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審決分類 審判 査定不服 2項進歩性 特許、登録しない。 H05K
審判 査定不服 4号2号請求項の限定的減縮 特許、登録しない。 H05K
管理番号 1177242
審判番号 不服2005-17460  
総通号数 102 
発行国 日本国特許庁(JP) 
公報種別 特許審決公報 
発行日 2008-06-27 
種別 拒絶査定不服の審決 
審判請求日 2005-09-12 
確定日 2008-05-08 
事件の表示 平成8年特許願第347197号「回路基板」拒絶査定不服審判事件〔平成10年7月21日出願公開、特開平10-190176〕について、次のとおり審決する。 
結論 本件審判の請求は、成り立たない。 
理由 [1]手続の経緯
本願は、平成8年12月26日の出願であって、平成17年4月25日付で拒絶理由通知がなされ、同年5月17日付で意見書及び手続補正書が提出され、平成17年4月25日付拒絶理由通知書に記載した理由によって、同年8月23日付で拒絶査定がなされ、これに対し、同年9月12日に拒絶査定に対する審判請求がなされるとともに、同日付で手続補正書が提出されたものである。

[2]平成17年9月12日付手続補正についての補正却下の決定

<補正却下の決定の結論>
平成17年9月12日付手続補正を却下する。

<理由>
[2-1]補正の内容
平成17年9月12日付手続補正は、特許請求の範囲を、
「【請求項1】セラミックス基板の片面に金属回路が、その反対面に金属放熱板が接合層を介してなる回路基板であって、接合層が金属部材の端部から金属部材の厚みの0.1倍以上、1.0倍以下はみ出しており、且つ、接合層とセラミックス基板のなす角が40度以上、70度以下である回路基板の製造において、セラミックス基板の縁部を真直度、直角度を1/100以下に高精度加工してから用いることを特徴とする回路基板の製造方法。
【請求項2】セラミックス基板に窒化アルミニウム焼結体また窒化珪素焼結体を用いたことを特徴とする請求項1記載の回路基板の製造方法。」と補正するものである。

[2-2]補正の目的
上記手続補正は、特許法第17条の2第1項第4号に掲げる場合において特許請求の範囲についてする補正であるから、同条第4項各号に掲げる事項を目的とするものか否かについて以下検討する。
まず、特許法第17条の2第4項第2号に規定される特許請求の範囲の減縮という目的に該当するか否かについてみるに、補正後の請求項1、2についての補正は、補正前の請求項1、2に記載されていた、
「【請求項1】セラミックス基板の片面に金属回路が、その反対面に金属放熱板が接合層を介してなる回路基板であって、接合層が金属部材の端部から金属部材の厚みの0.1倍以上、1.0倍以下はみ出しており、且つ、接合層とセラミックス基板のなす角が40度以上、70度以下であることを特徴とする回路基板。
【請求項2】セラミックス基板に窒化アルミニウム焼結体また窒化珪素焼結体を用いたことを特徴とする請求項1記載の回路基板。」の発明を、それらの製造方法に関する事項である「回路基板の製造において、セラミックス基板の縁部を真直度、直角度を1/100以下に高精度加工してから用いる」を付加してそれぞれ「回路基板の製造方法」の発明に補正しようとするものである。
しかしながら、補正前において「回路基板」という物の発明であったものを、それらの製造方法に関する事項を付加して、該「回路基板」の製造方法の発明に変更しようとする上記補正は、補正前の請求項1、2に記載した「回路基板」の発明を特定するために必要な事項を限定するものとはいえない。
したがって、当該補正は、特許法第17条の2第4項第2号に掲げる特許請求の範囲の減縮には該当しない。
次に、その他の目的要件についてみるに、補正前において物の発明であったものを方法の発明に変更する上記の補正は、特許法第17条の2第4項第1号に掲げる請求項の削除、同項第3号に掲げる誤記の訂正に該当しないことは明らかであり、また、同項第4号に掲げる、拒絶理由通知に係る拒絶の理由に示す事項についてする明りょうでない記載の釈明を目的とするものにも該当しない。

[2-3]むすび
以上のとおり、本件補正は、特許法第17条の2第4項の規定に違反しているので、同法第159条第1項において読み替えて準用する同法第53条第1項の規定により却下すべきものである。

[3]本願発明
平成17年9月12日付手続補正は上記のとおり却下されたので、本願請求項1、2に係る発明は、平成17年5月17日付手続補正書によって補正された特許請求の範囲の請求項1、2に記載された事項により特定されるものと認められるところ、その請求項1に係る発明(以下、「本願発明1」という。)は以下のとおりである。
「【請求項1】セラミックス基板の片面に金属回路が、その反対面に金属放熱板が接合層を介してなる回路基板であって、接合層が金属部材の端部から金属部材の厚みの0.1倍以上、1.0倍以下はみ出しており、且つ、接合層とセラミックス基板のなす角が40度以上、70度以下であることを特徴とする回路基板。」

[4]引用刊行物の記載事項
これに対して、原査定の拒絶の理由に引用された、本願出願前に頒布された刊行物である特開平6-263554号公報(以下、「引用刊行物1」という。)、及び、同じく特開平5-347469号公報(以下、「引用刊行物2」という。)には、それぞれ以下の事項が記載されている。

[4-1]引用刊行物1:特開平6-263554号公報
(1a)「【請求項1】窒化アルミニウム系セラミック基板と、Ti、Zr、HfおよびNbから選ばれた少なくとも 1種の活性金属を含むろう材層を介して、前記窒化アルミニウム系セラミックス基板の少なくとも一方の主面に接合された金属板とを具備する・・・セラミックス-金属接合基板。」(【特許請求の範囲】)、
(1b)「【0028】実施例1
まず、 AlN系基板用の焼結体(・・・)を用意した。・・・
【0029】次に、上記 AlN焼結体の両主面に対してホーニング加工を2回施し、深さ方向に約 3.8μm 研削した。・・・
【0030】一方、重量比でAg:Cu:Ti=67.7:26.3:6.0の活性金属含有ろう材を用意し、このろう材に樹脂バインダおよび分散媒を適量加え、十分に混合してろう材ペーストを作製した。このろう材ペーストを上記ホーニング加工後の AlN焼結体表面にそれぞれ塗布厚が30μm となるようにスクリーン印刷した。
【0031】次いで、図3に示すように、半導体素子搭載側金属板(表パターン)として厚さ 0.3mmのパターニングしたCu板11を、また放熱側金属板(裏パターン)として厚さ0.25mmのCu板12を、それぞれろう材ペーストの塗布層上に配置し、 1×10^(-4)Torrの真空中にて、 850℃×10分の条件で接合を行った。このようにして、AlN系基板13の両主面に、それぞれ活性金属含有ろう材層14を介してCu板11、12が接合された、AlN-Cu接合基板15を得た。」(段落【0028】?【0031】)、
(1c)「【0043】【発明の効果】以上説明したように、本発明のセラミックス-金属接合基板によれば、安定して高接合強度が得られると共に、熱サイクルの付加等によるセラミックス基板側のクラックを抑制することができる。よって、高接合強度を有すると共に、熱サイクル特性に優れた、信頼性の高いセラミックス-金属接合基板を、再現性よく提供することが可能となる。」(段落【0043】)、
が記載されている。
[4-2]引用刊行物2:特開平5-347469号公報
(2a)「【請求項1】セラミックス基板と、このセラミックス基板上にろう材層を介して接合された金属回路板とを有するセラミックス回路基板において、
前記ろう材層は、前記金属回路板の側面の一部を覆うように設けられていることを特徴とするセラミックス回路基板。」(【特許請求の範囲】)、
(2b)「【0012】また、上記ろう材層の端部は、テーパー形状とすることが好ましい。このように、加熱接合後の冷却過程や冷熱サイクルの付加により生じる熱応力の主応力部となるろう材層の端部形状をテーパー状とし、肉厚を薄くすることによって、熱応力を薄肉部の塑性変形により吸収することができるため、より一層冷熱サイクルに対する信頼性の向上を図ることができる。」(段落【0012】)、
(2c)「【0018】実施例1
まず、厚さ0.8mmtの板状の窒化アルミニウム基板と、厚さ0.3mmtの銅回路板(最小線幅 0.3mm、最小線間 0.3mm)とを用意した。一方、重量比でAg:Cu:Ti=70.6:27.4:2.0のろう材を用意し、このろう材に樹脂バインダおよび分散媒を適量加え、十分に混合してろう材ペーストを作製した。
【0019】次に、窒化アルミニウム基板の一方の主面に、上記したろう材ペーストをスクリーン印刷により塗布した。このろう材ペーストは、回路パターンの幅より 20%広く、かつ厚さが50μm 程度となるように塗布した。・・・
【0020】この後、上記窒化アルミニウム基板と銅回路板との積層物を、1×10^(-4)Torr以下の真空中にて 850℃×10分の条件で熱処理して、窒化アルミニウム基板と銅回路板とをろう材層を介して接合し、目的とするセラミックス回路基板を得た。
【0021】このようにして得たセラミックス回路基板の接合状態を観察したところ、図1に示すように、銅回路板1の側面1aの板厚の約 1/2のところまで、ろう材層2により覆われていた。また、ろう材層2の端部2aは、図1に示すように、テーパー形状を有していた。なお、図中3は窒化アルミニウム基板である。
【0022】また、上記セラミックス回路基板における銅回路板のピール強度、および冷熱サイクル特性を評価したところ、ピール強度は25kgf/cmと良好な値を示し、また冷熱サイクル試験(-40℃×30分+RT×10分+125℃×30分+RT×10分を 1サイクルとする)においては 300サイクルまでクラックの発生は認められず、十分な応力緩和効果が得られていることを確認した。」(段落【0018】?【0022】)、
が記載されている。

[5]対比・判断
[5-1]引用刊行物1に記載された発明
上記摘記(1a)によれば、引用刊行物1には、窒化アルミニウム系セラミックス基板と、活性金属を含むろう材層を介して、前記窒化アルミニウム系セラミックス基板の少なくとも一方の主面に接合された金属板とを具備するセラミックス-金属接合基板が記載されている。また、上記摘記(1b)によれば、上記セラミックス-金属接合基板には、上記窒化アルミニウム系セラミックス基板の半導体素子搭載側にパターニングした金属板を、また上記窒化アルミニウム系セラミックス基板の裏側に放熱側金属板をそれぞれ上記ろう材層を介して接合した態様のものが含まれる。
上記の点を踏まえ、上記摘記(1a)?(1c)の事項を総合すると、引用刊行物1には、次の「セラミックス-金属接合基板」の発明(以下、「引用発明1」という。)が記載されているものと認められる。

引用発明1:「窒化アルミニウム系セラミックス基板の半導体素子搭載側の主面にパターニングした金属板を、また該基板の裏側の主面に放熱側金属板を、それぞれ活性金属を含むろう材層を介して接合したセラミックス-金属接合基板。」

[5-2]本願発明1と引用発明1との対比
本願発明1と引用発明1とを対比すると、
(ア)引用発明1における「窒化アルミニウム系セラミックス基板の半導体素子搭載側の主面にパターニングした金属板」は、該基板の半導体素子搭載側の、半導体素子を搭載する回路を構成するものといえるから、「金属回路」に該当し、また、該「金属回路」をろう材層を介して接合した「セラミックス-金属接合基板」は、「回路基板」に他ならない。
(イ)引用発明1における「窒化アルミニウム系セラミックス基板」、「窒化アルミニウム系セラミックス基板の半導体素子搭載側の主面」、「基板の裏側の主面」、「放熱側金属板」、「活性金属を含むろう材層」は、それぞれ本願発明1における「セラミックス基板」、「セラミックス基板の片面」、「セラミックス基板の片面・・・の反対面」、「金属放熱板」、「接合層」に相当する。
してみると、両発明は、「セラミックス基板の片面に金属回路が、その反対面に金属放熱板が接合層を介してなる回路基板。」の点で一致し、次の点で相違する。

相違点1:本願発明1では、接合層が金属部材の端部から金属部材の厚みの0.1倍以上、1.0倍以下はみ出しているのに対し、引用発明1では、そのように記載されていない点。

相違点2:本願発明1では、接合層とセラミックス基板のなす角が40度以上、70度以下であるのに対し、引用発明1では、そのように記載されていない点。

[5-3]相違点についての検討
(1)相違点1について
本願明細書の「本発明のろう材のはみ出しは金属部材の全周囲で完全に達成される必要はなく、その一部がはみ出していれば十分である。」(段落【0019】)との記載によれば、本願発明1では、金属部材の端部の一部のみの接合層が、該金属部材の厚みの0.1倍以上、1.0倍以下はみ出していればよいものである。
一方、引用刊行物2には、「セラミックス基板と、このセラミックス基板上にろう材層を介して接合された金属回路板とを有するセラミックス回路基板」(摘記(2a)参照)について、
「ろう材層は、前記金属回路板の側面の一部を覆うように設けられている」(摘記(2a)参照)、
「窒化アルミニウム基板と、厚さ0.3mmtの銅回路板(最小線幅 0.3mm、最小線間 0.3mm)とを用意した。・・・窒化アルミニウム基板の一方の主面に、上記したろう材ペーストをスクリーン印刷により塗布した。このろう材ペーストは、回路パターンの幅より 20%広く、かつ厚さが50μm 程度となるように塗布した。・・・熱処理して、窒化アルミニウム基板と銅回路板とをろう材層を介して接合し、目的とするセラミックス回路基板を得た。・・・図1に示すように、銅回路板1の側面1aの板厚の約 1/2のところまで、ろう材層2により覆われていた。また、ろう材層2の端部2aは、図1に示すように、テーパー形状を有していた。・・・上記セラミックス回路基板における銅回路板のピール強度、および冷熱サイクル特性を評価したところ、ピール強度は25kgf/cmと良好な値を示し、また冷熱サイクル試験(・・・)においては 300サイクルまでクラックの発生は認められず、十分な応力緩和効果が得られている」(摘記(2c)参照)との記載により、セラミックス基板である窒化アルミニウム基板面に厚さ0.3mmtの銅回路板(最小線幅 0.3mm、最小線間0.3mm)を接合するため、該窒化アルミニウム基板面にろう材ペーストを、最小線幅 0.3mmの回路パターンの幅より20%広く塗布し、熱処理してテーパー形状にぬれ広がらせ、該接合のピール強度、および冷熱サイクル特性の向上を図ることが記載されている。また、回路間の干渉を防ぐべく、ろう材が最小線間0.3mmの間隔を越えてぬれ広がらないようにする必要があることは、自明の事項である。
そうすると、引用刊行物2の上記記載において、窒化アルミニウム基板と厚さ0.3mmtの銅回路板とを、接合のピール強度、および冷熱サイクル特性の向上を図り、かつ回路間で干渉しないようにろう材層を介して接合するに際し、ろう材を窒化アルミニウム基板上に銅回路板の回路パターンの幅より20%広く塗布し、熱処理によりぬれ広がらせて、銅回路板の最小線幅 0.3mmの箇所では、該銅回路板の厚み0.3mmtの0.1倍に相当する以上の幅でろう材層を該銅回路板の端部からはみ出させていることは明らかであり、また、該銅回路板の最小線間0.3mmの箇所では、該線間0.3mmを越えてろう材がぬれ広がらないように、該線間に対峙するどちらのろう材層のはみ出しも、該線間0.3mmに相当する該銅回路板の厚み0.3mmtの1.0倍以下にすべきであることは示唆されているといえる。
そうであれば、引用発明1におけるろう材層の少なくとも一部を、金属部材の端部から金属部材の厚みの0.1倍以上、1.0倍以下はみ出させることは、当業者が容易に想到し得たものというべきである。

(2)相違点2について
本願発明1における、接合層とセラミックス基板のなす角を40度以上、70度以下とすることについては、本願明細書の「実施例4については、接合層とセラミックス基板との接触角が40度である。他の比較例及び実施例の接合層とセラミックス基板との接触角が70度である。」(段落【0030】【表1】下欄)との記載に基づくものであり、「40度以上、70度以下」とすることの臨界的意義、効果については、本願明細書中に特に記載されていない。
一方、引用刊行物2には、「セラミックス基板と、このセラミックス基板上にろう材層を介して接合された金属回路板とを有するセラミックス回路基板」(摘記(2a)参照)について、
「加熱接合後の冷却過程や冷熱サイクルの付加により生じる熱応力の主応力部となるろう材層の端部形状をテーパー状とし、肉厚を薄くすることによって、熱応力を薄肉部の塑性変形により吸収することができるため、より一層冷熱サイクルに対する信頼性の向上を図ることができる。」(摘記(2b)参照)、
「窒化アルミニウム基板と、厚さ0.3mmtの銅回路板(最小線幅 0.3mm、最小線間 0.3mm)とを用意した。・・・窒化アルミニウム基板の一方の主面に、上記したろう材ペーストをスクリーン印刷により塗布した。このろう材ペーストは、回路パターンの幅より 20%広く、かつ厚さが50μm 程度となるように塗布した。・・・熱処理して、窒化アルミニウム基板と銅回路板とをろう材層を介して接合し、目的とするセラミックス回路基板を得た。・・・図1に示すように、銅回路板1の側面1aの板厚の約 1/2のところまで、ろう材層2により覆われていた。また、ろう材層2の端部2aは、図1に示すように、テーパー形状を有していた。・・・上記セラミックス回路基板における銅回路板のピール強度、および冷熱サイクル特性を評価したところ、ピール強度は25kgf/cmと良好な値を示し、また冷熱サイクル試験(・・・)においては 300サイクルまでクラックの発生は認められず、十分な応力緩和効果が得られている」(摘記(2c)参照)との記載により、セラミックス基板である窒化アルミニウム基板面に厚さ0.3mmtの銅回路板(最小線幅 0.3mm、最小線間 0.3mm)を接合するため、該窒化アルミニウム基板面にろう材ペーストを、銅回路板の回路パターンの幅より20%広く塗布し、熱処理してテーパー形状にぬれ広がらせ、銅回路板の側面の板厚の約 1/2のところまでろう材層で覆い、該接合のピール強度、および冷熱サイクル特性の向上を図ることが記載されている。また、回路間の干渉を防ぐべく、ろう材が最小線間0.3mmの間隔を越えてぬれ広がらないようにする必要があることは、自明の事項である。
そうすると、引用刊行物2の上記記載において、窒化アルミニウム基板と厚さ0.3mmtの銅回路板とを、接合のピール強度、および冷熱サイクル特性の向上を図り、かつ回路間で干渉しないようにろう材層を介して接合するに際し、該銅回路板の最小線間0.3mmにおいて対峙する回路間の、該銅回路板の側面の板厚0.3mmtの約 1/2のところまでを覆うろう材層を、該ろう材層同士の接触により該回路間が干渉しないようなテーパー形状とすべきであるところ、該ろう材層の窒化アルミニウム基板とのなす角が60度?70度であれば、該ろう材層同士が接触しないことは明らかであるから、上記のなす角を60度?70度程度とすることは示唆されているといえる。また、銅回路板の最小線間において、ろう材層同士が接触しない限りにおいて、上記のなす角を60度より小さくすることにより、該ろう材層の薄肉部の塑性変形により熱応力を吸収して冷熱サイクル特性のより一層の向上を図り得ることも示唆されているといえる。
そうであれば、上記の示唆された角度と重複する、40度以上、70度以下の広範な範囲に、本願発明1における接合層とセラミックス基板のなす角を設定することは、当業者が容易に想到し得たものというべきである。

そして、上記相違点1、2に係る本願発明1の特定事項によってもたらされる効果も、引用刊行物1、2に記載された発明から当業者が普通に予測し得る程度のものであって、格別なものとはいえない。

したがって、本願発明1は、引用刊行物1、2に記載された発明に基づいて当業者が容易に発明をすることができたものである。

[6]むすび
以上のとおりであるから、本願発明1は、特許法第29条第2項の規定により特許を受けることができない。
したがって、他の発明について検討するまでもなく、本願は拒絶されるべきものである。
よって、結論のとおり審決する。
 
審理終結日 2008-03-10 
結審通知日 2008-03-11 
審決日 2008-03-26 
出願番号 特願平8-347197
審決分類 P 1 8・ 121- Z (H05K)
P 1 8・ 572- Z (H05K)
最終処分 不成立  
前審関与審査官 鏡 宣宏大光 太朗  
特許庁審判長 綿谷 晶廣
特許庁審判官 市川 裕司
前田 仁志
発明の名称 回路基板  

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