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審決分類 審判 査定不服 2項進歩性 特許、登録しない。 A63F
管理番号 1169460
審判番号 不服2005-1077  
総通号数 98 
発行国 日本国特許庁(JP) 
公報種別 特許審決公報 
発行日 2008-02-29 
種別 拒絶査定不服の審決 
審判請求日 2005-01-18 
確定日 2007-12-14 
事件の表示 平成 6年特許願第 32831号「パチンコ機」拒絶査定不服審判事件〔平成 7年 8月15日出願公開、特開平 7-213723〕について、次のとおり審決する。 
結論 本件審判の請求は、成り立たない。 
理由 第1 手続の経緯 ・本願発明の認定
本願は平成6年2月4日の出願であって、平成16年12月17日付けで拒絶の査定がされたため、これを不服として平成17年1月18日付けで本件審判請求がされたものである。
本願請求項1に係る発明(以下「本願発明」という。)は、平成16年7月22日付け手続補正書により補正された特許請求の範囲【請求項1】に記載された事項により特定される次のとおりのものと認める。
「機枠をプラスチックにより形成したパチンコ機において、前記機枠に対して遊技盤を前面側から固定手段を介して着脱可能に取り付け、前記機枠の裏側に取り付けられる裏部品を、賞球貯留用のタンクとタンクレールとをユニット化した賞球補給ユニットと、前記タンクレールから供給される賞球を所定個数ずつ排出する賞球排出ユニットと、少なくともセーフ玉樋部をユニット化した下部ユニットとからなる3つのユニットに分離して組み立て、前記機枠の裏側に裏部品取付部を一体に形成し、この裏部品取付部に、前記3つのユニットを個別に取り付け、前記下部ユニットは、前記裏部品取付部に対して係合手段により着脱可能に係合保持されていることを特徴とするパチンコ機。」

第2 当審の判断
1. 引用刊行物の記載事項
これに対して、原査定の拒絶の理由に引用された特開平3-295578号公報(以下「引用例1」という。)には、次の事項が記載されている。
ア.「前面側に遊技盤収納部が設けられた遊技盤収納フレーム部分と、発射された遊技球を遊技盤のガイドレール方向に案内する発射レールおよび供給皿への賞球排出口から溢れた賞品球や発射し損なった遊技球を受皿中に案内する溢れ球・ファウル球受樋が取り付けられるベース部分とが相互に一体に成形されたフレームベースを備え、該フレームベースの裏側に、賞球排出系統を構成する各種部品がユニット化されて取り付けられていることを特徴とするパチンコ遊技機。」(【請求項1】)
イ.「このパチンコ遊技機1は、同図に示すように、前面枠200と、該前面枠200の表側に開閉自在に取り付けられたガラス枠300と、同前面枠200の裏側に取り付けられたフレームベース400と、該フレームベース400の前側の遊技盤収納部410(第2図)中に収脱自在に収容される遊技盤500とを備え、」(第2頁左下欄第10?16行)
ウ.「フレームベース400は前記前面枠200の裏側にその左右両側部を遊技盤係止装置510,510によって保持された状態で取り付けられている。」(第3頁右上欄第14?17行)
エ.「ロックレバ-513は該ロックレバ-513を回動操作するための操作部513aと前記遊技盤500をフレームベース400の収容部410中に収容した状態でその前面側に接触して係止する係止部513bを備え」(第3頁左下欄第2?6行)
オ.「また、フレームベース400の裏側上部には、賞品球としての遊技球を貯留するための上タンクユニット451、および該上タンク451中の遊技球(賞品球)を斜め下方に流下案内する誘導樋ユニット452等が着脱可能に設置されている。また、その裏側の一側寄りには前記誘導樋ユニット452によって流下案内された賞品球としての遊技球を所定個数ずつ排出させる賞球排出ユニット453、および該賞球排出ユニット453によって排出された賞品球を前記供給皿202や受皿(図に現われていない。)中に流出させる導出樋ユニット455が着脱可能に設置されている。」(第3頁右下欄第1?12行)
カ.「そして、そのフレームベースには賞球排出系統を構成する各種部品がユニット化されて取り付けられているので、その取り付けがユニット単位で行われることとなって製造工程が容易になるとともに、その交換もユニット単位で行われることとなってその交換が容易になるとともに使用可能な部品の廃棄という無駄が少なくなる。」(第4頁右下欄第6?13行)

2.引用例1記載の発明の認定
したがって、引用例1には、次のような発明が記載されていると認めることができる。
「フレームベース前面側の遊技盤収納部に遊技盤を収脱自在に収容し、遊技盤をフレームベースに収容した状態で係止するロックレバーを設け、前記フレームベースの裏側に取り付けられる部品を、賞品球としての遊技球を貯留するための上タンクユニットと、誘導樋ユニットと、前記誘導樋ユニットによって流下案内された賞品球としての遊技球を所定個数ずつ排出させる賞球排出ユニットと、前記賞球排出ユニットによって排出された賞品球を供給皿や受皿中に流出させる導出樋ユニットとからなる4つのユニットに分離して組み立て、前記フレームベースを一体に形成し、このフレームベースの裏側に、前記4つのユニットを個別に取り付け、前記導出樋ユニットは、前記フレームベースの裏側に対して着脱可能に設置されているパチンコ機。」(以下、「引用発明」という。)

3.本願発明と引用発明との一致点及び相違点の認定
本願発明と引用発明とを対比すると、引用発明の(a)「収脱自在」、(b)「ロックレバー」、(c)「部品」、(d)「誘導樋ユニットによって流下案内された賞品球としての遊技球を所定個数ずつ排出させる賞球排出ユニット」及び(e)「賞球排出ユニットによって排出された賞品球を供給皿や受皿中に流出させる導出樋ユニット」は、それぞれ本願発明の(a)「着脱可能」、(b)「固定手段」、(c)「裏部品」、(d)「タンクレールから供給される賞球を所定個数ずつ排出する賞球排出ユニット」及び(e)「少なくともセーフ玉樋部をユニット化した下部ユニット」に相当することが明らかである。そして、本願発明の「機枠」は、機枠の裏側に裏部品取付部を形成していることから、引用発明の「前面枠」と「フレームベース」が本願発明の「機枠」に相当するものと認められる。また、フレームベースの前面側に遊技盤収納部が設けられており、引用例1第2図には遊技盤収納部410の裏側の一部に遊技盤の裏側を保持点検させるための開口440については記載されているがフレームベースの前面側以外から遊技盤を取り付けることが可能な構造は記載されていないことから、引用発明は、フレームベースに対して遊技盤を前面側から取り付けているものと認められる。さらに、引用発明はフレームベースの裏側に部品を取り付けているので、フレームベースの裏側の部品を取り付けている部分が本願発明の「裏部品取付部」に相当し、フレームベースが一体に形成されていることからフレームベースの裏側も当然一体に形成されているものと認められる。よって両者は、
「機枠の一部に対して遊技盤を前面側から固定手段を介して着脱可能に取り付け、前記機枠の一部の裏側に取り付けられる裏部品を、タンクレールから供給される賞球を所定個数ずつ排出する賞球排出ユニットと、少なくともセーフ玉樋部をユニット化した下部ユニットを含む複数のユニットに分離して組み立て、前記機枠の一部の裏側に裏部品取付部を一体に形成し、この裏部品取付部に、前記ユニットを個別に取り付け、前記下部ユニットは、前記裏部品取付部に対して着脱可能に保持されているパチンコ機。」
である点で一致するが、次の点で相違する。
(相違点1)
本願発明が「機枠をプラスチックにより形成」し、機枠の裏側に裏部品取付部を一体に形成しているのに対し、引用発明は、前面枠とフレームベースを別体とし、素材について明らかでない点。
(相違点2)
本願発明が「賞球貯留用のタンクとタンクレールとをユニット化した賞球補給ユニット」としているのに対し、引用発明では、同ユニット相当部品が賞品球としての遊技球を貯留するための上タンクユニットと誘導樋ユニットの2つのユニットにわかれている点。
(相違点3)
本願発明は「下部ユニットは、前記裏部品取付部に対して係合手段により着脱可能に係合保持されている」としているのに対し、引用発明の導出樋ユニットは、フレームベースの裏側に着脱可能に設置されているが、裏部品取付部に対して係合手段により着脱可能に係合保持されているか明らかでない点。

4.相違点についての判断及び本願発明の進歩性の判断
(1)相違点1について
パチンコ機の機枠を裏側に部品を取り付けている部分も含めて、プラスチックにより一体成形することは、周知技術(必要であれば、原査定の拒絶の理由に引用された実願平3-56618号(実開平5-185号)のCD-ROM(段落【0013】、【0015】)、特開平5-31244号公報(段落【0016】、【0017】)、特開平5-31245号公報(段落【0013】、【0014】)を参照されたい。)にすぎず、引用発明の前面枠とフレームベースをプラスチックにより一体に形成するようになすことは、当業者が容易に想到し得る事項にすぎない。
すなわち、相違点1に係る本願発明の構成を採用することは、当業者にとって容易に想到し得る事項である。

(2)相違点2について
引用例1第4頁左下欄第15?19行には「賞球排出系統を構成する部品を上タンクユニット451、賞球排出ユニット453、誘導樋ユニット452および導出樋ユニット455の4つのユニットとして構成したが、それに限定せず幾つのユニットとして構成してもよい。」との記載があることから、引用発明の賞品球としての遊技球を貯留するための上タンクユニットと誘導樋ユニットを1つのユニットとすること、換言すれば、相違点2に係る本願発明の構成を採用することは設計事項というべきである。

(3)相違点3について
2つの部材を係合手段により着脱可能に係合保持することは、周知技術(必要ならば、特開平5-293216号公報(段落【0027】?【0029】、【0036】?【0038】、図7、12?14)、特開平5-96051号公報(段落【0011】、【0013】、【0043】、【0044】)を参照されたい。)にすぎず、引用発明の導出樋ユニットをフレームベースの裏側に着脱可能に設置する構成に上記周知技術の係合保持の構成を採用することを妨げる理由もないので、引用発明に上記周知技術を採用して導出樋ユニットを裏部品取付部に対して係合手段により着脱可能に係合保持するようになすことは、当業者が容易に想到する事項にすぎない。
なお、相違点3について請求人は「引用文献1の発明には、パチンコホールの店員が下部ユニットを取り外してメンテナンスをするという技術思想がなく」(平成17年2月15日付け手続補正書第4頁第49、50行)と主張するが、引用例1第2頁左上欄第1、2行には「パチンコ遊技店の営業時間中などにおけるメンテナンス」と記載されているので、引用例1は導出樋ユニットの着脱を行ってパチンコ遊技店の営業時間中などにおけるメンテナンスを行うことも当然考慮しているものと認められる。
以上のとおり、相違点3に係る本願発明の構成を採用することは、当業者にとって容易に想到し得る事項である。

(4)本願発明の進歩性の判断
以上述べたとおり、相違点1?3に係る本願発明の構成を採用することは、当業者にとって容易に想到し得る事項であるか設計事項であり、これら構成を採用したことによる格別の作用効果を認めることもできない。
したがって、本願発明は、引用発明、及び周知技術に基づいて、当業者が容易に発明をすることができたものであるから、特許法第29条第2項の規定により特許を受けることができない。

第3 むすび
本願発明が特許を受けることができない以上、本願のその余の請求項に係る発明について検討するまでもなく、本願は拒絶を免れない。
よって、結論のとおり審決する。
 
審理終結日 2007-10-16 
結審通知日 2007-10-17 
審決日 2007-11-02 
出願番号 特願平6-32831
審決分類 P 1 8・ 121- Z (A63F)
最終処分 不成立  
前審関与審査官 井海田 隆  
特許庁審判長 津田 俊明
特許庁審判官 野村 伸雄
中槙 利明
発明の名称 パチンコ機  
代理人 加古 宗男  

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