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審決分類 審判 査定不服 特174条1項 特許、登録しない。 G03B
管理番号 1173754
審判番号 不服2005-22400  
総通号数 100 
発行国 日本国特許庁(JP) 
公報種別 特許審決公報 
発行日 2008-04-25 
種別 拒絶査定不服の審決 
審判請求日 2005-11-21 
確定日 2008-03-02 
事件の表示 平成 7年特許願第 32034号「写真画像の選択システム及び方法」拒絶査定不服審判事件〔平成 7年10月13日出願公開、特開平 7-261279〕について、次のとおり審決する。 
結論 本件審判の請求は、成り立たない。 
理由 1.手続の経緯
本願は、平成7年2月21日(パリ条約による優先権主張1994年2月25日、米国)の出願であって、平成17年8月17日付けで拒絶査定がなされ、これに対して平成17年11月21日に拒絶査定に対する審判請求がなされたものである。

2.原査定の理由
原査定の拒絶の理由の概要は、願書に最初に添付した明細書又は図面(以下、「当初明細書」という。)においては、ネガ、スライドからの印画作成という技術を前提としているのに対して、平成16年8月10日付け手続補正(以下、「本件補正」という。)では、特許請求の範囲の請求項1において、
「写真仕上げ業者に保存された画像に関連する写真画像を選択し、選択された写真画像に関するサービスを離れた場所から選択する方法であって、
少なくとも1個の高解像度画像に関する画像ファイルを保存し 、
前記写真仕上げ業者において、前記高解像度画像についての低解像度の陽画画像を作成し、低解像度の陽画画像を通信ネットワークを介して前記写真仕上げ業者から離れた場所に位置するパーソナルコンピュータの表示装置に提供し、
前記写真仕上げ業者によって提供されるコンピュータプログラムを用いて、前記表示装置から画像と選択された画像に対応する高解像度画像に対して提供されるサービスを選択し、
前記選択された画像の識別情報、前記選択されたサービスに関する記述、および顧客の識別情報を含む発注情報を、前記離れた場所から前記写真仕上げ業者に転送する段階を含む方法。」
と記載(下線部参照)されているように、「画像ファイル」がどのようにして得られたものであるかの限定がないため、本件補正は当初明細書に記載した事項の範囲内のものではなく、本願は特許法第17条第2項の規定に違反し特許を受けることができない、というものである。

3.当審の判断
(1)当初明細書には、下記の事項が記載されている。
(ア)【請求項1】
写真画像を選択し、選択された写真画像に関するサービスを選択する方法であって、
a)複数の画像をもつ写真フィルムを走査して画像ファイルを作成し、
b)画像ファイルを加工し、前記画像ファイル内の画像を表示装置に陽画表示し、
c)前記表示装置から画像を選択し、かつ前記選択画像に関し与えられるサービスを選択し、当該サービスは、前記選択画像から作成される印画の枚数および大きさ、印画に対する画フレーム、選択画像のフォトCD、画像の拡大および切り取り、選択された印画に関する通信文および選択された印画を送付する宛先からなる群から選択されるものであり、
d)前記選択画像の識別情報、前記選択サービスに関する記述および顧客の識別情報を含む発注情報を記録し、
e)前記発注情報を写真仕上げ業者に配信する
段階からなることを特徴とする、写真画像およびサービスの選択方法。
(イ)【0001】
【産業上の利用分野】
本発明は、フォトフィニッシング(photofinishing、以下「写真仕上げ」と称する)の分野に関する。より詳細には、印画作成(printing)のための写真画像の選択に関する。
(ウ)【0002】
【従来の技術】
電子的な印画作成処理については、すでに多くのシステムが提案されている。例えばコダック社のクリエータ・プリント(Creata Print:商品名)では、操作者が写真店あるいは小規模現像拠点(mini lab location )に行き、自分のネガティブフィルム(以下、ネガと略称する)を挿入し、印画作成に先立って画像の拡大・切り取り(crop、クロップ)、引き伸ばしを行う。
(エ)【0003】
【発明が解決しようとする課題】
しかし、消費者は、多数の印画を写真取り扱い店から受領しあるいは写真仕上げ業者(photofinisher 、以下、単に「写真業者」と呼ぶ)からの郵送を受け、それらの印画の複製を友人や親戚へ送付したい場合や自分用に作りたい場合に、しばしば問題に直面している。
【0004】
即ち、写真仕上げの従来の環境では、選択した画像がどの写真ネガに含まれているのかを識別しにくいことである。顧客は、選択画像を含む写真ネガを見つけ出すのに手間取ることが多い。また、ネガを見て、印画を見ると同じように判読することも難しい。顧客は各ネガを調べて、その中から印画したい画像を選別しなければならない。しかる後、小規模現像拠点、写真店あるいは写真業者にネガを持参または郵送し、焼き付け枚数とサイズを指定しなければならない。そして新しい印画ができあがるのを待ち、それらをドラッグストア、小規模現像拠点あるいは写真業者から入手するという過程を経る必要がある。
【0005】
この方法には多くの問題がある。例えば、顧客は、傷つきやすいフィルムを何度も取り扱う必要があり、このため擦過傷や指紋がついたり、あるいはフィルムを損傷したりする恐れがある。また、発注情報をスリーブ(sleeve、収納ケース)に記入する必要があるが、その場合、ネガをスリーブに挿入する前に記入すれば問題ないが、挿入した後にスリーブの上から書くと、フィルムを傷める恐れがある。また、誤ったデータを記入してしまう恐れもある。さらに、特に、類似の画像が数枚ある場合には、小さなネガ画像での識別が難しい。また、別の問題として、フィルム上の画像は、必ずしもフィルムの縁にあらかじめ付けられた(preflashed)番号と符合するとは限らない。画像の番号を例えば「9」,「9A」,「10」のいずれとすればよいか迷う場合もよくあり、このために焼き増し(reprint 、リプリント)の選択誤りをすることも起こる。また、顧客にとって拡大、切り取りなどの指定は大変面倒なため、このような発注はほとんどなされない。焼き増しの発注後、ネガは元の印画とは別のところに無秩序に収納されてしまい、後でネガを探し出すのが困難となる。
【0006】
以上より、ネガやスライドからの印画作成の発注や再発注を容易にする、改良システムと方法が望まれている。
(オ)【0007】
本発明の目的は、ネガまたはスライドからの印画作成の発注または再発注を容易にするシステムおよび方法を提供することにある。
(カ)【0008】
【課題を解決するための手段および作用】
本発明は、ネガあるいはスライドからの印画作成の発注や再発注を容易にするためのシステムであり、印画の大きさ、宛先、テキスト、フレームその他の印画作成に関する、顧客による任意の選択を可能にする。
(キ)【0014】
【実施例】
実施例1.
図1において、システム10は、ネガまたはスライドから印画作成を再発注するに適したシステムを示す。本発明のこの実施例によれば、小売店の顧客は、写真業者から受け取ったネガまたはスライド、あるいは顧客の個人ライブラリにあった古いネガまたはスライドの袋から、フィルム・ストリップ12を選択する。このストリップ12は、図1に示すように、フィルム取り扱い装置(film handling unit)16のスロット14に挿入される。フィルム取り扱い装置16は、プリンタ18、スキャナ20、バッガ(bagger)22の機能を含む。プリンタ18は、市販のバーコードプリンタまたはラベルプリンタなどの適当なプリンタでよい。スキャナ20は、例えば直線に配列した電荷結合素子(CCD)や平面CCD(area CCD)などの適当なスキャナ、あるいは画像を取り込む他の任意の手段であってよい。スキャナは、高解像度スキャナなどを含む任意のスキャナでよいが、本発明の実施態様として、写真業者が印画作成用にネガまたはスライドを保存し、顧客にはインデックス印刷(index print )のみを送付する場合には、低解像度スキャナが好ましい。なお、写真材としては一般にネガが用いられる。
【0015】
図1において、フィルム12は、フィルム取り扱い装置16のスキャナ20を通過する。光源(図示せず)によりネガを照射し、光はフィルム12を通過してフィルム取り扱い装置16内の画像作成用電子回路(imaging electronics )に達する。スキャナ20は、フィルムの透過度に対応するデータを迅速に獲得でき、付設の観察ステーション(viewing station )24の例えばコンピュータ画面26などに適切に表示するに十分な空間解像度および色解像度をもつ。選択されたフィルムストリップ12は、図のようにコンピュータ画面26により観察することができる。
(ク)【0037】
以上を要約すると、本発明により、スキャナにより写真ネガあるいはスライドを取り込んで画像ファイルを作成し、それを用いて印画作成用の写真画像を選択する。…(中略)…。
(ケ)【0041】
【発明の効果】
本発明は、写真仕上げの分野において有用であり、ネガからの印画や焼き増しを発注する場合の不都合を減少させる。本発明の利益は、印画や焼き増しの選択および発注における従来の不便な手段を解消することにある。また、傷つきやすいネガを顧客が何度も取り扱わなくて済む。本発明の機能により、顧客がネガからの初回の印画作成を発注する前に画像を吟味でき、それによって所望しない印画作成の必要がなくなる。また、本発明により、データの記入誤りがなくなる。さらに、本発明によって顧客は、特に数枚の類似の画像がある場合に、ネガをより容易に識別することができるという利益を得る。

(2)以上の【従来の技術】、【発明が解決しようとする課題】、【課題を解決するための手段および作用】、【発明の効果】の記載からすると、当初細書に記載された発明(以下「当初発明」という。)は、ネガあるいはスライドから画像ファイルを作成することを前提としていると認められる。
また、【実施例】として例示されている態様も、ネガあるいはスライドから画像ファイルを作成するもののみであり、それ以外の方法で画像ファイルを作成する実施例が開示されているとは認められない。
また、当初明細書の特許請求の範囲の請求項1に記載された「複数の画像をもつ写真フィルム」という文言も、「ネガあるいはスライド」に相当するものとして使用されているものと解される。

(3)このように、当初発明はネガあるいはスライドから画像ファイルを作成する工程を有することを前提としたものと認められるため、画像ファイルの作成手段についての限定がなされていない、すなわち、ネガあるいはスライドをスキャンすること以外の工程により作成された画像ファイルをも包含するものとした本件補正は、当初明細書に記載した事項の範囲とはいえない。

(4)これに対して、審判請求人は、本件補正による請求項1の発明(以下、「補正後発明」という。)は、画像ファイルのデータ量を課題とする発明であり、画像ファイルをどのように得るかは技術上の意義を有する事項ではない旨を主張している。
しかし、前記(3)のとおり、当初発明はネガあるいはスライドから画像ファイルを作成する工程を前提とした発明であると認められるため、同工程を技術上の意義を有する事項ではないとする上記主張には理由がない。

(5)また、審判請求人は、本願の出願時においては、例えばディジタルカメラから画像ファイルを作成することも技術常識であったこと、また、ディジタルカメラから得られた画像ファイルに対しても当初発明は適用可能であることから、画像ファイルの作成手段についての限定がなされていない本件補正も当初明細書に記載した事項の範囲内である、という旨の主張をしている。
しかし、仮に、周知慣用の技術であり、当初発明に適用し得るようなものが存在したとしても、これらの技術を当初明細書に記載されているものと同視することが許されるのは、明細書又は図面に記載がなくともこれがあると認識できる程度に自明となっているような場合に限られるべきである。
本件補正について言えば、前記(3)のとおり、当初発明はネガあるいはスライドから画像ファイルを作成する工程を含むことを前提とした発明であり、明細書又は図面に記載がなくともこれがあると認識できる程度に自明となっていないので、本願の出願時においてディジタルカメラから画像ファイルを作成することが技術常識であったか否か、また、同技術常識が当初発明に適用可能であるか否かにかかわらず、上記主張にも理由がない。

4.むすび
したがって、本件補正は原明細書に記載した事項の範囲内のものではないため、本願は特許法第17条の2第2項において準用する同法第17条第2項の規定に違反し特許を受けることができない、
よって、結論のとおり審決する。
 
審理終結日 2006-12-08 
結審通知日 2006-12-12 
審決日 2006-12-25 
出願番号 特願平7-32034
審決分類 P 1 8・ 55- Z (G03B)
最終処分 不成立  
前審関与審査官 伊藤 昌哉  
特許庁審判長 末政 清滋
特許庁審判官 濱田 聖司
青木 和夫
発明の名称 写真画像の選択システム及び方法  
代理人 石田 純  
代理人 吉田 研二  
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