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審決分類 |
審判 査定不服 2項進歩性 取り消して特許、登録 H04N |
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管理番号 | 1179685 |
審判番号 | 不服2006-4363 |
総通号数 | 104 |
発行国 | 日本国特許庁(JP) |
公報種別 | 特許審決公報 |
発行日 | 2008-08-29 |
種別 | 拒絶査定不服の審決 |
審判請求日 | 2006-03-09 |
確定日 | 2008-07-01 |
事件の表示 | 特願2004-291155「カメラシステム」拒絶査定不服審判事件〔平成17年 1月13日出願公開、特開2005- 12849、請求項の数(3)〕について、次のとおり審決する。 |
結論 | 原査定を取り消す。 本願の発明は、特許すべきものとする。 |
理由 |
1.経緯 (1)手続 本願は、平成6年12月5日に出願した特願平6-300953号の一部を平成16年10月4日に新たな特許出願としたものである。 本件は、本願についてされた拒絶査定(平成18年1月31日付け)を不服とする平成18年3月9日の請求であり、請求後、手続補正書(平成18年4月6日付け、明細書について請求の日から30日以内にする補正)が提出された。 (2)査定 原査定の理由は、概略、下記のとおりである。 記(査定の理由) 本願の請求項1から請求項3までに係る発明は、下記刊行物に記載された発明に基づいて当業者が容易に発明をすることができたものであるから、特許法第29条第2項の規定により、特許を受けることができない。 記 刊行物1:特開平6-105311号公報 刊行物2:特開平6-205409号公報 刊行物3:特開平5-37856号公報 刊行物4:特開昭63-82562号公報 刊行物5:特開平2-74996号公報 刊行物6:実願昭63-75852号(実開平1-179682号)のマイクロフィルム 2.審判請求時の補正の適合性 平成18年4月6日付けの手続補正(以下「本件補正」という。)は、平成6年改正前特許法第17条の2第2項及び第3項、並びに特許法第17条の2第5項(同項で準用する第126条第5項)の各規定に適合する。詳細は、以下のとおりである。 (1)補正の内容 本件補正は、次のような補正事項を含むものである。 (a)補正事項1 請求項1について、 「ページめくりの際の重複撮影角を記憶する手段とを備え」(補正前)とあるのを、 「ページめくりの際の重複撮影角を記憶する手段とを備え、前記重複撮影角は、ページめくりの前後で映像の表示上の重複部分の分量が同じになるように、現在の画角に応じて定められたものであり」(補正後)と補正する。 (b)補正事項2 請求項1について、 「上記カメラの現在の撮影方向と画角と上記重複撮影角とを用いて」(補正前)とあるのを、 「上記カメラの現在の撮影方向に、式:(現在の画角)-(重複撮影角)により求めた上記カメラの撮影方向の変更角度を、ページめくりの方向に応じて足すか又は引くかして」(補正後)と補正する。 (c)補正事項3 請求項2(補正前)、請求項3(補正前)、請求項6(補正前)及び請求項7(補正前)を削除する。 (d)補正事項4 請求項4(補正前)を請求項2(補正後)に繰り上げる。 (e)補正事項5 請求項5(補正前)を請求項3(補正後)に繰り上げると共に、 「請求項4において」(補正前)とあるのを、 「請求項2において」(補正後)と補正する。 (2)補正の適否 (2-1)補正の範囲(第17条の2第2項) 上記各補正事項は、願書に最初に添付した明細書の段落【0071】から【0092】までの記載に基づくものであり、願書に最初に添付した明細書及び図面に記載した事項の範囲内のおいてする補正である。 (2-2)補正の目的(第17条の2第3項) 上記各補正事項は、特許請求の範囲についてする補正である。 上記補正事項1は、補正前に記載のあった「重複撮影角」の内容を具体的に限定するものであり、しかも補正の前後において、産業上の利用分野及び解決しようとする課題は同一であるから特許請求の範囲の減縮を目的とする補正に該当する。 上記補正事項2は、補正前に記載のあった「撮影方向」の変更態様を限定するものであり、しかも補正の前後において、産業上の利用分野及び解決しようとする課題は同一であるから特許請求の範囲の減縮を目的とする補正に該当する。 上記補正事項3から補正事項5までは、請求項の削除、あるいはその削除に伴い整合を図るためのものであり、請求項の削除を目的とする補正に該当する。 (2-3)独立特許要件(第17条の2第5項) 上記補正事項1及び補正事項2は、特許請求の範囲の減縮を目的とする補正であるので、以下、その独立特許要件について検討する。 (a)補正後各発明 補正後の請求項1から請求項3までに係る発明(以下「補正後各発明」という。)は、下記のとおりである。 記(補正後各発明) 【請求項1】 カメラと、 上記カメラの撮影範囲を変更する撮影範囲変更手段と、 上記カメラで撮影した映像を表示する手段と、 ページめくりの要求を受け付けるページめくり要求受付手段と、 ページめくりの際の重複撮影角を記憶する手段とを備え、 前記重複撮影角は、ページめくりの前後で映像の表示上の重複部分の分量が同じになるように、現在の画角に応じて定められたものであり、 上記撮影範囲変更手段は、 前記ページめくり要求受付手段がページめくり要求を受け付けた場合、上記カメラの現在の撮影方向に、式:(現在の画角)-(重複撮影角)により求めた上記カメラの撮影方向の変更角度を、ページめくりの方向に応じて足すか又は引くかして、現在撮影されている撮影範囲の隣の範囲であって変更前後で撮影範囲に重複部分があるように撮影方向を変更する ことを特徴とするカメラシステム。 【請求項2】 請求項1において、 上記カメラによりあらかじめ撮影された上記カメラの撮影可能な範囲の映像を静止画データとして記憶する静止画データ記憶手段と、 上記静止画データ記憶手段に記憶された静止画データの中から、上記カメラの現在の撮影範囲の周辺部の静止画データを読み出す静止画データ読出手段と、 上記静止画データ読出手段により読み出された静止画データと上記カメラから得られた映像データを合成して表示する表示手段と、 撮影範囲の指定を受け付けるジャンプガイド手段とを備え、 上記ジャンプガイド手段が撮影範囲の指定を受け付けた場合で、撮影範囲の指定が確定するまでの間、 上記読出手段は、指定されている範囲及びその周辺に対応する静止画データを読み出し、 上記表示手段は、上記読出手段により読み出された静止画データを用いて表示する ことを特徴とするカメラシステム。 【請求項3】 請求項2において、 上記ジャンプガイド手段が撮影範囲の指定を受け付けた場合で、撮影範囲が確定した場合、 上記撮影範囲変更手段は、確定した撮影範囲が撮影されるように上記カメラの撮影範囲を変更し、 上記読出手段は、確定した撮影範囲の周辺に対応する静止画データを読み出し、 上記表示手段は、上記静止画データ読出手段により読み出された静止画データと上記カメラから得られた映像データを合成して表示する ことを特徴とするカメラシステム。 (b)補正後各発明の進歩性 (b1)主要構成 査定で引用された各刊行物のいずれにも、補正後各発明が備える下記の主要構成は記載されていない。また、各刊行物を組み合わせても、同主要構成を導くことはできない。 記(補正後各発明が備える主要構成) ページめくりの際の重複撮影角を記憶する手段を備え、前記重複撮影角は、ページめくりの前後で映像の表示上の重複部分の分量が同じになるように、現在の画角に応じて定められたものであり、撮影範囲変更手段は、ページめくり要求を受け付けた場合、カメラの現在の撮影方向に、式:(現在の画角)-(重複撮影角)により求めた上記カメラの撮影方向の変更角度を、ページめくりの方向に応じて足すか又は引くかして、現在撮影されている撮影範囲の隣の範囲であって変更前後で撮影範囲に重複部分があるように撮影方向を変更すること。 (b2)効果等 補正後各発明は、上記主要構成を備えることにより、本願明細書に記載した「ユーザは、上記変更指示手段を用いて、画面に表示された上記領域表示に対して、操作を行うことにより、現在撮影されている部分および撮影されていない部分を撮影する指示が、試行錯誤を行うことなく容易にできる。そして、上記変更指示決定手段は、上記操作に応じて、上記カメラの撮影範囲を決定し、上記カメラ操作手段に決定した撮影範囲を出力する。こうして、ユーザは、現在操作中のカメラの撮影方向や撮影倍率を意識することなく、カメラを容易に操作できる。」(段落【0018】)等の顕著な効果を奏するものと認められる。特に、カメラで撮影した画像を「ページめくり」させて表示するために「ページめくり」の前後で、カメラの撮影方向に重複する部分があるように撮影方向を変更できる、すなわち、現在の撮影範囲のすぐ隣の範囲を撮影できるようにカメラの撮影方向を変更することができるという効果を奏することも明らかである。 (b3)結論 以上によれば、補正後各発明は、査定で引用された各刊行物に記載された発明に基づいて当業者が容易に発明をすることができたものであるとすることはできない。 (c)引用刊行物の記載等 以下、各刊行物の記載について見ておく。 (c1)刊行物1(特開平6-105311号公報)には、「撮影画像表示装置」に関し、図面と共に次に掲げる事項が記載されている。 「撮影対象をITVカメラで撮影して表示装置の表示画面に表示すると共に、前記ITVカメラを駆動制御しながら所要とする撮影対象を順次変更し撮影する撮影画像表示装置において、前記ITVカメラの撮影方向,撮影倍率を制御するカメラ制御命令の他、前記ITVカメラの駆動速度を表す速度設定信号を設定入力する入力手段と、この入力手段から入力された速度設定信号を保持する駆動速度設定手段と、前記入力手段からカメラ制御命令を受けたとき、前記設定手段の速度設定信号に基づいて所要の駆動速度で前記カメラ制御命令の内容に応じて前記ITVカメラを駆動制御する定速駆動要求手段とを備えたことを特徴とする撮影画像表示装置。」(特許請求の範囲第1項) 上記記載によれば、刊行物1には、撮影対象をITVカメラで撮影して表示装置の表示画面に表示すると共に、前記ITVカメラを駆動制御しながら所要とする撮影対象を順次変更し撮影する撮影画像表示装置において、前記ITVカメラの撮影方向,撮影倍率を入力手段からの制御命令に応じて駆動制御することは記載されているものの、補正後各発明の上記主要構成については記載がなく示唆もない。 (c2)刊行物2(特開平6-205409号公報)には、「電子機器及びその制御方法」に関し、図面と共に次に掲げる事項が記載されている。 「画像表示ウインドウ・システムの1ウインドウとして、カメラの撮影画像を表示し、当該カメラを制御する専用ウインドウ(カメラ表示・制御ウインドウ)を表示させる。そのカメラ表示・制御ウインドウに、パン、チルト、ズーム及び絞りなどのカメラ制御カーソルを表示させ、それらを、各種のポインティング・デバイスやポイント入力装置(マウスやトラック・ボールなど、ディジタイザ・タブレットやタッチ・パネルなど)で指定し、画面上で移動させる。本体CPUが、各カメラ制御カーソルの移動に応じて、パン、チルト、ズーム及び絞りなどを制御する。」(段落【0010】) 上記記載によれば、刊行物2には、カメラ表示・制御ウインドウに、パン、チルト、ズーム及び絞りなどのカメラ制御カーソルを表示させ、それらを、各種のポインティング・デバイスやポイント入力装置で指定し、画面上で移動させることにより、カメラのパン、チルト、ズーム及び絞りなどを制御することは記載されているものの、補正後各発明の上記主要構成については記載がなく示唆もない。 (c3)刊行物3(特開平5-37856号公報)には、「ビデオカメラ」に関し、図面と共に次に掲げる事項が記載されている。 「【作用】被写体が1枚の画面に納まりきれないときは、撮像画面を移動しながら被写体を撮像する。撮像される複数の画面には重なりがあり、この重なりは撮像信号の相関でもって判別される。合成用メモリ手段には重なり部分が排除されて合成された1枚の画面の画像信号が書き込まれる。これにより良好な広角画像を得ることが可能となる。」(段落【0007】) 「フレームメモリ7には、水平方向にパンニングして撮像された第1の画面100A(図2の破線参照)および第2の画面100B(図2の実線参照)の撮像信号S1,S2が順次取り込まれる。なお、第2の画面100Bの撮像信号S2がフレームメモリ7に取り込まれる前に、第1の画面100Aの撮像信号S1はフレームメモリ7よりバッファメモリ9に転送される。」(段落【0013】) 「画面100A,100Bの撮像信号S1,S2は、自動的に、あるいは手動操作でもってフレームメモリ7に取り込まれる。自動的に取り込まれる場合には、例えばCPU12に接続されるパノラマスイッチ(図示せず)をオンとすることで、所定の時間間隔をもって取り込まれる。一方、手動操作でもって取り込まれる場合には、例えばCPU12に接続される取込スイッチ(図示せず)をパンニングの各位置でオンとすることで取り込まれる。」(段落【0014】) 上記記載によれば、刊行物3には、撮像画面を移動しながら被写体を撮像し、重なり部分を排除して合成された1枚の広角画像を得ることは記載されているものの、カメラで撮影した画像を「ページめくり」させて表示することを全く予定しておらず、そのような「ページめくり」表示のために画角と重複撮影角を考慮して現在の撮影範囲のすぐ隣の範囲を撮影できるようにカメラの撮影方向を変更することについては何ら記載がなく示唆もない。すなわち、補正後各発明の上記主要構成については記載がなく示唆もない。 (c4)刊行物4(特開昭63-82562号公報)には、「データ処理装置」に関し、図面と共に次に掲げる事項が記載されている。 「メニューバーの特定コマンドとこれに伴うプルダウンメニューの選択により、表示画面上には、矩形をなし少なくとも隣合う二辺の特定部位にそれぞれが指定方向を逆にする頁捲りマークを設けてなる文書ビューが開設される。このビューの頁捲りマークの一つを上記入力手段を用い選択することにより、選択された頁捲りマークに従う頁捲り方向をもってビュー内の文書頁が切換わる。このように、簡単な操作でビュー上に表示された文書の頁送りが行なえることからイメージを含む文書の編集作業が円滑に行なえる。」(公報2頁右下欄5行?15行) 上記記載によれば、刊行物4には、表示画面上に、頁捲りマークを設け、選択された頁捲りマークに従う頁捲り方向をもってビュー内の文書頁を切換えることが記載されているに止まる。補正後各発明の上記主要構成については記載がなく示唆もない。 (c5)刊行物5(特開平2-74996号公報)には、「情報処理装置」に関し、図面と共に次に掲げる事項が記載されている。 「表示内容を画面上に表示する表示部、この表示部に表示された上記表示内容を上記画面上で移動させるための移動情報を生成させる専用スイッチを有するポインティングデバイス、このポインティングデバイスで生成された上記移動情報が入力される入力部、この入力部へ入力された上記移動情報に基づき移動方向及び移動量を算出する解析部、この解析部からの出力に基づき、移動後の表示内容に相当する情報を発生し上記表示部に出力する出力部を備えたことを特徴とする情報処理装置。」(特許請求の範囲) 上記記載によれば、刊行物5には、表示部に表示された表示内容を画面上で移動させることが記載されているに止まる。補正後各発明の上記主要構成については記載がなく示唆もない。 (c6)刊行物6:実願昭63-75852号(実開平1-179682号)のマイクロフィルムには、「オペレーション用画像表示装置」に関し、図面と共に次に掲げる事項が記載されている。 「中央部を矩形状に切り欠いて製造ラインの主要設備を斜めに描いた複数のグラフイツク静止画像を記憶する静止画像記憶装置と、可動する設備を斜めに撮影する複数のカラー撮影装置と、前記静止画像記憶装置で記憶された静止画像の切欠き部に前記カラー撮影装置からの映像を合成する画像合成装置と、この画像合成装置で合成された画像を表示する画像表示装置と、からなるオペレーシヨン用画像表示装置。」(実用新案登録請求の範囲) 上記記載によれば、刊行物6には、主要設備を斜めに描いたグラフィック画面の中央部に撮影した画像を合成して1台のディスプレイに表示することが記載されているに止まる。補正後各発明の上記主要構成については記載がなく示唆もない。 (c7)前置報告書 前置報告書は、「画面分割撮影した画像を合成してパノラマ画像を構成する場合において、撮影画界の所定量がオーバーラップするよう輻輳角を光学系の結像倍率に応じて変化させて撮影し、これを合成することで1台のカメラでは得られないパノラマ画像を得られることが特開平06-006680号公報【0007】に記載され、且つ、ズーム量に応じて画面周辺のレジストレーション量も相違することが同文献の【0030】に記載されている。 この様に、画面分割して撮影する場合に、撮影光学系の結像倍率すなわちレンズの焦点距離(ズームレンズであればズーム量)に応じて撮影範囲が異なり、且つ、ズーム量に応じて画面周辺のレジストレーション量も相違することが同文献の【0030】に記載されている以上、画角すなわち撮影レンズの焦点距離(ズームレンズであればズーム量)に応じて撮影可能範囲が決まるので、それに応じてカメラの撮影方向を決定することは格別のことではない。」とも報告する。 しかし、上記特開平6-6680号公報(以下「刊行物7」という。)は、以下に見るように、複数の撮像系を用いて画界の一部をオーバーラップして撮像すること、また、ズーム量に応じて画面周辺のレジストレーション量も相違することを記載するに止まり、同刊行物7には、補正後各発明のように、カメラで撮影した画像を「ページめくり」させて表示するために画角と重複撮影角を考慮して現在の撮影範囲のすぐ隣の範囲を撮影できるようにカメラの撮影方向を変更することについては何も記載がなく、上記主要構成を示唆する記載もない。 〈刊行物7記載事項〉 刊行物7には、「複眼撮像装置」に関し、図面と共に次に掲げる事項が記載されている。 「複数の撮像系を用いて画界の一部をオーバーラップして撮像する装置に於て、各々の撮像系から出力される前記オーバーラップ部分の画像信号より前記オーバーラップ部分の画像のレジストレーションのずれ量を検出する検出手段と、前記検出手段からの検出信号に応じて前記レジストレーションのずれ量を所定値以下にする補正手段と、各撮像系から出力される画像信号を合成変換する手段を有することを特徴とする複眼撮像装置。」(特許請求の範囲第1項) 「図13に本発明に於る実施例6の構成を示す。基本構成は実施例2と同じであり、図中前出の番号と重複するものは、前出と同一の部材を示すため説明を省略する。画像メモリ111及び211は先程と同様に映像信号110及び210のオーバーラップ部分の画像信号を一時保存するものである。この段階では画像データは撮像光学系102と202の結像倍率のずれのため画像のレジストレーションは一致していないが予め先に示した実施例1?5にて説明した方法等によって、2つの画像の中心位置のレジストレーションのずれ量(前述の△y′)を既知として、2つの画像の中心位置を補正してあるものとする。」(段落【0030】) 上記記載によれば、刊行物7には、複数の撮像系を用いて画界の一部をオーバーラップして撮像すること、また、ズーム量に応じて画面周辺のレジストレーション量も相違することが記載されているに止まる。 (d)その他の理由 また、他に、補正後各発明が特許出願の際独立して特許を受けることができないとする理由を発見しない。 (e)小括(独立特許要件) 以上、補正後各発明は、特許出願の際独立して特許を受けることができるものである。 (2-4)まとめ(適否) 以上、本件補正は、上記各規定に適合する。 3.本願各発明 本願の請求項1から請求項3までに係る発明は、本願明細書及び図面(平成18年4月6日付けの手続補正書により補正された明細書及び図面)の記載からみて、それぞれ、その特許請求の範囲の請求項1から請求項3までに記載した事項により特定されるとおりのものである(上記補正後各発明と同じ、以下「本願各発明」という。)。 4.査定の検討 本願各発明は、補正後各発明の独立特許要件についてした上記判断での理由と同じ理由により、査定で引用された各刊行物に記載された発明に基づいて当業者が容易に発明をすることができたものであるとすることはできない。 5.むすび 以上のとおりであるから、本願の請求項1から請求項3までに係る発明が上記各刊行物に記載された発明に基づいて当業者が容易に発明をすることができたものであるという、原査定の理由によっては本願を拒絶することはできない。 また、他に、本願を拒絶すべき理由を発見しない。 よって、結論のとおり審決する。 |
審決日 | 2008-06-13 |
出願番号 | 特願2004-291155(P2004-291155) |
審決分類 |
P
1
8・
121-
WY
(H04N)
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最終処分 | 成立 |
前審関与審査官 | 奥村 元宏、清田 健一 |
特許庁審判長 |
乾 雅浩 |
特許庁審判官 |
新宮 佳典 岩井 健二 |
発明の名称 | カメラシステム |
代理人 | 特許業務法人湘洋内外特許事務所 |