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審決分類 審判 査定不服 5項独立特許用件 特許、登録しない。 H04N
審判 査定不服 2項進歩性 特許、登録しない。 H04N
管理番号 1178933
審判番号 不服2006-14060  
総通号数 103 
発行国 日本国特許庁(JP) 
公報種別 特許審決公報 
発行日 2008-07-25 
種別 拒絶査定不服の審決 
審判請求日 2006-07-03 
確定日 2008-06-06 
事件の表示 平成11年特許願第340255号「ハーフトーン化方法およびハーフトーン化装置並びにハーフトーン化プログラムを記録したコンピュータ読み取り可能な記録媒体」拒絶査定不服審判事件〔平成13年 6月 8日出願公開、特開2001-157056〕について、次のとおり審決する。 
結論 本件審判の請求は、成り立たない。 
理由 第1 手続きの経緯
本願は、平成11年11月30日の出願であって、平成18年5月30日付けで拒絶査定がされ、これに対して同年7月3日に拒絶査定不服審判が請求されるとともに手続補正がなされたものである。

第2 平成18年7月3日付けの手続補正の却下について
1 補正却下の決定の結論
平成18年7月3日付けの手続補正を却下する。

2 理由
(1) 補正後の本願発明
本件補正後の本願の発明は、平成18年7月3日付けで補正された特許請求の範囲の請求項1ないし22に記載されたものと認められるところ、その請求項1に記載された発明(以下、「本願補正発明」という。)は、次のとおりのものである。
「【請求項1】
多値画像を2値画像に変換するハーフトーン化方法であって、
該多値画像を成す画素を走査しながら走査中の注目画素の値を2値化する2値化ステップと、
該注目画素について2値化に伴って生じた誤差を、該注目画素周辺の未走査画素に拡散させる誤差拡散ステップと、
該誤差拡散ステップでの誤差拡散手法を、該多値画像の走査に伴い、所定の方式に従って変更する変更ステップと、
該注目画素が該多値画像における輪郭上の画素であるか否かを検出する輪郭検出ステップと、
該注目画素を中心とするマトリックスにおける複数の画素値に対して、複数種類の加算もしくは加減算を実施し、これらのうちの最大値に基づいて該輪郭の方向を検出する輪郭方向検出ステップとを含み、
該輪郭検出ステップで該注目画素が該輪郭上の画素であることを検出しない場合に、該誤差拡散ステップにおいて、該誤差を該注目画素周辺の未走査画素に拡散させ、
該輪郭検出ステップで該注目画素が該輪郭上の画素であることを検出した場合に、該変更ステップにおいて該誤差拡散手法を変更するとともに、該輪郭方向検出ステップで検出された該輪郭の方向における未走査画素の値に、前記誤差に応じた値を加算する例外処理を行なうことを特徴とする、ハーフトーン化方法。」

本件補正は、平成18年2月13日付け手続補正書により補正された特許請求の範囲の請求項1に記載した発明を特定するために必要な事項である「輪郭方向検出ステップ」での処理を「該注目画素を中心とするマトリックスにおける複数の画素値に対して、複数種類の加算もしくは加減算を実施し、これらのうちの最大値に基づいて」とより具体的に限定する補正であり、平成18年改正前特許法17条の2第4項2号の特許請求の範囲の減縮を目的とするものに該当する。
そこで、本件補正後の特許請求の範囲の請求項に記載された発明が特許出願の際独立して特許を受けることができるものであるか(平成18年改正前特許法17条の2第5項において準用する同法126条5項の規定に適合するか)について以下に検討する。

(2) 引用例
原査定の拒絶の理由で引用された特開平10-136208号公報(以下、「引用例」という。)には次の事項が図面と共に開示されている。(記載箇所は段落番号等で表示)
ア 「【請求項1】 画像の光電走査により得られた画素のグレイ値をハーフトーン化する方法であって、各画素について、
処理される画素のグレイ値をスレッショルド処理し、
その場合に生ずる量子化誤差を決定し、
画像の第1の方向に配置され、処理される画素を含み又はその近傍に位置する多くて2つの画素のグレイ値の第1の差を決定し、
画像の前記第1の方向とは異なる少なくとも第2の方向に配置され、処理される画素を含み又はその近傍に位置する多くて2つの画素のグレイ値の少なくとも第2の差を決定し、
処理される画素の近傍のスレッショルド処理される必要のある画素を、グレイ値の前記第1の差及び前記少なくとも第2の差に応じて、処理される画素に対して第1の方向又は前記少なくとも第2の方向に配置された画素を選択するという規則に応じて選択し、
前記量子化誤差の全体を選択された画素のグレイ値に順次加算する、各段階からなる方法。」
イ 「【0004】誤差拡散法は、各画素について処理が行なわれるため、かかる欠点を有していない。画素のグレイ値はしきい値処理により2価バイナリ値に丸められる。この値は、表面濃度の最大値又は最小値を表し、この場合に生ずる量子化誤差は、未だしきい値処理が行なわれていない隣接する複数の画素上に分配される。量子化誤差を隣接する画素上に分配又は拡散させることにより、最終的には、より多数の画素にわたって元のグレイ値が近似されることになる。「デジタルハーフトーン化」(Ulichney, Robert著、MIT出版、1987年発行)の第8章には、幾つかの誤差拡散法が記載されている。隣接する画素上に量子化誤差を配分する公知の方法の一つは、Floyd・Steinberg法として知られている。この方法において、量子化誤差は固定分配コードに従って4つの隣接する画素上に分配される。
【0005】しかしながら、誤差拡散が画素処理操作であるにもかかわらず、複数の画素への量子化誤差の分配の結果、鋭いエッジ遷移がぼやけて再生されることがある。」
ウ 「【0022】図9、図10、及び図11は、図6?図8に従って量子化誤差Eを拡散させるための画素位置を選択するのにグレイ値Gを用い得る他の画素位置を示している。図9において、座標がXi ,YJ である画素をスレッショルド処理するのに、左側の画素Xi-1 ,Yj 及び上側の画素Xi ,Yj-1 が用いられている。すなわち、2つの方向8及び9を見ていることになる。好ましい実施例において、画素Xi ,YJ と、方向9に位置する画素Xi ,Yj-1 との間のグレイ値Gの差が、画素Xi ,YJ と方向9に位置する画素Xi-1 ,Yj との間のグレイ値Gの差よりも大きければ、又は小さければ、量子化誤差Eはそれぞれ方向9及び方向8へ図6に従って分配される。一定のグレイ値を有する表面では、選択される拡散方向はランダムとなる。しかしながら、グレイ値が系統的に変化する領域、例えば、線上のエッジ遷移等では、量子化誤差Eが分配される画素はエッジ遷移の方向に応じて選択される。エッジ遷移ではランダム特性はもはや存在しない。このようにして、再生されたエッジ遷移はより明瞭になる。上記した好ましい実施例において、画素は好ましくはグレイ値の差が最小となる方向、すなわち、グレイ値の勾配方向ではなく、それに垂直な方向に選択される。この方法により、エッジ遷移は最も明瞭に再生されることがわかっている。」
上記ア及びウの記載によると、引用例には、
「画像の光電走査により得られた画素のグレイ値をハーフトーン化する方法であって、各画素について、
処理される画素のグレイ値をスレッショルド処理し、
その場合に生ずる量子化誤差を決定し、
画像の第1の方向に配置され、処理される画素を含み又はその近傍に位置する多くて2つの画素のグレイ値の第1の差を決定し、
画像の前記第1の方向とは異なる少なくとも第2の方向に配置され、処理される画素を含み又はその近傍に位置する多くて2つの画素のグレイ値の少なくとも第2の差を決定し、
処理される画素の近傍のスレッショルド処理される必要のある画素を、グレイ値の前記第1の差及び前記少なくとも第2の差に応じて、処理される画素に対して第1の方向又は前記少なくとも第2の方向に配置された画素を選択するという規則に応じて選択し、
前記量子化誤差の全体を選択された画素のグレイ値に順次加算する、各段階からなる、
量子化誤差Eが分配される画素はエッジ遷移の方向に応じて選択され、エッジ遷移は最も明瞭に再生されるハーフトーン化方法。」の発明(以下、「引用発明」という。)が記載されていると認められる。

(3) 対比
本願補正発明と引用発明とを対比する。
引用発明の、グレイ値の画素により構成された画像は「多値画像」といえ、ハーフトーン化は多値画像から2値画像への変換処理を意味するから、「画素のグレイ値をハーフトーン化する方法」である引用発明は、本願補正発明と同じ「多値画像を2値画像に変換するハーフトーン化方法」に関するものといえる。
引用発明の、画像の光電走査により得られた各画素について、処理される画素のグレイ値に対して施される「スレッショルド処理」は、本願補正発明の「多値画像を成す画素を走査しながら走査中の注目画素の値を2値化する2値化ステップ」に相当し、また、引用発明の「各画素について、処理される画素のグレイ値をスレッショルド処理し、その場合に生ずる量子化誤差を決定し、」「前記量子化誤差の全体を選択された画素のグレイ値に順次加算する」処理は、量子化誤差を、処理される画素の近傍のスレッショルド処理される必要のある画素に拡散させる処理といえるから、引用発明は「注目画素について2値化に伴って生じた誤差を、注目画素周辺の未走査画素に拡散させる誤差拡散ステップ」を含むといえる。
引用発明の「画像の第1の方向に配置され、処理される画素を含み又はその近傍に位置する多くて2つの画素のグレイ値の第1の差を決定し、画像の前記第1の方向とは異なる少なくとも第2の方向に配置され、処理される画素を含み又はその近傍に位置する多くて2つの画素のグレイ値の少なくとも第2の差を決定し、処理される画素の近傍のスレッショルド処理される必要のある画素を、グレイ値の前記第1の差及び前記少なくとも第2の差に応じて、処理される画素に対して第1の方向又は前記少なくとも第2の方向に配置された画素を選択するという規則に応じて選択」する処理は、輪郭の方向といえるエッジ遷移の方向に応じて量子化誤差Eを分配される画素を選択するための処理であるから、「輪郭の方向を検出する輪郭方向検出ステップ」といえ、また、引用発明の「量子化誤差の全体を選択された画素のグレイ値に順次加算する」処理は、「輪郭方向検出ステップで検出された輪郭の方向における未走査画素の値に、誤差に応じた値を加算する」処理といえる。

以上を踏まえると、両者の一致点及び相違点は以下のとおりである。
【一致点】
多値画像を2値画像に変換するハーフトーン化方法であって、
該多値画像を成す画素を走査しながら走査中の注目画素の値を2値化する2値化ステップと、
該注目画素について2値化に伴って生じた誤差を、該注目画素周辺の未走査画素に拡散させる誤差拡散ステップと、
該輪郭の方向を検出する輪郭方向検出ステップとを含み、
該輪郭方向検出ステップで検出された該輪郭の方向における未走査画素の値に、前記誤差に応じた値を加算する処理を行なうハーフトーン化方法。
【相違点】
相違点1: 本願補正発明が「誤差拡散ステップでの誤差拡散手法を、多値画像の走査に伴い、所定の方式に従って変更する変更ステップ」と、「注目画素が多値画像における輪郭上の画素であるか否かを検出する輪郭検出ステップ」を含み、「輪郭検出ステップで注目画素が輪郭上の画素であることを検出しない場合に、誤差拡散ステップにおいて、誤差を注目画素周辺の未走査画素に拡散させ、輪郭検出ステップで注目画素が輪郭上の画素であることを検出した場合に、変更ステップにおいて誤差拡散手法を変更するとともに」、輪郭方向検出ステップで検出された輪郭の方向における未走査画素の値に、誤差に応じた値を加算する「例外」処理を行なうのに対し、引用発明は「変更ステップ」及び「輪郭検出ステップ」を含まず、輪郭検出ステップでの検出結果に応じた処理を行わない点。

相違点2: 本願補正発明の「輪郭方向検出ステップ」が「注目画素を中心とするマトリックスにおける複数の画素値に対して、複数種類の加算もしくは加減算を実施し、これらのうちの最大値に基づいて該輪郭の方向を検出する」のに対し、引用発明の「輪郭方向検出ステップ」がグレイ値の「第1の差」及び「第2の差」の大小関係に基づいて輪郭の方向を検出している点。

(4) 当審の判断
a 相違点1について
引用例の前掲イの箇所に記載されているように、画素のグレイ値をしきい値処理により2価バイナリ値に丸め、この場合に生ずる量子化誤差を、未だしきい値処理が行なわれていない隣接する複数の画素上に分配し、量子化誤差を隣接する画素上に分配又は拡散させる、2値化ステップと誤差拡散ステップとを含む、従来の周知の誤差拡散法によるハーフトーン化方法において、鋭いエッジ遷移がぼやけて再生されることは公知の技術課題であり、一方、従来技術の課題がある場合についてのみ、当該課題を解決する処理を適用することは当業者の通常の創作能力の発揮といえるから、誤差を注目画素周辺の未走査画素に拡散させる前記周知の誤差拡散法によるハーブトーン化方法において、処理対象の注目画素がエッジ遷移と関連する場合についてのみ、エッジ遷移を明瞭に再生するための技術である引用発明の「輪郭方向検出ステップで検出された輪郭の方向における未走査画素の値に、誤差に応じた値を加算する処理」を適用し、処理対象の注目画素がエッジ遷移と関連しない場合に、誤差拡散ステップにおいて、誤差を注目画素周辺の未走査画素に拡散させ、エッジ遷移が存在する場合に、誤差拡散手法を変更して、輪郭方向検出ステップで検出された輪郭の方向における未走査画素の値に、誤差に応じた値を加算する処理を例外処理として行なうことは、当業者が容易に想到し得ることといえる。
そして、多値画像の走査に伴い処理を進める誤差拡散法の誤差拡散手法の変更を「誤差拡散ステップでの誤差拡散手法を、多値画像の走査に伴い、所定の方式に従って変更する変更ステップ」として行い、処理対象の注目画素がエッジ遷移と関連するか否かを「注目画素が多値画像における輪郭上の画素であるか否かを検出する輪郭検出ステップ」として行うことはいずれも慣用技術といえるから、前記周知の誤差拡散法によるハーフトーン化方法に引用発明の処理を適用する際に前記慣用技術を採用し、前記「変更ステップ」及び前記「輪郭検出ステップ」を含み、「輪郭検出ステップで注目画素が輪郭上の画素であることを検出しない場合に、誤差拡散ステップにおいて、誤差を注目画素周辺の未走査画素に拡散させ、輪郭検出ステップで注目画素が輪郭上の画素であることを検出した場合に、変更ステップにおいて誤差拡散手法を変更するとともに、輪郭方向検出ステップで検出された輪郭の方向における未走査画素の値に、誤差に応じた値を加算する例外処理を行なう」ことは、当業者が適宜なし得る設計事項といえる。

なお、当審で発見した特開平6-98163号公報には、「【0053】本実施例では、二値化処理部33において拡散マトリクス(誤差拡散係数)を像域識別部32から出力されるエッジ方向信号およびエッジ強度信号によって切換えることにより、これらの画質劣化、特に前者のエッジ部分での劣化を防いでいる。エッジ強度信号とエッジ方向信号および選択する拡散マトリクスの関係を図14に示す。エッジ強度がある閾値より小さい場合は、図14(a) に示すように標準の拡散マトリクスを用いる。エッジ強度が閾値より大きい場合はエッジの法線方向により、図14(a)(b)(c)(d)(e) の4通りの拡散マトリクスから一つを選択する。【0054】このような拡散マトリクスの選択を行うことにより、エッジの法線方向には誤差が拡散されず、エッジをシャープに再現することができる。すなわち、本実施例のように像域識別部32で連続的なエッジの方向および強度を検出して、それに応じて二値化処理部33での誤差拡散処理を切り換えることにより、特にエッジのシャープな高画質の記録を実現することができる。」と、当審の判断を補強する事項について記載されている。

b 相違点2について
「注目画素を中心とするマトリックスにおける複数の画素値に対して、複数種類の加算もしくは加減算を実施し、これらのうちの最大値に基づいて該輪郭の方向を検出する」ことは、特開平8-163408号公報に示されるように画像処理の技術分野での周知技術であるから、引用発明の輪郭の方向の検出ステップとして前記周知技術を採用し、「注目画素を中心とするマトリックスにおける複数の画素値に対して、複数種類の加算もしくは加減算を実施し、これらのうちの最大値に基づいて該輪郭の方向を検出する輪郭方向検出ステップ」とすることは当業者が必要に応じて適宜なし得る事項といえる。
前記特開平8-163408号公報には、入力画像の画像信号の輝度変化の大きさを示す値及びこの輝度変化の方向を示す値を検出する勾配検出手段について「【0013】この勾配検出手段には、方向性の異なる複数の2次元1次微分フィルタ(例えば図2の2次元1次微分フィルタfhn) と、これらの2次元1次微分フィルタによってフィルタリングされた、入力画像の画像信号のフィルタ出力値の絶対値の最大値を検出する勾配検出器(例えば図1の勾配検出器12)と、を設けるようにすることができる。」と記載されている。
そして、前記特開平8-163408号公報の図2には、注目画素を中心とするマトリックスにおける複数の画素値に対して、係数が-1,0,1で構成されたフィルタが図示されているから、輝度変化の方向を示す値を検出するための前記フィルタ出力値が単に画素値の加減算を実施することにより得られることは当業者にとって自明の事項である。

これらの相違点1及び2を総合的に考慮しても当業者が容易になし得ることといえ、一方、本願補正発明の奏する効果は、引用例に記載された発明、及び周知事項から想定できる程度のものにすぎず、格別なものとはいえない。

したがって、本願補正発明は、引用例に記載された事項及び前記周知事項に基づいて、当業者が容易に発明をすることができたものであるから、特許法29条2項の規定により特許出願の際独立して特許を受けることができないものである。

(5) むすび
以上のとおり、本件補正は、平成18年改正前特許法17条の2第5項で準用する同法126条5項の規定に違反するものであり、特許法159条1項で準用する同法53条1項の規定により却下されるべきものである。

第3 本願発明について
1 平成18年7月3日付けの手続補正は上記のとおり却下されたので、本願の請求項1に係る発明(以下、「本願発明」という。)は、平成18年2月13日付けで補正された特許請求の範囲の請求項1に記載された以下のとおりのものである。
「【請求項1】 多値画像を2値画像に変換するハーフトーン化方法であって、
該多値画像を成す画素を走査しながら走査中の注目画素の値を2値化する2値化ステップと、
該注目画素について2値化に伴って生じた誤差を、該注目画素周辺の未走査画素に拡散させる誤差拡散ステップと、
該誤差拡散ステップでの誤差拡散手法を、該多値画像の走査に伴い、所定の方式に従って変更する変更ステップと、
該注目画素が該多値画像における輪郭上の画素であるか否かを検出する輪郭検出ステップと、
該輪郭の方向を検出する輪郭方向検出ステップとを含み、
該輪郭検出ステップで該注目画素が該輪郭上の画素であることを検出しない場合に、該誤差拡散ステップにおいて、該誤差を該注目画素周辺の未走査画素に拡散させ、
該輪郭検出ステップで該注目画素が該輪郭上の画素であることを検出した場合に、該変更ステップにおいて該誤差拡散手法を変更するとともに、該輪郭方向検出ステップで検出された該輪郭の方向における未走査画素の値に、前記誤差に応じた値を加算する例外処理を行なうことを特徴とする、ハーフトーン化方法。」

2 引用例
原査定の拒絶の理由に引用された引用例、及びその記載事項は、前記「第2 2(2)」に記載したとおりである。

3 対比・判断
本願発明は、前記第2で検討した本願補正発明から「輪郭方向検出ステップ」での処理を「該注目画素を中心とするマトリックスにおける複数の画素値に対して、複数種類の加算もしくは加減算を実施し、これらのうちの最大値に基づいて」と具体的にする限定を省いたものである。
そうすると、本願発明の構成要件をすべて含み、更に他の構成要件を付加したものに相当する本願補正発明が、前記「第2 2」で判断したとおり、引用例に記載された発明に基づいて、当業者が容易に発明をすることができたものであるから、本願発明も、同様の理由により、引用例に記載された発明に基づいて、当業者が容易に発明をすることができたものである。

4 むすび
以上のとおり、本願発明は、引用例に記載された発明に基づいて、当業者が容易に発明をすることができたものであるから、特許法29条2項の規定により特許を受けることができない。
したがって、本願は、他の請求項について検討するまでもなく拒絶すべきものである。
よって、結論のとおり審決する。
 
審理終結日 2008-04-07 
結審通知日 2008-04-08 
審決日 2008-04-21 
出願番号 特願平11-340255
審決分類 P 1 8・ 121- Z (H04N)
P 1 8・ 575- Z (H04N)
最終処分 不成立  
前審関与審査官 加内 慎也  
特許庁審判長 西山 昇
特許庁審判官 脇岡 剛
松永 稔
発明の名称 ハーフトーン化方法およびハーフトーン化装置並びにハーフトーン化プログラムを記録したコンピュータ読み取り可能な記録媒体  
代理人 真田 有  

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