ポートフォリオを新規に作成して保存 |
|
|
既存のポートフォリオに追加保存 |
|
PDFをダウンロード |
審決分類 |
審判 査定不服 産業上利用性 特許、登録しない。 C12N 審判 査定不服 5項独立特許用件 特許、登録しない。 C12N 審判 査定不服 特36 条4項詳細な説明の記載不備 特許、登録しない。 C12N |
---|---|
管理番号 | 1177100 |
審判番号 | 不服2004-10870 |
総通号数 | 102 |
発行国 | 日本国特許庁(JP) |
公報種別 | 特許審決公報 |
発行日 | 2008-06-27 |
種別 | 拒絶査定不服の審決 |
審判請求日 | 2004-05-24 |
確定日 | 2008-04-28 |
事件の表示 | 平成 8年特許願第507258号「C5aレセプターをコードするポリヌクレオチド」拒絶査定不服審判事件〔平成 8年 2月22日国際公開、WO96/05226、平成10年 5月 6日国内公表、特表平10-504456〕について、次のとおり審決する。 |
結論 | 本件審判の請求は、成り立たない。 |
理由 |
第1 手続の経緯 本願は、平成6年8月16日を国際出願日とする国際出願であって、平成15年12月24日付けで手続補正がなされ、平成16年2月12日付けで拒絶査定がなされ、これに対し、平成16年5月24日に拒絶査定に対する審判請求がなされるとともに、平成16年6月22日付けで手続補正がなされ、さらに、平成18年12月18日付けで審尋がなされたが、審判請求人からの応答はなかった。 第2 平成16年6月22日付けの手続補正についての補正却下の決定 [補正却下の決定の結論] 平成16年6月22日付けの手続補正を却下する。 [理由] 1.補正後の本願発明 本件補正により、特許請求の範囲の請求項1は、 「【請求項1】単離されたポリヌクレオチドであって: (a)図1の推定アミノ酸配列を有するGタンパク質共役レセプターポリペプチドあるいは該ポリペプチドのフラグメントをコードするポリヌクレオチド; (b)ATCC寄託番号75821に含有されるcDNAによりコードされるアミノ酸配列を有するGタンパク質共役レセプターポリペプチド、あるいは該ポリペプチドのフラグメントをコードするポリヌクレオチド、からなる群より選択される、単離されたポリヌクレオチド。」と補正された。 上記補正は、補正前の請求項1(後記「第3」の1.を参照。)について、(a)の選択肢の中から「図1の推定アミノ酸配列を有するGタンパク質共役レセプターポリペプチドのアナログまたは誘導体をコードするポリヌクレオチド」を、(b)の選択肢の中から「ATCC寄託番号75821に含有されるcDNAによりコードされるアミノ酸配列を有するGタンパク質共役レセプターポリペプチドのアナログ、または誘導体をコードするポリヌクレオチド」を削除するものであり、平成6年改正前特許法第17条の2第3項第2号の特許請求の範囲の減縮を目的とするものに該当する。 そこで、本件補正後の前記請求項1に記載された発明(以下、「本願補正発明」という。)が、特許出願の際独立して特許を受けることができるものであるか(平成6年改正前特許法第17条の2第4項において準用する同法第126条第3項の規定に違反するか)について、以下に検討する。 2.独立特許要件 (1)発明の詳細な説明の記載 本願補正発明のポリヌクレオチドによりコードされる、「図1の推定アミノ酸配列を有するGタンパク質共役レセプターポリペプチド」(以下、単に「本願発明のポリペプチド」という。)について、発明の詳細な説明には「本発明のポリペプチドをコードするポリヌクレオチドは、主に末梢リンパ球において発現される。本発明のポリヌクレオチドは、ヒト破骨細胞腫間質細胞由来のcDNAライブラリーにおいて発見された。これは、Gタンパク質共役レセプターファミリーに、構造的に関連する。これは、355アミノ酸残基のタンパク質をコードするオープンリーディングフレームを含む。このタンパク質は、ヒトC5aレセプターに全アミノ酸配列にわたり27%の同一性および54%の類似性で、最も高い程度の相同性を示す。」(明細書第5頁第20行?第27行)と記載され、本願発明のポリペプチドがヒトC5aレセプターとある程度の相同性を示すことは記載されている。 しかし、本願発明のポリペプチドが、実際にヒトC5aレセプターの機能を有していることを裏付ける具体的な記載は発明の詳細な説明に何ら示されていない。また、本願発明のポリペプチドとヒトC5aレセプターとのアミノ酸配列の同一性の値(27%)は、同一性の値としてはかなり低い値であるので、両ポリペプチドが同じ機能を有している蓋然性が高いとはいえない。 よって、本願発明のポリペプチドが、どのような機能を有しているのか不明であるから、発明の詳細な説明に、本願発明のポリペプチドが使用できるように記載されているとはいえない。 (2)審判請求人の主張について 審判請求人は、平成15年12月24日付けの意見書において、甲第1?4号証を提示して、「新請求項1に係る本願発明は、現在GPR1として知られる配列とほぼ同じです」(甲第1号証)、「このGPR1は、脳に発現するGタンパク質共役レセプターであり、脳由来細胞においてHIV-1の改変体および変異体に対するコレセプターとして機能します」(甲第2号証)、「GPR1のN末端ドメインの短いペプチドアナログが広範なHIV-1に対する活性を阻害することを示しております」(甲第4号証)と述べ、甲第1?4号証の記載から、新請求項1のポリヌクレオチドによってコードされるポリペプチドが実際に機能を有するレセプターポリペプチドである旨主張し、さらに、審判請求書において、甲第5?7号証を提示して、同様の主張をしている。 しかし、本願発明のポリペプチドがHIV-1の改変体および変異体に対するコレセプターとして機能することは、本願明細書には何ら記載されていない事項であるので、審判請求人の上記主張は採用できない。また、甲第2、4及び5?7号証は、いずれも本願出願後の文献であり、本願出願時の技術常識といえるものではないから、本願発明のポリペプチドがそのような機能を有することが発明の詳細な説明に記載されていることを示す証拠として採用できない。 (3)まとめ したがって、本願補正発明について、その目的、構成及び効果が、発明の詳細な説明に当業者が容易にその実施をすることができる程度に記載されているとは認められないから、本願は、平成6年改正前特許法第36条第4項に規定する要件を満たしていないので、本願補正発明は、特許出願の際独立して特許を受けることができない。 3.むすび 以上のとおりであるから、本件補正は、平成6年改正前特許法第17条の2第4項において準用する同法第126条第3項の規定に違反するので、同法第159条第1項の規定において読み替えて準用する同法第53条第1項の規定により却下すべきものである。 第3 本願発明について 1.本願発明 平成16年6月22日付けの手続補正は、上記のとおり却下されたので、本願の請求項1?30に係る発明は、平成15年12月24日付けの手続補正書の特許請求の範囲の請求項1?30に記載された事項により特定されたとおりのものであるところ、そのうちの請求項1に係る発明(以下、「本願発明」という。)は次のとおりのものである。 「1.単離されたポリヌクレオチドであって: (a)図1の推定アミノ酸配列を有するGタンパク質共役レセプターポリペプチドあるいは該ポリペプチドのフラグメント、アナログまたは誘導体をコードするポリヌクレオチド; (b)ATCC寄託番号75821に含有されるcDNAによりコードされるアミノ酸配列を有するGタンパク質共役レセプターポリペプチド、あるいは該ポリペプチドのフラグメント、アナログ、または誘導体をコードするポリヌクレオチド、からなる群より選択される、単離されたポリヌクレオチド。」 2.当審の判断 本願発明は、本願補正発明を包含するものであるが、当該本願補正発明について前記第2の2.で指摘したのと同様の理由で、本願発明についても、その目的、構成及び効果が、発明の詳細な説明に当業者が容易にその実施をすることができる程度に記載されているとは認められないから、本願は、平成6年改正前特許法第36条第4項に規定する要件を満たしていない。 3.むすび 以上のとおり、本願は、平成6年改正前特許法第36条第4項に規定する要件を満たしていないから、他の請求項に係る発明や他の拒絶の理由について検討するまでもなく、本願は拒絶すべきものである。 よって、結論のとおり審決する。 |
審理終結日 | 2007-12-03 |
結審通知日 | 2007-12-04 |
審決日 | 2007-12-17 |
出願番号 | 特願平8-507258 |
審決分類 |
P
1
8・
575-
Z
(C12N)
P 1 8・ 531- Z (C12N) P 1 8・ 14- Z (C12N) |
最終処分 | 不成立 |
前審関与審査官 | 斎藤 真由美 |
特許庁審判長 |
鵜飼 健 |
特許庁審判官 |
高堀 栄二 小暮 道明 |
発明の名称 | C5aレセプターをコードするポリヌクレオチド |
代理人 | 森下 夏樹 |
代理人 | 山本 秀策 |
代理人 | 安村 高明 |