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審決分類 審判 査定不服 4項4号特許請求の範囲における明りょうでない記載の釈明 特許、登録しない(前置又は当審拒絶理由) G06F
審判 査定不服 4号2号請求項の限定的減縮 特許、登録しない(前置又は当審拒絶理由) G06F
審判 査定不服 特174条1項 特許、登録しない(前置又は当審拒絶理由) G06F
管理番号 1161305
審判番号 不服2003-11811  
総通号数 93 
発行国 日本国特許庁(JP) 
公報種別 特許審決公報 
発行日 2007-09-28 
種別 拒絶査定不服の審決 
審判請求日 2003-06-26 
確定日 2007-07-19 
事件の表示 平成11年特許願第350905号「翻訳機能付文書検索表示システム」拒絶査定不服審判事件〔平成13年6月22日出願公開、特開2001-167116〕について、次のとおり審決する。 
結論 本件審判の請求は、成り立たない。 
理由 第1 手続の経緯
本願の手続の経緯の概要は、以下のとおりである。
平成11年12月10日 出願
平成15年5月21日付け 拒絶査定
同年6月26日 審判請求
平成18年11月8日付け 拒絶理由通知
平成19年1月15日付け 意見書・手続補正書
同年2月1日付け 拒絶理由通知(最後)
同年4月9日付け 意見書・手続補正書

第2 平成19年4月9日付けの手続補正についての補正却下の決定
[補正却下の決定の結論]
平成19年4月9日付けの手続補正を却下する。

[理由]
1 本件補正の内容
平成19年4月9日付けの手続補正(以下「本件補正」という。)により、特許請求の範囲は、本件補正前の
「【請求項1】タグで規定される少なくとも一以上のタグ情報を含むHTML記載の原文文書が更新可能に格納されている文書格納手段と、前記原文文書に対応するHTML記載の原文文書及びその訳文文書が少なくとも一以上のタグ情報を対応位置に付されて更新可能に対応して格納されている対訳データベースを有する文書翻訳装置と、該文書翻訳装置を介して前記文書格納手段の原文文書及び前記対訳データベースの対応する訳文文書を要求し、かつ受信して表示する表示入力手段とを備える翻訳機能付文書検索表示システムであって、
前記文書翻訳装置は、
前記表示入力手段から前記要求を受けた前記文書格納手段の原文文書が前記対訳データベースの対応する原文文書に対し更新されているか否かを判定し、更新されていると前記両原文文書のそれぞれの対応するタグ情報を同一の置換記号に置換して該両原文文書を照合し、該両原文文書が一致すると前記対訳データベースから対応する訳文文書を検索し、該訳文文書のタグ情報を前記要求を受けた原文文書の対応するタグ情報に置き換えて該原文文書及び該訳文文書を前記表示入力手段に送信すると共に、前記両原文文書が不一致のとき前記要求を受けた原文文書を翻訳させ、該原文文書と翻訳した訳文文書を前記表示入力手段に送信する翻訳制御手段を含む、
ことを特徴とする翻訳機能付文書検索表示システム。
【請求項2】前記翻訳制御手段は、前記原文文書及び訳文文書を文単位に区分して前記対訳データベースに格納することを特徴とする請求項1に記載の翻訳機能付文書検索表示システム。
【請求項3】前記文書格納手段に原文文書が更新時刻データを付されて格納され、
前記翻訳制御手段は、少なくとも前記訳文文書に更新時刻データを付して前記対訳データベースに格納し、前記文書格納手段から取り込んだ原文文書と前記対訳データベースから検索した訳文文書の各更新時刻データを比較して更新時刻が相違すると更新有りと判定することを特徴とする請求項1に記載の翻訳機能付文書検索表示システム。」
から、本件補正後の
「【請求項1】タグで規定される少なくとも一以上のタグ情報を含むHTML記載の原文文書が更新可能に格納されている文書格納手段と、前記原文文書に対応するHTML記載の原文文書及びその訳文文書が少なくとも一以上の各同一のタグ情報を置換順を示す置換記号に置換して更新可能に対応して格納されている対訳データベースを有する文書翻訳装置と、該文書翻訳装置を介して前記文書格納手段の原文文書及び前記対訳データベースの対応する訳文文書を要求し、かつ受信して表示する表示入力手段とを備える翻訳機能付文書検索表示システムであって、
前記文書翻訳装置は、
前記表示入力手段から前記要求を受けた前記文書格納手段の原文文書が前記対訳データベースの対応する原文文書に対し更新されているか否かを判定し、更新されていると該更新された原文文書のタグ情報を置換順に前記置換記号に置換して該更新された原文文書と前記対訳データベースの原文文書を照合し、該両原文文書が一致すると前記対訳データベースから対応する訳文文書を検索し、該訳文文書の置換記号を前記要求を受けた原文文書の対応するタグ情報に置き換えて該原文文書及び該訳文文書を前記表示入力手段に送信すると共に、前記両原文文書が不一致のとき前記要求を受けた原文文書を翻訳させ、該原文文書と翻訳した訳文文書を前記表示入力手段に送信する翻訳制御手段を含む、
ことを特徴とする翻訳機能付文書検索表示システム。
【請求項2】前記翻訳制御手段は、前記原文文書及び訳文文書を文単位に区分して前記対訳データベースに格納することを特徴とする請求項1に記載の翻訳機能付文書検索表示システム。
【請求項3】前記文書格納手段に原文文書が更新時刻データを付されて格納され、
前記翻訳制御手段は、少なくとも前記訳文文書に更新時刻データを付して前記対訳データベースに格納し、前記文書格納手段から取り込んだ原文文書と前記対訳データベースから検索した訳文文書の各更新時刻データを比較して更新時刻が相違すると更新有りと判定することを特徴とする請求項1に記載の翻訳機能付文書検索表示システム。」
と補正された。

2 補正の適否
本件補正は、特許法第17条の2第1項第2号に掲げる場合において特許請求の範囲についてする補正であるから、その補正は、同条第4項各号に掲げる事項を目的とするものに限られる。そこで、特許請求の範囲についてする本件補正が、特許法第17条の2第4項各号に掲げる事項を目的とするものであるか否かについて検討する。
本件補正前と本件補正後の特許請求の範囲の各請求項の記載からみて、本件補正後の請求項1は本件補正前の請求項1を補正したものと認められる。
そして、本件補正前の請求項1は、「更新されていると前記両原文文書のそれぞれの対応するタグ情報を同一の置換記号に置換して」と記載しており、該記載中の「前記両原文文書」は、先行する「前記表示入力手段から前記要求を受けた前記文書格納手段の原文文書が前記対訳データベースの対応する原文文書に対し更新されているか否かを判定し、」の記載に照らして、「文書格納手段の原文文書と対訳データベースの原文文書」を意味すると認められるから、上記の「更新されていると前記両原文文書のそれぞれの対応するタグ情報を同一の置換記号に置換して」は、文書格納手段の原文文書が「更新されていると文書格納手段の原文文書と対訳データベースの原文文書のそれぞれの対応するタグ情報を同一の置換記号に置換」することを意味すると認められる。
これに対して、本件補正後の請求項1は、「更新されていると前記両原文文書のそれぞれの対応するタグ情報を同一の置換記号に置換して」と記載せずに、「更新されていると文書格納手段の原文文書と対訳データベースの原文文書のそれぞれの対応するタグ情報を同一の置換記号に置換して」とは同一概念でも下位概念でもない「更新されていると該更新された原文文書のタグ情報を置換順に前記置換記号に置換して」と記載している。
そうすると、本件補正は、本件補正前の請求項1に記載された発明を特定する事項である「更新されていると前記両原文文書のそれぞれの対応するタグ情報を同一の置換記号に置換して」を、同一概念でも下位概念でもない「更新されていると該更新された原文文書のタグ情報を置換順に前記置換記号に置換して」に変更するものであり、特許法第17条の2第2項に掲げる特許請求の範囲の減縮を目的とするものとはいえない。
また、平成19年2月1日付け拒絶理由通知(最後)に係る拒絶の理由は、要するに「平成19年1月15日付けでした手続補正は、願書に最初に添付した明細書又は図面に記載した事項の範囲内においてしたものでないから、特許法第17条の2第3項に規定する要件を満たしていない。」というものであり、本件補正前の請求項1に記載された発明を特定する事項である「更新されていると前記両原文文書のそれぞれの対応するタグ情報を同一の置換記号に置換して」が明りょうでない記載であるとするものではないから、本件補正前の請求項1に記載された発明を特定する事項である「更新されていると前記両原文文書のそれぞれの対応するタグ情報を同一の置換記号に置換して」を、「更新されていると該更新された原文文書のタグ情報を置換順に前記置換記号に置換して」に変更する本件補正は、特許法第17条の2第4項第4号に掲げる明りょうでない記載の釈明(拒絶理由通知に係る拒絶の理由に示す事項についてするものに限る。)を目的とするものとはいえない。
そして、本件補正前の請求項1に記載された発明を特定する事項である「更新されていると前記両原文文書のそれぞれの対応するタグ情報を同一の置換記号に置換して」を、「更新されていると該更新された原文文書のタグ情報を置換順に前記置換記号に置換して」に変更する本件補正が、特許法第17条の2第4項第1号に掲げる請求項の削除、同項第3号に掲げる誤記の訂正を目的とするものでないことは明らかである。
したがって、本件補正は、特許法第17条の2第4項各号に掲げる事項を目的とするものではない。

3 むすび
以上のとおり、本件補正は、特許法第17条の2第4項の規定に違反するので、同法第159条第1項で準用する同法第53条第1項の規定により却下すべきものである。

第3 平成19年1月15日付けの手続補正について
1 本願の明細書及び図面
平成19年4月9日付けの手続補正は上記のとおり却下されたので、本願の明細書及び図面は、平成19年1月15日付け手続補正書により補正された明細書及び図面である。

2 平成19年2月1日付け拒絶理由通知(最後)
平成19年2月1日付け拒絶理由通知(最後)に係る拒絶の理由の概要は、以下のとおりである。
『平成19年1月15日付けでした手続補正は、下記の点で願書に最初に添付した明細書又は図面に記載した事項の範囲内においてしたものでないから、特許法第17条の2第3項に規定する要件を満たしていない。

(途中省略)
請求項1について「更新されていると前記両原文文書のそれぞれの対応するタグ情報を同一の置換記号に置換して該両原文文書を照合し、」とする補正は、この出願の願書に最初に添付した明細書又は図面に記載した事項の範囲内においてしたものではなく、該補正を含む本件補正も、この出願の願書に最初に添付した明細書又は図面に記載した事項の範囲内においてしたものでない。』

3 当審の判断
平成19年1月15日付けの手続補正により補正された請求項1は、上記第2の1で摘記した本件補正前の【請求項1】のとおりであり、「更新されていると前記両原文文書のそれぞれの対応するタグ情報を同一の置換記号に置換して該両原文文書を照合し、」と記載している。そして、該記載中の「前記両原文文書」は、先行する「前記表示入力手段から前記要求を受けた前記文書格納手段の原文文書が前記対訳データベースの対応する原文文書に対し更新されているか否かを判定し、」の記載に照らして、「文書格納手段の原文文書と対訳データベースの原文文書」を意味すると認められる。
一方、この出願の願書に最初に添付した明細書又は図面(以下「当初明細書等」という。)には、文献検索表示システムに関し、「【請求項7】前記翻訳制御手段は、属性情報として原文文書のタグ情報を別のタグ情報に置き換えて原文文書及び訳文文書を対訳データベースに格納させ、原文文書の検索時、照合の結果、訳文文書が存在したときは、当該訳文文書中のタグ情報を原文文書と同じタグ情報に置き換えるタグ置換手段を備えて構成されたことを特徴とする請求項6に記載の翻訳機能付文書検索表示システム」(特許請求の範囲)、「【0106】対訳DBに訳文がないときは、翻訳して原文、訳文、原文ファイルの時刻を対訳DBにセットする(ステップ605,606)。」と記載し、「【0104】尚、タグ置換処理には、置換された状態で対訳DBを検索して訳文が見つかった場合には、その訳文中の置換されたタグを、翻訳したい原文に最初についていたタグに置き換えるという処理も含むものとする。」、「【0107】ステップ608では、訳文のタグを原文と同じものに変える(タグの逆置換)。対訳DBに訳文が見つかったときは、タグが再度、図13(1)に示す更新された原文のタグに置き換えられる。」と記載しており、【図12】をみると、タグ情報が置換記号に置き換えられた原文及び訳文及び時刻が1つのまとまりとして記載されている。
上記の記載から、当初明細書等に記載されたシステムは、対訳データベースにタグ情報が置換記号に置き換えられた原文文書及び訳文文書を格納していると認められる。
さらに、当初明細書等には、文献検索表示システムに関し、「【0101】ステップ603では、原文ファイルの一文に対してタグ置換処理を行い、タグを抽象化する。ここで、タグ置換処理とは、文内に含まれたタグを別のタグに置き換えて保持することである。【0102】図11は、具体例2のタグ置換処理の動作(1)の説明図である。また、図11(1)は、タグを付ける前の文の一例に示す説明図であり、文内タグを含むと図11(2)に示すようになる。【0103】この図に示すように、文内には、タグ<a color=”green” href=”troop.html”>,</a>,<a color=”blue” href=”ww2.html”>,</a>を含んでいる。これらのタグに対し、タグを抽象化し、別のタグにタグ置換処理を行うことにより、図11(3)に示すようになる。」、「【0105】この図13(3)の文と対訳DBに格納されているファイルとを照合する。…しかし、具体例2では、図13(2)に示すようにタグ置換を行ってから対訳DBを検索する。」と記載している。なお、該【0105】の「この図13(3)の文と対訳DBに格納されているファイルとを照合する。」の文中の「この図13(3)」は、先行して「図13(3)」を記載しておらず、【図13】(3)には対訳DBの訳文に対してタグを置き換えた結果が記載されており、上記の【0105】の文は技術的に意義不明であり、一方で、先行して「図11(3)」を記載しており、【図11】(3)には原文ファイルの一文である原文のタグを抽象化して別のタグに置き換えた結果が記載されており、「図13(3)」を「図11(3)」に換えて読むと、上記の【0105】の文は技術的に整合することから、「この図11(3)」の誤記と認められる。
上記の記載から、当初明細書等に記載されたシステムは、文書格納手段に格納された原文文書のタグ情報を置換記号に置き換えて、該タグ情報を置換記号に置き換えた原文文書と対訳データベースに格納されている原文文書とを照合していると認められる。
以上のとおり、当初明細書等は、文献検索表示システムとして、対訳データベースにタグ情報が置換記号に置き換えられた原文文書及び訳文文書を格納し、文書格納手段に格納された原文文書のタグ情報を置換記号に置き換えて、該タグ情報を置換記号に置き換えた原文文書と対訳データベースに格納されている原文文書とを照合するシステムを記載しており、「更新されていると前記両原文文書(文書格納手段の原文文書と対訳データベースの原文文書)のそれぞれの対応するタグ情報を同一の置換記号に置換して該両原文文書を照合」することは記載していない。
さらに、当初明細書等の上記摘記箇所以外の箇所を含めた全体をみても、「更新されていると前記両原文文書(文書格納手段の原文文書と対訳データベースの原文文書)のそれぞれの対応するタグ情報を同一の置換記号に置換して該両原文文書を照合」することは記載しておらず、自明のことでもない。
したがって、平成19年1月15日付けの手続補正により補正された請求項1の「更新されていると前記両原文文書のそれぞれの対応するタグ情報を同一の置換記号に置換して該両原文文書を照合し」は、当初明細書等に記載しておらず、自明のことでもないので、該手続補正は、当初明細書等に記載した事項の範囲内においてしたものではない。

4 むすび
以上のとおり、本願は、平成19年1月15日付けの手続補正が特許法第17条の2第3項に規定する要件を満たしていないので、拒絶すべきものである。
よって、結論のとおり審決する。
 
審理終結日 2007-05-10 
結審通知日 2007-05-15 
審決日 2007-05-30 
出願番号 特願平11-350905
審決分類 P 1 8・ 574- WZ (G06F)
P 1 8・ 55- WZ (G06F)
P 1 8・ 572- WZ (G06F)
最終処分 不成立  
前審関与審査官 和田 財太  
特許庁審判長 小林 信雄
特許庁審判官 山本 穂積
田川 泰宏
発明の名称 翻訳機能付文書検索表示システム  
代理人 佐藤 幸男  

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