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審決分類 審判 査定不服 特17条の2、3項新規事項追加の補正 特許、登録しない。 G06Q
審判 査定不服 特36条6項1、2号及び3号 請求の範囲の記載不備 特許、登録しない。 G06Q
審判 査定不服 特29条特許要件(新規) 特許、登録しない。 G06Q
審判 査定不服 4号2号請求項の限定的減縮 特許、登録しない。 G06Q
管理番号 1163394
審判番号 不服2004-6397  
総通号数 94 
発行国 日本国特許庁(JP) 
公報種別 特許審決公報 
発行日 2007-10-26 
種別 拒絶査定不服の審決 
審判請求日 2004-03-31 
確定日 2007-08-30 
事件の表示 特願2001-276448「お勧め商品の特定システム、装置、及び、方法」拒絶査定不服審判事件〔平成15年 3月20日出願公開、特開2003- 85440〕について、次のとおり審決する。 
結論 本件審判の請求は、成り立たない。 
理由 1.手続の経緯
本願は、平成13年9月12日の出願であって、平成16年2月20日付で拒絶査定がなされ、これに対し、同年3月31日に拒絶査定に対する審判請求がなされるとともに、同年4月23日付で手続補正がなされたものである。

2.平成16年4月23日付の手続補正についての補正却下の決定
[補正却下の決定の結論]
平成16年4月23日付の手続補正を却下する。
[理由]
(1)補正の内容
平成16年4月23日付の手続補正(以下「本件補正」という。)により、請求項1は、
「アンケート入力画面を表示する表示部、及び、アンケート項目を選択する選択手段を備える顧客の端末と、ネットワークを介して接続されるサーバとで構成されるお勧め栄養補助食品の特定システムであって、
上記サーバは、上記顧客の端末の表示部に対して、過去にお勧めした栄養補助食品の効果の有無に関するアンケート項目を含む複数のアンケート項目で構成されるアンケート入力画面を表示する第1表示手段と、
上記顧客の端末の表示部に表示したアンケート入力画面の内、顧客の端末が備える選択手段により選択されたアンケート項目の情報を受け付けるアンケート情報受付手段と、
アンケート情報受付手段により受け付けたアンケート情報に基づいて、今回のアンケートにより選択されたアンケート項目毎に1以上の栄養素を特定し、特定した栄養素の各々について予め割り当ててあるポイント数の集計を行う集計手段と、
過去にお勧めした栄養補助食品の効果の有無に関するアンケート項目が選択されていない場合には、初回の利用と判断して、標準値をしきい値に設定し、過去にお勧めした栄養補助食品の効果の有無に関するアンケート項目の選択が行われている場合には、当該選択された項目に基づいて特定される補正量により、しきい値を補正するしきい値設定手段と、
上記集計手段により特定された栄養素の内、しきい値設定手段により設定されたしきい値以上のポイントの栄養素を特定する第1特定手段と、
複数の栄養補助食品の中から、各栄養補助食品が含有している栄養素の量に基づいて、上記第1特定手段により選定した栄養素を最も過不足無く補充できる1以上の栄養補助食品を、お勧めする栄養補助食品として特定する第2特定手段と、
上記第2特定手段により特定した栄養補助食品を、上記顧客の端末に表示する第2表示手段とを備えることを特徴とするお勧め栄養補助食品の特定システム。」
と補正された。
また、本件補正により、請求項2は、
「上記サーバは、更に、顧客別に前回使用したしきい値の補正量を記憶しておくデータベースを備え、
上記しきい値設定手段は、過去にお勧めした栄養補助食品の効果の有無に関するアンケート項目が選択されていない場合には、初回の利用と判断して、しきい値を標準値に設定し、過去にお勧めした栄養補助食品の効果の有無に関するアンケート項目の選択が行われている場合には、当該選択された項目、及び、上記データベースに記憶してあるしきい値の補正量に基づいて、しきい値の補正量を増減し、当該増減後の補正量によりしきい値を補正することを特徴とする請求項1に記載のお勧め栄養補助食品の特定システム。」
と補正された。
また、本件補正により、請求項3は、
「お勧め栄養補助食品の特定装置であって、
表示部と、
過去にお勧めした栄養補助食品の効果の有無に関するアンケート項目を含む複数のアンケート項目で構成されるアンケート入力画面を、表示部に表示する第1表示手段と、
アンケート入力画面に表示するアンケート項目を選択する選択手段と、
選択手段により選択されたアンケート項目の情報を受け付けるアンケート情報受付手段と、
アンケート情報受付手段により受け付けたアンケート情報に基づいて、今回のアンケートにより選択された項目毎に1以上の栄養素を特定し、特定した栄養素の各々について予め割り当ててあるポイント数の集計を行う集計手段と、
過去にお勧めした栄養補助食品の効果の有無に関するアンケート項目が選択されていない場合には、初回の利用と判断して、標準値をしきい値に設定し、過去にお勧めした栄養補助食品の効果の有無に関するアンケート項目の選択が行われている場合には、当該選択された項目に基づいて特定される補正量により、しきい値を補正するしきい値設定手段と、
上記集計手段により特定された栄養素の内、しきい値設定手段により設定されたしきい値以上のポイントの栄養素を特定する第1特定手段と、
複数の栄養補助食品の中から、各栄養補助食品が含有している栄養素の量に基づいて、上記第1特定手段により選定した栄養素を最も過不足無く補充できる1以上の栄養補助食品を、お勧めする栄養補助食品として特定する第2特定手段と、
上記第2特定手段により特定した栄養補助食品を、上記表示部に表示する第2表示手段とを備えることを特徴とするお勧め栄養補助食品の特定装置。」
と補正された。
さらに、本件補正により、請求項4は、
「更に、顧客別に前回使用したしきい値の補正量を記憶しておくデータベースを備え、
上記しきい値設定手段は、過去にお勧めした栄養補助食品の効果の有無に関するアンケート項目が選択されていない場合には、初回の利用と判断して、しきい値を標準値に設定し、過去にお勧めした栄養補助食品の効果の有無に関するアンケート項目の選択が行われている場合には、当該選択された項目、及び、上記データベースに記憶してあるしきい値の補正量に基づいて、しきい値の補正量を増減し、増減後のしきい値の補正量により、しきい値を補正することを特徴とする請求項3に記載のお勧め栄養補助食品の特定装置。」
と補正された。

(2)新規事項の追加について
(2-1)当初明細書等に記載の事項
願書に最初に添付した明細書及び図面(以下「当初明細書等」という。)における、しきい値設定手段に関係する記載は以下のとおりである。
(A)「上記アンケート情報の解析の結果、個人識別IDが既に登録されている場合には、2回目以降の利用であると判断し、個人識別IDが未入力、又は、入力されたIDについてのデータが登録されていない場合には、初めての利用であると判断する。アンケートを提出したのが初めてであると判断される場合(ステップS3でYES)、しきい値Th1,Th2の値をそれぞれ標準値に設定する(ステップS4)。
2回目以降の利用であると判断される場合(ステップS3でNO)、今回のアンケート情報に基づいて、以下の処理を実行する。まず、今回アンケートを答えるに当たり、「購入した栄養補助食品を規定量服用していた。」という項目に該当するとしてチェックがされているか否かを調べる(ステップS5)。規定量服用の項目がチェックされていない場合(ステップS5でNO)、今回の効果についての欄の情報は不正確なものであると判断し、しきい値Th1,Th2の補正量を前回と同じ値に設定する(ステップS6)
なお、規定量服用の項目がチェックされており(ステップS5でYES)、かつ、効果ありの項目がチェックされている場合も(ステップS7でYES)、しきい値Th1,Th2の補正量を前回と同じ値に設定する(ステップS6)。
効果有りの項目がチェックされておらず(ステップS7でNO)、全く効果が無かった場合(ステップS8で”B”の場合)、不足及び/又は過剰摂取していると判断する栄養素の数を増加するように、即ち、しきい値Th1,Th2が低くなるように補正量を修正する(ステップS9)。
また、効果有りの項目がチェックされておらず(ステップS7でNO)、逆に体調を崩した場合(ステップS8で”A”の場合)、不足及び/又は過剰摂取していると判断する栄養素の数を減らすように、即ち、しきい値Th1,Th2が高くなるように補正量を修正する(ステップS10)。」(段落【0030】-【0034】)

(B)図8及び図10

(2-2)判断
上記摘記事項(A)及び(B)からみて、個人識別IDが未入力、又は、入力されたIDについてのデータが登録されていない場合には、初めての利用であると判断することは記載されているものの、過去にお勧めした栄養補助食品の効果の有無に関するアンケート項目が選択されていない場合には、初回の利用と判断することが、当初明細書等に記載されているとは認められない。
したがって、補正後の請求項1の「過去にお勧めした栄養補助食品の効果の有無に関するアンケート項目が選択されていない場合には、初回の利用と判断して」との事項、及び補正後の請求項3の「過去にお勧めした栄養補助食品の効果の有無に関するアンケート項目が選択されていない場合には、初回の利用と判断して」との事項は当初明細書等に記載されているとは認められず、かつそれらから自明な事項とも認められない。
よって、補正後の請求項1及び3に係る本件補正は、新規事項を追加するものであり、願書に最初に添付した明細書又は図面に記載された事項の範囲内においてしたものでないから、特許法第17条の2第3項の規定を満たしていない。

(3)補正の目的
請求項1に係る本件補正は、以下の補正事項を含むものと認められる。
(ア)「上記顧客の端末の表示部に対して、過去にお勧めした栄養補助食品の効果の有無に関するアンケート項目を含む複数のアンケート項目で構成されるアンケート入力画面を表示する第1表示手段と」の記載を追加する補正。

(イ)「上記顧客の端末の表示部に表示したアンケート入力画面の内、顧客の端末が備える選択手段により選択されたアンケート項目の情報を受け付けるアンケート情報受付手段と」の記載を追加する補正。

上記補正事項(ア)について検討すると、上記補正事項(ア)の「第1表示手段」は、補正前の請求項1に記載されたサーバの「集計手段」、「しきい値設定手段」、「選定手段」、「特定手段」、「表示手段」などの手段の下位概念とは認められず、それらの手段と同位の概念と認められるから、上記補正事項(ア)は、補正前の請求項1に係る発明のサーバにおいて、「集計手段」、「しきい値設定手段」、「選定手段」、「特定手段」、「表示手段」などの手段に加えて「第1表示手段」を新たに追加するものである。
したがって、上記補正事項(ア)は、補正前の請求項1を限定的に減縮したものとは認められないから、特許法第17条の第4項第2号に掲げられた「特許請求の範囲の減縮(第三十6条第5項の規定により請求項に記載した発明を特定するために必要な事項を限定するものであつて、その補正前の当該請求項に記載された発明とその補正後の当該請求項に記載される発明の産業上の利用分野及び解決しようとする課題が同一であるものに限る。)」を目的とするものに該当するものとは認められない。
また、原査定の拒絶の理由2として特許法第36条6項第2号の規定に関する事項を指摘しているが、上記補正事項(ア)の「第1の表示手段」は補正前の請求項1に記載されておらず、不明確であると指摘した各手段に当該「第1の表示手段」は含まれていないと認められるから、上記補正事項(ア)は、特許法第17条の第4項第4号に掲げられた「明りようでない記載の釈明(拒絶理由通知に係る拒絶の理由に示す事項についてするものに限る。)」を目的とするものに該当するものとは認められない。
さらに、上記補正事項(ア)が、特許法第17条の2第4項第1号に掲げられた「第三十6条第5項に規定する請求項の削除」又は同第4号に掲げられた「誤記の訂正」を目的とするものに該当しないことは明らかである。
したがって、上記補正事項(ア)は、特許法第17条の2第4項の規定を満たしていない。

また、上記補正事項(イ)について検討すると、上記補正事項(ア)と同様の理由により、上記補正事項(イ)は、特許法第17条の2第4項の規定を満たしていない。

よって、上記補正事項(ア)及び(イ)を含む本件補正は、特許法第17条の2第4項の規定を満たしていない。

(4)むすび
以上のとおり、本件補正は、特許法第17条の2第3項及び第4項の規定に違反するものであり、特許法第159条第1項で準用する特許法第53条第1項の規定により却下されるべきものである。

3.請求項3の記載について
平成16年4月23日付の手続補正は上記のとおり却下されたので、本願の請求項3の記載は、平成15年11月13日付の手続補正書により補正された請求項3に記載された以下のとおりのものである。
「お勧め栄養補助食品の特定装置であって、
入力画面を介して、今回の栄養補助食品の購入についてのアンケートに用意された複数の選択項目より該当する1以上の項目を選択すると共に、該当する場合には、過去にお勧めした栄養補助食品の効果の有無に関する項目の選択を受け付ける選択手段と、
今回のアンケートにおいて選択された項目毎に特定される1以上の栄養素の各々について、予め割り当ててあるポイント数の集計を行う集計手段と、
初回の利用時には、標準値をしきい値に設定し、上記過去にお勧めした栄養補助食品の効果の有無に関する項目の選択が行われている場合には、当該選択された項目に基づいて、しきい値を増減させるしきい値設定手段と、
今回のアンケートの選択項目によって特定された1以上の栄養素の中から、しきい値設定手段により設定されたしきい値以上のポイントの栄養素を選定する選定手段と、
取り扱い商品である複数の栄養補助食品の中から、各栄養補助食品が含有している栄養素の量に基づいて、上記選定手段により選定した栄養素を最も過不足無く補充できる1以上の栄養補助食品を、お勧めする栄養補助食品として特定する特定手段と、
上記特定手段により特定した栄養補助食品を表示する表示手段とを備えることを特徴とするお勧め栄養補助食品の特定装置。」

4.原査定の拒絶の理由の概要
平成15年9月11日付の拒絶理由通知及び平成16年2月20日付の拒絶査定の記載からみて、原査定の拒絶の理由の概要は以下のとおりである。なお、特許法第36条第4項及び同第29条第2項の規定に関する理由については省略する。
(4-1)特許法第29条第1項柱書について(以下「理由1」という。)
『請求項1-4に係る発明は、果たすべき機能を単に「手段」として表現したものであって、ソフトウエアとハードウエア資源とが協同した具体的な手段として構成されているものとは認められないから、請求項1-4に係る「発明」は、自然法則を利用した技術的思想の創作とは認められない。
したがって、請求項1-4に係る発明は、特許法第29条第1項柱書に規定する要件を満たしていないので、特許を受けることができない。』

(4-2)特許法第36条第6項第2号の規定について(以下「理由2」という。)
『補正後の請求項1-4に記載された発明は、不明確である。
請求項の記載は、「・・・しきい値を増減させる・・しきい値設定手段」「・・・特定する・・手段」等と機能により物を特定しようとする記載であり、各々の機能を有する具体的な物を容易に想定できないので不明確なままである。
したがって、特許法第36条第6項第2号に規定する要件を満たしていない。』

5.理由1について
本願発明の「お勧め栄養補助食品の特定装置」は、発明の詳細な説明の記載からみて、ノート型のコンピュータであり、その発明の実施にソフトウエアを必要とするところの、いわゆるコンピュータ・ソフトウエア関連発明である。
そして、こうしたソフトウエアを利用するソフトウエア関連発明が、「自然法則を利用した技術的思想の創作」であるためには、発明はそもそもが一定の技術的課題の解決手段になっていなければならないことから、ハードウエア資源を利用したソフトウエアによる情報処理によって、所定の技術的課題を解決できるような特有の構成が具体的に提示されている必要があるというべきである。
そこで、請求項3に記載された事項を便宜上以下のとおり分けてハードウエア資源を利用したソフトウエアによる情報処理によって、所定の技術的課題を解決できるような特有の構成が具体的に提示されているかどうか順次検討する。
(a)「お勧め栄養補助食品の特定装置であって、」
(b)「入力画面を介して、今回の栄養補助食品の購入についてのアンケートに用意された複数の選択項目より該当する1以上の項目を選択すると共に、該当する場合には、過去にお勧めした栄養補助食品の効果の有無に関する項目の選択を受け付ける選択手段と、」
(c)「今回のアンケートにおいて選択された項目毎に特定される1以上の栄養素の各々について、予め割り当ててあるポイント数の集計を行う集計手段と、」
(d)「初回の利用時には、標準値をしきい値に設定し、上記過去にお勧めした栄養補助食品の効果の有無に関する項目の選択が行われている場合には、当該選択された項目に基づいて、しきい値を増減させるしきい値設定手段と、」
(e)「今回のアンケートの選択項目によって特定された1以上の栄養素の中から、しきい値設定手段により設定されたしきい値以上のポイントの栄養素を選定する選定手段と、」
(f)「取り扱い商品である複数の栄養補助食品の中から、各栄養補助食品が含有している栄養素の量に基づいて、上記選定手段により選定した栄養素を最も過不足無く補充できる1以上の栄養補助食品を、お勧めする栄養補助食品として特定する特定手段と、」
(g)「上記特定手段により特定した栄養補助食品を表示する表示手段とを備えることを特徴とするお勧め栄養補助食品の特定装置。」

上記(a)の記載について検討すると、上記(a)の記載は、特定装置を「お勧め栄養補助食品の特定装置」に特定するに留まる。

上記(b)の記載について検討すると、上記(b)の記載は、お勧め栄養補助食品の特定装置の機能を「入力画面を介して、今回の栄養補助食品の購入についてのアンケートに用意された複数の選択項目より該当する1以上の項目を選択すると共に、該当する場合には、過去にお勧めした栄養補助食品の効果の有無に関する項目の選択を受け付ける」ことに特定するに留まり、当該項目を選択したり、過去にお勧めした栄養補助食品の効果の有無に関する項目の選択を受け付ける機能がハードウエア資源をどのように用いて実現されたか具体的に提示しているとは認められない。

上記(c)の記載について検討すると、上記(c)の記載は、お勧め栄養補助食品の特定装置の機能を「今回のアンケートにおいて選択された項目毎に特定される1以上の栄養素の各々について、予め割り当ててあるポイント数の集計を行う」ことに特定するに留まり、上記(c)の記載では、当該ポイント数の集計を行う機能がハードウエア資源をどのように用いて実現されたか具体的に提示しているとは認められない。

上記(d)の記載について検討すると、上記(d)の記載は、お勧め栄養補助食品の特定装置の機能を「初回の利用時には、標準値をしきい値に設定し、上記過去にお勧めした栄養補助食品の効果の有無に関する項目の選択が行われている場合には、当該選択された項目に基づいて、しきい値を増減させる」ことに特定するに留まり、上記(d)の記載では、当該しきい値を増減させる機能がハードウエア資源をどのように用いて実現されたか具体的に提示しているとは認められない。

上記(e)の記載について検討すると、しきい値設定手段を用いているものの、しきい値設定手段に関する記載はしきい値を特定しているにすぎないので、上記(e)の記載は、お勧め栄養補助食品の特定装置の機能を「今回のアンケートの選択項目によって特定された1以上の栄養素の中から、しきい値設定手段により設定されたしきい値以上のポイントの栄養素を選定する」ことに特定するに留まり、上記(e)の記載では、当該栄養素を特定する機能がハードウエア資源をどのように用いて実現されたか具体的に提示しているとは認められない。

上記(f)の記載について検討すると、上記(f)の記載は、お勧め栄養補助食品の特定装置の機能を「取り扱い商品である複数の栄養補助食品の中から、各栄養補助食品が含有している栄養素の量に基づいて、上記選定手段により選定した栄養素を最も過不足無く補充できる1以上の栄養補助食品を、お勧めする栄養補助食品として特定する」ことに特定するに留まり、上記(f)の記載では、当該栄養補助食品を特定する機能がハードウエア資源をどのように用いて実現されたか具体的に提示しているとは認められない。

上記(g)の記載について検討すると、特定手段が記載されているものの、栄養補助食品の特定手段に関する記載は単に栄養補助食品を特定したにすぎないので、上記(g)の記載は、お勧め栄養補助食品の特定装置の機能を「上記特定手段により特定した栄養補助食品を表示する」に特定するに留まり、その機能は、実質的には、特定手段の処理結果を単に表示するにすぎない。

さらに、全体としてみても、請求項3の記載は「お勧め栄養補助食品の特定装置」の機能を特定しているにすぎないので、それらの機能に関する記載では、各機能がハードウエア資源をどのように用いて実現されているか具体的に記載されているとは認められず、かつ自明な事項とも認められない。

したがって、請求項3に係る発明は、その技術的課題を解決できるような特有の構成を具体的に提示するものではなく、一定の技術的課題の解決手段であるとはいえないから、特許法第2条でいう「自然法則を利用した技術的思想の創作」に該当しない。

6.理由2について
請求項3に記載された発明が明確であるかどうか請求項3の記載に基づいて検討する。
(1)集計手段に関する記載について
「今回のアンケートにおいて選択された項目毎に特定される1以上の栄養素の各々について、予め割り当ててあるポイント数の集計を行う」の記載では、アンケートの各項目と各栄養素の各々について予め割り当てられたポイント数との対応の情報をどのようにして取得するのか不明であるので、どのようにして、今回のアンケートにおいて選択された項目毎に特定される1以上の栄養素の各々について、予め割り当ててあるポイント数の集計を行うのか不明である。

(2)しきい値設定手段に関する記載について
「初回の利用時には、標準値をしきい値に設定し」の記載では、初回の利用時であることをどのような情報から判断するのか不明であるので、どのようにして、初回の利用時に、標準値をしきい値に設定するのか不明である。
また、「上記過去にお勧めした栄養補助食品の効果の有無に関する項目の選択が行われている場合には、当該選択された項目に基づいて、しきい値を増減させる」の記載では、過去にお勧めした栄養補助食品の効果の有無に関する項目の選択が行われていることをどのようにして判別するのか不明であり、選択された項目がどのような場合にしきい値を増加し、また、どのような場合にしきい値を減少するのか不明であるので、どのようにして、過去にお勧めした栄養補助食品の効果の有無に関する項目の選択が行われている場合に、当該選択された項目に基づいて、しきい値を増減させるのか不明である。

(3)選定手段に関する記載ついて
「今回のアンケートの選択項目によって特定された1以上の栄養素の中から、しきい値設定手段により設定されたしきい値以上のポイントの栄養素を選定する選定手段」の記載では、今回のアンケートの選択項目によって特定された各栄養素のポイント数の情報をどのようにして取得するのか不明であるので、どのようにして、今回のアンケートの選択項目によって特定された1以上の栄養素の中から、しきい値設定手段により設定されたしきい値以上のポイントの栄養素を選定するのか不明である。

(4)特定手段に関する記載ついて
「取り扱い商品である複数の栄養補助食品の中から、各栄養補助食品が含有している栄養素の量に基づいて、上記選定手段により選定した栄養素を最も過不足無く補充できる1以上の栄養補助食品を、お勧めする栄養補助食品として特定する」の記載では、各栄養補助食品が含有している栄養素の量の情報をどのように取得するのか不明であり、各栄養補助食品が含有している栄養素の量の情報と選定手段に選定された栄養素の情報からどのようにして栄養補助食品を特定するのか不明である。

(5)まとめ
以上のとおり、請求項3の記載では、上記の(1)?(4)の各手段に関する記載には、お勧め栄養補助食品の特定装置の機能の概略は記載されているものの、それらの記載では、各機能をどのようにして実現するのか不明であるので、請求項3に係る発明が明確でなく、本件出願は、特許法第36条第6項第2号に規定する要件を満たしていない。

7.むすび
以上のとおり、請求項3に係る発明は、特許法第2条で定義される特許法上の「発明」である「自然法則を利用した技術的思想の創作」に該当しないから、特許法第29条第1項柱書の規定により特許を受けることができない。
また、仮に、請求項3に係る発明が、「自然法則を利用した技術的思想の創作」に該当するとしても、以上のとおり、請求項3に係る発明が明確でないから、本件出願は、特許法第36条第6項第2号の規定を満たしていない。
よって、結論のとおり審決する。
 
審理終結日 2007-06-22 
結審通知日 2007-06-26 
審決日 2007-07-17 
出願番号 特願2001-276448(P2001-276448)
審決分類 P 1 8・ 1- Z (G06Q)
P 1 8・ 572- Z (G06Q)
P 1 8・ 537- Z (G06Q)
P 1 8・ 561- Z (G06Q)
最終処分 不成立  
前審関与審査官 青柳 光代  
特許庁審判長 赤穂 隆雄
特許庁審判官 岩間 直純
森次 顕
発明の名称 お勧め商品の特定システム、装置、及び、方法  
代理人 大畠 康  
代理人 大森 忠孝  
代理人 青山 葆  

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