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この審決には、下記の判例・審決が関連していると思われます。
審判番号(事件番号) データベース 権利
平成17行ケ10197審決取消請求事件 判例 特許
平成17行ケ10312審決取消請求事件 判例 特許
平成16ワ14321特許権譲渡代金請求事件 判例 特許
平成14行ケ199特許取消決定取消請求事件 判例 特許
不服20058936 審決 特許

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審決分類 審判 査定不服 特37条出願の単一性 特許、登録しない(前置又は当審拒絶理由)(定型) G01N
審判 査定不服 特36条6項1、2号及び3号 請求の範囲の記載不備 特許、登録しない(前置又は当審拒絶理由)(定型) G01N
審判 査定不服 2項進歩性 特許、登録しない(前置又は当審拒絶理由)(定型) G01N
管理番号 1169629
審判番号 不服2005-4852  
総通号数 98 
発行国 日本国特許庁(JP) 
公報種別 特許審決公報 
発行日 2008-02-29 
種別 拒絶査定不服の審決 
審判請求日 2005-03-22 
確定日 2007-12-17 
事件の表示 特願2001-334218「DNAスピンマッピング装置及びその医療装置」拒絶査定不服審判事件〔平成15年 5月14日出願公開、特開2003-139676〕について、次のとおり審決する。 
結論 本件審判の請求は、成り立たない。 
理由 本願は、平成13年10月31日の出願であって、その請求項1-5に係る発明は、平成17年3月22日付け手続補正書により補正された特許請求の範囲の請求項1-5に記載された事項により特定されるとおりのものであると認める。
これに対して、平成19年7月10日付けで拒絶理由を通知し、期間を指定して意見書を提出する機会を与えたが、請求人からは何らの応答もない。

拒絶理由の内容は、以下の通りである。
『理由1

本件出願は、下記の点で平成15年改正前特許法第37条に規定する要件を満たしていない。


独立請求項1と独立請求項3とは、DNAスピンマッピングを得るという点で共通しているものの、DNAスピンマッピングを得ること自体は下記理由2において示す引用文献1に記載されているので、この点が共通する主要部であると認めることはできない。
そして、独立請求項1に係る発明は、DNAスピンマッピング装置の構造として特定の構成を有する交換相互作用の測定装置を用いる点を発明の主要部としているのに対して、独立請求項3に係る発明は、収集されたDNAスピンマッピングデータに対してデータを変更する点を発明の主要部としており、それぞれの主要部には共通する点はないから、請求項1及び2に係る発明と請求項3?5に係る発明との間には共通する主要部は存在しない。また、主要部が異なるから、共通する課題も見いだせない。

したがって、請求項1及び2に係る発明と請求項3?5に係る発明とは特許法第37条第1項及び第2項に規定する関係を有しておらず、また、同条第3?5項に規定する関係を有していないことも明らかである。

理由2

本件出願の下記の請求項に係る発明は、その出願前日本国内または外国において頒布された下記の刊行物に記載された発明に基づいて、その出願前にその発明の属する技術の分野における通常の知識を有する者が容易に発明をすることができたものであるから、特許法第29条第2項の規定により特許を受けることができない。


請求項1について
引用文献1:澤村誠、細井浩貴、アグス・スバギョ、末岡和久、武笠幸一
「スピンプローブによる電気化学過程 -DNAスピンマッピ
ングの可能性」2001年(平成13年)秋季第62回応用
物理学会学術講演会講演予稿集第2分冊、2001年9月
11日発行、第505ページ
引用文献1には、生化学材料におけるラジカルの振る舞いに着目し、スピンプローブによって電気化学過程をコントロールする方法の例として、スピン偏極走査型トンネル顕微鏡(SP-STM)や交換相互作用力顕微鏡(EFM)を利用してDNAオブザベーション、スピンマッピング及びマニピュレーションを行うことが記載されているとともに、前記方法を用いてチミンのメチル基周囲に局在したスピンの状態を測定することが記載されている。
上記引用文献1には、上記交換相互作用力顕微鏡の具体的な構成について記載されていないが、走査型プローブ顕微鏡の技術分野において、試料を、相互の離間距離が、伝導電子雲(波動関数)が重なり始めるところから、局在電子雲(波動関数)が殆ど重ならないところまでの近接領域で、探針と対向させ、この近接領域内において、前記探針に作用する力を測定する交換相互作用力顕微鏡は周知であり(例えば、特許第3210961号公報、特許第3057222号公報等参照)、引用文献1に記載された発明において、上記交換相互作用力顕微鏡の具体的な構成として、上記周知技術を適用することにより請求項1に係る発明とすることは当業者が容易に想到し得ることである。

請求項2について
引用文献1
引用文献2:特開2000-180341号公報
引用文献2には、探針に電磁力又は電気力を付与し、磁気共鳴による探針磁化反転・変調作用を生成させ、前記探針・試料間に働く交換相互作用力を計測する磁気共鳴型交換相互作用力顕微鏡が記載されており、引用文献1に記載された発明における交換相互作用力顕微鏡の具体的な構成として、前記周知技術の構成及び引用文献2に記載された構成を適用することにより請求項2に係る発明とすることは当業者が容易に想到し得ることである。

請求項3について
引用文献1
引用文献1には、生化学材料におけるラジカルの振る舞いに着目し、スピンプローブによって電気化学過程をコントロールする方法の例として、スピン偏極走査型トンネル顕微鏡(SP-STM)や交換相互作用力顕微鏡(EFM)を利用してDNAオブザベーション、スピンマッピング及びマニピュレーションを行うことが記載されているとともに、前記方法を用いてチミンのメチル基周囲に局在したスピンの状態を測定することが記載されている。

引用文献1には、前記スピンプローブによるマニピュレーションをどのように行うのかについて具体的な記載はないが、前記マニピュレーションはスピンプローブによって電気化学過程をコントロールするためのものであり、また、引用文献1に記載された発明における電気化学過程としては前記ラジカルの振る舞いに関わるスピンの状態を含むものであると認められるところ、一般に測定結果のデータを標準データと比較することは測定分野において広く行われている周知の技術であり、引用文献1に記載された発明において、DNAのオブザベーション、スピンマッピング及びマニピュレーションを行う際に、上記周知技術のように測定されたDNAスピンマッピングデータと標準のDNAスピンマッピングデータとを比較することにより請求項3に係る発明とすることは当業者が容易に想到し得ることである。

請求項4について
引用文献1
引用文献1に記載された発明においては、スピンプローブを用いて上記マニピュレーションを行うものであるから、上記請求項3に述べた理由と同様の理由により、請求項4に係る発明は引用文献1に記載された発明及び周知の技術に基づいて当業者が容易に想到し得るものである。

請求項5について
引用文献1
引用文献1には、上記交換相互作用力顕微鏡のプローブがナノチューブであることは記載されていないが、上記のように周知である交換相互作用力顕微鏡は、磁性を有するプローブを用いた原子間力顕微鏡(AFM)を利用するものであり、前記原子間力顕微鏡における磁性を有するプローブとして磁性を有するナノチューブのプローブは周知であるから(例えば、特開2000-227435号公報、特開2000-249712号公報、特開2000-321292号公報、特表2000-516708号公報、特開2001-68052号公報、中山喜萬「カーボンナノチューブのSPM探針への展開」表面科学、Vol.21, No.9, 2000年9月10日、pp.540-545等参照)、引用文献1に記載された交換相互作用力顕微鏡に利用される磁性を有するプローブを用いた原子間力顕微鏡として、周知である上記磁性を有するナノチューブプローブを用いた原子間力顕微鏡を適用して請求項5に係る発明とすることは当業者が容易に想到し得ることである。

理由3

本件出願は、明細書及び図面の記載が下記の点において不備であるから、特許法第36条第6項第2号に規定する要件を満たしていない。



請求項1及び3には、「生体試料が生成している該生体試料の表面に現れる各種ラジカル反応時のラジカル、スピン分布」との記載があるが、上記生体試料とDNAとの関係が不明瞭であり、上記生体試料の「・・・分布」からどのようにして「DNAスピンマッピング」が得られるのか不明である。

請求項1には、「伝導電子(波動関数)」との記載があるが、「伝導電子雲(波動関数)」の誤記ではないかと考えられる。

請求項3には、「生体試料のDNAスピンマッピングデータを変更する装置」との記載があるが、装置内のデータを変更するのかDNAスピンそのものを変更するのか不明瞭である。

請求項3には、「前記生体試料のDNAスピンマッピングデータと標準のDNAスピンマッピングデータとを比較し」、「前記生体試料のDNAスピンマッピングデータを変更する」と記載されているが、後者の「変更」を行う際に、前者の比較結果を用いているのか否か不明である。

請求項4には、「前記生体試料のラジカル、スピンに対して作用するプローブ」との記載があるが、前記「作用」の技術的意味が不明瞭である。

よって、請求項1?5の記載は明確でない。』

そして、上記の拒絶理由は妥当なものと認められるので、本願は、この拒絶理由によって拒絶すべきものである。
よって、結論のとおり審決する。
 
審理終結日 2007-10-11 
結審通知日 2007-10-16 
審決日 2007-10-30 
出願番号 特願2001-334218(P2001-334218)
審決分類 P 1 8・ 64- WZF (G01N)
P 1 8・ 537- WZF (G01N)
P 1 8・ 121- WZF (G01N)
最終処分 不成立  
前審関与審査官 野田 洋平遠藤 孝徳小野 忠悦  
特許庁審判長 高橋 泰史
特許庁審判官 秋田 将行
樋口 宗彦
発明の名称 DNAスピンマッピング装置及びその医療装置  
代理人 清水 守  

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