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審決分類 |
審判 一部無効 2項進歩性 A44B |
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管理番号 | 1176155 |
審判番号 | 無効2006-80046 |
総通号数 | 102 |
発行国 | 日本国特許庁(JP) |
公報種別 | 特許審決公報 |
発行日 | 2008-06-27 |
種別 | 無効の審決 |
審判請求日 | 2006-03-17 |
確定日 | 2007-06-15 |
訂正明細書 | 有 |
事件の表示 | 上記当事者間の特許第3673811号発明「フック状突起を有する積層体、その製造方法および装置」の特許無効審判事件について、次のとおり審決する。 |
結論 | 訂正を認める。 特許第3673811号の請求項1ないし7、9ないし16、18ないし20、22ないし29、31ないし53、55ないし56に記載された発明についての特許を無効とする。 審判費用は、被請求人の負担とする。 |
理由 |
I.手続の経緯 本件特許第3673811号に係る発明についての出願は、1992年(平成4年)7月28日(パリ条約による優先権主張1991年(平成3年)8月16日、米国)を国際出願日とする出願であって、平成17年5月13日にその発明について特許の設定登録がなされた。 これに対し、平成18年3月17日に請求人YKK株式会社より無効審判の請求がなされ、平成18年7月18日に被請求人より答弁書及び訂正請求書が提出されたものである。 そして、平成18年10月31日に口頭審理が行われたものである。 II.訂正について (1)訂正請求の内容 被請求人が請求する訂正の内容は、以下の通りである。 訂正事項1:請求項1の「複数の密接したフック状突起(21)」を、「ループと係合する複数の密接したフック状突起(21)」に訂正する。 訂正事項2:請求項1の「内方に延在する複数のフック形成用空所(c)に、溶融プラスチック材料(3)を充填し」を、「内方に延在する複数のフック形成用空所(c)に、押し出し機(1)から給送される溶融プラスチック材料(3)を充填し」に訂正する。 訂正事項3:請求項1の「前記シート材料(10)を押すように前記成形ローラ(5)と協働するように設置した圧力ローラを駆動させ、」を、「前記シート材料(10)を押すように前記成形ローラ(5)と協働するように設置した圧カローラを駆動させて、前記成形ローラ(5)と前記圧カローラ(4)との間にカレンダ圧力を加え、」に訂正する。 訂正事項4:請求項4の「前記材料(3)と前記シート材料(10)が」を、「前記溶融プラスチック材料(3)と前記シート材料(10)が」に訂正する。 訂正事項5:請求項11の「押し出し機(1)が前記成形ローラ(5)の外面へ、」を、「押し出し機(1)が前記成形ローラ(5)の外面への給送のため、」に訂正する。 訂正事項6:請求項25の「複数の密接したフック状突起(21)を」を、「ループと係合する複数の密接したフック状突起(21)を」に訂正する。 訂正事項7:請求項25の「、から構成され、その後、」を、「、から構成され、前記圧カローラ(5)と前記成形ローラ(4)との間にカレンダ圧力を加え、その後、」に訂正する。 訂正事項8:請求項28の「前記材料(3)がシート形態を形成するように、」を、「前記材料(3)が溶融したシート形態を形成するように、」に訂正する。 訂正事項9:請求項34の「複数の密接したフック状突起(21)を」を、「ループと係合する複数の密接したフック状突起(21)を」に訂正する。 訂正事項10:請求項34の「内方に延在する複数のフック形成用空所(c)に、溶融プラスチック材料(3)を充填し」を、「内方に延在する複数のフック形成用空所(c)に、押し出し機(1)から給送される溶融プラスチック材料(3)を充填し」に訂正する。 訂正事項11:請求項34の「前記シート材料(10)を押すように前記成形ローラ(5)と協働するように設置した圧力ローラを駆動させ、」を、「前記シート材料(10)を押すように前記成形ローラ(5)と協働するように設置した圧力ローラを駆動させて、前記成形ローラ(5)と前記圧力ローラ(4)との間にカレンダ圧力を加え、」に訂正する。 (2)訂正の可否に対する判断 上記訂正事項1は、フック状突起の機能について限定するものであり、上記訂正事項2は、溶融プラスチック材料に関しさらに限定するものであり、上記訂正事項3は、圧カローラを駆動させることによって生じる機能について限定するものであり、上記訂正事項4は、材料を具体的なものに限定するものであり、上記訂正事項5は、押し出し機の作用の目的を限定するものであり、上記訂正事項6?11は、上記訂正事項1?5に対応させるため明りょうでない記載を訂正するものである。 よって、上記各訂正は、特許請求の範囲の減縮を目的とし、新規事項の追加に該当せず、実質上特許請求の範囲を拡張し又は変更するものではない。 次に、無効審判の請求がなされていない請求項8、17、21、30及び54は、減縮を目的として訂正された請求項を引用しているものであるから、その請求項が独立して特許を受けることができるものであるか否かについて検討する。 [請求項8、17、21、30及び54について] 【請求項8】 前記シート材料(10)は、前記成形ローラ(5)の表面の速度よりも早い直進速度で、前記材料(3)へ送られる、請求項1乃至7のいずれか一項記載の製造方法。 【請求項17】 前記シート材料(10)はプラスチックフィルムである請求項1乃至12のいずれか一項に記載の製造方法。 【請求項21】 前記シート材料(10)は、印刷物を含み、前記ベース層(20)に対するパッキングを形成し、前記ベース層(20)のプラスチック材料は透明プラスチックを通して視認できる程に十分に透明である請求項1乃至12のいずれか 一項記載の製造方法。 【請求項30】 前記シート材料(10)を送る前記ロールは、前記成形ロール(5)の表面速度よりも速い速度で、前記シート材料(10)を供給するように構成された、請求項29記載の装置。 【請求項54】 前記材料(10)はシート状であり、視認できる印刷物を含む、請求項34記載の積層体。 (ア)請求項8について 請求項8は、シート材料は、成形ローラの表面の速度よりも早い直進速度で、材料へ送られる点について限定しており、この点については、請求人が提出した甲第1?5号証及び参考文献1?5のいずれの文献にも記載されていないし、それらに基づいて当業者が容易になし得たものとも認められない。そして、他に拒絶すべき理由を発見しない。 (イ)請求項17について 請求項17は、シート材料は、プラスチックフィルムである点について限定しており、この点については、請求人が提出した甲第1?5号証及び参考文献1?5のいずれの文献にも記載されていないし、それらに基づいて当業者が容易になし得たものとも認められない。そして、他に拒絶すべき理由を発見しない。 (ウ)請求項21について 請求項21は、シート材料は、印刷物を含み、ベース層に対するパッキングを形成し、ベース層のプラスチック材料は透明プラスチックを通して視認できる程に十分に透明である点について限定しており、この点については、請求人が提出した甲第1?5号証及び参考文献1?5のいずれの文献にも記載されていないし、それらに基づいて当業者が容易になし得たものとも認められない。そして、他に拒絶すべき理由を発見しない。 (エ)請求項30について 請求項30は、シート材料を送るロールは、成形ロールの表面の速度よりも速い速度で、シート材料を供給するように構成された点について限定しており、この点については、請求人が提出した甲第1?5号証及び参考文献1?5のいずれの文献にも記載されていないし、それらに基づいて当業者が容易になし得たものとも認められない。そして、他に拒絶すべき理由を発見しない。 (オ)請求項54について 請求項54は、材料はシート状であり、視認できる印刷物を含む点について限定しており、この点については、請求人が提出した甲第1?5号証及び参考文献1?5のいずれの文献にも記載されていないし、それらに基づいて当業者が容易になし得たものとも認められない。そして、他に拒絶すべき理由を発見しない。 以上のとおり、請求項8、17、21、30及び54は出願の際、独立して特許を受けることができるものである。 したがって、平成18年7月18日付けの訂正は、特許法第134条の2第5項において読み替えて準用する平成6年改正前特許法第126条第2項及び第3項の規定に適合するものであるので、当該訂正は適法なものであるからこれを認める。 II.本件発明 本件特許請求の範囲は上記訂正によって訂正されたので、その請求項1ないし請求項56に係る発明(以下、「本件特許発明1ないし56」という)は、明細書の請求項1ないし56に記載された次のとおりのものである。 「【請求項1】 ループと係合する複数の密接したフック状突起(21)を有する積層体(9)を製造する製造方法であって、 回転する成形ローラ(5)の周面に前記フック状突起(21)を画成する、内方に延在する複数のフック形成用空所(c)に,押し出し機(1)から給送される溶融プラスチック材料(3)を充填し、前記成形ローラ(5)の外面にあるシート状ベース層(20)の表面から延在し、前記シート状ベース層(20)と一体となる前記フック状突起(21)を形成するように、ある幅の加熱された溶融プラスチック材料(3)を回転する成形ローラ(5)の表面に送り、 前記成形ローラ(5)に予め形成されたシート材料(10)を送り、 前記複数の密接したフック状突起(21)とは反対の前記ベース層(20)の側と前記シート材料(10)とを結合させて積層体(9)を形成するように、前記成形ローラ(5)上の溶融プラスチック材料(3)と前記シート材料(10)とを緊密に結合させるため、前記シート材料(10)を押すように前記成形ローラ(5)と協働するように設置した圧カローラ(4)を駆動させて、前記成形ローラ(5)と前記圧力ローラ(4)との間にカレンダ圧力を加え,その後、 前記成形用ローラ(5)の前記空所(c)から前記フック状突起(21)を引き抜き、前記成形用ローラ(5)から前記積層体(9)を取り外す、ことを含む製造方法。 【請求項2】 前記成形ローラ(5)を冷却し、取り外す前に、前記成形ローラ(5)に沿って前記積層体(9)を冷却することをさらに含む、請求項1記載の製造方法。 【請求項3】 前記シート材料(10)は、前記材料(3)が前記成形ローラ(5)に送られる箇所で前記材料(3)へ送られる、請求項1又は2記載の製造方法。 【請求項4】 前記成形ローラ(5)と前記圧カローラ(4)は、前記溶融プラクチック材料(3)と前記シート材料(10)が同時に導入されるニップ(6)を画成する、請求項1乃至3のいずれか一項記載の製造方法。 【請求項5】 前記シート材料(10)は、前記材料(3)が送られる前に前記圧カローラ(4)に送られ、前記圧カローラ(4)に沿って進行する、請求項3又は4記載の製造方法。 【請求項6】 前記積層体(9)を取り外すことは、前記積層体(9)をストリップ形成用ローラ(7)を介して行われる、請求項1乃至5のいずれか一項記載の製造方法。 【請求項7】 前記ストリップ形成用ローラ(7)は、前記成形ローラ(5)に前記材料(3)を送り込む位置から、前記成形ローラ(5)の表面に沿って前記積層体(9)が十分に円弧状に巻回された位置において、前記積層体(9)を前記成形ローラ(5)から取り出すように構成された、請求項6記載の製造方法。 【請求項8】 前記シート材料(10)は、前記成形ローラ(5)の表面の速度よりも早い直進速度で、前記材料(3)へ送られる、請求項1乃至7のいずれか一項記載の製造方法。 【請求項9】 前記シート材料(10)は張力下で回転する成形ローラ(5)へ送られる、請求項1乃至7のいずれか一項記載の製造方法。 【請求項10】 前記ベース層(20)と前記ベース層(20)の片面から延在し、前記ベース層(20)と一体となる複数のフック状突起(21)を有するストリップ状のフックファスナの形態で積層体(9)を製造するための、請求項1乃至9のいずれか一項記載の製造方法。 【請求項11】 前記圧力ローラ(4)が冷却され、前記フック形成用空所(c)に前記溶融プラスチック材料(3)を充填し、押し出し機(1)が前記成形ローラ(5)の外面への給送のため、溶融状態のままで供給される前記溶融プラスチック材料(3)を押し出す、請求項1乃至10のいずれか一項記載の製造方法。 【請求項12】 前記溶融プラスチック材料(3)が前記成形ローラ(5)の周面で積層体(9)の少なくとも一部のベース層(20)を形成し、前記ベース層(20)から一体として延在するフック状突起(21)を形成するように回転する前記成形ローラ(5)にて画成される複数の前記空所(c)に充填されるように、回転する前記成形ローラ(5)の周面に沿って形成されたニッブ(6)へ、前記溶融プラスチック材料(3)を導入することを含む、請求項11記載の製造方法。 【請求項13】 前記シート材料(10)は不織布である請求項1乃至12のいずれか一項記載の製造方法。 【請求項14】 前記シート材料(10)は編成布である請求項1乃至12のいずれか一項記載の製造方法。 【請求項15】 前記編成布は織布又は編物である請求項14記載の製造方法。 【請求項16】 前記シート材料(10)はポリウレタン発泡体である請求項1乃至12のいずれか一項に記載の製造方法。 【請求項17】 前記シート材料(10)はプラスチックフィルムである請求項1乃至12のいずれか一項に記載の製造方法。 【請求項18】 前記シート材料(10)は紙である請求項1乃至12のいずれか一項に記載の製造方法。 【請求項19】 前記紙は、前記ベース層(20)と一体構造からの反対側に活性化可能な接着剤(28)を有する請求項18記載の製造方法。 【請求項20】 前記シート材料(10)は、前記フック状突起(21)を含む側とは反対側に、前記ベース層(20)から延在するフック係合可能なループ又は繊維を有する、請求項1乃至15のいずれか一項記載の製造方法。 【請求項21】 前記シート材料(10)は、印刷物を含み、前記ベース層(20)に対するパッキングを形成し、前記ベース層(20)のプラスチック材料は透明プラスチックを通して視認できる程に十分に透明である請求項1乃至12のいずれか一項記載の製造方法。 【請求項22】 前記シート材料(10)は、接着剤を有するシート状であり、前記接着剤は、前記ベース層(20)と一体となる側とは反対の前記シート材料(10)の側に位置する、請求項1乃至12のいずれか一項記載の製造方法。 【請求項23】 前記空所(c)は、ループと係合するファスナフックの形態を形成するように構成された請求項1乃至22のいずれか一項記載の製造方法。 【請求項24】 前記シート材料(10)は、ループ又は繊維を前記ベース層(20)の反対側に有し、前記ループ又は繊維が前記フック状突起と係合する部材に露出される、請求項22記載の製造方法。 【請求項25】 ループと係合する複数の密接したフック状突起(21)を有する積層体(9)を製造するための装置であって、 周面に前記フック状突起(21)を画成し、延在する複数のフック形成用空所(c)に溶融プラスチック材料(3)を充填し、回転する成形ローラ(5)であって、前記成形ローラ(5)の外面にあるシート状ベース層(20)と前記フック状突起(21)とが一体に形成する条件で、前記周面に前記溶融プラスチック材料(3)を受領するように構成された前記成形ローラ(5)と、 ある幅の加熱された溶融プラスチック材料(3)を成形ロール(5)へ送る押し出し機(1)と、 予め形成されたシート材料(10)を前記成形ロール(5)の外面の溶融プラスチック材料(3)の前記ベース層(20)へ導入するように構成され、 前記フック状突起が延在する面とは反対の前記ベース層(20)の側で、前記シート材料(10)と回転する前記成形ロール(5)上の溶融プラスチック材料(3)とを緊密に結合させて積層体(9)を形成させるように、前記成形ローラ(5)と協働するように設置した圧力ローラ(4)と、から構成され、前記成形ローラ(5)と前記圧力ローラ(4)との間にカレンダ圧力を加え、その後、 前記成形ローラ(5)の前記空所(c)から前記フック状突起(21)を引き抜き、生成した積層体(9)を取り外すように構成された装置。 【請求項26】 前記圧力ロール(4)は、前記材料(3)が前記成形ロール(5)に受領されるにつれ、前記シート材料(10)が前記材料(3)へ押し込まれるように構成された請求項25記載の装置。 【請求項27】 前記成形ローラ(5)に前記材料(3)を送り込む位置から、前記成形ローラ(5)の表面に沿って前記積層体(9)が十分に円弧状に巻回された位置において、前記積層体(9)を前記成形ローラ(5)から取り出すように構成された、ストリップ形成用ローラ(7)を、さらに含む請求項25又は26記載の装置。 【請求項28】 前記成形ローラ(5)に到達する前に、前記材料(3)が溶融したシート形態を形成するように、前記押し出し機(1)と前記成形ローラ(5)との間に配設されたダイ(2)を、さらに備える請求項25乃至27のいずれか一項記載の装置。 【請求項29】 前記シート材料(10)を前記圧力ロール(4)へ供給するように構成されたロールを、さらに含む請求項25乃至28のいずれか一項記載の装置。 【請求項30】 前記シート材料(10)を送る前記ロールは、前記成形ロール(5)の表面速度よりも速い速度で、前記シート材料(10)を供給するように構成された、請求項29記載の装置。 【請求項31】 前記シート材料(10)用の前記ロールは、張力下にて前記シート材料(10)を供給するように構成された、請求項29記載の装置。 【請求項32】 前記成形ローラ(5)は制御された温度で維持される、請求項25乃至31のいずれか一項記載の装置。 【請求項33】 前記成形ローラ(5)が冷却され、もって前記成形ローラ(5)に供給された前記材料(3)を冷却する、請求項32記載の装置。 【請求項34】 ループと係合する複数の密接したフック状突起(21)を含む積層体(9)であって、 回転する成形ローラ(5)の周面に前記フック状突起(21)を画成する、内方に延在する複数のフック形成用空所(c)に、押し出し機(1)から給送される溶融プラスチック材料(3)を充填し、前記成形ローラ(5)の外面にあるシート状ベース層(20)の表面から延在し、前記シート状ベース層(20)と一体となる前記フック状突起(21)を形成するように、ある幅の加熱された溶融プラスチック材料(3)を回転する成形ローラ(5)の表面に送り、 前記成形ローラ(5)に予め形成されたシート材料(10)を送り、 前記複数の密接したフック状突起(21)とは反対の前記ベース層(20)の側と前記シート材料(10)とを結合させて積層体(9)を形成するように、前記成形ローラ(5)上の溶融プラスチック材料(3)と前記シート材料(10)とを緊密に結合させるため、前記シート材料(10)を押すように前記成形ローラ(5)と協働するように設置した圧力ローラ(4)を駆動させて、前記成形ローラ(5)と前記圧力ローラ(4)との間にカレンダ圧力を加え、その後、 前記成形用ローラ(5)の前記空所(c)から前記フック状突起(21)を引き抜き、前記成形用ローラ(5)から前記積層体(9)を取り外す、ことを含む製造方法により製造される積層体。 【請求項35】 前記材料(10)はシート状である請求項34記載の積層体。 【請求項36】 前記材料(10)はフック状突起により係合するループ又は繊維を保持する請求項34又は35記載の積層体。 【請求項37】 前記フック状突起(21)はプラスチック材料(3)を成形させた形態であり、前記ベース層(20)の隣接するプラスチック材料(3)と同時に冷却される請求項34乃至36のいずれか一項記載の積層体。 【請求項38】 回転する成形ロール(5)の周面で、溶融プラスチック材料(3)が積層体(9)の少なくとも一部のベース層(20)と、前記ベース層(20)の面から延在する突起部(21)と、を形成するために、前記回転する成形ロール(5)にて画成された複数の空所(c)に、前記溶融プラスチック材料(3)を充填するように、前記回転する成形ロール(5)の周面に隣接して画成されたニップ(6)へ溶融プラスチック材料(3)を導入し、 予め形成された材料(10、22、23、25、27、29)が前記プラスチック材料(3)と積層体(9)の少なくとも一部と一体に結合するように選択された条件下で、回転する前記成形ロール(5)にあるベース層(20)のプラスチック材料(3)へ、前記予め形成された材料(10、22、23、25、27、29、30)を、圧カローラ(4)を回転させながら導入し、 前記溶融プラスチック材料(3)を固形化し、 各空所(3)から前記突起(21)を引き抜くことにより前記成形ローラ(5)の周面から固形化した材料を取り外す方法により製造される、請求項34乃至37のいずれか一項記載の積層体。 【請求項39】 前記予め形成された材料(10)は、不織布を含む、請求項34乃至38のいずれか一項記載の積層体。 【請求項40】 前記予め形成された材料(10)は、織成布、織布又は編布である請求項34乃至38のいずれか一項記載の積層体。 【請求項41】 前記予め形成された材料(10)は、補強スクリムである請求項34乃至38のいずれか一項記載の積層体。 【請求項42】 前記予め形成された材料(10)は、多孔性であり、前記プラスチック材料(3)と前記材料(10)が一体となるように、前記プラスチック材料(3)が前記予め形成された材料(10)の孔に注入される、請求項34乃至38のいずれか一項記載の積層体。 【請求項43】 前記予め形成された材料(10)は、紙を含む請求項34乃至38のいずれか一項記載の積層体。 【請求項44】 前記予め形成された材料(10)は、発泡プラスチックを含む請求項34乃至38のいずれか一項記載の積層体。 【請求項45】 前記予め形成された材料(10)は、縦方向に連続であり、少なくとも連続的長さとして導入される請求項34乃至44のいずれか一項記載の積層体。 【請求項46】 前記ニップ(6)は、前記成形ローラ(5)と、逆に回転する圧力ロール(4)との間で画成される請求項38記載の積層体。 【請求項47】 前記予め形成された材料(10)は、縦方向に連続であり、前記プラスチック材料(3)が導入される前に、回転する前記圧力ロール(4)の少なくとも一部に送り込まれ、進行する少なくとも一部の連続的長さとして導入される、請求項46記載の積層体。 【請求項48】 前記成形ロール(5)の周面から前記プラスチック材料(3)を取り外すことは、ストリップ形成用ローラ(7)を介して行われる、請求項38記載の積層体。 【請求項49】 前記複数のフック状突起は多数の列に配置される、請求項34乃至47のいずれか一項に記載の積層体。 【請求項50】 前記フック状突起(21)はループと係合するように構成される請求項34乃至49のいずれか一項に記載の積層体。 【請求項51】 前記材料(10)はシート状材料であり、前記ベース層(20)がシート状材料と融合するように、前記シート状材料と共に前記ベース層(20)を形成するプラスチック材料と緊密に結合することにより、接着剤若しくは他の外部材料を使用せずに接合して、前記ベース層(20)と常に一体となる、請求項34乃至50のいずれか一項に記載の積層体。 【請求項52】 前記シート状材料が繊維状であり、前記プラスチック材料が前記シート状繊維材料の前記面において少なくとも数多の表面繊維(22)を混ざり合い、それらを被覆し、前記反対側の面の他の繊維を前記プラスチック材料が無い状態にする、請求項51記載の積層体。 【請求項53】 前記材料(10)はシート状材料であり、前記シート状材料の他の面に前記ポリマー材料の無いループ又は繊維(29)を露出する、請求項34乃至52記載の積層体。 【請求項54】 前記材料(10)はシート状であり、視認できる印刷物を含む、請求項34記載の積層体。 【請求項55】 前記材料(10)はシート状であり、前記ベース層(20)と一体となる表面とは反対の表面に接着剤を有する、請求項34記載の積層体。 【請求項56】 前記突起(21)は、個別に成形されたフック状に係合する領域をその端部に備え、前記シート状材料(10)は繊維からなり、孔を有し、フック・ループファスナ用のループ(29)を備え、前記ベース層(20)の前記プラスチック材料(3)は前記シート材料(10)の一方の側にある繊維を包み込むー方で、前記シート状材料(10)の反対側のループは、前記プラスチック材料(3)が無い状態にし、かつ、前記突起(21)の前記フック状に係合する領域を、係合させるために露出する、請求項34記載の積層体。」 III.請求人及び被請求人の主張の概略 1.請求人の主張 請求人の主張は、以下の通りである。 本件特許発明1?7、9?16、18?20、22?29、31?53及び55?56は、いずれも甲第1号証?甲第4号証に記載された発明と同一か、若しくは甲第1号証?甲第4号証に記載された発明に基づいて、当業者が容易に発明をすることができたものであるから、特許法第29条第1項第3号に該当し、若しくは同条第2項の規定により特許を受けることができないものであり、特許法第123条第1項第2号に該当し、本件特許は無効とすべきものである。 また、訂正請求が認められたとしても、上記各発明は、甲第1号証?甲第4号証及び参考文献1?5に記載された発明に基づいて、当業者が容易に発明をすることができたものであるから、特許法第29条第2項の規定により特許を受けることができないものであり、特許法第123条第1項第2号に該当し、本件特許は無効とすべきものである。 〈証拠方法〉 甲第1号証:USP第3,312,583号明細書とその部分訳 甲第2号証:特公昭54-20226号公報 甲第3号証:実公昭55-55602号公報 甲第4号証:特表昭62-500842号公報 参考文献1:特表平1-501775号公報 参考文献2:実願昭55-11756号(実開昭57-86963号公報) マイクロフィルム 参考文献3:実願昭62-68023号(実開昭63-177268号公報 )マイクロフィルム 参考文献4:特開昭62-26003号公報 参考文献5:技術動向シリーズ 特許からみた可塑物の成形加工技術 特許庁編、昭和53年4月3日発行 社団法人発明協会、表紙、目次、奥付け並びに第529頁及び第534?536頁の写し 2.被請求人の主張 これに対して、被請求人の主張は、以下の通りである。 本件特許発明1?7、9?16、18?20、22?29、31?53及び55?56は、いずれも甲第1号証?甲第4号証に記載された発明と同一ではなく、若しくは甲第1号証?甲第4号証に記載された発明に基づいて、当業者が容易に発明をすることができたものではないから、特許法第29条第1項第3号に該当せず、若しくは同条第2項の規定により特許を受けることができないものには該当しないので、特許法第123条第1項第2号に該当せず、本件特許は無効とすべきものではない。 IV.当審の判断 1.甲第1?4号証の記載事項 (1)甲第1号証(米国特許第3312583号明細書)には、図面とともに以下の事項が記載されている。なお、原文は英語であるが、訳文で記載事項を示す。 a:「しかしながら、方法と装置はおおむねこれらの点において、周知のタイプのスタンダードな成形工程及び構造とはより大きく異なる。成形される比較的、柔らかい表面の材料は、比較的マイルドな圧力の下で、薄板切り込み若しくは他の構造によって構成された成形キャビテイヘと押し出され、前記流動可能な材料は、十分に成形キャビテイの中に入り、形作られる。これは、通常、金型の加熱や冷却によって、少なくとも部分的に成形されたパイルをセットする為に伴う。望めば、パイル状の製品は、パッキング部材に同時に固着されることが可能であり、若しくは、上記に示したように、その両方の側面において同時にパイル状になることも可能である。」(第3欄64行目?第4欄2行目) b:「図17A及び17Bは、押しつけられた際にパイル片が係合するパイル状シートを製造するために本発明がどのように有効であるかを提示している。これは「ジッパー」タイプの係着機能を与える。 図17Aに描かれたように、各シートA及びBのパイル片115は、図17Aに点で示されているようにアルニコ等の磁性材料の粒子を有する材料から成形される。同図に示されたように係合した際に、これによりパイル片115の極めて強い磁気的な係合が得られる。図17Bにおいて、エレメント115はフック形状を示しておりシートA及びBが同様な係脱可能な状態となるような係合関係となっている。」(第11欄42行目?55行目、図17A、図17B) c:「図19は、流動性材料におけるアレンジが、プラスチゾルの構成において見られるように、伸びた、バネのようなノズル、若しくはスリット126を介して、ドラム116に適用され、構成金型薄板の切り込みされた金型キャピテイ122に入り、さらにパッキングシート層若しくは層127の形成の為の材料を提供する。前記材料は、さらなるウェブ若しくはシート128によって、成形ドラム116に対し付勢され、同時に層127に固着される。所望の圧力がローラー129によって適用され、前記固着された層は、さらに完成させる為(必要なら)、また所望の処理(廃棄)のために130において送り出される。」(第12欄48行目?58行目、図19) 以上の記載から、甲第1号証には、次の事項が記載されている。 「複数の密接したフック形状のエレメントを有する積層体を製造する製造方法であって、 回転するドラム(116)の周面に前記エレメント(115)を画成する、内方に延在する複数の金型キャビティ(122)に,スリット(126)から給送される流動性材料を充填し、前記ドラム(116)の外面にあるシート状ベース層(127)の表面から延在し、前記シート状ベース層(127)と一体となる前記エレメント(115)を形成するように、ある幅の加熱された流動性材料を回転するドラム(116)の表面に送り、 前記ドラム(116)に予め形成されたシート材料(128)を送り、 前記複数の密接したエレメント(115)とは反対の前記ベース層の側と前記シート材料(128)とを結合させて積層体を形成するように、前記ドラム(116)上の流動性材料と前記シート材料(128)とを緊密に結合させるため、前記シート材料(128)を押すように前記ドラム(116)と協働するように設置したローラ(129)を駆動させて前記ドラム(116)と前記ローラ(129)との間に圧力を加え,その後、前記ドラム(116)の前記金型キャビティ(122)から前記エレメント(115)を引き抜き、前記ドラム(116)から前記積層体を取り外す方法。」 (2)甲第2号証(特公昭54-20226号公報)には、図面とともに以下の事項が記載されている。 d:「第1図に示すように、スクリュー形押出機12のノズル10を通して、溶融した熱可塑性樹脂を押し出し、矢印の方向に一定の同じ速度で回転するアルミ製成型用ホイール16とスチール製ドクターホイールよりなるドクター手段18との間にある間隙に溶融樹脂のバンクまたはニップ14を作る。・・・溶融樹脂14は陰刻20を充填し、陰刻20のすぐ下の成型用ホイール16の中にある網状構造を成す溝(図示せず)を通って循環する水によって冷却されて固化する。少なくとも陰刻のくぼみに接している面が強靱性となる迄冷却した後、樹脂成型物を内部で水冷されたロール2・2のまわりを通して樹脂を更に冷却する。」(第3頁左欄5?19行目) e:「感圧接着剤層26は、90重量部のイソオクチルアクリレートと10重量部のアクリル酸との共重合体から成る感圧接着剤の塗膜を両面に持つ薄いネオプレンフォームから作られた。このネオプレンフォームは、独立気泡で、800kg/m^(3)であり、厚さ0.75mmである。」(第3頁右欄28?33行目) (3)甲第3号証(実公昭55-55602号公報)には、図面とともに以下の事項が記載されている。 f:「本考案で用いられる繊維材料としては、編織布、不織布、紙、ウエッブ、トウ、フィラメント薄層、各種糸などが用いられるが、接着効果を高める上からは編織布、不織布、紙などが接着剤が含浸されうる形態を有するものとして有効であり、補強面のみを考慮すれば、織物、トウ、フィラメント薄層、糸層などフィラメント、糸が一定方向(例えば長平方向)に配列されたものがよい。これらの繊維材料は、係合部材成形時、支持体部が溶融軟化状態にあるとき、重ねて押圧することによって融着一体化される。この場合、係合部材の表面側がまだ型枠等に保持されている状態で前記加工が行なわれるのが有効である。」(第2欄6?18行) (4)甲第4号証(特表昭62-500842号公報)には、図面とともに以下の事項が記載されている。 g:「一つの表面から突出する複数のフックタイプもしくはループタイプの係合エレメントを有する分離可能なファスナ部材、および上記係合エレメントと反対の面に係合するよう配置され、上記ファスナ部材に取付けられた気体部材を含んで成るフックもしくはループタイプの分離可能ファスナ。」(特許請求の範囲第1項、Fig4、) 2.対比・判断 (1)本件特許発明1について 本件特許発明1と甲第1号証記載の発明とを比較する。 甲第1号証に記載された「パイル片115」、「パイル状の材料124」、「成形ドラム116」、「キャビティ122」、「ブラスチゾル」、「シート128」、及び「ローラ129」は、それぞれ、本件特許発明1の「突起(21)」、「積層体(9)」、「成形ローラ(5)」、「空所(c)」、「材料(3)」、「シート材料(10)」及び「圧カローラ(4)」に相当するから、両者は 「複数の密接した突起を有する積層体を製造する製造方法であって、 成形ローラの周面に突起を画成する空所に、材料を充填し、前記ローラの外面にあるシート状ベース層の表面から延在し、前記ベース層と一体となる前記突起を形成するように、材料を回転する成形ローラの表面に送り、 前記成形ローラに予め形成されたシート材料を送り、 前記複数の密接した突起とは反対の前記ベース層の側と前記シート材料とを結合させて積層体を形成するように、前記成形ローラ上の材料と前記シート材料とを結合させるため圧カローラを作用させ、 前記成形ローラの前記空所から前記突起を引き抜き、前記成形ローラから前記積層体を取り外す、ことを含む製造方法。」 で一致し、次の点で相違する。 相違点1:本件特許発明1は、ループと係合する複数の密接したフック状突起を有しているのに対し、甲第1号証記載のものは、複数の密接したフック状突起を有しているが、ループと係合するか否かについて記載がない点。 相違点2:本件特許発明1は、押し出し機から溶融プラスチックを給送しているのに対し、甲第1号証記載のものは、押し出し機ではなくホッパーのノズルあるいはスリットから流動性材料を給送している点。 相違点3:本件特許発明1は、加熱された溶融プラスチック材料が回転する成形ローラの表面に送られているのに対し、甲第1号証記載のものは、成形ローラの表面に送られるまでのプラスチックは加熱されているとの記載がない点。 相違点4:本件特許発明1は、シート材料を押すように成形ローラと協働するように設置した圧カローラを駆動させているのに対し、甲第1号証記載のものは、シート材料を押すように成形ローラと協働するように設置した圧カローラを駆動させるとの記載はない点。 相違点5:本件特許発明1は、成形ローラと圧力ローラとの間にカレンダ圧力を加えているのに対し、甲第1号証記載のものは、成形ローラと圧カローラとの間にカレンダ圧力を加えるとの記載がない点。 相違点6:本件特許発明1は、押し出し及びロール成形を組み合わせて行っているのに対し、甲第1号証記載のものは、ロール成形を行ってはいるが材料を押し出しによっては供給していない点。 上記各相違点について検討する。 相違点1について。 本件特許発明1のフック状突起はループと係合するものであるのに対し、甲第1号証記載のフック状突起はループと係合するか否かについて記載がないため、その機能については明らかではない。しかし、甲第1号証記載のフック状突起も他の部材と係合するためのものであることは記載事項bからも明らかであり、しかも、フック状突起とループ状の部材とを係合させることは請求人が提出した参考文献3あるいは4にも記載されているように周知の事項であるにすぎない。 相違点2について。 本件特許発明1では、押し出し機から溶融プラスチックを給送しているのに対し、甲第1号証記載のものは、押し出し機ではなくホッパーのノズルあるいはスリットから流動性材料を給送している。 甲第1号証において給送している流動性材料は、記載事項cにおいてはプラスチゾルが例示されているが、甲第1号証の第1欄13?20行には「such as a termoplastic or thermosetting resinous compound」すなわち熱可塑性あるいは熱硬化性樹脂組成物を用いることが記載され、また、甲第2号証にもロールによって樹脂成型品を製造する際に熱可塑性樹脂を用いることが記載されているように、成型用の材料として加熱により溶融するプラスチックを用いることは周知の事項である。 また、溶融プラスチックを給送する際に押し出し機を用いることは甲第2号証の記載事項dに記載されているように公知の事項であって、ホッパーに代えて押し出し機を用いることに格別の困難性があるものとは認められず当業者が容易になし得ることである。 相違点3について 甲第1号証記載の発明では、成形ローラの表面に送られるまでのプラスチックは加熱されているとの記載がないが、熱可塑性樹脂を用いて成形を行う場合、樹脂が溶融するのに十分な温度まで加熱しておく必要があることは当然のことである。そして、甲第1号証においても熱可塑性樹脂を用いて成形を行うことも記載されているのであるから、その際に成形ローラの表面に送られるまでのプラスチックを加熱することは当業者が容易になし得ることにすぎない。 相違点4について 甲第1号証記載の発明では、シート材料を押すように成形ローラと協働するように設置した圧カローラを駆動させるとの記載はないが、一般にシート材料等の長尺物を搬送するローラは駆動されるものと駆動されずに受動的に回転するものがあり、いずれの方式とするかは当業者が適宜容易に定め得る事項にすぎないし、本件特許発明1のように圧力ローラを駆動させることによって、受動的に回転するものに比較して格別顕著な効果が得られるものとも認められない。 相違点5について 甲第1号証記載の発明では、成形ローラと圧カローラとの間にカレンダ圧力を加えるとの記載がないが、ロールの間で圧延しフィルムまたはシート状の成形品を作るカレンダ加工においては、ローラ間に圧力が加わっていることは記載事項cの記載からも明らかなように当然のことである。 そして、本件特許発明1においていうところのカレンダ圧力がカレンダ加工において加えられる圧力以外の特別な圧力のことを指し示しているものとは認められないから、甲第1号証記載の発明において加えられている圧力と本件特許発明1でいうカレンダ圧力に実質的な相違があるものとは認められず単に記載される文言の違いにすぎない。 相違点6について 本件特許発明1は、押し出し及びロール成形を組み合わせて行っているが、成形ローラに押し出しによって樹脂を供給することは、甲第2号証の記載事項dや参考文献5にも記載されているように一般的な技術であって甲第1号証のホッパー状ノズルからの溶融樹脂の供給に代えて、押し出しによって供給することは当業者が容易になし得ることである。 よって、本件特許発明1は甲第1及び2号証に記載の発明に基づいて当業者が容易に発明をすることができたものである。 (2)本件特許発明2について 本件特許発明2と甲第1号証記載の発明とを比較すると、上記相違点1から6に加えて、成形ローラを冷却し、取り外す前に、成形ローラに沿って積層体を冷却することをさらに含む点(相違点7)で相違している。そして、相違点1から6については、上記で検討したとおりであるので、相違点7について検討する。 相違点7について 成形ローラを冷却し、取り外す前に、成形ローラに沿って積層体を冷却することは、甲第2号証の記載事項dに記載されているように公知の事項であり、本件特許発明2においても、溶融プラスチックを冷却により固化させた後に成形ローラから取り外す必要があることは当然のことであり、相違点7のような構成とすることは当業者が容易になし得たことである。 (3)本件特許発明3について 本件特許発明3と甲第1号証記載の発明とを比較すると、上記相違点1から6に加えて、シート材料は、材料が成形ローラに送られる箇所で材料へ送られる点(相違点8)で相違している。そして、相違点1から6については、上記で検討したとおりであるので、相違点8について検討する。 相違点8について シート材料は、溶融プラスチック材料が成形ローラに送られる箇所で溶融プラスチック材料へ送られる点については、甲第2号証においても、シート材料すなわち転写テープ24は溶融した熱可塑性樹脂が成型用ホイール16に送られる箇所で溶融した熱可塑性樹脂に送られているから、相違点8のような構成とすることに何ら困難性は認められない。 (4)本件特許発明4について 本件特許発明4と甲第1号証記載の発明とを比較すると、上記相違点1から6に加えて、成形ローラと圧カローラは、溶融プラクチック材料とシート材料が同時に導入されるニップを画成する点(相違点9)で相違している。そして、相違点1から6については、上記で検討したとおりであるので、相違点9について検討する。 相違点9について 成形ローラと圧カローラは、溶融プラクチック材料とシート材料が同時に導入されるニップを画成することは、甲第1号証には文言上は明記されてはいないが、甲第1号証の図19の記載や甲第2号証の第1図からも明らかなように同様の構成となっているものと認められるので、相違点9のような構成とすることに何ら困難性は認められない。 (5)本件特許発明5について 本件特許発明5と甲第1号証記載の発明とを比較すると、上記相違点1から6及び相違点8に加えて、シート材料は、材料が送られる前に圧カローラに送られ、圧カローラに沿って進行する点(相違点10)で相違している。そして、相違点1から6及び相違点8については、上記で検討したとおりであるので、相違点10について検討する。 相違点10について シート材料は、材料が送られる前に圧カローラに送られ、圧カローラに沿って進行することは、甲第1号証の図19の記載や甲第2号証の第1図からも明らかなように同様の構成となっているものと認められるので、相違点10のような構成とすることに何ら困難性は認められない。 (6)本件特許発明6について 本件特許発明6と甲第1号証記載の発明とを比較すると、上記相違点1から6に加えて、積層体を取り外すことは、積層体をストリップ形成用ローラを介して行われる点(相違点11)で相違している。そして、相違点1から6については、上記で検討したとおりであるので、相違点11について検討する。 相違点11について 積層体を取り外すことが積層体をストリップ形成用ローラを介して行われる点は、甲第2号証の第1図においてもロール22を介して行われており、公知の事項であるにすぎないので、相違点11のような構成とすることに何ら困難性は認められない。 (7)本件特許発明7について 本件特許発明7と甲第1号証記載の発明とを比較すると、上記相違点1から6及び相違点11に加えて、ストリップ形成用ローラは、成形ローラに材料を送り込む位置から、成形ローラの表面に沿って積層体が十分に円弧状に巻回された位置において、積層体を成形ローラから取り出すように構成されている点(相違点12)で相違している。そして、相違点1から6及び相違点11については、上記で検討したとおりであるので、相違点12について検討する。 相違点12について ストリップ形成用ローラは、成形ローラに材料を送り込む位置から、成形ローラの表面に沿って積層体が十分に円弧状に巻回された位置において、積層体を成形ローラから取り出すようにすることは、甲第2号証の第1図においても同様の構成が記載されており、相違点12のような構成とすることに何ら困難性は認められない。 (8)本件特許発明9について 本件特許発明9と甲第1号証記載の発明とを比較すると、上記相違点1から6に加えて、シート材料は張力下で回転する成形ローラへ送られる点(相違点13)で相違している。そして、相違点1から6については、上記で検討したとおりであるので、相違点13について検討する。 相違点13について シート材料が張力下で回転する成形ローラへ送られる点については甲第1及び2号証に文言上は記載されていないが、回転するローラによってシート状物を送る際にはある程度の張力がかかっていることは当然のことであるから、相違点13のような構成とすることに何ら困難性は認められない。 (9)本件特許発明10について 本件特許発明10と甲第1号証記載の発明とを比較すると、上記相違点1から6に加えて、ベース層とベース層の片面から延在し、ベース層と一体となる複数のフック状突起を有するストリップ状のフックファスナの形態で積層体を製造すること(相違点14)を限定している点で相違している。そして、相違点1から6については、上記で検討したとおりであるので、相違点14について検討する。 相違点13について ベース層とベース層の片面から延在し、ベース層と一体となる複数のフック状突起を有するストリップ状のフックファスナの形態で積層体を製造する点については甲第1号証に文言上明示的には記載されていないが、図17Bや図19の記載から明らかであるから、相違点14のような構成とすることに何ら困難性は認められない。 (10)本件特許発明11について 本件特許発明11と甲第1号証記載の発明とを比較すると、上記相違点1から6に加えて、圧力ローラが冷却され、フック形成用空所に溶融プラスチック材料を充填し、押し出し機が成形ローラの外面への給送のため、溶融状態のままで供給される溶融プラスチック材料を押し出す点(相違点15)で相違している。そして、相違点1から6については、上記で検討したとおりであるので、相違点15について検討する。 相違点15について 圧力ローラが冷却され、フック形成用空所に溶融プラスチック材料を充填し、押し出し機が成形ローラの外面への給送のため、溶融状態のままで供給される溶融プラスチック材料を押し出す点については、甲第2号証の記載事項dに記載されているから、相違点15のような構成とすることに何ら困難性は認められない。 (11)本件特許発明12について 本件特許発明12と甲第1号証記載の発明とを比較すると、上記相違点1から6に加えて、溶融プラスチック材料が成形ローラの周面で積層体の少なくとも一部のベース層を形成し、ベース層から一体として延在するフック状突起を形成するように回転する成形ローラにて画成される複数の空所に充填されるように、回転する成形ローラの周面に沿って形成されたニッブへ、溶融プラスチック材料を導入すること(相違点16)が文言上明示的に記載されていない点で相違している。そして、相違点1から6については、上記で検討したとおりであるので、相違点16について検討する。 相違点16について 溶融プラスチック材料が成形ローラの周面で積層体の少なくとも一部のベース層を形成し、ベース層から一体として延在するフック状突起を形成するように回転する成形ローラにて画成される複数の空所に充填されるように、回転する成形ローラの周面に沿って形成されたニッブへ、溶融プラスチック材料を導入する点については、甲第1号証の図19及び記載事項cにの記載から明らかであるから、相違点16のような構成とすることに何ら困難性は認められない。 (12)本件特許発明13?16、18?20、22について 本件特許発明13?16、18?20、22と甲第1号証記載の発明とを比較すると、上記相違点1から6に加えて、シート材料について、本件特許発明13は不織布であること(相違点16)、本件特許発明14は編成布であること(相違点17)、本件特許発明15は編成布が織布又は編物であること(相違点18)、本件特許発明16はポリウレタン発泡体であること(相違点19)、本件特許発明18は紙であること(相違点20)、本件特許発明19は紙がベース層と一体構造からの反対側に活性化可能な接着剤を有すること(相違点21)、本件特許発明20はシート材料はフック状突起を含む側とは反対側にベース層から延在するフック係合可能なループ又は繊維を有すること(相違点22)、本件特許発明22はシート材料は接着剤を有するシート状であり、接着剤はベース層と一体となる側とは反対のシート材料の側に位置すること(相違点23)でそれぞれ相違している。そして、相違点1から6については、上記で検討したとおりであるので、相違点16?23について検討する。 相違点16?18について シート材料が不織布、編成布、織布又は編物である点については、甲第3号証の記載事項fに記載されているから、相違点16?18のような構成とすることに何ら困難性は認められない。 相違点19について シート材料がポリウレタン発泡体である点については、甲第2号証の記載事項eには発泡体を用いることが記載されているから、発泡体として周知の材料であるポリウレタン発泡体をシート材料とすることに何ら困難性は認められない。 相違点20について シート材料が紙である点については、甲第3号証の記載事項fに記載されているから、このような構成とすることに何ら困難性は認められない。 相違点21について 紙がベース層と一体構造からの反対側に活性化可能な接着剤を有する点については、甲第2号証の記載事項eに記載されており、相違点21のような構成とすることに何ら困難性は認められない。 相違点22について シート材料はフック状突起を含む側とは反対側にベース層から延在するフック係合可能なループ又は繊維を有する点については、甲第4号証の記載事項gに記載されているように公知の事項であって、このような構成とすることに何ら困難性は認められない。 相違点23について シート材料は接着剤を有するシート状であり、接着剤はベース層と一体となる側とは反対のシート材料の側に位置すること点については、甲第2号証の記載事項eに記載されているように公知の事項であって、このような構成とすることに何ら困難性は認められない。 (13)本件特許発明23について 本件特許発明23と甲第1号証記載の発明とを比較すると、上記相違点1から6に加えて、空所は、ループと係合するファスナフックの形態を形成するように構成されていること(相違点24)が文言上明示的に記載されていない点で相違している。そして、相違点1から6については、上記で検討したとおりであるので、相違点24について検討する。 相違点24について 空所がファスナフックの形態を形成するように構成されていることは、甲第1号証の17図に記載されており、そのファスナフックがループと係合することは参考文献3あるいは4にも記載されているように周知の事項であるにすぎないから、このような構成とすることに何ら困難性は認められない。 (14)本件特許発明24について 本件特許発明24と甲第1号証記載の発明とを比較すると、上記相違点1から6に加えて、シート材料は、ループ又は繊維をベース層の反対側に有し、ループ又は繊維がフック状突起と係合する部材に露出されること(相違点25)が文言上明示的に記載されていない点で相違している。そして、相違点1から6については、上記で検討したとおりであるので、相違点25について検討する。 相違点25について シート材料は、ループ又は繊維をベース層の反対側に有し、ループ又は繊維がフック状突起と係合する部材に露出されることは、甲第4号証の記載事項gに記載されているように公知の事項であって、このような構成とすることに何ら困難性は認められない。 (15)本件特許発明25について 本件特許発明25と甲第1号証記載の発明とを比較すると、両者は 「複数の密接した突起を有する積層体を製造するための装置であって、 周面に前記突起を画成し、延在する複数の空所に材料を充填し、回転する成形ローラであって、前記成形ローラの外面にあるシート状ベース層と前記突起とが一体に形成する条件で、前記周面に前記材料を受領するように構成された前記成形ローラと、 ある幅の材料を成形ロールへ送る装置と、 予め形成されたシート材料を前記成形ロールの外面の材料の前記ベース層へ導入するように構成され、 前記突起が延在する面とは反対の前記ベース層の側で、前記シート材料と回転する前記成形ロール上の材料とを緊密に結合させて積層体を形成させるように、前記成形ローラと圧力ローラと、から構成され、前記成形ローラと前記圧力ローラとの間に圧力を加え、その後、 前記成形ローラの前記空所から前記突起を引き抜き、生成した積層体を取り外すように構成された装置。」 で一致し、相違点については、本件特許発明1の検討において相違点とした1から6の点で相違する。そして、その相違点1から6については上記検討において判断したとおりである。 (16)本件特許発明26について 本件特許発明26と甲第1号証記載の発明とを比較すると、上記相違点1から6に加えて、圧力ロールは、材料が成形ロールに受領されるにつれ、シート材料が材料へ押し込まれるように構成されること(相違点26)が文言上明示的に記載されていない点で相違している。そして、相違点1から6については、上記で検討したとおりであるので、相違点26について検討する。 相違点26について 甲第1号証の図19あるいは甲第2号証の第1図を参照すれば、材料が成形ロールに受領されるにつれ、シート材料が材料へ押し込まれるようになっており、文言上の記載はなくともそのような構成となっていることは明らかである。 (17)本件特許発明27について 本件特許発明27と甲第1号証記載の発明とを比較すると、上記相違点1から6に加えて、成形ローラに材料を送り込む位置から、成形ローラの表面に沿って積層体が十分に円弧状に巻回された位置において、積層体を成形ローラから取り出すように構成されたストリップ形成用ローラを含む点(相違点27)点で相違している。そして、相違点1から6については、上記で検討したとおりであるので、相違点27について検討する。 相違点27について 成形ローラに材料を送り込む位置から、成形ローラの表面に沿って積層体が十分に円弧状に巻回された位置において、積層体を成形ローラから取り出すように構成されたスリップ形成ローラを含むことは、甲第2号証の第1図においても同様の構成が記載されており、相違点27のような構成とすることに何ら困難性は認められない。 (18)本件特許発明28について 本件特許発明28と甲第1号証記載の発明とを比較すると、上記相違点1から6に加えて、成形ローラに到達する前に、材料が溶融したシート形態を形成するように、押し出し機と成形ローラとの間に配設されたダイを備える点(相違点28)点で相違している。そして、相違点1から6については、上記で検討したとおりであるので、相違点28について検討する。 相違点28について 成形ローラに到達する前に、材料が溶融したシート形態を形成するように、押し出し機と成形ローラとの間に配設されたダイを備える点は、甲第2号証の記載事項dに記載されており、甲第2号証のノズルによっても材料を供給する際にはシート形態になっているものと認められるから、相違点28のような構成とすることに何ら困難性は認められない。 (19)本件特許発明29について 本件特許発明29と甲第1号証記載の発明とを比較すると、上記相違点1から6に加えて、シート材料を圧力ロールへ供給するように構成されたロールを含む点(相違点29)点で相違している。そして、相違点1から6については、上記で検討したとおりであるので、相違点29について検討する。 相違点29について シート材料を圧力ロールへ供給するように構成されたロールを含む点は、甲第2号証の第1図に記載されており、相違点29のような構成とすることに何ら困難性は認められない。 (20)本件特許発明31について 本件特許発明31と甲第1号証記載の発明とを比較すると、上記相違点1から6に加えて、シート材料用のロールは、張力下にてシート材料を供給するように構成された点(相違点30)で相違している。そして、相違点1から6については、上記で検討したとおりであるので、相違点30について検討する。 相違点30について シート材料が張力下で回転する成形ローラへ送られる点については甲第1及び2号証に文言上は記載されていないが、回転するローラによってシート状物を送る際にはある程度の張力がかかっていることは当然のことであるから、相違点30のような構成とすることに何ら困難性は認められない。 (21)本件特許発明32及び33について 本件特許発明32及び33と甲第1号証記載の発明とを比較すると、上記相違点1から6に加えて、本件特許発明32は成形ローラは制御された温度で維持される点(相違点31)で、本件特許発明33は成形ローラが冷却され、成形ローラに供給された材料を冷却する点(相違点32)で相違している。そして、相違点1から6については、上記で検討したとおりであるので、相違点31に及び32について検討する。 相違点31及び32について 成形ローラを冷却し、成形ローラに沿って積層体を冷却することは、甲第2号証の記載事項dに記載されているように公知の事項であり、成形ローラを冷却するということは成型ローラを制御された温度に維持することにほかならないから、相違点31及び32のような構成とすることは当業者が容易になし得たことである。 (22)本件特許発明34について 本件特許発明34は、本件特許発明1の製造方法により製造される積層体であり、甲第1号証に記載された発明も積層体を製造していることを考慮して、両者を比較すると、 「複数の密接した突起を含む積層体であって、 成形ローラの周面に突起を画成する空所に、材料を充填し、前記ローラの外面にあるシート状ベース層の表面から延在し、前記ベース層と一体となる前記突起を形成するように、材料を回転する成形ローラの表面に送り、 前記成形ローラに予め形成されたシート材料を送り、 前記複数の密接した突起とは反対の前記ベース層の側と前記シート材料とを結合させて積層体を形成するように、前記成形ローラ上の材料と前記シート材料とを結合させるため圧カローラを作用させ、 前記成形ローラの前記空所から前記突起を引き抜き、前記成形ローラから前記積層体を取り外す、ことを含む製造方法により製造される積層体。」 で一致し、相違点については、本件特許発明1の検討において相違点とした1から6の点で相違する。そして、その相違点1から6については上記検討において判断したとおりである。 (23)本件特許発明35について 本件特許発明35と甲第1号証記載の発明とを比較すると、上記相違点1から6に加えて、材料はシート状であること(相違点33)を限定している点で相違している。そして、相違点1から6については、上記で検討したとおりであるので、相違点33について検討する。 相違点33について 材料がシート状であることは甲第1号証においても同様であるから、このような限定を付することに何ら困難性は認められない。 (24)本件特許発明36について 本件特許発明36と甲第1号証記載の発明とを比較すると、上記相違点1から6に加えて、材料はフック状突起により係合するループ又は繊維を保持する点(相違点34)で相違している。そして、相違点1から6については、上記で検討したとおりであるので、相違点34について検討する。 相違点34について 材料がフック状突起により係合するループ又は繊維を保持することは、甲第4号証の記載事項gに記載されているように公知の事項であるから、このような構成とすることに何ら困難性は認められない。 (25)本件特許発明37について 本件特許発明37と甲第1号証記載の発明とを比較すると、上記相違点1から6に加えて、フック状突起はプラスチック材料を成形させた形態であり、ベース層の隣接するプラスチック材料と同時に冷却される点(相違点35)で相違している。そして、相違点1から6については、上記で検討したとおりであるので、相違点35について検討する。 相違点35について フック状突起はプラスチック材料を成形させた形態であり、ベース層の隣接するプラスチック材料と同時に冷却されることは、甲第1号証の記載事項a?c及び図19の記載事項より明らかであるから、このような構成とすることに何ら困難性は認められない。 (26)本件特許発明38について 本件特許発明38と甲第1号証記載の発明とを比較すると、上記相違点1から6に加えて、 回転する成形ロールの周面で、溶融プラスチック材料が積層体の少なくとも一部のベース層と、ベース層の面から延在する突起部と、を形成するために、回転する成形ロールにて画成された複数の空所に、溶融プラスチック材料を充填するように、回転する成形ロールの周面に隣接して画成されたニップへ溶融プラスチック材料を導入し、 予め形成された材料がプラスチック材料と積層体の少なくとも一部と一体に結合するように選択された条件下で、回転する成形ロールにあるベース層のプラスチック材料へ、予め形成された材料を、圧カローラを回転させながら導入し、 溶融プラスチック材料を固形化し、 各空所から突起を引き抜くことにより成形ローラの周面から固形化した材料を取り外す点(相違点36)で相違している。そして、相違点1から6については、上記で検討したとおりであるので、相違点36について検討する。 相違点36について 相違点36で限定されている製造工程にかかる事項は、甲第1号証の記載事項a?c及び図19に記載されている工程をより詳細に記述したものにすぎず、実質的は相違があるものとは認められないから、このような構成とすることに何ら困難性は認められない。 (27)本件特許発明39?45について 本件特許発明39?45と甲第1号証記載の発明とを比較すると、上記相違点1から6に加えて、予め形成された材料について、本件特許発明39は不織布であること(相違点37)、本件特許発明40は織成布、織布又は編布であること(相違点38)、本件特許発明41は補強スクリムであること(相違点39)、本件特許発明42は、多孔性であり、プラスチック材料と材料が一体となるように、プラスチック材料が予め形成された材料の孔に注入されるものであること(相違点40)、本件特許発明43は紙であること(相違点41)、本件特許発明44は発泡プラスチックを含むこと(相違点42)、本件特許発明45は縦方向に連続であり、少なくとも連続的長さとして導入されること(相違点43)でそれぞれ相違している。そして、相違点1から6については、上記で検討したとおりであるので、相違点37?43について検討する。 相違点37?39について 予め形成された材料が不織布、織成布、織布又は編物である点については、甲第3号証の記載事項fに記載されているし、また、記載事項fには補強面を考慮することについても記載されているのであるから、予め形成された材料として補強スクリムを用いることも当業者が容易になし得ることである。よって、相違点37?39のような構成とすることに何ら困難性は認められない。 相違点40について 予め形成された材料が多孔性であり、プラスチック材料と材料が一体となるように、プラスチック材料が予め形成された材料の孔に注入されるものである点については、甲第2号証の記載事項eには発泡体を用いることが記載されており、また、圧力をかけられた場合、多孔性の材料の孔に溶融したプラスチック材料が注入されることは当然生じている現象を単に記載したものにすぎないから、このような構成とすることに何ら困難性は認められない。 相違点41について 予め形成された材料が紙である点については、甲第3号証の記載事項fに記載されているから、このような構成とすることに何ら困難性は認められない。 相違点42について 予め形成された材料が発泡プラスチックを含む点については、甲第2号証の記載事項eには発泡体を用いることが記載されているから、このような構成とすることに何ら困難性は認められない。 相違点43について 予め形成された材料が、縦方向に連続であり、少なくとも連続的長さとして導入される点については、甲第1及び2号証においても同様な状態で導入されているから、このような構成とすることに何ら困難性は認められない。 (28)本件特許発明46について 本件特許発明46と甲第1号証記載の発明とを比較すると、上記相違点1から6に加えて、ニップは、成形ローラと、逆に回転する圧力ロールとの間で画成される点(相違点44)で相違している。そして、相違点1から6については、上記で検討したとおりであるので、相違点44について検討する。 相違点44について ニップが成形ローラと逆に回転する圧力ロールとの間で画成されることは、甲第1号証の図19より明らかであるから、このような構成とすることに何ら困難性は認められない。 (29)本件特許発明47について 本件特許発明47と甲第1号証記載の発明とを比較すると、上記相違点1から6に加えて、予め形成された材料は、縦方向に連続であり、プラスチック材料が導入される前に、回転する圧力ロールの少なくとも一部に送り込まれ、進行する少なくとも一部の連続的長さとして導入される点(相違点45)で相違している。そして、相違点1から6については、上記で検討したとおりであるので、相違点45について検討する。 相違点45について 予め形成された材料は、縦方向に連続であり、プラスチック材料が導入される前に、回転する圧力ロールの少なくとも一部に送り込まれ、進行する少なくとも一部の連続的長さとして導入されることは、甲第1号証及び甲第2号証においても同様に行われていることは甲第1号証の図19や甲第2号証の図1より明らかであるから、上記構成とすることに何ら困難性は認められない。 (30)本件特許発明48について 本件特許発明48と甲第1号証記載の発明とを比較すると、上記相違点1から6に加えて、成形ロールの周面からプラスチック材料を取り外すことは、ストリップ形成用ローラを介して行われる点(相違点46)で相違している。そして、相違点1から6については、上記で検討したとおりであるので、相違点48について検討する。 相違点46について 成形ロールの周面からプラスチック材料を取り外すことは、ストリップ形成用ローラを介して行われることは、甲第2号証の図1より明らかであるから、このような構成とすることに何ら困難性は認められない。 (31)本件特許発明49?50について 本件特許発明49及び50と甲第1号証記載の発明とを比較すると、上記相違点1から6に加えて、フック状突起に関し、本件特許発明49はフック状突起が多数の列に配置される点(相違点47)、本件特許発明50はフック状突起がループと係合するように構成される点(相違点48)で相違している。そして、相違点1から6については、上記で検討したとおりであるので、相違点47及び48について検討する。 相違点47及び48について 相違点47のフック状突起が多数の列に配置されることは、甲第1号証の記載事項より明らかであるし、相違点48のフック状突起がループと係合するように構成される点は相違点1と実質的に同様の相違点であるから、このような構成とすることに何ら困難性は認められない。 (32)本件特許発明51?53、55について 本件特許発明51?53、55と甲第1号証記載の発明とを比較すると、上記相違点1から6に加えて、材料に関し、本件特許発明51は材料はシート状材料であり、ベース層がシート状材料と融合するように、シート状材料と共にベース層を形成するプラスチック材料と緊密に結合することにより、接着剤若しくは他の外部材料を使用せずに接合して、ベース層と常に一体となる点(相違点49)、本件特許発明52はシート状材料が繊維状であり、プラスチック材料がシート状繊維材料の面において少なくとも数多の表面繊維を混ざり合い、それらを被覆し、反対側の面の他の繊維をプラスチック材料が無い状態にする点(相違点50)、本件特許発明53は材料はシート状材料であり、シート状材料の他の面にポリマー材料の無いループ又は繊維を露出する点(相違点51)、本件特許発明55は材料はシート状であり、ベース層と一体となる表面とは反対の表面に接着剤を有する点(相違点52)でそれぞれ相違している。そして、相違点1から6については、上記で検討したとおりであるので、相違点49から52について検討する。 相違点49から52について 相違点49の材料はシート状材料であり、ベース層がシート状材料と融合するように、シート状材料と共にベース層を形成するプラスチック材料と緊密に結合することにより、接着剤若しくは他の外部材料を使用せずに接合して、ベース層と常に一体となることは、甲第1号証の記載事項a?c及び図19より明らかであるし、相違点50のシート状材料が繊維状であり、プラスチック材料がシート状繊維材料の面において少なくとも数多の表面繊維を混ざり合い、それらを被覆し、反対側の面の他の繊維をプラスチック材料が無い状態にする点は甲第3号証の記載事項fより明らかであるし、相違点51の材料はシート状材料であり、シート状材料の他の面にポリマー材料の無いループ又は繊維を露出する点は甲第4号証の記載事項gに記載されているし、相違点52の材料はシート状であり、ベース層と一体となる表面とは反対の表面に接着剤を有する点は甲第2号証の記載事項eに記載されている。 よって、相違点49から52はいずれも公知の事項であるから、このような構成とすることに何ら困難性は認められない。 (33)本件特許発明56について 本件特許発明56と甲第1号証記載の発明とを比較すると、上記相違点1から6に加えて、突起は、個別に成形されたフック状に係合する領域をその端部に備え、シート状材料は繊維からなり、孔を有し、フック・ループファスナ用のループを備え、ベース層のプラスチック材料はシート材料の一方の側にある繊維を包み込むー方で、シート状材料の反対側のループは、プラスチック材料が無い状態にし、かつ、突起のフック状に係合する領域を、係合させるために露出する点(相違点53)で相違している。そして、相違点1から6については、上記で検討したとおりであるので、相違点53について検討する。 相違点53について 突起が個別に成形されたフック状に係合する領域をその端部に備えているのは、甲第1号証の図17Bと同様であり、シート状材料は繊維からなり、孔を有し、フック・ループファスナ用のループを備えていることは、甲第4号証や参考文献2に記載されているように公知の事項である。 ベース層のプラスチック材料はシート材料の一方の側にある繊維を包み込むことは、溶融したプラスチックと繊維からなるシート積層した場合には当然生じる現象を単に記載したものにすぎない。 また、シート状材料の反対側のループは、プラスチック材料が無い状態にし、かつ、突起のフック状に係合する領域を、係合させるために露出することは、シート材料の反対側のループがフックと係合することができるという本来の機能を果たすためにはプラスチック材料が無い状態で露出していなくてはならないことは当然必要とされる条件であるから、このような構成とすることに何ら困難性は認められない。 5.むすび 以上のとおりであるから、本件特許発明1ないし7、9ないし16、18ないし20、22ないし29、31ないし53、55ないし56は、甲第1から4号証に基づいて当業者が容易に発明をすることができたものであるから、本件特許は、特許法第29条第2項の規定に違反してなされたものであり、同法第123条第1項第2号に該当し、無効とすべきものである。 審判に関する費用については、特許法第169条第2項の規定で準用する民事訴訟法第61条の規定により、被請求人が負担すべきものとする。 よって、結論のとおり審決する。 |
発明の名称 |
(54)【発明の名称】 フック状突起を有する積層体,その製造方法および装置 (57)【特許請求の範囲】 【請求項1】 ループと係合する複数の密接したフック状突起(21)を有する積層体(9)を製造する製造方法であって、 回転する成形ローラ(5)の周面に前記フック状突起(21)を画成する、内方に延在する複数のフック形成用空所(c)に、押し出し機(1)から給送される溶融プラスチック材料(3)を充填し、前記成形ローラ(5)の外面にあるシート状ベース層(20)の表面から延在し、前記シート状ベース層(20)と一体となる前記フック状突起(21)を形成するように、ある幅の加熱された溶融プラスチック材料(3)を回転する成形ローラ(5)の表面に送り、 前記成形ローラ(5)に予め形成されたシート材料(10)を送り、 前記複数の密接したフック状突起(21)とは反対の前記ベース層(20)の側と前記シート材料(10)とを結合させて積層体(9)を形成するように、前記成形ローラ(5)上の溶融プラスチック材料(3)と前記シート材料(10)とを緊密に結合させるため、前記シート材料(10)を押すように前記成形ローラ(5)と協働するように設置した圧力ローラ(4)を駆動させて、前記成形ローラ(5)と前記圧力ローラ(4)との間にカレンダ圧力を加え、その後、 前記成形用ローラ(5)の前記空所(c)から前記フック状突起(21)を引き抜き、前記成形用ローラ(5)から前記積層体(9)を取り外す、ことを含む製造方法。 【請求項2】 前記成形ローラ(5)を冷却し、取り外す前に、前記成形ローラ(5)に沿って前記積層体(9)を冷却することをさらに含む、請求項1記載の製造方法。 【請求項3】 前記シート材料(10)は、前記材料(3)が前記成形ローラ(5)に送られる箇所で前記材料(3)へ送られる、請求項1又は2記載の製造方法。 【請求項4】 前記成形ローラ(5)と前記圧力ローラ(4)は、前記溶融プラクチック材料(3)と前記シート材料(10)が同時に導入されるニップ(6)を画成する、請求項1乃至3のいずれか一項記載の製造方法。 【請求項5】 前記シート材料(10)は、前記材料(3)が送られる前に前記圧力ローラ(4)に送られ、前記圧力ローラ(4)に沿って進行する、請求項3又は4記載の製造方法。 【請求項6】 前記積層体(9)を取り外すことは、前記積層体(9)をストリップ形成用ローラ(7)を介して行われる、請求項1乃至5のいずれか一項記載の製造方法。 【請求項7】 前記ストリップ形成用ローラ(7)は、前記成形ローラ(5)に前記材料(3)を送り込む位置から、前記成形ローラ(5)の表面に沿って前記積層体(9)が十分に円弧状に巻回された位置において、前記積層体(9)を前記成形ローラ(5)から取り出すように構成された、請求項6記載の製造方法。 【請求項8】 前記シート材料(10)は、前記成形ローラ(5)の表面の速度よりも早い直進速度で、前記材料(3)へ送られる、請求項1乃至7のいずれか一項記載の製造方法。 【請求項9】 前記シート材料(10)は張力下で回転する成形ローラ(5)へ送られる、請求項1乃至7のいずれか一項記載の製造方法。 【請求項10】 前記ベース層(20)と前記ベース層(20)の片面から延在し、前記ベース層(20)と一体となる複数のフック状突起(21)を有するストリップ状のフックファスナの形態で積層体(9)を製造するための、請求項1乃至9のいずれか一項記載の製造方法。 【請求項11】 前記圧力ローラ(4)が冷却され、前記フック形成用空所(c)に前記溶融プラスチック材料(3)を充填し、押し出し機(1)が前記成形ローラ(5)の外面への給送のため、溶融状態のままで供給される前記溶融プラスチック材料(3)を押し出す、請求項1乃至10のいずれか一項記載の製造方法。 【請求項12】 前記溶融プラスチック材料(3)が前記成形ローラ(5)の周面で積層体(9)の少なくとも一部のベース層(20)を形成し、前記ベース層(20)から一体として延在するフック状突起(21)を形成するように回転する前記成形ローラ(5)にて画成される複数の前記空所(c)に充填されるように、回転する前記成形ローラ(5)の周面に沿って形成されたニップ(6)へ、前記溶融プラスチック材料(3)を導入することを含む、請求項11記載の製造方法。 【請求項13】 前記シート材料(10)は不織布である請求項1乃至12のいずれか一項記載の製造方法。 【請求項14】 前記シート材料(10)は編成布である請求項1乃至12のいずれか一項記載の製造方法。 【請求項15】 前記編成布は織布又は編物である請求項14記載の製造方法。 【請求項16】 前記シート材料(10)はポリウレタン発泡体である請求項1乃至12のいずれか一項に記載の製造方法。 【請求項17】 前記シート材料(10)はプラスチックフィルムである請求項1乃至12のいずれか一項に記載の製造方法。 【請求項18】 前記シート材料(10)は紙である請求項1乃至12のいずれか一項に記載の製造方法。 【請求項19】 前記紙は、前記ベース層(20)と一体構造からの反対側に活性化可能な接着剤(28)を有する請求項18記載の製造方法。 【請求項20】 前記シート材料(10)は、前記フック状突起(21)を含む側とは反対側に、前記ベース層(20)から延在するフック係合可能なループ又は繊維を有する、請求項1乃至15のいずれか一項記載の製造方法。 【請求項21】 前記シート材料(10)は、印刷物を含み、前記ベース層(20)に対するバッキングを形成し、前記ベース層(20)のプラスチック材料は透明プラスチックを通して視認できる程に十分に透明である請求項1乃至12のいずれか一項記載の製造方法。 【請求項22】 前記シート材料(10)は、接着剤を有するシート状であり、前記接着剤は、前記ベース層(20)と一体となる側とは反対の前記シート材料(10)の側に位置する、請求項1乃至12のいずれか一項記載の製造方法。 【請求項23】 前記空所(c)は、ループと係合するファスナフックの形態を形成するように構成された請求項1乃至22のいずれか一項記載の製造方法。 【請求項24】 前記シート材料(10)は、ループ又は繊維を前記ベース層(20)の反対側に有し、前記ループ又は繊維が前記フック状突起と係合する部材に露出される、請求項22記載の製造方法。 【請求項25】 ループと係合する複数の密接したフック状突起(21)を有する積層体(9)を製造するための装置であって、 周面に前記フック状突起(21)を画成し、延在する複数のフック形成用空所(c)に溶融プラスチック材料(3)を充填し、回転する成形ローラ(5)であって、前記成形ローラ(5)の外面にあるシート状ベース層(20)と前記フック状突起(21)とが一体に形成する条件で、前記周面に前記溶融プラスチック材料(3)を受領するように構成された前記成形ローラ(5)と、 ある幅の加熱された溶融プラスチック材料(3)を成形ロール(5)へ送る押し出し機(1)と、 予め形成されたシート材料(10)を前記成形ロール(5)の外面の溶融プラスチック材料(3)の前記ベース層(20)へ導入するように構成され、 前記フック状突起が延在する面とは反対の前記ベース層(20)の側で、前記シート材料(10)と回転する前記成形ロール(5)上の溶融プラスチック材料(3)とを緊密に結合させて積層体(9)を形成させるように、前記成形ローラ(5)と協働するように設置した圧力ローラ(4)と、から構成され、前記成形ローラ(5)と前記圧力ローラ(4)との間にカレンダ圧力を加え、その後、 前記成形ローラ(5)の前記空所(c)から前記フック状突起(21)を引き抜き、生成した積層体(9)を取り外すように構成された装置。 【請求項26】 前記圧力ロール(4)は、前記材料(3)が前記成形ロール(5)に受領されるにつれ、前記シート材料(10)が前記材料(3)へ押し込まれるように構成された請求項25記載の装置。 【請求項27】 前記成形ローラ(5)に前記材料(3)を送り込む位置から、前記成形ローラ(5)の表面に沿って前記積層体(9)が十分に円弧状に巻回された位置において、前記積層体(9)を前記成形ローラ(5)から取り出すように構成された、ストリップ形成用ローラ(7)を、さらに含む請求項25又は26記載の装置。 【請求項28】 前記成形ローラ(5)に到達する前に、前記材料(3)が溶融したシート形態を形成するように、前記押し出し機(1)と前記成形ローラ(5)との間に配設されたダイ(2)を、さらに備える請求項25乃至27のいずれか一項記載の装置。 【請求項29】 前記シート材料(10)を前記圧力ロール(4)へ供給するように構成されたロールを、さらに含む請求項25乃至28のいずれか一項記載の装置。 【請求項30】 前記シート材料(10)を送る前記ロールは、前記成形ロール(5)の表面速度よりも速い速度で、前記シート材料(10)を供給するように構成された、請求項29記載の装置。 【請求項31】 前記シート材料(10)用の前記ロールは、張力下にて前記シート材料(10)を供給するように構成された、請求項29記載の装置。 【請求項32】 前記成形ローラ(5)は制御された温度で維持される、請求項25乃至31のいずれか一項記載の装置。 【請求項33】 前記成形ローラ(5)が冷却され、もって前記成形ローラ(5)に供給された前記材料(3)を冷却する、請求項32記載の装置。 【請求項34】 ループと係合する複数の密接したフック状突起(21)を含む積層体(9)であって、 回転する成形ローラ(5)の周面に前記フック状突起(21)を画成する、内方に延在する複数のフック形成用空所(c)に、押し出し機(1)から給送される溶融プラスチック材料(3)を充填し、前記成形ローラ(5)の外面にあるシート状ベース層(20)の表面から延在し、前記シート状ベース層(20)と一体となる前記フック状突起(21)を形成するように、ある幅の加熱された溶融プラスチック材料(3)を回転する成形ローラ(5)の表面に送り、 前記成形ローラ(5)に予め形成されたシート材料(10)を送り、 前記複数の密接したフック状突起(21)とは反対の前記ベース層(20)の側と前記シート材料(10)とを結合させて積層体(9)を形成するように、前記成形ローラ(5)上の溶融プラスチック材料(3)と前記シート材料(10)とを緊密に結合させるため、前記シート材料(10)を押すように前記成形ローラ(5)と協働するように設置した圧力ローラ(4)を駆動させて、前記成形ローラ(5)と前記圧力ローラ(4)との間にカレンダ圧力を加え、その後、 前記成形用ローラ(5)の前記空所(c)から前記フック状突起(21)を引き抜き、前記成形用ローラ(5)から前記積層体(9)を取り外す、ことを含む製造方法により製造される積層体。 【請求項35】 前記材料(10)はシート状である請求項34記載の積層体。 【請求項36】 前記材料(10)はフック状突起により係合するループ又は繊維を保持する請求項34又は35記載の積層体。 【請求項37】 前記フック状突起(21)はプラスチック材料(3)を成形させた形態であり、前記ベース層(20)の隣接するプラスチック材料(3)と同時に冷却される請求項34乃至36のいずれか一項記載の積層体。 【請求項38】 回転する成形ロール(5)の周面で、溶融プラスチック材料(3)が積層体(9)の少なくとも一部のベース層(20)と、前記ベース層(20)の面から延在する突起部(21)と、を形成するために、前記回転する成形ロール(5)にて画成された複数の空所(c)に、前記溶融プラスチック材料(3)を充填するように、前記回転する成形ロール(5)の周面に隣接して画成されたニップ(6)へ溶融プラスチック材料(3)を導入し、 予め形成された材料(10、22、23、25、27、29)が前記プラスチック材料(3)と積層体(9)の少なくとも一部と一体に結合するように選択された条件下で、回転する前記成形ロール(5)にあるベース層(20)のプラスチック材料(3)へ、前記予め形成された材料(10、22、23、25、27、29、30)を、圧力ローラ(4)を回転させながら導入し、 前記溶融プラスチック材料(3)を固形化し、 各空所(3)から前記突起(21)を引き抜くことにより前記成形ローラ(5)の周面から固形化した材料を取り外す方法により製造される、請求項34乃至37のいずれか一項記載の積層体。 【請求項39】 前記予め形成された材料(10)は、不織布を含む、請求項34乃至38のいずれか一項記載の積層体。 【請求項40】 前記予め形成された材料(10)は、織成布、織布又は編布である請求項34乃至38のいずれか一項記載の積層体。 【請求項41】 前記予め形成された材料(10)は、補強スクリムである請求項34乃至38のいずれか一項記載の積層体。 【請求項42】 前記予め形成された材料(10)は、多孔性であり、前記プラスチック材料(3)と前記材料(10)が一体となるように、前記プラスチック材料(3)が前記予め形成された材料(10)の孔に注入される、請求項34乃至38のいずれか一項記載の積層体。 【請求項43】 前記予め形成された材料(10)は、紙を含む請求項34乃至38のいずれか一項記載の積層体。 【請求項44】 前記予め形成された材料(10)は、発泡プラスチックを含む請求項34乃至38のいずれか一項記載の積層体。 【請求項45】 前記予め形成された材料(10)は、縦方向に連続であり、少なくとも連続的長さとして導入される請求項34乃至44のいずれか一項記載の積層体。 【請求項46】 前記ニップ(6)は、前記成形ローラ(5)と、逆に回転する圧力ロール(4)との間で画成される請求項38記載の積層体。 【請求項47】 前記予め形成された材料(10)は、縦方向に連続であり、前記プラスチック材料(3)が導入される前に、回転する前記圧力ロール(4)の少なくとも一部に送り込まれ、進行する少なくとも一部の連続的長さとして導入される、請求項46記載の積層体。 【請求項48】 前記成形ロール(5)の周面から前記プラスチック材料(3)を取り外すことは、ストリップ形成用ローラ(7)を介して行われる、請求項38記載の積層体。 【請求項49】 前記複数のフック状突起は多数の列に配置される、請求項34乃至47のいずれか一項に記載の積層体。 【請求項50】 前記フック状突起(21)はループと係合するように構成される請求項34乃至49のいずれか一項に記載の積層体。 【請求項51】 前記材料(10)はシート状材料であり、前記ベース層(20)がシート状材料と融合するように、前記シート状材料と共に前記ベース層(20)を形成するプラスチック材料と緊密に結合することにより、接着剤若しくは他の外部材料を使用せずに接合して、前記ベース層(20)と常に一体となる、請求項34乃至50のいずれか一項に記載の積層体。 【請求項52】 前記シート状材料が繊維状であり、前記プラスチック材料が前記シート状繊維材料の前記面において少なくとも数多の表面繊維(22)を混ざり合い、それらを被覆し、前記反対側の面の他の繊維を前記プラスチック材料が無い状態にする、請求項51記載の積層体。 【請求項53】 前記材料(10)はシート状材料であり、前記シート状材料の他の面に前記ポリマー材料の無いループ又は繊維(29)を露出する、請求項34乃至52記載の積層体。 【請求項54】 前記材料(10)はシート状であり、視認できる印刷物を含む、請求項34記載の積層体。 【請求項55】 前記材料(10)はシート状であり、前記ベース層(20)と一体となる表面とは反対の表面に接着剤を有する、請求項34記載の積層体。 【請求項56】 前記突起(21)は、個別に成形されたフック状に係合する領域をその端部に備え、前記シート状材料(10)は繊維からなり、孔を有し、フック・ループファスナ用のループ(29)を備え、前記ベース層(20)の前記プラスチック材料(3)は前記シート材料(10)の一方の側にある繊維を包み込む一方で、前記シート状材料(10)の反対側のループは、前記プラスチック材料(3)が無い状態にし、かつ、前記突起(21)の前記フック状に係合する領域を、係合させるために露出する、請求項34記載の積層体。 【発明の詳細な説明】 【発明の属する技術分野】 本発明は、フック・ループ式の改良ファスナおよび押し出し成形・ロール成形の組み合わせ法を用いてこのようなファスナを製造する方法に関する。 【従来の技術】 本願の譲受人は、分離可能なファスナを製造する装置を記載している米国特許第4,775,310号およびこの米国特許の装置によって製造した製品を記載している米国特許第4,872,243号の権利所有者である。 これらの米国特許に記載されている形式のストリップ状ファスナは、多数の密接した直立フック状突起を有し、これらの突起が対応するファスナ・ストリップのループと解放自在に係合して、Velcro(登録商標)のブランド名で市販されている再使用可能あるいは半恒久的な閉鎖体を形成する。多フック・ファスナの形態に応じて、多くの異なった種類の材料を用いて共働してストリップ・ファスナそれ自体が結合している構造体を結合させる。 このようなファスナ装置は、種々の用途で広く用いられている。たとえば、自動車のシートカバーを発泡シートバンに固着したり、食品袋を閉じたり、軍用車両へ保護材を取り付けたり、床に床カバーを取り付けたりするのに用いられている。 ここに述べた用途や当業者には周知の多くの他の用途では、ファスナを第2の物体、たとえば、紡繊繊維片、シートバン、床あるいは紙袋のフラップに恒久的に取り付けなければならない。しかしながら、縫着は、ファスナを取り付けることのできる材料の性質に従って限られる。ファスナを他の物体に取り付ける主たる方法としては接着剤による方法も長い間用いられてきた。 米国特許第3,773,580号が、まず合成樹脂接着剤をファスナの基材の片側(直立係合要素のある側の反対側)に塗布し、次に物体基材に接着材を塗布することによってファスナ部材を物体基材に取り付ける方法を開示している。 その後、ファスナ上の接着剤コーティングを活性化する。接着剤を被覆した2つの面を合わせてファスナ部材を物体基材にしっかりと取り付ける。この米国特許は、「テープ部材に接着剤を確実に接合するためには、テープ部材の反対側がテープ部材と接着剤の確実な接合を行う適当なベース・コートを持っていると好ましい」と教示している。 米国特許第3,726,752号は、接着剤積層体(合成樹脂ベース接着剤をポリアミド・ポリマーのウェブに積層したもの)を作る際に、ポリアミド基材と接着剤単層の強い結合を行うのは難しいとわかったことを示している。そしてこの従来技術にはこの問題を克服する試みが処々になされている。この米国特許は、この問題を克服するのに、溶媒中に複合化学混合物からなるプライマーでポリアミド・ウェブを処理して結合面の改良を行っている。 米国特許第2,349,290号、同第3,060,070号、同第3,111,448号、同第2,766,164号を含む多くの米国特許が主として天然ゴムまたは合成ゴムの特殊な面にポリ(アミド)ポリマーを結合する方法を開示している。これらの教示のすべてのシート材料または繊維材料の面に結合する能力を強化する化学手段に依存している。 多くのプラスチック製ファスナ・テープが、フック状突起が適正に機能するのに必須の最低限の強度および弾性を有するプラスチック材料から作られている。慣習的に、直立フックの反対側のファスナ・テープ側は、従来技術で詳しく知られているように、結合が難しい滑らかで平坦、均一で規則的な面である。 このような困難がフック・ループ・ファスナによって特有の問題を提起する。この種の製品は便利な製品であり、結合に先立って複合化学処理をテープに施す必要がある場合には、この便利であるという利点は失われる。 ファスナ・テープを作っている製造工場でコロナ処理を施すことによってこのようなファスナに感圧式接着剤を付与することは公知であるが、このような処置は多くのユーザによって利用できないものであり、広範囲にわたる接着剤の種類を用いて種々の面に容易に結合できるファスナ面を作るための合理的な解決策を提示するものではない。 米国特許第3,594,865号がベース・ウェブに組み込んだプラスチック材料の成形突起を持つ可撓性ウェブを連続的に形成する装置を記載している。ウェブのベースは、多孔性織布あるいは不織布または押し出し成形フィルムのいずれかである。支持用の布にはフックの形成と同時に溶融プラスチックが含浸させてある。 米国特許第3,594,865号はその装置で形成した製品の性質に関して詳細に述べていないが、適当な部分で「液体成形可能プラスチック材料、たとえば、溶融プラスチックをワイヤのフック成形くぼみ内へ射出すると共にドラムの表面に乗っているベース布の表面および隙間に射出する」と述べてベース布の含浸を十分に特徴付けている。ベース布はノズルの下を移動し、このノズルはこのプラスチック・フックを形成するのに用いられたダイスに射出するのに用いられたのと同じプラスチックをベース布に含浸させ、これは多孔性のベースウェブ布がプラスチックで完全に飽和されることを明らかに意味している。このことは、フック・シートのベースにバッキング材料をしっかりと保持するのに必要な程度までバッキング材料内へのプラスチックの分布を制御するが、ファスナの背面を改質するように機能するバッキング材料としての美的特徴を破壊するほどバッキング材料を覆わないようにした本発明の製品とはかなり異なる。 米国特許第3,594,865号のバッキングは、主としてフックを形成する支持体であり、ファスナのバッキングを接着剤またはにかわ剤を受け入れるように改質するものではないし、バッキング材料としてループ材料を利用して背面合わせファスナを形成することもできない。 また、複合積層法を用いて多くのシート材料へ結合可能な面を加えることも知られているが、このような方法は高価であり、しばしば、嵩高性、剛性、剥離性、作業温度制限その他の積層体にとって望ましくない性質を有する最終製品を作り出す。 フック・ループ・ファスナの分野では周知のこのような技術を用いる製品はいわゆる背面ファスナである。このような製品は、フック・ファスナおよびループ・ファスナを採用し、これら両者を背中合わせに結合することによって作られ、そうしてできた積層体が片側にフックを有し、反対側にループを有する。このような組み合わせはワイヤつなぎ材、プラントつなぎ材およびスプリントなどを所定位置に保持するファスナ・ストラップのような多くのストラッピング作業で広く用いられている。従来のこのような製品の積層は上述したように2つの構成要素を積層するのに用いられる方法に焦点が合わせてあった。このような積層材の接合で生じる嵩高性は明らかにその有用性を制限している。 【発明が解決しようとする課題】 したがって、本発明の目的は、他の材料へ接合するのにほとんど適合性のない普通の平坦で滑らかで均一な面からその特性をかなり改質した、直立フックを含む面と反対側の面を持つフック・ループ・ファスナ装置のフック部分を製造することにある。 本発明の別の目的は、プラスチック製フック・ループ・ファスナのベースの背面であって、特殊な表面処理を施すことなく接着剤、にかわ、セメントなどのような結合剤を容易に受け入れる面を作ることにある。 本発明のさらに別の目的は、プラスチック製フック・ファスナのベースの背部にループ面であって、その前面にあるフックに係合して嵩高性、剛性および厚みの小さい背面合わせ積層体を形成することができるループ面を作ることにある。 【課題を解決するための手段】 米国特許第4,794,028号に記載されている、プラスチック・フックを製造する方法は、米国特許第4,775,310号に記載されている装置を利用する。この装置は、「周縁に形成してあり、内方に延びる空所を形成する複数のフックを有する第1の冷却式一体成形ローラと、この第1の成形ローラと協働するように設置した第2の圧力ローラと、前記第1、第2のローラを一般にそれぞれの軸線まわりに互いに反対の方向へ同時に回転させる手段と、前記第1、第2のローラに隣接してその境界面のところに溶融プラスチック材料が前記フック形成用空所を満たし、基部およびこの基部の片面から一体に延びる多数のフック状突起を有するストリップ状部材を形成するようにストリップ状押し出し成形体を形成する手段と、第1成形ローラによって所望温度まで冷却した後に前記ストリップ状部材を前記第1、第2のローラの境界面から隔たった位置で前記フック状突起を前記フック形成用空所を開くことなくこのフック形成用空所から引き抜くように前記第1成形ローラから取り出す手段と」を包含する。本発明者は、2つの円筒体の形成するニップ内へ、フックと反対の側でストリップ状材料の一体部分となる種々のシート材料を導入することができることを見出した。驚くべきことには、このような材料を溶融プラスチックと共にニップ内へ導入することは、作業の妨げとはならず、もちろん或る種の注意および制限があると望ましいが、このようなその場での積層体の形成は大きな利点をもたらす。 本発明者は、広範囲にわたる種々の材料、たとえば、不織布、編繊布、補強糸、スクリム、網、紙、プラスチックフィルム、金属製窓用スクリーニングおよびフィルム状あるいは薄シート状のほとんどいかなる材料もこの方法で取り扱えることを見出した。ストリップ状プラスチック製ファスナ・シートのその場での多孔性の外部バッキングでの形成は、たいていの場合、溶融プラスチックをウェブ材料の構造内へ注入し、そこにおいてウェブの細孔内でのプラスチックの緊密な混ぜ合わせを行うことによって達成される。非多孔性フィルムの場合には、フィルム表面が溶融して分子間拡散を生じさせ、シート間に強い結合を形成する傾向がある。このような外部材料の含有により、従来の積層体製造法を凌ぐかなりの利点を得ることができる。このストリップ状材料はなんら外部材料を含まず、結合が強く、広範囲にわたる材料をこの方法で結合することができる。さらに、フックの形成時にバッキングを加える方法は、第2段階で接着剤その他の結合剤を用いて積層体を形成する従来の方法に比べて経済的な利点を与える。 【発明の実施の形態】 発明をより充分に理解するには、添付図面に関連した以下の詳しい説明を参照されたい。 図1は、従来のプラスチック製ファスナ・フック・テープを製造するのに従来用いられている装置の横断面図である。押し出し機バレル1はプラスチックを溶融させ、この溶融プラスチック3をベース・ローラ4と空所ローラ5の間のニップ6内へダイ2を通して給送する。この空所ローラは周知のフック・ループ式のストリップ・ファスナのフックを形成するための空所を包含する。ニップ6内で形成されたストリップ・ファスナ材料は空所ローラ5の外周に沿い、そして、ストリップ形成用ローラ7のまわりを移動する。このストリップ形成用ローラ7は空所ローラからフック形成済みのシート8を引き出し、巻き上げ装置(図示せず)へ送る助けとなる。 フック形成装置の成形部分シート材を送る方法は多数あるが、図2はこの目的に特によく適った装置を示している。本発明者は、溶融プラスチック3をニップに送ってストリップ・ファスナ・テープを製作すると同時にニップ6へ予形成したシート材10を導入することによって、シート材をファスナと緊密に結合させてストリップ・ファスナの構造の一体部分とすることができることを見出した。図1と同様に、押し出し機1はダイ2を通してローラ4、5間のニップ6へ溶融プラスチック3を給送する。しかしながら、本発明者はバッキング・ローラ4の両端縁で周面まわりに一組のピンを加えた。これらのピンはシート材10を平らでしわのない状態でニップ6へ送り込む。ファスナのための滑らかで平坦な積層バッキングを形成するためには滑らかでしわのない適切に張力を付与されたシートを維持することが重要である。二次シート材の適正な張力付与および整合を確保するために、二次材料10のロールがレットオフ装置上に装着してあり、転換ローラ11をまわってウェブくせ取り装置へ送る。このウェブくせ取り装置は、代表的にはFife Manufacturing Companyによって販売されているように従来周知のものであり、シート材ウェブをエラストマー材料のリブからなるスクロール・ロール13まわりにバッキング・ロール4へ送るときにシート材ウェブの縁を心合わせし、シートをしっかりと把持すると共にバッキング・ローラ4およびピン14にシートを衝突させるようになっている。ピン14およびローラ4はウェブを溶融プラスチック3と共にニップ6内へ送る。溶融プラスチック3がニップ6の狭いスペースによって付与された圧力によって送られるにつれて、空所ローラ5の空所内へ流れ、また、バッキング・ローラ4で担持されているシート材に存在する微孔内へも流れる。こうして、ウェブ・シート10はフック形成シート8に緊密に結合し、その一体部分となって積層シート9を形成する。 図3は、成形ロール・スタックのA-A1線に沿った背面図である。バッキング・ローラ4は軸15によって支持されており、この軸はサイドプレート(図示せず)の適正位置になる軸受16によって保持されている。軸受16はロール・スタックから隔たって位置した液圧ポンプからの液圧管路19に接続してある。ピン14はバッキング・ローラ4を保持している軸15に嵌合したハブ18によって保持されている。ここで、ピン14をバッキング・ローラ4内へ直接組み込むことができるが、本発明者としては、個別のピン保持ハブを利用するのが好ましいと思う。種々のシート材に対して種々のサイズ、形状のピンを利用して成る程度の融通性を得られるからである。 ここに記載した装置を操作する普通の手順は、機械を通して二次バッキング10を装着し、押し出し機1を始動する。その結果、プラスチック3がダイ2を通して滑らかに流れ、ダイ2のリップ部を通って2つの成形ローラ4、5間のニップ6付近まで移動する。溶融プラスチックはバッキング・ローラ4によって拾い上げられ、液圧シリンダ17からの圧力がバッキング・ローラ4を所定位置へ上昇させるにつれてニップ6内へ送り込まれる。バッキング・ローラ4と空所ローラ5の間にギャップ6が減るにつれて、溶融プラスチック3はニップ6内へ流れ、成形ローラ5の開放空所へ送り込まれる。溶融プラスチックはバッキングの厚さ、バッキングの多孔構造、溶融プラスチックの粘度およびニップ内のプラスチックの圧力に依存してバッキング材22の細孔へ浸透させられる。ニップ6内の圧力はローラ4、5を閉ざすのに用いられる液圧とバッキングを形成し、空所を満たす際に消費される量に対するニップ6内へ送り込まれる材料の量の関数である。 図4は従来方法によって形成されたフック・ファスナ・テープの横断面図である。フック・テープはベース20と、このベースから突出するフック21とからなる。テープを形成するプラスチック材はほぼ全体的に均一である。 図5は、上述したように、成形ローラのニップ内へ不織布を導入することによって作った本発明の製品の一具体例である。ベース20はそこから突出するフック21を含んでおり、これを不織布22に取り付ける。2つの層の境界面23のところで、ファスナからのプラスチックは不織布22の繊維のいくつかのまわりに流れ、それらを包み込むことにより、不織布を結合して2つの層からなる積層体を形成する。不織布は、軽いものでも重いものでもよいし、薄くても厚くても、あるいは稠密でも目の粗いものでもよい。不織布の性質、加えられた圧力及びニップ内のプラスチックの粘度は、プラスチックが繊維網内へ流れる程度、あるいは、不織布がプラスチックへ埋め込まれる程度を決定する。図5Aは図5の積層体を概略的に示す図であり、層23が布とプラスチックの混合帯域を示している。ここで、この層が均一な横断面ではなく、むしろ、プラスチック層20の底の繊維なしから繊維層24の頂部のプラスチックなしまでの範囲でこの層を横切る濃度勾配が存在することは了解されたい。一方、不織布ウェブが厚くて稠密である場合、プラスチックは不織布内へ縁のみで浸透し、ファスナの背面は自由に繊維に直立する不織布の外観を呈する。不織繊維ウェブ、ファスナを形成するプラスチックおよび方法の操作条件を注意深く選ぶことによって、プラスチックの表面から突出する種々の程度の繊維を持つ広範囲にわたる製品を製造し、多くの異なった用途に向いた種々の製品を提供することができる。 図6は本発明のまた別の製品の横断面図である、目の粗い編織布補強スクリム25をやや速い速度でカレンダのニップ6に加えてバッキング布の過剰分を製造している。開放構造のために、プラスチック20は布のスクリム25の大きな部分を包み込み、それでも布の部分はファスナの表面26に近づく。このような組み合わせはプラスチック・テープに強度を加えるのに使用でき、ファスナのプラスチック面のかなりの改質も行える。 図7は、表面に接着剤層28を含む紙27に積層した直立フック21を有するプラスチック・フック・ファスナ20を示している。接着剤は製品の意図した用途に応じて任意の便利なタイプのものでよい。こうして、積層体の底層として再活性化可能な接着剤、感圧接着剤あるいは接触接着剤を適用することができる。塗布する接着剤積層体の性質に依存して、接着剤がニップの圧力によって圧搾されたり、破壊されたりしないように注意しなければならない。 図8は、バッキング層29がフック・ループ・ファスナのループ側である本発明の技術のまたさらに別の具体例を示している。溶融プラスチック3がダイ2を通して流れ、バッキングをプラスチック・シートと共に一体保持するループ・バッキングの何本かの糸を包み込む境界面27のところのループ29のバッキングの細孔に流入する。こうして、接着剤結合によって作られたときの周知の製品が製作されるが、この具体例では、積層体は層を一緒に保持するのに必要な外部材料なしに製作される。このような背中合わせ製品は、フック・ループ材料の分野では周知のいわゆるバックストラップの製造業者にとって有用なものである。 図9はシート状材料が薄いポリウレタン発泡体30である本発明の具体例を示している。この薄い発泡体30は前述したようにカレンダのニップに導入し得る。発泡体30の表面はストリップ状ファスナ20のプラスチックに緊密に結合する。図9Aはファスナ20の背面に取り付けた発泡体30を有する図9と同じ構成を示しているが、発泡体30を取り外そうとするときに何が起きるかも示している。プラスチック・ファスナ20へ発泡体30を取り付けている結合力は発泡体30の凝集力よりも大きい。発泡体をファスナ20の背面から分離しようとすると、発泡体30がその内部31で分割あるいは裂け、プラスチック・ストリップ・ファスナの背面のかなりの部分が残る。 以下の実施例は本発明の範囲および独自性をさらに理解する助けとなろう。 実施例 I 米国特許第4,775,310号に記載されている装置を、Hercules Chemical Corporationの販売する樹脂L-2121として知られるナイロン12樹脂を用いて、Velcro Group Corporationのフック形式CFM-15として知られるプラスチック製フック製品を製造するように配置した。押し出し機の出口端で測定した樹脂の溶融温度は454°F(234℃)であった。ダイヘッド温度は460°F(238℃)であった。ライン速度は毎分30フィート(9.14メートル)であり、テープ幅は10インチ(25.4センチメートル)、カレンダ圧力は2000#ゲージであった。頂部ロール温度は、31°F(-1℃)であり、成形ロール温度は55°F(13℃)であり、底部ロール温度37°F(3℃)であった。不織布(Freudenberg Companyの販売するPellon 850ナイロン不織布)のロールを10インチ(25.4センチメートル)幅に裁断し、それを底部、成形ロール間に形成されたニップのところでカレンダ内へ導入した。短いスタートアップ時間後、布を困難なしに成形部を通してスムーズに処理した。不織布はフック・シートのプラスチックに緊密に一体化した。こうして形成した積層体をその各構成部分に分離することはできず、無理にすると、繊維層を破壊することになった。フック製品の背面は積層のない製品の表面とはかなり異なった滑らかで軟らかい繊維面を持っていた。 実施例 II 米国特許第4,775,310号に記載されている装置を、DuPont Companyの販売するコポリエステル樹脂、10%のマスター・バッチ耐火材を加えて最終製品に耐火性を与えたHytrel(登録商標)8238を用いて、Velcro Group Corporationのフック形式CEM-15として知られるプラスチック製フック製品を製造するように配置した。ポリマーの溶融温度は押し出し機の端で475°F(246℃)であり、ダイ温度は476°F(247℃)であった。ライン速度は毎分30フィート(19.4メートル)であった。1平方ヤードあたり1.35オンスの重量で、0.009インチ(0.023センチメートル)の厚みを有するRemay(登録商標)として販売されている不織布のロールを10インチ(25.4センチメートル)幅に裁断し、実施例Iで述べたような装置の底部、成形ロール間に形成されたニップへ導入した。底部ロール温度50°F(10℃)であり、成形ロール温度は50°F(10℃)であり、頂部ロール温度90°F(32℃)であった。この不織布に100ポンド(45.36キログラム)の張力を加えてカレンダのニップにシートが通されるときにしわが発生するのを防ぎ、底部ローラは成形ローラに対して8%の過剰速度で駆動した。不織布はしわ形成、折れ曲がりが少なかった。布に加えた張力を35?40ポンド(15.88?18.14キログラム)まで減らし、過剰送りを8.5%まで高め、しわの許容ベレルまで減らした。 こうして形成した積層製品はフック・シートのプラスチック・ベースと不織布の上方層との間に一体の結合部を備えていた。フック・テープのベースの下面を形成しているプラスチックは不織布の間隙に緊密に統合していた。この不織布は破壊しない限りプラスチックから分離することはできなかった。積層シートを裂いたときでも、2つの層は分離することはなかった。不織布の重量が大きいため、積層体の下面に繊維が現れ、強い摩擦によって表面から繊維をこすり取ったり、ばらばらにしたりすることができた。しかしながら、かなりの摩擦の後でも、主として不織布の上面からの大量の繊維がプラスチックの表面に取り付いたままであった。 実施例 III 実施例IIで用いたとそっくり同じ構成を利用したが、用いた不織布は、1平方ヤードあたり0.6オンスの重量、0.006インチ(0.015センチメートル)の厚みを持つRemay(登録商標)style 2006として知られるRemayのより軽い製品であった。ウェブからしわや折れ曲がりを除くために、張力を25ポンドまで減らし、底部ローラに同じ過剰供給量を用いた。この組み合わせで形成した製品は実施例IIのものと同様であったが、不織布の間隙へのポリマーの混ざり具合は該実施例の場合よりも大きかった。しかしながら、強い摩擦で表面から繊維を起毛することもなお可能であり、多くの繊維がプラスチックの表面上に非常に細いけばとして突出していた。 実施例 IV 実施例II、IIIで用いたものとまったく同じ構成を利用したが、用いた不織布は先の実施例におけるよりもさらに軽いものであった。この実施例におけるRemayのバージョンは、1平方ヤードあたり0.5オンスの重量で、0.004インチ(0.010センチメートル)の厚さを持つRemay(登録商標))style 2250であった。ウェブからしわや折れ曲がりを除くために、張力は20ポンド(9.07キログラム)まで減らし、過剰供給量を底部ローラのところで9%まで増大させた。この組み合わせで形成した製品は実施例II、IIIのもの類似していたが、不織布の間隙へのポリマーの混ざり具合は実施例IIIの場合よりもわずかに大きかった。この混じり合いは、表面をコインでこすったときの強い磨耗でも表面から繊維を起毛させるのが難しい程度まで強化された。それでもなお、表面の一体部分として、また、非常に細かいけばとして表面から突き出してすらいる繊維を明瞭に認めることができた。 実施例 V 米国特許第4,775,310号に記載されている装置を、DuPont Companyの販売するポリエステル・コポリマー樹脂、Hytrel(登録商標)8238を用いて、Velcro Group Corporationのフック形式CFM-15として販売するプラスチック製フック製品を製造するように配置した。ポリマーの溶融温度は押し出し機の端で475°F(246℃)であり、ダイ温度は470°F(243℃)であった。ライン速度は毎分35フィート(8.89メートル)であり、テープ幅は8?9インチ(20.32?22.86センチメートル)であった。カレンダの底部ロール温度は85°F(29℃)であり、成形ロールは40°F(4℃)であり、頂部ロールは40°F(4℃)であった。カレンダ圧力は直線インチあたり2500ポンドであった。Loop 3200としてVelcro USAが販売しているトリコット編成布のロールを10インチ(25.4センチメートル)の幅に縦に裁断し、底部、成形ロールによって形成されたニップのところでカレンダ内へ送り込んだ。フック製品を形成したとき、溶融プラスチック・バッキングは編成布の間隙へ流入した。プラスチック・フックとトリコット布の間の積層体を形成している層は、層を構成している材料を破壊しなければ分離できなかった。Loop 3200が非常に開放的な構造であり、積層体のフック部からのプラスチックが布の基礎糸の多くを取り囲み、包み込んでいるにもかかわらず、充分な数のループが製品の背面から上向きに突出したままであり、製品のテープフックが構造体の反対側にあるループと向かい合わせになるように巻いたときに面からのフックを緊密に係合させることができた。こうして、背面合わせ閉鎖体としてのフック・ループ・ファスナの一般名で知られる製品を形成した。 実施例 VI 実施例Vに記載したLoop 3200のサンプルを、この技術分野で周知の火炎貼り合わせ技術を用いて、1/8インチ(0.3175センチメートル)厚のポリエーテル・ウレタン発泡体に積層した。こうして形成した発泡積層体を10インチ(25.4センチメートル)幅の材料ロールに縦に裁断し、実施例Vに述べたフック形成装置へ送り込んだ。しかしながら、この実施例では、用いた樹脂はEXXON Chemical Companyが製造し、LL6301.57として販売しているポリエチレン樹脂であった。ポリマーの溶融温度は押し出し機の端で420°F(216℃)であり、ダイ温度も420°F(216℃)であった。カレンダ圧力は直線インチあたり1250ポンドであり、底部ロール温度は70°F(21℃)であり、成形ロール温度50°F(10℃)であり、頂部ロール温度は90°F(32℃)であった。ライン速度は毎分30フィート(7.62メートル)であった。発泡ループ積層体の発泡側は製品のフック部のプラスチック・バッキングと結合するような向きとし、ループ部は製品の底部側から外向きにした。こうして頑丈な積層体を得た。この積層体の層はプラスチック部分からループ部分を引き裂いて分離することによって分離できたが、層間の破壊が発泡体境界面に沿って生じ、プラスチック、ループの両方に薄い発泡体層を残した。層を分離するのに必要な力は幅1インチあたり約2ポンドであった。中間層として発泡体を用いることによって、軟らかいループ・バッキングを備えた製品を作ることができ、これは背面合わせ状態に巻いたときに製品の面側にあるフックと容易に係合した。ループ構造の実施例IIで生じた程度の汚染はほぼ排除され、発泡層の存在が軟らかいクッション作用を与えてフック・ループ係合を助けた。 実施例 VII 実施例VIのプロセス構成を用いて、異なったループ、Velcro loop style 3610のサンプルを実施例Vで用いたループの代わりに用いた。Loop 3610は、1平方ヤードあたり8.02?9.95オンスの重量で、表示厚さ範囲0.0062?0.087インチ(0.1575?0.2210センチメートル)の比較的重いループ布である。ループをループ布に付与した張力100ポンド(45.36キログラム)の下になんら困難なしにニップに通した。このときの過剰供給量は底部ロールで8%であり、ニップ圧力は直線インチあたり1250ポンドであった。形成フックからのプラスチックはループ布の背面にある繊維の多くと混ざり合い、それを包み込み、ループ布を保持するしっかりとした結合力を生じさせ、2つの層を一緒に保持する堅固な結合力を生じさせた。Loop 3610がこのような丈夫な製品であるため、プラスチックからの布の一角隅を剥がし、積層体の結合強さテストすることができた。剥離力は2つの層を分離するのに6ポンド(2.72キログラム)平均であった。Loop 3610のループ面は積層プロセスによって影響を受けたようには見えず、積層体を折り曲げて面と面を合わせる状態でフックをループと係合させたとき、かなりの把持力を得た。こうして形成した背中合わせ閉鎖体の性能はLoop 3610に対して同じポリマーから独立して形成したフック製品に匹敵するものであった。 実施例 VIII 実施例VIのプロセス構成を用いて、異なったループ、Velcro loop style 3003のサンプルを実施例VIIで用いたループの代わりに導入した。Loop 3003は、片面にかなり高いループパイルを備え、1平方ヤードあたり9オンスの比較的重い重量と、0.10インチ(0.254センチメートル)の表示厚さを有する円形の編成布である。このループはその嵩高性により若干の困難を伴ってニップを通り、こうして形成したサンプルではループ布のバッキング繊維とプラスチック樹脂が非常に高度に混ざり合っていた。結合力は充分に強かった。2つの層は一方あるいは両方を破壊しなければテストのために分離できなかった。ループ布のパイル繊維は積層プロセスによって影響を受けたとは思えず、こうして形成した背中合わせ製品の閉鎖性能は、同じスタイルの独立ループに対して個別にテストを行って製造した同等のフック製品の閉鎖性能とほぼ同じであった。 実施例 IX Escoreneポリエチレンを用いて実施例VIないしVIIIの押し出し構成を使用し、また別の積層体を製作した。この積層体では、底部ロールと成形ロールの間にニップに導入したウェブはクラフト紙であった。紙はフック・テープの背面にしっかりと結合し、破らないかぎり積層体から剥がすことができなかった。プラスチックの紙への浸透はそれ自体からの紙の分離能力によって示されるように限られ、紙繊維の薄いベールは依然としてプラスチックに取り付いた状態であった。 実施例 X 実施例IXの標準クラフト紙の代わりに、片面に水活性化接着剤を含む或る長さのクラフト紙を底部ロールと成形ロールの間のニップへ導入した。このとき、紙の接着剤側はフック・テープのプラスチックから離れていた。紙は、実施例IXに記載したと同じ要領で、フックのプラスチックに緊密に結合した。紙は積層体から引き裂くことができたが、プラスチック面に細い紙繊維のベールが残った。この積層体についての興味ある点は、フック・テープの背面にある接着剤層を接着剤に水を付与することによって活性化することができ、フック積層体を他の物体へ取り付けるのにこの接着剤を使用できるとい事実にあった。こうして形成した積層体の小さな面積を郵便切手を活性化するように舌で活性化し、それを他の物体に容易に取り付けることができた。他の物体に取り付けた適当なループは互いに剥離自在に取り付けられた。 実施例 XI なんら添加物なしにEscoreneポリエチレンを用いて実施例VIないしIXの押し出し構成を使用してまたさらに別の積層体を製作した。この積層体では、底部ロールと成形ロールの間のニップへ導入したウェブは印刷した高密度ポリエチレン・フィルムであった。このフィルムはフック・テープの背面に結合したが、幅1インチあたり0.5ポンド未満の比較的軽い力で積層体から剥がすことができた。この積層体の特に興味ある局面は、フック・テープのやや不透明な面を通して印刷をはっきりと読み取れるということである。メッセージを印刷したHDポリエチレンはまったくゆがむことがなく、フィルムのオリジナルの印刷メッセージよりもほんの少し鮮明さが少なかった。 実施例 XII 実施例XIの印刷ポリエチレン・フィルムの代わりに、両側に道路地図を印刷した紙で作ったRand-McNalley Road Atlasの一頁を底部ロールと成形ロールの間のニップに導入した。紙はプラスチック・ポリエチレン・フック・シートにしっかりと結合し、紙を破らないかぎりプラスチックから分離することはできなかった。地図の細かい線はフック・テープを形成しているやや不透明のプラスチック・フィルムを通して見ることができた。紙シートは両面に印刷されており、フック・シートの背面にある地図を読むこともできた。反対側に印刷物を備えた組立体をループ材料カバーを持つディスプレイボードに取り付けることができた。この組み合わせはディスプレイ材料を他の物体に取り付ける興味ある方法を提供した。逆に、外向きに突出するフックを備えたディスプレイ面を作り、物体を取り付けることのできるフック・テープを通して読み取ることもできる。こうして、ディスプレイに表されているデザインをフックを通し読みそして露出したフックにループ材料を取り付けることによってディスプレイの各部分を覆うことができる。 実施例 XIII 先の実施例で述べたような装置を配置して、Ferro Chemical Companyの販売する耐火性ポリプロピレン樹脂であるFerro HDPS 0250Dとして表示されるポリプロピレン樹脂を処理した。溶融温度は400°F(204℃)であり、ダイ温度も400°F(204℃)であった。ライン速度は30fpm(19.14mpm であり、ニップ圧力は直線インチあたり1500ポンドであった。プロセスが作動し、適当なフック製品を形成した後、0.065インチ(0.165センチメートル)厚の或る長さのエーテルタイプのポリウレタン発泡体を底部ロールと成形ロールの間のニップに導入した。発泡体はフック・シートの下面のプラスチックに頑強に結合し、発泡体層を破壊しなければ取り外すことはできなかった。積層プロセスで、発泡体はかなり圧縮されたが、ポリプロピレンにしっかりと結合したままであり、ポリプロピレン・フック・テープに軟らかくて弾力のあるバッキングを与えた。これはフック製品に対する美的感覚および触覚をかなり変えるものである。 【図面の簡単な説明】 【図1】図1は、従来のプラスチック製ファスナ・フック・テープを製造するために従来用いられている装置の概略断面図である。 【図2】図2は、本発明に従って改造した図1装置の概略断面図である。 【図3】図3は、図2の成形ロール配置の概略背面図である。 【図4】図4は、従来方法によって形成したフック・ファスナ・テープの概略断面図である。 【図5】図5は、本発明の一具体例の概略横断面図である。 【図5A】図5Aは、図5の製品の別の概略図である。 【図6】図6は、本発明の別の概略横断面図である。 【図7】図7は、本発明のまた別の形態の概略横断面図である。 【図8】図8は、製品の底層がループ・ファスナであるところを示す概略横断面図である。 【図9】図9は、発砲層を製品が包含するところを示す概略横断面図である。 【図9A】図9Aは、図9の発砲層がどのようにして剪断できるかを示す図である。 |
訂正の要旨 |
審決(決定)の【理由】欄参照。 |
審理終結日 | 2007-01-18 |
結審通知日 | 2007-01-22 |
審決日 | 2007-02-02 |
出願番号 | 特願平5-504307 |
審決分類 |
P
1
123・
121-
ZA
(A44B)
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最終処分 | 成立 |
前審関与審査官 | 二ッ谷 裕子 |
特許庁審判長 |
寺本 光生 |
特許庁審判官 |
石田 宏之 溝渕 良一 |
登録日 | 2005-05-13 |
登録番号 | 特許第3673811号(P3673811) |
発明の名称 | フック状突起を有する積層体、その製造方法および装置 |
代理人 | 稲葉 良幸 |
代理人 | 稲葉 良幸 |
代理人 | 内藤 和彦 |
代理人 | 塩澤 克利 |
代理人 | 秋山 祐子 |
代理人 | 内藤 和彦 |
代理人 | 森崎 博之 |
代理人 | 秋山 祐子 |
代理人 | 野口 武男 |
代理人 | 森崎 博之 |