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審決分類 審判 査定不服 特17条の2、3項新規事項追加の補正 特許、登録しない。 G03F
審判 査定不服 4項4号特許請求の範囲における明りょうでない記載の釈明 特許、登録しない。 G03F
審判 査定不服 4号2号請求項の限定的減縮 特許、登録しない。 G03F
審判 査定不服 4項1号請求項の削除 特許、登録しない。 G03F
審判 査定不服 2項進歩性 特許、登録しない。 G03F
審判 査定不服 4項3号特許請求の範囲における誤記の訂正 特許、登録しない。 G03F
管理番号 1162151
審判番号 不服2005-24120  
総通号数 93 
発行国 日本国特許庁(JP) 
公報種別 特許審決公報 
発行日 2007-09-28 
種別 拒絶査定不服の審決 
審判請求日 2005-12-15 
確定日 2007-08-09 
事件の表示 平成9年特許願第128956号「印刷物のページ割付方法」拒絶査定不服審判事件〔平成10年12月4日出願公開、特開平10-319567〕について、次のとおり審決する。 
結論 本件審判の請求は、成り立たない。 
理由 第1 手続の経緯
本願は、平成9年5月19日に出願された特願平9-128956号の出願に係り、原審における平成17年3月8日付の拒絶理由通知に対し、平成17年5月16日付の意見書とともに同日付の明細書を補正する手続補正書が提出され、前記拒絶理由により平成17年11月8日付で拒絶査定され、その後、前記拒絶査定を不服として、平成17年12月15日に拒絶査定不服審判が請求され、その請求の日から30日以内の平成18年1月13日付の明細書を補正する手続補正書が提出されたものである。

第2 平成18年1月13日付の手続補正についての補正の却下の決定

[補正の却下の決定の結論]
平成18年1月13日付の手続補正を却下する。

[理由]
1 補正の内容
平成18年1月13日付の手続補正(以下、この補正を「本件補正」という。)は、平成17年5月16日付の手続補正により補正された特許請求の範囲についての
「【請求項1】 製本する際に複数回折られる印刷物を、折られていない状態で画面上に表示させ、折られていない状態における表裏面の各ページにページ番号をコンピュータ処理により割り付ける際に、
折られていない状態での表裏面のいずれか一面の縦方向×横方向のページ数に対応する升目数を指定する第1過程と、
前記表裏面のいずれか一面中の、所望の升目を第1ページに指定することで、第1ページを決定するとともに、その第1ページの裏の升目のページを第2ページに決定する第2過程と、
第3ページを、第1回目の折りにより前記第2ページと対面可能な升目中の所望の升目に指定することで、この第3ページの裏の升目のページを第4ページに決定する第3過程と、
第5ページを、第2回目の折りにより前記第4ページと対面可能な升目中の所望の升目に指定することで、この第5ページの裏の升目のページを第6ページに決定する第4過程とを有し、
前記第3過程では、前記折られていない状態で画面に表示されている印刷物中、前記第2ページと対面可能な升目をポインチングデバイスで選択可能に表示し、
前記第4過程では、前記折られていない状態で画面に表示されている印刷物中、前記第4ページと対面可能な升目をポインチングデバイスで選択可能に表示する
ことを特徴とする印刷物のページ割付方法。
【請求項2】 製本する際に複数回折られる印刷物を、折られていない状態で画面上に表示させ、折られていない状態における表裏面の各ページにページ番号をコンピュータ処理により割り付ける際に、
折られていない状態での表裏面のいずれか一面の縦方向×横方向のページ数に対応する升目数を指定する第1過程と、
前記表裏面のいずれか一面中の、所望の升目を第1ページに指定することで、第1ページを決定するとともに、その第1ページの裏の升目のページを第2ページに決定する第2過程と、
第4ページを、第1回目の折りにより前記第1ページと前記第4ページとが前記第2ページを挟んで対向可能な升目中の所望の升目に指定することで、この第4ページの裏の升目のページを第3ページに決定する第3過程と、
第5ページを、第2回目の折りにより前記第4ページと対面可能な升目中の所望の升目に指定することで、この第5ページの裏の升目のページを第6ページに決定する第4過程とを有し、
前記第3過程では、前記折られていない状態で画面に表示されている印刷物中、前記第1ページと前記第4ページとが前記第2ページを挟んで対向可能な升目をポインチングデバイスで選択可能に表示し、
前記第4過程では、前記折られていない状態で画面に表示されている印刷物中、前記第4ページと対面可能な升目をポインチングデバイスで選択可能に表示する
ことを特徴とする印刷物のページ割付方法。
【請求項3】 製本する際に複数回折られる印刷物を、折られていない状態で画面上に表示させ、折られていない状態における表裏面の各ページにページ番号をコンピュータ処理により割り付ける際に、
折られていない状態での表裏面のいずれか一面の縦方向×横方向のページ数に対応する升目数を指定する第1過程と、
前記表裏面のいずれか一面中の、所望の升目を第1ページに指定することで、第1ページを決定するとともに、その第1ページの裏の升目のページを第2ページに決定する第2過程と、
第3ページを、第1回目の折りにより前記第2ページと対面可能な升目中の所望の升目に指定することで、この第3ページの裏の升目のページを第4ページに決定する第3過程と、
第6ページを、第2回目の折りにより前記第4ページを挟んで対向する升目中の所望の升目に指定することで、この第6ページの裏の升目のページを第5ページに決定する第4過程とを有し、
前記第3過程では、前記折られていない状態で画面に表示されている印刷物中、前記第2ページと対面可能な升目をポインチングデバイスで選択可能に表示し、
前記第4過程では、前記折られていない状態で画面に表示されている印刷物中、前記第4ページを挟んで対向する升目をポインチングデバイスで選択可能に表示する
ことを特徴とする印刷物のページ割付方法。
【請求項4】 製本する際に複数回折られる印刷物を、折られていない状態で画面上に表示させ、折られていない状態における表裏面の各ページにページ番号をコンピュータ処理により割り付ける際に、
折られていない状態での表裏面のいずれか一面の縦方向×横方向のページ数に対応する升目数を指定する第1過程と、
前記表裏面のいずれか一面中の、所望の升目を第1ページに指定することで、第1ページを決定するとともに、その第1ページの裏の升目のページを第2ページに決定する第2過程と、
第4ページを、第1回目の折りにより前記第1ページと前記第4ページとが前記第2ページを挟んで対向可能な升目中の所望の升目に指定することで、この第4ページの裏の升目のページを第3ページに決定する第3過程と、
第6ページを、第2回目の折りにより前記第4ページを挟んで対向する升目中の所望の升目に指定することで、この第6ページの裏の升目のページを第5ページに決定する第4過程とを有し、
前記第3過程では、前記折られていない状態で画面に表示されている印刷物中、前記第1ページと前記第4ページとが前記第2ページを挟んで対向可能な升目をポインチングデバイスで選択可能に表示し、
前記第4過程では、前記折られていない状態で画面に表示されている印刷物中、前記第4ページを挟んで対向する升目をポインチングデバイスで選択可能に表示する
ことを特徴とする印刷物のページ割付方法。
【請求項5】 請求項1?4のいずれか1項に記載の方法において、
前記2回の折りに基づき、前記第6ページに対面する升目を第7ページに決定し、この第7ページの裏の升目を第8ページに決定する第5の過程とを含む
ことを特徴とする印刷物のページ割付方法。
【請求項6】 請求項5記載の方法において、
第9ページを、第3回目の折りにより前記第8ページと対面可能な升目中の所望の升目に指定することで、この第9ページの裏の升目のページを第10ページに決定する第6過程とを含み、
この第6過程では、前記折られていない状態で画面に表示されている印刷物中、前記第8ページと対面可能な升目をポインチングデバイスで選択可能に表示する
ことを特徴とする印刷物のページ割付方法。」
の記載を、
「【請求項1】 製本する際に複数回折られる印刷物を、折られていない状態で画面上に表示させ、折られていない状態における表裏面の各ページにページ番号をコンピュータ処理により割り付ける際に、
折られていない状態での表裏面のいずれか一面の縦方向×横方向のページ数に対応する升目数を指定する第1過程と、
前記表裏面のいずれか一面中の、所望の升目を第1ページに指定することで、第1ページを決定するとともに、その第1ページの裏の升目のページを第2ページに決定する第2過程と、
第3ページを、第1回目の折りにより前記第2ページと対面可能な升目中の所望の升目に指定することで、この第3ページの裏の升目のページを第4ページに決定する第3過程と、
第5ページを、第2回目の折りにより前記第4ページと対面可能な升目中の所望の升目に指定することで、この第5ページの裏の升目のページを第6ページに決定する第4過程とを有し、
前記第3過程では、前記折られていない状態で画面に表示されている印刷物中、前記第2ページと対面可能な全ての升目を選択可能に強調して表示し、
前記第4過程では、前記折られていない状態で画面に表示されている印刷物中、前記第4ページと対面可能な全ての升目を選択可能に強調して表示する
ことを特徴とする印刷物のページ割付方法。
【請求項2】 製本する際に複数回折られる印刷物を、折られていない状態で画面上に表示させ、折られていない状態における表裏面の各ページにページ番号をコンピュータ処理により割り付ける際に、
折られていない状態での表裏面のいずれか一面の縦方向×横方向のページ数に対応する升目数を指定する第1過程と、
前記表裏面のいずれか一面中の、所望の升目を第1ページに指定することで、第1ページを決定するとともに、その第1ページの裏の升目のページを第2ページに決定する第2過程と、
第4ページを、第1回目の折りにより前記第1ページと前記第4ページとが前記第2ページを挟んで対向可能な升目中の所望の升目に指定することで、この第4ページの裏の升目のページを第3ページに決定する第3過程と、
第5ページを、第2回目の折りにより前記第4ページと対面可能な升目中の所望の升目に指定することで、この第5ページの裏の升目のページを第6ページに決定する第4過程とを有し、
前記第3過程では、前記折られていない状態で画面に表示されている印刷物中、前記第1ページと前記第4ページとが前記第2ページを挟んで対向可能な全ての升目を選択可能に強調して表示し、
前記第4過程では、前記折られていない状態で画面に表示されている印刷物中、前記第4ページと対面可能な全ての升目を選択可能に強調して表示する
ことを特徴とする印刷物のページ割付方法。
【請求項3】 製本する際に複数回折られる印刷物を、折られていない状態で画面上に表示させ、折られていない状態における表裏面の各ページにページ番号をコンピュータ処理により割り付ける際に、
折られていない状態での表裏面のいずれか一面の縦方向×横方向のページ数に対応する升目数を指定する第1過程と、
前記表裏面のいずれか一面中の、所望の升目を第1ページに指定することで、第1ページを決定するとともに、その第1ページの裏の升目のページを第2ページに決定する第2過程と、
第3ページを、第1回目の折りにより前記第2ページと対面可能な升目中の所望の升目に指定することで、この第3ページの裏の升目のページを第4ページに決定する第3過程と、
第6ページを、第2回目の折りにより前記第4ページを挟んで対向する升目中の所望の升目に指定することで、この第6ページの裏の升目のページを第5ページに決定する第4過程とを有し、
前記第3過程では、前記折られていない状態で画面に表示されている印刷物中、前記第2ページと対面可能な全ての升目を選択可能に強調して表示し、
前記第4過程では、前記折られていない状態で画面に表示されている印刷物中、前記第4ページを挟んで対向する全ての升目を選択可能に強調して表示する
ことを特徴とする印刷物のページ割付方法。
【請求項4】 製本する際に複数回折られる印刷物を、折られていない状態で画面上に表示させ、折られていない状態における表裏面の各ページにページ番号をコンピュータ処理により割り付ける際に、
折られていない状態での表裏面のいずれか一面の縦方向×横方向のページ数に対応する升目数を指定する第1過程と、
前記表裏面のいずれか一面中の、所望の升目を第1ページに指定することで、第1ページを決定するとともに、その第1ページの裏の升目のページを第2ページに決定する第2過程と、
第4ページを、第1回目の折りにより前記第1ページと前記第4ページとが前記第2ページを挟んで対向可能な升目中の所望の升目に指定することで、この第4ページの裏の升目のページを第3ページに決定する第3過程と、
第6ページを、第2回目の折りにより前記第4ページを挟んで対向する升目中の所望の升目に指定することで、この第6ページの裏の升目のページを第5ページに決定する第4過程とを有し、
前記第3過程では、前記折られていない状態で画面に表示されている印刷物中、前記第1ページと前記第4ページとが前記第2ページを挟んで対向可能な全ての升目を選択可能に強調して表示し、
前記第4過程では、前記折られていない状態で画面に表示されている印刷物中、前記第4ページを挟んで対向する全ての升目を選択可能に強調して表示する
ことを特徴とする印刷物のページ割付方法。
【請求項5】 請求項1?4のいずれか1項に記載の方法において、
前記2回の折りに基づき、前記第6ページに対面する升目を第7ページに決定し、この第7ページの裏の升目を第8ページに決定する第5の過程とを含む
ことを特徴とする印刷物のページ割付方法。
【請求項6】 請求項5記載の方法において、
第9ページを、第3回目の折りにより前記第8ページと対面可能な升目中の所望の升目に指定することで、この第9ページの裏の升目のページを第10ページに決定する第6過程とを含み、
この第6過程では、前記折られていない状態で画面に表示されている印刷物中、前記第8ページと対面可能な全ての升目を選択可能に強調して表示する
ことを特徴とする印刷物のページ割付方法。」
と補正することを含むものである。

2 本件補正についての検討
(1) 補正の目的要件についての検討
まず、本件補正が特許法第17条の2第4項の規定に適合するか否か、すなわち、同法第17条の2第1項第4号の規定により、拒絶査定不服審判の請求の日から30日以内になされた特許請求の範囲についてする補正が、同法第17条の2第4項の第1号ないし第4号に規定する補正の目的に該当する補正であるか否かについて検討する。

ア 本件補正の内容
(ア) 本件補正により、本件補正前の請求項1(本件補正前の請求項1を「旧請求項1」といい、本件補正後の請求項1を「新請求項1」などということがある。以下同様。)、旧請求項2、旧請求項3、旧請求項4及び旧請求項6に記載されていた「升目」が、新請求項1、新請求項2、新請求項3、新請求項4及び新請求項6において、「全ての升目」に補正(以下、「補正a」という。)された。

(イ) 本件補正により、旧請求項1、旧請求項2、旧請求項3、旧請求項4及び旧請求項6に記載されていた「升目をポインチングデバイスで選択可能に」が、新請求項1、新請求項2、新請求項3、新請求項4及び新請求項6において、「升目を選択可能に」に補正(以下、「補正b」という。)された。

(ウ) 本件補正により、旧請求項1、旧請求項2、旧請求項3、旧請求項4及び旧請求項6に記載されていた「選択可能に表示」が、新請求項1、新請求項2、新請求項3、新請求項4及び新請求項6において、「選択可能に強調して表示」に補正(以下、「補正c」という。)された。

イ 本件補正について当審の判断
(ア) 本件補正のうちの上記「補正a」の補正は、本件補正前の「升目」を「全ての升目」に限定的に減縮するものであるから、特許法第17条の2第4項第2号の「特許請求の範囲の減縮」を目的とするものに該当する補正である。

(イ) 本件補正のうちの上記「補正c」の補正は、本件補正前の「選択可能に表示」を「選択可能に強調して表示」に一応限定的に減縮するものであるから、特許法第17条の2第4項第2号の「特許請求の範囲の減縮」を目的とするものに該当する補正である。

(ウ) しかしながら、本件補正のうちの上記「補正b」の補正は、本件補正前の「升目をポインチングデバイスで選択可能に」から「ポインチングデバイスで」を削除したものであるから、本件補正前の発明特定事項である「升目をポインチングデバイスで選択可能に」を限定的に減縮する目的でなされた補正であるということができない。
そしてまた、前記「補正b」の補正は、「請求項の削除」、「誤記の訂正」及び「明りようでない記載の釈明」を目的とする補正にも該当しないことが明らかである。
そうすると、前記「補正b」の補正は、同法第17条の2第4項第1号、第2号、第3号及び第4号に掲げるところの、
第1号:第三十6条第5項に規定する請求項の削除
第2号:特許請求の範囲の減縮(第三十6条第5項の規定により請求項に記載した発明を特定するために必要な事項を限定するものであって、その補正前の当該請求項に記載された発明とその補正後の当該請求項に記載される発明の産業上の利用分野及び解決しようとする課題が同一であるものに限る。)
第3号:誤記の訂正
第4号:明りようでない記載の釈明(拒絶理由通知に係る拒絶の理由に示す事項についてするものに限る。)
のいずれの目的にも該当しない補正である。

ウ まとめ
以上のとおり、本件補正は、特許法第17条の2第4項の第1号ないし第4号に規定する補正の目的のいずれにも該当しない補正を含むものである。

(2) 新規事項の追加禁止要件についての検討
つぎに、本件補正が特許法第17条の2第3項の規定に適合するか否か、すなわち、同法第17条の2第1項第4号の規定により、拒絶査定不服審判の請求の日から30日以内になされた特許請求の範囲についてする補正が、同法第17条の2第3項に規定する、いわゆる新規事項の追加の禁止要件に違背する補正であるか否かについても、検討する。

ア 本件補正の内容
上記「(1) 補正の目的要件についての検討」欄の「(ウ)」に前述したところの、本件補正の上記「補正c」の補正により、旧請求項1、旧請求項2、旧請求項3、旧請求項4及び旧請求項6に記載されていた「選択可能に表示」が、新請求項1、新請求項2、新請求項3、新請求項4及び新請求項6において、「選択可能に強調して表示」に補正された。

イ 本件補正について当審の判断
審判請求人は、その審判請求書の「(2)補正の根拠の明示」欄において、前記「補正c」の「選択可能に強調して表示」の補正は、新請求項1、新請求項2、新請求項3、新請求項4については、本願の願書に最初に添付した明細書の段落【0036】の記載及び図面【図6】の記載を根拠とし、また、新請求項6については、本願の願書に最初に添付した明細書の段落【0043】の記載及び図面【図11】の記載を根拠としている旨を主張する。
そこで、本願の願書に最初に添付した明細書及び図面(以下、「当初明細書等」という。)の記載を点検すると、前記段落【0036】には、「詳しく説明すると、第1回目の折りにより前記第2ページと対面可能な升目とは、折り機が右から左へ折ることを考慮すれば、図6に示すようにハッチングで示す部分が第2ページと対面可能な升目であり、このように表示しておくことで、オペーレータは、ハッチングされた4箇の升目中、いずれか1つの升目に第3ページを指定することができる。オペレータがハッチング以外の升目を指定した場合には、『折り方が不可能です。この升目には指定できません。』等の表示がなされる。」が記載されており、そして、段落【0043】には、「次に、第9ページまたは第10ページを指定する(ステップS10)。第9ページを指定する場合には、図11のハッチングの升目に示すように、第3回目の折りにより前記第8ページと対面可能な升目中の所望の升目に指定することで(図12)、折線L3が決定され、かつこの第9ページの裏の升目のページが第10ページに決定される。」が記載されている。
また、前記図面【図6】には、「表の第2ページと対面可能な升目について表記された4箇所のハッチングの表示」が図示されており、そして、前記図面【図11】には、「裏の第8ページと対面可能な升目について表記された2箇所のハッチングの表示」が図示されている。
このように、本願の当初明細書等には、表示手段としての「ハッチング」の記載が認められる。
しかしながら、前記段落【0036】及び段落【0043】、並びに、前記図面【図6】及び図面【図11】には、前記「補正c」の補正に係る「選択可能に強調して表示」における「強調して表示」の文言が記載されていないばかりでなく、本願の当初明細書等には、「選択可能に強調して表示」する表示手段としての「ハッチング」以外の他の表示手段の例示が記載されているということがない。
しかして、選択可能にする強調表示の技術手段としては、本願の当初明細書等に記載されている「ハッチング表示」の他にも、ハイライト表示、点滅表示、色彩表示、反転表示、太枠表示等の種々の強調して表示する技術手段が考えられるのであり、前記「選択可能に強調して表示」が、必ずしも本願の当初明細書等に記載されている「ハッチング表示」のみを指し示す意味で使用される文言とはいえない。
このように、前記「補正c」の補正における「選択可能に強調して表示」の技術事項は、前記した「ハイライト表示、点滅表示、色彩表示、反転表示、太枠表示等の種々の強調して表示する技術手段」をも包含する広い概念であり、そして、選択可能にする強調表示の技術手段としての前記「ハイライト表示、点滅表示、色彩表示、反転表示、太枠表示等の種々の強調して表示する技術手段」を含む「選択可能に強調して表示」する表示手段が、本願の明細書の記載において自明の事項であるとも認めることができない。
したがって、前記「補正c」の補正における「選択可能に強調して表示」は、本願の願書に最初に添付した明細書又は図面に記載した事項の範囲内でした補正であるということができない。

ウ まとめ
以上のとおり、本件補正は、特許法第17条の2第3項の規定により違背とされるところの、いわゆる新規事項を追加する補正を含むものである。

(3) むすび
以上のとおりであり、本件補正が特許法第17条の2第4項の規定に適合していない補正を含んでいるばかりでなく、本件補正が、同法第17条の2第3項の規定により違背とされているところの、いわゆる新規事項を追加する補正を含むものでもあるから、本件補正は、同法第159条第1項において読み替えて準用する同法第53条第1項の規定により、却下すべきものである。

第3 本願発明について
1 本願発明
上記「第2」欄に前述した理由により、平成18年1月13日付の手続補正が却下されたことにより、当審が審理すべき本願発明は、平成17年5月16日付の手続補正により補正された特許請求の範囲の請求項1ないし請求項6に記載された事項により特定されるとおりのものであるところ、その請求項1に係る発明は次のとおりのものである(上記「第2」の「1 補正の内容」欄を参照)。
「【請求項1】 製本する際に複数回折られる印刷物を、折られていない状態で画面上に表示させ、折られていない状態における表裏面の各ページにページ番号をコンピュータ処理により割り付ける際に、
折られていない状態での表裏面のいずれか一面の縦方向×横方向のページ数に対応する升目数を指定する第1過程と、
前記表裏面のいずれか一面中の、所望の升目を第1ページに指定することで、第1ページを決定するとともに、その第1ページの裏の升目のページを第2ページに決定する第2過程と、
第3ページを、第1回目の折りにより前記第2ページと対面可能な升目中の所望の升目に指定することで、この第3ページの裏の升目のページを第4ページに決定する第3過程と、
第5ページを、第2回目の折りにより前記第4ページと対面可能な升目中の所望の升目に指定することで、この第5ページの裏の升目のページを第6ページに決定する第4過程とを有し、
前記第3過程では、前記折られていない状態で画面に表示されている印刷物中、前記第2ページと対面可能な升目をポインチングデバイスで選択可能に表示し、
前記第4過程では、前記折られていない状態で画面に表示されている印刷物中、前記第4ページと対面可能な升目をポインチングデバイスで選択可能に表示する
ことを特徴とする印刷物のページ割付方法。」(以下、これを「本願発明1」という。)

2 引用刊行物及びその記載事項
(1)原審における拒絶査定の理由に引用された、本願の特許出願前に頒布された刊行物である特開平9-109356号公報(以下、「引用刊行物1」という。)には、「ページデータ面付装置および刷版作成装置」に関し、図面の記載とともに次の事項が記載されている。
「【0001】【発明の属する技術分野】 この発明は、刷版を作成する際の面付を行うページデータ面付装置および刷版作成装置に関するものであり、特に、印刷データから刷版を直接作成するのに好適である。」
「【0009】 本発明は上述した事情に鑑がみてなされたものであり、印刷データの面付を容易に行うことができるページデータ面付装置および刷版作成装置を提供することを主目的とする。」
「【0013】(作用) 請求項1に記載のこの発明にあっては、入力手段によって入力された面付指示データは、表示手段に表示されるから、オペレータは面付指示データを確認しつつ、面付指示を行うことができる。」
「【0015】【発明の実施の形態】 1.実施形態の構成
以下、図面を参照してこの発明の実施形態の構成について説明する。図1はこの発明の一実施形態のブロック図である。同図において、まず、1はページデータ面付装置であり、各刷版に露光するページ配置を調整した出力データDSを生成する。2はCEPS(Color Electronic prepress System)であり、ページデータDPを生成する。CEPS2は、コンピュータを中心とした画像処理装置であり、画像を取り込むカラースキャナを有する。上述のページデータDPは、印刷データをページ単位としたデータであって、刷版を作成するのに必要な解像度を有している。また、3はページデザインシステムであって、CEPS2と同様にページデータDPを生成する。このページデザインシステム3で生成されるページデータDPの言語としては、例えば、Post Script等のページ記述言語が用いられる。また、4は刷版出力機であり、出力データDSに基づいて、各版毎の刷版を作成する。
【0016】 次に、ページデータ面付装置1の構成について説明する。10は、CPUであり、ページデータ面付装置1全体の動作を制御する。11はキーボードであり、これにより、数字や文字等が入力される。12はマウスであり、これにより、操作指示が入力される。13はメモリ等で構成される主記憶装置であり、ページデータDPや各種の管理データ等を記憶する。14は、ハードデイスクであり、大量のページデータDP等を記憶する。15はモニタであり、ここに、面付指示やその指示を登録するための指示登録画面が表示される。また、指示登録画面中には、マウス12の指示対象となるGUIが表示される。
【0017】 2.実施形態の動作
以下、図面を参照してこの発明の実施形態の動作について説明する。図2は、この発明の一実施形態の動作を表すフローチャートである。まず、処理が開始されると、CEPS2またはページデザインシステム3からページデータDPがページデータ面付装置1に供給される。このページデータDPは、CPU10の制御の下、主記憶装置13またはハードデイスク14に一旦記憶される。
【0018】 ここで、CEPS2またはページデザインシステム3で生成されるページデータDPについて、図3を参照しつつ説明する。同図に示すように、ページデータDPは、各種データを組み合わせて構成される。1ページ中に各種データを配置する作業を集版と呼び、集版されたデータがページデータDPとなる。ページデータDPは、画像データGD、文字データMDおよび図形データZDから構成される。
【0019】 まず、画像データGDについて説明する。カタログのような印刷物を作成する場合には、そこに掲載される商品の写真と価格等を適宜配置する必要がある。このため、各種の商品に対応した複数の画像ファイルを予め用意しておく。そして、集版の過程では、所定の画像ファイルを読み出してこれを画像素材として使用することが行われる。また、一つの画像ファイルは一定の面積を有する画像素材から構成されるが、その一部を使用したい場合もあるので、画像素材に対して画像ウインドを施し、画像ウインドの内部にある画像素材を使用することもある。このため、画像データGDは、以下の情報を有する。すなわち、ファイルと特定するための画像ファイル名、画像ウインドの形状、画像ウインドのページ原点相対座標、画像配置のページ原点相対座標、および画像拡大率である。また、画像データGDは、カラー画像も対象とするため、イエロY、マゼンダM、シアンC、およびブラックK、または、赤R、緑Gおよび青Bで表され、各色について上記情報を有する。なお、この例におけるページ原点は、左下隅の「0」である。
【0020】 また、文字データMDは、文字色(YMCK値)、書体名およびページ原点相対座標等の情報で構成される。また、図形データZDは、形状、線種、線色(YMCK値)、線幅、端点処理方法、塗りつぶし方法、塗りつぶし色(YMCK値)およびページ原点相対座標等の情報で構成される。
【0021】 次に、図2に示すステップS2では、CPU10は、主記憶装置13またはハードデイスク14に格納されているページデータDPを読み出して、各色版に対応したページデータPDに分解する。以下の説明では、分解されたページデータPDを分版ページデータBPDと呼こととする。この例では、Y版、M版、C版およびK版に対応するため、4つの分版ページデータBPDが生成される。この処理について、図4を参照しつつ説明する。まず、画像データGDについては、YMCKで表される場合は、そのデータを用い、RGBで表される場合はYMCKに変換する。次に、文字データMDは、文字色で指定するYMCK値を用いて分解する。さらに、図形データはZDは、線色および塗りつぶし色で指定するYMCK値を用いて分解する。このようにして分解した各種データを、Y版、M版、C版およびK版毎にまとめ、同一ページについて4つの分版ページデータBPDを生成する。
【0022】 ステップS2が終了すると、図2に示すステップS3に進み、各色版について最終的な刷版サイズに合わせて、必要な分版ページデータBPDの面付配置を行う。具体的には、刷版上に、どのページを、どのような方向・位置で配置するかを指示する。
【0023】 この点について、図5を参照しつつ説明する。図5はモニタ15に表示される刷版面付指示/登録画面である。図において、100はイメージ表示部であり、所定の条件の下での刷版位置を表すシュミレーション画面[当審注:「シミュレーション画面」の誤記と認める。]を表示する。また、200は対象表示部であり、面付の対象となる色版やページ等を表示する。また、300は面付パターンリスト表示部であり、登録されている面付パターンを表示する。また、400は面付設定表示部であり、刷版サイズやページサイズ等を表示する。
【0024】 まず、オペレータがキーボード11やマウス12を操作して、刷版サイズ、すなわち、刷版の横幅Wと縦幅Hを入力すると、その入力値が設定表示部400中の表示枠421,422に表示される。次に、ページサイズ、すなわち、ページの横幅Wと縦幅Hを入力すると、その入力値が表示枠431,432に表示される。また、1枚の刷版に面付を行うページ数を入力すると、その入力値が表示枠440に表示される。この例のように、表示枠440に「4」と表示される場合は、1枚の刷版当たり4ページの面付が行なわれる。
【0025】 上記した入力がなされると、印刷イメージ表示部110に刷版位置を表すシュミレーション画面[当審注:「シミュレーション画面」の誤記と認める。]が表示される。すなわち、刷版110中に配置する各ページ部111?114が表示される。ここで、マウス12を操作して、表示枠212をクリックし、YMCK各色版の種別をキーボード11等を用いて入力すると、そこに入力された色版の種別が表示枠212に表示される。この例ではシアンC版を対象とする。
【0026】 次に、各ページ部111?114にどのページを配置するかを特定する。このため、対象となるページ部をマウス12で特定し、ページ番号をキーボード11を用いて入力すると、表示枠220に当該ページ番号が表示されると共にそのページ部にページ番号が表示される。その後、ページの配置方向を特定するため、対象となるページ部をマウス12で特定し、配置方向をキーボード11で入力すると、表示枠230に配置方向が表示される。この例では、ページ部112に第4ページを天地逆転で配置することとなる。なお、ページ部に表示されるページ番号は、そこに配置されるページの配置方向に応じて回転した数字で表される。
【0027】 その後、各ページ部111?114の刷版110中の配置位置を特定する。このため、対象となるページ部をマウス12で特定し、刷版原点を基準として当該ページ部の左下隅の座標値をキーボード11を用いて入力すると、X,Y座標値が表示枠241,242に表示される。尚、刷版原点は通常、刷版の左下隅となる。
【0028】 このようにして、面付指示が入力された後、ステップS31に進み、現在のページ面付指示を登録するか否かを選択する。登録する場合には、表示枠243または410をマウス12で特定し、面付パターン名称をキーボード11を用いて入力する。この後、マウス12で登録部450をクリックすると(ステップS4)、面付パターン名称と共に上記した面付指示を表す面付パターンデータが、主記憶装置13またはハードデイスク14に格納される。したがって、主記憶装置13またはハードデイスク14は面付パターンデータの記憶手段として機能する。また、パターンリスト表示部310には、当該面付パターン名称が新たに表示される。一方、登録を行わない場合は、特別な操作を行わない。」

そうしてみると、引用刊行物1の上記摘記事項及び図面の図示からみて、前記引用刊行物1には、次の発明(以下、これを「引用発明1」という。)の記載が認められる。
「刷版を作成する際の面付を行い、各刷版に露光するページ配置を調整した出力データDSを生成するページデータ面付装置1を使用して印刷データの面付を容易に行うことができるコンピュータを用いたページデータ面付方法であって、
前記ページデータ面付装置1は、ページデータ面付装置1全体の動作を制御するCPU10、数字や文字等を入力するキーボード11、操作指示を入力するマウス12、ページデータDPや各種の管理データ等を記憶するメモリ等で構成される主記憶装置13、大量のページデータDP等を記憶するハードデイスク14、面付指示やその指示を登録するための指示登録画面が表示されるモニタ15から構成され、
まず、処理が開始されると、CEPS2またはページデザインシステム3から画像データGD、文字データMDおよび図形データZDを組み合わせて構成されるページデータDPがページデータ面付装置1に供給(ステップS1)され、
次に、CPU10が、主記憶装置13またはハードデイスク14に格納されているページデータDPを読み出して、各色版に対応したページデータPDに分解(ステップS2)し、
ステップS2が終了すると、各色版について最終的な刷版サイズに合わせて、必要な分版ページデータBPDの面付配置を行い、刷版上に、どのページを、どのような方向・位置で配置するかの面付指示を、オペレータがキーボード11、マウス12の入力手段によって入力し、表示手段であるモニタ15に表示される面付指示データである印刷イメージ表示部110に刷版位置を表すシミュレーション画面をオペレータが確認しつつ面付をするに際し、まず、オペレータがキーボード11やマウス12を操作して、刷版の横幅Wと縦幅Hを入力し、次に、ページの横幅Wと縦幅Hを入力し、そして、1枚の刷版に面付を行うページ数を入力すると、印刷イメージ表示部110に刷版位置を表すシミュレーション画面である、刷版110中に配置する各ページ部111?114が表示され、次に、各ページ部111?114にどのページを配置するかを特定するため、対象となるページ部をマウス12で特定し、ページ番号をキーボード11を用いて入力すると、表示枠220に当該ページ番号が表示されると共にそのページ部にページ番号が表示され、その後、ページの配置方向を特定するため、対象となるページ部をマウス12で特定し、配置方向をキーボード11で入力すると、表示枠230に配置方向が表示されることにより、面付指示を行う(ステップS3)ようにした、コンピュータを用いたページデータ面付方法」

(2)原審における拒絶査定の理由に引用された、本願の特許出願前に頒布された刊行物である特開平4-136848号公報(以下、「引用刊行物2」という。)には、「レイアウトスキャナにおける自動面付装置」に関し、図面の記載とともに次の事項が記載されている。
「〔産業上の利用分野〕 本発明はレイアウトスキャナにおいて、管理データの読み込み,構築,検索及び更新に関するもので、管理データをもとにレイアウトされた画像データの自動面付を可能にするものである。」(1頁右欄7?11行)
「〔発明が解決しようとする課題〕 現在の製版の流れでは、実用版で実際に印刷する前に、校正機により校正刷を刷り、出版社等の得意先に校正してもらう必要がある。その際には2頁の見開き状態で製版及び校正刷を行う場合が多い。しかし、実際の印刷では1回の印刷で複数の頁(同じ頁が複数ある場合もある),複数の面を印刷できるように刷版を作製する。特に、頁物の場合には印刷して折った時に、頁が順番にならぶように、見開き2頁のものを半分に正確に断ち落として刷版上に配置し直さなければならない。(このように印刷して折り、本になったとき、正しい配列となるように頁を配置することを面付という)。本発明は、上記のように現在手作業で、もしくは複雑な手順を経てシステムで行われている作業に関して、自動的に面付を可能にする装置を提供することを課題とする。」(2頁左上欄4行?同頁右上欄2行)
「通常16頁の頁物は第7図に示すように、8通りの頁の見開きとなる。つまり、本を開いた時に見える姿がこの様になるわけですが、得意先へ校正刷を提出する際もこの頁の状態で行うのが通常である。この際、校正刷の為の製版は台紙(ネーム、罫線、写真当たり,等が施され頁のサイズ,体裁等が判る),画像とも2頁状態の材料を作成する。ところで、実際に本にする際の印刷は折の方向,種類によって変わってくるが、右綴じの場合は第3図の様に印刷する。つまり、校正刷の場合と実際の印刷の場合とでは、頁の隣合わせのパターンが異なる。」(2頁右下欄7?19行)
「面付の必要があれば、次に面付のメンバーを検索し、作業進行状況を確認し、レイアウト完了,下版時フラグが立っている場合に面付処理を行う。面付には、品目,月号,折り,頁と面付に必要な項目として、綴じの種類(中綴じ、平綴じ),折り数,面付数及び綴じ方向(右開きか左開きか)の各情報があり、中央処理装置7はこの情報を記憶装置2より読み込む。ここで折りは機械折りを前提としているので、第3図に示すように一定の決まりがある。まず、若い番号を左下にもってきて、右から左へ折る。次に時計回りに90°回転させ、同様に右から左へ折っていく。従って、上記の情報を管理し、面付手段をパターン化することにより、仮ノンブル(仮の頁)の自動認識が可能となる。第4図?第6図にその一例を示す。第4図は8頁面付の例で、綴じ方向の違いで左開きの場合はノンブルの位置が天合わせとなり右開きの場合は地合わせとなることを示している。第5図は中綴じ左開き24頁製本の例で、中綴じの場合は折り重ねて綴じる際に、若い折から順次各折を重ねて製本するために、必ず1折に1頁と最終の24頁がくる。また、第6図の平綴じ左開きの場合は中綴じと異なり、各折は若い折から順番にノンブルが進んでいく。このように面付手段をパターン化し、面付必要情報を一括管理することにより、仮ノンブルを決定することができる。仮ノンブルと同時に面付順も決まり、その面付順に従い、ディスクに格納されているレイアウト済画像データを中央処理装置にロードすることにより、面付レイアウトが完了する。その後、出力機8のスキャナに画像データが送られ出力される。」(3頁右上欄3行?同頁左下欄17行)
そして、引用刊行物2の、16頁右綴じの場合の刷本の折り方の説明図である第3図には、刷物9の裏面左下隅の頁を一番若い第1頁目とした場合に、当該刷物9が、第1回目の折り曲げ、第2回目の折り曲げ、第3回目の折り曲げによって得られる、第1頁から第16頁までの各頁11に付されるノンブル12が、若い折から順次各折を重ねて製本したときの正しい順番になっている図が示されている。

(3)原審における拒絶査定の理由に引用された、本願の特許出願前に頒布された刊行物である特開昭60-196760号公報(以下、「引用刊行物3」という。)には、「印刷用ページ配列検査方法及び装置」に関し、図面の記載とともに次の事項が記載されている。
「従来、本やカタログ等の印刷を行なう場合に複数ページ分の画像をー度に印刷することは広く一般に行なわれている。このような場合に複数ページ分を印刷された印刷物は折り機によって各ページが正しい順番となるように折られる。ところで印刷物が折り機によって折られた場合に各ページが正しい順番になるようにするためには印刷版上に形成される各ページの画像が予じめ決められた位置に配列されていることが必要である。
第1図?第3図は16ページ分を一度に印刷する場合に各ページの画像をどのように配列させればよいかの一例を説明するためのものである。なお、図中において各ページの画像の配列状態を示す数字が上下逆に表示されているページはその画像も上下逆に配列され、前記数字が上下正常に表示されているページはその画像も上下正常に配列されていることを示している。第1図は複数ページ分の画像(P1)、(P2)、(P3)…(P16)を2枚のシート状基材(20)(21)上に配列させた状態を示している。シート状基材(20)は表に印刷される分の各ページが配列されており、シート状基材(21)には裏に印刷される分の各ページが配列されている。簡単のため第1図においてシート状基材(20)(21)としては透明なプラスチックフィルムを用い、複数ページ分の面像(P1)?(P16)は透過型ポジ画像又はネガ画像を前記シート状基材(20)又は(21)に貼着したものの場合、すなわち印刷用面付フィルムの場合を例にとって説明を進めることにするがこれに限定されるものではなく、例えばシート状基材はオフセット印刷用PS版であり、画像(P1)?(P16)としては前記PS版に形成された画像であっても良い。
第1図(a)、(b)の如く各ページの画像が配列されている2枚の印刷用面付フィルムからそれぞれ2版の印刷版が作成され、該印刷版を用いて紙その他の被印刷体の表裏両面に印刷が行なわれる。第2図はオフセット方式で印刷された印刷物(22)を示しており、印刷物(22)中に付された数字はそれぞれの数字で示されるページを示し、カッコなしの数字は印刷物(22)の表に印刷されている各ぺージを示し、カッコを付けて示された数字はそれぞれの数字の配列されている位置の裏面に印刷されている各ページを示す。すなわち、第16、1、4、13、9、8、5、12頁はそれぞれ表に印刷されており、対応する数字によって示される位置に配列されている。また、第15、2、3、14、10、7、6、11頁はそれぞれ裏に印刷されており、対応する数字によって示される位置に配列されている。なお、ここでも各ページを示す数字が天地逆になっているところでは印刷画像も天地が逆になっていることを示す。
こうして得られた印刷物(22)は第1にA-A線に沿って折り曲げ、次にB-B線に沿って折り曲げ、最後にC-C線に沿って折り曲げることによって第3図に示す如く第1ページから第16ページまで各ページが正しい順番になっている折丁(23)が得られる。
以上の如くして得られた折丁は必要に応じて他の折丁と組み合わされてC-C線に沿って折り曲げた部分の辺を綴部として製本し、他の辺の端部を断裁することによって、各々のページを開いてみることができる。第4図(a)?(i)はこうして各ページを開いて見た場合に各ページがどのように見えるかを示している。
第4図から明らかなように、以上の如くして得られた本は左ページから読むようになっており、英語の本や横書きの日本語の本等に採用されるものである。
第4図の場合とは逆に縦書きの日本語の本の場合には右ページから読むようになっており、この場合には第5図(a)(b)に示すように各ページの画像を配列させておくことにより、印刷、折り、断裁の後は、第6図(a)?(i)に示す如く各ページを開いて見ることができる。
以上の説明から理解できるように、複数ページ分の画像(文字や絵柄等)を一度に印刷する場合には面付フィルム又は面付印刷版(第1図、第5図参照のこと)を作成する段階において各ページの画像が所定の位置に正しく配列されているかどうかを検査する必要がある。しかしながらこの検査はかなり複雑な要素を含んでいる。すなわち、各ページの画像をシート状基材のどの位置に配列させるかは、(イ)何ページ分を一度に印刷するのか、(ロ)右から読む本であるのか又は左から読む本であるのか、(ハ)どのような折り方を採用するのか、等によって異なってくるものである。
従ってシート状基材に各ページの画像を配列させた状態から折り作業後の折丁が正しいページ順になるかどうかということを想像することは非常に困難である。このため、各ページの画像を誤った位置に配列させてしまってもその誤りを発見し難く、誤った配列のままで印刷版の作製、印刷、製本を行なってしまうこともある。従ってこのような場合にはその分の材料が全てムダとなるのみならず、時間的なムダも膨大なものとなる。」(1頁右欄13行?3頁左上欄6行)
「以上本発明については、16ぺージ折について主として説明してきたが、32ページ折やその他のページ数のものについても適用することができる。更に折り方に関しても既に説明した以外にも種々の折り方が考えられるが、本発明はそれぞれの折り方についても適用できるものであることは当然である。」(5頁右下欄13?19行)
そして、引用刊行物3の第2図の印刷物(22)を折った折丁(23)の説明図である第3図には、印刷物(22)の表面下段の左から2番目の頁を一番若い第1ページ目とした場合に、当該印刷物(22)が、A-A線に沿う第1回目の折り曲げ、B-B線に沿う第2回目の折り曲げ、C-C線に沿う第3回目の折り曲げによって得られる、第1ページから第16ページまでの各ページが、印刷、折り、断裁の後に、第4図(a)?(i)に示す如く各ページを開いて見ることができる正しい順番になっている折丁(23)が図示されている。

(4)原審における拒絶査定の理由に引用された、本願の特許出願前に頒布された刊行物である特開平6-243066号公報(以下、「周知技術文献1」という。)には、次の事項が記載されている。
「【0001】【産業上の利用分野】 本発明は、ネットワーク上の他のノードまたは自ノードの通信部を管理する管理部と、前記管理部の管理内容を表示画面上に表示する表示部とを備え、グラフィック・ユーザ・インターフェースを改善したノード管理装置に関する。」
「【0004】 ここで、表示画面上に新たに表示されたメニューを選択したり、あるいは、別の新たなウィンドウを開いて選択指示するグラフィック・ユーザ・インターフェースを採用する場合、管理者は、煩雑な操作手続きを繰り返す必要がある。
【0005】 また、この煩雑な操作手続きの繰り返しをなくすため、資源ごとに可能な管理機能を全て表示し、あるいは管理機能ごとに可能な資源を全て表示するグラフィック・ユーザ・インターフェースを採用した場合、表示部の表示画面が煩雑になる。
【0006】 特に、通信部の構成が複雑であり、しかも管理機能が豊富である場合、煩雑な選択指示の操作手続きをする必要があり、あるいは表示画面が煩雑になるという問題がある。
【0007】 しかも、資源、機能の他にさらに複数の実行処理コマンドとの組み合わせがある場合のように、さらに考えられる様々な組み合わせの管理処理の中から適切な管理処理を指示し、実行するまでの手続きはさらに煩雑になる。
【0008】 すなわち、様々な組み合わせの管理処理の中から、いかに可能な組み合わせを少ない表示画面領域を用いて管理者に情報を与え、管理者が行う管理処理を簡単かつ迅速な操作で選択指示することは困難であった。」
「【0013】 そこで、本発明は、かかる問題点を除去し、少ない表示画面領域で管理処理を迅速かつ容易に選択指示することができるグラフィック・ユーザ・インターフェースを有するノード管理装置を提供することを目的とする。」
「【0016】【作用】 本発明は、管理者が、ネットワーク上の他のノードまたは自ノードの通信部を管理する管理部の管理内容を表示画面上に表示する表示部を参照して、該通信部に対する管理処理を選択指示する際、表示制御手段が、前記表示部の表示画面上に前記通信部の複数の構成要素に対応して被管理構成要素を選択する第1のボタン群と、前記各構成要素で共有可能なカテゴリーで表現された管理処理機能を選択する第2のボタン群とを表示し、管理者が前記第1のボタン群の選択指示すると、前記第2のボタン群のうち選択可能なボタンを強調表示し、前記第2のボタン群の選択指示すると、前記第1のボタン群のうち選択可能なボタンを強調表示する。このため、少ない画面表示領域で、管理者が所望する管理処理の操作を容易、かつ迅速に選択指示することができる。」
「【0060】 ステップ104において、選択したボタンが資源グループg1あるいは機能グループg2のボタンである場合、表示制御部4の問合せ部4aは、選択した資源ボタンに対応する選択可能な機能ボタン、あるいは選択した機能ボタンに対応する選択可能な資源ボタンの組合せである管理情報を管理部3に問い合わせ(ステップ105)、管理部3は、管理コマンドテーブル3a内の記憶内容をもとに、選択可能な機能ボタンあるいは選択可能な資源ボタンの管理情報を表示制御部4に出力する。そして、表示制御部4は、入力された管理情報をもとに選択可能な機能ボタン、あるいは選択可能な資源ボタンのハイライト表示を行う(ステップ106)。そして、さらに、ボタンの選択が行われる(ステップ107)と、まず、同一グループ内のボタンが選択されたか否かを判断し(ステップ108)、同一グループ内のボタンが選択された場合は、ステップ105に移行し、上記と同様な処理を繰り返す。一方、同一グループ内のボタンの選択でない場合は、さらに、ハイライト表示された選択可能な機能ボタン、あるいは選択可能な資源ボタンの選択指示が行われたか否かを判断し(ステップ109)、ハイライト表示された機能ボタンあるいは資源ボタンが選択指示された場合は、選択した資源ボタンと機能ボタンボタンの1対の組合せに対する読取、あるいは書込が実行される(ステップ110)。ここで、読取、あるいは書込は、補助グループg3の選択表示されているボタンに対応するものである。」

(5)原審における拒絶査定の理由に引用された、本願の特許出願前に頒布された刊行物である特開平5-210473号公報(以下、「周知技術文献2」という。)には、次の事項が記載されている。
「【0001】【産業上の利用分野】 本発明は業務メニュー表示方式に関し、特に一連の関連ある業務を連続的に処理する場合に次業務の選択を容易にする業務メニュー表示方式に関する。」
「【0004】 本発明の目的は、上述の欠点を除去し、初心者でも次の業務の選択が容易に行え無駄のない業務メニュー表示方式を提供することにある。
【0005】【課題を解決するための手段】 本発明の業務メニュー表示方式は、一連の相互に関連ある複数の業務の中から一つの業務を選択するために各業務の業務項目を画面上に一覧形式で表示する業務メニュー表示方式において、既に処理された業務の選択状況を記憶する業務選択情報格納部と、各業務の処理順序や処理回数などの制約条件があらかじめ記憶されている業務制約情報格納部と、前記業務選択情報格納部の情報を前記業務制約情報格納部と比較し次に選択可能な業務を抽出する選択可能業務抽出手段と、前記選択可能業務抽出手段で抽出した業務の業務項目をメニュー画面上に他の業務項目と容易に区別できる異なる表示方法で表示させる表示制御手段とを備えて構成されている。」
「【0008】 本実施例の業務メニュー表示方式は、図1に示すように、既に処理された業務の選択状況を記憶する業務選択情報格納部1と、各業務の処理順序や処理回数などの制約条件があらかじめ記憶されている業務制約情報格納部2と、業務選択情報格納部1の情報を業務制約情報格納部2の制約条件と比較し、次に選択可能な業務を抽出する選択可能業務抽出部3と、抽出した業務の業務項目を画面上に他の業務項目よりも高輝度で表示させる表示制御部4とを含んでいる。」
「【0012】 表示制御部4は、選択可能業務抽出部3からの指示により、業務メニュー格納部6に格納されている業務メニューの業務項目のうち、該当する業務の業務項目のみを他の業務項目よりも高輝度で表示装置7に表示させる。これにより、オペレータは業務メニューから選択可能な業務を容易に判別できる。
【0013】 上述の説明では、選択可能な業務項目を高輝度で表示させるとしたが、他の業務項目との区別が容易につくならば、他の表示方法、例えば、反転表示とか点滅表示とかの方法を用いてもよい。
【0014】【発明の効果】 以上説明したように、本発明の業務メニュー表示方式は、選択可能な業務項目を高輝度表示など他の業務項目と異なる方法で表示するため、オペレータが視覚により次に選択可能な業務を容易に判断できる効果がある。従って、一連の連続業務の途中で席を離れて他の業務を行った場合も、次の業務を業務メニューを見て容易に選択でき、初心者でも次業務の判断が容易に行えので、作業の効率が向上する。」

3 当審の判断
(1)対比
本願発明1と上記引用発明1とを比較すると、引用発明1における「1枚の刷版に面付を行うページ数」が、本願発明1の「折られていない状態での表裏面のいずれか一面の縦方向×横方向のページ数に対応する升目数」に対応することは明らかである。
そうすると、引用発明1における「刷版を作成する際の面付を行い、各刷版に露光するページ配置を調整した出力データDSを生成するページデータ面付装置1を使用して印刷データの面付を容易に行うことができるコンピュータを用いたページデータ面付方法」、「各色版について最終的な刷版サイズに合わせて、必要な分版ページデータBPDの面付配置を行い、刷版上に、どのページを、どのような方向・位置で配置するかの面付指示を、オペレータがキーボード11、マウス12の入力手段によって入力し、表示手段であるモニタ15に表示される面付指示データである印刷イメージ表示部110に刷版位置を表すシミュレーション画面をオペレータが確認しつつ面付をするに際し、まず、オペレータがキーボード11やマウス12を操作して、刷版の横幅Wと縦幅Hを入力し、次に、ページの横幅Wと縦幅Hを入力し、そして、1枚の刷版に面付を行うページ数を入力すると、印刷イメージ表示部110に刷版位置を表すシミュレーション画面である、刷版110中に配置する各ページ部111?114が表示され、」及び「コンピュータを用いたページデータ面付方法」のそれぞれが、本願発明1の「製本する際に複数回折られる印刷物を、折られていない状態で画面上に表示させ、折られていない状態における表裏面の各ページにページ番号をコンピュータ処理により割り付ける」、「折られていない状態での表裏面のいずれか一面の縦方向×横方向のページ数に対応する升目数を指定する」及び「印刷物のページ割付方法」にそれぞれ相当する。
そして、引用発明1では、「各ページ部111?114にどのページを配置するかを特定するため、対象となるページ部をマウス12で特定し、ページ番号をキーボード11を用いて入力すると、表示枠220に当該ページ番号が表示されると共にそのページ部にページ番号が表示され」るから、引用発明1の前記「各ページ部111?114にどのページを配置するかを特定するため、対象となるページ部をマウス12で特定し、ページ番号をキーボード11を用いて入力すると、表示枠220に当該ページ番号が表示されると共にそのページ部にページ番号が表示され」が、本願発明1の「前記表裏面のいずれか一面中の、所望の升目を第1ページに指定することで、第1ページを決定する」に相当する。

そうすると、本願発明1と引用発明1とは、
「製本する際に複数回折られる印刷物を、折られていない状態で画面上に表示させ、折られていない状態における表裏面の各ページにページ番号をコンピュータ処理により割り付ける際に、折られていない状態での表裏面のいずれか一面の縦方向×横方向のページ数に対応する升目数を指定し、前記表裏面のいずれか一面中の、所望の升目を第1ページに指定することで、第1ページを決定する印刷物のページ割付方法」
である点で一致し、次の点で構成が相違する。
[相違点1]:本願発明1が「前記表裏面のいずれか一面中の、所望の升目を第1ページに指定することで、第1ページを決定するとともに、その第1ページの裏の升目のページを第2ページに決定する第2過程と、第3ページを、第1回目の折りにより前記第2ページと対面可能な升目中の所望の升目に指定することで、この第3ページの裏の升目のページを第4ページに決定する第3過程と、第5ページを、第2回目の折りにより前記第4ページと対面可能な升目中の所望の升目に指定することで、この第5ページの裏の升目のページを第6ページに決定する第4過程とを有」するのに対し、引用発明1は、前記構成を欠如している点。
[相違点2]:対面可能な升目を表示するに際して、本願発明1が「前記折られていない状態で画面に表示されている印刷物中、対面可能な升目をポインチングデバイスで選択可能に表示」するのに対し、引用発明1では、前記構成が明確でない点。

(2)相違点についての検討
ア 相違点1について
上記引用刊行物2には、
「実際に本にする際の印刷は折の方向,種類によって変わってくるが、右綴じの場合は第3図の様に印刷する。つまり、校正刷の場合と実際の印刷の場合とでは、頁の隣合わせのパターンが異なる」こと、
「面付には、品目,月号,折り,頁と面付に必要な項目として、綴じの種類(中綴じ、平綴じ),折り数,面付数及び綴じ方向(右開きか左開きか)の各情報があ」ること、
「折りは機械折りを前提としているので、第3図に示すように一定の決まりがある。まず、若い番号を左下にもってきて、右から左へ折る。次に時計回りに90°回転させ、同様に右から左へ折っていく」こと、及び
「例えば、8頁面付、中綴じ左開き24頁製本、平綴じ左開きの各場合では、それぞれ面付が異なる」ことが記載されている。
また、上記した面付において前提となる製本技術上の制約のもとに、「上記の情報を管理し、面付手段をパターン化することにより、仮ノンブル(仮の頁)の自動認識が可能となる」こと、及び「このように面付手段をパターン化し、面付必要情報を一括管理することにより、仮ノンブルを決定することができる」ことが記載されている。
そして、引用刊行物2の第3図には、刷物9の裏面左下隅の頁を一番若い第1頁目とした場合に、当該刷物9が、第1回目の折り曲げ、第2回目の折り曲げ、第3回目の折り曲げによって得られる、第1頁から第16頁までの各頁11に付されるノンブル12が、若い折から順次各折を重ねて製本したときの正しい順番になっている図が示されている。
そうすると、引用刊行物2のかかる記載からみて、引用刊行物2には、「前提となる面付情報としての綴じの種類(中綴じ、平綴じ),折り数,面付数及び綴じ方向(右開きか左開きか)の面付必要情報を一括管理し、面付手段をパターン化することにより、仮ノンブル(仮の頁)の自動認識により仮ノンブル決定する面付方法」が開示されているといえる。
また、上記引用刊行物3には、
「従来、本やカタログ等の印刷を行なう場合に複数ページ分の画像をー度に印刷することは広く一般に行なわれている。このような場合に複数ページ分を印刷された印刷物は折り機によって各ページが正しい順番となるように折られる。ところで印刷物が折り機によって折られた場合に各ページが正しい順番になるようにするためには印刷版上に形成される各ページの画像が予じめ決められた位置に配列されていることが必要である」こと、
「第1図は複数ページ分の画像(P1)、(P2)、(P3)…(P16)を2枚のシート状基材(20)(21)上に配列させた状態を示している。シート状基材(20)は表に印刷される分の各ページが配列されており、シート状基材(21)には裏に印刷される分の各ページが配列されている。」、
「第1図(a)、(b)の如く各ページの画像が配列されている2枚の印刷用面付フィルムからそれぞれ2版の印刷版が作成され、該印刷版を用いて紙その他の被印刷体の表裏両面に印刷が行なわれる。第2図はオフセット方式で印刷された印刷物(22)を示しており、印刷物(22)中に付された数字はそれぞれの数字で示されるページを示し、カッコなしの数字は印刷物(22)の表に印刷されている各ぺージを示し、カッコを付けて示された数字はそれぞれの数字の配列されている位置の裏面に印刷されている各ページを示す。すなわち、第16、1、4、13、9、8、5、12頁はそれぞれ表に印刷されており、対応する数字によって示される位置に配列されている。また、第15、2、3、14、10、7、6、11頁はそれぞれ裏に印刷されており、対応する数字によって示される位置に配列されている」こと、
「こうして得られた印刷物(22)は第1にA-A線に沿って折り曲げ、次にB-B線に沿って折り曲げ、最後にC-C線に沿って折り曲げることによって第3図に示す如く第1ページから第16ページまで各ページが正しい順番になっている折丁(23)が得られる」こと、及び
「各ページの画像をシート状基材のどの位置に配列させるかは、(イ)何ページ分を一度に印刷するのか、(ロ)右から読む本であるのか又は左から読む本であるのか、(ハ)どのような折り方を採用するのか、等によって異なってくるものである」ことが記載されている。
そして、引用刊行物3の第3図には、印刷物(22)の表面下段の左から2番目の頁を一番若い第1ページ目とした場合に、当該印刷物(22)が、A-A線に沿う第1回目の折り曲げ、B-B線に沿う第2回目の折り曲げ、C-C線に沿う第3回目の折り曲げによって得られる、第1ページから第16ページまでの各ページが、印刷、折り、断裁の後に、第4図(a)?(i)に示す如く各ページを開いて見ることができる正しい順番になっている折丁(23)が図示されている。
そうすると、引用刊行物3のかかる記載からみて、引用刊行物3には、「印刷版上に形成される各ページの画像が予じめ決められた位置に配列されていることが必然的に要請される、本やカタログ等の印刷を行なう場合に複数ページ分の画像を一度に印刷される印刷物が折り機によって折られる場合の印刷版の作成において、各ページの画像をシート状基材のどの位置に配列させるかの面付は、(イ)何ページ分を一度に印刷するのか、(ロ)右から読む本であるのか又は左から読む本であるのか、(ハ)どのような折り方を採用するのか、等によって異なってくることを前提にして、例えば印刷物(22)の表面下段の左から2番目の頁を一番若い第1ページ目とした場合に、当該印刷物(22)が、A-A線に沿う第1回目の折り曲げ、B-B線に沿う第2回目の折り曲げ、C-C線に沿う第3回目の折り曲げによって得られる、第1ページから第16ページまでの各ページが、印刷、折り、断裁の後に各ページを開いて見ることができる正しい順番になっている折丁(23)を得る面付方法」が開示されているといえる。
そうしてみると、引用刊行物2及び引用刊行物3の上記記載からみて、「何ページ分を一度に印刷するのか、右から読む本であるのか又は左から読む本であるのか、どのような折り方を採用するのか等、の綴じの種類(中綴じ、平綴じ)、折り数、面付数及び綴じ方向(右開きか左開きか)の面付必要情報によって異なってくる面付において、各ページをどの位置に配列させるかの面付におけるノンブル(仮ページ)の決定を、本やカタログ等の印刷を行なう場合に要求される面付必要情報に基づいて自動認識により面付をする方法」は、本願特許出願時の周知技術であるといえる。
ところで、面付に際しての綴じの種類(中綴じ、平綴じ)、折り数、面付数及び綴じ方向(右開きか左開きか)の面付必要情報は、本やカタログ等の印刷の仕様に応じて定められるところの人間の選択に基づく単なる人為的取り決めにすぎないことである。また、上記面付必要情報を選択した上で、第1頁目を刷物又は印刷物の表裏面のいずれか一面中の所望の場所を指定してしまえば、前記面付必要情報にしたがって自動的に第2頁以降の面付が一義的に決定されることとなることは、引用刊行物2の第3図及び引用刊行物3の第3図にそれぞれ記載されているとおりであり、この点に何らの技術的工夫も必要とされることはない。そして、かかる面付必要情報をコンピュータのデータ処理の手順に織り込ませて、コンピュータ処理により面付をすることは、前記した人間の選択に基づく人為的取り決めにしたがってする人間による面付作業の手順を、単にコンピュータのデータ処理の手順に置き換えたものでしかないものであるといえる。
してみれば、コンピュータ処理により、表裏面のいずれか一面中の、所望の升目を第1ページに指定することで、第1ページを決定して自動的に当該第1ページの裏の升目のページを第2ページに決定すること、次に第3ページを、第1回目の折りにより第2ページと対面可能な升目中の所望の升目に指定することで、当該第3ページの裏の升目のページを第4ページに決定すること、そして第5ページを、第2回目の折りにより第4ページと対面可能な升目中の所望の升目に指定することで、当該第5ページの裏の升目のページを第6ページに決定することは、人間による面付作業の手順の一部を、プログラミングによりコンピュータ処理による面付の手順に置き換えたものでしかなく、このようなコンピュータによる自動化は、前記周知技術、並びに、コンピュータにおけるデータ処理技術及びプログラミング技術等の慣用技術にもとづいて、格別の困難を伴うことなく、当業者が容易になし得ることであって、格別の創作力が要求されることとはいえない。
そうすると、引用発明1に前記周知技術、並びに、コンピュータにおけるデータ処理技術及びプログラミング技術等の慣用技術を適用して、本願発明1の前記相違点1に係る「前記表裏面のいずれか一面中の、所望の升目を第1ページに指定することで、第1ページを決定するとともに、その第1ページの裏の升目のページを第2ページに決定する第2過程と、第3ページを、第1回目の折りにより前記第2ページと対面可能な升目中の所望の升目に指定することで、この第3ページの裏の升目のページを第4ページに決定する第3過程と、第5ページを、第2回目の折りにより前記第4ページと対面可能な升目中の所望の升目に指定することで、この第5ページの裏の升目のページを第6ページに決定する第4過程とを有」する構成を得ることは、当業者が容易に想到できることである。

イ 相違点2について
上記周知技術文献1には、「少ない表示画面領域で管理処理を迅速かつ容易に選択指示することができるグラフィック・ユーザ・インターフェース」として「管理者が前記第1のボタン群の選択指示すると、前記第2のボタン群のうち選択可能なボタンを強調表示し、前記第2のボタン群の選択指示すると、前記第1のボタン群のうち選択可能なボタンを強調表示する。このため、少ない画面表示領域で、管理者が所望する管理処理の操作を容易、かつ迅速に選択指示することができる」ことが記載されている。
また、上記周知技術文献2には、「業務メニュー表示方式」として「表示制御部4は、選択可能業務抽出部3からの指示により、業務メニュー格納部6に格納されている業務メニューの業務項目のうち、該当する業務の業務項目のみを他の業務項目よりも高輝度で表示装置7に表示させる。これにより、オペレータは業務メニューから選択可能な業務を容易に判別できる」及び「他の業務項目との区別が容易につくならば、他の表示方法、例えば、反転表示とか点滅表示とかの方法を用いてもよい」ことが記載されている。
このように、ポインチングデバイスで選択可能な選択肢を、例えば高輝度表示、反転表示、点滅表示等により選択可能に表示することは、本願特許出願時の周知技術であるといえる。
そうすると、本願発明1の前記相違点2に係る「対面可能な升目を表示するに際して、折られていない状態で画面に表示されている印刷物中、対面可能な升目をポインチングデバイスで選択可能に表示」する構成とすることは、引用発明1に前記周知技術を適用することにより、格別の困難を要せずに当業者が容易になし得たことである。

そして、本願発明1の奏する作用効果は、引用発明1及び周知・慣用技術から予測できる範囲内のものであって、格別のものということができない。

(3)まとめ
したがって、本願発明1は、引用発明1及び周知・慣用技術に基いて当業者が容易に発明をすることができたものである。

4 むすび
以上のとおりであり、本願発明1は、引用発明1及び周知・慣用技術に基いて当業者が容易に発明をすることができたものであるから、本願発明1は特許法第29条第2項の規定により特許を受けることができないので、他の請求項に係る発明について検討するまでもなく、本願は、拒絶されるべきものである。
よって、結論のとおり審決する。
 
審理終結日 2007-06-08 
結審通知日 2007-06-12 
審決日 2007-06-25 
出願番号 特願平9-128956
審決分類 P 1 8・ 121- Z (G03F)
P 1 8・ 561- Z (G03F)
P 1 8・ 572- Z (G03F)
P 1 8・ 573- Z (G03F)
P 1 8・ 571- Z (G03F)
P 1 8・ 574- Z (G03F)
最終処分 不成立  
前審関与審査官 多田 達也  
特許庁審判長 佐藤 昭喜
特許庁審判官 森口 良子
植野 孝郎
発明の名称 印刷物のページ割付方法  
代理人 千葉 剛宏  
代理人 宮寺 利幸  
代理人 鹿島 直樹  
代理人 田久保 泰夫  

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