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審決分類 審判 査定不服 特17条の2、3項新規事項追加の補正 特許、登録しない。 G06F
審判 査定不服 2項進歩性 特許、登録しない。 G06F
審判 査定不服 4号2号請求項の限定的減縮 特許、登録しない。 G06F
管理番号 1159457
審判番号 不服2003-14703  
総通号数 92 
発行国 日本国特許庁(JP) 
公報種別 特許審決公報 
発行日 2007-08-31 
種別 拒絶査定不服の審決 
審判請求日 2003-07-30 
確定日 2007-06-21 
事件の表示 平成 6年特許願第 69392号「ファイル装置」拒絶査定不服審判事件〔平成 7年10月27日出願公開、特開平 7-282065〕について、次のとおり審決する。 
結論 本件審判の請求は、成り立たない。 
理由 1.手続の経緯
本願は、平成6年4月7日付けの出願であって、平成15年6月26日付で拒絶査定がなされ(発送日同年6月30日)、これに対し、同年7月30日に拒絶査定に対する審判請求がなされるとともに、同年8月29日付で手続補正がなされたものである。

2.平成15年8月29日付の手続補正についての補正却下の決定
[補正却下の決定の結論]
平成15年8月29日付の手続補正を却下する。
[理由]
(1)目的外補正
本件補正により、特許請求の範囲の請求項1は、
「記録媒体に記録されたファイルの中から目標の画像情報を検索するためのファイル装置において、
上記画像情報の実画像を上記記録媒体に記録する画像情報記憶手段と、
上記画像情報の実画像を縮小画像データとして生成し、縮小画像を上記画像情報の実画像と対応付けて上記記録媒体に記録する縮小画像記録手段と、
上記記録媒体に記録された上記画像情報の上記実画像および上記縮小画像を使用者の指示に応じて上記記録媒体から再生制御する再生制御手段と、
上記画像情報の上記実画像または上記縮小画像を表示する表示画面を有する表示手段とを備え、
上記記録媒体に記録された上記ファイルの中から目標の画像情報を検索する場合において、上記使用者の指示に応じて、上記再生制御手段によって上記記録媒体から上記画像情報のデータを再生し、上記表示手段によって表示画面上に、上記画像情報の中のホルダアイコンの一覧表示キーを表示し、上記一覧表示キーの中から選択したホルダアイコンを指示することにより、指示したホルダアイコンに対応したファイルの見出しタイトルのアイコンが表示され、同一画面上に上記見出しタイトルに対応した複数の縮小画像の一部が表示され、上記画面上に表示された上記複数の縮小画像の中から一部の上記縮小画像を指示することによって該指示された縮小画像に対応する上記画像情報の上記実画像を表示することを特徴とするファイル装置。」
と補正された。
当該補正は、補正前の請求項1に記載されていた「使用者の指示を入力する指示入力手段」という構成を削除するものであるから、「発明を特定するための事項を限定する」補正とは言えず、平成5年特許法第17条の2第3項第2号に規定する要件を満たしていない。また、当該補正は、同法第17条の2第3項第1号、第3号及び第4号に規定する要件を満たしていないことは明らかであるから、本件補正は、同法第17条の2第3項の規定に適合しない。

(2)新規事項の追加
さらに、請求項1の「上記記録媒体に記録された上記ファイルの中から目標の画像情報を検索する場合において、上記使用者の指示に応じて、上記再生制御手段によって上記記録媒体から上記画像情報のデータを再生し、上記表示手段によって表示画面上に、上記画像情報の中のホルダアイコンの一覧表示キーを表示し、上記一覧表示キーの中から選択したホルダアイコンを指示することにより、指示したホルダアイコンに対応したファイルの見出しタイトルのアイコンが表示され、同一画面上に上記見出しタイトルに対応した複数の縮小画像の一部が表示され、上記画面上に表示された上記複数の縮小画像の中から一部の上記縮小画像を指示することによって該指示された縮小画像に対応する上記画像情報の上記実画像を表示する」という記載は、本願の出願当初の明細書及び図面の記載と異なるものとなっている。具体的には、本願の出願当初の明細書及び図面では、以下のように記載されている。
「図2には、ディスプレイ23の表示画面100上に表示されている上記ファイルに対応するホルダのアイコン101?106と後述する指示用アイコン110?115を示し、図3には、表示画面100上にそれぞれ表示された見出しタイトルのアイコン120と縮小イメージが表示される表示領域121とを示している。」(段落0027)、
「先ず、本実施例装置のディスプレイ23の表示画面100上には、最初に図2の画像が表示される。
ここで、当該図2の表示画面100上に表示された各ファイルに対応するホルダの各アイコンのなかのいずれか1つのホルダのアイコンを、例えば前記入力部28によるポインティングデバイスで指示すると、その指示されたファイルが開き、図3のようになる。」(段落0030)、
「この一覧表示によるファイル検索では、前述したような図2の表示画面100で指示されたファイルを開いた後の図3に示す表示画面100において、一覧表示のキーに対応するアイコン123を指示することによって一覧表示を命令すると、前記見出しタイトルのアイコン120で指示された内容の一覧表示が行われるようになっている。」(段落0035)
以上の明細書における記載及び図2及び図3の記載から、ホルダのアイコンは図2の101?106を指しており、一覧表示キーはホルダのアイコンを選択することにより表示される別画面図3の123を示しており、別個のものであると認められる。
一方、本件補正後の請求項1の記載では、「画像情報の中のホルダアイコンの一覧表示キーを表示し、上記一覧表示キーの中から選択したホルダアイコンを指示する」となっており、全く異なる技術事項が記載されている。

よって、本件補正は、願書に最初に添付した明細書又は図面に記載した事項の範囲内においてしたものでないから、平成5年特許法第17条の2第2項で準用する同法第17条第2項の規定に適合しない。

(3)むすび
以上のとおり、本件補正は、平成5年特許法第17条の2第3項に規定する要件を満たしておらず、また、平成5年特許法第17条の2第2項で準用する同法第17条第2項の規定に適合していないから、特許法第159条第1項において準用する同法第53条第1項の規定により、却下すべきものである。

3.本願発明
平成15年8月29日付の手続補正は上記のとおり却下されたので,本願の請求項1に係る発明(以下、「本願発明」という。)は、平成15年6月9日付手続補正書の特許請求の範囲の請求項1に記載された事項により特定される,以下のとおりのものである。
「記録媒体に記録された複数枚の画像情報の中から目標の画像情報を検索するためのファイル装置において、
上記複数枚の画像情報を記録する上記記録媒体と、
使用者の指示を入力する指示入力手段と、
上記記録媒体に記録された上記画像の情報を使用者の指示に応じて再生制御する再生制御手段と、
上記画像を表示する表示画面を有する表示手段とを備え、
上記記録媒体に記録された上記複数枚の画像情報から目標の画像情報を検索する場合において、上記使用者の指示に応じて、上記表示手段の表示画面上に、上記画像情報を表示するための画像表示領域と、一覧表示キーとを表示し、上記一覧表示キーを指示することにより、上記表示手段の表示画面上に、複数枚の縮小画像の内容認識可能な一部のみを並べて表示し、表示された複数枚の縮小画像の内容認識可能な一部を上記指示入力手段によって指示することによって対応する上記画像情報の実画像を表示することを特徴とするファイル装置。」

4.引用刊行物記載の発明
原査定の拒絶の理由に引用された特開平4-350768号公報(以下、「引用例」という。)には、図面とともに、以下の事項が記載されている。

(ア)
「本発明は、名刺電子ファイリング装置および文書ファイル装置に関し、特に、ユーザの使い勝手を改善した名刺電子ファイリング装置および文書ファイル装置に関する。」(段落0001)

(イ)
「図1は、本発明の一実施例の名刺電子ファイル装置1の構成図である。 この名刺電子ファイル装置1は、CPU601と,主メモリ602と,画像メモリ603と,CRT605と,キーボード606と,マウス607と,光ディスク609と,光ディスク制御装置608と,磁気ディスク611と,磁気ディスク制御装置610と,スキャナ613と,スキャナ制御部612と,プリンタ614と,バス615とから構成される。」(段落0018)

(ウ)
「イメージ登録手段111は、前記CPU601から構成され、記憶手段103に格納されている名刺画像を圧縮符号化し、名刺IDと共にイメージデータベース112に格納する。イメージデータベース112は、前記光ディスク609と光ディスク制御部608とから構成される。」(段落0022)

(エ)
「名刺の検索・表示機能を具体的に説明する。 ユーザにより「項目検索」の指示がキーボード606から入力されると、CPU601は、図12に示すように、検索項目ウインドウ1001をCRT605に表示する。ここで、ユーザが、検索項目{会合名}に名刺を入手した場所[○○会]を入力すると、CPU601は、場所情報データベース122Bを検索し、[○○会]を含む項目内容を取り出し、例えば「あいうえお順」にソートし、検索結果ウインドウ1006に表示する。検索結果ウインドウ1006にはスクロール機能を設ける。
【0030】また、CPU601は、検索結果ウインドウ1006の最上段に表示している項目内容に対応する名刺IDを取り出し、それら名刺IDを若い順にソートし、最も若いものに対応する名刺画像をイメージデータベース112から取り出し、CRT605に表示する。このとき、名刺が積み重なって見える態様で表示する。」(段落0029?0030)

(オ)
「検索結果ウインドウ1006が表示されている時に、ユーザにより「複数配列表示」の指示がキーボード606から入力されると、CPU601は、図14に示すように、名刺画像6枚を1ページとし、1ページ分の名刺画像を縮小処理を加えて同時表示する。キーボード606あるいはマウス607から指示してページを前後にめくることで、検索結果の名刺画像を全て表示させられる。
一方、検索結果ウインドウ1006が表示されている時に、ユーザにより「複数重ね表示」の指示がキーボード606から入力されると、CPU601は、図15に示すように、名刺画像の一部を重ねることで1ページの名刺画像の枚数を増やして表示する。」(段落0033)

(a)上記(ア)、(ウ)及び(エ)の記載から、引用例に記載された発明(以下、引用発明という。)には、光ディスクに記録された複数枚の名刺画像の中から目標の名刺画像を検索するための文書ファイル装置が開示されていると認められる。

(b)上記(ウ)の「イメージ登録手段111は、前記CPU601から構成され、記憶手段103に格納されている名刺画像を圧縮符号化し、名刺IDと共にイメージデータベース112に格納する。イメージデータベース112は、前記光ディスク609と光ディスク制御部608とから構成される。」という記載、及び、(エ)の「対応する名刺画像をイメージデータベース112から取り出し、CRT605に表示する。」という記載、(オ)の「検索結果ウインドウ1006が表示されている時に、ユーザにより「複数配列表示」の指示がキーボード606から入力されると、CPU601は、図14に示すように、名刺画像6枚を1ページとし、1ページ分の名刺画像を縮小処理を加えて同時表示する。」という記載から、引用発明の文書ファイル装置は、複数枚の名刺画像を記録する光ディスクを備えていることが認められる。

(c)上記(イ)の「名刺電子ファイル装置1は、CPU601と,主メモリ602と,画像メモリ603と,CRT605と,キーボード606と,マウス607と,光ディスク609と,光ディスク制御装置608と,磁気ディスク611と,磁気ディスク制御装置610と,スキャナ613と,スキャナ制御部612と,プリンタ614と,バス615とから構成される。」という記載、及び、(オ)の「キーボード606あるいはマウス607から指示してページを前後にめくることで、検索結果の名刺画像を全て表示させられる。」という記載から、引用発明の文書ファイル装置は、ユーザの指示を入力するためのキーボード及びマウスを備えていることが認められる。

(d)上記(ウ)の記載、及び、(オ)の「ユーザにより「複数重ね表示」の指示がキーボード606から入力されると、CPU601は、図15に示すように、名刺画像の一部を重ねることで1ページの名刺画像の枚数を増やして表示する。」という記載から、引用発明の文書ファイル装置は、光ディスクに記録された名刺画像をユーザの指示に応じて取り出す光ディスク制御部を備えていることが認められる。

(e)上記(エ)の記載及び図12に関する図面の簡単な説明の欄の「【図12】名刺の検索・表示時の画面の例示図である。」という記載から、引用発明の文書ファイル装置は、名刺画像を表示する画面を有するCRTを備えていることが認められる。

(f)上記(エ)及び(オ)の記載、並びに、図15から、引用発明の文書ファイル装置は、光ディスクに記録された複数の名刺画像から目標の名刺画像を検索する場合に、ユーザにより「複数重ね表示」の指示がキーボードから入力されると、CRTの画面に、複数枚の縮小処理を加えた名刺画像の一部を内容認識可能に重ねて表示していることが認められる。

したがって、引用発明には、
光ディスクに記録された複数枚の名刺画像の中から目標の名刺画像を検索するための文書ファイル装置であって、
複数枚の名刺画像を記録する光ディスクと、
ユーザの指示を入力するためのキーボード及びマウスと、
光ディスクに記録された名刺画像をユーザの指示に応じて取り出す光ディスク制御部と、
名刺画像を表示する画面を有するCRTとを備え、
光ディスクに記録された複数の名刺画像から目標の名刺画像を検索する場合に、複数枚の縮小処理を加えた名刺画像の内容認識可能な一部を重ねて表示する文書ファイル装置
が記載されているといえる。

5.対比
引用発明の「光ディスク」、「名刺画像」、「文書ファイル装置」、「ユーザ」、「キーボード及びマウス」、「取り出す」、「光ディスク制御部」、「画面」、「CRT」、「複数枚の縮小処理を加えた名刺画像の内容認識可能な一部を重ねて表示」は、本願発明の「記録媒体」、「画像情報」、「ファイル装置」、「使用者」、「指示入力手段」、「再生制御する」、「再生制御手段」、「表示画面」、「表示手段」、「複数枚の縮小画像の内容認識可能な一部のみを並べて表示」に、それぞれ、相当する。また、引用発明の「ユーザにより「複数重ね表示」の指示がキーボードから入力される」ことは、本願発明の「一覧表示キーを指示すること」と、「複数枚の縮小画像の内容認識可能な一部のみを並べて表示」する際の契機となる点では共通しているから、対応しており、一覧表示を指示することでは、一致している。
以上のことから、両者は、
「記録媒体に記録された複数枚の画像情報の中から目標の画像情報を検索するためのファイル装置において、
上記複数枚の画像情報を記録する上記記録媒体と、
使用者の指示を入力する指示入力手段と、
上記記録媒体に記録された上記画像の情報を使用者の指示に応じて再生制御する再生制御手段と、
上記画像を表示する表示画面を有する表示手段とを備え、
上記記録媒体に記録された上記複数枚の画像情報から目標の画像情報を検索する場合において、上記使用者の指示に応じて、一覧表示を指示することにより、上記表示手段の表示画面上に、複数枚の縮小画像の内容認識可能な一部のみを並べて表示することを特徴とするファイル装置。」の点で一致し、以下の点で一応相違している。

(相違点1)
本願発明の表示手段の表示画面上に、画像情報を表示するための画像表示領域と、一覧表示キーとを表示しているのに対して、引用発明の表示手段の表示画面上には、画像情報を表示するための画像表示領域のみであり、一覧表示キーが表示されていない点。

(相違点2)
本願発明では、表示された複数枚の縮小画像の内容認識可能な一部を上記指示入力手段によって指示することによって対応する上記画像情報の実画像を表示するのに対して、引用発明では、そのような構成を備えるか否かが不明な点。

6.当審の判断
(相違点1について)
画像ファイル装置の技術分野において、表示手段の画面を画像表示領域と、操作指示用領域に分割し、操作指示領域のコマンド(キー)をマウス等の指示装置により選択させることにより、画像検索の指示を与える構成は、本願の出願前に周知の技術に過ぎない(必要であれば、特開平5-81346号公報、特開平3-59772号公報等を参照されたい。)から、当該構成を引用発明においても採用するか否かは、当業者が適宜選択すべき設計的事項に過ぎない。

(相違点2について)
画像ファイル装置の技術分野において、表示手段の画面上に複数一覧表示された縮小画像をマウス等の指示装置により選択することにより、選択された縮小画像に対応する元の画像を表示する構成は、本願の出願前に周知の技術に過ぎない(必要であれば、特開平5-257987号公報、特開平5-290089号公報等を参照されたい。)から、当該構成を引用発明においても採用するか否かは、当業者が適宜選択すべき設計的事項に過ぎない。

また、本願発明の効果についてみても、上記構成の採用に伴って、当然に予測される程度のものに過ぎず、格別顕著なものがあるとは認められない。

したがって、本願発明は、引用発明及び周知の技術に基づいて、当業者が容易に発明をすることができたものである。

7.むすび
以上のとおりであるから、本願発明は、引用発明及び周知技術に基づいて当業者が容易に発明をすることができたものであり、特許法第29条第2項の規定により特許を受けることができない。
したがって、本願は、その余の請求項について論及するまでもなく拒絶されるべきものである。
よって、結論のとおり審決する。
 
審理終結日 2007-04-23 
結審通知日 2007-04-24 
審決日 2007-05-08 
出願番号 特願平6-69392
審決分類 P 1 8・ 572- Z (G06F)
P 1 8・ 121- Z (G06F)
P 1 8・ 561- Z (G06F)
最終処分 不成立  
前審関与審査官 深津 始  
特許庁審判長 立川 功
特許庁審判官 野崎 大進
青柳 光代
発明の名称 ファイル装置  
代理人 田村 榮一  
代理人 伊賀 誠司  
代理人 小池 晃  

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