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審決分類 審判 査定不服 2項進歩性 特許、登録しない。 H04N
審判 査定不服 5項独立特許用件 特許、登録しない。 H04N
審判 査定不服 特17条の2、3項新規事項追加の補正 特許、登録しない。 H04N
審判 査定不服 2項進歩性 特許、登録しない。 H04N
管理番号 1169847
審判番号 不服2007-4026  
総通号数 98 
発行国 日本国特許庁(JP) 
公報種別 特許審決公報 
発行日 2008-02-29 
種別 拒絶査定不服の審決 
審判請求日 2007-02-08 
確定日 2007-12-20 
事件の表示 特願2005-322898「ビデオカメラ」拒絶査定不服審判事件〔平成18年 3月23日出願公開、特開2006- 81216〕について、次のとおり審決する。 
結論 本件審判の請求は、成り立たない。 
理由 第1 経緯
1.手続
本件出願は、平成6年10月21日に出願した特願平6-281522号の一部を平成17年11月7日に新たな特許出願としたものであって、平成18年8月22日付けで拒絶理由が通知され、平成18年10月30日付けで手続補正がなされたが、平成18年12月26日付けで拒絶査定がなされたものである。
本件は、上記拒絶査定を不服として平成19年2月8日付けで請求された拒絶査定不服審判であり、平成19年3月12日付けで手続補正(明細書、特許請求の範囲又は図面について請求の日から30日以内にする補正)がなされた。

2.拒絶査定
拒絶査定の理由は、概略次のようなものである。

本件出願の請求項1ないし3に係る発明は、その出願前日本国内において頒布された下記刊行物に記載された発明に基づいて、その出願前にその発明の属する技術の分野における通常の知識を有する者が容易に発明をすることができたものであるから、特許法第29条第2項の規定により特許を受けることができない。

刊行物1:実願平1-38147号(実開平2-130165号)のマイ クロフィルム
刊行物2:特開平6-169418号公報
刊行物3:特開平4-273365号公報
刊行物4:実願昭63-140568号(実開平2-61244号)のマ イクロフィルム


第2 平成19年3月12日付け手続補正の却下の決定

補正却下の決定の結論
平成19年3月12日付け手続補正を却下する。

補正却下の理由
1.平成19年3月12日付け手続補正
平成19年3月12日付け手続補正(以下、本件補正という)は、特許請求の範囲を次のように補正する補正を含むものである。

「【請求項1】
被写体像を撮像する撮像部と、
撮像された映像信号を表示する表示面を備えた表示部とを有するビデオカメラにおいて、
上記表示部の一側辺部を回動可能に支持する回動支持部と、
上記回動支持部の回動軸と直交する方向に上記表示部を回動可能にする補助回動手段と、
上記ビデオカメラによる撮影動作の開始または停止を指示する操作手段とを備え、
上記撮像部は、該ビデオカメラの前方の側面に配置されるとともに、上記操作手段は、該ビデオカメラの後方を向いた側面に配置され、
上記回動支持部および上記補助回動手段による回動動作により、上記表示部の上記表示面が上記ビデオカメラの後方を向くようにされた状態において、上記操作手段による上記撮影動作の開始または停止がなされる
ことを特徴とするビデオカメラ。

【請求項2】
上記表示部の上記表示面は、さらに、上記回動支持部および上記補助回動手段による回動動作により、上記ビデオカメラの前方を向くようにされる
ことを特徴とする請求項1に記載のビデオカメラ。

【請求項3】
上記表示部が上記回動支持部による回動動作によって所定の範囲に位置するとき、上記補助回動手段による上記表示部の回動動作を禁止する回動動作禁止手段をさらに備え、
上記表示部は、上記回動支持部による回動動作によって上記表示部の上記表示面と該ビデオカメラの本体部側面とが略90度の角度をなすとき、上記補助回動手段による上記表示部の上記回動動作が可能である
ことを特徴とする請求項1に記載のビデオカメラ。」(補正前)を、

「【請求項1】
被写体像を撮像する撮像部と、
撮像された映像信号を表示する直視型の表示面を備えた表示部とを有するビデオカメラにおいて、
上記表示部の一側辺部を回動可能に支持する回動支持部と、
上記回動支持部の回動軸と直交する方向に上記表示部を回動可能にする補助回動手段と、
上記ビデオカメラによる撮影動作の開始または停止を指示する操作手段とを備え、
上記撮像部は、該ビデオカメラの前方該ビデオカメラの前方の側面に配置されるとともに、上記操作手段は、該ビデオカメラの前方の側面と反対側の側面であって、該ビデオカメラの後方を向いた側面に配置され、
上記回動支持部および上記補助回動手段による回動動作により、上記表示部の上記表示面が上記ビデオカメラの後方を向くようにされた状態において、上記操作手段による上記撮影動作の開始または停止がなされる
ことを特徴とするビデオカメラ。

【請求項2】
上記表示部の上記表示面は、さらに、上記回動支持部および上記補助回動手段による回動動作により、上記ビデオカメラの前方を向くようにされる
ことを特徴とする請求項1に記載のビデオカメラ。

【請求項3】
上記表示部が上記回動支持部による回動動作によって所定の範囲に位置するとき、上記補助回動手段による上記表示部の回動動作を禁止する回動動作禁止手段をさらに備え、
上記表示部は、上記回動支持部による回動動作によって上記表示部の上記表示面と該ビデオカメラの本体部側面とが略90度の角度をなすとき、上記補助回動手段による上記表示部の上記回動動作が可能である
ことを特徴とする請求項1に記載のビデオカメラ。」(補正後)とする。
上記特許請求の範囲に係る補正は、次の補正事項からなる。
[補正事項1]
「撮像された映像信号を表示する表示面を備えた表示部とを有するビデオカメラにおいて、」(補正前)を「撮像された映像信号を表示する直視型の表示面を備えた表示部とを有するビデオカメラにおいて、」と補正する補正。

[補正事項2]
「上記撮像部は、該ビデオカメラの前方の側面に配置されるとともに、」(補正前)を、「上記撮像部は、該ビデオカメラの前方該ビデオカメラの前方の側面に配置されるとともに、」(補正後)と補正する補正。

[補正事項3]
「上記操作手段は、該ビデオカメラの後方を向いた側面に配置され、」(補正前)を「上記操作手段は、該ビデオカメラの前方の側面と反対側の側面であって、該ビデオカメラの後方を向いた側面に配置され、」(補正後)とする補正。

2.補正の検討
(1)補正事項1の検討
補正事項1は、「表示面」について「直視型の」という特定を付加する補正である。
この「直視型の」という用語は、本件出願の願書に最初に添付した明細書、特許請求の範囲又は図面(以下、当初明細書等という)に明記されていないが、当初明細書等には図面と共に次の記載がある。

(以下、当初明細書等の記載)
【背景技術】
【0002】
近年、小型ビデオカメラに液晶表示装置(以下、「LCD」という。)を用いた電子ビューファインダー(以下、「EVF」という。)を外部に一体化して設けたものがある。
【0003】
このようなビデオカメラとして、例えば、2つの筐体を連結手段によって一体的に連結し、一方の筐体が本体部、他方の筐体がEVF部とされ、本体部には撮影レンズ、CCD等が内部に収納され、EVF部には主にEVFやビデオテープの録再機構等が収納されたものがある。
【0004】
また、別な例としては、本体部の筐体内に撮影レンズ、CCD、ビデオテープの録再機構等が収納されたビデオカメラであって、この本体部の外部にファインダーとは別に大型のEVFを付加したものもある。
【0005】
【特許文献1】実願平1‐38147号の願書に添付された明細書及び図面を撮影したマイクロフィルム(実開平2‐130165号)
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
ところで、上記したような従来のEVFを一体化したビデオカメラにあっては、EVF部あるいはEVFが本体部に対して開閉あるいは回転するだけであって、ビデオカメラの使用時におけるEVF部あるいはEVFの視認性を高めるための角度調整範囲の自由度が限定されていた。
【0007】
また、後者の例においては、EVFの表示面が外側を向いたまま本体部側に収納されるものもあり、このような状態ではEVFの表示面に傷や汚れが付着したり、甚だしい場合にはLCDが損傷してしまうといった問題があり、従って、このような問題を回避するためにEVFの表示面が内側を向いた状態で本体部側に収納されるようにしたものもあるが、このようにEVFの表示面が内側を向いた状態で収納したままでは、EVFの表示面が見えず、このままでは使用できないという新たな問題があった。
【0008】
そこで、本発明は、ビデオカメラの使用時におけるEVF部あるいはEVFの視認性を高めるための角度調整範囲の自由度をより高めること、及びEVFを本体部に収納する際に、回動支持部が本体部の一部と接触したり、回動支持部がこじられて破損したりすることがないようにすることを課題とする。
(以上、当初明細書等の記載)

上記記載および図面の記載から、当初明細書等記載の表示装置は、その表示面を使用者が直接見るものであり、直視ということができるから、「表示面」について「直視型の」という特定を付加する補正は、願書に最初に添付した明細書、特許請求の範囲又は図面の範囲内でする補正である。そして、「表示面」について「直視型の」という特定を付加する補正は、「表示面」について「直視型の」という限定をするものであるから、特許請求の範囲の減縮ということができる。

したがって、補正事項1は、平成6年改正前特許法第17条の2第2項において準用する同法第17条第2項の規定に適合し、同法第17条の2第3項第2号を目的とするものである。

(2)補正事項2の検討
補正事項2は、「該ビデオカメラの前方」という特定を繰り返す補正である。この補正は明らかに誤記であり、この誤記により、補正の前後において請求項1に係る発明に何ら変わりはないので、補正事項2は実質的に補正に該当しない。

(3)補正事項3の検討
補正事項3は、「該ビデオカメラの後方を向いた側面」をさらに「該ビデオカメラの前方の側面と反対側の側面であって、」と特定するものである。
当初明細書等には、

【0015】
2はビデオカメラ1の本体部であり、該本体部2は合成樹脂によって形成され、前方を向いた側面には被写体撮影用のレンズ3や図示しない内臓マイク等が取着されており、後方を向いた側面には撮影時のスタート/ストップスイッチ4等が設けられ、そして、右側面5にはビデオカメラを保持するためのグリップベルト6が取着されている。

とあり、「ビデオカメラの後方を向いた側面」について説明がなされているが、この「ビデオカメラの後方を向いた側面」が、「該ビデオカメラの前方の側面と反対側の側面」であるとは明記されていない。しかしながら、図1から図3の記載からみて、スタート/ストップスイッチ4等が設けられている後方を向いた側面が、ビデオカメラの前方の側面と反対側の側面であることを見て取ることができるから、「該ビデオカメラの後方を向いた側面」をさらに「該ビデオカメラの前方の側面と反対側の側面であって、」と特定する補正は、願書に最初に添付した明細書、特許請求の範囲又は図面の範囲内でする補正である。そして、「ビデオカメラの後方を向いた側面」をさらに「ビデオカメラの前方の側面と反対側の側面」であると限定するものであるから特許請求の範囲の減縮ということができる。

したがって、補正事項3は、平成6年改正前特許法第17条の2第2項において準用する同法第17条第2項の規定に適合し、同法第17条の2第3項第2号を目的とするものである。

(4)独立特許要件の検討
補正事項1、3は平成6年改正前特許法第17条の2第3項第2号(特許請求の範囲の減縮)を目的とするものであるから、さらに、平成18年改正前特許法第17条の2第5項で準用する同法第126条第5項の規定に適合するか検討する。

ア.本願補正後発明
本件補正後の特許請求の範囲の請求項1に記載された撮像部の配置される側面に関する「該ビデオカメラの前方該ビデオカメラの前方の」との繰り返しの記載は誤記であって、正しくは「該ビデオカメラの前方の」であると認めて、本件補正後の請求項1に係る発明(以下、本願補正後発明という)は、次のとおりである。

被写体像を撮像する撮像部と、
撮像された映像信号を表示する直視型の表示面を備えた表示部とを有するビデオカメラにおいて、
上記表示部の一側辺部を回動可能に支持する回動支持部と、
上記回動支持部の回動軸と直交する方向に上記表示部を回動可能にする補助回動手段と、
上記ビデオカメラによる撮影動作の開始または停止を指示する操作手段とを備え、
上記撮像部は、該ビデオカメラの前方の側面に配置されるとともに、上記操作手段は、該ビデオカメラの前方の側面と反対側の側面であって、該ビデオカメラの後方を向いた側面に配置され、
上記回動支持部および上記補助回動手段による回動動作により、上記表示部の上記表示面が上記ビデオカメラの後方を向くようにされた状態において、上記操作手段による上記撮影動作の開始または停止がなされる
ことを特徴とするビデオカメラ。

イ.刊行物の記載
実願平1-38147号(実開平2-130165号)のマイクロフィルム(以下、刊行物1という)には、図面と共に次の記載がある。

(1)「本考案は、(中略)モニター付ビデオカメラに関する。」(明細書第2頁2行?5行)

(2)「ビデオカメラは、撮像している画面を視認しながら撮影を行うようになっているが、最近小型の液晶テレビが鮮明に映像されるようになったことから、この撮像画面の視認に液晶テレビが使用されるようになってきた。この液晶テレビをモニターとして用いると、大型画面が容易に得られるので、従来の光学式ファインダーやCRTを使った電子ビューファインダーとは異なり、ビデオ本体に接眼して観察するのではなく、ビデオ本体から或る距離を離して観察できるものであるから、ビデオ本体を撮影し易い任意な位置に保持して撮影することが可能になった。」(明細書第2頁7行?18行)

(3)「本考案は、ファインダーとして比較的大型の液晶モニター(例えば、3インチ以上)を備えたビデオカメラに関するものであり、この型のビデオカメラでは撮影する場合、従来のようにファインダーを覗き込んで構えるのではなく、モニターから目を20?30cm程度離して構える構え方となる。そのために上記モニターとビデオカメラを保持するグリップの取付角度の両方を調整する必要があるが、その調整を一方の調整だけで両方の調整ができるようにしようとするものである。(中略)例えば、第3図に示すように、このタイプのカメラの構え方として3つのパターンが考えられる。まず、a図は最も自然な描写の撮影を行う場合で、このような場合にはカメラを目の高さまで持ち上げて構えて撮影する(アイレベル)。このような場合、モニター画面をカメラ1に対してほぼ垂直に回動させて、モニター画面を観察者に対向させる。」(明細書第4頁11行?第6頁3行)

(4)「第1図及び第2図に本考案の一実施例のビデオカメラ(以下カメラと呼ぶ)の外観斜視図を示す。第1図及び第2図において、1はカメラ本体、2は撮影レンズ、3は撮影画像をモニターしたり、再生画面を観るための比較的大型の液晶モニター(以下モニターと呼ぶ)、4はカメラを持つためのグリップ、5はモニターを収納・取出し方向(矢印b方向)に回動させるためのモニター軸、6はカメラの電源スイッチ、7は撮影録画するための録画スイッチである。」(明細書第7頁8行?17行)

(5)「第4図において、5はモニター軸で中空になっており、両端部5b,5cを垂直軸頸部としてカメラの外装1aに回動可能(第1図矢印b方向)に嵌合させてあり、軸頸部5cの先端部に歯車5dを一体的に嵌着してある。同歯車5dをカメラ外装1a内部に設置されたモニター回転モータ11の回転軸に設けられたギヤ12と歯合わせて、モニター回転モータ11を駆動させることで、モニター3を収納・取出し方向(矢印b方向)に回動させる。」(明細書第7頁20行?第8頁9行)

(6)「第5図はモニター部を上面から見た断面図である。(中略)また、モニター3のモニター軸5と反対側の側面に凹部3bを設け、係止爪16をカメラ外装1aにビス止めされた係止バネ17の先端にビスで固定し、モニター3が収納位置に位置した時に上記係止爪16が上記凹部3bと係合するように配置し、この係止機構によりモニター3が収納位置に確実に保持されるようにしている。」(明細書第8頁15行?第9頁9行)

(7)「モニター軸5の中央部には水平方向の穴部5aが設けられている。3aはモニター3から突出した中空軸部で、上記モニター軸5の内部に通じる穴部5aに回動可能(第1図矢印a方向)に嵌合されている。」(明細書第9頁11行?15行)

(8)「本実施例では、モニターの仰角駆動を90°(モニター3が垂直)から0°(モニター3が水平)とし、これを第1表のように3分割している。」(明細書第10頁11行?13行)

ウ.対比
(ア)ビデオカメラ
刊行物1には、モニター付ビデオカメラに関する発明が記載(上記イ.刊行物の記載(1))されており、
カメラ本体1、撮影レンズ2等を有し(上記イ.刊行物の記載(3))ており、刊行物1記載のビデオカメラは、本願補正後発明と同様に「被写体像を撮像する撮像部」を有しており、
また、上記イ.刊行物の記載(2)、(3)、(4)から、モニターは「ビデオ本体に接眼して観察するのではなく、ビデオ本体から或る距離を離して観察できるもの」であって、本願補正後発明でいう「直視型の表示面」を有するものであるから、
刊行物1記載のビデオカメラは、本願補正後発明の「被写体像を撮像する撮像部と、撮像された映像信号を表示する直視型の表示面を備えた表示部とを有するビデオカメラ」に相当する。

(イ)回動支持部、補助回動手段
上記イ.刊行物の記載(5)、(7)、(8)、第1図から、刊行物1記載のモニター軸5は、モニターを第1図矢印b方向に回動させるものであり、本願補正後発明の「上記表示部の一側辺部を回動可能に支持する回動支持部」に相当する。また、中空軸部3aは、モニターを第1図矢印a方向に回動させるものであり、本願補正後発明の「上記回動支持部の回動軸と直交する方向に上記表示部を回動可能にする補助回動手段」に相当する。

(ウ)操作手段
刊行物1には、上記イ.刊行物の記載(4)、第1図等にあるように、「撮影録画するための録画スイッチ」7が記載されている。この録画スイッチ7は操作手段であって「撮影録画するための」ものであるが、本願補正後発明の「撮影動作の開始または停止を指示する」ものであるか不明である。
刊行物1記載のビデオカメラは、通常のビデオカメラがなされるように撮影動作の開始、撮影動作の停止がなされるものと考えられるが、そのための操作手段および操作に関して明記されていない。
したがって、刊行物1には、「ビデオカメラによる撮影動作の開始または停止を指示する操作手段」は明記されていない。

(エ)撮像部の配置
刊行物1記載のビデオカメラの撮像部は、撮影レンズ2が本体の前方に設けられており(第1図等)、設けられている場所はビデオカメラの前方の側面といえるから、刊行物1記載のビデオカメラの撮像部は、本願補正後発明同様に「ビデオカメラの前方の側面に配置される」ということができる。

(オ)操作手段の配置
上記(ウ)操作手段でも述べたように、刊行物1には、本願補正後発明の「ビデオカメラによる撮影動作の開始または停止を指示する操作手段」に相当する操作手段は明記されておらず、本願補正後発明の「該ビデオカメラの前方の側面と反対側の側面であって、該ビデオカメラの後方を向いた側面」という配置も記載されていない。

(カ)操作手段による操作
上記(イ)回動支持部、補助回動手段で述べたモニター軸5、中空軸部3aにより、刊行物1記載のビデオカメラのモニター3は、上記イ.刊行物の記載(3)、(6)、第1図、第2図、第3図a、第5図にあるように、「モニター画面をカメラ1に対してほぼ垂直に回動させて、モニター画面を観察者に対向させ」ており、刊行物1記載のビデオカメラも本願補正後発明同様に「回動支持部および補助回動手段による回動動作により、表示部の表示面が上記ビデオカメラの後方を向くようにされた状態」をとるものである。
また、上記(ウ)操作手段でも述べたように、刊行物1記載のビデオカメラは、撮影動作の開始、撮影動作の停止がなされるものと考えられるが、そのための操作手段および操作に関して明記されていない。
したがって、刊行物1記載のビデオカメラは、本願補正後発明と同様に「回動支持部および補助回動手段による回動動作により、上記表示部の上記表示面が上記ビデオカメラの後方を向くようにされた状態」は有するものの、その状態において本願補正後発明の「操作手段による撮影動作の開始または停止がなされる」ものであるか不明である。

エ.一致点・相違点
(ア)上記対比によると、本願補正後発明と刊行物1に記載された発明(以下、刊行物1発明という)とは、次の点で一致する。
[一致点]
被写体像を撮像する撮像部と、
撮像された映像信号を表示する直視型の表示面を備えた表示部とを有するビデオカメラにおいて、
上記表示部の一側辺部を回動可能に支持する回動支持部と、
上記回動支持部の回動軸と直交する方向に上記表示部を回動可能にする補助回動手段と、
を備え、
上記撮像部は、該ビデオカメラの前方の側面に配置され、
上記回動支持部および上記補助回動手段による回動動作により、上記表示部の上記表示面が上記ビデオカメラの後方を向くようにされた状態を有する
ことを特徴とするビデオカメラ。

(イ)また、本願補正後発明と刊行物1発明とは、次の点で相違する。
[相違点]
本願補正後発明において、「ビデオカメラによる撮影動作の開始または停止を指示する操作手段」を有し、「上記操作手段は、該ビデオカメラの前方の側面と反対側の側面であって、該ビデオカメラの後方を向いた側面に配置され、」、表示部の表示面がビデオカメラの後方を向くようにされた状態において、「上記操作手段による上記撮影動作の開始または停止がなされる」ことに対し、刊行物1発明では、「ビデオカメラによる撮影動作の開始または停止を指示する操作手段」は明記されておらず、その操作手段の配置も記載されておらず、表示部の表示面がビデオカメラの後方を向くようにされた状態において、その「操作手段による上記撮影動作の開始または停止がなされる」ものか不明である点。

オ.検討
(ア)相違点の検討
a.操作手段とその配置
上記ウ.対比(ウ)、(オ)、(カ)で述べたように、刊行物1記載のビデオカメラは、通常のビデオカメラがなされるように撮影動作の開始、撮影動作の停止がなされるものと考えられ、そのような撮影動作の開始、撮影動作の停止をなさせるための操作手段を設けることは当然になされることである。同時に、ビデオカメラにおける操作手段などの装置の配置は、下記刊行物5から8に様々な配置がなされることからも理解できるように、適宜に設計できる設計事項である。
ビデオカメラの撮影動作の開始、撮影動作の停止をなさせるための操作手段として、本願補正後発明のような「撮影動作の開始または停止を指示する操作手段」は、特開平5-304627号公報(以下、刊行物5という)、特開平4-114568号公報(以下、刊行物6という)、特開平5-344466号公報(以下、刊行物7という)、実願昭62-90844号(実開昭63-198276号)のマイクロフィルム(以下、刊行物8という)に記載されているようにビデオカメラにおいて周知である。そして、その配置についても、刊行物5から8のいずれもが、ビデオカメラの後方を向いた側面に配置されているものであり、更に、刊行物5、6、7にあっては、ビデオカメラの前方の側面と反対側の側面でもあるものであるから、「撮影動作の開始または停止を指示する操作手段」を「ビデオカメラの前方の側面と反対側の側面であって、該ビデオカメラの後方を向いた側面に配置」することも、ビデオカメラにおいて周知である。
そうすると、ビデオカメラにおいて周知である「撮影動作の開始または停止を指示する操作手段」を「ビデオカメラの前方の側面と反対側の側面であって、該ビデオカメラの後方を向いた側面に配置」することを、刊行物1発明に採用することは、当業者が適宜になし得たことである。

(以下、刊行物5から8の記載)
刊行物5には図面と共に以下の記載がある。
【0002】
【従来の技術】一般に、ビデオカメラのサイドグリップはビデオカメラ本体の側部に形成され、グリップした親指で操作される録画ボタンを有している。この録画ボタンを録画一時停止中にワンプッシュすると録画を開始し、再度ワンプッシュすると録画一時停止となる。

【0003】そこで、従来、ビデオカメラ本体の横幅を小さくするために、図9に示すように親指レスト1を録画ボタン2の回りに回動自在に配設し、親指レスト1の使用時に図9上で反時計回り方向に回動させ、ビデオカメラ本体(サイドグリップ3)からはみ出させて親指置きスペースを確保するようにしたものがある。

【0008】これらの図に示すように、ビデオカメラ本体20には、図1上で矢印方向(ビデオカメラ本体20の左右方向)に回動自在に回動部材10が配設されており、この回動部材10の右側半分に親指レスト10Aが形成され、親指レスト10Aの左側に録画ボタン12が配設されている(図2参照)。図4(A)及び(B)はそれぞれ回動部材10を含む要部拡大図であり、図4(A)は回動部材10をビデオカメラ本体20から突出させた状態に関して示しており、図4(B)は回動部材10をビデオカメラ本体20に収納した状態に関して示している。

図9には、録画ボタン2がビデオカメラの後面に配置されていることが図示されている。この後面はビデオカメラの後方を向いた面でもある。

図1から4には、録画ボタン12がビデオカメラの後方を向いた面に配置されていることが図示されている。


刊行物6には図面と共に以下の記載がある。
「第3図において、14はデツキ部2の後方に設けたスタート/ストップボタンであり、近接して設けた誤操作防止のロックボタン15の操作により操作可能となる。16はバッテリー部5の着脱ボタンである。17はテーブカセ・ソトを着月凭するための開閉蓋である。開閉蓋17には表示部18と、ビデオ用(再生用)/カメラ用(撮影用)を兼用する操作スイッチ19、及び、ビデオ/カメラ切替ボタン20が配置されている。ビデオ/カメラ切替ボタン20は前記操作スイッチ19をビデオ用とカメラ用に切替えること、開閉蓋17の開閉スイッチ、及び電源スィッチを兼用する。」(公報第3頁左下欄5行?16行)

「次に、撮影時の本体1の支持・操作方法について説明する。第7図は撮影者側より見た撮影時の使用状態図である。本実施例の支持方法は、両手または、7図に示すように、片手とベルト21で支持する方法である。7図における操作は、先ず、ビデオ/カメラ切替ボタン20の操作で撮影可能状態とする。親指29でロックボタン15とスタート/ストップボタン14を操作し、人差指30と中指31でズームボタン12を操作する。」(公報第4頁右上欄7行?14行)

「第10図において、14はデッキ部2の後方に設けたスタート/ストップボタンであり、15はロックボタン15である。」(公報第5頁右下欄20行?第6頁左上欄2行)

「次に、撮影時の本体1の支持・操作方法について説明する。第26図は撮影者側より見た撮影時の使用状態図である。図において、本実施例の支持方法は、親指29と、中指31と薬指と小指とで本体1を側方より挾み込んで支持する方法である。この支持方法によれば、従来必ず必要であった支持ベルト21を必要としない。また操作は、先ず、ビデオ/カメラ切替ボタン20の操作で撮影可能状態とする。親指29でロックボタン15とスタート/ストップボタン14を操作し、人差指30でズームボタン12を操作する。」(公報第10頁右上欄11行?20行)

第3図、第7図、第10図、第25図、第26図、第29図には、スタート/ストップボタン14が後面に配置されていることが図示されている。この後面はビデオカメラの後方を向いた面でもある。

第36図には、スタート/ストップボタン14を含むブロック図が記載されている。

第13図、第19図、第20図には、スタート/ストップボタン14の他の配置が図示されている。


刊行物7には図面と共に以下の記載がある。
【0019】図1に示すように、ビデオカメラ本体の前面部には、被写体を撮影するレンズ1、音声を入力するマイク4、フェードスイッチ2が設けられており、ビデオカメラ本体の後面部には、記録スイッチ3が設けられている。

【0021】また、CPU5は、フェードスイッチ2及び記録スイッチ3のオン/オフを検出して、フェーダ10及び12等を制御する。

【0023】次に、図3を参照して、動作について説明する。
【0024】先ず、CPU5は、ステップS1で記録待機モードを設定する。ステップS2では、CPU5はフェードスイッチ2がオンかオフかの判断をする。オフを検出した場合はステップS1に戻り、オンを検出するまで記録待機モードを設定する。オンを検出した場合は、次にステップS3に進み、フェードイン待機モードを設定する。
【0025】次に、ステップS4に進み、CPU5は記録スイッチ3がオンかオフかの判断をする。オフを検出した場合は、ステップS3に戻り、オンを検出するまでフェードイン待機モードを設定する。オンを検出した場合は、次にステップS5に進み、CPU5はフェーダ12及びフェーダ10を制御してミュートモードを設定して、次にステップS6に進む。
【0026】ステップS6では、CPU5は、フェードスイッチ2がオンかオフかの判断をする。オンを検出した場合には、ステップS5に戻り、CPU5はオフを検出するまでフェーダ12及びフェーダ10を制御する。このときフェーダ12は、無音声信号を音声信号処理部13に伝送し、フェーダ10は、無映像信号(白色映像の映像信号)を映像処理部11に伝送する。すなわち、フェードスイッチ2の押下時間だけ無音声信号と無映像信号からなるミュート信号が記録され、ミュート領域が形成される。
【0027】フェードスイッチ2をオフにすることにより、CPU5はミュートモードの設定を解除して、ミュート領域の形成を停止し、次にステップS7に進む。
【0028】ステップS7では、CPU5はフェードインモードを設定してフェーダ12及びフェーダ10を制御する。このときフェーダ12は、無音声信号から通常の音声信号に一定の時間(実施例ではn秒)の間に徐々に移行する信号を音声信号処理部13に伝送する。フェーダ10は、無映像信号から通常の映像信号にn秒の間に徐々に移行する信号を映像信号処理部11に伝送する。すなわち、フェードイン信号が記録され、フェードイン領域が形成される。前記記録が終了すると(一定時間が経過すると)、次にステップS8に進み、CPU5は通常の記録モードを設定する。
【0029】ステップS8で通常の記録モードが設定されると、次にステップS9に進み、CPU5はフェードスイッチ2がオンかオフかの判断をする。オフを検出した場合は、ステップS8に戻り、オンを検出するまで通常の記録モードを設定する。オンを検出した場合にはステップS10に進み、CPU5はフェードアウト待機モードを設定し、次にステップS11に進む。
【0030】ステップS11では、CPU5は記録スイッチ3がオンかオフかの判断をする。オンを検出した場合は、ステップS10に戻り、オフを検出するまでフェードアウト待機モードに設定する。オフを検出した場合は、次にステップS12に進み、CPU5はフェードアウトモードを設定する。
【0031】ステップS12では、前記ステップS7と逆の動作を行う。すなわち、CPU5は、フェーダ12及びフェーダ10を制御する。このときフェーダ12は、通常の音声信号から無音声信号に一定の時間(実施例ではn秒)の間に徐々に移行する信号を音声信号処理部13に伝送する。フェーダ10は、通常の映像信号から無映像信号にn秒の間に徐々に移行する信号を映像信号処理部11に伝送する。すなわち、フェードアウト信号が記録され、フェードアウト領域が形成される。
【0032】前記記録が終了すると(一定時間が経過すると)、ステップS13に進み、CPU5はフェーダ12及びフェーダ10を制御してステップS5と同様のミュートモードを設定する。
【0033】次に、ステップS14に進む。ステップS14では、CPU5はフェードスイッチ2がオンかオフかの判断をする。オンを検出した場合にはステップS13に戻り、オフを検出するまでCPU5は、上述したステップS5での制御と同様の制御を行い、ミュート信号を記録する。すなわち、フェードスイッチ2の押下時間だけミュート領域が形成される。フェードスイッチ2をオフにすることにより、CPU5はミュートモードを解除してミュート領域の形成を停止し、次にステップS1に進み、記録待機モードを設定する。

図1には、記録スイッチ3がビデオカメラ本体の後面部に設けられていることが図示されている。

図3には、記録スイッチ3のオンオフを判断するステップS4、S11を含むフローチャートが図示されている。


刊行物8には図面と共に以下の記載がある。
「第3図は従来のビデオカメラ装置を示す側面図で、図において、Aはビデオ力メラ本体、(1)はビデオカメラ本体Aの上部に内蔵された光学フアインダー、(2)はビデオカメラ本体Aの前方に取付けられたレンズ、(3)はビデオカメラ本体Aの側面に設けられたグリップ、(4)はグリップ(3)の後部に設けられた録画スイッチ、(5)はビデオカメラ本体Aに収納されたテープカセットである。
次に動作について説明する。撮影者はレンズ(2)前方の被写体の映像を光学フアインダー(1)をのぞいて確認し、録画スイッチ(4)を押すと、レンズ(2)は光学フアインダー(1)より確認される映像とほぼ同一方向の映像を集光し、その映像をビデオカメラ本体Aが電気信号に変換し、テープカセット(5)に記録する。次に撮影を中断する場合は、再び録画スイッチ(4)を押すと記録が終了する。」(明細書第2頁8行?第3頁3行)

「〔実施例〕
以下、この考案の一実施例を図について説明する。第1図において符号Aおよび(1)?(5)は前記従来のビデオカメラ装置と同じであるため説明を省略する。(中略)次に動作について説明する。(中略)録画スイッチ(4)を押すと、映像の記録が開始され、再び録画スイッチ(4)を押すと映像の記録は中断停止される。」(明細書第4頁10行?第5頁16行)

第1図?第3図には、録画スイッチ(4)がグリップ(3)の後部に設けられていることが図示されている。
(以上、刊行物5から8の記載)

b.操作手段による撮影動作
ビデオカメラにおいて、使用者がビューファインダーの画像を確認しながら撮影動作の開始または停止を指示することは通常の使用態様であり、刊行物1発明に上記周知の「撮影動作の開始または停止を指示する操作手段」を採用した際に、刊行物1発明のビデオカメラで使用者がビューファインダーの画像を確認する状態である「回動支持部および上記補助回動手段による回動動作により、上記表示部の上記表示面が上記ビデオカメラの後方を向くようにされた状態」において、その操作手段の指示により撮影動作の開始または停止がなされるようにすることは、当然になされることである。

c.相違点の検討まとめ
上記a.b.のようであるから、刊行物1発明のビデオカメラに、「ビデオカメラによる撮影動作の開始または停止を指示する操作手段」設け、それを「ビデオカメラの前方の側面と反対側の側面であって、ビデオカメラの後方を向いた側面に配置」し、表示部の表示面がビデオカメラの後方を向くようにされた状態において、「操作手段による撮影動作の開始または停止がなされる」ようになすことは、当業者が容易に想到できたことである。そして、その効果も刊行物1の記載、上記周知のことから当業者が予測できたものである。
そうすると、本願補正後発明は、刊行物1記載の発明及び周知のことから当業者が容易に発明できたものである。

カ.独立特許要件の検討まとめ
上記検討のようであるから、本願補正後発明は、特許法第29条第2項の規定により、特許出願の際独立して特許を受けることができないものであり、本件補正は平成18年改正前特許法第17条の2第5項で準用する同法第126条第5項の規定に適合しない。

(5)補正の検討まとめ
以上のとおり、本件補正は、平成6年改正前特許法第17条の2第2項において準用する同法第17条第2項の規定に適合し、同法第17条の2第3項第2号を目的とするものであるが、平成18年改正前特許法第17条の2第5項において準用する同法第126条第5項の規定に違反する。

3.補正却下の理由まとめ
以上のようであるから、平成19年3月12日付け手続補正(本件補正)は、平成18年改正前特許法第17条の2第5項において準用する同法第126条第5項の規定に違反するので、同法第159条第1項の規定において読み替えて準用する同法第53条第1項の規定により却下すべきものである。
よって、補正却下の結論のとおり、決定する。


第3 本願発明
平成19年3月12日付け手続補正は、上記のように却下した。
本願請求項1から4に係る発明は、平成18年10月30日付けで補正された特許請求の範囲の請求項1から4に記載されたとおりのものと認める。そして、請求項1に係る発明(以下、本願発明という)は、次のものである。

被写体像を撮像する撮像部と、
撮像された映像信号を表示する表示面を備えた表示部とを有するビデオカメラにおいて、
上記表示部の一側辺部を回動可能に支持する回動支持部と、
上記回動支持部の回動軸と直交する方向に上記表示部を回動可能にする補助回動手段と、
上記ビデオカメラによる撮影動作の開始または停止を指示する操作手段とを備え、
上記撮像部は、該ビデオカメラの前方の側面に配置されるとともに、上記操作手段は、該ビデオカメラの後方を向いた側面に配置され、
上記回動支持部および上記補助回動手段による回動動作により、上記表示部の上記表示面が上記ビデオカメラの後方を向くようにされた状態において、上記操作手段による上記撮影動作の開始または停止がなされる
ことを特徴とするビデオカメラ。


第4 検討
1.刊行物の記載
上記補正却下の理由2.(4)イ.刊行物の記載を援用する。

2.対比
上記補正却下の理由2.(4)ウ.対比の記載を援用する。
本願発明と本願補正後発明との関係は、上記補正却下の理由1.平成19年3月12日付け手続補正、および補正却下の理由2.補正の検討で述べた関係にあるから、
「ビデオカメラ」に関して、刊行物1記載のビデオカメラは、本願発明の「被写体像を撮像する撮像部と、撮像された映像信号を表示する表示面を備えた表示部とを有するビデオカメラ」に相当する。
「操作手段の配置」に関して、本願発明の「該ビデオカメラの後方を向いた側面」という配置は刊行物1に記載されていない。

3.一致点・相違点
(1)上記対比によると、本願発明と刊行物1に記載された発明(以下、刊行物1発明という)とは、次の点で一致する。
[一致点]
被写体像を撮像する撮像部と、
撮像された映像信号を表示する表示面を備えた表示部とを有するビデオカメラにおいて、
上記表示部の一側辺部を回動可能に支持する回動支持部と、
上記回動支持部の回動軸と直交する方向に上記表示部を回動可能にする補助回動手段と、
を備え、
上記撮像部は、該ビデオカメラの前方の側面に配置され、
上記回動支持部および上記補助回動手段による回動動作により、上記表示部の上記表示面が上記ビデオカメラの後方を向くようにされた状態を有する
ことを特徴とするビデオカメラ。

(2)また、本願発明と刊行物1発明とは、次の点で相違する。
[相違点]
本願発明において、「ビデオカメラによる撮影動作の開始または停止を指示する操作手段」を有し、「上記操作手段は、該ビデオカメラの後方を向いた側面に配置され、」、表示部の表示面がビデオカメラの後方を向くようにされた状態において、「上記操作手段による上記撮影動作の開始または停止がなされる」ことに対し、刊行物1発明では、「ビデオカメラによる撮影動作の開始または停止を指示する操作手段」は明記されておらず、その操作手段の配置も記載されておらず、表示部の表示面がビデオカメラの後方を向くようにされた状態において、その「操作手段による上記撮影動作の開始または停止がなされる」ものか不明である点。

4.検討
(1)操作手段とその配置
上記補正却下の理由2.オ.検討で述べたように、刊行物1記載のビデオカメラは、通常のビデオカメラがなされるように撮影動作の開始、撮影動作の停止がなされるものと考えられ、そのような撮影動作の開始、撮影動作の停止をなさせるための操作手段を設けることは当然になされることである。同時に、ビデオカメラにおける操作手段などの装置の配置は、上記刊行物5から8に様々な配置がなされることからも理解できるように、適宜に設計できる設計事項である。
ビデオカメラの撮影動作の開始、撮影動作の停止をなさせるための操作手段として、本願補正後発明のような「撮影動作の開始または停止を指示する操作手段」は、やはり、上記補正却下の理由2.オ.検討で述べたように、刊行物5から8に記載されているようにビデオカメラにおいて周知である。そして、その配置についても、刊行物5から8のいずれもが、ビデオカメラの後方を向いた側面に配置されているものであるから、
「撮影動作の開始または停止を指示する操作手段」を「ビデオカメラの後方を向いた側面に配置」することも、ビデオカメラにおいて周知である。
そうすると、ビデオカメラにおいて周知である「撮影動作の開始または停止を指示する操作手段」を「ビデオカメラの後方を向いた側面に配置」することを、刊行物1発明に採用することは、当業者が適宜になし得たことである。

(2)操作手段による撮影動作
上記補正却下の理由2.オ.b.操作手段による撮影動作を援用する。

(3)相違点の検討まとめ
上記(1)(2)のようであるから、刊行物1発明のビデオカメラに、「ビデオカメラによる撮影動作の開始または停止を指示する操作手段」設け、それを「ビデオカメラの後方を向いた側面に配置」し、表示部の表示面がビデオカメラの後方を向くようにされた状態において、「操作手段による撮影動作の開始または停止がなされる」ようになすことは、当業者が容易に想到できたことである。そして、その効果も刊行物1の記載、上記周知のことから当業者が予測できたものである。
そうすると、本願発明は、刊行物1記載の発明及び周知のことから当業者が容易に発明できたものであり、特許法第29条第2項の規定により、特許することができない。


第5 むすび
以上、検討のとおりであるから、本願請求項1に係る発明(本願発明)は、刊行物1に記載された発明および周知のことに基づいて当業者が容易に発明をすることができたものであり、特許法第29条第2項の規定により特許を受けることができない。
それ故、本願の他の請求項2、3、4について検討するまでもなく、本願は拒絶されるべきものである。
よって、結論のとおり審決する。
 
審理終結日 2007-10-22 
結審通知日 2007-10-23 
審決日 2007-11-07 
出願番号 特願2005-322898(P2005-322898)
審決分類 P 1 8・ 575- Z (H04N)
P 1 8・ 561- Z (H04N)
P 1 8・ 121- Z (H04N)
P 1 8・ 121- Z (H04N)
最終処分 不成立  
前審関与審査官 酒井 伸芳  
特許庁審判長 奥村 元宏
特許庁審判官 松永 隆志
南 義明
発明の名称 ビデオカメラ  
代理人 岩田 雅信  
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