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審決分類 |
審判 査定不服 2項進歩性 特許、登録しない。 A63F |
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管理番号 | 1164916 |
審判番号 | 不服2004-21266 |
総通号数 | 95 |
発行国 | 日本国特許庁(JP) |
公報種別 | 特許審決公報 |
発行日 | 2007-11-30 |
種別 | 拒絶査定不服の審決 |
審判請求日 | 2004-10-14 |
確定日 | 2007-09-27 |
事件の表示 | 特願2000-371146「遊技機」拒絶査定不服審判事件〔平成13年 6月 5日出願公開、特開2001-149592〕について、次のとおり審決する。 |
結論 | 本件審判の請求は、成り立たない。 |
理由 |
第1 手続の経緯・本願発明の認定 本願は、平成5年12月29日に出願された特願平5-350442号の一部を特許法44条1項の規定により新たな特許出願としたものであって、平成16年9月3日付けで拒絶の査定がされたため、これを不服として同年10月14日付けで本件審判請求がされるとともに、同月28日付けで明細書についての手続補正がされた。 したがって、本願の請求項1,2に係る発明(以下「本願発明1」及び「本願発明2」という。)は、平成16年10月28日付けで補正された明細書の特許請求の範囲【請求項1】及び【請求項2】に記載されたとおりの次のものと認める。 本願発明1:「普通図柄始動ゲートと、 前記普通図柄始動ゲートを遊技球が通過したときに最大限度の範囲以内で普図記憶を1だけインクリメントして普図乱数を抽出し、該普図記憶があるときは普図記憶を1だけデクリメントし、抽出した普図乱数に基づいて普通図柄を変動表示可能な普通図柄表示装置と、 開閉作動式の普通電動始動口と、 前記普通図柄表示装置が予め定めた特定図柄を導出することにより、前記普通電動始動口を遊技者に有利な特定遊技状態に変換制御する特定遊技状態制御手段と、 前記普通電動始動口に遊技球が入賞したときに所定数の賞球を排出装置から排出し、かつ最大限度の範囲以内で始動記憶を1だけインクリメントして大当たり乱数を抽出し、該始動記憶があるときは始動記憶を1だけデクリメントし、抽出した大当たり乱数に基づいて複数の特別図柄を変動表示可能な特別図柄表示装置と、 遊技球を受け入れない第一の状態と受け入れやすい第二の状態とに変換する特別変動入賞装置と、 前記特別図柄表示装置が特別態様となる特別図柄の組合せを導出することにより、前記特別変動入賞装置が前記第一の状態と前記第二の状態とを繰り返す特別遊技状態を制御する特別遊技状態制御手段と、 前記特別遊技状態の終了後に、前記特別態様となる特別図柄の組合せを導出する確率を通常動作時の低確率から高くする確率変動の制御を行う確率変動制御手段と、 を備えた遊技機において、 前記特定遊技状態制御手段は、 前記確率変動中にあっては、前記普通図柄表示装置の変動表示時間を短縮するとともに前記特定遊技状態に変換制御されたときの前記普通電動始動口の作動時間を長くすることで、確率変動中のベースを上げることを特徴とする遊技機。」 本願発明2:「普通図柄始動ゲートと、 前記普通図柄始動ゲートを遊技球が通過したときに最大限度の範囲以内で普図記憶を1だけインクリメントして普図乱数を抽出し、該普図記憶があるときは普図記憶を1だけデクリメントし、抽出した普図乱数に基づいて普通図柄を変動表示可能な普通図柄表示装置と、 開閉作動式の普通電動始動口と、 前記普通図柄表示装置が予め定めた特定図柄を導出することにより、前記普通電動始動口を遊技者に有利な特定遊技状態に変換制御する特定遊技状態制御手段と、 前記普通電動始動口に遊技球が入賞したときに所定数の賞球を排出装置から排出し、かつ最大限度の範囲以内で始動記憶を1だけインクリメントして大当たり乱数を抽出し、該始動記憶があるときは始動記憶を1だけデクリメントし、抽出した大当たり乱数に基づいて複数の特別図柄を変動表示可能な特別図柄表示装置と、 遊技球を受け入れない第一の状態と受け入れやすい第二の状態とに変換する特別変動入賞装置と、 前記特別図柄表示装置が特別態様となる特別図柄の組合せを導出することにより、前記特別変動入賞装置が前記第一の状態と前記第二の状態とを繰り返す特別遊技状態を制御する特別遊技状態制御手段と、 遊技機の電源投入から所定時間が経過するまでを、前記特別遊技状態が発生しやすいサービス期間とし、該サービス期間の設定、変更が可能なサービス期間設定変更手段と、 を備えた遊技機において、 前記特定遊技状態制御手段は、 前記サービス期間であるかどうかの判別をしてサービス期間内であれば、前記普通図柄表示装置の変動表示時間を短縮するとともに前記特定遊技状態に変換制御されたときの前記普通電動始動口の作動時間を長くすることで、サービス期間中のベースを上げることを特徴とする遊技機。」 第2 当審の判断 1.引用刊行物の記載事項 原査定の拒絶の理由に引用された特開平5-177041号公報(以下「引用例」という。)には、以下のア?スの記載が図示とともにある。 ア.「複数種類の識別情報を可変表示可能な可変表示部を有する可変表示装置を含み、前記可変表示部の可変停止時の表示結果が予め定められた特定の識別情報になった場合に所定の遊技価値が付与可能となる遊技機であって、 複数種類の識別情報を表示可能な表示部と、 該表示部の表示結果が所定の識別情報となった場合に、前記可変表示部の表示結果が特定の識別情報となる確率を変動させる確率変動手段とを含むことを特徴とする、遊技機。」(【請求項1】) イ.「遊技盤1の前面に形成された遊技領域2には図示しない打球装置によりパチンコ玉が1つずつ打込まれる。この遊技領域2には、複数種類の識別情報が可変表示可能な普通可変表示装置4と、複数種類の識別情報が可変表示可能な特別可変表示装置14とが一体に設けられている。さらに、遊技領域2には、1対の可動翼片9が普通電役物ソレノイド10によって開閉されることにより打玉が入賞しやすい遊技者にとって有利な第1の状態と打玉が入賞できない遊技者にとって不利な第2の状態とに変化する普通可変入賞球装置8が設けられている。この普通可変入賞球装置8は、電動ヤクモノ式始動入賞口を構成しており、第1の状態に変化した後所定期間(たとえば5.9秒)の経過または打玉の所定個数(6個)の入賞のうちいずれか早いほうの条件が成立することにより第2の状態に切替わり打玉が入賞できない状態になる。なお、この普通可変入賞球装置8が第2の状態になれば、打玉がまったく入賞できないのではなく入賞しにくいように構成してもよい。また、第1の状態として所定期間開成させる代わりに所定回数を開閉させるようにしてもよい。」(段落【0010】) ウ.「遊技領域2の下方位置には、開閉板19が開閉することにより打玉が入賞しやすい遊技者にとって有利な第1の状態と打玉が入賞しない遊技者にとって不利な第2の状態とに変化可能な特別可変入賞球装置17が設けられている。なお、この特別可変入賞球装置17が第2の状態では打玉が入賞不可能ではないが入賞困難となるように構成してもよい。さらに遊技領域2には、始動通過口5a,5b、始動入賞口12、通常の入賞口36,37,38が設けられている。」(段落【0011】) エ.「遊技領域2内に打込まれたパチンコ玉が始動通過口5a,5bを通過すれば、その通過玉が始動通過玉検出器6a,6bにより検出され、その検出出力に基づいて普通可変表示装置4の左普通図柄表示器4a,中普通図柄表示器4b,右普通図柄表示器4cが可変開始し、所定時間の経過により、左普通図柄表示器4a,中普通図柄表示器4b,右普通図柄表示器4cの順序で可変表示が停止する。この始動通過口5a,5bをパチンコ玉が通過するごとにその始動通過個数が加算記憶され、その始動通過記憶に基づく普通可変表示装置4の可変表示が行なわれるごとに始動通過記憶値が「1」ずつ減算される。その始動通過記憶値が始動記憶表示器7により表示される。なお、この始動通過個数の記憶の上限はたとえば「4」と定められている。」(段落【0012】) オ.「遊技領域2内に打込まれたパチンコ玉が普通可変入賞球装置8に入賞すれば始動入賞玉検出器11により検出され、その検出出力に基づいて特別可変表示装置14が可変開始される。・・・さらに、打込玉が始動入賞口12に入賞すればその入賞玉が始動入賞玉検出器13により検出され、その検出出力に基づいて特別可変表示装置14が可変開始される。この特別可変表示装置14の可変表示は、所定時間の経過により、左特別図柄表示部14a,右特別図柄表示部14c,中特別図柄表示部14bの順序で停止する。なお、普通可変入賞球装置8にパチンコ玉が入賞するごとにまたは始動入賞口12にパチンコ玉が入賞するごとにその入賞個数が加算記憶され、その入賞記憶に基づいて特別可変表示装置14が可変表示されるごとにその入賞記憶値が「1」ずつ減算される。この始動入賞記憶の上限値はたとえば「4」と定められており、その始動入賞記憶値が始動入賞記憶表示器15により表示される。なお、記憶の上限値をもっと大きな値にしてもよいし上限値を設けないようにしてもよい。」(段落【0013】) カ.「普通可変表示装置4の可変停止時の表示結果が予め定められた識別情報(たとえば3,7,Fのいずれかの図柄からなるぞろ目)となれば、普通可変入賞球装置8の可動部材9が開成して第1の状態になる。この普通可変入賞球装置8への打玉の入賞確率が向上して特別可変表示装置14が可変開始される確率が向上する。この特別可変表示装置14には、中央横およびななめ右上りおよびななめ右下がりの合計3列の当り列(組合せ有効列)が定められおり、この特別可変表示装置14の可変停止時の表示結果が、この3列の当り列上のいずれかにおいて特定の識別情報の組合せ(たとえば777等の大当り図柄)が成立した場合には特定遊技状態が発生し、特別可変入賞球装置17のソレノイド20が励磁されて開閉板19が開成した第1の状態となり、大当り状態となる。この開閉板19が開成すれば、打込玉が入賞領域18に進入可能となる。・・・この特別可変入賞球装置17の第1の状態は、所定時間(たとえば30秒間)の経過または所定個数(たとえば10個)の打玉の入賞のうちいずれか早いほうの条件が成立することにより終了し、第2の状態に切替わる。この特別可変入賞球装置17の第1の状態の期間中に進入したパチンコ玉が1つでも特定入賞領域21内に入賞すれば、その回の第1の状態が終了した後再度開閉板19が開成されて第1の状態が繰返し継続制御される。この繰返し継続制御の上限回数はたとえば16回に定められている。この繰返し継続制御が行なわれた回数が開放回数表示器に兼用されている確率変動用可変表示器24により表示され、特別可変入賞球装置17内に入賞した入賞玉の個数が入賞個数表示器25により表示される。なお、図中16は当り列表示LEDであり、前記特定の識別情報の組合せ成立時等にその組合せが成立した当り列(組合せ有効列)を表示するためのものである。」(段落【0014】) キ.「特別可変表示装置14の停止時の表示結果が大当り図柄となり、大当り状態が発生してその大当り状態が終了したときに、確率変動用可変表示器24が所定時間(たとえば2秒)可変表示した後停止する。その停止時の表示結果が、たとえば3または7のぞろ目からなる確率向上図柄の場合に確率変動条件が成立して、特別可変表示装置14の停止時の表示結果が予め定められた所定の識別情報(たとえば7,F,G等のいずれかの大当り図柄からなるぞろ目)となる確率が向上するように制御され、たとえば3,7以外の数字のぞろ目からなる確率向上図柄の場合に確率変動条件が成立して普通可変表示装置4の停止時の表示結果が予め定められた所定の識別情報(たとえば3,7,Fのいずれかの図柄からなるぞろ目)となる確率が向上するように制御される。なお、確率変動用の専用の表示器で確率変動図柄表示を行なってもよい。」(段落【0015】) ク.「ランダム1カウンタとは、特別可変表示装置14の停止時の表示結果を大当りにするか否かを決定するための1次抽選用のカウンタであり、かつ、確率変動用可変表示器24の表示結果を確率変動図柄(当り図柄)にしないことが決定された場合に確率変動図柄以外の図柄(はずれ図柄)を決定するためのカウンタでもある。ランダム2カウンタとは、特別可変表示装置14の停止時の表示結果を大当りにするか否かを決定するための2次抽選用のランダムカウンタであり」(段落【0031】) ケ.「ランダム4カウンタとは、普通可変表示装置4の停止時の表示結果を当りにするか否かを決定するための抽選用のランダムカウンタである。」(段落【0038】) コ.「普通図柄LEDタイマは普通可変表示装置4の図柄の変動速度を制御するためのものである。また、「基本時間」は、S45またはS46により記憶された時間である。「プロセスタイマA」とは、普通可変表示装置および普通可変入賞球装置を制御するにあたって必要となる各種の制御時間を計時するためのものである。次にS44に進み、普通始動記憶数(図25S164,S36参照)が「2」以上であるか否かの判断が行なわれ、以上である場合にはS46により基本時間短縮を選択して記憶し、「2」未満である場合にはS45により基本時間標準を選択して記憶する処理が行なわれる。この基本時間とは、普通可変表示装置を可変開始してから停止制御に移行するまでの時間であり、基本時間短縮が選択された場合には約1.7秒程度となり、基本時間標準が選択された場合には約5秒となる。」(段落【0056】) サ.「プロセスタイマAに普通電役開放時間(たとえば5.9秒)がセットされる。」(段落【0060】) シ.「特別図柄入賞記憶エリアの入賞記憶数がセットされる。この入賞記憶数が「1」以上の場合には、特別可変表示装置が可変開始されてから停止制御に移行するまでの基本時間を短縮する短縮モードとなる。なお、基本時間を短縮モードにするための条件として、普通可変表示装置が確率向上状態であることを条件に加えてもよい。すなわち、確率向上時にのみ変動時間が短縮されるようにしてもよい。」(段落【0068】) ス.「特別図柄と普通図柄との確率変動条件は、少なくとも確率変動用可変表示器24の表示図柄が所定の図柄に揃った場合に変動するものであれば、それ以外の条件の成立時にも変動させるようにしてもよい。その場合の確率向上条件としては、以下のものが考えられる。・・・ (1) 電源投入後普通可変表示装置4または特別可変表示装置14により所定回数の可変表示が行なわれた場合に確率向上させてもよい。また、特別可変表示装置14の表示結果が大当り図柄と異なる確率向上図柄の組合せあるいは大当り図柄のうちの或る図柄と同じ確率向上図柄の組合せになった場合に確率を向上させてもよい。また、前述したリーチ状態が発生した場合に確率を向上させてもよい。さらに、普通可変表示装置の表示結果が所定の識別情報となった場合に確率を向上させてもよい。この所定の識別情報とは当りとなる表示のうち予め定められた表示や当りとなる表示以外の予め定められた表示、さらには普通可変表示装置4の当りとなるすべての表示等が考えられる。なお、特別可変表示装置14が大当りとなる識別情報の組合せとなった場合に確率を向上させる際においては、大当りの発生とともに確率を向上させてもよい。・・・ (2) 普通可変入賞球装置8や始動入賞口12や始動通過口5a,5bに打玉が入賞したときに抽出したランダムカウンタの値が予め定める値であった場合に確率を向上させてもよい。・・・ (3) 特定の通過領域を打玉が1個または所定個数通過した場合に確率を向上させてもよい。この特定の通過領域とは、遊技領域内に設けられたものであってもよく、特別可変入賞球装置17内に設けられたものであってもよく、さらには普通可変入賞球装置8内に設けられたものであってもよい。・・・ (4) 所定期間(所定時間の経過あるいは所定回数の可変表示)内に当りとなる識別情報の組合せが発生しなかった場合に確率を向上させてもよい。この当りとなる識別情報の組合せが発生しないとは、特別可変表示装置14の大当りとなる識別情報の組合せが発生しない場合と、普通可変表示装置4の当りとなる識別情報の組合せが発生しない場合と、両方の可変表示装置で共に当りとなる識別情報が発生しない場合との3通りが考えられる。・・・ (5) 遊技領域内に打込んだ打玉と遊技機に補給した補給玉との差である差玉数や景品玉の出玉率が所定の値に達した場合に確率を向上させてもよい。この差玉数や出玉率は、開店時からのものであってもよくまた所定時からのものであってもよい。」(段落【0095】?【0100】) 2.引用例記載の発明の認定 引用例には、記載アの「表示結果が特定の識別情報となる確率を変動させる」対象となる「複数種類の識別情報を可変表示可能な可変表示部を有する可変表示装置」として、「普通可変表示装置4」及び「特別可変表示装置14」が記載されている。 「普通可変表示装置4」に関連して、パチンコ玉が始動通過口5a,5bを通過するごとに始動通過個数を加算記憶し(ただし、上限数値の範囲内)、可変表示を行うごとに始動通過記憶値を「1」ずつ減算し、可変停止時の表示結果が予め定められた識別情報となった場合に、普通可変入賞球装置8の可動部材9が開成するものである。 「特別可変表示装置14」に関連して、パチンコ玉が普通可変入賞球装置8又は始動入賞口12に入賞するごとにその入賞個数を加算記憶し(ただし、上限数値の範囲内)、可変表示を行うごとにその入賞記憶値を「1」ずつ減算し、可変停止時の表示結果が大当り図柄となった場合に、特別可変入賞球装置17の開閉板19が開成した状態(記載カの「第1の状態」)、同状態と開閉板19が閉成した状態(記載カの「第2の状態」)が繰り返される。 そして、記載ク,ケによれば、「普通可変表示装置4」及び「特別可変表示装置14」の可変停止時の表示結果は、ランダムカウンタを用いて抽選されている。 したがって、引用例には次のような発明が記載されていると認めることができる。 「普通可変入賞球装置、特別可変入賞球装置、普通可変表示装置及び特別可変表示装置を備えた遊技機であって、 前記普通可変入賞球装置は、パチンコ玉が始動通過口を通過するごとに上限数値の範囲内で始動通過個数を加算記憶し、前記普通可変表示装置の可変表示を行うごとに始動通過記憶値を「1」ずつ減算し、可変停止時の表示結果が予め定められた識別情報となった場合に、普通可変入賞球装置の可動部材が開成するように構成されており、 前記特別可変入賞球装置は、パチンコ玉が前記普通可変入賞球装置又は始動入賞口に入賞するごとに上限数値の範囲内でその入賞個数を加算記憶し、特別可変表示装置の可変表示を行うごとにその入賞記憶値を「1」ずつ減算し、可変停止時の表示結果が大当り図柄となった場合に、前記特別可変入賞球装置の開閉板が開成した第1の状態と閉成した第2の状態が繰り返される大当たり状態となるように構成されており、 前記普通可変表示装置及び前記特別可変表示装置は、複数種類の識別情報を可変表示可能な可変表示部を有し、可変停止時の表示結果はランダムカウンタを用いて抽選された結果であり、 さらに、前記大当たり状態終了後に、ある条件のもとに特別可変表示装置の可変停止時の表示結果が大当り図柄となる確率を向上させ、それとは別の条件のもとで普通可変表示装置の可変停止時の表示結果が前記予め定められた識別情報となる確率を向上させる手段を備えた遊技機。」(以下「引用発明」という。) 3.本願発明1と引用発明との一致点及び相違点の認定 引用発明の「パチンコ玉」、「始動通過口」、「始動通過記憶値」、「普通可変表示装置」、「普通可変入賞球装置」及び「予め定められた識別情報」は、本願発明1の「遊技球」、「普通図柄始動ゲート」、「普図記憶」、「普通図柄を変動表示可能な普通図柄表示装置」、「開閉作動式の普通電動始動口」及び「予め定めた特定図柄」にそれぞれ相当し、「上限数値の範囲内で始動通過個数を加算記憶」と「最大限度の範囲以内で普図記憶を1だけインクリメント」、及び「始動通過記憶値を「1」ずつ減算」と「普図記憶を1だけデクリメント」には表現上の相違しかない。また、引用発明では、普通可変表示装置の可変停止時の表示結果をランダムカウンタを用いて抽選しており、このことと本願発明1における「普図乱数を抽出」及び「抽出した普図乱数に基づいて普通図柄を変動表示」することにも相違がない。さらに、引用発明では、「可変停止時の表示結果が予め定められた識別情報となった場合に、普通可変入賞球装置の可動部材が開成するように構成」しており、可動部材が開成した状態は本願発明1の「普通電動始動口を遊技者に有利な特定遊技状態に変換」した状態と異ならないから、引用発明は本願発明1の「特定遊技状態制御手段」を備える。 引用発明の「特別可変表示装置」、「特別可変入賞球装置」及び「大当り図柄」は、本願発明1の「特別図柄表示装置」、「特別変動入賞装置」及び「特別態様となる特別図柄の組合せ」に相当し、「パチンコ玉が前記普通可変入賞球装置又は始動入賞口に入賞するごとに上限数値の範囲内でその入賞個数を加算記憶」と「前記普通電動始動口に遊技球が入賞したときに、最大限度の範囲以内で始動記憶を1だけインクリメント」、及び「特別可変表示装置の可変表示を行うごとにその入賞記憶値を「1」ずつ減算」と「始動記憶があるときは始動記憶を1だけデクリメント」には表現上の相違しかない。また、引用発明では、特別可変表示装置の可変停止時の表示結果をランダムカウンタを用いて抽選しており、このことと本願発明1における「大当たり乱数を抽出」及び「抽出した大当たり乱数に基づいて複数の特別図柄を変動表示」することにも相違がない。さらに、引用発明の「特別可変入賞球装置の開閉板が開成した第1の状態」及び「閉成した第2の状態」は、本願発明1の「遊技球を受け入れやすい第二の状態」及び「遊技球を受け入れない第一の状態」にそれぞれ相当するから、引用発明の「大当たり状態」と本願発明1の「特別遊技状態」に相違はなく、引用発明は本願発明1でいう「前記特別図柄表示装置が特別態様となる特別図柄の組合せを導出することにより、前記特別変動入賞装置が前記第一の状態と前記第二の状態とを繰り返す特別遊技状態を制御する特別遊技状態制御手段」を備える。 引用発明において「特別可変表示装置の可変停止時の表示結果が大当り図柄となる確率を向上させ」ることと、本願発明1において「特別態様となる特別図柄の組合せを導出する確率を通常動作時の低確率から高くする」ことに相違はないから、引用発明は「前記特別遊技状態の終了後に、前記特別態様となる特別図柄の組合せを導出する確率を通常動作時の低確率から高くする確率変動の制御を行う確率変動制御手段」を備えている。 したがって、本願発明1と引用発明は、 「普通図柄始動ゲートと、 前記普通図柄始動ゲートを遊技球が通過したときに最大限度の範囲以内で普図記憶を1だけインクリメントして普図乱数を抽出し、該普図記憶があるときは普図記憶を1だけデクリメントし、抽出した普図乱数に基づいて普通図柄を変動表示可能な普通図柄表示装置と、 開閉作動式の普通電動始動口と、 前記普通図柄表示装置が予め定めた特定図柄を導出することにより、前記普通電動始動口を遊技者に有利な特定遊技状態に変換制御する特定遊技状態制御手段と、 前記普通電動始動口に遊技球が入賞したときに最大限度の範囲以内で始動記憶を1だけインクリメントして大当たり乱数を抽出し、該始動記憶があるときは始動記憶を1だけデクリメントし、抽出した大当たり乱数に基づいて複数の特別図柄を変動表示可能な特別図柄表示装置と、 遊技球を受け入れない第一の状態と受け入れやすい第二の状態とに変換する特別変動入賞装置と、 前記特別図柄表示装置が特別態様となる特別図柄の組合せを導出することにより、前記特別変動入賞装置が前記第一の状態と前記第二の状態とを繰り返す特別遊技状態を制御する特別遊技状態制御手段と、 前記特別遊技状態の終了後に、前記特別態様となる特別図柄の組合せを導出する確率を通常動作時の低確率から高くする確率変動の制御を行う確率変動制御手段と、 を備えた遊技機。」である点で一致し、次の各点で相違する。 〈相違点1〉本願発明1では「前記普通電動始動口に遊技球が入賞したときに所定数の賞球を排出装置から排出」するとしているのに対し、引用発明ではパチンコ玉が普通可変入賞球装置に入賞した際に「所定数の賞球を排出装置から排出」するかどうか不明な点。 〈相違点2〉本願発明1の「特定遊技状態制御手段」が「前記確率変動中にあっては、前記普通図柄表示装置の変動表示時間を短縮するとともに前記特定遊技状態に変換制御されたときの前記普通電動始動口の作動時間を長くすることで、確率変動中のベースを上げる」としているのに対し、引用発明ではそのような制御をしていない点。 4.本願発明2と引用発明との一致点及び相違点の認定 3.で述べたことを踏まえた上で、本願発明2と引用発明との対比を行う。 本願発明2の「前記普通図柄表示装置の変動表示時間を短縮するとともに前記特定遊技状態に変換制御されたときの前記普通電動始動口の作動時間を長くすること」と、引用発明の「普通可変表示装置の可変停止時の表示結果が前記予め定められた識別情報となる確率を向上させる」ことは、「普通電動始動口」の動作に関して、特別遊技状態が発生しやすい状態を遊技者に提供する点で一致し、かかる状態を提供することは「サービス」といえる。 そして、引用発明において「普通可変表示装置の可変停止時の表示結果が前記予め定められた識別情報となる確率を向上させる」ことは、期間を限定して行われることが明らかであるから、同期間は本願発明2の「特別遊技状態が発生しやすいサービス期間」に相当する。当然、引用発明でもサービス期間であるかどうかの判別をした上で、サービスを提供するものと認める。 したがって、本願発明2と引用発明は、 「普通図柄始動ゲートと、 前記普通図柄始動ゲートを遊技球が通過したときに最大限度の範囲以内で普図記憶を1だけインクリメントして普図乱数を抽出し、該普図記憶があるときは普図記憶を1だけデクリメントし、抽出した普図乱数に基づいて普通図柄を変動表示可能な普通図柄表示装置と、 開閉作動式の普通電動始動口と、 前記普通図柄表示装置が予め定めた特定図柄を導出することにより、前記普通電動始動口を遊技者に有利な特定遊技状態に変換制御する特定遊技状態制御手段と、 前記普通電動始動口に遊技球が入賞したときに最大限度の範囲以内で始動記憶を1だけインクリメントして大当たり乱数を抽出し、該始動記憶があるときは始動記憶を1だけデクリメントし、抽出した大当たり乱数に基づいて複数の特別図柄を変動表示可能な特別図柄表示装置と、 遊技球を受け入れない第一の状態と受け入れやすい第二の状態とに変換する特別変動入賞装置と、 前記特別図柄表示装置が特別態様となる特別図柄の組合せを導出することにより、前記特別変動入賞装置が前記第一の状態と前記第二の状態とを繰り返す特別遊技状態を制御する特別遊技状態制御手段と、 サービス期間であるかどうかの判別をしてサービス期間内であれば、普通電動始動口の動作に関して特別遊技状態が発生しやすいサービスを提供する手段、 を備えた遊技機。」である点で一致し、次の各点で相違する。 〈相違点1’〉本願発明2では「前記普通電動始動口に遊技球が入賞したときに所定数の賞球を排出装置から排出」するとしているのに対し、引用発明ではパチンコ玉が普通可変入賞球装置に入賞した際に「所定数の賞球を排出装置から排出」するかどうか不明な点。 〈相違点3〉本願発明2がサービス期間を「遊技機の電源投入から所定時間が経過するまで」とし、「サービス期間の設定、変更が可能なサービス期間設定変更手段」を備えるのに対し、引用発明はかかる構成を有さない点。 〈相違点4〉本願発明の「サービスを提供する手段」は「特定遊技状態制御手段」であり、サービスの内容を「前記普通図柄表示装置の変動表示時間を短縮するとともに前記特定遊技状態に変換制御されたときの前記普通電動始動口の作動時間を長くすることで、サービス期間中のベースを上げること」と特定しているのに対し、引用発明におけるサービス内容は「普通可変表示装置の可変停止時の表示結果が前記予め定められた識別情報となる確率を向上させる」であり(このサービスも「サービス期間中のベースを上げる」点では一致する。)、「サービスを提供する手段」が「特定遊技状態制御手段」であるかどうか不明確な点。 5.相違点の判断及び本願発明1,2の進歩性の判断 (1)相違点1及び相違点1’について 引用発明の「普通可変入賞球装置」は入賞装置の1つであるから、そこにパチンコ玉(遊技球)が入賞した場合には、遊技者に何らかの価値が与えられると解するべきである。 そして、パチンコ玉を使用する遊技機においては、入賞時に与える価値として、所定数の賞球を排出装置から排出することが古くから行われている手法であるから、相違点1に係る本願発明1の構成を採用すること、及び相違点1’に係る本願発明2の構成を採用することは、いずれも設計事項というべきである。 (2)相違点2について 本願の願書に最初に添付した明細書には、「初当りモーニング期間中は普図の変動時間を短縮してもよい。」(段落【0138】)との記載があり、「普通図柄表示装置の変動表示時間を短縮する」ことに関する記載はこれのみである。同記載中「してもよい」とあるのは、「ホールモーニング期間内であれば、普電の開放時間を通常よりも長い時間にセットして始動入賞数を多くし、特図の大当りを発生しやすくしてもよい。」(段落【0136】)及び段落【0138】中の「通常は普通電動補助装置644a、644bをオープンした後、1個の玉が入賞すると、普通電動補助装置644a、644bを閉鎖するが、初当りモーニング期間中は3個の玉が入賞した後に普通電動補助装置644a、644bを閉鎖するようにする。この制御をホールモーニング期間中に実行してもよい。」等の記載を受けての記載であって、普電の開放時間を通常よりも長い時間にセットすること、普通電動補助装置閉鎖までの入賞個数の拡大、及び普図の変動時間短縮が、モーニング期間中のサービスとして個別に採用できることが記載されていたものの、普電の開放時間を通常よりも長い時間にセットすること及び普図の変動時間短縮を同時採用することが直接的に記載されていたわけではない。 にもかかわらず、その後の補正により請求項1,2に「前記普通図柄表示装置の変動表示時間を短縮するとともに前記特定遊技状態に変換制御されたときの前記普通電動始動口の作動時間を長くする」と記載されていることを考慮すれば、異なる複数のサービス(遊技者に有利な状態を提供すること)が個別に存する場合、複数のサービスを同時に採用することが設計事項であることは、請求人も認識しているというべきであり、当審もそのように認識している。このことは、後記相違点4の判断においても前提とする。 また、引用発明において、特別可変表示装置の可変停止時の表示結果が大当り図柄となる確率を向上させることは、大当りが発生しやすい状態を実現するものであるが、そもそも特別可変表示装置は、普通可変入賞球装置又は始動入賞口への入賞を条件として可変表示されるものであるから、特別可変表示装置の可変表示回数を増やすことによっても大当りが発生しやすい状態が実現されること、及び普通可変入賞球装置の可動部材開成時間が長いほど普通可変入賞球装置への入賞数が多くなり、ひいては特別可変表示装置の可変表示回数が増加することは自明である。そして、何らかの条件に基づいて、特定遊技状態に変換制御されたときの普通電動始動口の作動時間(引用発明の用語に従えば、普通可変入賞球装置の可動部材の開成時間)を長くすることは、例えば特開平4-132579号公報に見られるように周知である(原査定説示のとおりである。)から、引用発明において、特別可変表示装置の可変停止時の表示結果が大当り図柄となる確率を向上させた場合に、それと同時に普通電役開放時間設定(記載サ参照)に当たって、同開放時間を通常時よりも長くする、すなわち、「前記確率変動中にあっては、前記特定遊技状態に変換制御されたときの前記普通電動始動口の作動時間を長くする」との構成を採用することは当業者にとって想到容易である。 さらに、引用例の記載コには、普通可変表示装置を可変開始してから停止制御に移行するまでの時間(本願発明1の「普通図柄表示装置の変動表示時間」に相当)を短縮することに関する記載がある。引用例に記載された短縮条件は、普通始動記憶数(上限値「4」)が「2」以上であることとされているが、変動表示時間を短縮することが、「普通可変入賞球装置」への入賞促進に結びつくこと、ひいては大当りが発生しやすい状態の実現に結びつくことは自明である(例えば、特開平5-177045号公報に「普通図柄表示装置6及び特別図柄表示装置3が表示する図柄の変動時間を短縮するので、図柄の組み合せからみた大当りになる確率は変化していないのであるが、単位時間当りにみた大当りになる確率が向上する。」(段落【0091】)と記載されているとおりである。)から、引用発明において、特別可変表示装置の可変停止時の表示結果が大当り図柄となる確率を向上させた場合に、それと同時に普通図柄表示装置の変動表示時間を長くすることも当業者にとって想到容易である。 そして、本願発明1の「特定遊技状態制御手段」とは「前記普通図柄表示装置が予め定めた特定図柄を導出することにより、前記普通電動始動口を遊技者に有利な特定遊技状態に変換制御する」手段のことであり、同手段が引用発明に備わっていることは前示のとおりであるから、普通電動始動口の作動時間や変動表示時間の制御は、当然「特定遊技状態制御手段」が担うことになる。 (3)相違点3について 引用例の記載スには、普通図柄の確率変動条件として種々の条件が列記されている。 他方、パチンコ店を含む遊技場が開店(本願発明の「遊技機の電源投入」に相当)から所定時間が経過するまで、遊技者に有利な状態を提供するいわゆるモーニングサービスは、例えば特開平5-317508号公報、特開平5-309162号公報又は特開平5-245262号公報に見られるように周知である。 そして、普通図柄の確率を向上することは、まぎれもなく遊技者に有利な状態を提供することにほかならないから、普通図柄の確率変動条件として、モーニング期間(遊技機の電源投入から所定時間が経過するまで)を採用することは、当業者にとって想到容易である。 そして、そのようなサービスの開始時期は開店時(遊技機の電源投入時)と定まっているけれども、終了時については、新装開店時等特別の場合に時間延長することがたやすく想起できるから、「サービス期間の設定、変更が可能なサービス期間設定変更手段」を備えることは設計事項というべきである。 以上のとおりであるから、相違点3に係る本願発明2の構成を採用することは当業者にとって想到容易である。 (4)相違点4について (2)で述べたように、引用例には、普通図柄表示装置の変動表示時間を短縮することの記載があり、変動表示時間の短縮が遊技者に有利な状態であることは自明である。 また、(2)で述べたように、特定遊技状態に変換制御されたときの普通電動始動口の作動時間(引用発明の用語に従えば、普通可変入賞球装置の可動部材の開成時間)を長くすることは周知である。 そして、変動表示時間の短縮及び普通電動始動口の作動時間の延長は、どちらも大当りが発生しやすい状態を実現する点では、引用発明のサービスと異ならない。 そうであれば、引用発明のサービス内容を「前記普通図柄表示装置の変動表示時間を短縮するとともに前記特定遊技状態に変換制御されたときの前記普通電動始動口の作動時間を長くすることで、サービス期間中のベースを上げること」に変更することに困難性はないというべきであり、サービス内容を上記のとおり変更した場合には、サービスを提供する手段が「特定遊技状態制御手段」となることは当然である。さらに、サービス内容を変更しても、「サービス期間中のベースを上げる」ことには変わりがない。 以上のとおりであるから、相違点4に係る本願発明2の構成を採用することは当業者にとって想到容易である。 (5)本願発明1,2の進歩性の判断 以上述べたとおり、相違点1,2に係る本願発明1の構成を採用すること、及び相違点1’?3に係る本願発明2の構成を採用することは設計事項であるか又は当業者にとって想到容易である。 請求人は、確率変動中(請求項1)又はサービス期間内(請求項2)に、普図の変動表示時間を短縮するとともに特定遊技状態に変換制御されたときの普通電動始動口の作動時間を長くすることの利点をるる主張しているが、遊技者に有利な状態としてどのようなものを採用するかに応じて、遊技者及び遊技店にどのような有利性が生じるかは、十分予測できることであって、相違点1,2に係る本願発明1の構成を採用することや相違点1’?3に係る本願発明2の構成を採用することにより、当業者にとって予測困難なほどの格別の作用効果が生じると認めることはできない。 したがって、本願発明1及び本願発明2は、引用発明及び周知技術に基づいて当業者が容易に発明をすることができたものであるから、特許法29条2項の規定により特許を受けることができない。 第3 むすび 本願発明1及び本願発明2が特許を受けることができない以上、本願のその余の請求項に係る発明について検討するまでもなく、本願は拒絶を免れない。 よって、結論のとおり審決する。 |
審理終結日 | 2007-08-01 |
結審通知日 | 2007-08-02 |
審決日 | 2007-08-16 |
出願番号 | 特願2000-371146(P2000-371146) |
審決分類 |
P
1
8・
121-
Z
(A63F)
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最終処分 | 不成立 |
前審関与審査官 | 池谷 香次郎 |
特許庁審判長 |
津田 俊明 |
特許庁審判官 |
川島 陵司 藤田 年彦 |
発明の名称 | 遊技機 |
代理人 | 鹿嶋 英實 |