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審決分類 |
審判 査定不服 4号2号請求項の限定的減縮 特許、登録しない。 H05K 審判 査定不服 2項進歩性 特許、登録しない。 H05K |
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管理番号 | 1171726 |
審判番号 | 不服2004-26430 |
総通号数 | 99 |
発行国 | 日本国特許庁(JP) |
公報種別 | 特許審決公報 |
発行日 | 2008-03-28 |
種別 | 拒絶査定不服の審決 |
審判請求日 | 2004-12-27 |
確定日 | 2008-01-24 |
事件の表示 | 平成11年特許願第179234号「半田付装置」拒絶査定不服審判事件〔平成13年1月12日出願公開、特開2001-7500〕について、次のとおり審決する。 |
結論 | 本件審判の請求は、成り立たない。 |
理由 |
[1]手続の経緯 本願は、平成11年6月25日の出願であって、平成16年5月7日付で拒絶理由通知がなされ、同年7月16日付で意見書及び手続補正書が提出され、平成16年5月7日付拒絶理由通知書に記載した理由によって、同年11月15日付で拒絶査定がなされ、これに対し、同年12月27日に拒絶査定に対する審判請求がなされるとともに、平成17年1月25日付で手続補正書が提出されたものである。 [2]平成17年1月25日付手続補正についての補正却下の決定 <補正却下の決定の結論> 平成17年1月25日付手続補正を却下する。 <理由> [2-1]補正の内容 平成17年1月25日付手続補正は、特許請求の範囲の請求項1を、 「【請求項1】半田付け材料の送り方向の上手側から第1波ノズル、第2波ノズルを設置し、第2波ノズルの前記送り方向の上手側壁部に昇降式波形調整板を設け、この昇降式波形調整板を外部の手動操作部に上下操作自在に連結した半田付け装置において、前記手動操作部と昇降式波形調整板との連結構造が、昇降式波形調整板にラックを設け、ラックに昇降操作用のピニオンを噛合させ、このピニオン軸にクランクの一端を連結し、クランクの他端突出端を機枠に直線移動操作自在に設けたスライダーに、該スライダーの移動により前記ピニオン軸を回動するように揺動自在に連結したことを特徴とする半田付け装置。」とする補正を含むものである。 [2-2]補正の目的 上記手続補正は、特許法第17条の2第1項第4号に掲げる場合において特許請求の範囲についてする補正であるから、同条第4項各号に掲げる事項を目的とするものか否かについて、以下検討する。 まず、特許法第17条の2第4項第2号に掲げる特許請求の範囲の減縮を目的とするか否かについてみるに、当該補正は、補正前の請求項1、2に記載された半田付装置において、「【請求項1】・・・噴流した溶融半田の噴流波形を可変するヒンジ構造の起伏式波形調整板が設けられ、半田付材料の送り方向の下手側に位置する上記波形調整板の端部に槽外に設けた手動の操作部に連結されて上下に進退する進退式波形調整板が設けられてなる半田付装置において、上記起伏式波形調整板のヒンジ側と反対側にアームを設け、このアームに操作部からの伝達で回動し、起伏式波形調整板を起伏させるねじ棒を連結し、また上記アームに操作部からの伝達で独立回動する軸を設け、この軸に取付けた係合部材を進退式波形調整板に常に昇降操作自在に係合させた・・・」の記載により、「起伏式波形調整板」及び「進退式波形調整板」について、また、「【請求項2】・・・操作部は操作量を目視可能な目盛を備えていること・・・」の記載により、「操作部は操作量を目視可能な目盛を備えていること」について夫々特定していたのを、補正後の請求項1では、それらについて記載することなく、装置の別の構成である「昇降式波形調整板」について特定するものである。 そうすると、当該補正は、補正前の請求項1又は2に記載された発明の特定事項について、それらをさらに限定するものとはいえない。 したがって、当該補正は、特許法第17条の2第4項第2号に掲げる特許請求の範囲の減縮を目的とするものには該当しない。 次に、その他の目的要件についてみるに、上記の補正は、特許法第17条の2第4項第1号に掲げる請求項の削除、同項第3号に掲げる誤記の訂正、又は同項第4号に掲げる、拒絶理由通知に係る拒絶の理由に示す事項についてする明りょうでない記載の釈明を目的とするものにも該当しない。 [2-3]むすび 以上のとおり、本件補正は、特許法第17条の2第4項の規定に違反しているので、同法第159条第1項において読み替えて準用する同法第53条第1項の規定により却下すべきものである。 [3]本願発明 平成17年1月25日付手続補正は上記のとおり却下されたので、本願請求項1、2に係る発明は、平成16年7月16日付手続補正書により補正された明細書の特許請求の範囲の請求項1、2に記載された事項により特定されるとおりのものと認められるところ、その請求項1に係る発明(以下、「本願発明1」という。)は以下のとおりである。 「【請求項1】半田槽に貯溜された溶融半田を噴出するノズルの先端部に噴流した溶融半田の噴流波形を可変するヒンジ構造の起伏式波形調整板が設けられ、半田付材料の送り方向の下手側に位置する上記波形調整板の端部に槽外に設けた手動の操作部に連結されて上下に進退する進退式波形調整板が設けられてなる半田付装置において、上記起伏式波形調整板のヒンジ側と反対側にアームを設け、このアームに操作部からの伝達で回動し、起伏式波形調整板を起伏させるねじ棒を連結し、また上記アームに操作部からの伝達で独立回動する軸を設け、この軸に取付けた係合部材を進退式波形調整板に常に昇降操作自在に係合させたことを特徴とする半田付装置。」 [4]引用刊行物の記載事項 これに対して、原査定の拒絶の理由に引用された、本願出願前に頒布された刊行物である特開平10-93231号公報(以下、「引用刊行物1」という。)、同じく特開平9-293959号公報(以下、「引用刊行物2」という。)には、夫々以下の事項が記載されている。 [4-1]引用刊行物1:.特開平10-93231号公報 (1a)「【請求項1】半田付け面を下にして搬送されるプリント基板の搬送経路の下側に配設され、通過するプリント基板に半田付け処理を実施する噴流式自動半田付装置であって、 プリント基板の搬送経路に半田付け面に向けて溶融半田を噴流させる第1のノズルを設け、 前記第1のノズルよりも上手側に半田付け面に向けて溶融半田を噴流させる第2のノズルを設け、 第1のノズルには後方側にプリント基板の搬送経路の下手側に向かって溶融半田面を次第に低下させるように傾斜した後方整流板を設け、 第2のノズルには前方側にプリント基板の搬送経路の下手側に向かって溶融半田面を次第に上昇させるように傾斜した前方整流板を設けた噴流式自動半田付装置。 【請求項2】後方整流板と前方整流板のうちの少なくとも一方の角度を調節可能に構成した請求項1記載の噴流式自動半田付装置。」(【特許請求の範囲】)、 (1b)【発明の実施の形態】として、【図1】が示されるとともに、 「【0012】第1の半田槽1aには、半田付け面に向けて溶融半田2を噴流させる第1のノズル3aが設けられている。第1のノズル3aの後方側には蝶番5aを介して後方整流板6aの基端部が取り付けられている。 【0013】第1の半田槽1aに固定された支持台7aの先端には調整レバー8aの中間部が軸9aで回動自在に枢支されている。調整レバー8aの一端は第1の半田槽1aに取り付けられた調節ねじ取付台10aに螺合した調節ねじ11aの先端に当接し、調整レバー8aの他端は後方整流板6aの裏面に当接している。 【0014】・・・後方整流板6aの先端には後方整流板6aを流れ落ちる溶融半田2を塞き止めようとする速度調節板13aが取り付けられており、その突出の度合いは速度調節板13aに穿設した長孔(図示せず)とねじ14aによって調節できる。」が記載されている。 (1c)【図1】には、上記【発明の実施の形態】の噴流式自動半田付装置のプリント基板の搬送方向に沿った断面図が示されており、同図には、半田槽1aに溶融半田2が貯留され、溶融半田2が第1のノズル3aによりプリント基板4の半田付け面に向けて噴流され、第1のノズル3aの先端部の後方側に蝶番5aを介して後方整流板6aの基端部が取り付けられ、後方整流板6aの蝶番側と反対側において、半田槽1aに固定された支持台7aの先端に調整レバー8aの中間部が軸9aで回動自在に枢支され、調整レバー8aの一端が半田槽1aに取り付けられた調節ねじ取付台10aに螺合した調節ねじ11aの先端に当接し、調整レバー8aの他端が後方整流板6aの裏面に当接することにより、後方整流板6aの傾斜角度を、槽外より手動で調節可能に構成し、後方整流板6aの先端には、後方整流板6aを流れ落ちる溶融半田を塞き止めようとする速度調節板13aが取り付けられ、溶融半田面がプリント基板4の搬送経路の下手側に向かって次第に低下するように溶融半田2の噴流波形を形成している点が開示されている。 [4-2]引用刊行物2:.特開平9-293959号公報 (2a)「【0019】噴流はんだ槽の本体1は無蓋の箱状で、中には噴流ノズル2が設置されている。噴流ノズル2は進入側ノズル板3、退出側ノズル板4、および一対の側板5(・・・)から構成されている。・・・ 【0020】退出側ノズル板4には、ノズル2から噴流してきた溶融はんだの流動状態を調整するノズル構成部材が設置されている。このノズル構成部材とは、退出側フォーマー7、段差板8、堰板9等である。 【0021】退出側フォーマー7は退出側ノズル板4に回動自在に設置されており、段差板8は退出側フォーマー7のノズル2に近いところに回動自在に設置されており、また堰板9は退出側フォーマー7先端の下向きフォーマー10に回動自在に設置さている。」、 (2b)「【0024】堰板9の設置状態は、堰板9に固定された連動体の堰板軸13が退出側フォーマーとは開口14を隔てて設置された下向きフォーマー10と回動自在となっており、堰板軸13を回転させると堰板9が矢印Z方向に回転するようになっている。 【0025】フォーマー軸11、段差軸12および堰板軸13は一方の側板5を挿通し、さらに本体1に取り付けられたブランケット板15を挿通していて、ブランケット板15から突出した部分には、それぞれ稼働ギヤー16、16、16が固定されている。それぞれの稼働ギヤー16は駆動装置17に固定された駆動ギヤー18と連動している。・・・全てのノズル構成部材がそれに適合した位置に調整されるようになっている。」、 (2c)「【0028】退出側フォーマー7は、その傾斜状態によって前述段差での流速に影響を及ぼすものである。即ち、退出側フォーマー7の先端を下方に傾斜(矢印X)させると、退出側フォーマー上を流動する溶融はんだの流速が早くなり、それに連れられて段差の部分の溶融はんだの流速が早くなる。 【0029】段差の部分の溶融はんだの流速が早ければ早いほど、プリント基板のはんだ付け部に大量のはんだが付着するが、この流速があまりにも早すぎるとツララやブリッジの原因となるため、これらの不良を発生させない適当な流速にしなければならない。 【0030】そこで段差の部分の流動状態を微妙に調整するのが堰板での調整である。堰板9を倒す方向(矢印Z)に傾斜させると開口14が狭まり、退出側フォーマー7上を流動する溶融はんだは上層が大量となって堰板9を乗り越え、下層の少ない量が開口14から流出していく。このとき退出側フォーマー上を流れる溶融はんだの上層の流速が早くなり、段差を流下する溶融はんだがこれに引かれて流速が早くなる。 【0031】逆に堰板9を立ち上がらせるようにすると、開口14が広がり、退出側フォーマー上を流れる溶融はんだは上層の少ない量が堰板9を乗り越え、大部分の下層が開口14から流出していく。このとき退出側フォーマー上を流動する溶融はんだの上層の流速が遅くなるため、段差から流下する溶融はんだを引く力が弱くなり、段差の流速が遅くなる。 【0032】つまり、噴流はんだ槽でプリント基板へのはんだの付着量は、段差板の高さ、退出側フォーマーの傾斜角度、堰板の角度等を微妙に変動することにより調整ができ、この微妙な変動を回転制御可能な駆動装置で行えば、常に所定の流動条件を得られるものである。」が記載されている。 [5]当審の判断 [5-1]引用刊行物1に記載された発明 引用刊行物1には、上記摘記(1a)によれば、プリント基板の搬送経路に半田付け面に向けて溶融半田を噴流させる第1のノズルを設け、該ノズルの後方側に、プリント基板の搬送経路の下手側に向かって溶融半田面を次第に低下させるように傾斜させた後方整流板を設けた噴流式自動半田付装置が記載されている。 そして、上記摘記(1b)(1c)によれば、上記後方整流板は、第1のノズルの後方側に蝶番を介してその基端部が取り付けられており、半田槽に固定された支持台の先端に調整レバーの中間部が軸で回動自在に枢支されており、該調整レバーの一端が該半田槽に取り付けられた調節ねじ取付台に螺合した調節ねじの先端に当接し、該調整レバーの回動によりその他端が後方整流板の裏面に当接することにより、該後方整流板の傾斜角度を、プリント基板の搬送経路の下手側に向かって溶融半田面が次第に低下するように、槽外より手動で調節可能であるといえる。 また、同じく摘記(1b)(1c)によれば、該後方整流板の先端には、該後方整流板を流れ落ちる溶融半田を塞ぎ止めようとする速度調節板が取り付けられており、その突出の度合いは、該速度調節板に穿設した長孔とねじによって調節できるものといえる。 これらの事項を踏まえ、上記摘記(1a)?(1c)を総合すると、引用刊行物1には、 「プリント基板の半田付け面に向けて、半田槽に貯留された溶融半田を噴流させるノズルを設け、該ノズルの先端部の後方側には、蝶番を介して後方整流板の基端部が取り付けられ、プリント基板の搬送経路の下手側に向かって溶融半田面が次第に低下するように、該後方整流板の蝶番側と反対側において、半田槽に固定された支持台の先端に調整レバーの中間部が軸で回動自在に枢支され、該調整レバーの一端が該半田槽に取り付けられた調節ねじ取付台に螺合した調節ねじの先端に当接し、該調整レバーの他端が後方整流板の裏面に当接することにより、該後方整流板の傾斜角度を槽外より手動で調節可能に構成し、該後方整流板の先端には、該後方整流板を流れ落ちる溶融半田を塞ぎ止めようとする速度調節板が取り付けられており、その突出の度合いを該速度調節板に穿設した長孔とねじによって調節できるようにした噴流式自動半田付装置」の発明(以下、「引用発明」という。)が記載されているものと認められる。 [5-2]本願発明1と引用発明との対比 本願発明1と引用発明とを対比すると、 引用発明の「プリント基板の搬送経路の下手側」とは、半田付材料である「プリント基板」の送り方向の下手側のことに他ならない。 また、引用発明の「プリント基板の半田付け面に向けて、半田槽に貯留された溶融半田を噴流させる・・・噴流式自動半田付装置」は、半田槽に貯溜された溶融半田を半田付材料の半田付け面に向けて噴出させる半田付装置に他ならず、本願発明1の「半田槽に貯溜された溶融半田を噴出する・・・半田付装置」に相当する。 また、引用発明の「溶融半田を噴流させる・・・ノズルの先端部の後方側には、蝶番を介して後方整流板の基端部が取り付けられ、プリント基板の搬送経路の下手側に向かって溶融半田面が次第に低下するように、該後方整流板の蝶番側と反対側において、半田槽に固定された支持台の先端に調整レバーの中間部が軸で回動自在に枢支され、該調整レバーの一端が該半田槽に取り付けられた調節ねじ取付台に螺合した調節ねじの先端に当接し、該調整レバーの他端が後方整流板の裏面に当接することにより、該後方整流板の傾斜角度を槽外より手動で調節可能に構成し、」における「後方整流板」は、「ノズルの先端部の後方側」に「蝶番を介して・・・基端部が取り付けられ」ているのであるから、ノズルの先端部にヒンジ構造で設けられているものであり、且つ「調節ねじ」によりその「傾斜角度を調節」して「プリント基板の搬送経路の下手側に向かって溶融半田面が次第に低下するように」溶融半田の噴流波形を可変するものであるから、本願発明1の「溶融半田の噴流波形を可変するヒンジ構造の起伏式波形調整板」に相当する。また、上記の「後方整流板の蝶番側と反対側において、・・・後方整流板の裏面に当接」する「調整レバー」を介して連結し、「後方整流板の傾斜角度を槽外より手動で調節」する「調節ねじ」は、本願発明1の「操作部からの伝達で回動し、起伏式波形調整板を起伏させるねじ棒」に相当する。 また、引用発明の「後方整流板の先端には、該後方整流板を流れ落ちる溶融半田を塞ぎ止めようとする速度調節板が取り付けられており、その突出の度合いを該速度調節板に穿設した長孔とねじによって調節できる」における「速度調節板」は、「後方整流板の先端」に取り付けられており、その「後方整流板の先端」とは、プリント基板の搬送経路の下手側に位置する後方整流板の端部のことであり、「その突出の度合いを該速度調節板に穿設した長孔とねじによって調節できる」のであるから、本願発明1の「半田付材料の送り方向の下手側に位置する上記波形調整板の端部」に設けられた「上下に進退する進退式波形調整板」に相当する。 そうすると、両発明は、「半田槽に貯溜された溶融半田を噴出するノズルの先端部に噴流した溶融半田の噴流波形を可変するヒンジ構造の起伏式波形調整板が設けられ、半田付材料の送り方向の下手側に位置する上記波形調整板の端部に上下に進退する進退式波形調整板が設けられてなる半田付装置において、操作部からの伝達で回動し、起伏式波形調整板を起伏させるねじ棒を連結した半田付装置」の点で一致し、次の点で相違する。 (イ)本願発明1では、進退式波形調整板が、槽外に設けた手動の操作部に連結されて上下に進退し、起伏式波形調整板のヒンジ側と反対側にアームを設け、このアームにねじ棒を連結し、またこのアームに上記操作部からの伝達で独立回動する軸を設け、この軸に取付けた係合部材を進退式波形調整板に常に昇降操作自在に係合させているのに対し、引用発明ではそうでない点。 [5-3]相違点の検討 上記相違点(イ)について、以下検討する。 引用発明では、「後方整流板の蝶番側と反対側において、半田槽に固定された支持台の先端に調整レバーの中間部が軸で回動自在に枢支され、該調整レバーの一端が該半田槽に取り付けられた調節ねじ取付台に螺合した調節ねじの先端に当接し、該調整レバーの他端が後方整流板の裏面に当接することにより、該後方整流板の傾斜角度を槽外より手動で調節可能」であるから、その後方整流板(起伏式波形調整板)に調節ねじ(ねじ棒)を連結しているといえる。 そして、アームを介して部材を連結することは普通に行われているので、上記の連結を、後方整流板の蝶番側(ヒンジ側)と反対側にアームを設け、該アームに調節ねじを連結する態様とすることは、当業者が適宜に採用できる設計的事項であると認められる。 また、引用発明における上記「半田槽に取り付けられた調節ねじ取付台」は、半田槽に取り付けられた「アーム」に他ならず、同「調節ねじ」は、該「アーム」に設けられた「操作部からの伝達で独立回動する軸」に他ならない。さらに、同「調整レバー」は、該「操作部からの伝達で独立回動する軸」の先端に当接させて取り付けられ、起伏式波形調整板(後方整流板)に係合して該起伏式波形調整板のヒンジ側(蝶番側)と反対側を自在に昇降させる「係合部材」に該当するので、引用発明においても、「アーム」に「操作部からの伝達で独立回動する軸」を設け、該「軸」に取り付けられた「係合部材」を、昇降させるべき部材に昇降操作自在に係合させていることになる。 そして、「操作部からの伝達で独立回動する軸」に取り付けた「係合部材」を、昇降させるべき部材に昇降操作自在に係合させることは、上述した引用発明のものばかりでなく、例えば、ラックとピニオン等の周知の係合部材を用いて広く行われており、これらの「係合部材」を、自在に昇降させるべき部材の係合に用いることは、当業者が適宜に採用できる設計的事項であると認められる。 また、引用発明における「速度調節板」も、後方整流板の先端において、その突出の度合いを手動で調節するものであり、手動で昇降させるのであるから、自在に昇降させるべき部材であるといえる。また、その後方整流板に対する突出の度合いを調節するものであるから、後方整流板に対してその昇降の調節がなされるものといえる。 さらに、上記後方整流板のアームに上記「係合部材」を設ければ、該アームを基準として「速度調節板」を昇降することもでき、該後方整流板に対して常にその昇降の調節ができることは、当業者にとって自明の事項であるといえる。 また、引用刊行物2には、 「【0021】退出側フォーマー7は退出側ノズル板4に回動自在に設置されており、段差板8は退出側フォーマー7のノズル2に近いところに回動自在に設置されており、また堰板9は退出側フォーマー7先端の下向きフォーマー10に回動自在に設置さている。」(摘記(2a)参照)、 「【0024】堰板9の設置状態は、堰板9に固定された連動体の堰板軸13が退出側フォーマーとは開口14を隔てて設置された下向きフォーマー10と回動自在となっており、堰板軸13を回転させると堰板9が矢印Z方向に回転するようになっている。 【0025】フォーマー軸11、段差軸12および堰板軸13は一方の側板5を挿通し、さらに本体1に取り付けられたブランケット板15を挿通していて、ブランケット板15から突出した部分には、それぞれ稼働ギヤー16、16、16が固定されている。それぞれの稼働ギヤー16は駆動装置17に固定された駆動ギヤー18と連動している。・・・全てのノズル構成部材がそれに適合した位置に調整されるようになっている。」(摘記(2b)参照)、 「【0032】つまり、噴流はんだ槽でプリント基板へのはんだの付着量は、段差板の高さ、退出側フォーマーの傾斜角度、堰板の角度等を微妙に変動することにより調整ができ、この微妙な変動を回転制御可能な駆動装置で行えば、常に所定の流動条件を得られる・・・」(摘記(2c)参照)との記載により、退出側フォーマー先端の下向きフォーマーに設けた堰板の設置状態の調整を、該退出側フォーマーの設置状態の調整と同様の仕方で、はんだ槽の槽外から軸を回動させて行うことが述べられている。 そうすると、引用発明において、上述したように後方整流板の蝶番側と反対側にアームを設け、このアームに調節ねじを連結する態様とするとともに、該後方整流板の先端に取り付けた速度調節板の突出の度合いを調節するべく、引用刊行物2に記載された堰板と同様に槽外より、さらには、引用発明における後方整流板と同様に槽外より手動で、該速度調節板の突出の度合いを該後方整流板に対して常に調節できるように、上記の後方整流板の蝶番側と反対側に設けたアームに、操作部からの伝達で独立回動する軸を設け、この軸に取り付けた係合部材を上記速度調節板に常に昇降操作自在に係合させること、即ち、起伏式波形調整板のヒンジ側と反対側にアームを設け、このアームにねじ棒を連結し、このアームに操作部からの伝達で独立回動する軸を設け、この軸に取付けた係合部材を進退式波形調整板に常に昇降操作自在に係合させて、進退式波形調整板を、槽外に設けた手動の操作部に連結して上下に進退させることは、当業者が容易に想到し得たものと認められる。 そして、本願発明1の上記相違点(イ)に係る特定事項によってもたらされる効果も、引用刊行物1、2に記載された発明、及び上記周知技術から当業者が普通に予測し得る程度のものであって、格別なものとはいえない。 したがって、本願発明1は、引用刊行物1、2に記載された発明、及び上記周知技術に基づいて当業者が容易に発明をすることができたものである。 [6]むすび 以上のとおり、本願発明1は、引用刊行物1、2に記載された発明、及び上記周知技術に基づいて当業者が容易に発明をすることができた発明であるから、特許法第29条第2項の規定により特許を受けることができない。 また、上記のとおり本願発明1が特許を受けることができないため、本願の請求項2に係る発明について検討するまでもなく、本願は拒絶すべきものである。 よって、結論のとおり審決する。 |
審理終結日 | 2007-11-15 |
結審通知日 | 2007-11-20 |
審決日 | 2007-12-04 |
出願番号 | 特願平11-179234 |
審決分類 |
P
1
8・
121-
Z
(H05K)
P 1 8・ 572- Z (H05K) |
最終処分 | 不成立 |
前審関与審査官 | 鏡 宣宏 |
特許庁審判長 |
綿谷 晶廣 |
特許庁審判官 |
市川 裕司 小川 武 |
発明の名称 | 半田付装置 |