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審決分類 審判 査定不服 特36条4項詳細な説明の記載不備 特許、登録しない。 A63F
審判 査定不服 5項独立特許用件 特許、登録しない。 A63F
審判 査定不服 2項進歩性 特許、登録しない。 A63F
管理番号 1177225
審判番号 不服2005-9661  
総通号数 102 
発行国 日本国特許庁(JP) 
公報種別 特許審決公報 
発行日 2008-06-27 
種別 拒絶査定不服の審決 
審判請求日 2005-05-23 
確定日 2008-05-08 
事件の表示 平成 9年特許願第336320号「景品管理システム」拒絶査定不服審判事件〔平成11年 6月 8日出願公開、特開平11-151371〕について、次のとおり審決する。 
結論 本件審判の請求は、成り立たない。 
理由 第1 手続の経緯
本願は平成9年11月20日の出願であって、平成17年4月22日付けで拒絶の査定がされたため、これを不服として同年5月23日付けで本件審判請求がされるとともに、同日付けで明細書についての手続補正(以下「本件補正」という。)がされたものである。

第2 補正の却下の決定
[補正の却下の決定の結論]
平成17年5月23日付けの手続補正を却下する。

[理由]
1.補正事項及び補正目的
本件補正は、特許請求の範囲の補正を含んでおり、具体的には補正前請求項1の「オペレータにより特殊モードへ推移する操作が行なわれた状態の下で、上記データ読取部により発券レシート上のバーコードを読み込まれたとき、」を「オペレータにより操作キーを景品POSの鍵穴に挿入し、所定の位置まで回転させ、特殊モードへ推移する操作が行なわれた際、この操作が行なわれた状態の下では運用日付チェックや時間外チェックは行わず、上記データ読取部により発券レシート上のバーコードを読み込まれたとき、」と補正し、「通信できない場合であっても、暗号解析の結果が暗号データの正常を示している場合には、照合を行わずに上記表示部に景品交換の画面を表示して景品交換を可能とする」との文言を加えるものであり、これらは特許請求の範囲の減縮(平成18年改正前特許法17条の2第4項2号該当)を目的とするものと認める。なお、本件補正により請求項数が1減少しており、補正前の請求項1又は請求項2のどちらか1つは削除されている。どちらを削除したのか、請求人は明言していないが、どちらであっても、削除されていない請求項に対して限定的減縮がされている。
そこで、本件補正後の請求項1に係る発明(以下「補正発明」という。)が特許出願の際独立して特許を受けることができるかどうか検討する。

2.補正発明の認定
補正発明は、本件補正により補正された明細書の特許請求の範囲【請求項1】に記載された事項によって特定されるものであり、その記載は次のとおりである。
「管理サーバ,計数機及び景品POSを具備し、管理サーバ、計数機および景品POSがLANで接続された景品管理システムであって、
管理サーバは、各種データを記憶し、
計数機は、パチンコ玉又はメダルの個数を計数するカウンタと、マイクロプロセッサと、データ出力部とを備え、
上記カウンタにより投入されたパチンコ玉又はメダルの個数を計数し、
少なくとも計数値を含む発券情報を暗号化して暗号データを作成し、上記データ出力部により、作成した暗号データを表すバーコードを発券レシートに印刷し、発券レシートを発行すると共に、上記LANを介して発券情報を管理サーバに通知し、
景品POSは、データ読取部と、マイクロプロセッサと、表示部とを備え、
システム障害が発生したとき、上記表示部に特殊モードへの推移を促すメッセージを表示し、
オペレータにより操作キーを景品POSの鍵穴に挿入し、所定の位置まで回転させ、特殊モードへ推移する操作が行なわれた際、この操作が行なわれた状態の下では運用日付チェックや時間外チェックは行わず、上記データ読取部により発券レシート上のバーコードを読み込まれたとき、バーコードが表す暗号データの解析を行い、暗号解析の結果が暗号データの正常を示している場合には管理サーバと通信できるか否かを調べ、
通信できる場合には暗号解析の結果得られる発券情報を上記LANを介して管理サーバに送って照合を依頼し、管理サーバから照合良好が送られてきた場合には、上記表示部に景品交換の画面を表示して景品交換可能とし、
通信できない場合であっても、暗号解析の結果が暗号データの正常を示している場合には、照合を行わずに上記表示部に景品交換の画面を表示して景品交換を可能とする
ことを特徴とする景品管理システム。」

3.独立特許要件の判断
上記のとおり、補正発明においては、システム障害が発生したときに、特殊モードへ推移する操作が行なわれ、特殊モード下の処理として、バーコードが表す暗号データの解析を行い、暗号解析の結果が暗号データの正常を示している場合に景品交換可能とするものの、その際に「運用日付チェックや時間外チェックは行わ」ないとしている。
本願明細書には出願当初から一貫して、「運用日付とは、店舗としての一日を区別するためのものであり、営業開始に先立って管理サーバ2から玉/メダル計数機1や管理POS3(審決注;「景品POS3」の誤記と解する。)にダウンロードされる。」(段落【0010】)及び「鍵を使用して、発券情報を暗号データに書き換える。鍵は、例えば業務開始時に管理サーバから玉計数機および景品POSに送られる。」(段落【0013】)とそれぞれ記載されている。
ここで、「暗号解析の結果が暗号データの正常を示している場合」とは、発券レシート発行(玉計数機が発行する。)に際して用いられた鍵と暗号解析(景品POSが解析する。)に用いられた鍵が一致する場合であり、鍵が管理サーバから玉計数機及び景品POSに送られる時点では、計数機、景品POS及び管理サーバ間の通信は正常に行われたことを意味する。そして、運用日付は、営業終了時刻と営業開始時刻の間であれば、任意の時刻に更新することが可能である(営業終了直後の更新は、営業終了後に対する顧客サービスを考慮し、避けるべきであろうが、それ以降であれば何時に更新しても差し支えない。後記引用例に記載された実施例では、営業終了の3時間後に運用日付を更新している。)が、更新後営業開始までは、玉計数機、景品POS及び管理サーバ間を起動する必要も、これら機器間で運用日付を共有する必要もない。そして、段落【0010】によれば、運用日付は「営業開始に先立って管理サーバ2から玉/メダル計数機1や景品POS3にダウンロードされる。」のであるが、営業開始の相当以前に、管理サーバ、計数機及び景品POSを起動して、運用日付をダウンロードすることには技術的意義がないから、ダウンロード時刻は、鍵が管理サーバから玉計数機及び景品POSに送られる業務開始時とそれほど異ならないと解され、その時点では玉計数機、景品POS及び管理サーバ間の通信は正常に行われている以上、玉計数機と景品POSは共通の運用日付を有すると解される。仮に、営業開始の相当以前に運用日付がダウンロードされるが、その際正しくダウンロードされず(通信不能状態等)、営業開始時には通信が復旧しており、その状況を「システム障害」と認識できるのであれば、通信が復旧した時点において再度運用日付をダウンロードすれば済むことである。
本願明細書には、出願当初から一貫して「POSと管理サーバが通信できない状態の下で管理サーバと計数機間がオンライン状態の場合、発券レシートの運用日付が異なる。」(段落【0019】)との記載があり、これが運用日付チェックを行わない理由とされているが、上記説示のとおり、かかる状況が発生する理由を理解できない。
以上の点につき、平成20年1月11日付けで請求人に対し審尋したところ、請求人は「運用日付は事前に送られ、鍵は業務開始時に送られます。」及び「例えば、運用日付はある時点で与えられたデータを自動的に更新することで作成できもできるので、必ずしも毎回送る必要がない場合もありますが、鍵は毎回送られる場合が多いと考えられます。」と回答したが、運用日付と鍵を送る時点を異ならせなければならない理由がないばかりか、上記のとおり通信が復旧した時点において再度運用日付をダウンロードすれば済むことである。また、運用日付を毎回送らないのだとすると、玉計数機及び景品POSはそれぞれカレンダーを有している(日付の更新は午前0時ではなく、運用日付更新時刻である。)と見るべきであり、カレンダーを有しているのであれば、なおさら「POSと管理サーバが通信できない状態の下で管理サーバと計数機間がオンライン状態の場合、発券レシートの運用日付が異なる。」との状況には至らない。
以上のとおりであるから、「暗号解析の結果が暗号データの正常を示している」ことを前提とした上で、発券レシート上の運用日付と景品POSが有する運用日付が不一致となる状況が存在することは理解できない。
そして、「暗号解析の結果が暗号データの正常を示している」ことを前提とした上で、発券レシート上の運用日付と景品POSが有する運用日付が一致するのであれば、当然運用日付のチェックを行うべきであり、これを省略することの技術的意義を理解できない。
この点についても、平成20年1月11日付けで請求人に対し審尋したところ、請求人は「回線異常や計数機,管理サーバ・ダウンした場合などの状況下においても、手入力処理を行わずに、景品交換処理できるようにするために本願発明において採用された技術的手法であって、本願発明においては、特殊条件においてチェック条件をある程度緩和することは許容しており、これにより特殊条件下における景品交換処理を可能としています。」と回答したが、運用日付が一致するにも拘わらずこれを省略することの技術的意義を理解することはできない。運用日付が一致しても省略するというのなら、システム障害が発生していない場合にも省略すべきであるが、常時省略するのであれば、運用日付を記入することの意味がない。
しかも、特殊モードへ推移する操作が行なわれた状態の下では運用日付チェックを行わないことは、仮に本件補正を採用した場合に、後記引用発明との最も重要な相違点となる事項であり、その技術的意義が不明確なままでは、進歩性の判断にも著しく支障を来す。
そうである以上、発明の詳細な説明については、当業者が補正発明の技術上の意義を理解するために必要な事項を記載したと認めることはできず(特許法施行規則24条の2違反)、運用日付が一致しないのであれば、どのようなシステムにおいて一致しないのかが発明の詳細な説明又は図面に記載されていないから、当業者が補正発明を実施することができる程度に明確かつ十分に記載したものと認めることもできない。
以上のとおり、発明の詳細な説明の記載は、平成14年改正前特許法36条4項に規定する要件を満たしていないから、補正発明は特許出願の際独立して特許を受けることができない。

[補正の却下の決定のむすび]
補正発明が特許出願の際独立して特許を受けることができないから、本件補正は平成18年改正前特許法17条の2第5項で準用する同法126条5項の規定に違反しており、本件補正は同法159条1項で読み替えて準用する同法53条1項の規定により却下されなければならない。
よって、補正の却下の決定の結論のとおり決定する。

第3 本件審判請求についての判断
1.本願発明の認定
本件補正が却下されたから、本願の請求項1に係る発明(以下「本願発明」という。)は、平成16年7月26日付けで補正された明細書の特許請求の範囲【請求項1】に記載された事項によって特定される次のとおりのものと認める。
「管理サーバ,計数機及び景品POSを具備し、管理サーバ、計数機および景品POSがLANで接続された景品管理システムであって、
管理サーバは、各種データを記憶し、
計数機は、パチンコ玉又はメダルの個数を計数するカウンタと、マイクロプロセッサと、データ出力部とを備え、
上記カウンタにより投入されたパチンコ玉又はメダルの個数を計数し、
少なくとも計数値を含む発券情報を暗号化して暗号データを作成し、上記データ出力部により、作成した暗号データを表すバーコードを発券レシートに印刷し、発券レシートを発行すると共に、上記LANを介して発券情報を管理サーバに通知し、
景品POSは、データ読取部と、マイクロプロセッサと、表示部とを備え、
システム障害が発生したとき、上記表示部に特殊モードへの推移を促すメッセージを表示し、オペレータにより特殊モードへ推移する操作が行なわれた状態の下で、上記データ読取部により発券レシート上のバーコードを読み込まれたとき、
バーコードが表す暗号データの解析を行い、暗号解析の結果が暗号データの正常を示している場合には管理サーバと通信できるか否かを調べ、
通信できる場合には暗号解析の結果得られる発券情報を上記LANを介して管理サーバに送って照合を依頼し、
管理サーバから照合良好が送られてきた場合には、上記表示部に景品交換の画面を表示し、景品交換可能とする
ことを特徴とする景品管理システム。」

2.引用刊行物の記載事項
原査定の拒絶の理由に引用された特開平9-220345号公報(以下「引用例」という。)には、以下のア?キの記載が図示とともにある。
ア.「投入されたパチンコ玉数を計数し、計数されたパチンコ玉数,発券発行物識別情報,日付時刻情報を持つ発券情報を管理サーバに通知すると共に、発券情報が記録された発券発行物を発行する景品計数機と、
発券発行物に記録されている発券情報を読み取り、読み取った発券情報の照合を管理サーバに依頼し、管理サーバから照合良好が返ってきたときには景品交換処理を行う景品交換装置と、
景品計数機から送られてきた発券情報を記録し、景品交換装置からの発券情報の照合依頼を受信した時には、受信した受信発券情報と記録している記録発券情報の照合を行い、照合良好の場合には照合良好を依頼元の景品交換装置に送る管理サーバとを具備する景品交換システムであって、
景品交換装置は、発券発行物チェック処理手段と、運用日付更新処理手段と、時計回路と、記憶部と、データベースとを有し、
記憶部は、営業開始時刻,営業終了時刻,運用日付更新時刻,運用日付を記憶し、
データベースは、受付済みの発券情報を記憶し、
運用日付更新処理手段は、時計回路および運用日付更新時刻に基づいて、運用日付を更新するための処理を行い、
発券発行物チェック処理手段は、自己の属する景品交換装置と管理サーバの間の通信が行えない状態の下においては、読み取った発券情報が受付済み発券情報としてデータベースに存在しないこと、読み取った発券情報の日付と運用日付が一致していること、読み取った発券情報の時刻が営業開始時刻と営業終了時刻で規定される営業時間内に存在することを条件として、景品交換可と判断することを特徴とする景品交換システム。」(【請求項3】)
イ.「図9は景品計数機のブロック図である。同図において、4はマイクロプロセッサ、5はホッパ、6は玉数カウンタ、7は表示部、8は操作部、9はデータ出力部、10はインタフェース部、11は通信ホストをそれぞれ示している。」(段落【0004】)
ウ.「図11は景品計数機の発券処理フローを示す図である。御客が景品計数機のホッパにパチンコ玉を投入すると、玉数カウンタで計数され、計数されたパチンコ玉数が表示部に表示される。御客が発券ボタンを押下すると、計数された玉数,発券ナンバー,計数機ナンバー等を管理サーバに通知する。次いで、計数された玉数,発券ナンバー,計数機ナンバー等をもとに暗号データを作成し、発券レシート上に玉数,発券ナンバー,計数機ナンバー等を文字列で印刷すると共に暗号データとその他のデータをバーコード化して印刷し、印刷された発券レシートを発行する。」(段落【0008】)
エ.「鍵を使用して、発券情報を暗号データに書き換える。鍵は、重みと種別から構成されている。鍵は、営業開始時に管理サーバから景品計数機に送られる。景品計数機は、受け取った鍵をもとに暗号化された景品データを作成する。」(段落【0010】)
オ.「図15は景品交換装置のブロック図である。同図において、12はマイクロプロセッサ、13は表示部、14は操作部、15は記憶装置、16はインタフェース部、17は出力部、18はデータ読取部、19は通信ホストをそれぞれ示している。」(段落【014】)
カ.「景品交換装置はバーコードの暗号データ部分を復号化し、復号化されたデータが正しいものか否かを調べる。正しい場合には、復号化の結果得られる景品計数機ナンバー,発券ナンバー,玉数などから構成される発券情報を管理サーバに送り、照合を依頼し、照合結果OKを受け取ると、交換情報を画面に表示する。復号化されたデータが正しいものでない場合には、その旨を示すメッセージを画面に表示する。」(段落【0018】)
キ.「基本的には、管理サーバとパチンコ店専用の景品POSがオンライン状態で上記の処理を行っているが、オフライン状態(管理サーバダウンやネットワーク断など)になった場合でも、上記の処理を実現できる。」(段落【0026】)

3.引用例記載の発明の認定
引用例には、「景品交換装置」及び「景品POS」との用語が混在して用いられているが、これらが同義であることは明らかであるから、「景品POS」との用語に統一する。
記載ア?キを含む引用例の全記載及び図示によれば、引用例には次のような発明が記載されていると認めることができる。
「投入されたパチンコ玉数を計数し、計数されたパチンコ玉数,発券発行物識別情報,日付時刻情報を持つ発券情報を管理サーバに通知すると共に、発券情報を暗号化及びバーコード化して発券発行物を発行する景品計数機と、
発券発行物に記録されている暗号化及びバーコード化された発券情報を読み取り、読み取った発券情報の照合を管理サーバに依頼し、管理サーバから照合良好が返ってきたときには景品交換処理を行う景品POSと、
景品計数機から送られてきた発券情報を記録し、景品交換装置からの発券情報の照合依頼を受信した時には、受信した受信発券情報と記録している記録発券情報の照合を行い、照合良好の場合には照合良好を依頼元の景品POSに送る管理サーバとを具備する景品交換システムであって、
景品計数機はマイクロプロセッサ、ホッパ、玉数カウンタ、表示部、操作部、データ出力部、インタフェース部及び通信ホストを備え、
景品POSは、マイクロプロセッサ、表示部、操作部、記憶部、データベース、インタフェース部、出力部、データ読取部及び通信ホストを備え、記憶装置には営業開始時刻,営業終了時刻,運用日付更新時刻及び運用日付を記憶し、データベースには、受付済みの発券情報を記憶し、運用日付を更新するための処理を行い、
自己の属する景品POSと管理サーバの間の通信が行える状態の下においては、復号化の結果得られる発券情報を管理サーバに送り、照合を依頼し、照合結果OKを受け取ると、交換情報を画面に表示し、復号化されたデータが正しいものでない場合には、その旨を示すメッセージを画面に表示し、自己の属する景品POSと管理サーバの間の通信が行えない状態の下においては、読み取った発券情報が受付済み発券情報としてデータベースに存在しないこと、読み取った発券情報の日付と運用日付が一致していること、読み取った発券情報の時刻が営業開始時刻と営業終了時刻で規定される営業時間内に存在することを条件として、景品交換可と判断し、交換情報を表示部に表示する景品交換システム。」(以下「引用発明」という。)

4.本願発明と引用発明の一致点及び相違点の認定
引用発明では、「管理サーバ」と「景品計数機」(本願発明の「計数機」に相当)、及び「管理サーバ」と「景品POS」が通信可能に接続されており、これは本願発明でいう「管理サーバ、計数機および景品POSがLANで接続」と格別異ならず、全体のシステムを「景品管理システム」(本願発明)と称するか「景品交換システム」(引用発明)と称するかに技術上の相違はない。
引用発明の「管理サーバ」は、「発券情報」を記憶しており、「管理サーバ」である以上、それ以外のデータも記憶していることが明らかであるから、「管理サーバは、各種データを記憶し、」との構成は本願発明と引用発明の一致点である。
引用発明の「景品計数機」における「玉数カウンタ」は本願発明の「パチンコ玉又はメダルの個数を計数するカウンタ」に相当し、「少なくとも計数値を含む発券情報を暗号化して暗号データを作成し、上記データ出力部により、作成した暗号データを表すバーコードを発券レシートに印刷し、発券レシートを発行すると共に、上記LANを介して発券情報を管理サーバに通知し、」との機能は本願発明と引用発明の一致点である。
「景品POS」が「バーコードが表す暗号データの解析を行」うこと、及び「管理サーバと通信できる場合には暗号解析の結果得られる発券情報を上記LANを介して管理サーバに送って照合を依頼し、管理サーバから照合良好が送られてきた場合には、上記表示部に景品交換の画面を表示し、景品交換可能とする」ことも本願発明と引用発明の一致点である。
したがって、本願発明と引用発明は、
「管理サーバ,計数機及び景品POSを具備し、管理サーバ、計数機および景品POSがLANで接続された景品管理システムであって、
管理サーバは、各種データを記憶し、
計数機は、パチンコ玉又はメダルの個数を計数するカウンタと、マイクロプロセッサと、データ出力部とを備え、
上記カウンタにより投入されたパチンコ玉又はメダルの個数を計数し、
少なくとも計数値を含む発券情報を暗号化して暗号データを作成し、上記データ出力部により、作成した暗号データを表すバーコードを発券レシートに印刷し、発券レシートを発行すると共に、上記LANを介して発券情報を管理サーバに通知し、
景品POSは、データ読取部と、マイクロプロセッサと、表示部とを備え、
上記データ読取部により発券レシート上のバーコードを読み込まれたとき、バーコードが表す暗号データの解析を行い、暗号解析の結果が暗号データの正常を示しており、管理サーバと通信できる場合には暗号解析の結果得られる発券情報を上記LANを介して管理サーバに送って照合を依頼し、
管理サーバから照合良好が送られてきた場合には、上記表示部に景品交換の画面を表示し、景品交換可能とする景品管理システム。」である点で一致し、次の点で相違する。
〈相違点〉本願発明が「システム障害が発生したとき、上記表示部に特殊モードへの推移を促すメッセージを表示し、オペレータにより特殊モードへ推移する操作が行なわれた状態の下で、上記データ読取部により発券レシート上のバーコードを読み込まれたとき、
バーコードが表す暗号データの解析を行い、暗号解析の結果が暗号データの正常を示している場合には管理サーバと通信できるか否かを調べ、
通信できる場合には暗号解析の結果得られる発券情報を上記LANを介して管理サーバに送って照合を依頼し、
管理サーバから照合良好が送られてきた場合には、上記表示部に景品交換の画面を表示し、景品交換可能とする」としているのに対し、引用発明においてもシステム障害の発生は予定されている(「自己の属する景品POSと管理サーバの間の通信が行えない状態」がこれに該当)ものの、その状態は景品POSが管理サーバと通信できる場合に該当せず、その結果本願発明の上記発明特定事項を有さない点。

5.相違点の判断及び本願発明の進歩性の判断
上記のとおり、引用発明は「自己の属する景品POSと管理サーバの間の通信が行えない状態」を予定している反面、引用例には計数機と管理サーバが通信不能となることに関する記載は一切ない。しかし、景品POSと管理サーバの間の通信が不能になることが想定されるものであれば、当然計数機と管理サーバが通信不能となることも想定でき、これもシステム障害である。
そして、営業開始後、計数機(これは引用例の【図8】にあるとおり複数存在する。)の1つが管理サーバとの通信機能を失った場合や、一時的に計数機と管理サーバが通信不能になった場合、計数機が発券処理を行わないことは不都合である。景品POSと管理サーバ間が通信不能の際にオフライン処理をするのであれば、計数機と管理サーバ間が通信不能の際にもオフライン処理すべきである。他方、計数機と管理サーバ間が通信不能であれば、発券情報を計数機から管理サーバに通知することができず、その結果景品POSからの依頼に応えて照合処理をすれば、景品交換不可との回答にならざるを得ず、遊技者にとって著しく不都合である。営業当日のすべての発券情報が管理サーバに通知されていないのであれば、発券情報照合を省略することが合理的であろうが、通知された発券情報と通知されていない発券情報が混在する場合(そのような場合があることはたやすく予測できる。)に、通知されている発券情報による照合をしないことは、大きな無駄である。
ここで、通知された発券情報と通知されていない発券情報が混在する場合において、管理サーバにおいて照合し、一致すると判断されるものは真の発券レシートであり、それ以外のものは真偽不明の発券レシートである。このような場合、遊技者の利益を損なわず、かつ照合等の処理を簡素化しようとすれば、真の発券レシートと真偽不明の発券レシートを区分し、真の発券レシートについては直ちに景品交換をし、真偽不明の発券レシートに対してはさらなる調査を行うことである。さらなる調査としては、例えば、通信不能期間が判明しているのであれば、発券レシートの発券時刻が通信不能期間内かどうかを判断すること、特定の計数機だけが通信不能となったのであれば、発券レシートがどの計数機で発券されたかの調査等である。これらのさらなる調査は、システム障害が発生していない場合には、行う必要のない調査であるから、これらのさらなる調査を行うか行わないかを、システム障害発生の有無に応じて切り替えることは当業者にとって想到容易である。システム障害発生に応じてさらなる調査を行うことが本願発明の「特殊モード」に相当し、そのような「特殊モード」への推移は権限のある者だけが実行できるように、「表示部に特殊モードへの推移を促すメッセージを表示し、オペレータにより特殊モードへ推移する操作」を景品POSに行うことにも何の困難性もない。
また、引用発明を出発点として、上記の意味での特殊モードに推移しても、景品POSが管理サーバと通信できるかどうかは未確定であり、通信可能な場合に、引用発明では「通信できる場合には暗号解析の結果得られる発券情報を上記LANを介して管理サーバに送って照合を依頼し、管理サーバから照合良好が送られてきた場合には、上記表示部に景品交換の画面を表示し、景品交換可能」としているのだから、管理サーバと通信できるか否かを調べ、通信できる場合に上記引用発明の構成を踏襲することは当然のことである。

ここまでは、計数機と管理サーバが通信不能となるシステム障害について検討したが、システム障害はこれに限られるものではない。景品計数機の「データ出力部」とは、端的にいってプリンタであり、プリンタには用紙不足、用紙詰まりといった異常がつきものであって、このような異常が営業終了直前に発生した場合を検討する。その場合、異常を解消(例えば用紙補給)をした上で、発券レシートを出力するのが単純であるが、異常発生が営業終了直前であれば、レシートの出力が営業終了後となる事態は十分予測できる。ところが、引用発明では「読み取った発券情報の時刻が営業開始時刻と営業終了時刻で規定される営業時間内に存在することを条件として、景品交換可と判断」するのだから、上記異常が発生した際に発行される発券レシートに対して、引用発明の同構成をそのまま適用することが不都合なことは明らかである。そうであれば、かかる異常をシステム障害発生と認識し、障害発生時には「読み取った発券情報の時刻が営業開始時刻と営業終了時刻で規定される営業時間内に存在することを条件」とすることを省略することは当業者にとって想到容易であり、そのことは、本願発明でいう「特殊モード」に推移(オペレータの操作により推移することには何の困難性もない。)することにほかならない。もちろん、推移しても景品POSと管理サーバは通信可能な場合と通信不能な場合があるから、「読み取った発券情報の時刻が営業開始時刻と営業終了時刻で規定される営業時間内に存在することを条件」とすることを除いては、引用発明の構成をそのまま踏襲すべきことは当然である。
以上のとおりであるから、相違点に係る本願発明の構成を採用することは当業者にとって想到容易であり、同構成を採用したことによる格別の作用効果を認めることもできない。
したがって、本願発明は引用発明に基づいて当業者が容易に発明をすることができたものであるから、特許法29条2項の規定により特許を受けることができない。

第4 むすび
本件補正は却下されなければならず、本願発明が特許を受けることができない以上、本願の請求項2に係る発明について検討するまでもなく、本願は拒絶を免れない。
よって、結論のとおり審決する。
 
審理終結日 2008-03-06 
結審通知日 2008-03-11 
審決日 2008-03-24 
出願番号 特願平9-336320
審決分類 P 1 8・ 536- Z (A63F)
P 1 8・ 121- Z (A63F)
P 1 8・ 575- Z (A63F)
最終処分 不成立  
前審関与審査官 太田 恒明  
特許庁審判長 津田 俊明
特許庁審判官 中槙 利明
川島 陵司
発明の名称 景品管理システム  
代理人 長澤 俊一郎  
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