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審決分類 |
審判 査定不服 2項進歩性 特許、登録しない。 A63F |
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管理番号 | 1166641 |
審判番号 | 不服2004-7985 |
総通号数 | 96 |
発行国 | 日本国特許庁(JP) |
公報種別 | 特許審決公報 |
発行日 | 2007-12-28 |
種別 | 拒絶査定不服の審決 |
審判請求日 | 2004-04-19 |
確定日 | 2007-10-22 |
事件の表示 | 特願2001- 28888「遊技台」拒絶査定不服審判事件〔平成14年 8月13日出願公開、特開2002-224272〕について、次のとおり審決する。 |
結論 | 本件審判の請求は、成り立たない。 |
理由 |
第1 手続の経緯・本願発明の認定 本願は平成13年2月5日の出願であって、平成16年3月15日付けで拒絶の査定がされたため、これを不服として同年4月19日付けで本件審判請求がされたものである。 本願の請求項2に係る発明(以下「本願発明」という。)は、平成16年1月8日付けで補正された明細書の特許請求の範囲【請求項2】に記載された事項によって特定される次のとおりのものと認める。 「複数種類の絵柄を施したリールを複数列備え、メダル又は玉等の遊技媒体を投入し、ゲームの開始操作により前記複数列のリールをリール絵柄表示窓上で移動させると同時に、制御部の内部抽選により予め定められた複数の入賞役のうち、いずれかに当選したか否かを確定し、前記各リールに対応した停止操作により、各リールを、はずれを含む前記内部抽選の結果に基づいた絵柄組み合わせが前記リール絵柄表示窓上に表示されるように制御して停止させ、停止した前記リール絵柄表示窓上の前記絵柄組み合わせが入賞している場合は該入賞に対応する所定の数の遊技媒体を払い出し、内部に貯留装置を有し、精算時に前記貯留装置に貯留された前記遊技媒体を払い出す遊技台において、 前記遊技媒体の払い出しに関する指示を行う指示手段と、 前記指示手段の操作に応じて前記貯留された遊技媒体の払い出し数を変化させる払出数制御手段と、を備え、 前記払出数制御手段は、 前記指示手段に対する操作により前記遊技媒体の払出を開始し、当該払出の最中で再度前記指示手段に対する操作があった場合に前記遊技媒体の払出を停止することを特徴とする遊技台。」 第2 当審の判断 1.引用刊行物記載の発明の認定 原査定の拒絶の理由に引用された特開2000-107355号公報(以下「引用例」という。)には、 「メダルの貯留が可能であり、かつ貯留メダルでゲームの実行を可能としたスロットマシンにおいて、 前記貯留メダルを遊技者が精算するのに操作される精算スイッチと、メダル受け皿へメダルを払い出すためのメダル払出機と、前記精算スイッチの操作に基づいて前記メダル払出機へメダルの払出を指令する制御装置とを備え、 前記制御装置は、精算スイッチが操作されたとき、全枚数の貯留メダルを払い出すようメダル払出機へ指令し、メダル払出機の作動中に精算スイッチの操作以外の操作があったとき、メダルの払出を中止するようメダル払出機へ指令するスロットマシン。」(【請求項10】)との発明(以下「引用発明」という。)が記載されている。 2.本願発明と引用発明との一致点及び相違点の認定 引用例に、「このスロットマシンでは、メダル投入口16へのメダルの投入またはベット釦スイッチ33,34,35の操作で入賞ラインを有効化させた後、始動レバー14の操作で全リール8a,8b,8cを一斉に始動させると、機械内部で抽選処理が行われ、有効な入賞ライン上に、特別入賞シンボルまたは入賞シンボルの組合せが成立するような引込制御を行うか否かが決定される。その後、停止釦スイッチ15a,15b,15cが押操作されたとき、抽選当たりであれば、前記抽選処理の結果に基づく所定のシンボルが、有効な入賞ライン上に停止するよう、各リール8a,8b,8cの停止動作が制御される。」(段落【0041】)との記載があるとおり、引用発明が「複数種類の絵柄を施したリールを複数列備え、メダル又は玉等の遊技媒体を投入し、ゲームの開始操作により前記複数列のリールをリール絵柄表示窓上で移動させると同時に、制御部の内部抽選により予め定められた複数の入賞役のうち、いずれかに当選したか否かを確定し、前記各リールに対応した停止操作により、各リールを、はずれを含む前記内部抽選の結果に基づいた絵柄組み合わせが前記リール絵柄表示窓上に表示されるように制御して停止させ、停止した前記リール絵柄表示窓上の前記絵柄組み合わせが入賞している場合は該入賞に対応する所定の数の遊技媒体」相当の価値を遊技者に付与するスロットマシン(本願発明の「遊技台」に相当)を前提とすることは明らかである。 本願発明の「停止した前記リール絵柄表示窓上の前記絵柄組み合わせが入賞している場合は該入賞に対応する所定の数の遊技媒体を払い出し」について検討するに、本願発明は「内部に貯留装置を有し、精算時に前記貯留装置に貯留された前記遊技媒体を払い出す遊技台」であるから、入賞しても「入賞に対応する所定の数の遊技媒体」が受け皿等に必ず払い出されるわけではない。この点につき、平成19年8月17日に電話にて、請求人代理人に確認したところ、代理人は、受け皿に遊技媒体を物理的に払い出す趣旨ではなく、クレジット付与も含め、入賞価値を与えるという広義の意味で「払い出し」との用語を用いている旨回答した。当審も、例えば本件出願前に頒布された特開2000-342754号公報に「クレジット方式が採用されている場合に・・・入賞時に報賞として払い出されるメダル枚数」(段落【0023】)との記載があることをも考慮して、請求人の上記回答のとおり解釈することが妥当と考える。すなわち、「停止した前記リール絵柄表示窓上の前記絵柄組み合わせが入賞している場合は該入賞に対応する所定の数の遊技媒体を払い出し」との発明特定事項は本願発明と引用発明との一致点となる。仮に、遊技媒体を物理的に払い出すことがあり得るとの趣旨だとしても、メダルの貯留が可能なスロットマシンにおいても、「入賞に対応する所定の数の遊技媒体」を物理的払い出すことは十分あり得る(例えば、本件出願前に頒布された特開2000-217968号公報に「メダル送出指令は、遊技者が精算スイッチ36を押操作して貯留メダルの精算を行う場合や、切換スイッチ37により従来のゲーム方式が選択された状態で入賞や特別入賞が成立した場合にメインCPU43より発せられる。」(段落【0036】)と記載されているとおりである。)から、せいぜい設計事項程度である。そのため、以下では一致点として扱う。 引用発明は「メダルの貯留が可能」であるから、本願発明でいう「貯留装置」を内部に有するとともに、「精算時に前記貯留装置に貯留された前記遊技媒体を払い出す遊技台」である。 引用発明の「精算スイッチ」は本願発明の「遊技媒体の払い出しに関する指示を行う指示手段」に相当し、引用発明の「制御装置」と本願発明の「払出数制御手段」は、「貯留された遊技媒体の払い出し数を変化させる」点、「指示手段に対する操作により前記遊技媒体の払出を開始」する点、及び払出の最中(引用発明の「メダル払出機の作動中」がこれに相当)に何らかの操作(その操作自体は、本願発明と引用発明の相違点となる。)があった場合に「遊技媒体の払出を停止する」点で一致する。 したがって、本願発明と引用発明とは、 「複数種類の絵柄を施したリールを複数列備え、メダル又は玉等の遊技媒体を投入し、ゲームの開始操作により前記複数列のリールをリール絵柄表示窓上で移動させると同時に、制御部の内部抽選により予め定められた複数の入賞役のうち、いずれかに当選したか否かを確定し、前記各リールに対応した停止操作により、各リールを、はずれを含む前記内部抽選の結果に基づいた絵柄組み合わせが前記リール絵柄表示窓上に表示されるように制御して停止させ、停止した前記リール絵柄表示窓上の前記絵柄組み合わせが入賞している場合は該入賞に対応する所定の数の遊技媒体を払い出し、内部に貯留装置を有し、精算時に前記貯留装置に貯留された前記遊技媒体を払い出す遊技台において、 前記遊技媒体の払い出しに関する指示を行う指示手段と、 前記貯留された遊技媒体の払い出し数を変化させる払出数制御手段と、を備え、 前記払出数制御手段は、 前記指示手段に対する操作により前記遊技媒体の払出を開始し、当該払出の最中に何らかの操作があった場合に前記遊技媒体の払出を停止する遊技台。」である点で一致し、次の点で相違する。 〈相違点〉遊技媒体の払出を停止する契機となる「何らかの操作」が本願発明では「再度前記指示手段に対する操作」であり、そのため「払出数制御手段」は「指示手段の操作に応じて前記貯留された遊技媒体の払い出し数を変化させる」のに対し、引用発明における「何らかの操作」は「精算スイッチの操作以外の操作」であり、そのため「払出数制御手段」は「精算スイッチ(指示手段)の操作及び精算スイッチの操作以外の操作に応じて前記貯留された遊技媒体の払い出し数を変化させる」というべき点。 3.相違点についての判断及び本願発明の進歩性の判断 一般に、機器に特定の作業を開始させ、同作業実行中に同作業を停止するに当たり、作業開始のたの部材と作業停止のための部材を同一部材とし、操作時における機器の状況に応じて、操作に基づく制御を異ならせることは周知である。そのことは、多くの電子機器において、電源オンとオフが同一ボタンで操作されることや、TV又はVTRにおいてメニュー画面を表示するためのボタンとメニュー画面終了のボタンが共通化されていることから明らかである。 引用発明においても、上記周知技術を採用できない理由は見あたらない。引用発明に上記周知技術を採用すれば、遊技媒体の払出開始と払出停止は同一指示手段で操作されることになり、それは相違点に係る本願発明の発明特定事項にほかならないから、相違点に係る本願発明の発明特定事項を採用することは当業者にとって想到容易である。また、同発明特定事項を採用したことによる格別の作用効果を認めることもできない。 したがって、本願発明は引用発明及び周知技術に基づいて当業者が容易に発明をすることができたものであるから、特許法29条2項の規定により特許を受けることができない。 第3 むすび 本願発明が特許を受けることができない以上、本願の請求項1に係る発明について検討するまでもなく、本願は拒絶を免れない。 よって、結論のとおり審決する。 |
審理終結日 | 2007-08-22 |
結審通知日 | 2007-08-27 |
審決日 | 2007-09-07 |
出願番号 | 特願2001-28888(P2001-28888) |
審決分類 |
P
1
8・
121-
Z
(A63F)
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最終処分 | 不成立 |
前審関与審査官 | 土屋 保光 |
特許庁審判長 |
津田 俊明 |
特許庁審判官 |
小田倉 直人 川島 陵司 |
発明の名称 | 遊技台 |
代理人 | 大塚 康弘 |
代理人 | 高柳 司郎 |
代理人 | 大塚 康徳 |
代理人 | 木村 秀二 |