• ポートフォリオ機能


ポートフォリオを新規に作成して保存
既存のポートフォリオに追加保存

  • この表をプリントする
PDF PDFをダウンロード
審決分類 審判 査定不服 特17条の2、3項新規事項追加の補正 補正却下を取り消す 原査定を取り消し、特許すべきものとする  G11B
審判 査定不服 特174条1項 補正却下を取り消す 原査定を取り消し、特許すべきものとする  G11B
審判 査定不服 5項1、2号及び6項 請求の範囲の記載不備 補正却下を取り消す 原査定を取り消し、特許すべきものとする  G11B
審判 査定不服 2項進歩性 補正却下を取り消す 原査定を取り消し、特許すべきものとする  G11B
審判 査定不服 5項3号及び6項 請求の範囲の記載形式不備 補正却下を取り消す 原査定を取り消し、特許すべきものとする  G11B
管理番号 1164821
審判番号 不服2005-6445  
総通号数 95 
発行国 日本国特許庁(JP) 
公報種別 特許審決公報 
発行日 2007-11-30 
種別 拒絶査定不服の審決 
審判請求日 2005-04-12 
確定日 2007-10-11 
事件の表示 平成7年特許願第73714号「光磁気記録媒体の製造方法」拒絶査定不服審判事件〔平成8年10月18日出願公開、特開平8-273227、請求項の数(5)〕について、次のとおり審決する。 
結論 原査定を取り消す。 本願の発明は、特許すべきものとする。 
理由 1.手続の経緯

本件手続の経緯は、以下のとおりである。

平成 7年 3月30日 本願出願
平成15年 8月13日 拒絶理由通知
平成15年10月24日 意見書、手続補正
平成16年 8月12日 拒絶理由通知
平成16年10月29日 意見書、手続補正
平成16年11月30日 拒絶理由通知<最 後>
平成17年 2月18日 意見書、手続補正
平成17年 3月 9日
平成17年2月18日付け手続補正を却下する旨の決定、拒絶査定
平成17年 4月12日 拒絶査定不服審判請求

2.平成17年3月9日付け補正却下の決定についての判断

(1) 補正却下の決定についての結論

平成17年3月9日付け補正却下の決定を取り消す。

(2) 理 由

補正却下の決定の理由は、平成17年2月18日付け手続補正は、補正の目的が誤記の訂正に該当せず、特許法第17条の2第3項の規定に違反するというものである。

しかし、平成17年2月18日付け手続補正(以下、「補正-3」という。)の補正事項は、明細書の段落〔0040〕の表1及び段落〔0042〕の表2について補正するものであって、特許請求の範囲を補正するものではないから、補正-3が特許法第17条の2第3項(平成6年改正前)の規定に違反するとの理由で却下することはできない。

ここで、補正-3が、本願の願書に最初に添付された明細書(以下、「当初明細書」という。)又は図面に記載した事項の範囲内においてしたものであるか、以下、検討する。

補正-3により補正された表1及び表2の記載事項について、当初明細書の段落〔0040〕の表1及び段落〔0042〕の表2の記載事項と比較すると、補正-3により、それぞれの表におけるスパッタガス圧力(Torr)について、補正前の「×10-2」が「×10-4」に補正されている。
当初明細書の段落〔0034〕〔0041〕には、「製膜中の圧力は1.4×10-4Torrとした」と記載されており、また、本願実施例で使用するイオン・ビーム・スパッタ法は10-4Torr以下の高真空で行うことは当業者に周知の事項であると認められるから、補正-3は願書に最初に添付された明細書又は図面に記載した事項の範囲内でしたものである。

したがって、平成17年3月9日付け補正却下の決定は取り消されるべきである。

3.拒絶査定の理由について

ア.原査定の理由

原査定の拒絶の理由は、平成16年10月29日付けでした手続補正は、願書に最初に添付した明細書又は図面に記載した事項の範囲内でしたものではないから、特許法第17条の2第3項に規定する要件を満たしていないというものである。

ところで、本願は平成7年3月30日の出願であるから、明細書又は図面についての補正については「平成6年改正前特許法第17条第2項」の規定が適用されるので、上記「特許法第17条の2第3項」は「平成6年改正前特許法第17条の2第2項で準用する同法第17条第2項」の誤記である。

イ.平成16年10月29日付け手続補正(以下、「補正-2」という。)の補正事項

平成16年10月29日付手続補正は、段落〔0040〕(表1)、〔0041〕、〔0042〕(表2)を補正するものである。
そして、段落〔0041〕についての補正は、補正前(平成15年10月24日付け手続補正により補正されている。)の
「(実施例6)直径7インチのPtタ-ゲットとCoタ-ゲットを用い、ArスパッタガスでPt/Co交互積層合金膜を形成した。到達圧力は4×10-7Torr、成膜中の圧力は1.4×10-4Torrとした。イオンビ-ムの加速電圧300V、ビ-ム電流を30mAとし、Pt層厚1.2AとCo層厚0.4Aを交互に100周期積層した。このときのPtおよびCoのスパッタ粒子の運動エネルギ-は各々20eVと18eVであり、基板は水冷しておこなった。図2に得られた膜の低角X線回折の結果を示す。人工周期は観察されず、各層が拡散し、合金膜となっていることがわかる。図3に作製した膜の波長400nmにおけるカーループを示す。Hc=1.2kOe、θk=0.35deg、θkr/θks=1.0が得られた。」を
「(実施例6)直径7インチのPtタ-ゲットとCoタ-ゲットを用い、ArスパッタガスでPt/Co合金膜を形成した。到達圧力は4×10-7Torr、成膜中の圧力は1.4×10-4Torrとした。イオンビ-ムの加速電圧300V、ビ-ム電流を30mAとし、Pt層厚1.2AとCo層厚0.4Aを交互に100周期積層した。このときのPtおよびCoのスパッタ粒子の運動エネルギ-は各々20eVと18eVであり、基板は水冷しておこなった。
図2に得られた膜の低角X線回折の結果を示す。人工周期は観察されず、各層が拡散し、合金膜となっていることがわかる。図3に作製した膜の波長400nmにおけるカ-ループを示す。Hc=1.2kOe、θk=0.35deg、θkr/θks=1.0が得られた。」
と補正するものである。

ウ.補正事項についての判断

段落〔0040〕(表1)及び〔0042〕(表2)については、その後、補正-3によってさらに補正されているところ、補正-3を却下した決定は上記のとおり取り消されており、表1及び表2についての補正が願書に最初に添付した明細書又は図面に記載した事項の範囲内においてしたものであることは上記2.(2)で述べたとおりである。

また、明細書の段落〔0041〕についての補正は、補正前の「Pt/Co交互積層合金膜を形成した。」を「Pt/Co合金膜を形成した。」と補正するものであるところ、当初明細書の段落〔0019〕に「本発明においては、Pt層とCo層を交互に積層しても形成することができる。15?30eVの高エネルギ-粒子で交互積層をおこなうと、Pt層とCo層の界面において拡散が生じるため合金膜を得ることができるからである。」と記載されており、当初明細書の段落〔0041〕にも「人工周期は観察されず、各層が拡散し
、合金膜となっていることがわかる。」と記載されている。
したがって、段落〔0041〕において「Pt/Co交互積層合金膜を形成した。」を「Pt/Co合金膜を形成した。」と補正することは、当初明細書又は図面に記載した事項の範囲内においてしたものである。

なお、原査定の理由として、平成16年10月29日付けでした手続補正により段落〔0041〕の「θk=0.30deg」を「θk=0.35deg」に補正することは、当初明細書の記載事項の範囲内ではない旨指摘されている。

しかし、段落〔0041〕における「θk=0.30deg」を「θk=0.35deg」とする補正は、平成15年10月24日付け手続補正(以下、「補正-1」という。)により補正されたものであって、平成16年10月29日付手続補正によるものではない。
ここで、補正-1について付言する。
当初明細書の段落〔0042〕の表2には、実施例6のθkの値は0.35と記載されており、表1及び表2を通して比較例5のみθkの値が0.30であり、それ以外の実施例及び比較例ではθkの値は0.34?0.36である。
また、当初明細書の段落〔0043〕?〔0044〕には、実施例7?11について、実施例6と同様の方法で、表2に記載のスパッタガス、ビ-ム電圧、ビ-ム電流などの条件でPt/Co多層膜を形成したところ、いずれも、Hc=1.0?1.8kOe、θk=約0.35deg、θkr/θks=1.0の良好な垂直磁化膜が得られた旨記載されているところからみて、段落〔0041〕における実施例6のθk=0.30は誤記であると解される。
そうすると、補正-1により、段落〔0041〕における「θk=0.30deg」を「θk=0.35deg」と補正することは、単なる誤記の訂正であって、当初明細書の記載事項の範囲内でした補正であるというべきである。

4.むすび

以上のとおりであるから、本願は、原査定の拒絶理由により拒絶することはできない。
また、他に本願を拒絶すべき理由を発見しない。
よって、結論のとおり審決する。
 
審決日 2007-09-28 
出願番号 特願平7-73714
審決分類 P 1 8・ 534- WYA (G11B)
P 1 8・ 55- WYA (G11B)
P 1 8・ 535- WYA (G11B)
P 1 8・ 561- WYA (G11B)
P 1 8・ 121- WYA (G11B)
最終処分 成立  
前審関与審査官 蔵野 雅昭中野 浩昌  
特許庁審判長 山田 洋一
特許庁審判官 早川 卓哉
横尾 俊一
発明の名称 光磁気記録媒体の製造方法  
代理人 小林 邦雄  

プライバシーポリシー   セキュリティーポリシー   運営会社概要   サービスに関しての問い合わせ