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審決分類 審判 査定不服 2項進歩性 特許、登録しない。 H03H
管理番号 1163793
審判番号 不服2005-9719  
総通号数 94 
発行国 日本国特許庁(JP) 
公報種別 特許審決公報 
発行日 2007-10-26 
種別 拒絶査定不服の審決 
審判請求日 2005-05-23 
確定日 2007-09-05 
事件の表示 特願2002-162209「移動通信端末機のアンテナ整合装置」拒絶査定不服審判事件〔平成15年 1月31日出願公開、特開2003- 32063〕について、次のとおり審決する。 
結論 本件審判の請求は、成り立たない。 
理由 【1】手続の経緯・本願発明
本願は、平成14年6月3日(優先権主張、2001年6月19日、韓国(KR))の出願であって、平成17年2月18日付けで、拒絶査定がなされ、これに対して、同年5月23日に審判の請求がなされるとともに、同年6月21日付で、手続補正がなされたものである。
平成17年6月21日付の手続補正は、補正前の特許請求の範囲における請求項(以下、旧請求項という。)1において特定された事項における「周波数特性」乃至は「周波数の特性」について、旧請求項4に記載された「周波数の帯域およびチャンネルである」旨の限定を付加し、「整合部」について、旧請求項2及び3に記載された「前記アンテナに連結されたインダクターと、該インダクターに一方端が連結されて、他方端は接地されて、前記制御電圧が印加されることにより容量が可変されるバラクタダイオードとを有」する点と「前記バラクタダイオードは、印加される制御電圧が増加すると、容量が減少することを特徴とする」点との限定を付加して、新たな請求項1とし、これに伴い、旧請求項2乃至4を削除するものである。
また、旧請求項5及び6を削除し、旧請求項7を新たな請求項2とするとともに、引用する請求項を旧請求項5から、新たな請求項1としたものである。
したがって、この補正は、特許法第17条の2第1項第3号に規定する、同法同条第4項第1号の請求項の削除を目的とするものであって、適法になされた補正である。
その請求項1に係る発明(以下、本願発明という。)は、平成17年6月21日付け手続補正書によって補正された明細書の特許請求の範囲、請求項1に記載された以下のとおりのものであると認める。
「アンテナを通って受信した信号の周波数を整合させるアンテナの整合装置であって、
前記アンテナに連結されており、印加される制御電圧によって該アンテナを通って受信した信号の整合を可変する整合部と、
該整合部から出力される信号の周波数を変換する基底帯部と、
複数の周波数の帯域およびチャネルのそれぞれに対して最適の整合をさせるための複数の制御電圧に関する情報が格納されているメモリと、
前記基底帯部から出力される前記周波数の帯域およびチャネルを感知して前記メモリから該周波数の帯域およびチャネルに対する制御電圧に関する情報を抽出して対応する制御電圧を前記整合部に印加する制御部とを備え、
前記整合部は、
前記アンテナに連結されたインダクターと、
該インダクターに一方端が連結されて、他方端は接地されて、前記制御電圧が印加されることにより容量が可変されるバラクタダイオードとを有し、
前記バラクタダイオードは、印加される制御電圧が増加すると、容量が減少することを特徴とする移動通信端末機のアンテナ整合装置。」

【2】引用例
原査定の拒絶の理由に引用された特開平2000-36702号公報(以下、「引用例」という。)には、図面とともに、以下の点が記載されている。
a.「携帯無線端末筐体内に設けられる内蔵アンテナと、当該内蔵アンテナに接続される高周波回路部と、当該高周波回路部に接続される論理回路部と、当該論理回路と前記高周波回路との両者に接続される周波数シンセサイザとを備え、前記周波数シンセサイザにより前記論理回路部に含まれる中央演算回路からの第1の制御信号で局部発振周波数信号を生成し、前記高周波回路にて前記局部発振周波数信号により定まる周波数で送受信を行う携帯無線端末において、前記内蔵アンテナをインピーダンス整合中心周波数制御回路を具備した同調型アンテナとし、前記中央演算回路内部もしくは前記中央演算回路と接続した外部に設けられ且つ前記インピーダンス整合中心周波数制御回路に接続される制御信号発生回路を設け、当該制御信号発生回路を前記第1の制御信号により設定される局部発信周波数信号で前記高周波回路にて定まる周波数と当該周波数に前記同調型アンテナのインピーダンス整合中心周波数を合わせるために前記インピーダンス整合中心周波数制御回路に与えるべき第2の制御信号との関係を表形式で記憶できるもしくは演算により求められる回路とし、当該制御信号発生回路に対して前記周波数シンセサイザに送られる前記第1の制御信号もしくは当該第1の制御信号を生成するために前記中央演算回路で用いられるデータが入力されると当該制御回路は記憶していた関係を参照するもしくは演算を行う事により第2の制御信号を生成し、前記インピーダンス整合中心周波数制御回路に前記第2の制御信号を加えることにより前記同調型アンテナのインピーダンス整合中心周波数を制御することを特徴とした同調型アンテナ内蔵携帯無線端末。」(公報、第2頁、【特許請求の範囲】、【請求項5】の記載。)
b.「同一回路基板上に同調型アンテナと高周波回路及び論理回路部を設けた同調型アンテナ内蔵携帯無線端末の回路及び回路基板の斜視図を図1に示す。図1において、10は同調型アンテナ、30は同調型アンテナのインピーダンス整合中心周波数制御回路、40は高周波回路、41は周波数シンセサイザ、51は論理回路部50に設けられた中央演算回路、52は制御信号発生回路、60は回路基板を示す。高周波回路40は同調型アンテナ10、論理回路部50、周波数シンセサイザ41と接続される。さらに、周波数シンセサイザは中央演算回路51と接続される。送信信号は論理回路部で生成され、高周波回路に送られ、高周波回路内で周波数シンセサイザが生成した局部発振周波数信号を用いて周波数変換された後、アンテナから送信される。受信信号はこの逆に、アンテナで受信された後、高周波回路に送られ、高周波回路内で周波数シンセサイザが生成した局部発振周波数信号を用いて周波数変換されて、論理回路に送られる。同調型アンテナ10のインピーダンス整合中心周波数は、前記同調型アンテナにインピーダンス整合中心周波数制御回路30を接続し、同インピーダンス整合中心周波数制御回路に対して制御信号発生回路52から第2の制御信号を加えることで制御される。制御信号発生回路は図1のように中央演算回路と接続する外部に設けるほか、中央演算回路の内部に設けることも可能である。一般に複数の通話チャネルを切り替えて使用する通信方式に用いられる端末では、中央演算回路からの第1の制御信号によって周波数シンセサイザが生成する局部発振周波数信号の周波数を変化させることで、アンテナより送受信される送受信信号周波数を通話チャネルの周波数に合わせている。従って、第1の制御信号もしくは当該第1の制御信号を生成するために中央演算回路で用いられるデータは中央演算回路により決定された通話周波数情報を含んでおり、これを利用して制御信号発生回路から第2の制御信号を発生させることによって、同調型アンテナのインピーダンス整合中心周波数を通話周波数に同調させることができる。制御信号発生回路から第2の制御信号を発生させる方法は次の様に行うことができる。例えば、図7のように通話チャネル番号1?nに対して通話周波数がf1?fnと決まっている場合、同通話周波数を設定するための第1の制御信号をc1?cnとする。同様に、同調型アンテナのインピーダンス整合中心周波数をf1?fnに同調させるためにインピーダンス整合中心周波数制御回路に与えるべき第2の制御信号をそれぞれt1?tnとする。c1?cnとt1?tnとは一対一に対応する。従って、制御信号発生回路に図7の下半分の第1の制御信号と第2の制御信号との関係のテーブルを記憶させておけば、制御信号発生回路に第1の制御信号が入力されると同回路は記憶しているテーブルを参照して第2の制御信号を発生させることができる。」(公報、第5頁、段落【0012】乃至【0016】の記載。)
c.「図3に本発明の第3の実施例を説明するための回路及び回路基板の斜視図を示す。インピーダンス整合中心周波数制御回路30は同回路に入力される制御信号の直流電圧値にしたがって同調型アンテナ10のインピーダンス整合中心周波数を変化させる回路である。制御信号発生回路は周波数-電圧変換テーブル53と当該周波数-電圧変換テーブルに接続されたディジタル-アナログ変換回路54で構成される。中央演算回路51が高周波回路40の送受信周波数を決定するべく、周波数シンセサイザ41に第1の制御信号を送ると、第1の制御信号もしくは当該第1の制御信号を生成するために中央演算回路で用いられるデータが周波数-電圧変換テーブルに送られる。周波数-電圧変換テーブルは第1の制御信号もしくは当該第1の制御信号を生成するために中央演算回路で用いられるデータを入力されると前記第1の制御信号で決定される通話周波数に同調型アンテナ10のインピーダンス整合中心周波数を合わせ得る直流電圧値を持つ第2の制御信号をディジタル-アナログ変換回路から発生させるようなディジタル信号を出力するように入出力信号の関係を記憶しており、記憶している関係にしたがってディジタル信号を発生する。ディジタル-アナログ変換回路は周波数ー電圧変換テーブルの出力したディジタル信号にしたがって直流電圧を発生する。当該直流電圧は前記第1の制御信号で決定される通話周波数に同調型アンテナの整合中心周波数を合わせ得る直流電圧値を持つ第2の制御信号としてインピーダンス整合中心周波数制御回路に印加されるので、インピーダンス整合中心周波数制御回路によって同調型アンテナのインピーダンス整合中央周波数が前記第1の制御信号で決定される通話周波数と一致するように制御される。」(公報、第7頁、段落【0026】乃至【0027】の記載。)

引用例の記載aにおける「内蔵アンテナ」と「同調型アンテナ」とは、同記載における「内蔵アンテナをインピーダンス整合中心周波数制御回路を具備した同調型アンテナとし」からみて、同一のものであるから、以下、「同調型アンテナ」と称する。
引用例の記載aにおける「同調型アンテナのインピーダンス整合中心周波数を制御すること」は、引用例の記載bにおける「同調型アンテナ10のインピーダンス整合中心周波数は、前記同調型アンテナにインピーダンス整合中心周波数制御回路30を接続し、同インピーダンス整合中心周波数制御回路に対して制御信号発生回路52から第2の制御信号を加えることで制御される。」及び「一般に複数の通話チャネルを切り替えて使用する通信方式に用いられる端末では、中央演算回路からの第1の制御信号によって周波数シンセサイザが生成する局部発振周波数信号の周波数を変化させることで、アンテナより送受信される送受信信号周波数を通話チャネルの周波数に合わせている。従って、第1の制御信号もしくは当該第1の制御信号を生成するために中央演算回路で用いられるデータは中央演算回路により決定された通話周波数情報を含んでおり、これを利用して制御信号発生回路から第2の制御信号を発生させることによって、同調型アンテナのインピーダンス整合中心周波数を通話周波数に同調させることができる。」旨の記載を考慮すれば、「受信した信号の周波数を整合」させることである。
引用例の記載aにおける「インピーダンス整合中心周波数制御回路に前記第2の制御信号を加えることにより前記同調型アンテナのインピーダンス整合中心周波数を制御すること」は、引用例の記載bにおける「同調型アンテナ10のインピーダンス整合中心周波数は、前記同調型アンテナにインピーダンス整合中心周波数制御回路30を接続し、同インピーダンス整合中心周波数制御回路に対して制御信号発生回路52から第2の制御信号を加えることで制御される。」及び「一般に複数の通話チャネルを切り替えて使用する通信方式に用いられる端末では、中央演算回路からの第1の制御信号によって周波数シンセサイザが生成する局部発振周波数信号の周波数を変化させることで、アンテナより送受信される送受信信号周波数を通話チャネルの周波数に合わせている。従って、第1の制御信号もしくは当該第1の制御信号を生成するために中央演算回路で用いられるデータは中央演算回路により決定された通話周波数情報を含んでおり、これを利用して制御信号発生回路から第2の制御信号を発生させることによって、同調型アンテナのインピーダンス整合中心周波数を通話周波数に同調させることができる。」旨の記載を考慮すれば、「印可される第2の制御信号によって、該同調型アンテナで受信した信号の整合を可変」にすることである。
引用例の記載aにおける「周波数シンセサイザに接続された高周波回路」は、引用例の記載bにおける「送信信号は論理回路部で生成され、高周波回路に送られ、高周波回路内で周波数シンセサイザが生成した局部発振周波数信号を用いて周波数変換された後、アンテナから送信される。受信信号はこの逆に、アンテナで受信された後、高周波回路に送られ、高周波回路内で周波数シンセサイザが生成した局部発振周波数信号を用いて周波数変換されて、論理回路に送られる。」旨の記載を考慮すれば、「周波数シンセサイザにより生成された局部発信周波数により定まる周波数で送受信を行おうとするものであり、入力される信号の周波数を変換」するものである。
引用例の記載aにおける「制御信号発生回路」は、引用例の記載cによれば、周波数-電圧変換テーブル53であり、また、引用例の記載aにおける「周波数に前記同調型アンテナのインピーダンス整合中心周波数を合わせるために前記インピーダンス整合中心周波数制御回路に与えるべき第2の制御信号との関係を表形式で記憶」することは、周波数が、一般に「周波数及び通話チャンネル」により、定義されるものであり、また、引用例の記載cにおける「制御信号発生回路は周波数-電圧変換テーブル53と当該周波数-電圧変換テーブルに接続されたディジタル-アナログ変換回路54で構成される。」からみて、「複数の通話周波数および通話チャネル」それぞれに対して、最適の整合をさせるための複数の直流電圧値が格納されている周波数-電圧変換テーブルである。
引用例の記載aの「制御信号発生回路を前記第1の制御信号により設定される局部発信周波数信号で前記高周波回路にて定まる周波数と当該周波数に前記同調型アンテナのインピーダンス整合中心周波数を合わせる」なる記載の意味するところは、周波数が一般に「周波数及び通話チャンネル」により、定義されるものであることから、「周波数及び通話チャンネル」を感知して、それに「同調型アンテナのインピーダンス整合中心周波数を合わせる」ことである。
引用例の記載aにおける「中央演算回路内部によりインピーダンス整合中心回路に加えられる第2の制御信号」は、引用例の記載cの「ディジタル-アナログ変換回路は周波数ー電圧変換テーブルの出力したディジタル信号にしたがって直流電圧を発生する。当該直流電圧は前記第1の制御信号で決定される通話周波数に同調型アンテナの整合中心周波数を合わせ得る直流電圧値を持つ第2の制御信号としてインピーダンス整合中心周波数制御回路に印加されるので、インピーダンス整合中心周波数制御回路によって同調型アンテナのインピーダンス整合中央周波数が前記第1の制御信号で決定される通話周波数と一致するように制御される。」からみて、「周波数-電圧変換テーブルから抽出された周波数及び通話チャンネルに対する直流電圧」をインピーダンス整合中心回路に加えることである。
したがって、引用例に記載された発明は、
「同調型アンテナで受信した信号の周波数を整合させるアンテナの整合装置であって、前記アンテナに接続されており、印加される第2の制御信号によって該アンテナで受信した信号の整合を可変するインピーダンス整合中心周波数制御回路と、入力される信号の周波数を変換する高周波回路と、複数の通話周波数および通話チャネルそれぞれに対して最適の整合をさせるための複数の直流電圧値が格納されている周波数-電圧変換テーブルと、前記高周波回路から出力される前記通話周波数および通話チャネルそれぞれにおいて、前記周波数-電圧変換テーブルから前記通話周波数および通話チャネルに対する直流電圧値を抽出して対応する第2の制御信号を前記インピーダンス整合中心周波数制御回路に印加して、受信信号強度を検出する中央演算回路とを備えた、携帯無線端末のアンテナ整合装置。」というものである(以下、引用例発明という。)。

【3】対比・判断
(対比)
本願発明と引用例発明とを対比すると、引用例発明の「第2の制御信号」、「インピーダンス整合中心周波数制御回路」、「高周波回路」、「通話周波数および通話チャネル」、「高周波回路から出力される通話周波数および通話チャネルの受信信号強度の検出」、「直流電圧値」、「周波数-電圧変換テーブル」、「中央演算回路」及び「携帯無線端末」のそれぞれは、本願発明の「制御電圧」、「整合部」、「基底帯部」、「周波数の帯域およびチャネル」、「基底帯部から出力される周波数の帯域およびチャネルの感知」、「制御電圧に関する情報」、「メモリ」、「制御部」及び「移動通信端末機」のそれぞれに相当するから、両者は、「アンテナで受信した信号の周波数を整合させるアンテナの整合装置であって、前記アンテナに連結されており、印加される制御電圧によって該アンテナを通って受信した信号の整合を可変する整合部と、入力される信号の周波数を変換する基底帯部と、複数の周波数の帯域およびチャネルのそれぞれに対して最適の整合をさせるための複数の制御電圧に関する情報が格納されているメモリと、前記基底帯部から出力される前記周波数の帯域およびチャネルを感知して前記メモリから前記周波数の帯域およびチャネルに対する制御電圧に関する情報を抽出して対応する制御電圧を前記整合部に印加する制御部とを備えた、移動通信端末機のアンテナ整合装置」の点で一致し、以下の(a)、(b)の各点で相違している。
(a)入力される信号が、本願発明においては、整合部がアンテナに連結されて、該アンテナを通って受信した信号を整合するようにし、前記整合部から出力される信号を基底帯部に入力するようにしているのに対して、引用例発明においては、そうではない点。
(b)整合部が、本願発明においては、アンテナに連結されたインダクターと、該インダクターに一方端が連結されて、他方端は接地されて、制御電圧が印加されることにより容量が可変されるバラクタダイオードとを有し、前記バラクタダイオードは、印加される制御電圧が増加すると、容量が減少するようにしているのに対して、引用例発明においては、そうではない点。
(判断)
相違点(a)について、
アンテナで受信した信号の周波数を整合部で整合させるようにした端末機(受信機)のアンテナ整合装置において、前記整合部が前記アンテナに連結されて、前記アンテナを通って受信した信号を整合するようにし、前記整合部から出力される信号を基底帯部(受信回路)に入力するようにすることは周知のことであるから(例えば、特開平7-111470号公報、特開平11-98039号公報の各記載参照)、引用例発明においても、前記周知事項を勘案して、本願発明のように構成することは当業者が容易になし得ることである。
相違点(b)について、
アンテナで受信した信号の周波数を整合部で整合させるようにした端末機(受信機)のアンテナ整合装置において、前記整合部を、前記アンテナに連結されたインダクターと、該インダクターに一方端が連結されて、他方端は接地されて、制御電圧が印加されることにより容量が可変される可変容量ダイオードとを有するものとすることは周知のことであり(例えば、特開平7-111470号公報、特開平11-98039号公報の各記載参照)、また、可変容量ダイオードを、印加される制御電圧が増加すると、容量が減少するものとすることは周知のことであり(例えば、特開平1-303914号公報、特開平11-98039号公報の各記載参照)、さらに、可変容量ダイオードをバラクタダイオードとすることにも格別な意味は認められないから、引用例発明においても、前記各周知事項を勘案して、本願発明のように構成することは当業者が容易になし得ることである。
また、本願発明のように構成することによる作用効果も引用例発明及び各周知事項からみて、格別のものでもない。
したがって、本願発明は、引用例発明、及び、周知技術に基づいて当業者が容易に発明をすることができたものである。

【4】むすび
以上のとおり、本願発明は、引用例発明、及び、周知技術に基づいて、当業者が容易に発明をすることができたものであるから、特許法第29条第2項の規定により特許を受けることができない。

よって、結論のとおり審決する。
 
審理終結日 2007-04-10 
結審通知日 2007-04-11 
審決日 2007-04-24 
出願番号 特願2002-162209(P2002-162209)
審決分類 P 1 8・ 121- Z (H03H)
最終処分 不成立  
前審関与審査官 小林 正明  
特許庁審判長 川嵜 健
特許庁審判官 竹井 文雄
重田 尚郎
発明の名称 移動通信端末機のアンテナ整合装置  
代理人 山本 秀策  
代理人 森下 夏樹  
代理人 安村 高明  

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