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この審決には、下記の判例・審決が関連していると思われます。
審判番号(事件番号) データベース 権利
不服20061739 審決 特許
判例 特許
無効200035214 審決 特許
不服200515110 審決 特許
不服200119641 審決 特許

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審決分類 審判 査定不服 (訂正、訂正請求) 特許、登録しない。 A61K
管理番号 1176321
審判番号 不服2006-29059  
総通号数 102 
発行国 日本国特許庁(JP) 
公報種別 特許審決公報 
発行日 2008-06-27 
種別 拒絶査定不服の審決 
審判請求日 2006-12-28 
確定日 2008-04-07 
事件の表示 特許権存続期間延長登録出願2005-700009「アデニン誘導体の治療的適用」拒絶査定不服審判事件について、次のとおり審決する。 
結論 本件審判の請求は、成り立たない。 
理由 1.本件特許及び本件特許発明
特許第1963192号(以下,「本件特許」という。)は,昭和61年4月25日に出願され(特願昭61-97811号),平成7年8月25日に特許権の設定登録がされたものであって,その特許発明の要旨は,出願公告された明細書(特公平6-92307)の記載からみてその特許請求の範囲の請求項1,2に記載されたとおりのものである。

「【請求項1】活性成分として式:
(式 略) |
〔式中,R^(1)はメチレン,-CH(OH)-CH_(2)-または-CH-CH_(2)(OH)
R^(2)はヒドロキシを意味する。ただし,R^(1)がメチレン以外である場合,R^(1)とR^(2)は相互に連結して環状エステル基を形成してもよい。〕
で示される遊離酸または塩形のホスホニルメトキシアルキルアデニン(該アデニン誘導体は,R_(1)がメチレン以外である場合(RS)または(S)形である。)を含有するウイルス疾患治療用組成物。
【請求項2】活性成分として(S)-9-(3-ヒドロキシ-2-ホスホニルメトキシプロピル)アデニンを含有する特許請求の範囲第1項記載の組成物。」
(以下,これを「本件特許発明」という。)

2.本件特許権存続期間の延長登録出願
本件特許権存続期間の延長登録出願(以下,「本件出願」という。)は,平成17年1月21日に出願され,平成18年9月26日付けで拒絶査定がされ,平成18年12月28日に審判請求がされたものである。
本件出願は,特許発明の実施について特許法第67条第2項の政令に定める処分を受けることが必要であったとして,2年0月17日の特許権存続期間の延長を求めるものであり,その政令で定める処分として,以下の内容を特定している(以下,「本件処分」という)。

(1)延長登録の理由となる処分
薬事法第14条第1項に規定する医薬品に係る同法第23条において準用する第14条第1項の承認

(2)処分を特定する番号
承認番号 21600AMY00132000号

(3)処分を受けた日
平成16年10月22日

(4)処分の対象となった物
一般的名称
アデホビルピボキシル
化学構造式


(5)処分の対象となった物について特定された用途
ラミブジン投与中にB型肝炎ウイルスの持続的な再増殖を伴う肝機能の異常が確認された,以下の疾患におけるラミブジンとの併用によるウイルスマーカー及び肝機能の改善
B型慢性肝炎及びB型肝硬変

添付資料
a.特許公告公報:特公平6-92307号公報の写し
b.医薬品輸入承認書の写し
c.治験計画届書の写し

3.原審の拒絶理由の概要
原審の拒絶の理由は,「この出願に係る特許発明の実施に特許法第67条第2項の政令で定める処分を受けることが必要であったとは認められないから,この出願は,特許法第67条の3第1項第1号に該当する。」というものであり,より具体的には,本件特許に係る化合物は遊離の酸であるのに対し,本件処分の対象となったアデホビルピボキシルはエステル体であり,両者は一致しないというものである。

4.当審の判断
(1)特許法第68条の2は,「特許権の存続期間が延長された場合・・・の当該特許権の効力は,その延長登録の理由となった第67条第2項の政令で定める処分の対象となった物(その処分においてその物の使用される特定の用途が定められている場合にあっては,当該用途に使用されるその物)についての当該特許発明の実施以外の行為には,及ばない。」と規定しており,この規定に照らすと,延長登録が認められるためには,政令で定める当該処分の範囲(物と用途)と延長登録出願の対象である特許発明の範囲(物と用途)とが重複していることが必要である。

(2)これを本件についてみるに,本件出願の添付資料である,医薬品輸入承認書によれば,本件処分の対象となった有効成分はアデホビルのピバロイルオキシメチルエステルである「アデホビルピボキシル」であって,本件特許発明のウイルス疾患治療用組成物中の活性成分であるアデホビル (本件特許発明の一般式において,R^(1)が水素原子であり,R^(2)はメチレン基である化合物)並びにそのアルカリ金属,アンモニア及びアミン塩とは,物としては重複しない。

(3)ところで,アデホビルピボキシルとアデホビルとが本件処分の医薬用途において有効成分として同等といえるのであれば,本件処分の対象となった有効成分は実質的にアデホビルと同一といえ,そうであれば,他の要件が満たされれば延長登録が認められることとなる。
そこで,アデホビルピボキシルとアデホビルとが本件処分の医薬用途において有効成分として同等といえるかどうかを検討する。
平成18年2月8日付けの審査官の拒絶理由通知に対して請求人が提出した平成18年8月10日付けの意見書に添付された特開平4-230694号公報によれば,アデホビルピボキシルはアデホビルのプロドラッグであると明記されている。プロドラッグ化により効果の増強,副作用の軽減など,元の薬物に比べその使用性が改善されることは広く知られているが,アデホビルピボキシルもその例外ではなく,同公報には,ラットを用いた経口生物学的利用能の試験において,アデホビルピボキシル(化合物実施例No9)の絶対生物学的利用能が17であるのに対し,アデホビル(化合物実施例No1(PMEA))では,7.8であり,アデホビルピボキシルはアデホビルに比べ,経口生物学的利用能が2倍以上高いことが記載されている。(段落【0058】の表。)
そして,抗ウイルス活性の測定試験であるHSV-2(G株)に対する試験管内活性試験において,アデホビルピボキシル(化合物実施例No9)のID_(50)(プラーク形成の50%低下を与える用量)が0.28μg/mLであるのに対して,アデホビル(化合物実施例No1(PMEA))では39μg/mLであり,アデホビルピボキシルはアデホビルに比べ,抗ウイルス活性が100倍以上高いことが記載されている。(段落【0059】の表。)
上記のとおり,アデホビルピボキシルとアデホビルは生体に投与されたときの生物学的利用能及び抗ウイルス活性が大きく異なるものであり,両者が本件処分の医薬用途において有効成分として同等であるはいえない。
してみると,本件処分の対象となった有効成分であるアデホビルピボキシルが実質的にアデホビルと同一ということはできず,本件処分の対象となった物が本件特許発明のウイルス疾患治療用組成物中の活性成分と実質的に重複するということはできない。

5.むすび
したがって,本件処分は,本件出願に係る特許発明の実施に必要な処分であったとは認められないから,本件出願は特許法第67条の3第1項第1号の規定に該当し,本件特許権存続期間の延長登録を受けることができない。
よって,結論のとおり審決する。
 
審理終結日 2007-11-01 
結審通知日 2007-11-02 
審決日 2007-11-26 
出願番号 特願2005-700009(P2005-700009)
審決分類 P 1 8・ 71- Z (A61K)
最終処分 不成立  
前審関与審査官 胡田 尚則山田 靖  
特許庁審判長 塚中 哲雄
特許庁審判官 穴吹 智子
森田 ひとみ
発明の名称 アデニン誘導体の治療的適用  
代理人 紺野 昭男  
代理人 吉武 賢次  
代理人 中村 行孝  
代理人 紺野 昭男  
代理人 中村 行孝  
代理人 横田 修孝  
代理人 横田 修孝  
代理人 伊藤 武泰  
代理人 吉武 賢次  
代理人 伊藤 武泰  

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