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審決分類 審判 全部無効 2項進歩性  E06B
管理番号 1173005
審判番号 無効2006-80085  
総通号数 100 
発行国 日本国特許庁(JP) 
公報種別 特許審決公報 
発行日 2008-04-25 
種別 無効の審決 
審判請求日 2006-05-11 
確定日 2008-02-06 
訂正明細書 有 
事件の表示 上記当事者間の特許第2978105号「ハンガータイプの伸縮門扉」の特許無効審判事件についてされた平成18年10月23日付け審決に対し、知的財産高等裁判所において平成19年2月6日付けで差戻しの決定があったので、さらに審理のうえ、次のとおり審決する。 
結論 訂正を認める。 本件審判の請求は、成り立たない。 審判費用は、請求人の負担とする。 
理由 第1.手続きの経緯
本件特許第2978105号に係る発明は、平成7年12月26日に出願され、平成11年9月10日に特許権の設定登録がされたものであって、その後の平成18年5月11日に日本工機株式会社より本件特許明細書の請求項1に係る発明の特許について特許無効の審判が請求されたものであり、
これに対し被請求人より平成18年8月3日付けで答弁書及び訂正請求書が提出され、さらに請求人より平成18年9月6日付けで弁駁書が提出され、平成18年10月23日付けで、訂正を認める、本件特許の請求項1に係る発明についての特許を無効とする旨の審決がなされ、
これに対し、平成18年12月1日付けで審決取消の訴え(平成18年(行ケ)10526号)がなされ、その後の平成19年1月31日付けで訂正審判(訂正2007-390008号)が請求されたところ、知的財産高等裁判所において平成19年2月6日付けで差戻しの決定がなされ、
その後、上記訂正審判の請求は、特許法第134条の3第5項の規定により本件無効審判の訂正の請求とみなされ、平成19年4月19日付けで請求人より弁駁書が提出され、平成19年6月29日付けで被請求人より答弁書が提出されたものである。

第2.請求人の主張
請求人は、本件特許の請求項1に係る発明についての特許を無効とする、審判費用は被請求人の負担とするとの審決を求め、その理由として、審判請求人は、次の理由(a)?(c)及び証拠から、本件の請求項1に係る発明の特許が特許法123条第1項第2号および第4号に該当し、無効とすべきものであると主張し、証拠方法として甲第1号証ないし甲第9号証を提出している。
請求人は、さらに、平成19年4月19日付け弁駁書において、本件訂正は願書に添付した明細書等に記載した事項の範囲内においてするものではなく、特許法第134条の2第5項において準用する特許法第126条第3項の規定に違反するので、当該訂正は認められるべきものではない旨を主張するとともに、仮に訂正が認められるとしても、次の理由(d)から、本件の訂正後の請求項1に係る発明の特許が特許法123条第1項第2号および第4号に該当し、無効とすべきものであると主張している。

[理 由]
(a)本件の請求項1に係る発明は、甲第1号証?甲第4号証の何れかに記載された発明であるから、特許法第29条第1項第3号の発明に該当し、特許を受けることができないものである。
(b)本件の請求項1に係る発明は、甲第1号証?甲第9号証に記載された発明に基づいて当業者が容易に発明をすることができたものであるから、特許法第29条第2項の規定により特許を受けることができないものである。
(c)本件の請求項1に記載の発明は、所期の作用・効果を奏することができない構成を含むものであるから、特許法第36条第6項第2号の要件を満たしておらず、本件は特許を受けることができないものである。

(d)本件の訂正後の請求項1に係る発明は、甲第4号証、甲第6号証及び周知の技術に基づいて当業者が容易に発明をすることができたものであるから、特許法第29条第2項の規定により特許を受けることができないものである。

[証拠方法]
甲第1号証:実願平5-77100号(実開平7-40996号)のCD-ROM
甲第2号証:実願平5-33621号(実開平7-4793号)のCD-ROM
甲第3号証:実願平5-5771号(実開平6-58096号)のCD-ROM
甲第4号証:実願昭63-38178号(実開平1-148497号)のマイクロフィルム
甲第5号証:特開平6-58040号公報
甲第6号証:実願昭63-38179号(実開平1-148498号)のマイクロフィルム
甲第7号証:実願昭57-7832号(実開昭58-110197号)のマイクロフィルム
甲第8号証:実願昭54-147278号(実開昭55-51996号)のマイクロフィルム
甲第9号証:実願昭62-143696号(実開昭64-49597号)のマイクロフィルム

第3.被請求人の主張
被請求人は、本件審判請求は成り立たない、審判費用は請求人の負担とするとの審決を求めると主張している。そして、平成19年6月29日付け答弁書において、本件訂正は願書に添付した明細書等に記載した事項の範囲内の訂正であると主張するとともに、本件の訂正後の請求項1に係る発明は甲第4号証に記載された発明及び甲第6号証に記載された発明に基づいて当業者が容易に想到しうることではないことから、請求人の主張は失当であると主張している。
なお、被請求人は、平成19年6月29日付け答弁書において、被請求人が本件発明を実施していること、及び請求人が製造販売している製品及び判定結果を立証する証拠方法として乙第1号証及び乙第2号証を提出している。

[証拠方法]
乙第1号証:四国化成株式会社「エクステリア総合カタログ2007-2008」住宅576ページ?579ページ「リフティング アコー」部分の被請求人伸縮門扉カタログ
乙第2号証:判定2005-60080号

第4.訂正請求について

1.訂正事項
本件特許の願書に添付した明細書及び図面(以下、「本件特許明細書」という。)の訂正請求(以下、「本件訂正」という。)は、次の事項をその訂正内容とするものである。

(1)訂正事項a
発明の名称「伸縮門扉」を、「ハンガータイプの伸縮門扉」に訂正する。
(2)訂正事項b
特許請求の範囲の請求項1を
「相反する方向に傾斜させた斜架材が交差する位置をピン結合して竹矢来状とし又はその斜架材の交差部に縦格子を施した扉体を形成し、該扉体の下部に車輪やキャスターを設けることなく、扉体の一側を門柱等の固定部に定着するハンガータイプの伸縮門扉において、扉体に縦方向の荷重を与えない場合に扉体を逆扇形状とするように、主たる斜架材の上端部から下端部にかけてピン軸間距離をA、B、C、D、Eとし、上端部のピン軸間距離Aをピン軸間距離Bより小さくし、ピン軸間距離Cにおいて斜架材を交差させ、ピン軸間距離Bをピン軸間距離Dより小さくし、ピン軸間距離Dを下端部のピン軸間距離Eより小さくすることにより、扉体の上方部における斜架材のピン軸間距離を扉体の下方部における斜架材のピン軸間距離より小さくしたことを特徴とするハンガータイプの伸縮門扉。」
と訂正する。
(3)訂正事項c
本件特許明細書の段落【0005】の記載を
「【課題を解決するための手段】本発明者等は、このような事情に鑑み種々の試作を繰り返した結果、相反する方向に傾斜させた斜架材が交差する位置をピン結合して竹矢来状とし又はその斜架材の交差部に縦格子を施した扉体を形成し、該扉体の下部に車輪やキャスターを設けることなく、扉体の一側を門柱等の固定部に定着するハンガータイプの伸縮門扉において、扉体に縦方向の荷重を与えない場合に扉体を逆扇形状とするように、主たる斜架材の上端部から下端部にかけてピン軸間距離をA、B、C、D、Eとし、上端部のピン軸間距離Aをピン軸間距離Bより小さくし、ピン軸間距離Cにおいて斜架材を交差させ、ピン軸間距離Bをピン軸間距離Dより小さくし、ピン軸間距離Dを下端部のピン軸間距離Eより小さくすることにより、扉体の上方部における斜架材のピン軸間距離を扉体の下方部における斜架材のピン軸間距離より小さくしたハンガータイプとすることによって、所期の伸縮門扉が得られることを知見し、本発明を完成した。」
と訂正する。

2.訂正の目的の適否、新規事項の有無及び特許請求の範囲の拡張・変更の存否について

(1)訂正の目的の適否について
(a)訂正事項aの訂正内容は、以下の特許請求の範囲の訂正に伴い、特許請求の範囲の記載と発明の名称との整合を図るものであって、明りょうでない記載の釈明を目的とするものであることが明らかであるといえる。
(b)訂正事項bにおける請求項1についての訂正内容は、
訂正前の特許請求の範囲の請求項1に記載された「扉体」に関して「竹矢来状とし又はその斜架材の交差部に縦格子を施した扉体」に限定し、
「扉体の一側を門柱等の固定部に定着する」という事項に関して、「扉体の下部に車輪やキャスターを設けることなく」との限定をし、
「伸縮門扉」に関して、「ハンガータイプの」との限定をし、
さらに、訂正前の請求項1に記載された「扉体の上方部における斜架材のピン軸間距離を扉体の下方部における斜架材のピン軸間距離より小さく」することについて、「扉体に縦方向の荷重を与えない場合に扉体を逆扇形状とするように、主たる斜架材の上端部から下端部にかけてピン軸間距離をA、B、C、D、Eとし、上端部のピン軸間距離Aをピン軸間距離Bより小さくし、ピン軸間距離Cにおいて斜架材を交差させ、ピン軸間距離Bをピン軸間距離Dより小さくし、ピン軸間距離Dを下端部のピン軸間距離Eより小さくする」との限定をするものであるから、特許請求の範囲の減縮をするものといえる。
(c)訂正事項cの訂正内容は、上記の特許請求の範囲の訂正に伴い、特許請求の範囲の記載と発明の詳細な説明の記載との整合を図るものであって、明りょうでない記載の釈明を目的とするものであることが明らかである。

(2)新規事項の有無及び特許請求の範囲の拡張・変更の存否について

ところで、審判請求人は、本件特許明細書には、ピン軸間距離Cにおいて1本の斜架材を交差させた伸縮門扉については記載されているが、ピン軸間距離Cにおいて2本以上の斜架材を交差させる点については開示も示唆もされていないところ、上記「ピン軸間距離Cにおいて斜架材を交差させ」なる記載は、「ピン軸間距離Cにおいて1本の斜架材を交差させ」たもののみならず、本件特許明細書等に記載されていない「ピン軸間距離Cにおいて2本以上の斜架材を交差させ」たものも含む記載となっており、しかも、「ピン軸間距離Cにおいて2本以上の斜架材を交差させ」た場合でも、その他の構成要件との間で矛盾を生じるようなこともないから、本件訂正は新規事項を追加するものであると主張しているので、まず上記主張について検討する。

まず、斜架材について本件訂正前の特許明細書をみると、発明の詳細な説明の段落【0006】には【発明の実施の形態】として、「この発明の実施に適する伸縮門扉は、相反する方向に傾斜させた斜架材が交差する位置をピン結合して扉体を形成したものであり、第1図及び第2図に示したような前後の斜架材の交差部に縦格子を施したものが典型的なものであるが、縦格子を省略した斜架材のみからなる竹矢来状のものでも差し支えない。」
と記載され、続いて、段落【0007】に、
「通常この種の伸縮門扉の高さは、1m?1.5mの範囲であり前後の斜架材は上端部から下端部にかけて5ないし7箇所を交差させ、その交差部をピン軸によって回動自在に連結している。」との記載がある。

そうすると、本件訂正前の本件特許明細書は【発明の実施の形態】として、通常にみられる形態として、「伸縮門扉の高さ、1m?1.5mの範囲であり斜架材は上端部から下端部にかけて5ないし7箇所を交差」という、「伸縮門扉」の代表的な形状が示されたものといえるが、伸縮門扉がこの高さのみでしか存在し得ないものではないことや、斜架材の交差箇所は5ないし7箇所としなければ伸縮門扉として成立し得ないものではないことは自明のことである。

さらに、本件特許明細書の段落【0009】には【実施例】として、
「【0009】
【実施例】第1図ないし第3図に示した伸縮門扉は、縦30mm、横16mm、厚さ1.6mmのアルミニウム型材からなる斜架材1、1…を、相反する方向に傾斜させ斜架材によって囲まれる菱形模様が左右方向に二個及び三個の繰り返しとなるように配列し、主たる斜架材1には上端部から下端部にかけて、A=170mm、B=171mm、C=345mm、D=174mm、E=175mmの間隔でピン孔2、2…を穿設し、前後斜架材1、1…の交差位置のピン孔2、2にピン軸3を遊嵌して定着し、菱形模様が三個の現れる斜架材の交差部において、斜架材の外側に縦、横22mm、厚さ1.6mmのアルミニウム型材からなる断面コの字状縦格子4、4…をそれぞれ配設し、斜架材1、1…の下端部から三番目のピン孔2、2に挿嵌したピン軸3を前後外方に突出させて縦格子4、4と固着し、上端部、上端部から三番目及び下端部に挿嵌したそれぞれのピン軸3を前後外方に突出させて、縦格子4、4のコの字状溝5、5にガイドローラー6を介して、摺動自在に嵌合させたものである。」との記載があり、さらに、【図面の簡単な説明】には、「【図1】本発明伸縮門扉の一例を示す立面図」との記載があり、図1には、斜架材が7箇所で交差し、軸間距離Cにおいて斜架材が交差する態様が示されている。
そうすると、本件特許明細書は、【発明の実施の形態】として、通常にみられる形態として、伸縮門扉の高さ、1m?1.5mの範囲であり前後の斜架材は上端部から下端部にかけて5ないし7箇所を交差させたものを示し、そのうち、【実施例】には、斜架材は上端部から下端部にかけて7箇所を交差させた一例を示すとともに、主たる斜架材の上端部から下端部にかけてピン軸間距離をA、B、C、D、Eとし、ピン軸間距離Cにおいて斜架材を交差させたものが示されていたということができる。

してみれば、本件訂正の上記訂正事項b及びcのうち、「ピン軸間距離Cにおいて斜架材を交差させ」との事項は、訂正前の本件特許明細書に記載された事項の範囲内のものというべきである。

もっとも、本件訂正によって、本件特許発明の伸縮門扉について、ピン軸間距離Cにおいて斜架材を交差させることに特定することにより、結果的に、本件発明の伸縮門扉自体が、その構成において、特許明細書及びその図面に記載された事項の範囲を超えるものとなる場合には、当該訂正は、新規事項を含むものとして許されるべきではない。

しかし、本件特許明細書においては、上記のとおり、ピン軸間距離Cにおいて斜架材を交差させたものが示されているものである。確かに、本件発明の実施例を示す図1には、軸間距離Cで1本の斜架材のみが交差する伸縮門扉が記載されているが、もとより、図1にみられるは、通常にみられる斜架材の上端部から下端部にかけて7箇所を交差させた伸縮門扉の一例である実施例にすぎず、伸縮門扉の斜架材が当該交差本数のみでしか存在し得ないものではないこともまた自明のことであり、軸間距離Cで交差する斜架材を1本以外を除外する根拠はない。

したがって、本件訂正の訂正事項b及びcの「ピン軸間距離Cにおいて斜架材を交差させ」との事項が、新規事項を追加するものであるということはできない。

また、上記訂正事項a?cは、いずれも本件特許明細書の特許請求の範囲の記載、明細書の段落【0006】の記載及び図面の記載から自明な事項であるといえるから、本件特許明細書に記載された事項の範囲内のものである。

したがって、本件訂正は、本件特許明細書に記載した事項の範囲内においてした訂正であり、さらに、実質上特許請求の範囲を拡張し、又は変更するものでもない。

3.まとめ
以上のとおりであるから、本件訂正は、特許法第134条の2第1項ただし書き各号並びに同条第5項の規定において準用する特許法第126条第3項及び第4項の規定に適合するので、当該訂正を認める。

第4.本件発明について
上記第3.のとおり本件訂正は認められるので、本件特許の請求項1に係る発明(以下、「本件特許発明」という。)は、訂正請求書により訂正された明細書及び図面(以下、「訂正明細書」という。)の記載からみて、その特許請求の範囲の請求項1に記載された事項により特定される、次のとおりのものと認められる。

(本件特許発明)
「相反する方向に傾斜させた斜架材が交差する位置をピン結合して竹矢来状とし又はその斜架材の交差部に縦格子を施した扉体を形成し、該扉体の下部に車輪やキャスターを設けることなく、扉体の一側を門柱等の固定部に定着するハンガータイプの伸縮門扉において、扉体に縦方向の荷重を与えない場合に扉体を逆扇形状とするように、主たる斜架材の上端部から下端部にかけてピン軸間距離をA、B、C、D、Eとし、上端部のピン軸間距離Aをピン軸間距離Bより小さくし、ピン軸間距離Cにおいて斜架材を交差させ、ピン軸間距離Bをピン軸間距離Dより小さくし、ピン軸間距離Dを下端部のピン軸間距離Eより小さくすることにより、扉体の上方部における斜架材のピン軸間距離を扉体の下方部における斜架材のピン軸間距離より小さくしたことを特徴とするハンガータイプの伸縮門扉。」


第5.無効理由に対する判断

1.請求人の提出した証拠の記載事項

(1)甲第1号証(実願平5-77100号(実開平7-40996号)のCD-ROM)には、図面とともに次の事項が記載されている。

(1イ)「【実用新案登録請求の範囲】
【請求項1】 前後の縦桟(15),(16) の上部を連結して形成した縦枠材(7)を伸縮方向に多数配置し、各縦枠材(7) を相互に伸縮自在に連結するパンタグラフ機構(8) を前後の縦桟(15),(16) 間に配置し、このパンタグラフ機構(8) の上下に相対応する複数個の交差部を、前後の縦桟(15),(16) 間に配置された固定軸(28)及び移動軸(29)を介して各縦枠材(7) に枢着した伸縮門扉において、各縦枠材(7) の前後の何れか一方に縦桟(16)を1本設けると共に、他方に縦桟(15)を伸縮方向に2本設け、一方の1本の縦桟(16)の上端部に該縦桟(16)を介して他方の2本の縦桟(15)の上端部を固定し、他方の2本の縦桟(15)を伸縮方向に連結するための連結部材(18)を固定軸(28)及び移動軸(29)に対応させて設けたことを特徴とする伸縮門扉。」

(1ロ)「【0008】
【実施例】
以下、本考案の実施例を図面に基づいて詳述する。
図1乃至図8は本考案の第1実施例を例示する。図1及び図2は伸縮門扉を示し、1 は吊元側支柱、2 は戸当り側支柱で、これらの各支柱1,2 は略逆U字状に構成され、ガレージ等の出入口部の左右両端で地面3 に立設されている。
【0009】
4 は伸縮式の扉本体で、吊元側支柱1 と戸当り側支柱2 との間に、その間口部を開閉するように設けられている。この扉本体4 は、上下方向に配置された吊元側端枠5 及び戸当り側端枠6 と、この両端枠5,6 間に伸縮方向に等間隔をおいて上下方向に配置された多数の縦枠材7 と、この各縦枠材7 間を相互に伸縮自在に連結するパンタグラフ機構8 とを備えている。」

(1ハ)「【0015】
パンタグラフ機構8 は、前後の縦桟15,16 間に配置されている。そして、このパンタグラフ機構8 は、前後の縦桟15,16 に対して上下方向の5か所で交差するように、斜め方向に傾斜して交差状に配置された長さの異なる4種類の斜め桟27を多数組備えて構成されている。
【0016】
4種類の斜め桟27の内、斜め桟27a は左右両端から1番目の縦枠材7 と2番目の縦枠材7 に、斜め桟27b は左右両端から1番目乃至3番目の縦枠材7 に、斜め桟27c は左右両端から1番目乃至4番目の縦枠材7 に、又斜め桟28d は左右両端から1番目乃至5番目の縦枠材7 及びそれより内側の各5個の縦枠材7 に夫々枢支連結されている。
【0017】
パンタグラフ機構8 の5か所の交差部の内、下から2番目の交差部に固定軸28が、また下から1番目、4番目、5番目の交差部に移動軸29が夫々配置され、これらの各固定軸28及び移動軸29は各前後の縦桟15,16 間に架設されている。なお、両側の縦枠材7 に対応する下から2番目の交差部にも、移動軸29が設けられている。そして、固定軸28と、最上段の移動軸29を除く他の移動軸29との前端が連結部材18に固定されている。」

(1ニ)「【0021】
各斜め桟27は垂直面に沿って互いに揺動するように上部で水平軸41によって枢支連結され、扉本体4 を最小長さまで収縮させた時に、両端枠5,6 と各縦枠材7との上端が略同一高さに揃うようになっている。・・・」

(1ホ)「【0031】
【考案の効果】
本考案によれば、一本の縦桟16の上端部に該縦桟16を介して2本の縦桟15の上端部を固定し、他方の2本の縦桟15を伸縮方向に連結するための連結部材18を固定軸28及び移動軸29に対応させて設けているので、他方の2本の縦桟15の伸縮方向の間隔を一定に確保しつつ、各縦枠材7 の剛性を高めて伸縮門扉を構成することができる。このため、扉本体4 の開閉の際に、外力が加わっても縦桟15,16 同士が捻じれたりガタツクこともなく、移動軸29の連結部材18を他方の2本の縦桟15に沿って上下方向にスムーズに摺動させることができると共に、細い縦桟15の組み合わせによる縦枠材7 の形成によって一体感及び美観を兼ね備えたバランスの良い伸縮門扉を構成することができる。」

(1ヘ)図1には、斜め桟27において、最上部の軸である移動軸29と、最上部から2つ目の軸である水平軸41の距離(以下「X1」とおく。)が、斜め桟27において、最下部の軸である移動軸29と、最下部から2つ目の軸である固定軸28の距離(以下「Y1」とおく。)より小さい態様が記載されている。

そして、上記甲第1号証に記載された事項(1イ)?(1ヘ)及び図面に記載された事項を総合すると、甲第1号証には、次の発明(以下、「甲1発明」という。)が記載されているものと認められる。

(甲1発明)
「前後の縦桟(15),(16) の上部を連結して形成した縦枠材(7)を伸縮方向に多数配置し、各縦枠材(7) を相互に伸縮自在に連結するパンタグラフ機構(8) を前後の縦桟(15),(16) 間に配置し、このパンタグラフ機構(8) の上下に相対応する複数個の交差部を、前後の縦桟(15),(16) 間に配置された固定軸(28)及び移動軸(29)を介して各縦枠材(7) に枢着した伸縮門扉において、各縦枠材(7) の前後の何れか一方に縦桟(16)を1本設けると共に、他方に縦桟(15)を伸縮方向に2本設け、一方の1本の縦桟(16)の上端部に該縦桟(16)を介して他方の2本の縦桟(15)の上端部を固定し、他方の2本の縦桟(15)を伸縮方向に連結するための連結部材(18)を固定軸(28)及び移動軸(29)に対応させて設けた、伸縮門扉であり、
斜め桟(27)において、最上部の軸である移動軸(29)と、最上部から2つ目の軸である水平軸(41)の距離(X1)が、斜め桟(27)において、最下部の軸である移動軸(29)と、最下部から2つ目の軸である固定軸(28)の距離(Y1)より小さい、伸縮門扉。」

(2)甲第2号証(実願平5-33621号(実開平7-4793号)のCD-ROM)には、図面とともに次の事項が記載されている。

(2イ)「【実用新案登録請求の範囲】
【請求項1】 複数本の縦桟(2,2・・)を、複数本の右上り斜桟(31,31・・)と複数本の右下り斜桟(32,32・・)とをパンタグラフ状に組付けてなる伸縮リンク(3)で連結して、左右方向に伸縮開閉し得るようにした伸縮門扉であって、
前記各右上り斜桟(31,31・・)と前記各右下り斜桟(32,32・・)とは、それぞれ1本の縦桟(2)に対して上段、中段、下段の3箇所に交差部(21,22,23)を設ける一方で、隣接する2本の縦桟(2,2)間において上下2箇所に交差部(34,35)を設けた状態で組付け、
縦桟(2)に対応する前記上段交差部(21)と前記下段交差部(23)のうちのいずれか一方の交差部(21又は23)を縦桟(2)に対して固定軸(4)で上下摺動不能に枢着し、且つ縦桟(2)に対応する前記上段交差部(21)と前記下段交差部(23)のうちのいずれか他方の交差部(23又は21)を縦桟(2)に対して摺動軸(5)で上下摺動自在に枢着するとともに、両端部の各縦桟(2,2)を除く他の縦桟(2)に対応する前記中段交差部(22)は無軸状態とし、
各縦桟(2,2)間側の上下2箇所の交差部(34,35)のうちの少なくとも一方の交差部(34又は35)を軸(6)で枢着した、ことを特徴とする伸縮門扉。」

(2ロ)「【0007】
【作用】
本考案の伸縮門扉によれば、伸縮リンクの右上り斜桟と右下り斜桟とは、それらの各端部を、1つおきに隣接する2つの縦桟に対して一方が上下摺動不能で他方が上下摺動自在に連係させた状態で組付け、さらに各縦桟間において交差する上下2箇所の交差部のうちの少なくとも一方の交差部を軸で枢着して組付けており、この伸縮門扉を開閉操作したときには、右上り斜桟と右下り斜桟とが、縦桟に対して枢着されている固定軸を中心としてそれぞれ上下に枢動するようになる(摺動軸が縦桟に対して上下に摺動する)。従って、右上り斜桟と右下り斜桟の、縦桟に対応する中段交差部を無軸状態とした場合でも、伸縮門扉を支障なく伸縮開閉させることができる。」

(2ハ)「【0010】
図1?図6に示す第1実施例の伸縮門扉は、複数本の縦桟2,2・・を上下一対の伸縮リンク3,3で左右方向に伸縮自在に連結して門扉本体1を構成し、該門扉本体1の左右方向一端(図示例では左端)に位置する縦桟2を吊元支柱11に連結して構成されている。尚、高さの低い伸縮門扉では、伸縮リンク3を1つだけ使用してもよい。」

(2ニ)【0014】
そして、この第1実施例では、各縦桟2,2・・と上下各伸縮リンク3,3とは次のようにして連結されている。上下各伸縮リンク3,3における、各縦桟2に対応する位置にある下段交差部23を縦桟2に対して固定軸4で上下摺動不能に枢着し(図5参照)、各縦桟2に対応する位置にある上段交差部21を縦桟2に対して摺動軸5で上下摺動自在に枢着し(図3参照)、さらに各縦桟2に対応する位置にある中段交差部22を単に交差させただけの無軸状態(図4参照)としているとともに、隣接する各縦桟2,2間に位置する上下2箇所の交差部のうちの上段交差部34(摺動軸5に近い側の交差部)のみを軸6で枢着している(図6参照)。即ち、伸縮リンク3における右上り斜桟31の下端部と右下り斜桟32の下端部との交差部(下段交差部)23とが固定軸4で縦桟2に対して上下摺動不能に枢着され、各斜桟31,32における各上端部の交差部(上段交差部)21が各斜桟31,32の下端部を枢着している縦桟2から右又は左に1つおいて次に隣接する縦桟2に対して摺動軸5で上下摺動自在に枢着されている。そして、各縦桟2,2間の上段交差部34を軸6で枢着していることにより、各縦桟2,2・・を左右方向に伸縮せしめ得る如く連係させている。」

(2ホ)図1には、右上がり斜桟31及び右下り斜桟32について、最上部の摺動軸5と上段交差部34の軸6との距離(以下、「X2」とおく。)が、同じく右上がり斜桟31及び右下り斜桟32の最下部の固定軸4と、縦桟との交差部の軸6との距離(以下「Y2」とおく)より小さい態様が記載されている。

そして、上記甲第2号証に記載された事項(2イ)?(2ホ)及び図面に記載された事項を総合すると、甲第2号証には、次の発明(以下、「甲2発明」という。)が記載されているものと認められる。

(甲2発明)
「複数本の縦桟(2,2・・)を、複数本の右上り斜桟(31,31・・)と複数本の右下り斜桟(32,32・・)とをパンタグラフ状に組付けてなる伸縮リンク(3)で連結して、左右方向に伸縮開閉し得るようにした伸縮門扉であって、
前記各右上り斜桟(31,31・・)と前記各右下り斜桟(32,32・・)とは、それぞれ1本の縦桟(2)に対して上段、中段、下段の3箇所に交差部(21,22,23)を設ける一方で、隣接する2本の縦桟(2,2)間において上下2箇所に交差部(34,35)を設けた状態で組付け、
縦桟(2)に対応する前記上段交差部(21)と前記下段交差部(23)のうちのいずれか一方の交差部(21又は23)を縦桟(2)に対して固定軸(4)で上下摺動不能に枢着し、且つ縦桟(2)に対応する前記上段交差部(21)と前記下段交差部(23)のうちのいずれか他方の交差部(23又は21)を縦桟(2)に対して摺動軸(5)で上下摺動自在に枢着するとともに、両端部の各縦桟(2,2)を除く他の縦桟(2)に対応する前記中段交差部(22)は無軸状態とし、
各縦桟(2,2)間側の上下2箇所の交差部(34,35)のうちの少なくとも一方の交差部(34又は35)を軸(6)で枢着し、
右上がり斜桟31及び右下り斜桟32について、最上部の摺動軸5と上段交差部34の軸6との距離(X2)が、同じく右上がり斜桟31及び右下り斜桟32の最下部の固定軸4と、縦桟との交差部の軸6との距離(Y2)より小さい、伸縮門扉。」

(3)甲第3号証(実願平5-5771号(実開平6-58096号)のCD-ROM )には、図面とともに次の事項が記載されている。

(3イ)「【実用新案登録請求の範囲】
【請求項1】 伸縮門扉本体(4)の任意の縦桟(7)の下部に、下端部に係合部(29)を有する転倒防止ブラケット(20)を、その係合部(29)が該伸縮門扉本体(4)の上下、前後及び伸縮方向に調整できるように取付金具(19)を介して取り付け、地面(3)側の該伸縮門扉本体(4)の伸縮経路(a)上に、該伸縮門扉本体(4)の最大伸長時に転倒防止ブラケット(20)の係合部(29)が係合し、かつ該伸縮門扉本体(4)の伸縮時に該転倒防止ブラケット(20)の係合部(29)が係合する被係合部(37)を有する受け具(21)を設けたことを特徴とする伸縮門扉の転倒防止装置」

(3ロ)「【0009】
【作用】
開閉時には伸縮門扉本体4を伸縮経路aに沿って伸縮させる。そして、伸縮門扉本体4の伸長時に、転倒防止ブラケット20の係合部29が受け具21の被係合部37に係合し、収縮時に係合部29が被係合部37から離脱する。このため開閉時の係脱操作が不要になる。
伸縮門扉本体4を伸長させて閉状態にした時には、転倒防止ブラケット20の係合部29が受け具21の被係合部37に係合し、伸縮門扉本体4の横振れ、転倒を防止する。

(3ハ)「【0011】
【実施例】・・・
図1及び図2は伸縮門扉を示し、1は吊元側支柱、2は戸当り側支柱で、これらの各支柱1,2は逆U字状に構成され、ガレージ等の出入口部の左右両端で地面3に立設されている。
【0012】
4は伸縮門扉本体で、吊元側支柱1と戸当り側支柱2との間に、その間口部を開閉するように設けられている。この伸縮門扉本体4は、上下方向に配置された吊元側端枠5及び戸当り側端枠6と、この両端枠5,6間に間口方向に等間隔をおいて上下方向に配置された多数の縦桟7と、各縦桟7間を相互に伸縮自在に連結する上下2列のパンタグラフ機構8とを備えている。」

(3ニ)「【0015】
各パンタグラフ機構8は逆U字状の縦桟7内に設けられている。そして、この各パンタグラフ機構8は、各縦桟7に対して上下方向の3箇所で交差するように、斜め方向に傾斜して交差状に配置された上下2本づつの斜め桟12,13 を多数組備えて構成されている。
【0016】
各斜め桟12,13 は各縦桟7に対応する上下3箇所の交差部で枢軸14により屈折自在に枢支連結され、また下側の各2本の斜め桟12,13 は隣り合う一対の縦桟7間の交差部で枢軸15により屈折自在に枢支連結されている。・・・」

(3ホ)図1には、斜め桟12及び13について、斜め桟12及び13の縦桟間の長さ(以下、「Y3」とおく。)が、斜め桟12及び13の下端から枢軸15までの長さ(以下「X3」とおく。)より大きい態様が記載されている。

そして、上記甲第3号証に記載された事項(3イ)?(3ホ)及び図面に記載された事項を総合すると、甲第3号証には、次の発明(以下、「甲3発明」という。)が記載されているものと認められる。

(甲3発明)
「伸縮門扉本体を、吊元側支柱1と戸当り側支柱2との間に、その間口部を開閉するように設け、
この伸縮門扉本体4は、上下方向に配置された吊元側端枠5及び戸当り側端枠6と、この両端枠5,6間に間口方向に等間隔をおいて上下方向に配置された多数の縦桟7と、各縦桟7間を相互に伸縮自在に連結する上下2列のパンタグラフ機構8とを備え、
各パンタグラフ機構8は、各縦桟7に対して上下方向の3箇所で交差するように、斜め方向に傾斜して交差状に配置された上下2本づつの斜め桟12,13を多数組備えて構成し、
斜め桟12及び13について、斜め桟12及び13の縦桟間の長さ(Y3)が、斜め桟12及び13の下端から枢軸15までの長さ(X3)より大きく、
伸縮門扉本体4の任意の縦桟7の下部に、下端部に係合部29を有する転倒防止ブラケット20を、その係合部29が該伸縮門扉本体4の上下、前後及び伸縮方向に調整できるように取付金具19を介して取り付け、地面3側の該伸縮門扉本体4の伸縮経路a上に、該伸縮門扉本体4の最大伸長時に転倒防止ブラケット(20)の係合部(29)が係合し、かつ該伸縮門扉本体4の伸縮時に該転倒防止ブラケット20の係合部29が係合する被係合部37を有する受け具21を設けた、伸縮門扉。」

(4)甲第4号証(実願昭63-38178号(実開平1-148497号)のマイクロフィルム)には、図面とともに、次の事項が記載されている。

(4イ)「2.実用新案登録請求の範囲
1.複数本の縦桟(2,2・・、3,3・・)を、複数本の右上り傾斜リンク片(41・・、51・・)と同じく複数本の右下り傾斜リンク片(42・・、52・・)とを相互にX字状に交差させた状態で順次左右方向に連結してなる上、下一対の伸縮リンク(4,5)のリンク片交点部又はリンク片端部において枢着して左右方向に伸縮自在なる如く連結して門扉本体(1)を構成し、該門扉本体(1)の左右方向一端側に位置する縦桟(2)を吊元(10)に固定してなる伸縮門扉であって、前記上側伸縮リンク(4)における相互に隣接する2本の右上り傾斜リンク片(41,41)と同じく相互に隣接する2本の右下り傾斜リンク片(42,42)とで構成される平行四辺形の上下方向中間高さより上側に位置する上辺側リンク片(41a,42a)と、前記下側伸縮リンク(5)における相互に隣接する2本の右上り傾斜リンク片(51,51)と同じく相互に隣接する2本の右下り傾斜リンク片(52,52)とで構成される平行四辺形の上下方向中間高さより上側に位置する上辺側リンク片(51a,52a)との間に、前記縦桟(2,3)に対して平行に向けて配置した連結棒(6)を、該連結棒(6)の上部(6a)と前記上側伸縮リンク(4)の平行四辺形部分における上辺側リンク片(41a,42a)とを枢着し且つ該連結棒(6)の下部(6b)と前記下側伸縮リンク(5)の平行四辺形部分における上辺側リンク片(51a,52a)とを枢着した状態で介設するとともに、該連結棒上部(6a)と前記上側伸縮リンク(4)側の上辺側リンク片(41a,42a)との枢着部(B1)と該連結棒下部(6b)と前記下側伸縮リンク(5)側の上辺側リンク片(51a,52a)との枢着部(B2)間の間隔(B)を、門扉の伸縮作用が阻害されない範囲内において前記縦桟(2,3)と前記上、下各伸縮リンク(4,5)との上下2つの枢着部(A1,A2)間の間隔(A)より大きくしていることを特徴とする伸縮門扉。」(明細書1頁4行?3頁1行)

(4ロ)「(産業上の利用分野)本考案は、複数本の縦桟を、それぞれ複数本の右上り傾斜リンク片と右下り傾斜リンク片を順次平行四辺形を構成する如くして組付けてなる上、下一対の伸縮リンクで順次左右方向に伸縮自在に枢着してなる伸縮門扉に関するものである。」(同3頁3?8行)

(4ハ)「(従来技術)この種の一般的な伸縮門扉として、第8図に示すようなものがある。・・・ところが、この従来の伸縮門扉では、各縦桟102・・、103・・を単に上下の各伸縮リンク104,105で連結しているだけなので、門扉本体101の自由側が自重により下方に垂れ下がるため、その門扉本体101の自由側端の下部に(及び必要に応じて門扉本体の中間部の下部にも)比較的高価なキャスター109を設ける必要があり、コストアップになるという問題があった。尚、上記キャスター109を設けない場合には、門扉本体101の自重により吊元110から自由側端に遠ざかるにしたがって漸次垂れ下がり幅が大きくなり(例えば門扉本体101が鎖線Lで示すように垂れ下がる)、見映えが悪くなる。・・・」(同3頁9行?4頁13行)

(4ニ)「(考案の目的)本考案は、上記した従来の伸縮門扉の問題点に鑑み、キャスターを省略することができ、しかも該キャスターを省略しても門扉本体の自由側が垂れ下がらないようにし得る伸縮門扉を提供することを目的とするものである。」(同4頁18行?5頁3行)

(4ホ)「(作用)本考案の伸縮門扉によれば、縦桟に対して平行に向けて配置した連結棒の上部と上側伸縮リンクにおける右上り傾斜リンク片と右下り傾斜リンク片とで構成される平行四辺形の上下方向中間高さより上側に位置する上片側リンク片とを枢着し、且つ該連結棒の下部と下側伸縮リンクにおける右上り傾斜リンク片と右下り傾斜リンク片とで構成される平行四辺形の上下方向中間高さより上側に位置する上辺側リンク片とを枢着し、さらに該連結棒上部と上側伸縮リンク側の上片側リンク片との枢着部と該連結棒下部と下側伸縮リンク側の上辺側リンク片との枢着部間の間隔を、門扉の伸縮作用が阻害されない範囲内において縦桟と上、下各伸縮リンクとの上下2つの枢着部の間隔より大きくしているので、上側伸縮リンクにおける平行四辺形部分の上辺側リンク片と下側伸縮リンクにおける平行四辺形部分の上辺側リンク片とが相互に突っ張り合うようになり、上側伸縮リンク側においては該伸縮リンクが縮小されるような作用が加わり、逆に下側伸縮リンク側においては該伸縮リンクが伸長されるような作用が加わる。ところで、門扉本体はその一端側の縦桟が吊元に固定されており、上記上側伸縮リンク側の縮小作用と下側伸縮リンク側の伸長作用により、相互に隣接する2つの縦桟間において自由側寄りの縦桟の上部側を吊元側に引き寄せると同時に該自由側寄り縦桟の下部側を吊元側から遠ざけるような作用が働く。その結果、上記連結棒の突っ張り作用により、順次相互に隣接する2つの縦桟において自由側寄りの縦桟が自重により垂れ下ろうとする作用を吸収して、門扉本体の自由側の垂れ下りを阻止するようになる。」(同6頁14行?8頁6行)

(4ヘ)「(実施例)第1図ないし第7図を参照して本考案の実施例を説明すると、第1図ないし「第6図に示す実施例の伸縮門扉は、複数本の縦桟2・・、3・・を上、下一対の伸縮リンク4,5で左右方向に伸縮自在に連結して門扉本体1を構成し、該門扉本体1の左右方向一端に位置する縦桟2を吊元10に固定して構成されている。」(同8頁7行?14行)

(4ト)「上側伸縮リンク4及び下側伸縮リンク5は、それぞれ複数本の右上り傾斜リンク片41・・(51・・)と同じく複数本の右下り傾斜リンク片42・・(52・・)とを相互にX字状に交差させた状態で順次左右方向に連結して構成されている。そして、前記各縦桟2・・、3・・は、上、下各伸縮リンク4,5におけるリンク片交点部又はリンク片端部の適所においてピンで枢着(上側伸縮リンク側の枢着部A1・・、下側伸縮リンク側の枢着部A2・・)することにより、左右方向に伸縮自在なる如く連結されている。尚、この実施例では、第1図において黒丸で塗り潰している部分が伸縮リンク(4,5)と、縦桟(2,3)との枢着部である。又、門扉本体1における両端に位置する各縦桟2,2及び各短尺の縦桟3・・はそれぞれ上下2箇所で枢着(枢着部A1,A2)されており、他方、門扉本体1の両端を除く他の各長尺の縦桟2・・は下側伸縮リンク5側のみが枢着(枢着部A2)されていて、該長尺の縦桟2・・と上側伸縮リンク4とは第4図に示すように右上り傾斜リンク片41と右下り傾斜リンク片42の各上端交点部を枢着しているピン(枢着部B1)が縦桟2に形成した縦ガイド溝23内で上下方向にのみスライド可能なる如く嵌合支持されている。」(同9頁8行?10頁11行)

(4チ)「連結棒6の上部6aは、上側伸縮リンク4の上記平行四辺形における右上り傾斜リンク片41と右下り傾斜リンク片42の上端交点部に枢着(枢着部B1)され、他方、該連結棒6の下部6bは、下側伸縮リンク5の上記平行四辺形における右上り傾斜リンク片51と右下り傾斜リンク片52の上端交点部に枢着(枢着部B2)されている。又、この連結棒6の上部6aと上側伸縮リンク4側の平行四辺形を構成するリンク片(右上り傾斜リンク片41と右下り傾斜リンク片42の上端交点部)との枢着部B1と、該連結棒6の下部6bと下側伸縮リンク5側の平行四辺形を構成するリンク片(右上り傾斜リンク片51と右下り傾斜リンク片52の上端交点部)との枢着部B2間の間隔Bは、門扉の伸縮作用が阻害されない範囲内において縦桟(2又は3)と上、下各伸縮リンク4,5との上下2つの枢着部A1,A2間の間隔Aより大きくしている。例えば、縦桟(2又は3)側の上記各枢着部A1,A2間の間隔Aが680mm程度に対して、連結棒6側の上記各枢着部B1,B2間の間隔Bが682.5mm程度(2.5mm増)としている。このようにすると、第1図において符号Aの間隔より符号Bの間隔がごくわずかに大きくなり、上側伸縮リンク4の平行四辺形部分における上辺側リンク片41a,42aの上端交点部(枢着部B1)と、下側伸縮リンク5の平行四辺形部分における上辺側リンク片51a,52aの上端交点部(枢着部B2)とが相互に突っ張り合うようになって、上側伸縮リンク4側の各上辺側リンク片41a,42aが上側(矢印C1方向)に付勢されると同時に下側伸縮リンク5側の各上辺側リンク片51a,52aが下側(矢印C2方向)に付勢されるようになる。その結果、門扉本体1の上部側においては上側伸縮リンク4が縮小方向に作用して各縦桟2,3間の間隔E1を挟めようとし、逆に門扉本体1の下部側においては下側伸縮リンク5が伸長方向に作用して各2,3間の間隔E2を拡げようとする。即ち、門扉本体1を吊元10に取付けないで平面上に自由状態でねかせた場合には、第6図に示すように門扉本体1の上部側となる側の縦桟2,3間の間隔E1より、門扉本体1の下部側となる側の縦桟2,3間の間隔E2の方が大きくなり、例えば吊元10に固定される縦桟2を基準にすると該吊元側端の縦桟2から自由側に遠ざかる縦桟2,3ほど設置時に上側となる側に位置ずれするようになる。
ところで、門扉本体1における吊元側端の縦桟2は吊元10に固定されており、相互に隣接する2つの縦桟2,3間に、上記のように上側が狭められ下側が拡げられるような作用が働いたとき、相互に隣接する2つの縦桟2,3のうちの自由側に位置する縦桟(2又は3)を順次上側に押し上げるように作用する。他方、相互に隣接する2つの縦桟2,3のうちの自由側に位置する縦桟は自重により垂れ下ろうとするが、その垂れ下り作用は上記自由側縦桟の押し上げ作用により吸収・相殺されるようになり、門扉本体1の自由側下部にキャスターを設けなくても該門扉本体1の自由側の垂れ下りを阻止することができるようになる。」(同12頁3行?14頁20行)

そして、上記甲第4号証に記載された事項(4イ)?(4チ)及び図面に記載された事項を総合すると、甲第4号証には、次の発明(以下、「甲4発明」という。)が記載されているものと認められる。

(甲4発明)
「複数本の縦桟(2,2・・、3,3・・)を、複数本の右上り傾斜リンク片(41・・、51・・)と同じく複数本の右下り傾斜リンク片(42・・、52・・)とを相互にX字状に交差させた状態で順次左右方向に連結してなる上、下一対の伸縮リンク(4,5)のリンク片交点部又はリンク片端部においてピンで枢着し、各縦桟2・・、3・・は、上、下各伸縮リンク4,5におけるリンク片交点部又はリンク片端部の適所においてピンで枢着することにより、左右方向に伸縮自在なる如く連結して門扉本体(1)を構成し、該門扉本体(1)の左右方向一端側に位置する縦桟(2)を吊元(10)に固定してなる伸縮門扉であって、
前記上側伸縮リンク(4)における相互に隣接する2本の右上り傾斜リンク片(41,41)と同じく相互に隣接する2本の右下り傾斜リンク片(42,42)とで構成される平行四辺形の上下方向中間高さより上側に位置する上辺側リンク片(41a,42a)と、前記下側伸縮リンク(5)における相互に隣接する2本の右上り傾斜リンク片(51,51)と同じく相互に隣接する2本の右下り傾斜リンク片(52,52)とで構成される平行四辺形の上下方向中間高さより上側に位置する上辺側リンク片(51a,52a)との間に、前記縦桟(2,3)に対して平行に向けて配置した連結棒(6)を、該連結棒(6)の上部(6a)と前記上側伸縮リンク(4)の平行四辺形部分における上辺側リンク片(41a,42a)とを枢着し且つ該連結棒(6)の下部(6b)と前記下側伸縮リンク(5)の平行四辺形部分における上辺側リンク片(51a,52a)とを枢着した状態で介設するとともに、該連結棒上部(6a)と前記上側伸縮リンク(4)側の上辺側リンク片(41a,42a)との枢着部(B1)と該連結棒下部(6b)と前記下側伸縮リンク(5)側の上辺側リンク片(51a,52a)との枢着部(B2)間の間隔(B)を、門扉の伸縮作用が阻害されない範囲内において前記縦桟(2,3)と前記上、下各伸縮リンク(4,5)との上下2つの枢着部(A1,A2)間の間隔(A)より大きくすることで、
上側伸縮リンク4の平行四辺形部分における上辺側リンク片41a,42aの上端交点部(枢着部B1)と、下側伸縮リンク5の平行四辺形部分における上辺側リンク片51a,52aの上端交点部(枢着部B2)とが相互に突っ張り合うようになって、上側伸縮リンク4側の各上辺側リンク片41a,42aが上側(矢印C1方向)に付勢されると同時に下側伸縮リンク5側の各上辺側リンク片51a,52aが下側(矢印C2方向)に付勢されるようになり、その結果、門扉本体1の上部側においては上側伸縮リンク4が縮小方向に作用して各縦桟2,3間の間隔E1を挟めようとし、逆に門扉本体1の下部側においては下側伸縮リンク5が伸長方向に作用して各2,3間の間隔E2を拡げようとして、門扉本体1を吊元10に取付けないで平面上に自由状態でねかせた場合には、門扉本体1の上部側となる側の縦桟2,3間の間隔E1より、門扉本体1の下部側となる側の縦桟2,3間の間隔E2の方が大きくなり、吊元10に固定される縦桟2を基準にすると該吊元側端の縦桟2から自由側に遠ざかる縦桟2,3ほど設置時に上側となる側に位置ずれするようになるため、
門扉本体1における吊元側端の縦桟2が吊元10に固定され、相互に隣接する2つの縦桟2,3間に、上記のように上側が狭められ下側が拡げられるような作用が働いたとき、相互に隣接する2つの縦桟2,3のうちの自由側に位置する縦桟(2又は3)を順次上側に押し上げるように作用し、他方、相互に隣接する2つの縦桟2,3のうちの自由側に位置する縦桟は自重により垂れ下ろうとするが、その垂れ下り作用は上記自由側縦桟の押し上げ作用により吸収・相殺されるようになり、門扉本体1の自由側下部のキャスターを省略することができ、門扉本体1の自由側下部にキャスターを設けなくても該門扉本体1の自由側の垂れ下りを阻止することができるようにされた伸縮門扉。」

(5)甲第5号証(特開平6-58040号公報)には、図面とともに次の事項が記載されている。

(5イ)「【特許請求の範囲】
【請求項1】前後方向の扉収納空間内に、上下複数本の前後方向ガイドレールにより前後方向に移動可能に支持された扉支持用可動体を設け、この可動体に扉を開閉可能に枢着し、前記扉収納空間の奥端部と前記可動体との間に、前記扉支持用可動体を垂直姿勢に維持させるためのクロス形または入り字形のリンク機構を介装して成る扉押し込み収納装置であって、前記リンク機構における少なくとも1つのリンク端部の支点位置とリンク間の枢着支点との間の距離を調整するリンク有効長さ調整手段を設けて成る扉押し込み収納装置。」

(5ロ)「【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、テレビジョン受像機や仏壇などを収納する据え置き形或いは作り付けの各種収納家具などに使用される観音開き扉や片開き扉を、前後縦向きの開き姿勢で、前記収納家具などの側部に形成された扉収納空間内へ押し込んで収納するための、扉押し込み収納装置に関するものである。」

(5ハ)「【0009】図2および図3において、11は前記扉収納空間4の奥端部と前記可動体8とを連結するリンク機構であって、前後方向に移動する前記可動体8を垂直姿勢に保持するためのものであり、同一長さの2本のリンク12,13を中央部で支軸14により互いに枢着したクロス形リンクが使用されている。
【0010】前記可動体8は、図2?図4、更には図6に示すように、横断面略L字形に形成されていて、そのL字形の内隅部を形成する側に、その長さ方向に沿って、前記スライドガイドレール7と略同じ断面形状の溝形の昇降用ガイドレール15が一体的に装着されている。前記クロス形リンク機構11における前側上下一対のリンク端部12a,13aの内、上側のリンク端部12a側には、当該リンク端部12aの支点位置と前記2本のリンク12,13間の枢着支点(中央支軸)14との間の距離Lを調整するリンク有効長さ調整手段16が設けられている。そして、下側のリンク端部13aは、前記昇降用ガイドレール15の下端部内に嵌合させて固定用ねじ17により固定した軸受ブロック18に支軸19で軸支している。
【0011】図2及び図3に示すように、前記扉収納空間4の奥端部には、前記昇降用ガイドレール15と同様な昇降用ガイドレール20が垂直に取付けられている。前記クロス形リンク機構11における後ろ側上下一対のリンク端部13b,12bには、前記昇降用ガイドレール20のコ字形溝に嵌合して昇降するローラ21,22をそれぞれ支軸23,24で軸支している。なお、昇降用ガイドレール20の裏側にはスペーサ25が配設されている(図4参照)。
【0012】前記リンク有効長さ調整手段16は、図5?図7に示すように、前記リンク端部12aにリンク長さ方向移動可能に支持された可動部材26と、この可動部材26をリンク長さ方向に移動させる螺軸27とから構成され、前記可動部材26にローラ28が支軸29で軸支してある。この構造を詳細に説明すれば、前記リンク端部12aにリンク長さ方向の切り欠き溝30が設けられ、前記可動部材26がその切り欠き溝30の両側部片30a,30aに沿ってスライド自在に嵌合されると共に、前記両側部片30a,30aの外端部に固定部材31が固着され、この固定部材31に前記螺軸27が螺合貫通され、この螺軸27の先端部が前記可動部材26に回転のみ可能に連結されている。従って、前記螺軸27を回すことにより、可動部材26が前記両側部片30a,30aに沿ってリンク長さ方向に移動して、リンク端部12aの支点位置、即ち支軸29の位置が変移し、それによって前記支軸29と前記両リンク12,13の枢着支点たる中央支軸14との間の距離を調整することが出来る。」

(5ニ)「【0014】換言すれば、上記のように中央支軸14と各リンク端部支軸29,24,19,23との間の距離が等しいときには扉6の重みで可動体8が前かがみ状態に傾斜するのであるから、扉6が取付けられ且つ当該扉6を扉収納空間4内から開閉位置まで引き出したとき、前記可動体8が垂直姿勢となるように前記リンク有効長さ調整手段16により、前記中央支軸14と前記可動体8側の上側リンク端部支軸29との間の距離、即ちリンク有効長さLを、前記中央支軸14と他のリンク端部支軸24,19,23との間の距離よりも短くなるように調整する。」

(5ホ)【0025】
【発明の作用及び効果】以上のように本発明による扉押し込み収納装置によれば、上下複数本の前後方向ガイドレールの内の少なくとも一方で扉支持用可動体に作用する垂直荷重を受け止めさせ、当該可動体の垂直姿勢は、当該可動体と扉収納区間の奥端部との間に介装されたクロス形または入り字形のリンク機構によって保持させるのであるから、従来のレール方式のように、扉支持用可動体に作用する垂直荷重を受ける前後方向レールに対する前記可動体側のスライダーの嵌合長さを長くして、前記可動体の垂直姿勢を保持する必要がなくなり、装置のコンパクト化とコストダウンを図ることが出来る。
【0026】しかも大型大重量の扉を使用する場合でも、前記リンク機構における遊びや前記前後方向ガイドレールとこれに嵌合する扉支持用可動体側部分(スライダーなど)との間の遊びなどが原因で、扉を引き出したときに前記可動体(扉)が前かがみの姿勢に傾斜するのを、リンク有効長さ調整手段により確実に防止することが出来る。従って、大型大重量の扉の押し込み収納装置としても有効に活用することが出来る。」

そして、上記甲第5号証に記載された事項(5イ)?(5ホ)及び図面に記載された事項を総合すると、甲第5号証には、次の発明(以下、「甲5発明」という。)が記載されているものと認められる。

(甲5発明)
「テレビジョン受像機や仏壇などを収納する据え置き形或いは作り付けの各種収納家具などに使用される観音開き扉や片開き扉を、前後縦向きの開き姿勢で、前記収納家具などの側部に形成された扉収納空間内へ押し込んで収納するための、扉押し込み収納装置であり、
前後方向の扉収納空間内に、上下複数本の前後方向ガイドレールにより前後方向に移動可能に支持された扉支持用可動体を設け、この可動体に扉を開閉可能に枢着し、前記扉収納空間の奥端部と前記可動体との間に、前記扉支持用可動体を垂直姿勢に維持させるためのクロス形リンク機構を介装して成る扉押し込み収納装置であって、
クロス形リンク機構における前側上下一対のリンク端部の内、上側のリンク端部側には、当該リンク端部の支点位置と前記2本のリンク間の枢着支点(中央支軸)14との間の距離Lを調整するリンク有効長さ調整手段が設けられ
中央支軸と各リンク端部支軸との間の距離が等しいときには扉の重みで可動体が前かがみ状態に傾斜するので、扉が取付けられ且つ当該扉を扉収納空間内から開閉位置まで引き出したとき、前記可動体が垂直姿勢となるように前記リンク有効長さ調整手段により、前記中央支軸と前記可動体側の上側リンク端部支軸との間の距離、即ちリンク有効長さLを、前記中央支軸と他のリンク端部支軸との間の距離よりも短くなるように調整することができる、
扉押し込み収納装置。」

(6)甲第6号証(実願昭63-38179号(実開平1-148498号)のマイクロフィルム)には、図面とともに、次の事項が記載されている。

(6イ)「2.実用新案登録請求の範囲
1.複数本の縦桟(2・・、3・・)を、複数本の右上り傾斜リンク片(41・・、51・・)と同じく複数本の右下り傾斜リンク片(42・・、52・・)とを相互にX字状に交差させた状態で順次左右方向に連結してなる上、下2組の伸縮リンク(4,5)のリンク片交点部又はリンク片端部において枢着して左右方向に伸縮自在なる如く連結して門扉本体(1)を構成し、該門扉本体(1)の左右方向一端側に位置する縦桟(2)を吊元(10)に固定するとともに、門扉本体(1)の自由側端の下端にキャスター(9)を設けた伸縮門扉であって、前記上側に位置する伸縮リンク(4)における右上り傾斜リンク片(41)又は右下り傾斜リンク片(42)と相互に隣接する2本の前記縦桟(2,3)との2つの連結部(A_(1)とA_(2)又はA_(2)とA_(3))間の間隔(A)を、門扉の伸縮作用が阻害されない範囲内において前記下側に位置する伸縮リンク(5)における右上り傾斜リンク片(41,51)又は右下り傾斜リンク片(42,52)と相互に隣接する2本の前記縦桟(2,3)との2つの連結部(B1とB2又はB2とB3)間の間隔(B)より大きくしていることを特徴とする伸縮門扉。」(明細書1頁4行?2頁7行)

(6ロ)「(産業上の利用分野)本考案は、複数本の縦桟を、それぞれ複数本の右上り傾斜リンク片と右下り傾斜リンク片しを相互にX字状に交差させた状態で順次左右方向に連結してなる上、下2組の伸縮リンクで左右方向に伸縮自在なる如く連結して構成された伸縮門扉に関するものである。」(同2頁9?15行)

(6ハ)「(従来技術)従来のこの種の一般的な伸縮門扉として、第8図に示すようなものがある。・・・ところが、第8図に示す従来の伸縮門扉では、門扉本体101の左右方向中間部の下端に、該中間部の垂れ下がりを防止するためのキャスター109が必要となってコスト高になるという問題があるほか、このように左右方向中間部の下端にキャスター109を設けても、門扉本体101が吊元110と該中間部下端のキャスター109の間、及び該中間部下端のキャスター109と自由側端の下端のキャスター109との間において鎖線Mで示すように若干高さだけ垂れ下がるという問題があった。」(同2頁16行?4頁10行)

(6ニ)「(考案の目的)本考案は、上記した従来の伸縮門扉の問題点に鑑み、門扉本体の左右方向中間部下端のキャスターを省略することができ、しかもそのように左右方向中間部下端のキャスターを省略しても門扉本体の中間部が垂れ下がらないようにし得る伸縮門扉を提供することを目的とするものである。」(同4頁11?17行)

(6ホ)「(作用)本考案の伸縮門扉によれば、上、下2組の伸縮リンクにおける、上側に位置する伸縮リンクの右上り傾斜リンク片又は右下り傾斜リンク片と相互に隣接する2本の縦桟との2つの連結部間の間隔を、下側に位置する伸縮リンクの右上り傾斜リンク片又は右下り傾斜リンク片と相互に隣接する2本の縦桟との2つの連結部間の間隔より、門扉の伸縮作用が阻害されない範囲内において大きくしているので、門扉本体の自然状態にあっては、各縦桟間の間隔が上側において大きく下側において小さくなり、該門扉本体全体がその中間部が上側に突出し両端が下側に下がるような弯曲状態となる。ところで、この門扉本体は、その一端側の縦桟が吊元に固定され、他端側(自由側端部)がキャスターによって支持された状態で設置されており、該門扉本体の左右方向中間部にはその自重によって下方に垂れ下がろうとする作用が加わる。ところが、上記したように門扉本体はその自然状態において中間部が両端側より高位置となっており、その高差分によって門扉本体の左右方向中間部が下方に垂れ下がる高さ範囲を吸収できるようになり、門扉本体の中間部下端にキャスターを設けなくても該中間部が門扉本体の両端部より下方に垂れ下がるのを阻止できるようになる。」(同5頁16行?6頁20行)

(6ヘ)「第1図ないし第7図を参照して本考案の実施例を説明すると、第1図ないし第5図には本考案の第1実施例、第6図及び第7図には同第2実施例の伸縮門扉が示されている。
第1図ないし第5図に示す第1実施例の伸縮門扉は、複数本の縦桟2・・、3・・を、それぞれ複数本の右上り傾斜リンク片41・・と右下り傾斜リンク片42・・とを相互にX字状に連結してなる伸縮リンク機構Zで左右方向に伸縮自在に連結して門扉本体1を構成し、該門扉本体1と左右方向一端に位置する縦桟2を吊元10に固定するとともに門扉本体1の自由側端の下端にキャスター9を取付けて構成されている。」(同7頁2行?14行)

(6ト)「伸縮リンク機構Zは、この第1実施例ではそれぞれ長尺の右上り傾斜リンク片41・・と右下り傾斜リンク片42・・とを相互にX字状(矢来模様)に交差させた状態で順次左右方向に連結して、それぞれ一連の右上り傾斜リンク片41・・と右下り傾斜リンク片42・・とで上下2組の伸縮リンク4,5を形成している。そして、前記各縦桟2・・、3・・は、伸縮リンク機構Zにおけるリンク片交点部又はリンク片端部においてピンで枢着(枢着部A2・・、A3)したりあるいは上下方向にスライド自在に連結(連結部A1・・、B2・・、B3・・)することにより、左右方向に伸縮自在なる如く連結されている。」(同8頁7?19行)

(6チ)「前記上側伸縮リンク4側における右上り傾斜リンク片41又は右下り傾斜リンク片42と相互に隣接する2本の縦桟2,3との2つの連結部(A1とA2又はA2とA3)間の各間隔A・・は、前記下側伸縮リンク5側における右上り傾斜リンク片41又は右下り傾斜リンク片42と同じく相互に隣接する2本の縦桟2,3との2つの連結部(B1とB2又はB2とB3)間の各間隔B・・より、門扉の伸縮作用が阻害されない範囲内において大きくしている(符号Aの間隔と符号Bの間隔との差は、該A又はBの長さによって異なるが、例えば符号Aの間隔が230mmであるときに符号Bの間隔が229mm程度が適当である。)。即ち、この第1実施例では、各右上り傾斜リンク片41・・及び各右下り傾斜リンク片42・・を、上下方向中間部の枢着部A3(B1)において、その上側部分のリンク片41a,42aの傾斜角度aが、下側部分のリンク片41b,42bの傾斜角度bより微少角度だけ小さくなる如く屈折させている。このように上記符号A・・の間隔を上記符号B・・の間隔より、門扉の伸縮作用が阻害されない程度の範囲内で大きくすると、相互に隣接する2本の縦桟2,3間は、第5図に示すようにその上部側の間隔E1が下部側の間隔E2よりごくわずかに大きくなる。その結果、門扉本体1を吊元10に取付けないで平面上に自由状態でねかせた場合には、門扉本体1は、その左右方向中間部が若干上側に突出するような弯曲形状となり(各縦桟の下端を結ぶ線が鎖線Nで示すように弯曲する)、中間部に位置する縦桟2の下端と両端に位置する各縦桟2,2の下端との間に高差Hが生じるようになる。この高差Hは、門扉本体1を吊元10に取付けたときの、門扉本体中間部が下方に垂れ下がる高さと等しくなるように設定されている。
ところで、門扉本体1における吊元側端の縦桟2は吊元10に固定されており、又門扉本体1における自由側端の下端にはキャスター9が取付けられていて、門扉本体1の取付け状態では該門扉本体1の左右方向中間部がその自重によって若干高さ(第5図の符号Hの高さ)だけ下方に垂れ下ろうとするが、門扉本体1は上記したように自由状態において予め中間部が両端部に対して若干高さH(第5図)だけ上方に突出するように設定されているので、自重により垂れ下がる高さ範囲を吸収して、各縦桟2,3が同一高さに揃うようになる。」(同9頁16行?11頁20行)

(6リ)「第6図及び第7図に示す第2実施例の伸縮門扉では、上側伸縮リンク4と下側伸縮リンク5とを上下に分離するとともに、第1実施例の場合と同様に、上側伸縮リンク4における右上り傾斜リンク片41又は右下り傾斜リンク片42と相互に隣接する2本の縦桟2,3との2つの連結部(A_(1)とA_(2)又はA_(2)とA_(3))間の間隔Aを、下側伸縮リンク5における右上り傾斜リンク片51又は右下り傾斜リンク片52と相互に隣接する2本の縦桟2,3との2つの連結部(B_(1)とB_(2)又はB_(2)とB_(3))間の間隔Bより、門扉の伸縮作用が阻害されない範囲内において大きくしている。」(同12頁1行?12行)

(6ヌ)第1図には、長尺の右上り傾斜リンク片41・・と右下り傾斜リンク片42・・とで上下2組の伸縮リンク4,5を上下方向に連続して形成した態様が記載されている。

そして、上記甲第6号証に記載された事項(6イ)?(6ヌ)及び図面に記載された事項を総合すると、甲第6号証には、次の発明(以下、「甲6発明」という。)が記載されているものと認められる。

(甲6発明)
「複数本の縦桟(2・・、3・・)を、複数本の右上り傾斜リンク片(41・・、51・・)と同じく複数本の右下り傾斜リンク片(42・・、52・・)とを相互にX字状に交差させた状態で、ピンで枢着したりあるいは上下方向にスライド自在に連結することによって、順次左右方向に連結してなる上、下2組の伸縮リンク(4,5)のリンク片交点部又はリンク片端部において枢着して左右方向に伸縮自在なる如く連結して門扉本体(1)を構成し、
前記上、下2組の伸縮リンク(4,5)は、
一連の長尺の右上り傾斜リンク片41・・と右下り傾斜リンク片42・・とで上下2組の伸縮リンク4,5を上下方向に連続して形成するか、
右上り傾斜リンク片41及び右下り傾斜リンク片42による上側伸縮リンク4と、右上り傾斜リンク片51及び右下り傾斜リンク片51による下側伸縮リンク5とを上下に分離して形成し、
門扉本体(1)の左右方向一端側に位置する縦桟(2)を吊元(10)に固定するとともに、門扉本体(1)の自由側端の下端にキャスター(9)を設けた伸縮門扉であって、前記上側に位置する伸縮リンク(4)における右上り傾斜リンク片(41)又は右下り傾斜リンク片(42)と相互に隣接する2本の前記縦桟(2,3)との2つの連結部(A1とA2又はA2とA3)間の間隔(A)を、門扉の伸縮作用が阻害されない範囲内において前記下側に位置する伸縮リンク(5)における右上り傾斜リンク片(41,51)又は右下り傾斜リンク片(42,52)と相互に隣接する2本の前記縦桟(2,3)との2つの連結部(B1とB2又はB2とB3)間の間隔(B)より大きくすることで、
相互に隣接する2本の縦桟2,3間について、その上部側の間隔E1が下部側の間隔E2よりごくわずかに大きくなり、その結果、門扉本体1を吊元10に取付けないで平面上に自由状態でねかせた場合には、門扉本体1は、その左右方向中間部が若干上側に突出するような弯曲形状となり、中間部に位置する縦桟2の下端と両端に位置する各縦桟2,2の下端との間に高差Hが生じ、この高差Hは、門扉本体1を吊元10に取付けたときの、門扉本体中間部が下方に垂れ下がる高さと等しくなるように設定されるため、
門扉本体1における吊元側端の縦桟2が吊元10に固定され、門扉本体1における自由側端の下端にはキャスター9が取付けられ、門扉本体1の取付け状態によって該門扉本体1の左右方向中間部がその自重によって若干高さだけ下方に垂れ下ろうとした際、自重により垂れ下がる高さ範囲を吸収して、各縦桟2,3が同一高さに揃うようにされた伸縮門扉。」

(7)甲第7号証(実願昭57-7832号(実開昭58-110197号)のマイクロフィルム)には、図面とともに次の事項が記載されている。

(7イ)「2.実用新案登録請求の範囲
多数の斜架桟を左右の縦枠間に規則的に、かつ山形状に交差配列して、上記斜架桟の山形状の上下端を枢着すると共に、この上下端枢着部を結ぶ軸線上にして、かつ偶数番目の軸線上の斜架桟同志の上部2つの交差部と下部2つの交差部間には、1本の上部中間縦桟と1本の下部中間縦桟をそれぞれ斜架桟と共に枢着して、各斜架桟を横方向に伸縮自在とした構成を特徴とする門扉。」(明細書1頁4行?14行)

(7ロ)「本考案は、斜架桟をジグザグ状に交差配置して横方向に伸縮自在となした、いわゆるアコーデイオン式門扉に関し、さらに詳しくは、伸縮門扉体の下端にキヤスターや車輪等の転子を装着することなく、門柱に吊設して扉の開閉を行なう、いわゆるハンガー式の伸縮自在門扉の改良に関するもので、その目的とするところは、強度性に優れ、扉の開閉に際しては横振れがなくて直線的に、しかも円滑かつ軽快に開閉し得るハンガー式の伸縮門扉を提供しようとするものである。」(同1頁16行?2頁5行)

(7ハ)第1図




そして、上記甲第7号証に記載された事項(7イ)?(7ハ)及び図面に記載された事項を総合すると、甲第7号証には、次の発明(以下、「甲7発明」という。)が記載されているものと認められる。

(甲7発明)
「斜架桟をジグザク状に交差配列して横方向に伸縮自在となした、いわゆるアコーディオン式門扉に関し、さらに詳しくは、伸縮門扉体の下端にキャスターや車輪等の転子を装着することなく、門柱に吊設して扉の開閉を行う、いわゆるハンガー式の伸縮自在門扉において、隣接する斜架桟の間隔が異なっていると共に、斜架桟の交差部の間隔が場所によって異なっているハンガー式の伸縮自在門扉。」

(8)甲第8号証(実願昭54-147278号(実開昭55-51996号)のマイクロフィルム)には、図面とともに次の事項が記載されている。

(8イ)「2.実用新案登録請求の範囲
複数本の中空状斜桟を互に反対方向に傾斜して配置し、これら斜桟をそれらの上端部および下端部並びに中間上部および中間下部に形成される交叉部において夫々枢着軸によって互に回動自在に枢着して形成した伸縮機構と、中空状をなしその壁面に軸方向に沿う一対の摺動部を相対向して設けるとともに、これら摺動部に前記壁面に当接するフランジ部およびこれに連なって摺動部内に嵌入する嵌入部を備えた合成樹脂製の摺動ブッシュを夫々装着した複数本の補強体とを具備し、これら補強体は前記伸縮機構の中間上部および中間下部の枢着軸の一方に対し回動自在に枢着するとともに、他方の枢着軸を摺動ブッシュの嵌入部に沿って摺動自在に貫通させて前記伸縮機構に設けてあることを特徴とする伸縮形門扉。」(明細書1頁4行?最終行)

(8ロ)「図中1,2は門柱、3は一方の門柱1に支持した伸縮機構、4は補強体、5はヒンジ等の取付具、6は施錠機構を示し、これらにより伸縮形門扉を構成してある。
伸縮機構3は、アルミニウム合金の押出型材製等の複数本の中空状斜桟7,8および9,10を互に反対方向に傾斜して配置し、これら斜桟7?10をそれらの上端部および下端部並びに中間上部及び中間下部に形成される交叉部において夫々枢着軸11?14によって互に回動自在に枢着して形成してある。」(同3頁10行?最終行)

(8ハ)第1図




そして、上記甲第8号証に記載された事項(8イ)?(8ハ)及び図面に記載された事項を総合すると、甲第8号証には、次の発明(以下、「甲8発明」という。)が記載されているものと認められる。

(甲8発明)
「複数本の中空状斜桟を互に反対方向に傾斜して配置し、これら斜桟をそれらの上端部および下端部並びに中間上部および中間下部に形成される交叉部において夫々枢着軸によって互に回動自在に枢着して形成した伸縮機構を有する伸縮形門扉であり、
伸縮機構は、複数本の斜桟7,8および9,10を互に反対方向に傾斜して配置し、これら斜桟7?10をそれらの上端部および下端部並びに中間上部及び中間下部に形成される交叉部において夫々枢着軸11?14によって互に回動自在に枢着して形成してあり、
斜桟の複数の交差部のうち、扉体の上下方向中央に位置する交差部の枢着軸を省略した伸縮形門扉。」

(9)甲第9号証(実願昭62-143696号(実開昭64-49597号)のマイクロフィルム)には、図面とともに次の事項が記載されている。

(9イ)「図面に示した伸縮扉は、斜架材(1)(1)・・・を相反する方向に等角度で傾斜させ、上下2ヶ所及び上下1ヶの菱形空間を左右方向に繰り返して形成した矢来格子状とし、上下1ヶの菱形空間における中央部外側に逆U字状縦長部材(2)(2)・・・を配設し、前後斜架材(1)(1)及び斜架材(1)(1)と縦長部材(2)(2)が交差する位置をピン(3)(3)・・・によって枢支連結したものである。
第2図は、前後位置の斜架材(1)(1)における交差部に設けたピン結合構造を示すものであり、斜架材(1)(1)・・・に非円形状の通孔(4)を穿設し、頭付きスリーブ(5)の脚部(6)を通孔(4)と同じ非円形状としてこれに嵌み合わせ、頭付きスリーブ(5)の脚部(6)を斜架材(1)の反対側に突出させ、その突端部に止め環(7)を固着して斜架材(1)と頭付きスリーブ(5)を一体的に固着したものである。」(明細書4頁6行?5頁1行)

(9ロ)「第3図は斜架材(1)(1)の交差位置を前記と同様に枢支連結し、ピン軸(3)を前後外方に突出して縦長部材(2)(2)に固定した結合構造を示すものであり、・・・」(同5頁9行?12行)

(9ハ)「第4図は斜架材(1)(1)の交差位置を前記と同様に枢支連結し、・・・」(同5頁16行?17行)

(9ニ)「図面の簡単な説明
第1図は本案伸縮扉の一例を示す正面図、第2図は第1図のA-A線断面拡大図、第3図は同じくB-B線断面拡大図、第4図は同じくC-C線断面拡大図、・・・」(同6頁11行?15行)

(9ホ)第1図




そして、上記甲第9号証に記載された事項(9イ)?(9ホ)及び図面に記載された事項を総合すると、甲第9号証には、次の発明(以下、「甲9発明」という。)が記載されているものと認められる。

(甲9発明)
「斜架材(1)(1)・・・を相反する方向に等角度で傾斜させ、上下2ヶ所及び上下1ヶの菱形空間を左右方向に繰り返して形成した矢来格子状とし、上下1ヶの菱形空間における中央部外側に逆U字状縦長部材(2)(2)・・・を配設し、斜架材1が交差する最上部がピン3で枢支連結され、斜架材1が交差しかつ斜架材1と縦長部材2が交差する位置をピン3によって枢支連結された伸縮扉。」


2.対比、判断
[1]無効審判請求人は、甲第4号証、甲第6号証及び周知の技術から本件特許発明は、当業者が容易に発明をすることができたと主張(上記理由(d))しているので、まず、この主張について検討する。

(1)本件特許発明と甲第4号証記載の発明との対比

本件特許発明と甲4発明とを対比すると、甲4発明の「門扉本体(1)」、「右上り傾斜リンク片(41・・、51・・)と右下り傾斜リンク片(42・・、52・・)」は、本件発明の「扉体」、「相反する方向に傾斜させた斜架材」にそれぞれ相当し、同様に、甲4発明の「上、下一対の伸縮リンク(4,5)のリンク片交点部」を「ピンで枢着して」は、本件特許発明の「斜架材が交差する位置をピン結合して」に、甲4発明の「門扉本体1の自由側下部のキャスターを省略」する「門扉本体(1)の左右方向一端側に位置する縦桟(2)を吊元(10)に固定してなる伸縮門扉」は、本件特許発明の「扉体の下部に車輪やキャスターを設けることなく、扉体の一側を門柱等の固定部に定着するハンガータイプの伸縮門扉」に、それぞれ相当する。

また、甲4発明における「門扉本体1の上部側においては上側伸縮リンク4が縮小方向に作用して各縦桟2,3間の間隔E1を挟めようとし、逆に門扉本体1の下部側においては下側伸縮リンク5が伸長方向に作用して各2,3間の間隔E2を拡げようとして、門扉本体1を吊元10に取付けないで平面上に自由状態でねかせた場合には、門扉本体1の上部側となる側の縦桟2,3間の間隔E1より、門扉本体1の下部側となる側の縦桟2,3間の間隔E2の方が大きくなり、例えば吊元10に固定される縦桟2を基準にすると該吊元側端の縦桟2から自由側に遠ざかる縦桟2,3ほど設置時に上側となる側に位置ずれするようになる」との事項のうち、「門扉本体1を吊元10に取付けないで平面上に自由状態でねかせた場合」は、本件特許発明の「扉体扉体に縦方向の荷重を与えない場合」に相当し、甲4発明の「門扉本体1の上部側となる側の縦桟2,3間の間隔E1より、門扉本体1の下部側となる側の縦桟2,3間の間隔E2の方が大き」くなることは、本件特許発明の「扉体を逆扇形状にする」ことに相当する。

ところで、本件特許発明の「相反する方向に傾斜させた斜架材が交差する位置をピン結合して竹矢来状とし又はその斜架材の交差部に縦格子を施した扉体」との構成について、本件特許明細書を参酌すると、段落【0006】には「【発明の実施の形態】この発明の実施に適する伸縮門扉は、相反する方向に傾斜させた斜架材が交差する位置をピン結合して扉体を形成したものであり、第1図及び第2図に示したような前後の斜架材の交差部に縦格子を施したものが典型的なものであるが、縦格子を省略した斜架材のみからなる竹矢来状のものでも差し支えない。」と記載されている。
そして、「竹矢来状とし又はその斜架材の交差部に縦格子を施した扉体」との構成は、竹矢来状を必須としていることは明らかであるといえる。
そうすると、本件特許発明の「相反する方向に傾斜させた斜架材が交差する位置をピン結合して竹矢来状とし又はその斜架材の交差部に縦格子を施した扉体」とは、「竹矢来状とした扉体」または「竹矢来状の斜架材の交差部に縦格子を施した扉体」ということができる。

さらに、本件特許発明の「竹矢来状」との状態について、「竹矢来」とは一般に、「竹を粗く交差させて作った囲い」であることが知られており、さらに本件特許の第1図及び第2図にも、斜架材が粗く交差した態様が示されていることからすると、本件特許発明の「竹矢来状」とは、粗く交差させた形状を指しているものと解することができる。
してみれば、本件特許発明の「相反する方向に傾斜させた斜架材が交差する位置をピン結合して竹矢来状とし又はその斜架材の交差部に縦格子を施した扉体」とは、「相反する方向に傾斜させた斜架材が交差する位置をピン結合して粗く交差させた形状とした扉体」または、「相反する方向に傾斜させた斜架材が交差する位置をピン結合して粗く交差させ、その斜架材の交差部に縦格子を施した扉体」のいずれかの扉体を含んでいるものと解することができる。

上記理解に基づいて本件特許発明と甲4発明を対比すると、甲4発明の「右上り傾斜リンク片」及び「右下り傾斜リンク片」は、「上、下一対の伸縮リンク(4,5)」を形成していることから、「右上り傾斜リンク片」及び「右下り傾斜リンク片」(相反する方向に傾斜させた斜架材)は、門扉本体全体としてみたときに「粗く交差されている」ものといえる。
また、甲4発明の「縦桟2・・、3・・」は、本件特許発明の「縦格子」に相当し、さらに、甲4発明の「各縦桟2・・、3・・は、上、下各伸縮リンク4,5におけるリンク片交点部又はリンク片端部の適所においてピンで枢着する」は、本件特許発明の「斜架材の交差部に縦格子を施した」に相当する。

そうすると、甲4発明は、「相反する方向に傾斜させた斜架材が交差する位置をピン結合して粗く交差させ、その斜架材の交差部に縦格子を施した扉体」の構成を有しているといえるから、甲4発明は、「相反する方向に傾斜させた斜架材が交差する位置をピン結合して竹矢来状」とし「その斜架材の交差部に縦格子を施した扉体」との構成を有しているということができる。

してみれば、両者の一致点及び相違点は以下のとおりである。

(一致点)
「相反する方向に傾斜させた斜架材が交差する位置をピン結合して竹矢来状としその斜架材の交差部に縦格子を施した扉体を形成し、該扉体の下部に車輪やキャスターを設けることなく、扉体の一側を門柱等の固定部に定着するハンガータイプの伸縮門扉において、扉体に縦方向の荷重を与えない場合に扉体を逆扇形状とするようにしたことを特徴とするハンガータイプの伸縮門扉。」

(相違点)
本件特許発明では、主たる斜架材の上端部から下端部にかけてピン軸間距離をA、B、C、D、Eとし、上端部のピン軸間距離Aをピン軸間距離Bより小さくし、ピン軸間距離Cにおいて斜架材を交差させ、ピン軸間距離Bをピン軸間距離Dより小さくし、ピン軸間距離Dを下端部のピン軸間距離Eより小さくすることにより、扉体の上方部における斜架材のピン軸間距離を扉体の下方部における斜架材のピン軸間距離より小さくしているのに対し、甲4発明はそのような構成を有しない点。

(2)相違点についての判断
上記相違点について検討する。

甲6発明の「上側に位置する伸縮リンクにおける右上り傾斜リンク片又は右下り傾斜リンク片と相互に隣接する2本の縦桟との2つの連結部間の間隔」は本件特許発明の「扉体の上方部における斜架材のピン軸間距離」に相当し、甲6発明の「下側に位置する伸縮リンクにおける右上り傾斜リンク片又は右下り傾斜リンク片と相互に隣接する2本の縦桟との2つの連結部間の間隔」は本件特許発明の「扉体の下方部における斜架材のピン軸間距離」に相当し、また、甲6発明の「左右方向中間部が若干上側に突出するような弯曲形状」は「扇形状」ということができる。
してみると、甲6発明より「扉体の上方部における斜架材のピン軸間距離を扉体の下方部における斜架材のピン軸間距離より大きくすることによって、扉体が扇形状となるようにした伸縮門扉」については、本願の出願日前に既に公知であったということができる。

そして、甲4発明と甲6発明は、扉体形状の上下の向きを除けば、扉体の形状を「扇形状」となるようにするという点で共通する。また、扇形状の上下の向きは、ハンガータイプの扇形状の垂れ下がりを防止するには逆扇形状に、キャスター付タイプの逆扇形状の垂れ下がりを防止するには扇形状にすべきであることが明らかであり、さらに、ハンガータイプの伸縮門扉とキャスター付タイプの伸縮門扉との間で技術転用を行うことを阻害する特別な要因は存在しないし、むしろ、このような技術転用を行うことは、当業者が抱く自然な発想であるといえる。

してみれば、甲4発明に甲6発明の技術を適用し、その際、甲4発明の逆扇形状となる扉体の形態に合わせるべく、扉体の扇形状の上下向きを甲6発明とは逆にして適用することについては、当業者が容易に想到しうるものというべきである。

ところで、甲4発明に甲6発明を適用し、その際、甲4発明の逆扇形状となる扉体の形態に合わせるべく、扉体の扇形状の上下向きを逆にして適用しようとする際には、甲6発明の伸縮リンク(4,5)が、上下方向に連続して形成した態様と、上側伸縮リンク4と下側伸縮リンク5とを上下に分離して形成した態様の2つの態様を含んでいるのだから、適用した結果として以下の(第1の態様)または(第2の態様)の2とおりが当業者にとって考えうるところであるといえる。

(第1の態様)甲4発明の上、下に分割された一対の伸縮リンク(4,5)を前提として、当該上、下一対の伸縮リンク(4,5)のリンク片について、上側の伸縮リンク(4)のリンク片の長さをいずれも同じ長さとし、下側の伸縮リンク(5)のリンク片の長さをいずれも同じ長さとしつつ、上側の伸縮リンク(4)のリンク片の長さを、下側の伸縮リンク(5)のリンク片よりも短くしようとすること。

(第2の態様)甲4発明の上、下に分割された一対の伸縮リンク(4,5)を、甲6発明の上下方向に連続して形成した態様とし、当該上、下一対の伸縮リンク(4,5)のリンク片について、上側の伸縮リンク(4)のリンク片の長さをいずれも同じ長さとし、下側の伸縮リンク(5)のリンク片の長さをいずれも同じ長さとしつつ、上側の伸縮リンク(4)のリンク片の長さを、下側の伸縮リンク(5)のリンク片よりも短くしようとすること。

しかし、甲6発明は、複数本の右上り傾斜リンク片(41・・、51・・)と同じく複数本の右下り傾斜リンク片(42・・、52・・)とを相互にX字状に交差させた状態で、ピンで枢着したりあるいは上下方向にスライド自在に連結することによって、順次左右方向に連結してなる上、下2組の伸縮リンク(4,5)から形成し、当該上、下2組の伸縮リンク(4,5)のリンク片について、上側の伸縮リンク(4)のリンク片の長さをいずれも同じ長さとし、下側の伸縮リンク(5)のリンク片の長さをいずれも同じ長さとしつつ、上側の伸縮リンク(4)のリンク片の長さを、下側の伸縮リンク(5)のリンク片よりも短くしようとするものであるのだから、
甲4発明に甲6発明を適用し、その際、甲4発明の逆扇形状となる扉体の形態に合わせるべく、扉体の扇形状の上下向きを逆にして適用しようとすると、上記(第1の態様)または(第2の態様)のいずれを採用したとしても、甲4発明に上記適用をしたものが、ただちに、主たる斜架材の上端部から下端部にかけてピン軸間距離をA、B、C、D、Eとし、上端部のピン軸間距離Aをピン軸間距離Bより小さくし、ピン軸間距離Cにおいて斜架材を交差させ、ピン軸間距離Bをピン軸間距離Dより小さくし、ピン軸間距離Dを下端部のピン軸間距離Eより小さくすることにより、扉体の上方部における斜架材のピン軸間距離を扉体の下方部における斜架材のピン軸間距離より小さくするものとなり得ないことは、明らかである。

ここで、請求人は、平成19年4月19日付け弁駁書において、主たる斜架材の上端部から下端部にかけてピン軸間距離を幾つ設けるかは設計事項であり、また、斜架材の上下方向中央に位置するピン軸間距離において斜架材をピン接合することなく交差させる点については、甲第8号証、甲第9号証に記載されているように本件特許の出願時点で周知の技術である旨を主張する(弁駁書14ページ参照。)とともに、
甲第6号証の斜架材に沿った4つのピン軸間距離(A_(1)-A_(2)、A_(2)-A_(3)、B_(1)-B_(2)、B_(2)-B_(3))をそれぞれX1,X2,X3,X4としたうえで、
甲第6号証にはピン軸間距離X1,X2,X3,X4の大小関係を
X1=X2>X3=X4とした伸縮門扉が開示されているが、その「扉体に縦方向の荷重を与えない場合に扇体を逆扇形状とするように斜架材に沿ったピン軸間距離を異ならせる」という技術的観点から見て、このようにピン軸間距離を斜架材の中央の1箇所で変化させているものを、斜架材の長手方向全体で徐々に変化させるように、ピン軸間距離X1,X2,X3,X4の大小関係をX1>X2>X3>X4に変更することは、当業者にとって単なる設計事項又は通常の創作能力の発揮の範囲内であると考えられる旨を主張している。(弁駁書16ページ参照。)

そこで、甲6発明について、甲第6号証の明細書をみると、「作用」として、
「(作用)本考案の伸縮門扉によれば、上、下2組の伸縮リンクにおける、上側に位置する伸縮リンクの右上り傾斜リンク片又は右下り傾斜リンク片と相互に隣接する2本の縦桟との2つの連結部間の間隔を、下側に位置する伸縮リンクの右上り傾斜リンク片又は右下り傾斜リンク片と相互に隣接する2本の縦桟との2つの連結部間の間隔より、門扉の伸縮作用が阻害されない範囲内において大きくしているので、門扉本体の自然状態にあっては、各縦桟間の間隔が上側において大きく下側において小さくなり、該門扉本体全体がその中間部が上側に突出し両端が下側に下がるような弯曲状態となる。」と記載されている(上記(6ホ)参照)。
一方、甲6発明は、「上側に位置する伸縮リンク(4)における右上り傾斜リンク片(41)又は右下り傾斜リンク片(42)と相互に隣接する2本の前記縦桟(2,3)との2つの連結部(A1とA2又はA2とA3)間の間隔(A)を、門扉の伸縮作用が阻害されない範囲内において前記下側に位置する伸縮リンク(5)における右上り傾斜リンク片(41,51)又は右下り傾斜リンク片(42,52)と相互に隣接する2本の前記縦桟(2,3)との2つの連結部(B1とB2又はB2とB3)間の間隔(B)より大きくする」ものであるから、上側の伸縮リンクにおける間隔(A)と下側伸縮リンクにおける間隔(B)はそれぞれにおいて一定であるものと認められる。
これらのことから、甲6発明は、上、下に2組の伸縮リンクが存在することを前提とし、上側の右上り傾斜リンク片41及び上側の右下り傾斜リンク片42と縦桟との2つの交点(A1及びA3)が形成する4箇所の交点(A1,1,A3,A3)が形成する長方形状と、下側の伸縮リンクと縦桟との2つの交点が形成する4箇所の交点が形成する同形状の長方形状の「大きさ」を異なったものとすることで、門扉本体全体を湾曲状態いいかえれば「扇形状」としているものといえる。
模式的にいいかえれば、甲6発明は、縦桟の上部において、上部伸縮リンクが仮想的に形成する大きな長方形状を縦桟の間に形成し、縦桟の下部において、下部伸縮リンクが仮想的に形成する小さな同形状の長方形状を縦桟の間に形成することで、扇形状を形成しているものといえる。

そうすると、甲6発明は、上部リンクが仮想的に形成しようとする長方形状と下部リンクが仮想的に形成しようとする同形状の長方形状の大きさを相互に異なった大きさとすることを構成とするものといえるから、そのような長方形状の大小の程度を調整をすることはあっても、それぞれの長方形状を別の形状に変化させること、いいかえれば、例えば、上部リンクのなかで、右上り傾斜リンク片(41)又は右下り傾斜リンク片(42)と相互に隣接する2本の前記縦桟(2,3)との2つの連結部(A1とA2又はA2とA3)間の間隔(A)を、「A1とA2の間隔」と「A2とA3の間隔」をそれぞれ別の間隔とすることが、当業者が適宜なしうることといえないことは、明らかなことである。

そして本件発明は、主たる斜架材の上端部から下端部にかけてピン軸間距離をA、B、C、D、Eとし、上端部のピン軸間距離Aをピン軸間距離Bより小さくし、ピン軸間距離Bをピン軸間距離Dより小さくし、ピン軸間距離Dを下端部のピン軸間距離Eより小さく」することにより、例えば伸縮門扉において縦桟を有する場合であれば、伸縮門扉の上部において縦桟と主たる斜架材の交点が形成する形状と、下部において縦桟と主たる斜架材の交点が形成する4角形状を、それぞれ長方形とは異なった形状としていることは明らかであり、さらに、ピン軸間距離Cにおいて斜架材を交差させた状態、いいかえれば伸縮門扉の上部において縦桟と主たる斜架材の交点が形成する形状と、下部において縦桟と主たる斜架材の交点が形成する4角形状の間に軸間距離Cを設けた状態において、伸縮門扉の上部において縦桟と主たる斜架材の交点が形成する形状と、下部において縦桟と主たる斜架材の交点が形成する4角形状を、それぞれ長方形とは異なった形状としているといえる。

してみれば、伸縮門扉に「扇形状」を発生させる作用において本件特許発明と甲6発明が共通していたとしても、上方の斜架材が形成する形状と下方の斜架材がそれぞれ長方形状を構成する甲6発明から、主たる斜架材の上端部から下端部にかけて、間隔を順次変化させようとすることまでも、当業者が適宜なしうる設計的事項ということができないのは明らかである。

さらに、甲8発明には、斜桟の複数の交差部のうち、扉体の上下方向中央に位置する交差部の枢着軸を省略することが開示され、さらに甲9発明に、一部において交差する斜架材が開示されており、甲8及び甲9発明より、伸縮門扉において斜架材の上下方向中央に位置するピン軸間距離において斜架材をピン接合することなく交差させることが周知の技術であったとしても、甲8発明及び甲9発明はいずれも、甲6発明のように、複数本の右上り傾斜リンク片と複数本の右下り傾斜リンク片とを相互にX字状に交差させた状態で、ピンで枢着したりあるいは上下方向にスライド自在に連結することによって、順次左右方向に連結してなる上、下2組の伸縮リンクを形成し、
上側に位置する伸縮リンクにおける右上り傾斜リンク片又は右下り傾斜リンク片と相互に隣接する2本の前記縦桟との2つの連結部(A1とA2又はA2とA3)間に間隔(A)を形成し、下側に位置する伸縮リンクにおける右上り傾斜リンク片又は右下り傾斜リンク片と相互に隣接する2本の前記縦桟との2つの連結部(B1とB2又はB2とB3)間に間隔(B)を形成しているものではないのだから、そのような構成を有する甲6発明に、斜架材の上下方向中央に位置するピン軸間距離において斜架材をピン接合することなく交差させることを即座に適用することができないことは明らかである。

仮に、甲6発明を甲4発明に適用した際の上記(第2の態様)、すなわち、甲4発明の上、下に分割された一対の伸縮リンク(4,5)を、甲6発明の上下方向に連続して形成した態様とし、当該上、下一対の伸縮リンク(4,5)のリンク片について、上側の伸縮リンク(4)のリンク片の長さをいずれも同じ長さとし、下側の伸縮リンク(5)のリンク片の長さをいずれも同じ長さとしつつ、上側の伸縮リンク(4)のリンク片の長さを、下側の伸縮リンク(5)のリンク片よりも短くしようとする態様において、
さらにその際に、甲8発明又は甲9発明の技術を適用して、一対の伸縮リンク(4,5)を、甲6発明の上下方向に連続して形成する上下方向中央に位置するピン軸間距離において斜架材をピン接合することなく交差させることをなしえたとしても、そのことが、上方の斜架材が形成する形状と下方の斜架材がそれぞれ長方形状を構成する甲6発明を甲4発明に適用する際に、主たる斜架材の上端部から下端部にかけて、主たる斜架材の上端部から下端部にかけてピン軸間距離をA、B、C、D、Eとし、上端部のピン軸間距離Aをピン軸間距離Bより小さくし、ピン軸間距離Bをピン軸間距離Dより小さくし、ピン軸間距離Dを下端部のピン軸間距離Eより小さく」なるように間隔を順次変化させようとすることを当業者が適宜なしうる設計的事項とする根拠とならないことは明らかである。

そして、本件特許明細書の「ピン結合部のクリアランス並びに構成部材の自重によって扉体が下降するため、これらのバランスによって伸長した扉体を水平状態に位置させることが可能である。」(公報の段落【0008】参照)との作用について、甲6発明による作用と比較してみても、上部リンクが仮想的に形成しようとする長方形状と下部リンクが仮想的に形成しようとする長方形状の大きさを異なるものとしている甲6発明と比較して、本件特許発明は、主たる斜架材の上端部から下端部にかけてピン軸間距離をA、B、C、D、Eとし、上端部のピン軸間距離Aをピン軸間距離Bより小さくし、ピン軸間距離Bをピン軸間距離Dより小さくし、ピン軸間距離Dを下端部のピン軸間距離Eより小さくし、扉体の上方部における斜架材のピン軸間距離を扉体の下方部における斜架材のピン軸間距離より小さくすることにより、相反する方向に傾斜させた斜架材それぞれが形成するピン軸間距離A及びB同士が仮想的に形成する形状は「長方形状」ではなく「台形形状」となることが明らかであるから、構成部材の自重によって扉体が下降する際に、各ピン結合部のクリアランスの影響をピン結合部が均一に受けることができるものであるといえ、本件特許発明は、バランスよく伸長した扉体を水平状態に位置させることができるものといえる。

してみれば、甲4発明に甲6発明を適用する際、甲4発明の逆扇形状となる扉体の形態に合わせるべく、扉体の扇形状の上下向きを逆にして適用したとしても、主たる斜架材の上端部から下端部にかけてピン軸間距離をA、B、C、D、Eとし、上端部のピン軸間距離Aをピン軸間距離Bより小さくし、ピン軸間距離Cにおいて斜架材を交差させ、ピン軸間距離Bをピン軸間距離Dより小さくし、ピン軸間距離Dを下端部のピン軸間距離Eより小さくすることにより、扉体の上方部における斜架材のピン軸間距離を扉体の下方部における斜架材のピン軸間距離より小さくすることが、当業者にとって適宜なしうる事項ということはできない。
したがって、本件特許発明を、甲4発明に甲6発明及び周知の技術を適用することで当業者が容易になしえたものとすることはできない。

(3)本件特許発明と甲第6発明との対比及び検討
以上の検討は甲4発明を主たる発明として検討したものであるが、甲6発明を主たる引用例とした場合についても検討してみる。
本件特許発明と甲6発明を対比すると、一致点及び相違点は以下のとおりであるといえる。

(一致点)
「相反する方向に傾斜させた斜架材が交差する位置をピン結合して竹矢来状としその斜架材の交差部に縦格子を施した扉体を形成し、扉体の一側を門柱等の固定部に定着した伸縮門扉。」

(相違点A)
本件特許発明では、該扉体の下部に車輪やキャスターを設けることのない、ハンガータイプの伸縮門扉であって、扉体に縦方向の荷重を与えない場合に扉体を逆扇形状としたものであるのに対し、甲6発明の伸縮門扉は、自由側端の下端にキャスターを設けており、さらに扉体に縦方向の荷重を与えない場合の形状が、左右方向中間部が若干上側に突出するような弯曲形状、いいかえれば、通常の「扇形状」である点。

(相違点B)
本件特許発明では、主たる斜架材の上端部から下端部にかけてピン軸間距離をA、B、C、D、Eとし、上端部のピン軸間距離Aをピン軸間距離Bより小さくし、ピン軸間距離Cにおいて斜架材を交差させ、ピン軸間距離Bをピン軸間距離Dより小さくし、ピン軸間距離Dを下端部のピン軸間距離Eより小さくすることにより、扉体の上方部における斜架材のピン軸間距離を扉体の下方部における斜架材のピン軸間距離より小さくしているのに対し、
甲6発明は、リンク片を相互にX字状に交差させた上、下2組の伸縮リンクが、一連の長尺のリンク片で上下方向に連続して形成するか、上下に分離して形成されたものであるから、甲6発明のリンク片(斜架材)の軸間距離は2または4であるといえ、5つのピン軸間距離A、B、C、D、Eを有しているものではない点。

上記各相違点A及びBについて検討する。
甲6発明の伸縮門扉は、扉体の端部下部にキャスターを設け、門扉本体の中間部下端にキャスターを設けなくても該中間部が門扉本体の両端部より下方に垂れ下がるのを阻止する発明であるが、甲4発明のようにキャスターを省略し、甲4発明のように逆扇形状となる扉体の形態に合わせるべく、甲6発明の扉体の「扇形状」の上下向きを逆転させ、さらに周知の技術を適用したとしても、主たる斜架材の上端部から下端部にかけてピン軸間距離をA、B、C、D、Eとし、上端部のピン軸間距離Aをピン軸間距離Bより小さくし、ピン軸間距離Cにおいて斜架材を交差させ、ピン軸間距離Bをピン軸間距離Dより小さくし、ピン軸間距離Dを下端部のピン軸間距離Eより小さくすることにより、扉体の上方部における斜架材のピン軸間距離を扉体の下方部における斜架材のピン軸間距離より小さくすることが、当業者が適宜なしうる事項ということはできないことは上記(2)において説示するとおりである。

したがって、本件特許発明を、甲6発明に甲4発明及び周知の技術を適用することで当業者が容易になしえたものとすることもできない。

[2]無効審判請求人の、審判請求書における本件訂正前の主張においては、本件の請求項1に係る発明は、甲第1号証?甲第9号証に記載された発明に基づいて当業者が容易に発明をすることができたものであるから、特許法第29条第2項の規定により特許を受けることができないものであるとも主張していた(上記理由(b))ので、この主張についても検討する。
一方、本件特許発明が、甲4発明、甲6発明及び周知の技術に基づいて当業者が容易に発明をすることができたものとはいえないことは、上記[1]にて説示のとおりであるのだから、ここでは、甲第4号証及び甲第6号証を除く他の甲各号証について検討する。

本件特許発明と、甲1?甲3、甲5、甲7?甲9各発明をそれぞれ対比すると、甲1?甲3、甲5、甲7?甲9各発明は、いずれも、扉体に縦方向の荷重を与えない場合に扉体を逆扇形状とするように、主たる斜架材の上端部から下端部にかけてピン軸間距離をA、B、C、D、Eとし、上端部のピン軸間距離Aをピン軸間距離Bより小さくし、ピン軸間距離Cにおいて斜架材を交差させ、ピン軸間距離Bをピン軸間距離Dより小さくし、ピン軸間距離Dを下端部のピン軸間距離Eより小さくすることにより、扉体の上方部における斜架材のピン軸間距離を扉体の下方部における斜架材のピン軸間距離より小さくした構成を有しておらず、さらに上記構成が他の甲各発明から、当業者が容易に発明をすることができたとはいえないことは明らかである。

したがって、本件特許発明は、甲1?甲9各発明に基づいて当業者が容易に発明をすることができたものとはいえず、特許法第29条第2項の規定により特許を受けることができないものとすることはできない。

[3]無効審判請求人の、審判請求書における本件訂正前の主張においては、本件の請求項1に係る発明は、甲第1号証?甲第4号証の何れかに記載された発明であるから、特許法第29条第1項第3号の発明に該当し、特許を受けることができないものであるとも主張していた(上記理由(a))ので、この主張についても検討する。

本件特許発明が、甲4発明、甲6発明から当業者にとって容易になしうるとすることはできないことは上記[1]にて説示のとおりであるから、本件特許発明が甲4発明と同一ではないことは明らかであるといえる。
さらに、本件特許発明が、甲1?甲3、甲5、甲7?甲9各発明から、当業者が容易に発明をすることができたものとはいえないことは上記[2]にて説示のとおりであるのだから、本件特許発明が、甲1?甲3各発明と同一ではないことも明らかである。

したがって、本件特許発明は、甲第1号証?甲第4号証の何れかに記載された発明であるとはいえないので、特許法第29条第1項第3号の発明に該当し、特許を受けることができないものであるとすることはできない。

[4]無効審判請求人の、審判請求書における本件訂正前の主張においては、本件の請求項1に記載の発明は、所期の作用・効果を奏することができない構成を含むものであるから、特許法第36条第6項第2号の要件を満たしておらず、本件は特許を受けることができないものであるとも主張していた(上記理由(c))ので、この主張についても検討する。

請求人は審判請求書において、本件訂正前の特許発明の構成を有するにもかかわらず移動側端部の垂れ下がりを防止できずキャスターを備えている甲第1?3号証に記載された発明と同一である本件特許発明は、その特許請求の範囲に記載された構成要件のみでは、特許明細書に記載の「所謂ハンガータイプの伸縮門扉において、伸長させた扉体の移動端部の垂れ下がりを、構成部材の強度アップによることなく改善しうる」という作用・効果を奏することができないことは明らかであり、特許法第36条第6項第2号に規定する要件を満たしていない旨を主張している。

そこで、上記主張について検討すると、本件訂正により本件特許発明は、「扉体に縦方向の荷重を与えない場合に扉体を逆扇形状とするように、主たる斜架材の上端部から下端部にかけてピン軸間距離をA、B、C、D、Eとし、上端部のピン軸間距離Aをピン軸間距離Bより小さくし、ピン軸間距離Cにおいて斜架材を交差させ、ピン軸間距離Bをピン軸間距離Dより小さくし、ピン軸間距離Dを下端部のピン軸間距離Eより小さくすることにより、扉体の上方部における斜架材のピン軸間距離を扉体の下方部における斜架材のピン軸間距離より小さくした」と特定されており、その構成から、上記作用効果を奏しうることは、当業者にとって明らかである。

したがって、本件訂正後の請求項1に記載の発明は、所期の作用・効果を奏することができない構成とはいえないから、特許法第36条第6項第2号の要件を満たしていないとはいえないものである。

第6.むすび
以上のとおり、請求人の主張及び証拠方法によっては、本件特許発明についての特許を無効とすることはできない。
審判費用については、特許法第169条第2項で準用する民事訴訟法第61条の規定により、請求人が負担すべきものとする。

よって、結論のとおり審決する。
 
発明の名称 (54)【発明の名称】
ハンガータイプの伸縮門扉
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
相反する方向に傾斜させた斜架材が交差する位置をピン結合して竹矢来状とし又はその斜架材の交差部に縦格子を施した扉体を形成し、該扉体の下部に車輪やキャスターを設けることなく、扉体の一側を門柱等の固定部に定着するハンガータイプの伸縮門扉において、扉体に縦方向の荷重を与えない場合に扉体を逆扇形状とするように、主たる斜架材の上端部から下端部にかけてピン軸間距離をA、B、C、D、Eとし、上端部のピン軸間距離Aをピン軸間距離Bより小さくし、ピン軸間距離Cにおいて斜架材を交差させ、ピン軸間距離Bをピン軸間距離Dより小さくし、ピン軸間距離Dを下端部のピン軸間距離Eより小さくすることにより、扉体の上方部における斜架材のピン軸間距離を扉体の下方部における斜架材のピン軸間距離より小さくしたことを特徴とするハンガータイプの伸縮門扉。
【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】
この発明は、パンタグラフ伸縮機構を有する伸縮門扉に関するものであり、特に、扉体の下部に車輪、キャスターなどを施すことなく、扉体の一側を門柱等の固定部に定着した、所謂ハンガータイプの伸縮門扉に係るものである。
【0002】
【従来の技術】
このような伸縮門扉は、通路部に格別の工事を必要とせず、据え付け時の省力化を図ることができるので、広く使用されている。しかしながら、従来知られているこの種の門扉は、相反する方向に等角度で傾斜した斜架材を交差する位置でピン結合したものであり、それぞれの斜架材におけるピン軸が、上方部から下方部までいずれも等間隔に設けられているため、扉体を伸長させた場合、ピン結合部のクリアランス並びに構成部材の自重による変形によって、第5図に示したように扉体の移動側部が水平位置から垂れ下がる現象があり、扉体の開口幅を大きくし難いものであった。
【0003】
従って、扉体の一側を門柱等に取り付けて使用する場合、扉体が長くなると扉体の下部に車輪やキャスターを設けることを余儀なくされていた。実公平6-24558号公報には、このような伸縮門扉において、扉体の上方部における斜架材のピン間距離を下方部における斜架材のピン間距離より大きくし、扉体の中間部を上方に変形させることによって、扉体の中間下方部のキャスターを省略する考案が提案されている。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】
この発明は、所謂ハンガータイプの伸縮門扉において、この種門扉の最大の難点である扉体の移動側端部の垂れ下がりを水平状態にとどめ、ハンガータイプの伸縮門扉の長尺化を図ることを目的とするものである。
【0005】
【課題を解決するための手段】
本発明者等は、このような事情に鑑み種々の試作を繰り返した結果、相反する方向に傾斜させた斜架材が交差する位置をピン結合して竹矢来状とし又はその斜架材の交差部に縦格子を施した扉体を形成し、該扉体の下部に車輪やキャスターを設けることなく、扉体の一側を門柱等の固定部に定着するハンガータイプの伸縮門扉において、扉体に縦方向の荷重を与えない場合に扉体を逆扇形状とするように、主たる斜架材の上端部から下端部にかけてピン軸間距離をA、B、C、D、Eとし、上端部のピン軸間距離Aをピン軸間距離Bより小さくし、ピン軸間距離Cにおいて斜架材を交差させ、ピン軸間距離Bをピン軸間距離Dより小さくし、ピン軸間距離Dを下端部のピン軸間距離Eより小さくすることにより、扉体の上方部における斜架材のピン軸間距離を扉体の下方部における斜架材のピン軸間距離より小さくしたハンガータイプとすることによって、所期の伸縮門扉が得られることを知見し、本発明を完成した。
【0006】
【発明の実施の形態】
この発明の実施に適する伸縮門扉は、相反する方向に傾斜させた斜架材が交差する位置をピン結合して扉体を形成したものであり、第1図及び第2図に示したような前後の斜架材の交差部に縦格子を施したものが典型的なものであるが、縦格子を省略した斜架材のみからなる竹矢来状のものでも差し支えない。
【0007】
通常この種の伸縮門扉の高さは、1m?1.5mの範囲であり前後の斜架材は上端部から下端部にかけて5ないし7箇所を交差させ、その交差部をピン軸によって回動自在に連結している。本発明においては、扉体の上方部における斜架材のピン軸間の距離を扉体の下方部における斜架材のピン軸間の距離より小さくしているが、その差は数mmから1cmの範囲が適当である。また、本発明の実施においては、扉体の上端部から下端部における斜架材のピン軸間を、必ずしも比例的に変化させなくても良い。
【0008】
本発明の伸縮門扉は、扉体の上方部における斜架材のピン軸間距離を扉体の下方部における斜架材のピン間距離より小さくしているので、扉体を水平状態に置き扉体に縦方向の荷重を与えない場合には、第4図に示したように扉体が逆扇形状となり、このような扉体の一側を門柱に定着すると、理論的には扉体の移動側部が反り上った状態になるけれども、ピン結合部のクリアランス並びに構成部材の自重によって扉体が下降するため、これらのバランスによって伸長した扉体を水平状態に位置させることが可能である。以下実施例によって、本発明を具体的に説明する。
【0009】
【実施例】
第1図ないし第3図に示した伸縮門扉は、縦30mm、横16mm、厚さ1.6mmのアルミニウム型材からなる斜架材1、1…を、相反する方向に傾斜させ斜架材によって囲まれる菱形模様が左右方向に二個及び三個の繰り返しとなるように配列し、主たる斜架材1には上端部から下端部にかけて、A=170mm、B=171mm、C=345mm、D=174mm、E=175mmの間隔でピン孔2、2…を穿設し、前後斜架材1、1…の交差位置のピン孔2、2にピン軸3を遊嵌して定着し、菱形模様が三個の現れる斜架材の交差部において、斜架材の外側に縦、横22mm、厚さ1.6mmのアルミニウム型材からなる断面コの字状縦格子4、4…をそれぞれ配設し、斜架材1、1…の下端部から三番目のピン孔2、2に挿嵌したピン軸3を前後外方に突出させて縦格子4、4と固着し、上端部、上端部から三番目及び下端部に挿嵌したそれぞれのピン軸3を前後外方に突出させて、縦格子4、4のコの字状溝5、5にガイドローラー6を介して、摺動自在に嵌合させたものである。
【0010】
扉体の側端には、吊り元枠7と戸当り枠8が配設され、斜架材のピン軸が前記縦格子と同様にして取り付けられている。図中、9は吊り元柱、10は戸当り柱、11は扉体を吊り元柱に懸架するヒンジ金具を表わす。
【0011】
このように構成された伸縮門扉を隣り合う縦格子4、4が約20cmとなるまで扉体を伸長させ、その全長を3mとした場合の扉体の状態を観察したが、扉体は全長に亘って水平状態に維持することができた。
【0012】
【参考例】
前記実施例において、ピン孔2、2を上端部から下端部にかけて、A、B、D及びEを172.5mm、Cを345mmの間隔として、ピン孔2、2…を穿設した斜架材1、1…を用いた以外は、全く同様にして扉体を組立て、これを吊り元柱10に懸架して扉体を全長3mに伸長させて、扉体の移動端部における位置を調べた結果、水平位置から約10cm下降していた。
【0013】
【発明の効果】
本発明によれば、所謂ハンガータイプの伸縮門扉において、伸長させた扉体の移動端部の垂れ下がりを、構成部材の強度アップによることなく改善しうるので、この種門扉の長尺化を安価に実現することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明伸縮門扉の一例を示す立面図
【図2】本発明伸縮門扉おける固定ピン構造部の一例を示す拡大断面図
【図3】同じくスライドピン構造部の一例を示す拡大断面図
【図4】本発明伸縮門扉の扉体を水平状態に置いた場合の作用説明図
【符号の説明】
1 斜架材
2 ピン孔
3 ピン軸
4 縦格子
 
訂正の要旨 審決(決定)の【理由】欄参照。
審理終結日 2007-11-30 
結審通知日 2007-12-05 
審決日 2006-10-23 
出願番号 特願平7-351808
審決分類 P 1 113・ 121- YA (E06B)
最終処分 不成立  
前審関与審査官 向後 晋一清藤 弘晃  
特許庁審判長 岡田 孝博
特許庁審判官 五十幡 直子
石井 哲
登録日 1999-09-10 
登録番号 特許第2978105号(P2978105)
発明の名称 ハンガータイプの伸縮門扉  
代理人 田村 公総  
代理人 田村 公総  
代理人 谷藤 孝司  
代理人 田村 公総  

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