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審決分類 審判 査定不服 2項進歩性 特許、登録しない(前置又は当審拒絶理由) A63F
管理番号 1178879
審判番号 不服2005-1885  
総通号数 103 
発行国 日本国特許庁(JP) 
公報種別 特許審決公報 
発行日 2008-07-25 
種別 拒絶査定不服の審決 
審判請求日 2005-02-03 
確定日 2008-06-06 
事件の表示 特願2001-261703「パチンコ機」拒絶査定不服審判事件〔平成14年 3月 5日出願公開、特開2002- 66047〕について、次のとおり審決する。 
結論 本件審判の請求は、成り立たない。 
理由 第1 手続の経緯・本願発明の認定
本願は、平成7年7月20日に出願された特願平7-184289号の一部を特許法44条1項の規定により新たな特許出願としたものであって、平成16年12月22日付けで拒絶の査定がされたため、これを不服として平成17年2月3日付けで本件審判請求がされるとともに、同年3月3日付けで明細書についての手続補正がされたものである。
当審においてこれを審理した結果、新たな拒絶の理由を通知したところ、請求人は平成20年2月27日付けで意見書及び手続補正書を提出した。
したがって、本願の請求項1に係る発明(以下「本願発明」という。)は、平成20年2月27日付けで補正された明細書の特許請求の範囲【請求項1】に記載された事項によって特定される次のとおりのものと認める。
「画像を表示する表示手段と、
入賞確率が高い状態である大当り状態、及び入賞確率が低い状態である通常状態、に変動させる確率変動手段と、
始動入賞口に遊技玉が入ると、乱数を発生させる乱数発生手段と、
該乱数を所定個数保持する記憶手段と、
通常状態において、前記記憶手段に保持されている乱数を参照し、該乱数の値に応じて大当り状態に移行させる場合と通常状態が継続する場合とでは結末部分が異なる所定の動画を前記表示手段に出力する動画出力手段とを備え、
該動画出力手段により出力された前記動画の結末部分が、前記参照された乱数と予め設定された大当り値とが等しい場合に応じて表示されるものである場合に、前記確率変動手段を介して通常状態から大当り状態に移行させ、大当り状態において、前記大当り状態を終了させて通常状態に移行する遊技条件が成立すると、前記確率変動手段を介して大当り状態から通常状態に移行させるパチンコ機において、
前記大当り状態の間、結末部分が削除された物語を映像化した第1動画を前記表示手段に出力する大当り画像出力手段と、
前記大当り状態を終了させて通常状態に移行する遊技条件が成立すると前記記憶手段を参照し、保持されている乱数の中に前記大当り値に等しいものが存在する場合には、該存在を遊技者に報知する存在画像を前記第1動画の結末部分として前記表示手段に出力した後、次に大当り状態となって次の前記第1動画が表示されるまでの間、第2動画を前記表示手段に出力して、前記存在画像、前記第2画像、及び、前記第1画像で一連の物語の流れを表示し、一方、保持されている乱数の中に前記大当り値に等しいものが存在しない場合には、該存在画像を出力する代わりに、前記第1動画を完結させる完結画像を前記表示手段に出力する存在画像出力手段を更に備えたことを特徴とするパチンコ機。」

第2 当審の判断
1.引用刊行物の記載事項
当審における拒絶の理由に引用した特開平6-165854号公報(以下「引用例1」という。)には、以下のア?クの記載が図示とともにある。
ア.「打玉を遊技領域に打込んで遊技が行なわれる弾球遊技機であって、
前記遊技領域に配設され、遊技者にとって有利となる第1の状態と遊技者にとって不利となる第2の状態とに変化可能な可変入賞球装置と、
該可変入賞球装置を第1の状態にすることが可能な特定遊技状態が発生したことを検出する特定遊技状態検出手段と、
該特定遊技状態検出手段の検出出力に基づいて前記可変入賞球装置を第1の状態に駆動した後第2の状態にし、所定の繰返し継続条件の成立に基づいて前記可変入賞球装置を再度第1の状態に繰返し継続制御する駆動制御手段と、
所定のキャラクタを含む画像を表示可能な表示装置と、
前記繰返し継続制御の継続回数の進行に応じて前記表示装置のキャラクタに関する画像表示内容を変化させる表示制御手段とを含むことを特徴とする、弾球遊技機。」(【請求項1】)
イ.「可変入賞球装置の第1の状態の繰返し継続制御は、特定遊技状態の発生に伴う興奮を遊技者に繰返し味わわせて高い興奮状態に導くという遊技機にとって非常に重要な制御である。そこで、この繰返し継続制御の進行に応じて遊技者の興奮状態を効果的に盛り上げ、遊技者の満足感をより一層増長できる弾球遊技機が望まれる。」(段落【0003】)
ウ.「図1は、弾球遊技機の一例のパチンコ遊技機の遊技盤面を示した図である。・・・遊技領域3内には、複数種類の識別情報を可変表示可能な可変表示装置4が設けられている。その可変表示装置4の下方には始動入賞口9が配設されており、この始動入賞口9に入賞した始動入賞玉が始動入賞玉検出器10により検出される。この始動入賞玉検出器10の検出信号に基づいて、可変表示装置4が可変開始される。・・・可変表示装置4の可変停止時の表示結果がこの当りライン上のいずれかにおいて特定の識別情報の組合せ(777)が成立すれば特定遊技状態が発生して可変入賞球装置11が開成して遊技者にとって有利な第1の状態とする大当り制御が開始される。また、可変表示装置4の可変停止時の表示結果がすべての可変表示部で後述する女性のキャラクタの表示となった場合または「7」の表示状態となった場合にも、特定遊技状態が発生する。」(段落【0008】)
エ.「LED回路55には、LEDにより構成された入賞個数表示器14と始動入賞記憶表示器7とV入賞個数表示器65とが接続されており、10カウント検出器62の検出信号に基づいて可変入賞球装置11内に入賞した入賞個数が入賞個数表示器14により表示され、始動入賞検出器10による検出信号に基づいて始動入賞記憶の個数が始動入賞記憶表示器7により表示され、特定入賞玉検出器61の検出信号に基づいて特定入賞玉個数がV入賞個数表示器65により表示される。」(段落【0020】)
オ.「基本回路50内には、CPUを動作させるためのプログラムが記憶されたROMやRAMを有しており、遊技制御や可変表示装置4を制御するための種々のランダムカウンタの機能を有している。パチンコ玉の始動入賞時における当りはずれ決定用ランダムカウンタの値がたとえば「3」のときに大当りを発生させるように事前決定され、その決定に従って、可変表示装置4の可変停止時の表示結果が特定の識別情報の組合せ(たとえば777)となるように制御される。」(段落【0022】)
カ.「大当りが発生した場合には、可変入賞球装置(大入賞口)11が開放される前の16秒間はファンファーレGの効果音が発せられるとともに、スピーカから「やった、フィーバ、やっと会えたわね、勝負はこれからよ」等の音声が発せられる。そして可変表示装置4は大当り表示(V表示)が行なわれる。そして、可変入賞球装置が開成された第1回目のラウンドにおいては、表に示すような効果音や音声がスピーカから発せられるとともに、表に示すように、勇者と女性のキャラクタであるヤンが向かい合って対立している画像が可変表示装置4より表示される。・・・第1ラウンドが終了して可変入賞球装置が第2の状態となった後2回目の開放が行なわれる前までのインターバル期間(たとえば2秒)の間表に示すようにHのインターバル音が発せられるとともに勇者とヤンの戦闘を表わす画像が可変表示装置4により表示される。そして、2回目,3回目,4回目,5回目,6回目,7回目,8回目,9回目,10回目とラウンドが進行するに従って、勇者と戦う相手となる女性のキャラクタが、リン,ユン,ルン,ミンと次々に移り変わっていくとともに、表に示すように、それぞれの女性のキャラクタからそれぞれの音声が発せられる。」(段落【0024】)
キ.「次に、11回目のラウンドの開放前の段階から、女神マーヤが悪神インドラの姿に変わる画像が可変表示装置4により表示され、ラウンドが12回のときに悪神シンドラが本当の姿を現わして立ち上がる画像が可変表示装置4により表示され、13回目のラウンドでその悪神インドラと勇者が闘う画像が可変表示装置4により表示される。ラウンドが14回に差しかかると、以前闘った5人の娘が立ち上がり、15回目のラウンドで勇者と5人娘とが共同して悪神インドラと戦闘を繰り広げる画像が表示され、16回目のラウンドで悪神インドラが倒される画像が表示され、その16回目の開放終了後、終了後音Qと「さよなら、また会いましょう」という音声がスピーカから発せられるとともに所定のメッセージたとえば「勇者よ、そしてヤン,リン,ユン,ルン,ミン、本当にありがとう。これでフィーバ星は美しい星に戻ります。」が可変表示装置4から表示される。」(段落【0025】)
ク.「この図7,図8,図9に示した効果音,音声,表示の各データは、基本回路50内のROM内に記憶させておく。」(段落【0026】)

2.引用例1記載の発明の認定
記載ア?クを含む引用例1の全記載及び図示によれば、引用例1には次のような発明が記載されていると認めることができる。
「始動入賞口、始動入賞記憶表示器、当りはずれ決定用ランダムカウンタ、可変表示装置、可変入賞球装置及びスピーカを備えたパチンコ遊技機であって、
パチンコ玉の始動入賞時における当りはずれ決定用ランダムカウンタの値に基づいて、可変表示装置を可変表示させ、可変表示装置の可変停止時の表示結果が特定の識別情報の組合せである場合には、可変入賞球装置の所定ラウンド数開成及び閉成を繰り返す大当り状態とし、
大当りを発生させるかどうかは当りはずれ決定用ランダムカウンタの値に基づいて事前決定さており、
大当り状態においては、ラウンドが進行するにつれて、可変表示装置及びスピーカにより、勇者が敵と戦う様子を表現し、最終ラウンドが終了するとスピーカにより「さよなら、また会いましょう」という音声を発するとともに、可変表示装置に所定のメッセージを表示するパチンコ遊技機。」(以下「引用発明1」という。)

3.本願発明と引用発明1の一致点及び相違点の認定
引用発明1の「可変表示装置」は本願発明の「画像を表示する表示手段」に相当し、引用発明1と本願発明の「大当り状態」には何の相違もないから、引用発明1は本願発明でいう「入賞確率が高い状態である大当り状態、及び入賞確率が低い状態である通常状態、に変動させる確率変動手段」を備える。
引用発明1において、大当りを発生させるかどうかの決定は「パチンコ玉の始動入賞時」とされているから、引用発明1の「当りはずれ決定用ランダムカウンタ」は本願発明の「始動入賞口に遊技玉が入ると、乱数を発生させる乱数発生手段」に相当し、引用例1に明確な記載はないものの「始動入賞記憶表示器」を備える以上、過去における始動入賞時における「当りはずれ決定用ランダムカウンタ」の値も記憶されていると解すべきであり、そうである以上引用発明1は本願発明の「該乱数を所定個数保持する記憶手段」を備える。
引用発明1は、始動入賞時における当りはずれ決定用ランダムカウンタの値に基づいて、可変表示装置を可変表示させるのであるが、ここでいう可変表示が大当り状態でない状態(本願発明の「通常状態」に相当。)で行われることは明らかであり、可変表示を「動画」と表現することには何の問題もない。そして、「可変表示装置の可変停止時の表示結果」(引用発明1)と「結末部分」(本願発明)にも表現上の相違しかないから、「通常状態において、前記記憶手段に保持されている乱数を参照し、該乱数の値に応じて大当り状態に移行させる場合と通常状態が継続する場合とでは結末部分が異なる所定の動画を前記表示手段に出力する動画出力手段」を備えることは本願発明と引用発明1の一致点である。
引用発明1は、「繰返し継続制御の進行に応じて遊技者の興奮状態を効果的に盛り上げ」(記載イ)ることを課題としたものであり、大当り中に可変表示装置に表示されるものとして、静止画よりも動画の方が遊技者の興奮状態を効果的に盛り上げることはたやすく推測でき、かつ勇者が敵と戦う様子、すなわち「物語を映像化した」ものを表示するのであるから、動画が適していることは明らかである。したがって、「大当り状態の間、物語を映像化した動画を前記表示手段に出力する大当り画像出力手段」を備えることは、本願発明と引用発明1の一致点とすべきである。仮に、引用発明1の大当り状態において、動画を表示しないとしても、動画表示に変更することには何の困難性もないから、進歩性の判断には影響しない。以下、便宜上引用発明1における大当り状態中の動画を「第1動画」と称することにするが、このように表現したからといって、引用発明1が第1動画以外の第2動画を、可変表示以外のものとして表示することを意味するわけではない。
そして、引用発明1の「パチンコ遊技機」と本願発明の「パチンコ機」には何の相違もない。
したがって、本願発明と引用発明1は、
「画像を表示する表示手段と、
入賞確率が高い状態である大当り状態、及び入賞確率が低い状態である通常状態、に変動させる確率変動手段と、
始動入賞口に遊技玉が入ると、乱数を発生させる乱数発生手段と、
該乱数を所定個数保持する記憶手段と、
通常状態において、前記記憶手段に保持されている乱数を参照し、該乱数の値に応じて大当り状態に移行させる場合と通常状態が継続する場合とでは結末部分が異なる所定の動画を前記表示手段に出力する動画出力手段とを備え、
該動画出力手段により出力された前記動画の結末部分が、前記参照された乱数と予め設定された大当り値とが等しい場合に応じて表示されるものである場合に、前記確率変動手段を介して通常状態から大当り状態に移行させ、大当り状態において、前記大当り状態を終了させて通常状態に移行する遊技条件が成立すると、前記確率変動手段を介して大当り状態から通常状態に移行させるパチンコ機において、
前記大当り状態の間、物語を映像化した第1動画を前記表示手段に出力する大当り画像出力手段を更に備えたパチンコ機。」である点で一致し、次の点で相違する。
〈相違点〉本願発明が「前記大当り状態を終了させて通常状態に移行する遊技条件が成立すると前記記憶手段を参照し、保持されている乱数の中に前記大当り値に等しいものが存在する場合には、該存在を遊技者に報知する存在画像を前記第1動画の結末部分として前記表示手段に出力した後、次に大当り状態となって次の前記第1動画が表示されるまでの間、第2動画を前記表示手段に出力して、前記存在画像、前記第2画像、及び、前記第1画像で一連の物語の流れを表示し、一方、保持されている乱数の中に前記大当り値に等しいものが存在しない場合には、該存在画像を出力する代わりに、前記第1動画を完結させる完結画像を前記表示手段に出力する存在画像出力手段」を備えるのに対し、引用発明1はかかる手段を備えない点。

4.相違点の判断及び本願発明の進歩性の判断
当審における拒絶の理由に引用した特開平7-116311号公報(以下「引用例2」という。)には、「遊技媒体として玉を用いた遊技機としては、例えばパチンコ機が代表的である。」(段落【0002】)、「可変表示装置が可変表示を開始し、予め定められた所定の時間が経過することに基づいて可変表示を停止させ、その停止態様に基づき大当り等の役を決定している。」(段落【0003】)及び「始動記憶表示器67の色を変化させる制御を行って大当り予告やリーチ予告を行うことにより、遊技者に対してストップスイッチ27を押した方がいいかどうかを判断させることができるようになっている。」(段落【0019】)との記載がある。
同じく引用した特開平7-96073号公報(以下「引用例3」という。)には、「開口部7の内部には、特定領域(V入賞口)61が形成されている。この特定領域61に入賞した打玉は、特定領域スイッチ50(図10にて破線で示す)によって検出され、この特定入賞玉の検出に基づいて、大当りが繰返し継続制御される。」(段落【0038】)、「図17(a)?(c)は、前記図16(a)?(c)に示したラウンド表示画面に続いて表示される10カウント画面の一例を示す画面構成図である。」(段落【0060】)及び「可変入賞球装置4の特定領域61に打玉が入賞した場合(V入賞)は、大型UFO85が打ち落とされ、さらに、表示部60の中央に「V」の文字を示すV画像88が大きく表示される。」(段落【0064】)との各記載がある。
このように、引用例2には可変表示装置の表示結果に基づき大当り状態に移行するパチンコ機において、大当り予告する技術が記載されており、引用例3にはラウンドの継続を意味するV入賞の際に、それ以外と異なる表示をする技術が記載されている。
引用発明1のように始動記憶を有し、大当り状態の存在するパチンコ機にあっては、大当り状態終了時には、始動記憶が満タンになっていることが多く、大当り状態終了時の始動記憶に基づいて、次の遊技を再び大当りにする確率を向上させるパチンコ機は周知である。そのようなパチンコ機にあっては、大当り状態が終了してもすぐさま新たな大当り状態となることを遊技者は期待し、それが実現する可能性は相当程度あるところ、そのようなパチンコ機に引用発明1をそのまま適用したのでは、大当り状態終了後すぐさま大当り状態となる場合に、最後のメッセージが間の抜けたものになってしまうことは明らかである。
そして、大当り状態終了後すぐさま大当りとなるかどうかは、保持されている乱数の中に大当り値に等しいものが存在するかどうかにかかっており、すぐさま大当りとなるかならないかでは遊技状況が異なるとともに、すぐさま大当りとなることは大当りの継続と評価できる。大当りの継続は、引用例3におけるラウンドの継続とは、継続内容は異なるものの、継続するかしないかを遊技者に報知する点において同様の技術的意義を有するものであるから、引用例2記載の技術のように新たな大当りの予告表示を兼ねて、引用発明1における最終ラウンド終了後のメッセージを2種類用意し、大当りの継続となる場合に、引用例1に示されたメッセージ(大当りが継続しない場合には、このメッセージを表示する。)とは別のメッセージ(例えば、引用例1の実施例に従うなら「一件落着したが、他にも困っている星があるので助けに行こう」というようなメッセージが考えられる。)を表示することに困難性はない。その場合、引用発明1における最終ラウンド終了後のメッセージが本願発明の「第1動画を完結させる完結画像」に相当し、そのメッセージを除く動画が本願発明の「結末部分が削除された物語を映像化した第1動画」に相当し、上記別のメッセージが本願発明の「存在画像」に相当する。ここで、大当りとなるかどうかの可変表示を行う際に、別の画像を背景画像として表示することは周知であるから、大当りの継続となる場合の最後のメッセージとして、前示の「一件落着したが、他にも困っている星があるので助けに行こう」というようなメッセージを採用した場合、他の星までの移動行程を可変表示中(本願発明の「存在画像を前記第1動画の結末部分として前記表示手段に出力した後、次に大当り状態となって次の前記第1動画が表示されるまでの間」に相当。)の背景画像(動画であってももちろんよく、本願発明の「第2画像」に相当する。)として表示することにも何の困難性もない。
なお、引用例2には、個々の始動記憶に対する予告表示しか記載されていないが、大当り状態終了時には始動記憶が満タンになることが多いことを考慮すれば、1回目の始動記憶が大当りであろうと、4回目のそれが大当りであろうと、いったん大当り状態になれば、同状態終了時には始動記憶が満タンになることが期待でき、遊技者にとって関心があるのは、すべての始動記憶に基づき大当りとなるかどうかであるから、すべての始動記憶を対象とすることは設計事項であるばかりか、すべての始動記憶を対象としなければ、すぐさま大当りとなる可能性がある以上、間の抜けた表示になりかねない。そして、すべての始動記憶を対象とすれば、「存在画像」の表示条件は「前記記憶手段を参照し、保持されている乱数の中に前記大当り値に等しいものが存在する場合」であり、「第1動画を完結させる完結画像」の表示条件は「保持されている乱数の中に前記大当り値に等しいものが存在しない場合」となる。
以上のとおりであるから、相違点に係る本願発明の構成を採用することは当業者にとって想到容易であり、同構成を採用したことによる格別の作用効果を認めることもできない。
したがって、本願発明は、引用発明1、引用例2,3記載の技術及び周知技術に基づいて当業者が容易に発明をすることができたものであるから、特許法29条2項の規定により特許を受けることができない。

第3 むすび
本願発明が特許を受けることができないから、本願の請求項2に係る発明について検討するまでもなく、本願は拒絶を免れない。
よって、結論のとおり審決する。
 
審理終結日 2008-03-21 
結審通知日 2008-03-25 
審決日 2008-04-11 
出願番号 特願2001-261703(P2001-261703)
審決分類 P 1 8・ 121- WZ (A63F)
最終処分 不成立  
前審関与審査官 土屋 保光  
特許庁審判長 津田 俊明
特許庁審判官 小林 俊久
中槙 利明
発明の名称 パチンコ機  
代理人 足立 勉  

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