許法第36条第4項の規定に適合しない。」と指摘した。

これに対して、請求人は、平成19年2月26日付けの意見書において、理由2(い)の点に対して、「この点に関する特許法第36条第4項の規定に適合しない旨の指摘については、上記(2-2)において説明したとおり段落[0013]の記載から「この場合、エマルジョン化粧料はW/O型及びO/W型を含めていずれのタイプでもよい。」の部分を削除したので、解消したものと思量される。」と主張し、理由2(え)の点に対して、「この点に関する特許法第36条第4項の規定に適合しない旨の指摘については、上記(2-3)において説明したとおり、段落[0022]を補正後の請求項1に合わせて「エマルジョン化粧料には、その粘度を調整するために水性増粘剤及び油性増粘剤を含有させる。」と変更し、さらに実施例4を削除したので、解消したものと思量される。」と主張している。

そこで、平成19年2月26日付けで提出された意見書及び手続補正書によって、上記の記載不備が解消されたか否かを検討する。

(い)について、審判請求人は、「段落[0013]の記載から「この場合、エマルジョン化粧料はW/O型及びO/W型を含めていずれのタイプでもよい。」の部分を削除したので、解消したものと思量される。」と主張するが、当該記載を削除しても、依然として、本願明細書の発明の詳細な説明は、「W/O型エマルジョン化粧料」に特定することの技術上の意義を理解するために必要な事項を記載するものではないので、特許法第36条第4項の規定に適合しない。

(え)について、審判請求人は、「実施例4を削除したので、解消したものと思量される。」と主張しているが、当該記載を削除しても、本願発明の発明特定事項を満たさずとも良好な作用効果を奏するという事情に変わりはないので、依然として、本願明細書の発明の詳細な説明は、「水性増粘剤及び油性増粘剤の両方を含有」に特定することの技術上の意義を理解するために必要な事項を記載するものではなく、特許法第36条第4項の規定に適合しない。

6.むすび
以上のとおり、本願発明は、刊行物A?C、E及びGに記載された発明に基づいて、当業者が容易に発明をすることができたものであるから、特許法第29条第2項の規定により特許を受けることができず、また、本願は、特許法第36条第4項に規定する要件を満たしていないので、拒絶すべきものである。
よって、結論のとおり審決する。
 
審理終結日 2007-03-30 
結審通知日 2007-04-03 
審決日 2007-04-24 
出願番号 特願2000-121705(P2000-121705)
審決分類 P 1 8・ 121- WZ (A61K)
P 1 8・ 536- WZ (A61K)
最終処分 不成立  
前審関与審査官 福井 美穂  
特許庁審判長 原 健司
特許庁審判官 木村 敏康
岩瀬 眞紀子
発明の名称 クレンジング材料  
代理人 岸本 達人  
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