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審決分類 審判 査定不服 特17条の2、3項新規事項追加の補正 特許、登録しない。 A47K
審判 査定不服 2項進歩性 特許、登録しない。 A47K
管理番号 1164521
審判番号 不服2005-19540  
総通号数 95 
発行国 日本国特許庁(JP) 
公報種別 特許審決公報 
発行日 2007-11-30 
種別 拒絶査定不服の審決 
審判請求日 2005-10-11 
確定日 2007-09-10 
事件の表示 特願2002-224596「ティシュペーパーを収納した物品」拒絶査定不服審判事件〔平成16年3月4日出願公開、特開2004-65290〕について、次のとおり審決する。 
結論 本件審判の請求は、成り立たない。 
理由 【1】手続の経緯
本願は、平成14年8月1日の出願であって、平成17年9月1日付けで拒絶査定がなされ、これに対し、同年10月11日に拒絶査定に対する審判請求がなされるとともに、同年11月10日に手続補正がなされたものである。


【2】平成17年11月10日付けの手続補正についての補正の却下の決定
[補正の却下の決定の結論]
平成17年11月10日付けの手続補正を却下する。

[理由]
[1]補正事項
本件手続補正は、特許法第17条の2第1項第4号の規定により、願書に添付した明細書を補正するものであって、その補正事項は、特許請求の範囲の請求項1を、以下のように補正することを含むものである。
「【請求項1】二枚重ねで一組としたティシュペーパーの多数組を収納箱内にポップアップ方式で折り畳んで収納し、上面の取り出し口のスリットを通してポップアップするようにしたティシュペーパーを収納した物品において、
一枚の米坪が10?13g/m2であり、
JIS P 8118で規定する二枚重ねでの紙厚が94?120μm、
長さが240±25mm、幅が115±25mm、高さの外寸55.5?64.5mmの寸法で、かつ、収納箱上面の長辺方向のティシュペーパー長さに対する、取り出し口のスリット長の比率が75?85%である収納箱に、
二枚重ねでの嵩密度が0.11以上かつ0.13g/cm3未満、かつ(収納箱の高さの外寸)/(ティシュペーパーの全面積)で表される高さ方向密度の値が2.90?5.60mm/m2、並びに(JIS P 8118で規定する二枚重ねでの紙厚×組数×2)/(収納箱の高さの外寸)の比率が0.55?0.70の条件でティシュペーパーを収納したことを特徴とするティシュペーパーを収納した物品。」


[2]検討
補正事項である「収納箱上面の長辺方向のティシュペーパー長さに対する、取り出し口のスリット長の比率が75?85%である」について検討する。
本願出願当初の明細書(以下、「当初明細書」という。)の記載をみると、「スリット長の比率が75?85%」との事項に関連するものとしては、「収納箱上面の長辺方向のシート長さに対する、取り出し口のスリット長の比率が75?85%であり」(請求項6,段落【0018】,【0034】)と記載され、「スリット長比率対シート長さ」(段落【0054】の表2)と記載され、「シート2にはスリット2Aが形成されているが、このスリット2Aは、シート2を箱1の上面内側へ接着した状態において、窓1Aの幅方向中央部に(箱1の長手方向(ティシュペーパー3の横方向)と沿うように形成されている。スリット2Aの長さは、図1の(a)に示すように、窓1Aの長手方向全長より短くすることが望ましいが、図1の(b)に示すように、窓1Aの長手方向全長と同じ長さにすることも、さらに、図1の(c)に示すように、シート2の横方向長さより短い条件の下で、窓1Aの長手方向全長より長くすることもできる。スリットは通常は図1の(a)の形態で形成され、そのスリット長さは、175mm?185mmが望ましい。前記スリット2Aの長さLは、ティシュペーパーの特徴を考慮して破断を防止する観点から、前述のように、収納箱上面の長辺方向のシート長さに対する比率が75?85%であり、特に76?85%とするのが望ましい。」(段落【0040】?【0041】)と記載されているのみである。
そうすると、当初明細書中には、「シート2」と「スリット長さ」との関係は記載されているものの、「ティシュペーパー長さに対する、取り出し口のスリット長の比率が75?85%である」との記載或いはそれを示唆する記載はなく、また、図面についても同様であり、しかも、補正前の「収納箱上面の長辺方向のシート長さ」という記載を「収納箱上面の長辺方向のティシュペーパー長さ」との記載とすることにより構成が不明確になることからも、「収納箱上面の長辺方向のティシュペーパー長さに対する、取り出し口のスリット長の比率が75?85%である」という事項は、当初明細書又は図面の記載から自明のこととは云えない。
よって、上記補正は、新規事項を追加するものと云わねばならない。


[3]まとめ
したがって、本件手続補正は、平成18年改正前特許法第17条の2第3項の規定に違反するものであるから、同法第159条第1項において読み替えて準用する同法第53条第1項の規定により却下すべきものである。
よって、上記[補正の却下の決定の結論]のとおり、決定する。


【3】本願発明について
平成17年11月10日付けの手続補正は上記のとおり却下されたので、本願の請求項1?6に係る発明は、平成17年3月22日付け手続補正で補正された明細書の特許請求の範囲の請求項1?6に記載された事項により特定される、以下のとおりのものである。
「【請求項1】二枚重ねで一組としたティシュペーパーの多数組を収納箱内にポップアップ方式で折り畳んで収納し、上面の取り出し口のスリットを通してポップアップするようにしたティシュペーパーを収納した物品において、
一枚の米坪が10?13g/m2であり、
JIS P 8118で規定する二枚重ねでの紙厚が94?120μm、
長さが240±25mm、幅が115±25mm、高さの外寸55.5?64.5mmの寸法で、かつ、収納箱上面の長辺方向のシート長さに対する、取り出し口のスリット長の比率が75?85%である収納箱に、
(JIS P 8118で規定する二枚重ねでの紙厚×組数×2)/(収納箱の高さの外寸)の比率が0.55?0.70の条件でティシュペーパーを収納したことを特徴とするティシュペーパーを収納した物品。
【請求項2】?【請求項6】(記載を省略する。)」(請求項1に係る発明を、以下、「本願発明」という。)


[1]引用刊行物
原査定の拒絶の理由に引用され、本願出願前に頒布された刊行物である、特開2001-286414号公報(以下、「引用文献1」という。)には、二枚重ねで一組としたティシュペーパーの多数組を収納箱内にポップアップ方式で折り畳んで収納し、上面の取り出し口のスリットを通してポップアップするようにした、「箱に収納されたティシュペーパー製品」に関して、下記の事項が記載されている。
(イ)「【従来の技術】略直方体の箱内に、複数枚のティシュペーパーを折り畳んで収納したティシュペーパー製品は、JIS S 3104において規格化されているように、一般に、一箱当り、ティシュペーパーを400枚、2枚1組で200組を収納した製品が多く販売されている。また、このようなティシュペーパーを収納する箱としては、当初、箱の外形寸法が250mm(縦)×120mm(横)×110mm(高さ)程度のものが一般に流通していたが、その後コンパクト化により、現今では、箱高さが65mm程度の紙箱が主流となって来ている。」(段落【0002】)
(ロ)「【実施例】以下に実施例を挙げて本発明をより具体的に説明するが、・・・尚実施例及び比較例中の部、%は特に断らない限り質量部、質量%を示す。実施例及び比較例の評価中の測定単位及び測定方法は次のとおりである。
1.坪量:単位g/m2:JIS S 3104による。
2.厚み:単位 mm:JIS P 8118・・・による。但しティシュ製品の厚みは2枚で測定し2で割った。・・・」(段落【0063】?【0064】)
(ハ)「次に、比較例について述べる。
〈比較例1?4〉従来から流通しているボックスティシュの値を示す。
上記実施例と比較例について、上記測定条件によって、ティシュペーパーの引張強さ(横)と、厚み、坪量、密度、吸水度、等の測定を実施してその結果を表1に示した。
【表1】・・・
・・・比較例1?4は、従来から流通しているコンパクトタイプのボックスティシュの実例である。本発明品に比べて、ティシュの厚さは比較的厚く、収納箱の高さに対するティシュ束の高さの比率も比較的小さく設定されているので、収納箱の高さは65mmと高い寸法を必要としている。」(段落【0070】?【0074】)
(ニ)【表1】の比較例1には、箱高さ(内寸法):65mm,ティシュ束の高さ/箱の高さ:46/65(mm/mm),ティシュ製品の坪量:13.6g/cm2,ティシュ製品の厚さ(JIS P 8118による1枚当たりの厚さ):0.047mmとしたものが記載されている。(段落【0072】)
(ホ)「本発明の箱に収納されたティシュペーパー製品のティシュペーパー1枚当りのJIS S 3104で規定する坪量は、10.0?13.0g/m2であることが好ましく、この範囲にすることにより、引張り強度、吸水度、ティシュの取り出し易さ等の品質を所定値に維持しつつ、前記ティシュペーパー枚数に対する箱の高さ寸法(箱の内側寸法)の比を前記所定値内に収めることが出来る。なお、坪量を小さくすると紙厚を薄くできてコンパクト化のために好ましいが、坪量を小さくし過ぎると品質を所定値に収めることが難しくなり、更に抄造時に紙が切れ易くなる等の製造技術上の問題が生じるので、坪量の下限にも当然制約があって、好ましくは、その下限値を10g/m2とするのがよい。」(段落【0028】)
(ヘ)「【請求項1】複数枚のティシュペーパーを2枚1組として所謂ポップアップ方式で折り畳んで略直方体の箱に収納されたティシュペーパー製品において、
収納されたティシュペーパーの枚数に対する箱の内側高さ寸法の比が40/400?60/400 mm/枚であり、該ティシュペーパー1枚当りのJIS P 8118で規定する厚さが0.030?0.043mmであることを特徴とする箱に収納されたティシュペーパー製品。
・・・
【請求項7】前記箱の上面内側に、ティシュ取出用スリットを有するフィルムを貼り付けると共に、該スリットを箱の取出口の中央部において箱の長手方向に配置し、かつ前記スリット長さを、箱上面の長辺長さに対する比で表した場合、66?96%であることを特徴とする請求項1から請求項6のいずれかに記載した箱に収納されたティシュペーパー製品。」(特許請求の範囲)
(ト)「また、本発明における収納箱上面内側に取出口を覆って、ティシュ取出用スリットを有するフィルムが貼り付けられ、取出口の中央部に長手方向に配置されたスリット長さは、箱上面の長辺長さに対する比で表した場合、66?96%であることが好ましい。この比率が66%以下では、最初のティシュを取り出すときにティシュの破れが発生し易くなり、96%を越えるとティシュ残量が少量となったとき取出口から上方に出ているティシュが箱の中に落ち、不具合が発生し易くなると共に、フィルムへのスリット加工や箱(カートン)へのフィルム貼り付け加工が難しくなるからである。尚、下限値66%以上は、68%以上とすると取り出し易くて更に好ましい。」(段落【0034】)
(チ)「・・・収納箱は、上面の短辺寸法(L2)=116mm、長辺寸法(L1)=242mm、箱高さ(内寸、H)=50mmの紙製収納箱である。また、該収納箱のティシュ取出口の寸法は、長手方向最大長さB=192mm、幅A=41.5mm、スリット長さl=170mmである。すなわち、B/L1=79%、A/B=22%、l/L1=70%である。また、・・・箱を形成する紙の厚さは0.5mmである。」(段落【0067】)
(リ)そして、上記(イ)?(ニ)の記載を参照すると、比較例1は、「従来から流通しているコンパクトタイプのボックスティシュの実例」であるので、その収納箱の外形寸法は、長さ(縦)が250mm,幅(横)が120mm,箱高さが65mm程度(但し、比較例1においては、「箱高さ(内寸法)」が65mmであるとしている。)であり、また、「ティシュ製品の厚さ(JIS P 8118による1枚当たりの厚さ)」が「0.047mm」であるので、「JIS P 8118で規定する二枚重ねでの紙厚が94μm」であり、「(JIS P 8118で規定する二枚重ねでの紙厚×組数×2)/(箱高さの内寸)の比率」が0.578であるといえる。
これら(イ)?(ニ),(リ)の比較例1に関する記載等を含む引用文献1全体の記載並びに当業者の技術常識によれば、引用文献1には、以下の従来発明が記載されているものと認められる。
「二枚重ねで一組としたティシュペーパーの多数組を収納箱内にポップアップ方式で折り畳んで収納し、上面の取り出し口のスリットを通してポップアップするようにした箱に収納されたティシュペーパー製品において、
1枚当りの坪量が13.6g/m2であり、
JIS P 8118で規定する二枚重ねでの紙厚が94μm、
長さが250mm、幅が120mm、高さの内寸65mmの寸法である収納箱に、
(JIS P 8118で規定する二枚重ねでの紙厚×組数×2)/(収納箱の高さの内寸)の比率が0.578の条件でティシュペーパーを収納した、箱に収納されたティシュペーパー製品。」(以下、「引用文献1記載の従来発明」という。)


[3]対比
本願発明と引用文献1記載の従来発明とを比較すると、その機能ないし構造等からみて、引用文献1記載の従来発明の「坪量」,「箱に収納されたティシュペーパー製品」が、本願発明の「米坪」,「ティシュペーパーを収納した物品」にそれぞれ相当し、
また、引用文献1記載の従来発明の「坪量13.6g/m2」,「高さの内寸65mm」と、本願発明の「米坪10?13g/m2」,「高さの外寸55.5?64.5mm」とは、「米坪13g/m2程度」,「高さ65mm程度」である点でそれぞれ技術的に共通し、
さらに、引用文献1記載の従来発明の「(JIS P 8118で規定する二枚重ねでの紙厚×組数×2)/(収納箱の高さの内寸)の比率が0.578」については、収納箱を形成する紙の厚さを、例えば、上記(チ)の記載にあるように「0.5mm」とした場合、収納箱の高さの外寸が「66mm」となるので、結局、「(JIS P 8118で規定する二枚重ねでの紙厚×組数×2)/(収納箱の高さの外寸)の比率」として計算すると、「0.569」ということになるから、両者は、
「二枚重ねで一組としたティシュペーパーの多数組を収納箱内にポップアップ方式で折り畳んで収納し、上面の取り出し口のスリットを通してポップアップするようにしたティシュペーパーを収納した物品において、
一枚の米坪が13g/m2程度であり、
JIS P 8118で規定する二枚重ねでの紙厚が94μm(本願発明の94?120μmの範囲内、以下同様。)、
長さが250mm(240±25mm)、幅が120mm(115±25mm)、高さ65mm程度の寸法である収納箱に、
(JIS P 8118で規定する二枚重ねでの紙厚×組数×2)/(収納箱の高さの外寸)の比率が0.569(0.55?0.70)の条件でティシュペーパーを収納した、ティシュペーパーを収納した物品。」の点で一致し、次の点で相違している。
<相違点1>
本願発明では、一枚の米坪が10?13g/m2であって、収納箱の高さの外寸が55.5?64.5mmであるのに対して、引用文献1記載の従来発明では、1枚当りの米坪(坪量)が13.6g/m2であって、収納箱の高さの内寸が65mmである点。
<相違点2>
本願発明では、収納箱上面の長辺方向のシート長さに対する、取り出し口のスリット長の比率が75?85%であるのに対して、引用文献1記載の従来発明では、そのような限定はない点。


[4]判断
上記各相違点について検討する。
<相違点1について>
引用文献1には、上記(ホ)の記載を参照すると、ティシュペーパー一枚の米坪(坪量)として、本願発明で規定されている「10?13g/m2」という数値は通常の範囲のものであり、また、米坪(坪量)を小さくすると紙厚を薄くできて、ティシュペーパー枚数に対する箱の高さ寸法(箱の内側寸法)の比を小さくできることが記載されていることから、引用文献1記載の従来発明の1枚あたりの米坪(坪量)を「13.6g/m2」よりもわずかに小さくして、上記通常の範囲のものであって、本願発明で規定されている「10?13g/m2」の数値範囲とすることは、当業者が必要に応じて随時採用する程度の設計的事項と云うことができ、
また、1枚あたりの米坪(坪量)をわずかに小さくすることに伴って、ティシュペーパー枚数を変えることなしに、箱の高さ寸法も、内寸が65mm(外寸では、例えば、66mm)よりもわずかに小さくして、本願発明で規定されている「高さの外寸55.5?64.5mm」の数値範囲とすることも、当業者が必要に応じて随時採用する程度の設計的事項と云うことができるから、
本願発明の上記相違点1に係る技術事項を想到することは、当業者にとって格別の技術的困難性を要することなく容易になしえたものであると云わざるをえない。
<相違点2について>
引用文献1には、上記(ヘ),(ト)の記載を参照すると、複数枚のティシュペーパーを2枚1組として所謂ポップアップ方式で折り畳んで略直方体の箱に収納し、箱の上面内側に、ティシュ取出用スリットを有するフィルムを貼り付けたティシュペーパー製品において、最初の取り出し時のティシュの破れ防止、ティシュ残量が少量となったときの取り出しやすさ、フィルム(本願発明の「シート」に相当する。)へのスリット加工や箱(カートン)へのフィルム貼り付け加工の容易性等を目的として、スリットを箱の取出口の中央部において箱の長手方向に配置し、箱上面の長辺長さに対するスリット長さの比率を66?96%とすることが記載されており、一方、本願発明も、当初明細書の段落【0018】,【0019】,【0041】の記載を参照すると、ポップアップ性や取り出し時の破断を考慮して、収納箱上面の長辺方向のシート長さに対する、取り出し口のスリット長の比率を75?85%としているものである。
ところで、本願発明の「スリット長さ」については、当初明細書の段落【0041】の記載を参照すると、「175mm?185mmが望ましい。・・・収納箱上面の長辺方向のシート長さに対する比率が75?85%であり、特に76?85%とするのが望ましい。」と記載されているところ、引用文献1には、上記(ト)(チ)の記載を参照すると、収納箱の「長辺寸法(L1)=242mm」に対する「66?96%」の比率でフィルムにスリットを設けた場合、「スリット長さ」が、159.72mm?232.32mmの範囲にあるものが記載されており、当該「スリット長さ」の数値範囲は、本願発明の「スリット長さ」の数値範囲を包含するものである。
してみれば、上述したように、ポップアップ性の向上や取り出し時の破断を防止することを目的として、取り出し口のスリット長を収納箱上面の長辺方向のシート長さに対してどのような比率とするかは、「収納箱上面の長辺方向のシート長さ」や「収納箱の長辺寸法」等のいくつか考えられる指標のうちの、「収納箱上面の長辺方向のシート長さ」を指標として選択し、当該「シート長さ」に対して、最適な範囲を選択した程度のものと云うことができるから、引用文献1記載の従来発明に、引用文献1に記載された「(フィルムに設けた)スリット長さ」を採用して、本願発明の上記相違点2に係る技術事項を想到することは、当業者にとって格別の技術的困難性を要することなく容易になしえたものであると云わざるをえない。
そして、本願発明全体の効果も引用文献1記載の従来発明及び引用文献1のその他の記載事項から当業者が予測し得る範囲のものであって格別なものということができないから、本願発明は、引用文献1記載の従来発明及び引用文献1のその他の記載事項に基づいて当業者が容易に発明をすることができたものである。


[5]むすび
以上のとおり、本願発明は、引用文献1記載の従来発明及び引用文献1のその他の記載事項に基づいて当業者が容易に発明をすることができたものであり、特許法第29条第2項の規定により特許を受けることができないから、本願の他の請求項に係る発明について検討するまでもなく、本願は、拒絶されるべきものである。
よって、結論のとおり審決する。
 
審理終結日 2007-07-17 
結審通知日 2007-07-20 
審決日 2007-07-31 
出願番号 特願2002-224596(P2002-224596)
審決分類 P 1 8・ 561- Z (A47K)
P 1 8・ 121- Z (A47K)
最終処分 不成立  
前審関与審査官 横井 巨人  
特許庁審判長 伊波 猛
特許庁審判官 石井 哲
峰 祐治
発明の名称 ティシュペーパーを収納した物品  
代理人 永井 義久  

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