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審決分類 |
審判 査定不服 4項1号請求項の削除 特許、登録しない。 G03G 審判 査定不服 特174条1項 特許、登録しない。 G03G 審判 査定不服 特17条の2、3項新規事項追加の補正 特許、登録しない。 G03G 審判 査定不服 4項4号特許請求の範囲における明りょうでない記載の釈明 特許、登録しない。 G03G 審判 査定不服 4項3号特許請求の範囲における誤記の訂正 特許、登録しない。 G03G 審判 査定不服 4号2号請求項の限定的減縮 特許、登録しない。 G03G |
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管理番号 | 1179026 |
審判番号 | 不服2005-9038 |
総通号数 | 103 |
発行国 | 日本国特許庁(JP) |
公報種別 | 特許審決公報 |
発行日 | 2008-07-25 |
種別 | 拒絶査定不服の審決 |
審判請求日 | 2005-05-13 |
確定日 | 2008-06-04 |
事件の表示 | 平成 6年特許願第 79663号「画像形成方法及び画像形成装置」拒絶査定不服審判事件〔平成 7年10月20日出願公開、特開平 7-271195〕について、次のとおり審決する。 |
結論 | 本件審判の請求は、成り立たない。 |
理由 |
第1.手続の経緯 本願は平成6年3月25日の出願であって、平成15年1月10日付けの拒絶理由通知に対して同年4月10日付けで手続補正がなされ、また、平成16年1月15日付けの拒絶理由通知に対して同年4月21日付けで手続補正がなされたが、平成17年2月7日付けで拒絶査定がなされ、これに対して同年5月13日付けで審判請求がされると共に手続補正がなされた。そして、当審において、平成19年5月23日付けで前記平成17年5月13日付けの手続補正を却下すると共に拒絶理由(最後)を通知したところ、同年11月26日付けで手続補正がなされたものである。 第2.平成19年11月26日付けの手続補正についての補正却下の決定 〔補正却下の決定の結論〕 平成19年11月26日付けの手続補正(以下「本件補正」という)を却下する。 〔理由〕 2-1.本件補正の内容 本件補正は、特許請求の範囲及び発明の詳細な説明についてするもので、特許請求の範囲の請求項1については、平成16年4月21日付けの手続補正書により補正された明細書の特許請求の範囲の請求項1を以下のとおりに補正しようとする補正事項を含む。 <補正前> 「【請求項1】 薄板状の画像支持体上に帯電した顕像化粒子であるトナー粒子を含む液体現像剤によってトナー像を形成し、前記画像支持体上に形成されたトナー像を記録媒体に転写する画像形成装置であって、 前記画像支持体に電圧を印加するための多数の電圧印加体が前記画像支持体の幅方向に直線状に配列された前記画像支持体の裏面と当接する電圧ヘッドにより、前記画像支持体上の所望の位置に電圧を印加すると共に、 現像剤支持体上に塗布された絶縁性液体中にトナーが高濃度に分散された100?10000mPa・sの高粘度の液体現像剤を前記画像支持体の潜像面に供給することにより前記画像支持体上にトナー像を形成する現像手段が、現像剤支持体上に液体現像剤の厚みを5?40μmになるようにして、 現像剤支持体と画像支持体との間隔が液体現像剤層の厚み以下で、現像剤支持体上の高粘度の液体現像剤のみを画像支持体と接触させて現像する ことを特徴とする画像形成装置。」 <補正後> 「【請求項1】 薄板状の画像支持体上に帯電した顕像化粒子であるトナー粒子を含む液体現像剤によってトナー像を形成し、前記画像支持体上に形成されたトナー像を記録媒体に転写する画像形成装置であって、 前記画像支持体と、 この画像支持体に電圧を印加するための多数の電圧印加体が前記画像支持体の幅方向に直線状に配列され、前記画像支持体の裏面に当接し、前記画像支持体上の所望の位置に複数種類の電圧値から選択された電圧を印加する電圧ヘッドと、 前記トナー粒子が絶縁性液体中に高濃度に分散された粘度100?10000mPa・sの液体現像剤であって複数のローラを介して供給され、所定の厚さに塗布された液体現像剤を支持する現像剤支持体と、を有し、 前記電圧ヘッドは、前記画像支持体上の所望の位置に電圧を印加してデータ信号に基づく電圧パターンを形成し、 前記現像剤支持体は、前記電圧パターンが形成された画像支持体の潜像面に、前記高濃度液体現像剤を前記画像支持体に接触させてトナーを供給し、前記画像支持体上にトナー像を形成するものであり、 前記現像剤支持体表面に支持される前記複数のローラを介して供給された高濃度液体現像剤である ことを特徴とする画像形成装置。」 また、発明の詳細な説明においては、【0005】【0006】【0008】及び【0009】段落が補正されると共に、【0007】段落が削除されたが、その他の段落の補正はなされていない。 2-2.新規事項の追加 a)補正後の請求項1における「前記現像剤支持体は、前記電圧パターンが形成された画像支持体の潜像面に、前記高濃度液体現像剤を前記画像支持体に接触させてトナーを供給し、前記画像支持体上にトナー像を形成するものであり、」、及び、補正後の発明の詳細な説明における「また、本発明の画像形成装置は、現像剤支持体上の高粘度の液体現像剤のみが、現像剤支持体と画像支持体との間隔の中で、画像支持体と接触させることで、」(平成16年4月21日付けの手続補正書により補正された【0021】段落)は、現像剤支持体上の高濃度液体現像剤が画像支持体に接触する構成を含むものである。 これに対し、本願出願の願書に添付された明細書及び図面(以下「当初明細書等」という)には、次のとおりの記載がある。 「【0064】 トナー移動過程においては、図7に示すように、電圧ヘッド30の電極302に電圧が印加されている部分、即ち画像部では、現像剤支持体ローラ410上のトナーが電極302と現像剤支持体ローラ410との間に形成される電界によって主にクーロン力によりプリウェット液層を通過して画像支持体ベルト10の表面に移動する。一方、電圧ベッド30の電極302に電圧が印加されていない部分、即ち非画像部では、現像剤支持体ローラ410上のトナーは、画像支持体ベルト10の表面と液体現像剤層とがプリウェット液層により分離されているので、画像支持体ベルト10の表面に移動しない。」 「【0067】 図11は現像剤支持体ローラと剛体で形成された画像支持体ドラムとをハードコンタクトさせたようす示す図であり、図12は本実施例のソフトコンタクトを説明するための図である。上記で説明したように、本実施例の供給過程では、プリウェット液層の画像形成への機能は重要である。したがって、供給過程における重要な要件はプリウェット液層と液体現像剤層の2層の状態を維持することである。」 「【0070】 本実施例に用いた高粘性の液体現像剤ではトナー間の凝集力が強く、粉体現像剤のように、機械的衝撃又は静電気力により現像剤から遊離したトナーが空気層を介して画像支持体に移動するような現象は起きない。すなわち、液体現像剤層と画像支持体ベルト10との間に空気層を介在させてはトナーが画像支持体ベルト10上に移動しない。それゆえ、現像剤支持体ローラ410と液体現像剤層、液体現像剤層とプリウェット液層、プリウェット液層と画像支持体ベルト10がそれぞれ接触している関係になることが必須である。」 すなわち、当初明細書等には、現像を行うために、現像剤支持体(現像剤支持体ローラ410)上の高濃度液体現像剤(液体現像剤層420)と画像支持体(画像支持体ベルト10)との間にプリウェット液層220を介在させること、言い換えれば、現像剤支持体上の高濃度液体現像剤をプリウェット液層220に接触させ、画像支持体には接触させないことが記載されている。しかし、現像剤支持体上の高濃度液体現像剤を画像支持体に接触させることは記載されていない。 したがって、補正後の請求項1に記載された「前記現像剤支持体は、前記電圧パターンが形成された画像支持体の潜像面に、前記高濃度液体現像剤を前記画像支持体に接触させてトナーを供給し、前記画像支持体上にトナー像を形成するものであり、」、及び、補正後の発明の詳細な説明における「また、本発明の画像形成装置は、現像剤支持体上の高粘度の液体現像剤のみが、現像剤支持体と画像支持体との間隔の中で、画像支持体と接触させることで、」(【0021】段落)は当初明細書等に記載されたものでなく、かつ、自明なことでもない。 b)補正後の発明の詳細な説明において「さらに、ここでは、現像剤支持体と画像支持体との間に微小ギャップ即ち間隔dが8?50μmの範囲で形成され、」(平成16年4月21日付けの手続補正書により補正され、本件補正で補正がされなかった【0020】段落)という記載があるが、このような具体的な数値は当初明細書等に記載されたものでなく、かつ、自明なことでもない。 c)補正後の発明の詳細な説明における「また、本発明の画像形成装置は、画像支持体上にプリウェット液層を設けておいても良く、」(平成16年4月21日付けの手続補正書により補正され、本件補正で補正がされなかった【0022】段落)という記載は、プリウェット液層が任意の選択的な構成であり、プリウェット層を設けない構成を含むことを意図するものであるが、上記a)に示したとおり、プリウェット層を設けない構成は当初明細書等に記載されたものでなく、かつ、自明なことでもない。 よって、本件補正は、願書に最初に添付した明細書又は図面に記載した事項の範囲内においてしたものでないから、平成6年改正前特許法第17条の2第2項において準用する同法第17条第2項に規定に違反する。 2-3.補正の目的 上記「2-2.新規事項の追加」に記載したとおり、本件補正は却下すべきものであるが、本件補正は最後の拒絶理由通知に対する補正であるところ、以下のとおり、補正の目的の要件も満たしておらず、却下すべきものである。 現像支持体上の液体現像剤の厚みに関して、補正前の請求項1の「液体現像剤の厚みを5?40μmになるようにして、」が、本件補正により「所定の厚さに塗布された液体現像剤」と補正された。すなわち、本件補正により現像支持体上の液体現像剤の厚みの範囲が拡張されている。 そして、この請求項1についての補正が、請求項の削除、特許請求の範囲の減縮、誤記の訂正、または、明りょうでない記載の釈明のいずれかを目的とする補正に該当しないことは明らかであって、請求項1についての補正は平成6年改正前特許法第17条の2第3項各号のいずれにも該当しない。 よって、本件補正は平成6年改正前特許法第17条の2第3項の規定に違反する。 2-4.本件補正についてのむすび 以上のとおり、本件補正は、平成6年改正前特許法第17条の2第2項において準用する同法第17条第2項、及び同法第17条の2第3項の規定に違反するので、同法159条第1項において読み替えて準用する同法53条第1項の規定により、却下されるべきものである。 第3.平成16年4月21日付け手続補正についての検討 平成19年11月26日付けの手続補正は上記のとおり却下されたので、本願明細書は平成16年4月21日付けで提出された手続補正書により補正されたものである。 3-1.平成19年5月23日付け拒絶理由 平成16年4月21日付けで提出された手続補正書により補正された本願明細書に対して、当審からの平成19年5月23日付けで通知した拒絶理由は次のとおりである。 ------以下、拒絶理由通知の抜粋------ 『 3-2.特許法第17条第2項違反について 平成16年4月21日付けでした手続補正は、下記の点で願書に最初に添付した明細書又は図面に記載した事項の範囲内においてしたものでないから、特許法第17条の2第2項において準用する同法第17条第2項に規定する要件を満たしていない。 記 a)補正により明細書には 「現像剤支持体と画像支持体との間隔が液体現像剤層の厚み以下で、現像剤支持体上の高粘度の液体現像剤のみを画像支持体と接触させて現像すること」(請求項1)、「これは、現像ギャップ即ち間隔dは、液体現像剤層以下で層を乱さない程度の寸法にすることで、」(0020段落)、及び「また、本発明の画像形成装置は、現像剤支持体上の高粘度の液体現像剤のみが、現像剤支持体と画像支持体との間隔の中で、画像支持体と接触させることで、」(0022段落)等の記載が追加された。 しかし、本願出願当初の明細書及び図面には、現像剤支持体(現像剤支持体ローラ410)上の高濃度液体現像剤(液体現像剤層420)が、画像支持体(画像支持体ベルト10)上のプリウェット液層220に接触する構成は記載されているが、現像剤支持体上の高濃度液体現像剤が画像支持体に接触すること、及び、現像剤支持体と画像支持体との間隙を高濃度液体現像剤の厚み以下とすることは記載されていないし、かつ、自明な事項でもない。 よって、上記補正は、本願出願当初の明細書及び図面に記載した事項の範囲を超えたものである。 b)補正により明細書には「現像剤支持体と画像支持体との間隔が8?50μmの範囲である」(請求項3)、及び「さらに、ここでは、現像剤支持体と画像支持体との間に微小ギャップ即ち間隔dが8?50μmの範囲で形成され、」(0020段落)等の記載が追加されたが、本願出願当初の明細書及び図面には現像剤支持体(現像剤支持体ローラ410)と画像支持体(画像支持体ベルト10)との間隔についてこのような具体的数値は何も記載されてなく、かつ自明な事項でもないから、この補正は、本願出願当初の明細書及び図面に記載した事項の範囲を超えたものである。 』 ------拒絶理由通知の抜粋 終わり------- 3-2.当審の判断 上記拒絶理由通知のa)で指摘した 「現像剤支持体と画像支持体との間隔が液体現像剤層の厚み以下で、現像剤支持体上の高粘度の液体現像剤のみを画像支持体と接触させて現像すること」(請求項1)、 「これは、現像ギャップ即ち間隔dは、液体現像剤層以下で層を乱さない程度の寸法にすることで、」(0020段落)、及び 「また、本発明の画像形成装置は、現像剤支持体上の高粘度の液体現像剤のみが、現像剤支持体と画像支持体との間隔の中で、画像支持体と接触させることで、」(0022段落) は、現像剤支持体上の液体現像剤層が画像支持体に接触する構成を追加する補正であるが、この補正については、上記「第2.平成19年11月26日付けの手続補正についての補正却下の決定 2-2.新規事項の追加 a)」に記載したとおり、願書に最初に添付した明細書又は図面に記載した事項の範囲内においてしたものでない。 また、上記拒絶理由のb)で指摘した 「現像剤支持体と画像支持体との間隔が8?50μmの範囲である」(請求項3)、及び 「さらに、ここでは、現像剤支持体と画像支持体との間に微小ギャップ即ち間隔dが8?50μmの範囲で形成され、」(0020段落) は、現像剤支持体と画像支持体との間隔として具体的な数値を追加する補正であるが、この補正については、上記「第2.平成19年11月26日付けの手続補正についての補正却下の決定 2-2.新規事項の追加 b)」に記載したとおり、願書に最初に添付した明細書又は図面に記載した事項の範囲内においてしたものでない。 3-3.むすび 以上のとおりであるから、平成16年4月21日付けでした手続補正は、平成6年改正前特許法第17条の2第2項において準用する同法第17条第2項に規定する要件を満たしていないから、本願はこの拒絶理由によって拒絶すべきものである。 よって、結論のとおり審決する。 |
審理終結日 | 2007-12-19 |
結審通知日 | 2008-01-08 |
審決日 | 2008-01-21 |
出願番号 | 特願平6-79663 |
審決分類 |
P
1
8・
571-
Z
(G03G)
P 1 8・ 573- Z (G03G) P 1 8・ 55- Z (G03G) P 1 8・ 561- Z (G03G) P 1 8・ 572- Z (G03G) P 1 8・ 574- Z (G03G) |
最終処分 | 不成立 |
前審関与審査官 | 大仲 雅人 |
特許庁審判長 |
山口 由木 |
特許庁審判官 |
下村 輝秋 小宮山 文男 |
発明の名称 | 画像形成方法及び画像形成装置 |
代理人 | 奥山 雄毅 |