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審決分類 審判 査定不服 5項独立特許用件 特許、登録しない。 G11B
審判 査定不服 2項進歩性 特許、登録しない。 G11B
管理番号 1180077
審判番号 不服2006-7959  
総通号数 104 
発行国 日本国特許庁(JP) 
公報種別 特許審決公報 
発行日 2008-08-29 
種別 拒絶査定不服の審決 
審判請求日 2006-04-26 
確定日 2008-06-26 
事件の表示 特願2003-312127「ディスク状記録媒体、記録装置および方法、並びに再生装置および方法」拒絶査定不服審判事件〔平成16年 4月15日出願公開、特開2004-119002〕について、次のとおり審決する。 
結論 本件審判の請求は、成り立たない。 
理由 第1 手続の経緯
本願は、平成7年6月2日に出願した特願平7-136329号の一部を平成15年9月4日に新たな特許出願としたものであって、平成17年12月14日付け拒絶理由通知に対して、平成18年2月14日付けで手続補正がなされたが、平成18年3月23日付けで拒絶の査定がなされ、これに対し、平成18年4月26日付けで拒絶査定不服審判が請求されるとともに、平成18年5月24日付けで手続補正がなされたものである。

第2 平成18年5月24日付け手続補正についての補正却下の決定
[補正却下の決定の結論]
平成18年5月24日付けの手続補正を却下する。

[理 由]
1.補正後の本願発明
平成18年5月24日付けの手続補正(以下「本件補正」という。)は、特許請求の範囲及び発明の詳細な説明についてするもので、特許請求の範囲については、本件補正前に
「 【請求項1】
アドレスが予め形成されたアドレスエリアと、前記アドレスエリアに隣接してデータが配置されるデータエリアを有し、
前記アドレスエリアは、前記アドレスの誤りを検出する誤り検出符号を含み、
前記データエリアは、所定の大きさからなる第1のデータブロックに対して、積符号からなる誤り訂正符号を付加した第2のデータブロックを、記録方向および記録方向に垂直の方向に分割するとともに、前記第2のデータブロックが分割された複数のブロックの各々に対して、同期信号を付加することにより形成されるフレームを複数集めてなるデータを含み、
前記第2のデータブロックの大きさは、前記データエリアの大きさの整数倍の大きさである
ことを特徴とするディスク状記録媒体。
【請求項2】
前記誤り訂正符号は、少なくとも第1の符号と第2の符号を含み、
前記第1の符号は、前記第2のデータブロックにおける1つのセクタで完結するように付加されている
ことを特徴とする請求項1に記載のディスク状記録媒体。
【請求項3】
前記アドレスは、前記セクタに、プリピットとして形成されている
ことを特徴とする請求項2に記載のディスク状記録媒体。
【請求項4】
前記アドレスは、プリグルーブをウォブリングさせることにより記録されている
ことを特徴とする請求項2に記載のディスク状記録媒体。
【請求項5】
前記ディスク状記録媒体は、複数のゾーンに分割されているとともに、前記第2のデータブロックは前記ゾーンをまたがないで配置されている
ことを特徴とする請求項2に記載のディスク状記録媒体。
【請求項6】
前記アドレスエリアは、前記アドレスを示す情報をアドレスマークとして形成している
ことを特徴とする請求項1に記載のディスク状記録媒体。
【請求項7】
前記アドレスエリアは、クロックを再生するためのPLL回路を引き込むためのクロックをVFOとして形成している
ことを特徴とする請求項1に記載のディスク状記録媒体。
【請求項8】
前記アドレスエリアに記録されるデータは、前記アドレスエリア内で、複数回繰り返して記録される
ことを特徴とする請求項1に記載のディスク状記録媒体。
【請求項9】
ディスク状記録媒体にデータを記録する記録装置であって、
前記ディスク状記録媒体は、
複数のセクタからなるセクタ列としてデータが記録されるように構成されているとともに、前記セクタはアドレスが予め記録されたアドレスエリアと、データが記録されるデータエリアを有し、
前記記録装置は、
前記アドレスエリアに記録されている前記アドレスを読み取る読み取り手段と、
前記読み取り手段により読み取られた前記アドレスに応じて記録位置を制御する制御手段と、
前記アドレスエリアに記録された誤り検出符号に応じて、前記アドレスの誤り検出処理を行う誤り検出手段と、
前記記録データを、所定の大きさからなる第1のデータブロックに分割する第1の分割手段と、
分割した前記第1のデータブロックに対して、積符号からなる誤り訂正符号を付加した第2のデータブロックを形成するための前記誤り訂正符号を付加する付加手段と、
前記第2のデータブロックを、記録方向および記録方向に垂直の方向に分割する分割手段と、
前記第2のデータブロックが分割された複数のブロックの各々に対して、同期信号を付加することによりフレームを形成するフレーム形成手段と、
形成した前記フレームを複数集めることにより、前記データエリアに対して記録する前記データを形成するデータ形成手段と、
形成した前記データを記録する記録手段と
を備え、
前記第2のデータブロックの大きさは、前記データエリアの大きさの整数倍の大きさである
ことを特徴とする記録装置。
【請求項10】
前記ディスク状記録媒体が、複数のゾーンに分割されている場合、前記記録手段は、前記ブロックが前記ゾーンをまたがないで配置されるように記録する
ことを特徴とする請求項9記載の記録装置。
【請求項11】
前記エンコード手段は、少なくとも第1の符号と第2の符号を含む前記誤り訂正符号を、前記第1の符号が1つのセクタで完結するように付加する
ことを特徴とする請求項9記載の記録装置。
【請求項12】
ディスク状記録媒体にデータを記録する記録方法であって、
前記ディスク状記録媒体は、
複数のセクタからなるセクタ列としてデータが記録されるように構成されているとともに、前記セクタはアドレスが予め記録されたアドレスエリアと、データが記録されるデータエリアを有し、
前記記録方法は、
前記アドレスエリアに記録されている前記アドレスを読み取り、
読み取られた前記アドレスに応じて記録位置を制御し、
前記アドレスエリアに記録された誤り検出符号に応じて、前記アドレスの誤り検出処理を行い、
前記データエリアに対して、データを分割して所定の大きさからなる第1のデータブロックを形成し、
前記第1のデータブロックに対して、積符号からなる誤り訂正符号を付加して第2のデータブロックを形成し、
前記第2のデータブロックを、記録方向および記録方向に垂直の方向に分割して複数のブロックを形成し、
複数の前記ブロックの各々に対して、同期信号を付加してフレームを形成し、
前記フレームを複数集めてなる前記データを記録する記録処理を行う記録方法であり、
前記第2のデータブロックの大きさは、前記データエリアの大きさの整数倍の大きさである
ことを特徴とする記録方法。
【請求項13】
ディスク状記録媒体のデータを再生する再生装置であって、
前記ディスク状記録媒体は、
複数のセクタからなるセクタ列としてデータが記録されるように構成されているとともに、前記セクタはアドレスが予め記録されたアドレスエリアと、所定の大きさからなる第1のデータブロックに対して、積符号からなる誤り訂正符号を付加した第2のデータブロックを、記録方向および記録方向に垂直の方向に分割するとともに、前記第2のデータブロックが分割された複数のブロックの各々に対して、同期信号を付加することにより形成されるフレームを複数集めてなるデータが記録されるデータエリアを有し、
前記アドレスエリアは、前記アドレスの誤りを検出する誤り検出符号を含み、
前記第2のデータブロックの大きさは、前記データエリアの大きさの整数倍の大きさであり、
前記再生装置は、
前記アドレスエリアに記録されている前記アドレスを読み取る読み取り手段と、
前記読み取り手段により読み取られた前記アドレスに応じて再生位置を制御する制御手段と、
前記アドレスエリアに含まれる前記誤り検出符号に応じて、前記アドレスの誤り検出処理を行う誤り検出手段と、
前記データエリアに記録されたデータを、前記同期信号を基準にして再生する再生手段と、
前記再生手段により再生された前記データに対して、複数の前記データエリア分の前記第2のデータブロックを単位として、前記誤り訂正符号に応じて、誤り訂正処理を行う誤り訂正手段と
を備えることを特徴とする再生装置。
【請求項14】
ディスク状記録媒体のデータを再生する再生方法であって、
前記ディスク状記録媒体は、
複数のセクタからなるセクタ列としてデータが記録されるように構成されているとともに、前記セクタはアドレスが予め記録されたアドレスエリアと、所定の大きさからなる第1のデータブロックに対して、積符号からなる誤り訂正符号を付加した第2のデータブロックを、記録方向および記録方向に垂直の方向に分割するとともに、前記第2のデータブロックが分割された複数のブロックの各々に対して、同期信号を付加することにより形成されるフレームを複数集めてなるデータが記録されるデータエリアを有し、
前記アドレスエリアは、前記アドレスの誤りを検出する誤り検出符号を含み、
前記第2のデータブロックの大きさは、前記データエリアの大きさの整数倍の大きさであり、
前記再生方法は、
前記アドレスエリアに記録されている前記アドレスを読み取り、
読み取られた前記アドレスに応じて再生位置を制御し、
前記アドレスエリアに含まれる前記誤り検出符号に応じて、前記アドレスの誤り検出処理を行い、
前記データエリアに記録されたデータを、前記同期信号を基準にして再生し、
再生された前記データに対して、複数の前記データエリア分の前記第2のデータブロックを単位として、前記誤り訂正符号に応じて、誤り訂正処理を行う
ことを特徴とする再生方法。」
とあったものを、
「 【請求項1】
アドレスが予め形成されたアドレスエリアと、前記アドレスエリアに隣接してデータが配置されるデータエリアを有し、
前記アドレスエリアは、前記アドレスの誤りを検出する誤り検出符号を含み、
前記データエリアは、所定の大きさからなる第1のデータブロックに対して、積符号からなる誤り訂正符号を付加した第2のデータブロックを記録方向に分割するとともに、前記記録方向に対して垂直の方向に2分割して形成される複数のブロックを所定数集めて形成されるセクタであって、前記セクタの先頭以外のブロックに対してはフレームの先頭を示すフレーム同期信号を付加し、前記セクタの先頭のブロックに対しては少なくともセクタの先頭を示す同期信号を付加することにより形成されるフレームを複数集めてなるセクタを含み、
前記第2のデータブロックの大きさは、前記データエリアの大きさの整数倍の大きさである
ことを特徴とするディスク状記録媒体。
【請求項2】
前記誤り訂正符号は、少なくとも第1の符号と第2の符号を含み、
前記第1の符号は、前記第2のデータブロックにおける1つのセクタで完結するように付加されている
ことを特徴とする請求項1に記載のディスク状記録媒体。
【請求項3】
前記アドレスは、前記セクタに、プリピットとして形成されている
ことを特徴とする請求項2に記載のディスク状記録媒体。
【請求項4】
前記アドレスは、プリグルーブをウォブリングさせることにより記録されている
ことを特徴とする請求項2に記載のディスク状記録媒体。
【請求項5】
前記ディスク状記録媒体は、複数のゾーンに分割されているとともに、前記第2のデータブロックは前記ゾーンをまたがないで配置されている
ことを特徴とする請求項2に記載のディスク状記録媒体。
【請求項6】
前記アドレスエリアは、前記アドレスを示す情報をアドレスマークとして形成している
ことを特徴とする請求項1に記載のディスク状記録媒体。
【請求項7】
前記アドレスエリアは、クロックを再生するためのPLL回路を引き込むためのクロックをVFOとして形成している
ことを特徴とする請求項1に記載のディスク状記録媒体。
【請求項8】
前記アドレスエリアに記録されるデータは、前記アドレスエリア内で、複数回繰り返して記録される
ことを特徴とする請求項1に記載のディスク状記録媒体。
【請求項9】
ディスク状記録媒体にデータを記録する記録装置であって、
前記ディスク状記録媒体は、
複数のセクタからなるセクタ列としてデータが記録されるように構成されているとともに、前記セクタはアドレスが予め記録されたアドレスエリアと、データが記録されるデータエリアを有し、
前記記録装置は、
前記アドレスエリアに記録されている前記アドレスを読み取る読み取り手段と、
前記読み取り手段により読み取られた前記アドレスに応じて記録位置を制御する制御手段と、
前記アドレスエリアに記録された誤り検出符号に応じて、前記アドレスの誤り検出処理を行う誤り検出手段と、
前記記録データを、所定の大きさからなる第1のデータブロックに分割する第1の分割手段と、
分割した前記第1のデータブロックに対して、積符号からなる誤り訂正符号を付加した第2のデータブロックを形成するための前記誤り訂正符号を付加する付加手段と、
前記第2のデータブロックを記録方向に分割するとともに、前記記録方向に対して垂直の方向に2分割する第2の分割手段と、
前記第2のデータブロックが分割された複数のブロックを所定数集めて形成されるセクタを構成するブロックのうち、前記セクタの先頭以外のブロックに対してはフレームの先頭を示すフレーム同期信号を付加し、前記セクタの先頭のブロックに対しては少なくともセクタの先頭を示す同期信号を付加することによりフレームを形成するフレーム形成手段と、
形成した前記フレームを複数集めることにより、前記データエリアに対して記録する前記データを形成するデータ形成手段と、
形成した前記データを記録する記録手段と
を備え、
前記第2のデータブロックの大きさは、前記データエリアの大きさの整数倍の大きさである
ことを特徴とする記録装置。
【請求項10】
前記ディスク状記録媒体が、複数のゾーンに分割されている場合、前記記録手段は、前記ブロックが前記ゾーンをまたがないで配置されるように記録する
ことを特徴とする請求項9記載の記録装置。
【請求項11】
前記エンコード手段は、少なくとも第1の符号と第2の符号を含む前記誤り訂正符号を、前記第1の符号が1つのセクタで完結するように付加する
ことを特徴とする請求項9記載の記録装置。
【請求項12】
ディスク状記録媒体にデータを記録する記録方法であって、
前記ディスク状記録媒体は、
複数のセクタからなるセクタ列としてデータが記録されるように構成されているとともに、前記セクタはアドレスが予め記録されたアドレスエリアと、データが記録されるデータエリアを有し、
前記記録方法は、
前記アドレスエリアに記録されている前記アドレスを読み取り、
読み取られた前記アドレスに応じて記録位置を制御し、
前記アドレスエリアに記録された誤り検出符号に応じて、前記アドレスの誤り検出処理を行い、
前記データエリアに対して、データを分割して所定の大きさからなる第1のデータブロックを形成し、
前記第1のデータブロックに対して、積符号からなる誤り訂正符号を付加して第2のデータブロックを形成し、
前記第2のデータブロックを記録方向に分割するとともに、前記記録方向に対して垂直の方向に2分割し、
分割された複数の前記ブロックを所定数集めて形成されるセクタを構成するブロックのうち、前記セクタの先頭以外のブロックに対してはフレームの先頭を示すフレーム同期信号を付加し、前記セクタの先頭のブロックに対しては少なくともセクタの先頭を示す同期信号を付加することによりフレームを形成し、
前記フレームを複数集めてなる前記データを記録する記録処理を行う記録方法であり、
前記第2のデータブロックの大きさは、前記データエリアの大きさの整数倍の大きさである
ことを特徴とする記録方法。
【請求項13】
ディスク状記録媒体のデータを再生する再生装置であって、
前記ディスク状記録媒体は、
複数のセクタからなるセクタ列としてデータが記録されるように構成されているとともに、前記セクタはアドレスが予め記録されたアドレスエリアと、所定の大きさからなる第1のデータブロックに対して、積符号からなる誤り訂正符号を付加した第2のデータブロックを記録方向に分割するとともに、記録方向に対して垂直の方向に2分割して形成される複数のブロックを所定数集めて形成されるセクタであって、前記セクタの先頭以外のブロックに対してはフレームの先頭を示すフレーム同期信号を付加し、前記セクタの先頭のブロックに対しては少なくともセクタの先頭を示す同期信号を付加することにより形成されるフレームを複数集めてなるセクタを含むデータエリアを有し、
前記アドレスエリアは、前記アドレスの誤りを検出する誤り検出符号を含み、
前記第2のデータブロックの大きさは、前記データエリアの大きさの整数倍の大きさであり、
前記再生装置は、
前記アドレスエリアに記録されている前記アドレスを読み取る読み取り手段と、
前記読み取り手段により読み取られた前記アドレスに応じて再生位置を制御する制御手段と、
前記アドレスエリアに含まれる前記誤り検出符号に応じて、前記アドレスの誤り検出処理を行う誤り検出手段と、
前記データエリアに記録されたデータを、前記同期信号を基準にして再生する再生手段と、
前記再生手段により再生された前記データに対して、複数の前記データエリア分の前記第2のデータブロックを単位として、前記誤り訂正符号に応じて、誤り訂正処理を行う誤り訂正手段と
を備えることを特徴とする再生装置。
【請求項14】
ディスク状記録媒体のデータを再生する再生方法であって、
前記ディスク状記録媒体は、
複数のセクタからなるセクタ列としてデータが記録されるように構成されているとともに、前記セクタはアドレスが予め記録されたアドレスエリアと、所定の大きさからなる第1のデータブロックに対して、積符号からなる誤り訂正符号を付加した第2のデータブロックを記録方向に分割するとともに、記録方向に対して垂直の方向に2分割して形成される複数のブロックを所定数集めて形成されるセクタであって、前記セクタの先頭以外のブロックに対してはフレームの先頭を示すフレーム同期信号を付加し、前記セクタの先頭のブロックに対しては少なくともセクタの先頭を示す同期信号を付加することにより形成されるフレームを複数集めてなるセクタを含むデータエリアを有し、
前記アドレスエリアは、前記アドレスの誤りを検出する誤り検出符号を含み、
前記第2のデータブロックの大きさは、前記データエリアの大きさの整数倍の大きさであり、
前記再生方法は、
前記アドレスエリアに記録されている前記アドレスを読み取り、
読み取られた前記アドレスに応じて再生位置を制御し、
前記アドレスエリアに含まれる前記誤り検出符号に応じて、前記アドレスの誤り検出処理を行い、
前記データエリアに記録されたデータを、前記同期信号を基準にして再生し、
再生された前記データに対して、複数の前記データエリア分の前記第2のデータブロックを単位として、前記誤り訂正符号に応じて、誤り訂正処理を行う
ことを特徴とする再生方法。」
と補正をしようとするものである。

本件補正は、本件補正前の請求項1,9,12,13の「第2のデータブロックを、記録方向および記録方向に垂直の方向に分割する」時の垂直方向の分割数が「2」である点を限定すると共に、「データエリア」が「セクタ」であり、「セクタの先頭以外のブロックに対してはフレームの先頭を示すフレーム同期信号を付加し、前記セクタの先頭のブロックに対しては少なくともセクタの先頭を示す同期信号を付加することにより形成されるフレームを複数集めてなるセクタ」である点を限定するものとなるから、平成6年改正前特許法第17条の2第3項第2号に掲げる特許請求の範囲の減縮を目的とするものである。

そこで、本件補正における特許請求の範囲の請求項1に記載されている事項により特定される発明が特許出願の際独立して特許を受けることができるものであるか(平成18年改正前特許法第17条の2第5項において準用する同法第126第5項に規定する要件を満たすか)否かを、請求項1に係る発明(以下「本願補正発明」という。)について以下検討する。

2.刊行物及びその記載
原査定の拒絶の理由に引用された、本願出願前に頒布された刊行物である特開平7-130092号公報(以下「刊行物」という。)には、図面とともに以下の技術事項が記載されている。(なお、下線は当審で付与した。)
(1)「【0025】図3は、CD-MOのセクターフォーマットを示している。アドレス領域には各セクタのアドレスを示すアドレスデータが記録される。W/Rセットリング領域はデータが何等記録されない領域であり、光ピックアップのレーザダイオードの発光パワーを調整するための領域である。VFO領域は、VFO(PLL)をロックさせるための領域であると共に、EFMのDCフリーの性質を使った抜き出し回路が良好に働くようにするための領域である。このVFO領域には、EFMのout of ruleの符号でかつDCフリーの符号、例えばEFMのSYNCパターンが2?3回繰り返し記録される。SYNC領域は、この後よりデータ領域が始まることを示す領域である。このSYNC領域には、EFMのout of ruleの符号でかつDCフリーの符号、例えばEFMのSYNCパターンが3?4回繰り返し記録される。
【0026】データ領域は、1セクタ(98フレーム)分のデータが記録される領域である。ギャップ領域は、スピンドルモータの回転ムラ、光ディスク1の偏心による位相ずれを吸収するための領域である。
【0027】上述したアドレス領域には、エンボス加工によるプリピット(位相ピット)でもってアドレスデータが予め記録される。シーク中でも読みとれるようにアドレスデータは、例えば低密度のグレイコードとされる。このアドレスデータを2重または3重書きし、または誤り訂正符号を付加することでさらに強化できる。なお、本例では1セクタ毎にアドレス領域が設けられるが、さらに細かくアドレス領域を設けてもよい。なお、アドレス領域にアドレスデータを予め光磁気記録してもよい。」

(2)「【0029】また、データ領域に記録されるデータのフレーム構造およびセクタ構造はCD-ROMの場合と同様とされる。すなわち、図5に示すようなフレーム構造にデータが展開され、EFM変調されて記録される。すなわち、1フレームは、24シンボル(1シンボルは8ビット、EFM変調されて14チャネルビット)のデータビットと、8シンボルのパリティと、1シンボルのサブコードと、図示しない24チャネルビットのフレームシンクと、直流分抑圧用のマージンビットからなる。したがって、1フレームの総チャネルビット数は、588チャネルビットとなる。なお、データはオーディオ用のコンパクトディスクではオーディオデータであるが、本例においてはCD-ROMデータである。
【0030】各フレームの1シンボルのサブコードは、P?Wの8チャネルである。図6に示すように、各フレームのP?Wの8チャネルのサブコードを98個集めて1サブコードブロックが構成される。このサブコードブロックが1セクタとされる。したがって、1セクタは98フレームに相当する。サブコードフレームシンクS0,S1としては、EFMのout of ruleの2符号が使用されている。これらP?Wまでのサブコードのうち、Pチャネルは先頭を示すフラグとされる。Qチャネルは、コントロールビットとされる。すなわち、Qチャネルには、データ/オーディオフラグ、アドレス、トラックナンバー、タイムコード等が記録される。」

(3)「【0034】これに対して、本例のエンコーダ12でのCIRCにおけるインターリーブ処理(以下、「第2のインターリーブ処理」という)では、最大95フレームのインターリーブが施される。そして、モジュロ98の処理により98フレームで回りながらインターリーブが施される。これにより、エラー訂正符号化が98フレームからなる1セクタ内で完結される。
【0035】エンコーダ12で誤り訂正符号化された記録データはEFM変調回路13に供給されてEFM変調(8-14変調)された後、外部磁界発生用の磁気ヘッド15のドライブ回路14に供給される。光ディスク2がCD-MOであるときは、磁気ヘッド15より記録データに応じた磁界が発生され、光ピックアップ21からのレーザビームとの共働でもって、データ領域に記録データが光磁気記録される。なお、実際の記録データとしては、上述せずもサブコード、フレーム同期信号が付加されている。
【0036】ここで、上述した第1および第2のインターリーブ処理の場合のエンコードプロセスおよびデコードプロセスについて簡単に説明するが、基本的には双方とも同様である。すなわち、データを2次元配列し、(28,24,5)リードソロモン符号によりパリティQが付加され、C2系列の符号化がなされる。そして、インターリーブ処理が施され、(32,28,5)リードソロモン符号によりパリティPが付加され、C1系列の符号化がなされる。」

(4)「【0038】これに対して、第2のインターリーブ処理は、インターリーブ長が1セクタのフレーム数以下の95フレームとされ、モジュロ98で回りながらインターリーブがかけられている。このため、第8図に概念図で示すように、エラー訂正符号化が1セクタで完結する。したがって、例えばセクタnの書き換えを行っても、セクタ(n+1),(n+2)には何等影響を及ぼさない。」

(5)図3には、セクタの構成として、アドレス領域、W/Rセットリング領域、VFO領域、SYNC領域、データ領域、ギャップ領域の順に領域が存在することが記載されている。

(6)図6には、各フレームの先頭にSYNCが設けらることが記載されている。

上記摘示事項を、図面とともに総合整理すると、刊行物には以下の発明が記載されているものと認める。
「アドレス領域、W/Rセットリング領域、VFO領域、SYNC領域、データ領域、ギャップ領域の順に領域が存在するセクタからなるCD-MOであって、
アドレス領域は、エンボス加工によりプリピットでもってアドレスデータが予め記録される領域であり、このアドレスデータに誤り訂正符号が付加されて強化され、
データ領域は、1セクタ(98フレーム)分のデータ記録される領域であり、
データ領域に記録される記録データは、データを2次元配列し、リードソロモン符号によりパリティQを付加してC2系列の符号化を行い、誤り訂正符号化が1セクタで完結するように、モジュロ98の処理により98フレームで回りながらインターリーブを施し、リードソロモン符号によりパリティPを付加して、C1系列の符号化を行い、
誤り訂正符号化された記録データをEFM変調した後、フレーム同期信号が付加されて実際の記録データとしてデータ領域に記録される
CD-MO」(以下「刊行物発明」という。)

3.対比
(a)刊行物発明の「アドレス領域」は「エンボス加工によりプリピットでもってアドレスデータが予め記録」される領域であるから、刊行物発明の「アドレス領域、W/Rセットリング領域、VFO領域、SYNC領域」からなる領域には「エンボス加工によりプリピットでもってアドレスデータが予め記録」されており、本願補正発明の「アドレスが予め形成されたアドレスエリア」に相当する。
(b)刊行物発明の「アドレス領域」には、アドレスデータが記録され、このアドレスデータには誤り訂正符号が付加されるから、刊行物発明は、本願補正発明の「前記アドレスエリアは前記アドレスの誤りを検出する誤り検出符号を含み」に相当する機能を備えている。
(c)刊行物発明の「データ領域」は「アドレス領域、W/Rセットリング領域、VFO領域、SYNC領域」なる領域に隣接する領域であり、本願補正発明の「前記アドレスエリアに隣接してデータが配置されるデータエリア」に相当する。
(d)刊行物発明の「2次元配列」された「データ」は、誤り訂正符号化される前の所定サイズのデータであるから、本願補正発明の「所定の大きさからなる第1のデータブロック」に相当する。
(e)刊行物発明では「2次元配列」された「データ」に対して、「リードソロモン符号によりパリティQを付加してC2系列の符号化を行い、誤り訂正符号化が1セクタで完結するように、モジュロ98の処理により98フレームで回りながらインターリーブを施し、リードソロモン符号によりパリティPを付加して、C1系列の符号化を行」うことにより「誤り訂正符号化された記録データ」を作成しており「積符号」との記載はないものの、上記符号化の方法は、刊行物発明が前提とするCD-ROMの規格上周知である「リードソロモン積符号」であるから、刊行物発明の「誤り訂正符号化された記録データ」は、本願補正発明の「積符号からなる誤り訂正符号を付加した第2のデータブロック」に相当する。
(f)刊行物発明では「誤り訂正符号化された記録データ」に「フレーム同期信号」を付加することにより「実際の記録データ」としており、「実際の記録データ」は「フレーム同期信号」により記録方向に「フレーム」毎に分割されている。また、分割されたブロックである「フレーム」を98個集めて1セクタとなるから、刊行物発明は「誤り訂正符号を付加した第2のデータブロックを記録方向に分割して形成される複数のブロックを所定数集めて形成されるセクタ」を備える点で本願補正発明と共通する。
(g)刊行物発明は「誤り訂正符号化された記録データ」に「フレーム同期信号」を付加することにより「実際の記録データ」としているから、全ての「フレーム」の先頭に「フレーム同期信号」が付加されるものであり、当然、セクタの先頭以外の「フレーム」にも「フレーム同期信号」が付加されものである。また「フレーム同期信号が付加され」た「フレーム」を98個集めることにより「セクタ」が構成されるから、刊行物発明はセクタの先頭を別にすると少なくとも「前記セクタの先頭以外のブロックに対してはフレームの先頭を示すフレーム同期信号を付加ることにより形成されるフレームを複数集めてなるセクタを含」む点で本願補正発明と共通する。
(h)刊行物発明の「CD-MO」は、本願補正発明の「ディスク状記録媒体」に相当する。

したがって、本願補正発明と刊行物発明との[一致点]及び[相違点]は以下のとおりである。
[一致点]
「アドレスが予め形成されたアドレスエリアと、前記アドレスエリアに隣接してデータが配置されるデータエリアを有し、
前記アドレスエリアは、前記アドレスの誤りを検出する誤り検出符号を含み、
前記データエリアは、所定の大きさからなる第1のデータブロックに対して、積符号からなる誤り訂正符号を付加した第2のデータブロックを記録方向に分割して形成される複数のブロックを所定数集めて形成されるセクタであって、前記セクタの先頭以外のブロックに対してはフレームの先頭を示すフレーム同期信号を付加することにより形成されるフレームを複数集めてなるセクタを含む、
ディスク状記録媒体。」の点。

[相違点]
(相違点1)
本願補正発明の「セクタ」が「第2のデータブロックを記録方向に分割するとともに、前記記録方向に対して垂直の方向に2分割して形成される複数のブロックを所定数集めて形成されるセクタ」であるのに対して、刊行物発明では「第2のデータブロックを記録方向に対して垂直方向に2分割」する点について特定されていない点。
(相違点2)
本願補正発明では「前記セクタの先頭のブロックに対しては少なくともセクタの先頭を示す同期信号を付加する」のに対して、刊行物発明ではそのような特定がなされていない点。
(相違点3)
本願補正発明では「前記第2のデータブロックの大きさは、前記データエリアの大きさの整数倍の大きさである」のに対して、刊行物発明ではそのように特定されていない点。

4.判断
上記相違点について検討する。
(相違点1について)
ディスク状記録媒体において、C1及びC2パリティによる誤り訂正符号を付加したデータブロックを記録方向に分割し、記録方向に垂直の方向にリシンクにより分割して記録することは周知技術(例えば、特開平6-195878号公報(【0023】-【0027】及び第2図)等参照)であるから、刊行物発明においても、誤り訂正を付加したデータブロックを記録方向及び、記録方向に対して垂直方向に分割する構成を採用することは、当業者が容易に想到しうることである。そして、その際、垂直方向に何分割するかはデータに対する同期信号出現頻度等を勘案して設計的に決めればよい程度の事項であるから、垂直方向に2分割とすることは当業者が適宜なし得ることである。

(相違点2について)
誤り訂正符号が付加されたデータの、セクタの先頭のフレームに対してセクタの先頭を示す同期信号を付加し、それ以外のフレームの先頭にはフレームの先頭を示す同期信号(リシンク)を付加することにより、セクタのデータを構成することは周知技術(例えば、特開平5-135503号公報(【0051】-【0054】,図1,2)、特開平2-118972号公報等参照)である。そして、前記周知技術は、記録媒体に対する誤り訂正の技術である点で刊行物発明と共通するものである。したがって、刊行物発明においても、前記周知技術に基づいて、セクタの先頭のブロックに対してセクタの先頭を示す同期信号を付加することは当業者が容易に想到し得ることである。

(相違点3について)
複数セクタのデータを単位としてエラー訂正符号を付加することは周知技術(例えば、特開平5-6625号公報(【0026】?【0034】,図1,2)、特開平5-6630号公報(【0045】)等参照)であって、前記周知技術は、記録媒体に対する誤り訂正の技術である点で刊行物発明と共通するものである。したがって、刊行物発明においても、誤り訂正を行う単位を複数セクタ単位として、第2のデータブロックの大きさを前記データエリアの大きさの整数倍の大きさとすることは当業者が容易に想到し得ることである。

そして、上記相違点についての判断を総合しても本願補正発明の奏する効果は、刊行物から当業者が十分予測可能なもので格別のものではない。

したがって、本願補正発明は、上記刊行物に記載された発明及び周知技術に基づいて当業者が容易に発明をすることができたものである。

5.本件補正についての結び
以上のとおり、本願補正発明は、特許法第29条第2項の規定により、特許出願の際独立して特許を受けることができないものであるから、本件補正は、平成18年改正前特許法第17条の2第5項で準用する同法第126条第5項に規定する要件を満たさないものであり、特許法第159条第1項で読み替えて準用する同法第53条第1項の規定により却下すべきものである。

第3 本願発明について
1.本願発明
平成18年5月24日付けの手続補正は上記のとおり却下されたので、本願の請求項1乃至14に係る発明は、平成18年2月14日付け手続補正書により補正された明細書の特許請求の範囲の請求項1乃至14に記載された事項により特定されるとおりのものであるところ、請求項1に係る発明(以下「本願発明」)は、「第2[理由]1.」に本件補正前の請求項1として記載したとおりのものである。

2.刊行物及びその記載
原査定の拒絶の理由で引用された刊行物及びその記載事項は、前記「第2[理由]2.」に記載したとおりである。

3.対比・判断
本願発明は、上記「第2[理由]」で検討した本願補正発明の「第2のデータブロックを、記録方向および記録方向に垂直の方向に分割する」時の垂直方向の分割数が「2」である点及び、「データエリア」が「セクタ」であり、「セクタの先頭以外のブロックに対してはフレームの先頭を示すフレーム同期信号を付加し、前記セクタの先頭のブロックに対しては少なくともセクタの先頭を示す同期信号を付加することにより形成されるフレームを複数集めてなるセクタ」である点に関する限定を解除したものに相当する。

そうすると、本願発明の構成要件を全て含み、更に他の要件を付加したものに相当する本願補正発明が、前記「第2[理由]4.」に記載したとおり、刊行物に記載された発明及び周知技術に基づいて、当業者が容易に発明をすることができたものであるから、本願発明も、同様の理由により刊行物に記載された発明に基づいて当業者が容易に発明をすることができたものである。

4.むすび
以上のとおり、本願の請求項1に係る発明は、特許法第29条第2項の規定により特許を受けることができないものである。
したがって、その余の請求項について論及するまでもなく、本願は、拒絶すべきものである。
よって、結論のとおり審決する。
 
審理終結日 2008-04-28 
結審通知日 2008-04-30 
審決日 2008-05-13 
出願番号 特願2003-312127(P2003-312127)
審決分類 P 1 8・ 575- Z (G11B)
P 1 8・ 121- Z (G11B)
最終処分 不成立  
前審関与審査官 齋藤 哲  
特許庁審判長 山田 洋一
特許庁審判官 漆原 孝治
横尾 俊一
発明の名称 ディスク状記録媒体、記録装置および方法、並びに再生装置および方法  
代理人 稲本 義雄  

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