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審決分類 |
審判 査定不服 1項3号刊行物記載 取り消して特許、登録 F21Q 審判 査定不服 特36条6項1、2号及び3号 請求の範囲の記載不備 取り消して特許、登録 F21Q 審判 査定不服 2項進歩性 取り消して特許、登録 F21Q |
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管理番号 | 1160246 |
審判番号 | 不服2005-3184 |
総通号数 | 92 |
発行国 | 日本国特許庁(JP) |
公報種別 | 特許審決公報 |
発行日 | 2007-08-31 |
種別 | 拒絶査定不服の審決 |
審判請求日 | 2005-02-24 |
確定日 | 2007-07-24 |
事件の表示 | 平成8年特許願第62530号「車両用信号灯具」拒絶査定不服審判事件〔平成9年10月3日出願公開、特開平9-259610、請求項の数(1 )〕について、次のとおり審決する。 |
結論 | 原査定を取り消す。 本願の発明は、特許すべきものとする。 |
理由 |
1手続の経緯 本願は、平成8年3月19日の出願であって、平成17年1月20日付けで拒絶査定がなされ、これに対し、平成17年2月24日に拒絶査定に対する本件審判請求がなされるとともに、平成17年3月28日付けで手続補正がなされたものである。 2平成17年3月28日付けの手続補正についての補正却下の決定 [補正却下の決定の結論] 平成17年3月28日付けの手続補正を却下する。 [理由] 平成17年3月28日付け手続補正書で補正された特許請求の範囲 「【請求項1】 車両用信号灯具の光軸を通る光源からの光に収束を与えることを主目的とするインナーレンズと、前記インナーレンズを透過した後の収束光に配光特性を与えることを主目的とするアウターレンズとで成る車両用信号灯具において、前記インナーレンズは適宜の複数の区画に分割が行われ、前記区画の夫々には当該区画からの収束光が要求される配光特性の各方向に対する光の配分量と近似するように中心を前記光軸に対し上下左右にオフセットしたフレネルカットが形成され、前記フレネルカットは、前記光軸と前記フレネルカットの中心とを一致させた際、前記インナーレンズを透過させた後の光は、前記光軸と平行な平行光線となるように形成した形状であることを特徴とする車両用信号灯具。」 この補正は、補正前の平成16年9月6日付け手続補正書に記載の特許請求の範囲と全く同じ内容である。 よって、この補正は、平成18年改正前の特許法第17条の2第4項各号のどの目的にも該当しない補正である。 したがって、平成17年3月28日付けの手続補正は、特許法第159条第1項において一部読み替えて準用する同法第53条第1項の規定により却下すべきものである。 3本願発明について (1) 本願発明 平成17年3月28日付けの手続補正は、上記のとおり却下されたので、本願の請求項に係る発明は、平成16年9月6日付け手続補正書の特許請求の範囲の請求項1に記載された事項によって特定される、次のとおりのものと認める。 「車両用信号灯具の光軸を通る光源からの光に収束を与えることを主目的とするインナーレンズと、前記インナーレンズを透過した後の収束光に配光特性を与えることを主目的とするアウターレンズとで成る車両用信号灯具において、前記インナーレンズは適宜の複数の区画に分割が行われ、前記区画の夫々には当該区画からの収束光が要求される配光特性の各方向に対する光の配分量と近似するように中心を前記光軸に対し上下左右にオフセットしたフレネルカットが形成され、前記フレネルカットは、前記光軸と前記フレネルカットの中心とを一致させた際、前記インナーレンズを透過させた後の光は、前記光軸と平行な平行光線となるように形成した形状であることを特徴とする車両用信号灯具。」 (2) 原査定の拒絶の理由の概要 ア 引用文献として特開平4-188501号公報、特開平2-123605号公報及び特開平2-144801号公報を挙げ、請求項1に係る発明は、これらの引用文献に記載された発明であるか、あるいは、これらの引用文献に記載された発明に基づいて当業者が容易に発明をすることができたものであるから、特許法第29条第1項3号に該当するとともに、特許法第29条第2項の規定によっても特許を受けることができないというものである。 イ 特許請求の範囲の「要求される配光特性の各方向に対する・・・・」等多くの機能、作用による特定は、具体的なものを当業者が想定できないから、特許法第36条第6項第2号に違反しているというものである。 (3) 当審の判断 ア 本願請求項1に係る発明と上記引用文献1?3に記載された発明とを対比すると、引用文献1?3には、本願請求項1に係る発明の構成である、 「光源からの光に収束を与えることを主目的とするインナーレンズと、前記インナーレンズを透過した後の収束光に配光特性を与えることを主目的とするアウターレンズとで成る車両用信号灯具において、前記インナーレンズは適宜の複数の区画に分割が行われ」ているに相当する構成は開示されているので一致点として認定できるが、 「車両用信号灯具の光軸を通る光源からの光に収束を与える」に相当する構成及び「区画の夫々には当該区画からの収束光が要求される配光特性の各方向に対する光の配分量と近似するように中心を前記光軸に対し上下左右にオフセットしたフレネルカットが形成され、前記フレネルカットは、前記光軸と前記フレネルカットの中心とを一致させた際、前記インナーレンズを透過させた後の光は、前記光軸と平行な平行光線となるように形成した形状である」に相当する構成については開示されていないので相違点として認定できる。 また、上記相違点に係る構成を開示した他の文献も発見しない。 そして、本願請求項1に係る発明は、上記相違点の構成を備えることにより明細書に記載の作用効果を奏するものと認められる。 したがって、本願請求項1に係る発明は、引用文献1?3に記載された発明ではなく、また、引用文献1?3に記載された発明に基づいて当業者が容易に発明をすることができたものでもない。 イ 機能、作用による特定部分である「要求される配光特性の各方向に対する・・・平行光線となるように形成した形状である」の記載において、「フレネルカットは、前記光軸と前記フレネルカットの中心とを一致させた際、前記インナーレンズを透過させた後の光は、前記光軸と平行な平行光線となるように形成した形状である」との記載は、具体的な構成が想定できるものであり、また、「要求される配光特性の各方向に対する光の配分量と近似するように中心を前記光軸に対し上下左右にオフセットしたフレネルカットが形成され」との記載は、出願当時の技術水準に照らせば理解できるものであるから、これらの部分に記載不備はなく、特許法第36条第6項第2号に違反しているということはできない。 4むすび 以上のとおり、本願については、原査定の拒絶の理由を検討してもその理由によって拒絶すべきものとすることはできない。 また、他に本願を拒絶すべき理由を発見しない。 よって、結論のとおり審決する。 |
審決日 | 2007-07-10 |
出願番号 | 特願平8-62530 |
審決分類 |
P
1
8・
121-
WY
(F21Q)
P 1 8・ 537- WY (F21Q) P 1 8・ 113- WY (F21Q) |
最終処分 | 成立 |
前審関与審査官 | 小宮 寛之 |
特許庁審判長 |
藤井 俊明 |
特許庁審判官 |
柿崎 拓 佐藤 正浩 |
発明の名称 | 車両用信号灯具 |
代理人 | 秋元 輝雄 |