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審決分類 |
審判 査定不服 2項進歩性 特許、登録しない。 C07D |
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管理番号 | 1161775 |
審判番号 | 不服2003-4585 |
総通号数 | 93 |
発行国 | 日本国特許庁(JP) |
公報種別 | 特許審決公報 |
発行日 | 2007-09-28 |
種別 | 拒絶査定不服の審決 |
審判請求日 | 2003-03-20 |
確定日 | 2007-08-17 |
事件の表示 | 平成11年特許願第507368号「タキキニン受容体拮抗薬2-(R)-(1-(R)-(3,5-ビス(トリフルオロメチル)フェニル)エトキシ)-3-(S)-(4-フルオロ)フェニル-4-(3-(5-オキソ-1H,4H-1,2,4-トリアゾロ)メチルモルホリンの多形結晶」拒絶査定不服審判事件〔平成11年 1月14日国際公開、WO99/01444、平成12年10月10日国内公表、特表2000-513383〕について、次のとおり審決する。 |
結論 | 本件審判の請求は、成り立たない。 |
理由 |
1 手続の経緯・本願発明 本願は,平成10年7月1日(パリ条約による優先権主張 平成9年7月2日,米国,平成10年1月7日,イギリス)を国際出願日とする出願であって,その請求項に係る発明は,特許請求の範囲の請求項1?21に記載された事項により特定されるものと認められるところ,請求項1に係る発明は以下のとおりである。 「化合物2-(R)-(1-(R)-(3,5-ビス(トリフルオロメチル)フェニル)エトキシ)-3-(S)-(4-フルオロ)フェニル-4-(3-(5-オキソ-1H,4H-1,2,4-トリアゾロ)メチルモルホリンの多形結晶であって,12.0,15.3,16.6,17.0,17.6,19.4,20.0,21.9,23.6,23.8及び24.8゜(2シータ)に主要な反射を有するX線粉末回折パターンを特徴とする,I形と称される多形結晶。」(以下「本願発明」という。) 2 引用例 これに対して,原査定の拒絶の理由に引用された本願優先日前の平成7年9月8日に頒布された刊行物である国際公開第95/23798号パンフレット(以下,「引用例」という。)には,次の事項が記載されている。 (a)「実施例70 2-(R)-(1-(R)-(3,5-ビス(トリフルオロメチル)フェニル)エトキシ)-3-(S)-(4-フルオロ)フェニル-4-(3-(5-オキソ-1H,4H-1,2,4-トリアゾロ)メチルモルホリン 工程A:・・・・工程B:・・・。温メタノール(木炭脱色)からの結晶化および水研磨により精製生成物を得ることができる。マススペクトル(FAB):・・・ 1H NMR(CDCl3,400MHz,ppm:・・・ C23H22F6N4O3についての分析計算値:・・・実測値:・・・」(175頁5行-176頁15行) (b)「実施例58 工程D‘ (,メチル(S)-(4-フルオロフェニル)グリシネート(+)DBT塩,メチル(S)-(4-フルオロフェニル)グリシネート(-)DBT塩)を7:1v/vエタノール/水から室温で結晶化させて得る工程が記載されている)」(161頁26行,166頁4行-22行) (c)「実施例83 工程B (2-(S)-(1-(R)-(3,5-ビス(トリフルオロメチル)フェニル)エトキシ)-3-(S)-(4-フルオロ)フェニル-4-(4-(2-オキソ-1,3-イミダゾロ)メチルモルホリンを酢酸/メタノールから室温で再結晶化させて得る工程が記載されている)」(184頁9行,同頁19行-185頁2行) (d)「実施例93 (2-(R)-(1-(R)-(2,5-ビス(トリフルオロメチル)フェニル)エトキシ)-3-(S)-(4-フルオロ)フェニル-4-(4-(2-オキソ-1,3-イミダゾロ)メチルモルホリンを水性エタノールから再結晶化させて得る工程が記載されている)」(218頁5行-12行) 3 対比 引用例の(a)には,「2-(R)-(1-(R)-(3,5-ビス(トリフルオロメチル)フェニル)エトキシ)-3-(S)-(4-フルオロ)フェニル-4-(3-(5-オキソ-1H,4H-1,2,4-トリアゾロ)メチルモルホリンの結晶」が記載されている。(以下,「引用発明」という。) 本願発明と引用発明とを対比すると,両者の一致点及び相違点は,次のとおりである。 <一致点> 「2-(R)-(1-(R)-(3,5-ビス(トリフルオロメチル)フェニル)エトキシ)-3-(S)-(4-フルオロ)フェニル-4-(3-(5-オキソ-1H,4H-1,2,4-トリアゾロ)メチルモルホリンの結晶」 <相違点> 本願発明は「多形結晶であって,12.0,15.3,16.6,17.0,17.6,19.4,20.0,21.9,23.6,23.8及び24.8゜(2シータ)に主要な反射を有するX線粉末回折パターンを特徴とする,I形と称される多形結晶」の発明であるのに対し,引用発明には,多形結晶について特定されていない点で相違する。 4 当審の判断 上記相違点について検討する。 本願優先日前において,一般に,多くの有機化合物において,再結晶の溶媒の種類,pH,再結晶時の温度,圧力の違いにより結晶多形が存在することは周知であり,医薬として或いは医薬化合物の製造の上でより好ましい安定性や溶解度等の物性を有する多形結晶を得ることを目的として,再結晶の諸条件を変えてみることは当業者が当然に試みる周知の事項となっていた。 してみれば,当業者であれば,引用発明の「2-(R)-(1-(R)-(3,5-ビス(トリフルオロメチル)フェニル)エトキシ)-3-(S)-(4-フルオロ)フェニル-4-(3-(5-オキソ-1H,4H-1,2,4-トリアゾロ)メチルモルホリンの結晶」についても,より好ましい多形結晶を得ることを目的として,溶媒等の条件を変えて再結晶してみることは当然に試みることである。 そして,引用例の(a)に記載されている,引用発明である2-(R)-(1-(R)-(3,5-ビス(トリフルオロメチル)フェニル)エトキシ)-3-(S)-(4-フルオロ)フェニル-4-(3-(5-オキソ-1H,4H-1,2,4-トリアゾロ)メチルモルホリンの結晶化工程で溶媒として用いられている温メタノール(木炭脱色)や,引用例の(b),(c),(d)に記載の,化合物は違うが結晶化のために溶媒として使われている7:1v/vエタノール/水,酢酸/メタノール,水性エタノールといった溶媒,その類似する酢酸イソプロピル,エタノール,2-プロパノール,水,メタノール/水混合物といった溶媒,あるいはその他の通常,結晶化工程で使われる溶媒を用い,通常の再結晶化条件で再結晶化を試みることは,当業者が,まず行うことである。 一方,「化合物2-(R)-(1-(R)-(3,5-ビス(トリフルオロメチル)フェニル)エトキシ)-3-(S)-(4-フルオロ)フェニル-4-(3-(5-オキソ-1H,4H-1,2,4-トリアゾロ)メチルモルホリンのI形と称される多形結晶」は,本願明細書の実施例21によれば,再結晶化工程に通常用いられる酢酸イソプロピル,エタノール,2-プロパノール,水,メタノール/水混合物,あるいはアセトニトリルといったいずれの溶媒を用いた場合にも,25℃という,いわゆる室温近辺の温度で,特別な再結晶化条件を採用することなく得られている。 すなわち,本願発明の「I形と称される多形結晶」は,引用発明の結晶を,特別な再結晶化条件を採用することなく,通常の再結晶化条件で再結晶化を行えば,過度の実験を行うことなく得られるものであり,「I形と称される多形結晶」を得ることは,当業者が,容易に想到し得ることである。また,得られた多形結晶を特定するのにX線粉末回折パターンを用いることは常套手段である。 そして,「I形と称される多形結晶」と,公知であった「II形と称される多形結晶」の,0℃における2/1(v/v)メタノール/水に対する溶解度の比率1.4は,当業者の予測を超えるものではない。 5.むすび したがって,本願発明は,その出願前に頒布された刊行物である引用例に記載された発明に基づいて,当業者が容易に発明をすることができたものであるから,特許法29条2項の規定により特許を受けることができない。 よって,結論のとおり審決する。 |
審理終結日 | 2006-01-13 |
結審通知日 | 2006-01-17 |
審決日 | 2006-02-01 |
出願番号 | 特願平11-507368 |
審決分類 |
P
1
8・
121-
Z
(C07D)
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最終処分 | 不成立 |
前審関与審査官 | 内田 淳子、新留 素子 |
特許庁審判長 |
塚中 哲雄 |
特許庁審判官 |
横尾 俊一 吉住 和之 |
発明の名称 | タキキニン受容体拮抗薬2-(R)-(1-(R)-(3,5-ビス(トリフルオロメチル)フェニル)エトキシ)-3-(S)-(4-フルオロ)フェニル-4-(3-(5-オキソ-1H,4H-1,2,4-トリアゾロ)メチルモルホリンの多形結晶 |
代理人 | 大崎 勝真 |
代理人 | 小野 誠 |
代理人 | 井上 満 |
代理人 | 川口 義雄 |
代理人 | 一入 章夫 |