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審決分類 |
審判 全部無効 2項進歩性 G06F |
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管理番号 | 1178060 |
審判番号 | 無効2005-80108 |
総通号数 | 103 |
発行国 | 日本国特許庁(JP) |
公報種別 | 特許審決公報 |
発行日 | 2008-07-25 |
種別 | 無効の審決 |
審判請求日 | 2005-04-05 |
確定日 | 2008-05-09 |
訂正明細書 | 有 |
事件の表示 | 上記当事者間の特許第3562647号発明「移動通信体」の特許無効審判事件について、次のとおり審決する。 |
結論 | 訂正を認める。 特許第3562647号の請求項1ないし請求項3に係る発明についての特許を無効とする。 審判費用は、被請求人の負担とする。 |
理由 |
1.手続の経緯 特許第3562647号(以下「本件特許」という。)に係る出願は,平成12年2月25日(国内優先権主張 平成11年2月25日)に出願した特願2000-50234号の一部を新たな特許出願とした特願2002-238677号について,その一部を平成15年2月3日にさらに新たな特許出願(特願2003-26489号)としたものであり,本件特許は,平成16年6月11日に設定登録がなされた。 当審における手続の概要は,以下のとおりである。 平成17年4月7日 審判請求 平成17年6月27日 答弁書 平成17年10月18日 無効理由通知及び職権審理結果通知 平成17年11月17日 意見書(請求人) 平成17年11月21日 訂正請求書・意見書(被請求人) 平成17年12月27日 上申書(被請求人) 平成18年1月27日 上申書(請求人) 2.請求の趣旨,無効理由通知及び職権審理結果通知の概要,及び当事者の主張の概要 2-1.請求の趣旨 本件審判の請求の趣旨は,本件特許の請求項1ないし3に係る各発明についての特許を無効とする,審判費用は被請求人の負担とする,との審決を求めるものである。 2-2.無効理由通知及び職権審理結果通知の概要 無効理由通知及び職権審理結果通知は,当審が職権審理により発見した本件特許を無効とすべき理由を当事者双方に通知したものであり,本件特許を無効とすべき理由の概要は以下のとおりである。 (1)本件特許の明細書の請求項1から3に係る特許請求の範囲の記載には不備があるから,これら請求項1から3に係る特許は,特許法第36条第6項第2号に規定する要件を満たしていない特許出願に対してなされたものであり,同法第123条第1項第4号に該当する。(以下「無効理由1」という。) (2)本件特許の請求項1から3に係る発明は,その特許出願の前に日本国内又は外国において頒布された下記の刊行物に記載された発明に基づいて当業者が容易に発明をすることができたものであるから,これら請求項1から3に係る特許は,特許法第29条第2項の規定に違反してなされたものであり,同法第123条第1項第2号に該当する。(以下「無効理由2」という。) (無効理由2に係る引用刊行物) 刊行物1: 国際公開第96/09592号パンフレット 刊行物2: 国際公開第99/03079号パンフレット 刊行物3: 特表平11-501424号公報(請求人が提出した甲第6号証) 刊行物4: 登録実用新案第3051748号公報(同甲第1号証) 刊行物5: 特開平9-116960号公報(同甲第11号証) 刊行物6: 特開平10-40323号公報(同甲第3号証) 刊行物7: 特開平3-241463号公報 刊行物8: 特開平2-1049号公報(同甲第12号証) 刊行物9: 特開昭63-32658号公報(同甲第2号証) 刊行物10: 矢沢哲也ほか.「[座談会]IC型地域商業・金融カードの今後を見通す」.カード・ウェーブ,第10巻,第11号,1997年10月,11?16ページ. 刊行物11: 特開平8-287169号公報(同甲第9号証) 刊行物12: 特開平3-92966号公報(同甲第7号証) 2-3.無効理由通知及び職権審理結果通知に対する当事者の主張の概要 被請求人は,無効理由通知に対して,訂正請求をするとともに意見書を提出し,当該意見書において,無効理由1については訂正により記載不備が解消されたとし,無効理由2については各請求項に係る発明は当業者といえども容易に発明をすることができたものでない旨主張している。(無効理由2に対する被請求人の詳細な主張は,後記4.本件特許に係る発明についての当審の判断において検討する。) 請求人は,職権審理結果通知に対して,意見書を提出したが,無効理由1及び2に対する反論は特にしていない。 3.訂正の適否 3-1.訂正の内容 被請求人が請求した訂正の内容は,明細書段落0179(特許第3562647号公報第18ページ第27?30行)の 「【0179】 (2)上記実施形態においては、図1において、1の商店ネットワークシステム40のみを図示したが、本発明にかかる移動通信体システムは、相互に通信可能であれば、複数の商店を含んでいてもよい。」 を 「【0179】 (2)上記実施形態においては、図1において、1の商店ネットワークシステム40のみを図示したが、本発明にかかる移動通信体システムは、相互に通信可能であれば、複数の商店を含んでいてもよい。 (3)上記実施形態においては、電子マネーによる支払い処理において、制御情報134、通常情報13aおよび秘匿情報13bを店頭端末機42に送信した後に、入力手段423に入力された支払金額が受理される例を示したが、入力手段423に入力された支払金額が受理されることに応じて、制御情報134、通常情報13aおよび秘匿情報13bを店頭端末機42に送信する構成としてもよい。この場合、例えば、ステップS602で、携帯電話機10は、電子マネーによる支払い要求を店頭端末機42に送信して、ステップS604で、店頭端末機42が上記支払い要求を受信したところで、ステップS630及びステップS632の支払金額の入力要求及び受理を実行した後に、ステップS602の他の情報、すなわち、制御情報134、通常情報13aおよび秘匿情報13bを店頭端末機42に送信するフローとすることができる。 (4)同様に、上記実施形態においては、現金支払いによる電子マネー金額の補充処理において、制御情報134、通常情報13aおよび秘匿情報13bを店頭端末機42に送信した後に、補充金額が入力手段423に入力される例を示したが、補充金額が入力手段423に入力されることに応じて、制御情報134、通常情報13aおよび秘匿情報13bを店頭端末機42に送信する構成としてもよい。この場合、例えば、ステップS702で、携帯電話機10は、電子マネー金額補充処理の要求を店頭端末機42に送信して、ステップS704で、店頭端末機42が上記補充処理の要求を受信したところで、ステップS722の補充金額の入力を実行した後に、ステップS702の他の情報、すなわち、制御情報134、通常情報13aおよび秘匿情報13bを店頭端末機42に送信するフローとすることができる。」 と訂正するものである。 3-2.訂正の目的の適否,新規事項の追加の有無,及び特許請求の範囲の拡張・変更の存否 上記訂正は,本件特許に係る発明を説明するものとして明細書の特定の段落の記載や図面の記載を充てると当該発明が不明りょうとなってしまう,という点について,上記の段落0179の記載において(2)の部分に続けて(3)及び(4)の部分を補うことによりその点の釈明を図るものである。 したがって,上記訂正は,特許法第134条の2第1項第3号にいう「明りょうでない記載の釈明」を目的とする訂正に該当する。 また,訂正後の段落0179に記載されている事項は,本件特許の明細書の特許請求の範囲の記載や段落0025及び0029の記載からみて自明といえる程度の事項であるから,上記訂正は,特許法第126条第3項にいう願書に添付した明細書に「記載した事項の範囲内において」する訂正である。 そして,上記訂正は,明らかに,特許法第126条第4項にいう「実質上特許請求の範囲を拡張し,又は変更するもの」ではない。 3-3.訂正の適否のまとめ したがって,上記訂正は,特許法第134条の2第1項の規定,同条第5項において準用する特許法第126条第3項及び第4項の規定に適合する。 よって,当該訂正を認める。 4.本件特許に係る各発明についての当審の判断 以下,無効理由2について検討する。 4-1.本件特許の請求項1について 4-1-1.本件特許の請求項1に係る発明 平成17年11月21日付けの訂正の請求は上記のとおり認められたので,本件特許の請求項1に係る発明(以下「請求項1の発明」という。)は,訂正明細書の請求項1に記載された次のとおりの事項により特定されるものである。 「基地局を介して無線通信を行う移動通信体であって, 前記基地局と無線通信を行う無線通信手段と,端末機と短距離通信を行う短距離通信手段と,電子マネー金額を記憶する電子マネー金額記憶手段とを有し, 商店に支払う支払い金額を前記電子マネー金額から支払い処理する際には,前記端末機と短距離通信可能な状態で,前記移動通信体または前記端末機に前記支払い金額が入力されることに応じて,前記電子マネー金額記憶手段に記憶された電子マネー金額を前記短距離通信手段によって前記端末機に送信し,新たな電子マネー金額を前記短距離通信手段によって前記端末機から受信し,受信した前記新たな電子マネー金額を前記電子マネー金額記憶手段によって記憶するように構成され, 前記電子マネー金額に所定の補充金額を補充処理する際には,前記端末機と短距離通信可能な状態で,前記移動通信体または前記端末機に前記補充金額が入力されることに応じて,前記電子マネー金額記憶手段に記憶された電子マネー金額を前記短距離通信手段によって前記端末機に送信し,新たな電子マネー金額を前記短距離通信手段によって前記端末機から受信し,受信した前記新たな電子マネー金額を前記電子マネー金額記憶手段によって記憶するように構成されたことを特徴とする移動通信体。」 4-1-2.刊行物1の記載 刊行物1(国際公開第96/09592号パンフレット)には,カード払いを組み入れた自動小売システム(automatic retail systems incorporating card payment)に関連する発明についての開示がなされており(FIELD OF THE INVENTIONを参照),以下のとおりの記載がそれらに関連する図示とともになされている。 なお,上記括弧書きの英文表記は,刊行物1の訳語に対応する原文の記載である。以下,同様に,刊行物1の原文の記載等を適宜括弧書きで付記する。 (1)発明の背景の説明 (1a)[2ページ1?3行]"Present use of payment cards, in particular the use of electronic wallets, is associated with many deficiencies, a few examples of which are provided herein below:" (1b)[2ページ4?6行]"a. Since electronic wallets are depleted at each payment, the customer must execute regularly purse replenishment transactions at suitable replenishment devices, which is inconvenient." (1c)[2ページ17?19行]"e. Electronic purse operation requires setting up a costly infrastructure of replenishment devices, such as special ATMs (automatic teller machines), modified public telephones or dedicated home terminals." (2)用語の説明 (2a)[3ページ8?9行]"3. Point of sale (POS) - a part of a retail unit operating to determine the contents of a purchase and to calculate its price." (2b)[3ページ10?11行]"4. Payment unit - a part of a retail unit operating to receive payment from the customer." (2c)[4ページ15?16行]"13. Electronic wallet - a smart card which includes inter alia an electronic checkbook and an electronic purse." (3)図1に関連する説明 (3a)[15ページ3?8行]"Reference is made to Fig. 1 which illustrates a preferred embodiment of the present invention. The retail system of Fig. 1, generally referenced 1, incorporates a payment system 7 which is a substantially failure-free system for executing payment orders received from a Point Of Sale (POS) 10. Non-limiting examples for POS 10 are a supermarket cash register, or a control unit of a vending machine, a public telephone or the gas pump in a gas station." (3b)[15ページ9?18行]"Payment system 7 comprises a payment unit 8 communicating with POS 10 for receiving payment requests, interfacing with any one of electronic wallets 9A-9N for payment therefrom and communicating as needed with transaction processing centers of financial institutions 20A-20K to execute electronic checkbook transactions. At each purchase, payment unit 8 interfaces with an electronic wallet and automatically determines the transactions to be executed for payment, i.e. a transaction operating to pay by electronic purse of the electronic wallet or to first replenish the electronic purse by payment from a remote account via the electronic checkbook and then to pay with the electronic purse, or to pay from a remote account via the electronic checkbook as described in detail hereinbelow." (3c)[15ページ19?21行]"Payment unit 8 communicates selectively with processing centers of financial institutions 20A-20K respective to the central accounts related to the electronic wallets presented at the payment unit." (3d)[15ページ22行?16ページ1行]"Processing centers of financial institution 20A-20K execute transactions related to central accounts maintained by the respective financial institutions, e.g. credit accounts or bank accounts, the accounts being identified and accessible by the electronic purses included in the electronic wallets." (3e)[16ページ3?10行]"It will be appreciated that the interface between an electronic wallet and payment unit 8 may be by contact or by contactless communication or even from distance through a communication link. The communication between payment unit 8 and a processing center of a financial institution can be executed on line, or electronic checkbook transactions may be recorded at payment unit 8 and transferred thereafter to processing centers of financial institutions for batch processing, as will be described in more detail hereinbelow. Retail unit 2 is the combination of payment unit 8 and point of sale 10." (4)図3に関連する説明 (4a)[17ページ8?20行]"Reference is made to Fig. 3 which is a detailed block diagram illustration of the payment system 7. Electronic wallet 9 which is personal to a customer 12 who is making a purchase at POS 10, comprises an electronic purse 310 containing information identifying the amount of electronic cash stored in its register 311. The electronic wallet also comprises an electronic checkbook 320, which register 321 contains information identifying and authorizing transactions with at least one credit or bank account, made through processing centers of financial institutions 20. External interface 340 serves as an interface between the electronic wallet and payment units 8. External interface 340 comprises communication hardware as well as secured protocols for reading or altering the information stored in the electronic wallet. These protocols preferably include a requirement for keying-in a secret PIN (personal identification number) code via customer interface 352, as a precondition for any transaction with wallet 9." (4b)[18ページ5?9行]"Electronic purse payment unit 363 communicates with electronic purse 310 of electronic wallet 9. When unit 363 is activated to pay a purchase sum required by POS 10, it operates to reduce the amount of electronic cash stored in register 311 by the purchase sum, while increasing the amount of electronic cash stored in an electronic cash drawer 364 by the same sum." (4c)[18ページ10?13行]"The electronic cash accumulated in electronic cash drawer 364 can be transformed into money by settlement with cash pool units 384 of processing centers of suitable financial institutions, referenced collectively 20. Usually, this money will be deposited in a bank account of the merchant 11." (4d)[18ページ14?19行]"Electronic checkbook payment unit 366 operates to transfer a specified sum from a customer's account in financial institution 20 corresponding to customer's electronic checkbook 320, either to the merchant's account when checkbook payment is executed, or to cash pool 384 for purchasing electronic cash for purse replenishment. POS interface 353 is operative to receive payment requests from POS 10 and return payment acknowledgements upon payment completion." (4e)[18ページ20?22行]"Electronic purse loading unit 365 is capable of loading electronic cash into electronic purse 310, typically upon purchasing the electronic cash by the electronic checkbook 320 from a cash pool 384 during a purse replenishment transaction." (4f)[18ページ23?19ページ5行]"Card interface 351 includes hardware and protocols known in the art for secured communication with electronic wallet 9. It may include mechanical means operative to retain an electronic wallet during transaction and to release it upon the transaction completion. It may use contactless communication or even allow remote transactions by using a suitable communication means. For example, a wireless communication link may serve to collect payment in a toll road without stopping the car, or for collecting payment for a card used with a cellular telephone." (4g)[19ページ17行?20ページ5行]"Remote account interface 370 incorporates hardware and protocols known in the art for secured communication with transaction processing centers of financial institutions 20, respective to the accounts identified by register 321 of electronic checkbooks 320 included in the customers' electronic wallets 9. The communication can be either on line or off-line. Non limiting examples of on-line communication means include dial-up telephone lines, dedicated lines or cellular data communication. A non limiting example of off-line communication means is a handheld terminal for unloading transaction information from payment unit 8 when visiting them, and downloading the information thereafter to processing centers of financial institutions 20 by communicating with them from the merchant's office. These handheld terminals may work the other way, i.e. unloading information from the financial institutions thereinto at the merchant's office and downloading this information into payment units 8 during a visit." (4h)[20ページ11?18行]"Each of the transaction processing centers of financial institutions 20 comprises customers' credit and/or bank accounts referenced 381 and 382 and a cash pool 384. Customers' credit and/or bank accounts 381 and 382 correspond to electronic checkbooks, such as the electronic checkbook 320, are charged for payment transactions wherein the charged amount is transferred to a bank account (not shown) of the merchant 11. Accounts 381 and 382 are also charged for purse replenishment transactions wherein the charged amount is transformed into electronic cash by cash pool 384 and transferred electronically to the electronic purse 310." (4i)[20ページ19?24行]"Cash pool 384 is an accounting unit for transforming money paid by electronic checkbooks 320 into electronic cash loaded into electronic purse 310, and for transforming electronic cash received from electronic purse 310 or from electronic cash drawers 364 into cash deposited to the merchant's bank account. Cash pool unit 384 includes the protocols known in the art for transferring electronic cash to electronic purse 310 and from electronic cash drawer 364." (5)図5に関連する説明 (5a)[21ページ17?23行]"Reference is made now also to Fig. 5 which illustrates a preferred method of operating the automatic transaction manager 361 of Figs. 3 and 4. Block 451 indicates the idle state of the payment system 7, ready for starting a transaction. In block 452 an electronic wallet 9 with a sum of $BALANCE of electronic cash stored in register 311 is received, and the customer is preferably prompted to key-in his PIN code through customer interface 352. In block 453 a request for payment of $SUM is received from POS 10 through POS interface 353." (5b)[21ページ24行?22ページ5行]"In block 454 $SUM is compared to the minimal checkbook payment transaction sum referenced $MINCP in order to determine whether checkbook payment is feasible. If the answer is positive then, as indicated in block 458, $SUM is compared with $BALANCE to determine whether a purse transaction is feasible as well. If the electronic purse transaction is not feasible then the transaction is directed to the checkbook transaction unit 366 as indicated by block 460." (5c)[22ページ6?12行]"If both checkbook and purse payment transactions are feasible, the transaction can be executed either way so a logical switch 459 is provided to direct the transaction either to the checkbook transaction unit 366 as indicated by block 460 or the purse payment unit 363 as indicated by block 457. The switch setting in 459 to either C or P position is either predetermined by the merchant 11 through the merchant interface 362, or is made selectable by the customer during purchase through customer interface 352." (5d)[22ページ13?17行]"If the answer in 454 is negative, i.e. the payment has been found unfeasible for checkbook payment, it is checked for purse payment feasibility as indicated in block 455. In block 457 the payment is found feasible through the purse, i.e. $SUM is smaller or equal to $BALANCE, and therefore payment is executed through purse payment unit 363." (5e)[22ページ18?23行]"However, if $SUM is larger than $BALANCE, the electronic purse must be replenished to enable payment. As indicated by block 456, the electronic purse 310 is replenished via the electronic checkbook 320 through units 366 and 365 with at least the larger of the minimal purse replenishment sum referenced $MINPR and $SUM minus $BALANCE, i.e. the sum necessary for sufficient payment. Only then purse payment is executed in 457 through unit 363." (5f)[22ページ24行?23ページ6行]"It will be appreciated that instead of accessing the electronic purse twice, for replenishment of a replenishment sum calculated in block 456 and for purse payment of $SUM by block 457, the purse can be accessed only once, for loading thereto, by unit 365, the difference between the replenishment sum and $SUM, or for collecting therefrom this value by unit 363, if this difference is negative. Both modes are mathematically and functionally equivalent, except for a special case described with reference to Fig. 10A below." (6)図11Aに関連する説明 (6a)[36ページ14?20行]"Fig. 11A illustrates a conventional on-line purse replenishment procedure, wherein payment unit 8 relays an on-line replenishment transaction between electronic wallet 9 and processing center of financial institution 20. A replenishment order is sent from electronic checkbook 320 through electronic checkbook transaction unit 366 to processing center 20, where customer's account 380 is charged and a corresponding amount of cash is supplied to the electronic purse 310 from cash pool 384 trough purse loading unit 365." (当審注: "trough" purse loading unit ... は"through" purse loading unit ... の明らかな誤記と認められる。) (7)図12に関連する説明 (7a)[40ページ8?20行]"Reference is made to Fig. 12, which introduces a payment system which is similar to that of Fig. 3, with the following modifications: electronic checkbook 320 is replaced by electronic cache 320C, electronic checkbook transaction unit 366 is replaced by electronic cache transaction unit 367, and cache accounts 383 are added to the arsenal of financial institutions 20. A cache account 383 is a special credit or bank account which is accessible for payment transactions only through a single respective electronic cache 320C. It is noted that conventional bank or credit accounts are accessible through a variety of means in addition to the respective electronic checkbook, such as paper checks, home banking computer or telephone orders. Preferably, one exception remains, i.e a claim for the value remaining in a cache account in case the corresponding electronic cache has been lost. It is also noted that adding value to a cache account 383 can be made also without presenting the corresponding electronic cache 320C." (7b)[40ページ21行?41ページ7行]"Electronic cache 320C is a special, enhanced electronic checkbook. It issues electronic checks for account-to-account settlement in transaction processing centers of financial institution 20 similar to the electronic checks issued by the conventional electronic checkbook, but also manages on-card balance tracking similarly to the electronic purse. As described below, this combination provides highly secured off-line transactions with central accounts. Register 321 contains information identifying and authorizing transactions with the respective cache account 383. Register 332 maintains balance information regarding the sum accessible in cache account 383 through electronic cache 320C. Register 333 contains a cache expiration date information so that the electronic cache 320C will be unusable and rejected for payment after the date." (7c)[41ページ8?20行]"Electronic cache transaction unit 367 of payment unit 8 performs cache transactions by issuing electronic cache checks similarly to the operation of electronic checkbook transaction unit 366 (Fig. 3), while reducing the payment amount from the cache account balance register 332, using secured protocols similar to those used by electronic purse payment unit 363 during a purse payment transaction. The electronic cache check can be either settled on-line with the respective cache account in 383, or retained electronically is electronic safe 368 for settlement thereafter. Optionally, in the latter case the payment transaction can be reversed by deleting the cache check information from electronic safe 368 and increasing the value in account balance register 332 by the cancelled cache check sum. It would be appreciated that this procedure, which adds effective value to electronic cache 320C, requires secured protocols similar to those of drawer-to-purse transfer of electronic cash described above with respect to Figs.11B and 11C." (当審注: retained electronically "is" electronic safe ... はretained electronically "in" electronic safe ... の明らかな誤記と認められる。) (8)図17に関連する説明 (8a)[48ページ2?9行]"Fig. 17 illustrates a preferred embodiment of the present invention which enables both cache and non-cache (i.e. conventional) checkbook central transactions. The reason for including both is that the cache is advantageous in off-line transactions. However, it can be used only with cache-compatible payment units capable of updating the cache balance (register 332 of Fig. 12A). Another limitation of a cache account is that it is accessible for payment only through the card containing the electronic cache and cannot be used for other payment forms such as paper checks or mail orders." 4-1-3.刊行物1に記載された発明 上記の記載を総合すると,刊行物1には,実質的に以下の(1)から(4)までの構成を有する発明が記載されていると認められる。(以下「刊行物1の発明」という。) 「(1)POSにおいて購入をする客個人に属するものであり(personal to a customer 12 who is making a purchase at POS 10),POSに接続された支払ユニット(payment unit 8)との間で非接触通信(contactless communication)を行うことができるスマートカード(smart card)であるところの電子ウォレット(electronic wallet 9)であって, (2)前記の非接触通信を行う外部インタフェース(external interface 340)と,電子現金(electronic cash)の貯蔵額を特定する情報をレジスタ(register 311)にもつ電子パース(electronic purse 310)とを内蔵しており, (3)当該電子ウォレットが電子現金を$BALANCEほど貯蔵した状態で前記支払ユニットによって受け付けられ(452),$SUMの支払要求がPOS(POS 10)からPOSインタフェース(POS interface 353)を通じて前記支払ユニットによって受信されて(453)電子パース払いの実行可能性(purse payment feasibility)がチェックされた(455)ときに,実行可能,すなわち$SUMが$BALANCE以下であったならば,$SUMを電子パースから払って$BALANCEを更新し(457), (4)一方,実行不可能,すなわち$SUMが$BALANCEより大きかったならば,所定の最小補充額$MINPRかあるいは$SUM-$BALANCEかのいずれか大きい方以上の額で補充を受けて(456)貯蔵額を充分な額にしてから電子パース払いを実行し(457),このとき,補充と支払いとで合わせて2回,支払ユニットから電子パースへのアクセスを受ける 電子ウォレット。」 上記各構成を認定した根拠は,関連する各図とともに,構成(1)に対しては特に上記4-1-2の(2c)(3e)(4a)(4b)(4f),(2)に対しては(3e)(4a)(4f),(3)に対しては(5a)(5b)(5d),(4)に対しては(5e)(5f)の各記載である。 4-1-4.対比 上記4-1-3の(1)から(4)までの構成について,請求項1の記載における表現と対比して検討する。 (1)「POSにおいて購入をする客個人・・・電子ウォレットであって」 POSにおいて(at POS 10)という表現には,被請求人も指摘しているように,用語の説明との関係で不明りょうさが残るが,商品の販売やサービスの提供が行われている場所にPOS(用語の説明にあるとおりのユニットの一部としてのPOS)が設置されていること,その場所に客が行き商品の購入やサービスの利用をして支払いをすること,支払いをする客が携帯してその場所に持って行くのがスマートカード(smart card)であるところの電子ウォレット(electronic wallet)であることは,刊行物1におけるPOSとその利用に関連する記載を通してみれば直ちに把握できる明りょうな事項である。 そして,請求項1の「移動通信体」も支払いをする者が支払いをすべき場所に携帯して持って行く「携行品」(訂正明細書の段落0007,0026,0170ほか)である。 してみると,刊行物1のスマートカードである電子ウォレットと請求項1にいう「移動通信体」とは,「携行品」という概念で共通する。 (2)「前記の非接触通信を行う・・・電子パースとを内蔵しており」 刊行物1の電子現金(electronic cash)は,カード型,残高型,及びクローズド・ループ型などに分類できる典型的な電子マネーであって,電子マネーに転換した分の残高が個人ごとの特別の残高ではなく発行機関ごとの残高として決済までの間プールされるような運用形態をとる電子マネーである。 このことは,上記の4-1-2の(4c)(4i)の記載からも,また,(4h)の金融機関の構成についての記載の中にひとつの現金プール(a cash pool)という表現があり,金融機関ごとにひとつプール用の口座あるいは勘定があることが示されている((4i)の記載の中では口座あるいは勘定としてではなく勘定業務を行うユニット(accounting unit)あるいは現金プールユニット(cash pool unit)として説明されているが,プール総額を管理する口座あるいは勘定は当然存在していると解される。)ことからみても,さらには,(7a)(7b)(7c)(8a)の各段落や関連各図においてプール総額の管理がない電子キャッシュ小切手(electronic cache check)が電子現金とは区別して扱われていることからみても,明白である。 すなわち,刊行物1の電子現金は,請求項1の「電子マネー」に相当する。 したがって,刊行物1の電子ウォレットにおける電子パース(electronic purse)は,この電子現金の貯蔵額を特定する情報をレジスタにもつものであるから,請求項1の「電子マネー金額を記憶する電子マネー記憶手段」に相当する。 さらに,この刊行物1の電子ウォレットは,支払ユニット(payment unit)との間で非接触通信(contactless communication)を行うとされているところ,この支払ユニットは金融機関の取引処理センター(transaction processing center)にも接続している端末である(端末(terminal)という用語は刊行物1ではハブ(hub)と対置させた用語として上記4-1-2で摘記した箇所以外の箇所で用いられているが,支払ユニットがごく普通の意味で端末であるのは明らかである。)から,それは請求項1の「端末機」に相当する。また,スマートカードにおける非接触通信といえば,通常,近接型や近傍型を含むNFC(近距離通信)各種のことであるから,上記の支払ユニット(「端末機」)との間で行うところの非接触通信は,請求項1の「短距離通信」に相当する。 してみると,刊行物1の電子ウォレットにおける外部インタフェース(external interface)は,請求項1の「端末機と短距離通信を行う短距離通信手段」に相当する。 刊行物1の電子現金について,被請求人は,$SUM>$BALANCEだと電子現金が銀行口座から補充されてしまうという構成を挙げ,刊行物1の電子現金が「請求項1の発明の通常の意味でいう電子マネーとは異なる」と主張している(平成17年11月21日付け意見書(以下「意見書」という。)2?3ページ,2-1-3について(2)(3)(4))が,上記(4c)(4i)(4h)(7a)(7b)(7c)(8a)等の記載からみて,刊行物1の電子現金が電子マネーとしての基本的属性を有することは明らかである。 被請求人が挙げる,不足時に銀行口座から補充されてしまうという前記の構成にしても,電子現金は直接電子キャッシュドロアや商人の口座に届いたりはせず,いったんは電子ウォレットへと流れるのであるから,この補充も基本的には通常の電子マネーにおける流れの枠組みに沿ったものでしかない。 すなわち,刊行物1の電子現金は,サービス上あるいは機能上の拡張がなされた(通常の電子マネーの最も基本的なサービスや機能として考えられるものよりは拡張された)電子マネーではあっても,もはや電子マネーとして認識され得ないものというには全く当たらない。 したがって,被請求人の主張は採用できない。 (3)「当該電子ウォレットが・・・$BALANCEを更新し」 まず,「当該電子ウォレットが電子現金を$BALANCEほど貯蔵した状態で」受け付けられ「電子パース払いの実行可能性がチェックされ」ることについては,そのチェックに先だって,チェックに必要な$BALANCEの現在の値が電子ウォレットから支払ユニットへと送信されているといえるから,(3)の処理に含まれるその送信動作は,請求項1の,「商店に支払う支払い金額を前記電子マネー金額から支払い処理する際」に「端末機と短距離通信可能な状態」で「前記電子マネー金額記憶手段に記憶された電子マネー金額を前記短距離通信手段によって前記端末機に送信」する送信動作に相当する。 また,送信とチェックの後,電子ウォレットが「$SUMを電子パースから払って$BALANCEを更新」することについては,更新に必要な情報として$BALANCEの値あるいはその増減を表す値のようななんらかの値が支払ユニットから返され,その値を電子ウォレットが受信してそれに基づいて更新をしている,といえるから,(3)の処理に含まれるその受信動作と,請求項1の「支払い処理する際」の「受信」とは,支払前の「電子マネー金額」を支払後の「新たな電子マネー金額」へと更新させるなんらかの更新情報を「受信」する受信動作として共通する。 そして,その受信に基づく更新を通じて,電子ウォレットは電子パースにおいて最新の$BALANCEすなわち「新たな電子マネー金額」を記憶することになるから,(3)の処理に含まれるその記憶動作と,請求項1の「支払い処理する際」の「記憶」とは,前記の受信動作の後に行うこととなる「新たな電子マネー金額」を「電子マネー金額記憶手段によって記憶する」記憶動作として共通する。 (4)「一方,実行不可能・・・アクセスを受ける」 この(4)の処理は,支払いの手続きに組み込まれて行われることとなる処理ではあるが,明らかに「補充」の処理である。そして,補充と支払いとで別々に電子パースへのアクセスがあるとされているから,この(4)の処理の中には「補充処理する際」の動作として区別できるような受信動作及び記憶動作が含まれているといえる。 してみると,(4)の処理に含まれるそれらの受信動作及び記憶動作は,受信動作については,請求項1の「補充処理する際」の「受信」と,補充前の電子マネー金額を補充後の「新たな電子マネー金額」へ更新させるなんらかの更新情報を受信する受信動作として共通し,記憶動作については,請求項1の「補充処理する際」の「記憶」と,前記受信動作の後に行う「新たな電子マネー金額」を「電子マネー金額記憶手段によって記憶する」記憶動作として共通する。 以上の検討をまとめると,請求項1の発明と刊行物1の発明は,次のとおりの一致する構成をもっている,ということができる。 「携行品であって, 端末機と短距離通信を行う短距離通信手段と,電子マネー金額を記憶する電子マネー金額記憶手段とを有し, 商店に支払う支払い金額を前記電子マネー金額から支払い処理する際には,前記端末機と短距離通信可能な状態で,前記電子マネー金額記憶手段に記憶された電子マネー金額を前記短距離通信手段によって前記端末機に送信し,記憶された電子マネー金額を新たな電子マネー金額に更新させる更新情報を前記短距離通信手段によって前記端末機から受信し,新たな電子マネー金額を前記電子マネー金額記憶手段によって記憶するように構成され, 前記電子マネー金額に所定の補充金額を補充処理する際には,前記端末機と短距離通信可能な状態で,記憶された電子マネー金額を新たな電子マネー金額に更新させる更新情報を前記短距離通信手段によって前記端末機から受信し,新たな電子マネー金額を前記電子マネー金額記憶手段によって記憶するように構成されたことを特徴とする携行品。」 一方,請求項1の発明と刊行物1の発明との間には,以下の点で構成上の相違がある。 (相違点1)請求項1の発明における携行品が,「基地局を介して無線通信を行う移動通信体」であり,「短距離通信手段」に加えて「基地局と無線通信を行う無線通信手段」をも有しているのに対して,刊行物1の発明における携行品は通信手段としては非接触通信を行う外部インタフェース(「短距離通信手段」)を備えるのみの電子ウォレットである点。 (相違点2)「支払い処理する際」の未払い状態の「電子マネー金額記憶手段に記憶された電子マネー金額」の「端末機」への「送信」について,請求項1の発明ではその送信を「支払い金額が入力されることに応じて」行っているのに対して,刊行物1の発明では,送信を何に応じて行っているか,明示的な記載がないため,はっきりしない点。 (相違点3)「支払い金額」について,請求項1の発明では「前記移動通信体または前記端末機に前記支払い金額が入力され」ているのに対して,刊行物1の発明ではPOSから支払ユニット(「端末機」)に$SUM(「支払い金額」)が送られている点。 (相違点4)「支払い処理する際」の「新たな電子マネー金額」への更新について,請求項1の発明では,更新情報として「新たな電子マネー金額」を受信しており,さらにその「受信した前記新たな電子マネー金額」をそのまま「電子マネー金額記憶手段によって記憶」しているのに対して,刊行物1の発明では,更新情報として具体的に何を受信しているか,また,その受信の後にどのようにして新たな$BALANCE(「新たな電子マネー金額」)を電子パース(「電子マネー金額記憶手段」)に記憶することとなるかが,明示的記載がないため,はっきりしない点。 (相違点5)「補充処理する際」の「補充金額」及び未補充状態の「電子マネー金額記憶手段に記憶された電子マネー金額」の扱いについて,請求項1の発明では,「前記移動通信体または端末機に補充金額が入力され」ており,その「入力されること」に「応じて」移動通信体が「前記電子マネー金額記憶手段に記憶された電子マネー金額」を端末機に送信しているのに対して,刊行物1の発明では,支払いの手続きの中で自動的に補充の必要性がチェックされる(電子パース払いの実行可能性がチェックされる)ことにより自動的に補充処理が行われるため,その必要性のチェックに先立って電子パース内の$BALANCE(「電子マネー金額記憶手段に記憶された電子マネー金額」)の送信が行われており,また,その必要性のチェックにより補充が必要と判明したとき,補充金額が自動的に決定される点。 (相違点6)「補充処理する際」の「新たな電子マネー金額」への更新について,請求項1の発明では更新情報として「新たな電子マネー金額」を受信しており,さらにその「受信した前記新たな電子マネー金額」をそのまま「電子マネー金額記憶手段によって記憶」しているのに対して,刊行物1の発明では,更新情報として具体的に何を受信しているか,また,その受信の後にどのようにして新たな$BALANCE(「新たな電子マネー金額」)を電子パース(「電子マネー金額記憶手段」)に記憶することとなるかが,明示的記載がないため,はっきりしない点。 4-1-5.相違点についての検討 (1)相違点1について セルラー電話であってカード代わりに使える電話機,すなわち,セルラーネットワークの基地局に接続して移動体通信ができる電話機(「基地局を介して無線通信を行う移動通信体」)であって,通常の移動体通信の手段(「無線通信手段」)のみならず店頭に設置された支払決済端末との間で直接通信を行える通信インタフェース(「短距離通信手段」)をも電話機本体に備えており,さらに,金融機関のカードに相当する情報や機能が付加されたスマートカードを電話機本体に収納しており(あるいはICチップを電話機に内蔵しており),店にカードを携行する代わりにその電話機を携行でき,店頭の支払決済端末との間で直接通信させることによってカードに係る各種の決済手段でカード払いをすることができるもの,という電話機の概念は,例えば刊行物2ないし5にもみられるように周知である。(特に,刊行物2では,5ページ18行からの段落,27ページ28行からの段落,また9ページ9行からの段落の記載を,刊行物3では,図1と6それぞれについての説明と22ページからの他の実施例についての説明を,刊行物4では段落0010以降の説明を,また,刊行物5では段落0035以降の説明を,それぞれ参照。なお,刊行物3ではGSM移動電話,刊行物4では携帯無線電話機,刊行物5では携帯電話機として言及されているが,これらの電話機はいうまでもなくセルラーネットワークにより移動体通信を行う電話機である。) してみると,刊行物1の発明において,店に携行して店頭で電子ウォレットとして用いてカード払いできるような携行品として電子ウォレットの情報や機能が付加されたセルラー電話の電話機を採用し,上記の相違点1に係る構成を請求項1にあるとおりの構成とすることは,当業者が容易になし得ることである。 相違点1についての被請求人の主張(意見書3?4ページ,2-1-4について(1))は,刊行物1の記載事項を誤解して主張するものであり,周知性を示すために挙げた刊行物2ないし5について,単に個別に特定の記載が見出せない旨の主張をするものであり,また,技術上の阻害要因について誤解して主張するものである(後記4-1-6を参照)から,いずれも採用することができない。 (2)相違点2について 二種類の情報を用いることが必須である情報処理において,一方の情報が確定したとき初めて他方の情報を取得するようにすることは,情報を取得するタイミングとして合理的であり,そのような処理の流れは,タイミングに関する技術面の問題やその他の実際上の制約などがない限り,一般的に想起されるものである。 そして,刊行物1の発明における店頭での支払いについて当業者が検討する場合でも,支払合計額である$SUMが確定したときにそれに「応じて」残高である$BALANCEを取得するという処理の流れは,上記のようなタイミングによる処理の流れの例として容易に想起される程度のものといえる。 したがって,刊行物1の発明において上記の相違点2に係る構成を請求項1にあるとおりの構成とすることは,当業者が容易になし得ることである。 相違点2についての被請求人の主張(意見書4?5ページ,2-1-4について(2))は,単に刊行物1ないし12の中に根拠となる明示的な記載が見出せないと主張するものであり,また,どのようなタイミングで情報を取得するかを選択することとは関係しない効果をいうものであるから,いずれも採用することができない。 (3)相違点3について 刊行物1の説明において支払ユニットとPOSとはともに小売ユニット(retail unit)の構成要素とされているところ,このうち,POSは,例えばスーパーのレジであるとされている(4-1-2(3a))ことから,従来の(普通の単機能的な)レジとしての位置づけにあると解され,それに対して,支払ユニットは,POSインタフェースに加えてカードインタフェース(card interface)やカスタマーインタフェース(customer interface)を持つことからみて,レジに併設する(多機能的な)カード取引端末としての位置づけにあると解される。 しかし,支払ユニットとPOSを単に合わせた統合型の多機能POS端末はごく容易に想起できるといえるから,刊行物1の発明において相違点3に係る構成を請求項1にあるとおりの構成とすることは,当業者が容易になし得ることである。 なお,請求人が意見書において指摘しているように(2?3ページ,(2)理由2について),刊行物1には上記4-1-2で摘記した箇所以外に"For example, the point of sale and the payment unit of the present invention need not be separate units and may share some of the hardware components, such as their central processing unit, one example being a cash register version incorporating both units."とする文があり(49ページ6?9行),POSと支払ユニットとを統合できることが開示されている。 (4)相違点4について 残高の更新を新残高の値そのものを書き込むことで実現するようにすることは,例えば刊行物6ないし9のそれぞれの記載にもみられるように,周知の技法である。(特に,刊行物6では段落0029?0031を,刊行物7では5ページ右上欄11行からの段落を,刊行物8では図6についての説明を,刊行物9については図10と12を,それぞれ参照。) この技法は,磁気カードはもとよりICカードにおいても一般的に行われている技法であり,どのような携行品のどのような記録メディアに書き込むかということには直接制約されない,携行品が単体のスマートカードであってもスマートカードを収納した(あるいはICチップを内蔵した)電話機であっても採用できる技法である。 してみると,刊行物1の発明において上記の相違点4に係る構成を請求項1にあるとおりの構成とすることは,当業者が容易になし得ることである。 相違点4についての被請求人の主張(意見書5ページ,2-1-4について(4))は,周知性を示すために挙げた刊行物6から9について個別に特定の記載が見出せないと主張するか,あるいは特定の刊行物の特定の記載をとらえて阻害要因の存在を主張するものでしかないから,採用することができない。 (5)相違点5について 補充の手続きそのものは,電子マネーやそれに類する金銭的価値を記録メディアに書き込んで使わせる支払システムではごくありふれた手続きであり,例えば刊行物10でも言及されているように,現金を払っての補充,預金からの引き落としによる補充,ATMのあるところでの補充,そして店頭での補充といった,さまざまな形態での補充手続きがすでに提供されており周知となっている。(刊行物10では,14ページ左コラムに現金払いや引き落としによる補充に言及する記載があり,また,15ページ左コラムにATMのあるところや店頭での補充に言及する記載がある。) 刊行物1の発明は,補充を支払いの中に組み入れてしまうことで補充を別途行っておかなくてもすむようにさせる(ひいては上記4-1-2の(1b)(1c)で言及されている問題を解決する)ものではあるが,補充を別途行うことを許さなくするというものではなく,補充したい任意の金額を指定して行うような従来の補充手続きを,支払いの手続きとは別に従来どおりに併存させ得ることは,制度面からみても技術面からみても明らかである。 そして,そのような従来の普通の補充手続きを併存させるとして,その補充手続きの際の処理の流れを考察するならば,補充金額の入力操作に「応じて」相手方から送られてくる送信の要求や許可により電子ウォレットが$BALANCEを返信するようにすることは,送信タイミングのありうる例として容易に想起されうるといえ(上記の相違点2の検討と同様のことがいえ),また,補充したい金額の入力をその相手方のユニット自体に対してできるようにすることも,上記のタイミングについての考察とは関係なく並行してしかもごく容易に想起されうるといえる(上記の相違点3での検討と同様のことがいえる)。 したがって,刊行物1の発明において上記の相違点5に係る構成を請求項1にあるとおりの構成とすることは,当業者が容易になし得ることである。 なお,請求人が指摘するように,刊行物1には上記4-1-2で摘記した箇所以外に"It will be appreciated that customer interface 352 may indicate at step 456 the amount necessary for replenishment and allow the customer to select a sum larger than this amount, e.g. for increasing the amount of electronic cash in his electronic wallet for future use."とする文があり(23ページ10?13行),さらに,"If the current balance is found insufficient in 455, then it is first replenished with a sufficient sum in 456 or with a larger desired sum specified by the customer, and then the purse is charged in 457."とする文もあり(24ページ18?20行),客によるその場での補充金額の指定がありうること,すなわち補充金額の「入力」と「受信」がありうることが示唆されている。 相違点5についての被請求人の主張(意見書5?6ページ,2-1-4について(5))は,周知性を示すために挙げた刊行物10について,座談会の記事であることを理由に表面的な主張をするにすぎないものであり,採用することができない。 (6)相違点6について 相違点4についての検討と同様のことがいえ,周知技術あるいは刊行物6ないし9に記載された技術の採用は,支払いだけでなく補充においても同様にできるといえる(カード内の残高の更新をどのように実現するかについての技法であり,補充においても共通して採用できるといえる)から,刊行物1の発明において相違点6に係る構成を請求項1にあるとおりの構成とすることは,当業者が容易になし得ることである。 4-1-6.請求項1についてのまとめ 相違点は上記の相違点1ないし6のみであって,いずれの相違点についても,刊行物1の発明において請求項1にあるとおりの構成をとるようにすることは,当業者にとって容易にできたというべきことであり,また,いずれの点にも他の点に互いに影響して上記のような採用や組み合わせを阻害することとなるような事情はないと認められる。 さらに,上記の各点について請求項1にあるとおりの構成とすることにより生じ得る効果についても,いずれも当業者であれば予測することができた程度の効果であるということができる。 したがって,請求項1の発明は,刊行物1の発明に基づいて,刊行物2ないし10の記載事項,周知技術の知識及び実務上の知識との組み合わせとして,当業者が容易に発明をすることができたものである。 被請求人は,請求項1についての主張のまとめの中で,刊行物1の電子現金におけるSUM>$BALANCEの際の補充について再度言及し(上記4-1-4(2)を参照),刊行物1の発明を「移動通信体」と組み合わせると顧客の全財産をその移動通信体とともに携帯させることになってしまうという阻害要因がある,と主張しているが(意見書7ページ,2-1-5について(2)),自動的な補充がはらむ危険性は携行品が「移動通信体」であってもスマートカードその他であっても共通であり,その危険性は,対応策を十分にとらずに高額の補充を頻繁に繰り返せるような条件で補充サービス付きの電子現金サービスを開始すると危険である,というように事業化する場合に検討すべき課題にはなるとしても,携行品としてスマートカードという例が技術的にありうる例としてすでに提示されている場合に,それに代わる携行品として,セルラー電話であって短距離通信によるカード払いもできるような電話機,という例を,想起すること自体できなくさせる,あるいは,想起できてもそのような電話機の採用は技術的に不可能と判断させる,というような技術上の阻害要因にはなり得ないから,被請求人の主張はやはり採用することができない。 4-2.本件特許の請求項2について 4-2-1.本件特許の請求項2に係る発明 本件特許の請求項2に係る発明(以下「請求項2の発明」という。)は,訂正明細書の請求項2に記載された次のとおりの事項により特定されるものである。 「前記電子マネー金額は,暗号化した電子マネー金額及び暗号化していない可読状態の電子マネー金額であることを特徴とする請求項1記載の移動通信体。」 4-2-2.対比 刊行物1には,電子現金が暗号化されたものと暗号化されていないものとの組であることについての記載は特にない。 したがって,請求項2の発明と刊行物1の発明とを対比すると,両者は,前掲の相違点1ないし6に加えて,次の相違点7で相違し,その他の点で一致する。 (相違点7)請求項2の発明においては,「電子マネー金額は,暗号化した電子マネー金額及び暗号化していない可読状態の電子マネー金額である」のに対して,刊行物1の発明においては,電子現金の金額(「電子マネー金額」)がそのような構成のものであるか否かが,記載がないため,はっきりしない点。 4-2-3.相違点の検討と請求項2についてのまとめ (1)相違点7について 刊行物6には,金銭登録機が暗号化キーK2を用い,ICカードから残額に関係する基礎的データと偽装データとを読み取り,偽装データの方を復号(解読)して基礎的データと比較検証し,検証結果が正しければ購入の処理をし,ICカードのメモリーの基礎的データの領域に新たな残額についての暗号化しないデータを書き込むとともに,メモリーの偽装データの領域には暗号化キーK1とK2を用いてその新たな残額を暗号化したデータを書き込む処理が記載されている(段落0029?0031,図2,図5を参照)。 刊行物6のICカードにおいて,上記の各領域に書き込まれているのが請求項2にいうところの「暗号化した」金額「及び暗号化していない可読状態の」金額であることは明らかである。 刊行物1の発明と刊行物6の上記の処理とは,属する業務分野や用いられている機器に共通性があり,また,セキュリティの向上は,刊行物1の発明においても当然考慮される一般的な課題であり,刊行物6に記載された技術手段を刊行物1の発明に適用することを妨げる要因も認められないから,刊行物6に開示された上記の「暗号化した」データ「及び暗号化していない」データとからなるデータ構造を刊行物1の電子パースの内部における$BALANCEのデータ構造として採用し,その保持や送受信をさせるようにすることは,当業者が容易になし得ることである。 したがって,刊行物1の発明において上記の相違点7に係る構成を請求項2にあるとおりの構成とすることは,当業者が容易になし得ることである。 相違点7についての被請求人の主張(意見書7?8ページ,2-2-2について(1)の刊行物6についての主張)は,刊行物6に記載されている技術の分野が電子マネーそのものでないことをいうにすぎない主張であるので,採用できない。 (2)まとめ 相違点は上記相違点1ないし6に相違点7を加えた各相違点のみであって,いずれの点についても刊行物1の発明において請求項2にあるとおりの構成をとるようにすることは当業者にとって容易にできたというべきことであり,いずれの相違点にも他の相違点に影響するような事情はないと認められ,さらに,請求項2にあるとおりの構成とすることにより生じ得る効果も当業者であれば予測することができた程度の効果であるといえるから,請求項2の発明は,刊行物1の発明に基づいて,刊行物2ないし10の記載事項,周知技術の知識及び実務上の知識との組み合わせとして,当業者が容易に発明をすることができたものである。 4-3.本件特許の請求項3について 4-3-1.本件特許の請求項3に係る発明 本件特許の請求項3に係る発明(以下「請求項3の発明」という。)は,訂正明細書の請求項3に記載された次のとおりの事項により特定されるものである。 「所定の暗唱番号を記憶する暗唱番号記憶手段と,前記電子マネー金額記憶手段に記憶された電子マネー金額を表示する表示手段とを有し, 前記暗唱番号記憶手段に記憶された所定の暗唱番号と一致する番号が入力された場合に限り,前記電子マネー金額記憶手段に記憶された電子マネー金額を前記表示手段によって表示するように構成されたことを特徴とする請求項1または2記載の移動通信体。」 4-3-2.対比 刊行物1の上記4-1-2(4a)の段落には,電子ウォレット側(外部インタフェースexternal interface)では情報の読み出しや書き換えのプロトコルに対応した通信ハードウェアを持っているが,そのプロトコルは支払ユニット側(カスタマインタフェースcustomer interface)によってPINをキー入力させる(請求項3にいう「暗唱番号」を入力させる)要求にも対応するものである,とする説明がある。 この説明と,4-1-2(5a)にある支払いの流れについての説明とを併せてみるならば,電子ウォレット側で,PINのデータを保持し,それを読み出し,支払ユニット側に供給しているのは明らかであるから,刊行物1の電子ウォレットは請求項3の「所定の暗唱番号を記憶する暗唱番号記憶手段」を有しているということができる。 もっとも,PINの入力や電子現金の貯蔵額の表示を電子ウォレット上で行うことに関しては,刊行物1では何も言及されていない。 したがって,請求項3の発明と刊行物1の発明とを対比すると,両者は,前掲の相違点1ないし7に加えて,次の相違点8で相違し,その他の点で一致する。 (相違点8)請求項3の発明においては,「電子マネー金額記憶手段に記憶された電子マネー金額を表示する表示手段」があり,「暗唱番号記憶手段に記憶された所定の暗唱番号と一致する番号が入力された場合に限り,前記電子マネー金額記憶手段に記憶された電子マネー金額を前記表示手段によって表示するように構成され」ているのに対して,刊行物1の発明では,電子ウォレット上での入力や表示に係る構成が,記載がないため,はっきりしない点。 4-3-3.相違点の検討と請求項3についてのまとめ (1)相違点8について 刊行物11には,ICカード表面に設けられている数字キーによって暗証番号の入力を行い,表示ボタンによって残高を表示させる,という,残高の確認の機能についての記載がある(段落0009ほか)。 また,刊行物12には,カードを暗証番号のキー入力によって稼働状態にさせた上で照会キーによって残高を表示させることが開示されている(図6(a)(b),5ページ左上欄1?3行)。 これらの記載にみられるようなキー入力のための入力部や残高表示のための表示部を採用することは,刊行物1の電子ウォレットを含めた,電子マネーに類する金銭的価値のデータを記憶できる各種のICカードにおいても,また,刊行物2ないし4にもみられるような電話機を含めた,セルラー電話であって金銭的価値のデータを記憶できるような周知の電話機においても,利便性の向上のため容易にできることであり,採用する上での技術的な阻害要因も,特に見出せない。 したがって,刊行物1の発明において相違点8に係る構成を請求項3にあるとおりの構成とすることは,当業者が容易になし得ることである。 (2)まとめ 相違点は上記相違点1ないし7に相違点8を加えた各相違点のみであって,いずれの点についても刊行物1の発明において請求項3にあるとおりの構成をとるようにすることは当業者にとって容易にできたというべきことであり,いずれの相違点にも他の相違点に影響するような事情はないと認められ,さらに,請求項3にあるとおりの構成とすることにより生じ得る効果も当業者であれば予測することができた程度の効果であるといえるから,請求項3の発明は,刊行物1の発明に基づいて,刊行物2ないし12の記載事項,周知技術の知識及び実務上の知識との組み合わせとして,当業者が容易に発明をすることができたものである。 請求項3の発明に係る被請求人の主張(意見書8ページ,2-3-2について)は,請求項1の発明に進歩性があることを前提とするものであり,請求項1の発明に進歩性がないことについては既に述べたとおりであるから,この主張は採用することができない。 5.むすび 以上のとおり,請求項1ないし3に係る各発明についての特許は,特許法第29条第2項の規定に違反してなされたものであり,同法第123条第1項第2号に該当し,無効とされるべきものである。 審判費用の負担については,特許法第169条第2項の規定により準用する民事訴訟法第61条の規定により,被請求人が負担すべきものとする。 よって,結論のとおり審決する。 |
発明の名称 |
(54)【発明の名称】 移動通信体 (57)【特許請求の範囲】 【請求項1】基地局を介して無線通信を行う移動通信体であって、 前記基地局と無線通信を行う無線通信手段と、端末機と短距離通信を行う短距離通信手段と、電子マネー金額を記憶する電子マネー金額記憶手段とを有し、 商店に支払う支払い金額を前記電子マネー金額から支払い処理する際には、前記端末機と短距離通信可能な状態で、前記移動通信体または前記端末機に前記支払い金額が入力されることに応じて、前記電子マネー金額記憶手段に記憶された電子マネー金額を前記短距離通信手段によって前記端末機に送信し、新たな電子マネー金額を前記短距離通信手段によって前記端末機から受信し、受信した前記新たな電子マネー金額を前記電子マネー金額記憶手段によって記憶するように構成され、 前記電子マネー金額に所定の補充金額を補充処理する際には、前記端末機と短距離通信可能な状態で、前記移動通信体または前記端末機に前記補充金額が入力されることに応じて、前記電子マネー金額記憶手段に記憶された電子マネー金額を前記短距離通信手段によって前記端末機に送信し、新たな電子マネー金額を前記短距離通信手段によって前記端末機から受信し、受信した前記新たな電子マネー金額を前記電子マネー金額記憶手段によって記憶するように構成されたことを特徴とする移動通信体。 【請求項2】前記電子マネー金額は、暗号化した電子マネー金額及び暗号化していない可読状態の電子マネー金額であることを特徴とする請求項1記載の移動通信体。 【請求項3】所定の暗唱番号を記憶する暗唱番号記憶手段と、前記電子マネー金額記憶手段に記憶された電子マネー金額を表示する表示手段とを有し、 前記暗唱番号記憶手段に記憶された所定の暗唱番号と一致する番号が入力された場合に限り、前記電子マネー金額記憶手段に記憶された電子マネー金額を前記表示手段によって表示するように構成されたことを特徴とする請求項1または2記載の移動通信体。 【発明の詳細な説明】 【0001】 【発明の属する技術分野】 本発明は、いわゆる携帯電話等の移動通信体に関する。 【0002】 【従来の技術】 近年、いわゆる携帯電話等の移動通信体が普及している。このような移動通信体による移動通信体システムでは、移動通信体は基地局と無線通信を行い、該基地局を介して他の移動通信体等と音声や画像等の情報の送受を行うようになっている。 【0003】 このような移動通信体システムにおいて、移動通信体による無線通信サービス使用料金の徴収方式は、サービス提供者が所定期間(例えば1ヶ月間)の使用料金を加算しておき、該所定期間が経過した後にユーザに対して使用料金の合計額を請求して徴収する後払い方式が一般的である。 【0004】 ところが、最近では、移動通信体が非常な低額で入手可能になった背景のもと、使用料金を支払うことなく移動通信体が廃棄されてしまい、サービス提供者が使用料金を徴収できなくなるという事態が多発している。 【0005】 そこで、移動通信体のユーザに対して該移動通信体による使用料金をプリペイド金額として予め支払わせておき、移動通信体が使用されるごとに前記プリペイド金額から使用料金を差し引くいわゆるプリペイド方式も普及している。 【0006】 【発明が解決しようとする課題】 しかし、従来のプリペイド方式においては、各移動通信体ごとのプリペイド金額を基地局が記憶・管理していたため、多数の移動通信体が加入する移動通信体システムでは、基地局に多大な負担が生じるという問題があった。 【0007】 また、最近では来る情報ネットワーク社会を睨み、従来の現金を入れる財布に代えて、電子情報による金額を所定のカード等に記憶させておき、該カードを用いて商取引の決済に用いる種々の電子マネーサービスの提供方法が提案されている。しかし、これら種々提案されている電子マネーサービスでは、前記所定のカード等を従来の現金を入れた財布の代わりに所持しなければならないことに変わりはなく、該サービスを利用するユーザの携行品が小さくはなるもののなくなるものではない。 【0008】 本発明は、上記課題に鑑みてなされたものであり、その第1の目的は、多数の移動通信体が加入しても基地局の負担を軽減することができる移動通信体を提供することであり、その第2の目的は、ユーザの携行品を増やすことなく電子マネーサービスを実現することができる移動通信体を提供することである。 【0025】 【課題を解決するための手段】 上記目的を達するため、本発明にかかる移動通信体は、基地局を介して無線通信を行う移動通信体であって、前記基地局と無線通信を行う無線通信手段と、端末機と短距離通信を行う短距離通信手段と、電子マネー金額を記憶する電子マネー金額記憶手段とを有し、商店に支払う支払い金額を前記電子マネー金額から支払い処理する際には、前記端末機と短距離通信可能な状態で、前記移動通信体または前記端末機に前記支払い金額が入力されることに応じて、前記電子マネー金額記憶手段に記憶された電子マネー金額を前記短距離通信手段によって前記端末機に送信し、新たな電子マネー金額を前記短距離通信手段によって前記端末機から受信し、受信した前記新たな電子マネー金額を前記電子マネー金額記憶手段によって記憶するように構成され、前記電子マネー金額に所定の補充金額を補充処理する際には、前記端末機と短距離通信可能な状態で、前記移動通信体または前記端末機に前記補充金額が入力されることに応じて、前記電子マネー金額記憶手段に記憶された電子マネー金額を前記短距離通信手段によって前記端末機に送信し、新たな電子マネー金額を前記短距離通信手段によって前記端末機から受信し、受信した前記新たな電子マネー金額を前記電子マネー金額記憶手段によって記憶するように構成されたことを特徴とするものである。 【0026】 このような移動通信体システムによれば、移動通信のために携行される移動通信体が、電子マネーシステムの端末として機能することから、ユーザの携行品を増やすことなく電子マネーサービスを実現することができる。また、この移動通信体に記憶されている電子マネー金額からの支払い処理に応じた変額処理は、銀行システムサーバにアクセス可能な端末機において行われ、移動通信体が単独で電子マネー金額を変動させることはないため、不正使用を防止することができる。また、電子マネー金額の変額処理は端末機が行うため、金融システムサーバ等の負担を軽減するとともに、金融システムの通信トラフィックの混雑を軽減することができる。また、移動通信体の電子マネーの授受は短距離通信手段を介しているため、高い通信の安全性を確保することができる。また、移動通信体の利用者は、金融システムサーバにアクセス可能な端末機と移動通信体とを短距離通信可能な状態とし、該端末機の管理者等に補充金額を支払うことで、該管理者等によって該端末機を介し、移動通信体の電子マネー金額を補充することができる。このとき、電子マネー金額の授受は短距離通信手段を介しているため、高い通信の安全性を確保することができる。 【0027】 また、前記移動通信体の前記電子マネー金額は、暗号化した電子マネー金額及び暗号化していない可読状態の電子マネー金額とされるように構成されることが望ましい。 【0028】 このようにすれば、移動通信体には、可読状態と秘匿状態との電子マネー金額が合わせて記憶されていることから、移動通信体が単独で秘匿状態の電子マネー金額を解読することができない。そして、端末機との通信時には、端末機が移動通信体が記憶している可読状態の電子マネー金額と秘匿状態の電子マネー金額とを照合して、該照合結果が一致しなければ、この移動通信体による支払い処理が禁止されるため、万が一可読状態の電子マネー金額が改ざんされてもこれを発見し、移動通信体の電子マネーの不正使用を未然に防止することができる。 【0035】 また、前記移動通信体は、所定の暗唱番号を記憶する暗唱番号記憶手段と、前記電子マネー金額記憶手段に記憶された電子マネー金額を表示する表示手段とを有し、前記移動通信体に対し、前記暗唱番号記憶手段に記憶された所定の暗唱番号と一致する番号が入力された場合に限り、前記電子マネー金額記憶手段に記憶された電子マネー金額を前記表示手段によって表示するように構成されることが望ましい。 【0036】 このようにすれば、移動通信体に記憶された電子マネー金額は、暗唱番号を知る正規の利用者にのみ確認可能となり、安全性が高まる。 【0037】 【発明の実施の形態】 図1は、本発明にかかる移動通信体システムの全体概略構成を示す説明図である。 【0038】 本発明にかかる移動通信体システムは、移動通信体であるいわゆる携帯電話機10…と、該携帯電話機10…による無線通信サービスを提供する基地局であるいわゆる電話局システム20と、金融システムである銀行システム30と、商店ネットワークシステム40と、暗号キーを管理する暗号キー管理システム50と、各システムを接続する接続器60…とを備えている。 【0039】 図2は、携帯電話機10の内部構成を示す機能ブロック図である。 【0040】 携帯電話機10…は、無線通信手段11と、有線通信手段12と、プリペイド金額、電子マネー金額、および暗唱番号等の種々の情報を記憶する記憶手段13と、音声通話のための音声入出力手段14と、ユーザからのキー操作入力を受ける入力手段であるキーボード15と、ユーザに対する文字や画像等の情報出力を行うモニタ16と、ユーザに対して警告音等を発するスピーカ17と、上記プリペイド金額が所定の警告金額以下になっていないかを確認するプリペイド残額確認手段18と、該携帯電話機10…における種々の処理を統括制御する制御手段19とを備えている。 【0041】 前記無線通信手段11は、後述する電話局システム20の電話局端末機22と無線通信を行うものであり、アンテナ111を有している。 【0042】 前記有線通信手段12は、後述する銀行システム30の銀行端末機32…や商店ネットワークシステム40の店頭端末機42…と有線接続されることにより、これら端末機32…,42…と短距離の有線通信を行うものであり、有線接続のためのコネクタ121を有している。なお、この有線通信手段12は、通信の確実性が得られるならば、レーザや赤外線あるいは超音波等を媒体とした短距離無線通信手段に代えてもよい。後述する機能回復処理端末機23、銀行端末機32および店頭端末機42が備える有線通信手段232,322,422も同様である。 【0043】 前記記憶手段13は、通常情報記憶領域13aと、秘匿情報記憶領域13bと、16進数情報記憶領域13cの3領域に分かれており、後述する種々の情報がこれら3領域のいずれかまたは複数にまたがって記憶される。 【0044】 前記通常情報記憶領域13aとは、そのままコード変換することで可読し得る可読状態の情報(データ)が記憶される領域である。この領域13aの情報は、携帯電話機10本体が単独で読み出し可能であり、所定の条件が満たされればユーザに対して表示等することができる。 【0045】 前記秘匿情報記憶領域13bとは、セキュリティーを高める目的で、前記通常情報記憶領域13aに記憶される特定の情報を暗号化した情報が記憶される領域である。この領域13bの情報は、携帯電話機10本体では解読することはできず、後述する銀行システム30の銀行端末機32等においてのみ解読され、その内容を変更することが可能である。 【0046】 前記16進数情報記憶領域13cとは、16進数化した情報が記憶される領域である。この領域13cの情報は、ユーザには解読困難であるが、携帯電話機10が解読可能である。 【0047】 前記記憶手段13は、上記3領域において、プリペイド金額記憶部131と、電子マネー金額記憶部132と、暗唱番号記憶部133と、制御情報記憶部134と、個人データ記憶部135と、ユーザ用電話帳記憶部136等とを有している。 【0048】 前記プリペイド金額記憶部131は、通常情報記憶領域13aと秘匿情報記憶領域13bの両領域にそれぞれ設けられ、ユーザによって予め支払われた無線通信サービスを受けるための通信費用であるプリペイド金額が記憶されている。 【0049】 前記電子マネー金額記憶部132は、通常情報記憶領域13aと秘匿情報記憶領域13bの両領域にそれぞれ設けられ、この携帯電話機10を電子マネーシステム端末とする電子マネー金額が記憶されている。 【0050】 前記暗唱番号記憶部133は、通常情報記憶領域13aと秘匿情報記憶領域13bと16進数情報記憶領域13cのそれぞれに設けられ、ユーザが設定した所定の暗唱番号(例えば4桁の数字)が記憶されている。 【0051】 前記制御情報記憶部134は、16進数情報記憶領域13cに設けられ、銀行端末機32等において上記秘匿情報記憶領域13bに記憶された秘匿情報を解読する際に、この解読に要する暗号キーを特定するために用いられるものである。 【0052】 前記個人データ記憶部135は、通常情報記憶領域13aと秘匿情報記憶領域13bの両領域にそれぞれ設けられ、ユーザを特定するための氏名、住所、電話番号、ユーザ確認用IDデータ、さらにユーザの取引銀行の口座番号(利用者口座の番号)、この携帯電話機10による無線通信サービスを提供する提供者の取引銀行の口座番号(電話局口座の番号)、およびこの携帯電話機10の電子マネー金額がプールされる銀行の当座口座番号(当座口座の番号)が記憶されている。なお、ユーザ確認用IDデータとは、後述するように、機能停止状態(ロック状態)となった携帯電話機10を機能回復(ロック解除)させる際に、携帯電話機10の真のユーザであるか否かを確認するために用いるもので、例えば、運転免許証番号等の公文書によって確認可能なIDデータである。 【0053】 前記ユーザ用電話帳記憶部136等は、通常情報記憶領域13aに設けられ、従来の一般的な携帯電話機と同様に、ユーザによって登録された相手先電話番号をはじめ、種々の情報が記憶されている。 【0054】 前記音声入出力手段14は、この携帯電話機10によって音声情報による通常の通話処理を行うためのマイクおよびスピーカを含むものである。 【0055】 前記キーボード15は、ユーザが通話先電話番号や種々の金額情報等を携帯電話機10にキー操作によって入力するための入力手段である。なお、以下、携帯電話機10に対するユーザの入力は原則としてこのキーボード15による。 【0056】 前記モニタ16は、ユーザに対する文字や画像等の情報出力を行うものである。なお、以下、携帯電話機10によるユーザへの出力は原則としてこのモニタ16による。また、このモニタ16は、前記プリペイド残額確認手段18等とともに、報知手段をなしている。 【0057】 前記スピーカ17は、ユーザに対して警告音等を発するものである。なお、このスピーカ17は、前記プリペイド残額確認手段18等とともに、報知手段をなしている。 【0058】 前記プリペイド残額確認手段18は、この携帯電話機10による通常の通話処理時において、前記プリペイド金額が所定の警告金額以下になっていないかを確認するものであり、報知手段をなしている。すなわち、このプリペイド残額確認手段18によってプリペイド金額が所定の警告金額以下になっていることが見いだされれば、ユーザに対し、前記モニタ16およびスピーカ17によって警告が行われるようになっている。 【0059】 前記制御手段19は、携帯電話機10…における種々の処理を統括制御するものである。 【0060】 図3は、電話局システム20の内部構成を示す機能ブロック図である。 【0061】 電話局システム20は、電話局サーバ21と、電話局端末機22…と、機能回復処理用端末機23…と、これら電話局サーバ21、電話局端末機22…および機能回復処理用端末機23…を接続する通信回線24とから構成されている。なお、この電話局システム20は、全体として携帯電話機(移動通信体)10に無線通信サービスを提供する基地局を構成している。 【0062】 電話局サーバ21は、各携帯電話機10…の電話番号およびID番号等のデータを記憶・管理する電話機管理データ記憶手段211と、この電話局サーバ21での種々の処理を統括・制御する制御手段212とを備えている。 【0063】 電話局端末機22は、携帯電話機10と無線通信を行うアンテナ221を有する無線通信手段222と、携帯電話機10から受信する暗号化処理された秘匿情報を解読する解読手段223と、解読した情報と携帯電話機10から受信する通常情報とを照合する照合手段224と、携帯電話機10から受信した通常情報のプリペイド金額を減額処理する減額処理手段225と、減額処理されたプリペイド金額を含む通常情報を再び秘匿情報に暗号化する暗号化手段226と、この電話局端末機22での種々の処理を統括・制御する制御手段227とを備えている。 【0064】 前記解読手段223および暗号化手段226は、後述するように、暗号キー管理システム50から取得する暗号キーに基づいて、携帯電話機10に記憶されている秘匿情報の解読処理および通常情報の暗号化処理を行うようになっている。 【0065】 前記減額処理手段225は、携帯電話機10が通常通話中に、予め設定された通話単価情報に基づいて、携帯電話機10から受信した通常情報のプリペイド金額を所定タイミングごとに減額処理し、新たなプリペイド金額を求めるものである。 【0066】 機能回復処理用端末機23は、携帯電話機10と有線通信を行うコネクタ231を有する有線通信手段232と、ユーザや窓口操作者による入力を受ける入力手段233と、携帯電話機10から受信する暗号化された秘匿情報を解読する解読手段234と、解読した情報を再び秘匿情報に暗号化する暗号化手段235と、この機能回復処理用端末機22での種々の処理を統括・制御する制御手段226とを備えている。 【0067】 前記解読手段234および暗号化手段235は、後述するように、暗号キー管理システム50から取得する暗号キーに基づいて、携帯電話機10に記憶されている秘匿情報の解読処理および通常情報の暗号化処理を行うようになっている。 【0068】 図4は、銀行システム30の内部構成を示す機能ブロック図である。 【0069】 銀行システム30は、銀行サーバ31と、複数台の銀行端末機32…と、これら銀行サーバ31および銀行端末機32…を接続する通信回線33とから構成されている。なお、この銀行システムは全体として金融システムを構成している。 【0070】 前記銀行サーバ31は、上記電話局システム20による無線通信サービスの提供者である電話局の口座311と、前記携帯電話機10…を利用する利用者の口座312と、各携帯電話機10内に記憶される電子マネー金額をプールするための当座口座313と、上記商店ネットワークシステム40の商店口座314とを有している。さらに、銀行サーバ31は、前記通信回線33を介して受信される入金処理要求に応じて所定の口座に対する入金処理を行う入金処理手段315と、送金処理要求に応じて所定の口座から他の口座に送金処理を行う送金処理手段316と、この銀行サーバ31での種々の処理を統括・制御する制御手段317とを備えている。この銀行サーバ31は金融システムサーバを構成している。 【0071】 前記銀行端末機32は、それぞれ上記携帯電話機10…と有線通信を行うコネクタ321を有する有線通信手段322と、ユーザや窓口操作者による入力を受ける入力手段323と、携帯電話機10から受信する暗号化された秘匿情報を解読する解読手段324と、解読した情報と携帯電話機10から受信する通常情報とを照合する照合手段325と、携帯電話機10から受信した通常情報のプリペイド金額または電子マネー金額を増額または減額処理する変額処理手段326と、変額処理されたプリペイド金額または電子マネー金額を含む通常情報を再び秘匿情報に暗号化する暗号化手段327と、この銀号端末機32での種々の処理を統括・制御する制御手段328とを備えている。この銀行端末機32は、金融システムサーバである前記銀行サーバ31とアクセス可能な端末機を構成している。 【0072】 前記解読手段324および暗号化手段327は、後述するように、暗号キー管理システム50から取得する暗号キーに基づいて、携帯電話機10に記憶されている秘匿情報の解読処理および通常情報の暗号化処理を行うようになっている。 【0073】 図5は、商店ネットワークシステム40内部構成を示す機能ブロック図である。 【0074】 商店ネットワークシステム40とは、例えば、一般にPOSシステム等と称されるものを含み、該システムを管理・運営する商店サーバ41と、前記携帯電話機10…の利用者等に対し、種々の商品やサービスを販売する商店等に配設された複数の店頭端末機42…と、これらサーバー機41および店頭端末機42…を接続する通信回線43とから構成されている。なお、この商店ネットワークシステム40は、携帯電話機10内の電子マネーを介して商取引を行う商店をなしている。 【0075】 前記商店サーバ41は、各店舗ごとの売り上げ等を管理する店舗管理データ記憶手段411と、この商店サーバ31での種々の処理を統括・制御する制御手段412とを備えている。 【0076】 前記店頭端末機42は、商店の店頭等に設置されるもので、それぞれ上記携帯電話機10…と有線通信を行うコネクタ421を有する有線通信手段422と、ユーザや窓口操作者による入力を受ける入力手段423と、携帯電話機10から受信する暗号化された秘匿情報を解読する解読手段424と、解読した情報と携帯電話機10から受信する通常情報とを照合する照合手段425と、携帯電話機10から受信した通常情報のプリペイド金額または電子マネー金額を増額または減額処理する変額処理手段426と、変額処理されたプリペイド金額または電子マネー金額を含む通常情報を再び秘匿情報に暗号化する暗号化手段427と、ユーザや窓口操作者に対して種々の情報を出力する出力手段428と、この店頭端末機42での種々の処理を統括・制御する制御手段429とを備えている。この店頭端末機42は、金融システムサーバである前記銀行サーバ31とアクセス可能な端末機を構成している。 【0077】 前記解読手段424および暗号化手段427は、後述するように、暗号キー管理システム50から取得する暗号キーに基づいて、携帯電話機10に記憶されている秘匿情報の解読処理および通常情報の暗号化処理を行うようになっている。 【0078】 図6は、暗号キー管理システム50の内部構成を示す機能ブロック図である。 【0079】 暗号キー管理システム50は、所定期間毎に新たな暗号キーを生成する暗号発生手段51と、過去の暗号キーを記憶する暗号キー記憶手段52と、過去に生成した暗号キーをその暗号キー生成時を特定可能な制御情報に基づいて、前記暗号キー記憶手段52から検索する検索手段53と、この暗号キー管理システム50での種々の処理を統括・制御する制御手段54とを備えている。 【0080】 なお、この実施形態にかかる移動通信体システムでは、携帯電話機10…に記憶されたプリペイド金額等の秘匿情報は、前記暗号キー管理システム50が生成する暗号キーによって暗号化されており、各携帯電話機10には、この暗号キーを特定する情報となる制御情報が合わせて記憶されている。したがって、前記銀行端末機32の解読手段324等は、携帯電話機10から受信した制御信号をこの暗号キー管理システム50に送信することにより、該システム50から解読するための暗号キーを受信して、暗号解読を行うようになっている。また、前記銀行端末機32の暗号化手段327等は、この暗号キー管理システム50から得た現行の(最新の)暗号キーによって携帯電話機10に記憶させるべき各種情報を暗号化するとともに、この暗号キーを特定する情報となる制御情報を合わせて携帯電話機10に送信して記憶させるようになっている。 【0081】 次に、図7?図22を参照しながら、本システムにおける各種処理の手順について説明する。 【0082】 ▲1▼通常の通話処理(図7,図8) 図7および図8は、携帯電話機(移動通信体)10による通常の通話時に行われる処理手順を示している。 【0083】 この通常の通話処理は、ユーザによって携帯電話機10のキーボード(入力手段)15に通話先電話番号が入力され、さらに通話開始ボタンが押されることによって開始される(ステップS100)。携帯電話機10は、入力された通話先電話番号とともに、携帯電話機10内の記憶手段13に記憶されている制御情報134、通常情報13aおよび秘匿情報13bを電話局システム(基地局)20に送信する(ステップS102)。 【0084】 電話局システム20の電話局端末機(端末機)22は、上記各情報を受信すると(ステップS104)、受信した制御情報134を暗号キー管理システム50に送信する(ステップS106)。 【0085】 暗号キー管理システム50は、制御情報を受信すると(ステップS108)、検索手段53により暗号キー記憶手段52から該制御情報に対応する暗号キーを検索し(ステップS110)、該暗号キーを電話局端末機22に送信する(ステップS112)。 【0086】 電話局端末機22は、暗号キーを受信すると(ステップS114)、解読手段223により該暗号キーを用いて携帯電話機10から受信した秘匿情報13bを解読し(ステップS116)、照合手段224により携帯電話機10から受信した通常情報13aと秘匿情報13bを解読して得た情報とを照合する(ステップS118)。 【0087】 この照合結果が不整合である場合には、携帯電話機10内の情報が改ざんされたものと判断され、回線が切断されるとともに、この携帯電話機10の機能が停止される(ステップS120)。これによって、携帯電話機10はロック状態となり、以後、ユーザによる一切の入力が拒絶され、不正使用が予防される。 【0088】 一方、照合結果が整合する場合には、電話局端末機22は、通話元である接続を要求する携帯電話機10の位置、通話先の位置、使用される通話モード、さらに時刻に応じて、通話単価を計算し(ステップS122)、通話先の電話局(基地局)等を介して通話を許可する(ステップS124)。これにより、携帯電話機10は通話状態となる。 【0089】 つづいて電話局端末機22は、通話元の携帯電話機10から得たプリペイド金額131が0となっていないかを判定し(ステップS126)、0である場合には、通話を切断する。 【0090】 一方、プリペイド金額131が0でない場合には、減額処理手段225により、上記通話単価に応じて通常状態13aのプリペイド金額131を減額処理して新たなプリペイド金額131を求めた上で(ステップS130)、暗号キー管理システム50に対して現行暗号キー要求を送信する(ステップS132)。 【0091】 暗号キー管理システム50は、上記要求を受信すると(ステップS134)、検索手段53により暗号キー記憶手段52から現行暗号キーおよび現行制御情報を得て、電話局端末機22に送信する(ステップS136)。 【0092】 電話局端末機22は、現行暗号キーおよび現行制御情報を受信すると(ステップS138)、プリペイド金額131を減額した新たな通常情報13aを、受信した現行暗号キーを用いて暗号化手段226により暗号化処理し(ステップS140)、こうして暗号化した新しい秘匿情報13bとともに、この秘匿情報13bのもととなった通常情報13a、およびこの秘匿情報13bの暗号化処理に用いた現行暗号キーに対応する現行の制御情報134を、携帯電話機10に送信する(ステップS142)。なお、この送信は、携帯電話機10が通話中に行われるが、ごく短時間の情報通信ゆえ、通常の音声通信に支障はない。 【0093】 携帯電話機10は、上記各情報を受信すると(ステップS144)、受信した各情報を携帯電話機10内の記憶手段13に記憶する(ステップS146)。そして、受信した通常情報13aのうち、プリペイド残額確認手段18によりプリペイド金額131が予め設定された所定金額以下になっていないかを判定し(ステップS148)、所定金額(警告金額)以下であれば、プリペイド金額131の残額が少なく、まもなく通話が切断されることをモニタ16への警告表示およびスピーカ17への警告音発生によってユーザに報知する(ステップS150)。 【0094】 一方、電話局端末機22は、この携帯電話機10による通話時間を管理しており、通話時間が上記通話単価に応じた時間を経過していないかの判断を繰り返し(ステップS152)、通話単価に応じた時間を経過した場合には、さらに減額処理手段225によってプリペイド金額131を減額処理するべくステップS126に戻る。 【0095】 こうして、携帯電話機10の通話状態は、プリペイド金額131が0になるか、ユーザが携帯電話機10に回線切断を要求する(ステップS154)まで維持される。 【0096】 ▲2▼現金支払いによるプリペイド金額の補充処理(図9,図10) 図9および図10は、商店の店頭において現金を支払うことにより、店頭端末機42を介して携帯電話機10のプリペイド金額131を補充する場合の処理手順を示している。 【0097】 このプリペイド金額131の現金による補充処理は、予めユーザが携帯電話機10を店頭端末機42の近くに位置させ、携帯電話機10と店頭端末機42との有線通信手段(短距離通信手段)12、422が有するコネクタ121、421を接続することによって両者が通信可能な状態とすることが前提条件となる。この状態で、ユーザが携帯電話機10に現金支払いによってプリペイド金額131の補充処理を行う旨をキーボード(入力手段)15を介して要求し、携帯電話機10がこれを受理することによって、現金支払いによるプリペイド金額131の補充処理が開始される(ステップS200)。 【0098】 携帯電話機10は、プリペイド金額補充処理の要求とともに、携帯電話機10内の記憶手段13に記憶されている制御情報134、通常情報13aおよび秘匿情報13bを店頭端末機42に送信する(ステップS202)。 【0099】 店頭端末機42が上記各情報を受信したのち(ステップS204)、受信した通常情報13aと秘匿情報13bとを照合するまでの一連の処理(ステップS206?S220)は、上述した通常の通話処理において電話局端末機22および暗号キー管理システム50が行う一連の処理(ステップS104?S120)と同様であるので重複説明を省略する。 【0100】 受信した通常情報13aと秘匿情報13bとの照合結果が整合する場合には(ステップS218で整合側へ)、携帯電話機10のユーザが店頭において支払った補充金額が、店頭端末機42の端末操作者によって店頭端末機42の入力手段423に入力される(ステップS222)。 【0101】 店頭端末機42は、上記補充金額が入力されると、携帯電話機10から受信した個人データ135から電話局口座311の口座番号を得るとともに、該店頭端末機42の商店口座314の口座番号と合わせて送金処理を依頼するべき銀行システム30(正確には銀行サーバ31)を特定し、前記補充金額を商店口座314から電話局口座311へ送金する処理の要求を銀行システム30(正確には銀行サーバ31)に対して送信する(ステップS224)。 【0102】 銀行サーバ31は、上記要求を受信すると(ステップS226)、送金処理手段316により、商店口座314から電話局口座311へ上記補充金額の送金処理を行い(ステップS228)、送金処理が完了した旨の通知を前記店頭端末機42に対して送信する(ステップS230)。 【0103】 店頭端末機42は、上記通知を受信すると(ステップS232)、変額処理手段426によって通常状態13aのプリペイド金額131を上記補充金額分だけ増額処理する(ステップS234)。 【0104】 この後、店頭端末機42が現行暗号キーを得てプリペイド金額131が増額された通常情報13aを暗号化し、各情報を携帯電話機10に送信し、さらにこれら各情報を受信した携帯電話機10が記憶手段13に記憶する一連の処理(ステップS236?S250)は、上述した通常の通話処理において電話局端末機22、暗号キー管理システム50および携帯電話機10が行う一連の処理(ステップS132?S146)と同様であるので重複説明を省略する。 【0105】 店頭端末機42は、これら一連の処理が終了すれば、携帯電話機10に対して処理完了通知を送信し(ステップS252)、携帯電話機10がこれを受信することによって、携帯電話機10は店頭端末機42から開放され(ステップS254)、コネクタ121、421接続が解除され、現金支払いによるプリペイド金額131の補充処理が終了する。 【0106】 なお、この現金支払いによるプリペイド金額131の補充処理は、銀行システム30の銀行端末機32を介しても、上述した店頭端末機42を介して行う場合と同様にして行うことができる。この場合、ユーザから支払われる現金は直接銀行に(銀行システム側に)入金されるため、電話局口座311への補充金額の入金処理は、銀行サーバ31が備える入金処理手段315によって行われる。 【0107】 ▲3▼口座振替によるプリペイド金額の補充処理(図11,図12) 図11および図12は、店頭端末機42を介してユーザの銀行口座(利用者口座312)の預金からの口座振替処理により、携帯電話機10のプリペイド金額131を補充する場合の処理手順を示している。 【0108】 この口座振振替によるプリペイド金額131の補充処理は、予めユーザが携帯電話機10を店頭端末機42の近くに位置させ、携帯電話機10と店頭端末機42との有線通信手段(短距離通信手段)12、422が有するコネクタ121、421を接続することによって両者が通信可能な状態とすることが前提条件となる。 【0109】 この状態で、ユーザが携帯電話機10に口座振替によってプリペイド金額131の補充処理を行う旨を要求し、携帯電話機10がこれを受理することによって、口座振替によるプリペイド金額131の補充処理が開始される(ステップS300)。 【0110】 携帯電話機10は、プリペイド金額補充処理の要求とともに、携帯電話機10内の記憶手段13に記憶されている制御情報134、通常情報13aおよび秘匿情報13bを店頭端末機42に送信する(ステップS302)。 【0111】 店頭端末機42が上記各情報を受信したのち(ステップS304)、受信した通常情報13aと秘匿情報13bとを照合するまでの一連の処理(ステップS306?S320)は、上述した通常の通話処理において電話局端末機22および暗号キー管理システム50が行う一連の処理(ステップS104?S120)と同様であるので重複説明を省略する。 【0112】 受信した通常情報13aと秘匿情報13bとの照合結果が整合する場合には(ステップS318で整合側へ)、利用者口座312からの口座振替によりプリペイド金額131に補充する補充金額が、携帯電話機10のユーザによって店頭端末機42の入力手段423に入力される(ステップS322)。 【0113】 店頭端末機42は、上記補充金額が入力されると、携帯電話機10から受信した個人データ135から電話局口座311の口座番号およびユーザの口座である利用者口座312の口座番号を得て、送金処理を依頼するべき銀行システム30(正確には銀行サーバ31)を特定し、前記補充金額を利用者口座312から電話局口座311へ送金する処理の要求を銀行システム30(正確には銀行サーバ31)に対して送信する(ステップS324)。 【0114】 銀行サーバ31は、上記要求を受信すると(ステップS326)、利用者口座312の残高が前記補充金額以上であるか否かを判定し(ステップS328)、利用者口座312の残高が不足であれば、上記要求に応じる送金処理は不可能である通知を店頭端末機42に送信する(ステップS330)。 【0115】 店頭端末機42は、この通知を受信すると(ステップS332)、口座振替によるプリペイド金額131の補充処理手続きを停止し(ステップS334)、手続きを終了する。 【0116】 一方、利用者口座312の残高が前記補充金額以上あれば、銀行サーバ31は、送金処理手段316により、利用者口座312から電話局口座311へ上記補充金額の送金処理を行い(ステップS336)、送金処理が完了した旨の通知を前記店頭端末機42に対して送信する(ステップS338)。 【0117】 店頭端末機42は、上記通知を受信すると(ステップS340)、変額処理手段426によって通常状態13aのプリペイド金額131を上記補充金額分だけ増額処理する(ステップS342)。 【0118】 この後、店頭端末機42が現行暗号キーを得てプリペイド金額131が増額された通常情報13aを暗号化し、各情報を携帯電話機10に送信し、さらにこれら各情報を受信した携帯電話機10が記憶手段13に記憶する一連の処理(ステップS344?S358)は、上述した通常の通話処理において電話局端末機22、暗号キー管理システム50および携帯電話機10が行う一連の処理(ステップS132?S146)と同様であるので重複説明を省略する。 【0119】 店頭端末機42は、これら一連の処理が終了すれば、携帯電話機10に対して処理完了通知を送信し(ステップS360)、携帯電話機10がこれを受信することによって、携帯電話機10は店頭端末機42から開放され(ステップS362)、コネクタ121、421接続が解除され、口座振替によるプリペイド金額131の補充処理が終了する。 【0120】 なお、この口座振替によるプリペイド金額131の補充処理は、銀行システム30の銀行端末機32を介しても、上述した店頭端末機42を介して行う場合と同様にして行うことができる。 【0121】 ▲4▼ユーザによるプリペイド金額の確認処理(図13) 図13は、携帯電話機10内に記憶されているプリペイド金額131をユーザが確認する場合の処理手順を示している。 【0122】 このユーザによるプリペイド金額131の確認処理は、ユーザが携帯電話機10にプリペイド金額131の表示する旨をキーボード(入力手段)15を介して要求し、携帯電話機10がこれを受理することによって、確認処理が開始される(ステップS400)。 【0123】 携帯電話機10は、モニタ(出力手段)16への表示によって、ユーザに暗唱番号を入力する旨を要求し(ステップS402)、ユーザがキーボード15に暗唱番号を入力すれば(ステップS404)、携帯電話機10は、入力された暗唱番号と、記憶手段13の通常情報領域13aに記憶された可読状態の暗唱番号133とを照合する(ステップS406) 【0124】 この照合結果が一致すれば、携帯電話機10は、入力された暗唱番号を16進数値に変換し(ステップS408)、さらに、こうして変換した入力暗唱番号と、記憶手段13の16進数情報領域13cに記憶された暗唱番号133とを照合する(ステップS410)。 【0125】 この照合結果も一致すれば、携帯電話機10は、ユーザに要求された確認項目であるプリペイド金額131を、記憶手段の通常記憶領域13aから読み出して、モニタ16に表示する(ステップS412)。そして、ユーザによってプリペイド金額131が確認され、キーボード15に終了操作に対応するボタンが押されれば(ステップS414)、前記表示を消去して確認処理を終了する(ステップS416)。 【0126】 一方、上記2段階の照合結果のいずれかが不一致であれば、携帯電話機10は、この照合回数が所定回数(例えば3回)以下であるか否かを判定し(ステップS418)、所定回数以下であれば改めてユーザに暗唱番号の入力を促すステップS402に戻る。 【0127】 照合回数が所定回数を超えていれば、暗唱番号を知らない不正規のユーザによる操作である、あるいは、記憶手段13の情報が改ざんされたと判断し、携帯電話機10の機能を停止する(ステップS420)。これによって、携帯電話機10はロック状態となり、以後、ユーザによる一切の入力が拒絶され、不正使用が予防される。 【0128】 なお、上記処理と同様の手順によって、携帯電話機10内に記憶された電子マネー金額132等についても、正規ユーザに対してのみ確認させることができる。 【0129】 ▲5▼携帯電話機に対する機能停止(ロック)状態の解除処理(図14,図15) 図14および図15は、機能停止(ロック)状態となった携帯電話機10に対して、電話局システム20の機能回復処理端末機23により、機能停止(ロック)状態を解除する場合の処理手順を示している。 【0130】 この携帯電話機に対する機能停止(ロック)状態の解除処理は、予めユーザが携帯電話機10を機能回復処理端末機23の近くに位置させ、携帯電話機10と機能回復処理端末機23との有線通信手段(短距離通信手段)12、232が有するコネクタ121、231を接続することによって両者が通信可能な状態とすることが前提条件となる。 【0131】 この状態で、まず、機能回復処理端末機23は、出力手段428によりユーザに対して暗唱番号の入力を要求する(ステップS500)。機能回復処理端末機23は、ユーザによって入力手段233から入力された暗唱番号を受理すると(ステップS502)、携帯電話機10に対し、制御情報134、通常情報13a、および秘匿情報13bを要求する旨を送信する(ステップS504)。 【0132】 携帯電話機10は、上記要求に応じて、制御情報134、通常情報13aおよび秘匿情報13bを機能回復処理端末機23に送信する(ステップS506)。 【0133】 機能回復処理端末機23が上記各情報を受信したのち(ステップS508)、受信した秘匿情報13bを解読するまでの一連の処理(ステップS510?S520)は、上述した通常の通話処理において電話局端末機22および暗号キー管理システム50が行う一連の処理(ステップS104?S116)と同様であるので重複説明を省略する。 【0134】 秘匿情報13bを解読した機能回復処理端末機23は、ユーザが入力した暗唱番号と、秘匿情報13bを解読して得た暗唱番号133とを照合し(ステップS522)、不一致の場合には、機能回復を求めるユーザが当該携帯電話機10の正規のユーザでないと判断し、機能回復処理を停止する(ステップS524)。これにより、携帯電話機10はロック状態が維持され、不正使用が予防される。 【0135】 一方、入力された暗唱番号と秘匿情報13bを解読して得た暗唱番号133とが一致する場合には、機能回復処理端末機23は、秘匿情報13bを解読して得た個人データ135から本人確認用IDを得て、これを表示手段236に表示し、窓口操作者に対して確認を要求する(ステップS526)。 【0136】 窓口操作者はユーザが示す運転免許証等の本人確認用書類と、表示手段236に表示された本人確認用IDとを照合して、ユーザが正規ユーザであるか否かを判断し、その結果を入力手段233に入力する。 【0137】 機能回復処理端末機23は、前記窓口操作者による確認結果を示す入力に応じて(ステップS528)、窓口操作者が正規ユーザでないと判断した入力がなされている場合には、機能回復を求めるユーザが当該携帯電話機10の正規のユーザでないと判断し、機能回復処理を停止する(ステップS524)。これにより、携帯電話機10はロック状態が維持され、不正使用が予防される。 【0138】 一方、窓口操作者が正規ユーザであると判断した入力がなされている場合に、機能回復処理端末機23が、現行暗号キーを得て、上述のようにして秘匿情報13bから解読した通常情報を暗号化し、各情報を携帯電話機10に送信し、さらにこれら各情報を受信した携帯電話機10が記憶手段13に記憶する一連の処理(ステップS532?S546)は、上述した通常の通話処理において電話局端末機22、暗号キー管理システム50および携帯電話機10が行う一連の処理(ステップS132?S146)と同様であるので重複説明を省略する。 【0139】 携帯電話機10に、通常情報13aと秘匿情報13bとが一致する新しい各情報が記憶されれば、機能回復端末機23は、携帯電話機10に対して機能停止(ロック)状態を解除する許可指令を送信し(ステップS548)、これを受信した携帯電話機10は、機能停止(ロック)状態が解除され、以後、ユーザによる種々の入力を受け付ける通常状態に戻る。 【0140】 こうして一連の処理が完了すれば、機能回復端末機23は、処置完了の通知を携帯電話機10に送信し(ステップS552)、 機能回復処理端末機23は、これら一連の処理が終了すれば、携帯電話機10に対して処理完了通知を送信し(ステップS552)、携帯電話機10がこれを受信することによって、携帯電話機10は機能回復処理端末機23から開放され(ステップS554)、コネクタ121、231接続が解除され、携帯電話機10に対する機能停止(ロック)状態の解除処理が終了する。 【0141】 ▲6▼電子マネーによる支払い処理(図16?図18) 図16?図18は、商店において買い物をしたユーザが、該商店の店頭に設置された店頭端末機42を介して、携帯電話機10内の電子マネーによって支払いを行う場合の処理手順を示している。 【0142】 この電子マネーによる支払い処理は、予めユーザが携帯電話機10を店頭端末機42の近くに位置させ、携帯電話機10と店頭端末機42との有線通信手段(短距離通信手段)12、422が有するコネクタ121、421を接続することによって両者が通信可能な状態とすることが前提条件となる。 【0143】 この状態で、ユーザが携帯電話機10に電子マネーによる支払い処理を行う旨を、携帯電話機10のキーボード(入力手段)15に入力することで要求し、携帯電話機10がこれを受理することによって、電子マネーによる支払い処理が開始される(ステップS600)。 【0144】 携帯電話機10は、電子マネーによる支払い要求とともに、携帯電話機10内の記憶手段13に記憶されている制御情報134、通常情報13aおよび秘匿情報13bを店頭端末機42に送信する(ステップS602)。 【0145】 店頭端末機42が上記各情報を受信したのち(ステップS604)、受信した通常情報13aと秘匿情報13bとを照合するまでの一連の処理(ステップS606?S620)は、上述した通常の通話処理において電話局端末機22および暗号キー管理システム50が行う一連の処理(ステップS104?S120)と同様であるので重複説明を省略する。 【0146】 受信した通常情報13aと秘匿情報13bとの照合結果が整合する場合には(ステップS618で整合側へ)、店頭端末機42は、出力手段4248によりユーザに対して暗唱番号を要求し(ステップS622)、入力手段423に入力された暗唱番号が受理されれば(ステップS624)、店頭端末機42は、入力された暗唱番号と、携帯電話機10から受信した暗唱番号133とを照合する(ステップS626)。 【0147】 この照合結果が不一致であれば、支払いを行おうとするユーザがこの携帯電話機10の正規ユーザでないと判断され、この電子マネーによる支払い処理手続きが停止される(ステップS628)。 【0148】 一方、前記照合結果が一致すれば、店頭端末機42は、店員に対して、出力手段428によりユーザが支払うべき支払金額の入力を要求し(ステップS630)、入力手段423に入力された支払金額が受理されれば(ステップS632)、店頭端末機42は、携帯電話機10から受信した電子マネー金額132が入力された支払い金額以上であるか否か、すなわち、支払い可能であるか否かを判断し(ステップS634)、支払い不可能であれば、電子マネー金額の残額が不足する旨を報知して、電子マネーによる支払い処理を終了する。 【0149】 一方、支払い可能である場合には、出力手段428によりユーザに対して支払い金額の確認を要求する(ステップS638)。この確認の結果、ユーザが支払いを拒めば(ステップS640でNO)、電子マネーによる支払い処理手続きを終了する(ステップS642)。 【0150】 ユーザの確認結果がOKであれば(ステップS640でYES)、店頭端末機42は、携帯電話機10から受信した個人データからこの携帯電話機10の電子マネーがプールされている銀行の当座口座313の口座番号とともに、該店頭端末機42の商店口座314の口座番号と合わせて送金処理を依頼するべき銀行システム30(正確には銀行サーバ31)を特定し、前記支払金額を当座口座313から商店口座314へ送金する処理の要求を銀行システム30(正確には銀行サーバ31)に対して送信する(ステップS644)。 【0151】 銀行サーバ31は、上記要求を受信すると(ステップS646)、送金処理手段316により、当座口座313から商店口座314へ上記支払金額の送金処理を行い(ステップS648)、送金処理が完了した旨の通知を前記店頭端末機42に対して送信する(ステップS650)。 【0152】 店頭端末機42は、上記通知を受信すると(ステップS652)、変額処理手段426によって通常状態13aの電子マネー金額132を上記支払金額分だけ差し引く減額処理を行う(ステップS654)。 【0153】 この後、店頭端末機42が現行暗号キーを得て電子マネー金額132が減額された通常情報13aを暗号化し、各情報を携帯電話機10に送信し、さらにこれら各情報を受信した携帯電話機10が記憶手段13に記憶する一連の処理(ステップS656?S670)は、上述した通常の通話処理において電話局端末機22、暗号キー管理システム50および携帯電話機10が行う一連の処理(ステップS132?S146)と同様であるので重複説明を省略する。 【0154】 店頭端末機42は、これら一連の処理が終了すれば、携帯電話機10に対して処理完了通知を送信し(ステップS672)、携帯電話機10がこれを受信することによって、携帯電話機10は店頭端末機42から開放され(ステップS674)、コネクタ121、421接続が解除され、電子マネーによる支払い処理が終了する。 【0155】 ▲7▼現金支払いによる電子マネー金額の補充処理(図19,図20) 図19および図20は、商店の店頭において現金を支払うことにより、店頭端末機42を介して携帯電話機10の電子マネー金額を補充する場合の処理手順を示している。 【0156】 この現金支払いによる電子マネー金額132の補充処理の一連の手順(ステップS700?S754)は、図9および図10に示す上述した現金支払いによるプリペイド金額131の補充処理における一連の処理手順(ステップS200?S254)において、プリペイド金額131を電子マネー金額132に置き換えるだけで同一の処理手順であるので、重複説明を省略する。 【0157】 なお、この現金支払いによる電子マネー金額132の補充処理は、銀行システム30の銀行端末機32を介しても、上述した店頭端末機42を介して行う場合と同様にして行うことができる。この場合、ユーザから支払われる現金は直接銀行に(銀行システム側に)入金されるため、電話局口座311への補充金額の入金処理は、銀行サーバ31が備える入金処理手段315によって行われる。 【0158】 ▲8▼口座振替による電子マネー金額の補充処理(図21,図22) 図21および図22は、店頭端末機42を介してユーザの銀行口座(利用者口座312)の預金からの口座振替処理により、携帯電話機10の電子マネー金額132を補充する場合の処理手順を示している。 【0159】 この口座振替による電子マネー金額132の補充処理の一連の手順(ステップS800?S862)は、図11および図12に示す上述した口座振替によるプリペイド金額131の補充処理における一連の処理手順(ステップS300?S362)において、プリペイド金額131を電子マネー金額132に置き換えるだけで同一の処理手順であるので、重複説明を省略する。 【0160】 なお、この口座振替による電子マネー金額132の補充処理は、銀行システム30の銀行端末機32を介しても、上述した店頭端末機42を介して行う場合と同様にして行うことができる。 【0161】 以上のように構成された移動通信システムによれば、携帯電話機10の無線通信費用として予め支払われたプリペイド金額131は、電話局システム20側ではなく、携帯電話機10が記憶するため、電話局システム20に多数の携帯電話機10が加入しても電話局システム20側の負担を軽減することができる。 【0162】 また、通話時におけるプリペイド金額131の減額処理は、電話局システム20側の電話局端末機22によって行われ、プリペイド金額131の補充処理時におけるプリペイド金額131の増額処理は、銀行システム30の銀行端末機32または商店ネットワークシステム40の店頭端末機42によって行われるように構成され、携帯電話機10が単独でプリペイド金額131を変動させることはないため、不正使用を防止することができる。 【0163】 また、プリペイド金額131の変額処理は銀行端末機32または店頭端末機42が行うため、銀行サーバ31や商店ネットワークシステム40の商店サーバ41等の負担を軽減するとともに、これらシステムの通信トラフィックの混雑を軽減することができる。 【0164】 さらに、携帯電話機10には、可読状態である通常情報13aのプリペイド金額131と暗号化状態の秘匿情報13bのプリペイド金額とが合わせて記憶され、携帯電話機10が単独で秘匿状態のプリペイド金額131を解読することができない。そして、通話時には、電話局システム20の電話局端末機22が、プリペイド金額131の補充処理時には銀行システム30の銀行端末機32または商店ネットワークシステム40の店頭端末機42が、携帯電話機10が記憶している可読状態のプリペイド金額131と秘匿状態のプリペイド金額131とを照合して、該照合結果が一致しなければ、この携帯電話機10の機能を停止し、ロックしてしまうため、万が一可読状態のプリペイド金額131が改ざんされてもこれを発見し、携帯電話機10の不正使用を未然に防止することができる。 【0165】 また、電話局システム20の電話局端末機22は、携帯電話機10による無線通信の通信費用が所定金額に達することに、プリペイド金額131の減額処理を行うため、無線通信中に何らかのアクシデント等で通信状態が中断されても、該アクシデントが生じる直前までの通信費用を確実に徴収することができる。 【0166】 また、無線通信中には、携帯電話機10のプリペイド残額確認手段18がプリペイド金額131の残額を確認し、所定金額以下になればこれをユーザに報知するため、ユーザは、通信がまもなく切断されてしまうことを事前に知ることができ、プリペイド金額131が0になって通信が突然切断されることが防止される。 【0167】 また、このような移動通信体システムによれば、携帯電話機10の利用者(ユーザ)は、銀行サーバ(金融システムサーバ)31にアクセス可能な銀行端末機32または店頭端末機42と携帯電話機10とをコネクタ接続して短距離通信可能な状態とすることにより、該端末機32,42の管理者等に補充金額を現金等で支払うか、あるいは該端末機32,42を介して、銀行システム30内の利用者の口座312から、携帯電話機10のプリペイド金額131を補充することができる。 【0168】 このとき、電子的な金銭であるプリペイド金額131の送受はコネクタ接続による有線の短距離通信手段(有線通信手段)を介しているため、高い通信の安全性を確保することができる。 【0169】 また、携帯電話機10内に記憶されたプリペイド金額131は、暗唱番号を知る正規の利用者(ユーザ)が、携帯電話機10に正規の暗唱番号を入力した場合にのみ確認可能に構成されているから、携帯電話機内に記憶されたプリペイド金額131情報の高い安全性を得ることができる。 【0170】 また、このような移動通信体システムによれば、移動通信のために携行される携帯電話機10が、電子マネーシステムの端末として機能することから、ユーザの携行品を増やすことなく電子マネーサービスを実現することができる。 【0171】 また、この携帯電話機10に記憶されている電子マネー金額132からの支払い処理や、電子マネー金額132への金額補充処理に応じた変額処理は、銀行システム30の銀行サーバ31にアクセス可能な銀行端末機32または店頭端末機42において行われ、携帯電話機10が単独で電子マネー金額132を変動させることはないため、不正使用を防止することができる。 【0172】 また、携帯電話機10内の電子マネー金額132の変額処理は銀行端末機32または店頭端末機42が行うため、銀行システム30の銀行サーバ31や商店ネットワークシステム40の商店サーバ41等の負担を軽減するとともに、これらシステムの通信トラフィックの混雑を軽減することができる。 【0173】 さらに、携帯電話機10には、可読状態である通常情報13aの電子マネー金額132と暗号化状態の秘匿情報13bの電子マネー金額32とが合わせて記憶され、携帯電話機10が単独で秘匿状態の電子マネー金額132を解読することができない。そして、この電子マネー金額132による支払い処理や金額補充処理時には、銀行システム30の銀行端末機32または商店ネットワークシステム40の店頭端末機42が、携帯電話機10が記憶している可読状態の電子マネー金額132と秘匿状態の電子マネー金額132とを照合して、該照合結果が一致しなければ、この携帯電話機10の機能を停止し、ロックしてしまうため、万が一可読状態の電子マネー金額132が改ざんされてもこれを発見し、携帯電話機10の不正使用を未然に防止することができる。 【0174】 また、このような移動通信体システムによれば、携帯電話機10の利用者(ユーザ)は、銀行サーバ(金融システムサーバ)31にアクセス可能な銀行端末機32または店頭端末機42と携帯電話機10とをコネクタ接続して短距離通信可能な状態とすることにより、該端末機32,42の管理者等に補充金額を現金等で支払うか、あるいは該端末機32,42を介して、銀行システム30内の利用者の口座312から、携帯電話機10の電子マネー金額132を補充することができる。 【0175】 このとき、電子マネー金額132の送受はコネクタ接続による有線の短距離通信手段(有線通信手段)を介しているため、高い通信の安全性を確保することができる。 【0176】 また、携帯電話機10内に記憶された電子マネー金額132は、暗唱番号を知る正規の利用者(ユーザ)が、携帯電話機10に正規の暗唱番号を入力した場合にのみ確認可能に構成されているから、携帯電話機10内に記憶された電子マネー金額132情報の高い安全性を得ることができる。 【0177】 以上、本発明を実施形態に即して説明したが、本発明にかかる移動通信体システムは、上記実施形態に限定されるものではなく、以下のように構成してもよい。 【0178】 (1)上記実施形態においては、電話局口座311,利用者口座312、当座口座313および商店口座314は同一の銀行サーバ31内に設けられた場合を例としたが、相互に送金処理等を行うことができれば複数の銀行サーバ(金融システムサーバ)31…を備え、これら複数の銀行サーバ31…に上記各口座が分散して開設されていてもよい。 【0179】 (2)上記実施形態においては、図1において、1の商店ネットワークシステム40のみを図示したが、本発明にかかる移動通信体システムは、相互に通信可能であれば、複数の商店を含んでいてもよい。 (3)上記実施形態においては、電子マネーによる支払い処理において、制御情報134、通常情報13aおよび秘匿情報13bを店頭端末機42に送信した後に、入力手段423に入力された支払金額が受理される例を示したが、入力手段423に入力された支払金額が受理されることに応じて、制御情報134、通常情報13aおよび秘匿情報13bを店頭端末機42に送信する構成としてもよい。この場合、例えば、ステップS602で、携帯電話機10は、電子マネーによる支払い要求を店頭端末機42に送信して、ステップS604で、店頭端末機42が上記支払い要求を受信したところで、ステップS630及びステップS632の支払金額の入力要求及び受理を実行した後に、ステップS602の他の情報、すなわち、制御情報134、通常情報13aおよび秘匿情報13bを店頭端末機42に送信するフローとすることができる。 (4)同様に、上記実施形態においては、現金支払いによる電子マネー金額の補充処理において、制御情報134、通常情報13aおよび秘匿情報13bを店頭端末機42に送信した後に、補充金額が入力手段423に入力される例を示したが、補充金額が入力手段423に入力されることに応じて、制御情報134、通常情報13aおよび秘匿情報13bを店頭端末機42に送信する構成としてもよい。この場合、例えば、ステップS702で、携帯電話機10は、電子マネー金額補充処理の要求を店頭端末機42に送信して、ステップS704で、店頭端末機42が上記補充処理の要求を受信したところで、ステップS722の補充金額の入力を実行した後に、ステップS702の他の情報、すなわち、制御情報134、通常情報13aおよび秘匿情報13bを店頭端末機42に送信するフローとすることができる。 【0181】 【発明の効果】 以上のように、本発明にかかる移動通信体によれば、移動通信のために携行される移動通信体が、電子マネーシステムの端末として機能することから、ユーザの携行品を増やすことなく電子マネーサービスを実現することができる。また、この移動通信体に記憶されている電子マネー金額からの支払い処理に応じた変額処理は、銀行システムサーバにアクセス可能な端末機において行われ、移動通信体が単独で電子マネー金額を変動させることはないため、不正使用を防止することができる。また、電子マネー金額の変額処理は端末機が行うため、金融システムサーバ等の負担を軽減するとともに、金融システムの通信トラフィックの混雑を軽減することができる。また、移動通信体の電子マネーの授受は短距離通信手段を介しているため、高い通信の安全性を確保することができる。また、移動通信体の利用者は、金融システムサーバにアクセス可能な端末機と移動通信体とを短距離通信可能な状態とし、該端末機の管理者等に補充金額を支払うことで、該管理者等によって該端末機を介し、移動通信体の電子マネー金額を補充することができる。このとき、電子マネー金額の授受は短距離通信手段を介しているため、高い通信の安全性を確保することができる。 【図面の簡単な説明】 【図1】 本発明にかかる移動通信体システムの一実施形態を示す全体概略説明図である。 【図2】 携帯電話機の構成を示すブロック図である。 【図3】 電話局システムの構成を示すブロック図である。 【図4】 銀行システムの構成を示すブロック図である。 【図5】 商店ネットワークシステムの構成を示すブロック図である。 【図6】 暗号キー管理システムの構成を示すブロック図である。 【図7】 本発明にかかる移動通信体システムにおいて、通常の通話処理の流れを示すフローチャートである。 【図8】 本発明にかかる移動通信体システムにおいて、通常の通話処理の流れを示すフローチャートである。 【図9】 本発明にかかる移動通信体システムにおいて、現金支払いによるプリペイド金額の補充処理の流れを示すフローチャートである。 【図10】 本発明にかかる移動通信体システムにおいて、現金支払いによるプリペイド金額の補充処理の流れを示すフローチャートである。 【図11】 本発明にかかる移動通信体システムにおいて、口座振替によるプリペイド金額の補充処理の流れを示すフローチャートである。 【図12】 本発明にかかる移動通信体システムにおいて、口座振替によるプリペイド金額の補充処理の流れを示すフローチャートである。 【図13】 本発明にかかる移動通信体システムにおいて、ユーザによるプリペイド金額の確認処理の流れを示すフローチャートである。 【図14】 本発明にかかる移動通信体システムにおいて、移動通信体に対する機能停止(ロック)状態の解除処理の流れを示すフローチャートである。 【図15】 本発明にかかる移動通信体システムにおいて、移動通信体に対する機能停止(ロック)状態の解除処理の流れを示すフローチャートである。 【図16】 本発明にかかる移動通信体システムにおいて、電子マネーによる支払い処理の流れを示すフローチャートである。 【図17】 本発明にかかる移動通信体システムにおいて、電子マネーによる支払い処理の流れを示すフローチャートである。 【図18】 本発明にかかる移動通信体システムにおいて、電子マネーによる支払い処理の流れを示すフローチャートである。 【図19】 本発明にかかる移動通信体システムにおいて、現金支払いによる電子マネー金額の補充処理の流れを示すフローチャートである。 【図20】 本発明にかかる移動通信体システムにおいて、現金支払いによる電子マネー金額の補充処理の流れを示すフローチャートである。 【図21】 本発明にかかる移動通信体システムにおいて、口座振替による電子マネー金額の補充処理の流れを示すフローチャートである。 【図22】 本発明にかかる移動通信体システムにおいて、口座振替による電子マネー金額の補充処理の流れを示すフローチャートである。 【符号の説明】 10 携帯電話機(移動通信体) 11 無線通信手段 12 有線通信手段(短距離通信手段) 13 記憶手段 131 プリペイド金額記憶部 132 電子マネー金額記憶部 133 暗唱番号記憶部 134 制御情報記憶部 13a 通常情報記憶領域 13b 秘匿情報記憶領域 13c 16進数情報記憶領域 15 キーボード(入力手段) 16 モニタ(報知手段) 17 スピーカ(報知手段) 20 電話局システム(基地局) 21 電話局サーバ 22 電話局端末機(端末機) 222 無線通信手段 223 解読手段 224 照合手段 225 減額処理手段 226 暗号化手段 24 通信回線 30 銀行システム 31 銀行サーバ(金融システム) 311 電話局口座 312 利用者口座 313 当座口座 314 商店口座 315 入金処理手段 316 送金処理手段 32 銀行端末機(端末機) 322 有線通信手段(短距離通信手段) 323 入力手段 324 解読手段 325 照合手段 326 変額処理手段 327 暗号化手段 33 通信回線 40 商店ネットワークシステム(商店) 41 商店サーバ 42 店頭端末機(端末機) 422 有線通信手段(短距離通信手段) 423 入力手段 424 解読手段 425 照合手段 426 変額処理手段 427 暗号化手段 43 通信回線 50 暗号キー管理システム 60 接続器 |
訂正の要旨 |
審決(決定)の【理由】欄参照。 |
審理終結日 | 2006-02-20 |
結審通知日 | 2006-02-23 |
審決日 | 2006-03-08 |
出願番号 | 特願2003-26489(P2003-26489) |
審決分類 |
P
1
113・
121-
ZA
(G06F)
|
最終処分 | 成立 |
前審関与審査官 | 吉村 博之 |
特許庁審判長 |
小林 信雄 |
特許庁審判官 |
阿波 進 久保田 健 |
登録日 | 2004-06-11 |
登録番号 | 特許第3562647号(P3562647) |
発明の名称 | 移動通信体 |
代理人 | 中村 和男 |
代理人 | 中村 和男 |
代理人 | 佐川 慎悟 |
代理人 | 中村 和男 |