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審決分類 審判 査定不服 2項進歩性 特許、登録しない。 C25B
審判 査定不服 4号2号請求項の限定的減縮 特許、登録しない。 C25B
審判 査定不服 特17条の2、3項新規事項追加の補正 特許、登録しない。 C25B
管理番号 1182131
審判番号 不服2005-19215  
総通号数 105 
発行国 日本国特許庁(JP) 
公報種別 特許審決公報 
発行日 2008-09-26 
種別 拒絶査定不服の審決 
審判請求日 2005-09-07 
確定日 2008-07-30 
事件の表示 特願2002-266291「触媒電解化学処理システム」拒絶査定不服審判事件〔平成16年 4月 2日出願公開、特開2004-100015〕について、次のとおり審決する。 
結論 本件審判の請求は、成り立たない。 
理由 [1]手続の経緯
本願は、平成14年9月12日の出願であって、平成17年3月3日付で拒絶理由通知がなされ、同年5月9日付で意見書が提出され、平成17年3月3日付拒絶理由通知書に記載した理由によって、同年7月19日付で拒絶査定がなされ、これに対し、同年9月7日に拒絶査定に対する審判請求がなされるとともに、同日付で手続補正書が提出されたものである。

[2]平成17年9月7日付手続補正についての補正却下の決定

<補正却下の決定の結論>
平成17年9月7日付手続補正を却下する。

<理由>
[2-1]補正の内容
平成17年9月7日付手続補正は、特許請求の範囲を、
「【請求項1】白金族元素等触媒作用を有する電極を以って構成する電解槽によって化学物質を生成するシステムにおいて、純水を原料水とし、且つ0042に述べる最適操業温度を印加することにより、0042に述べる「非触媒反応抑制による、触媒反応促進効果」を生じさせ、高能率、且つ低費用で操業を可能ならしめた化学処理システム
【請求項2】白金族元素等触媒作用を有する電極を以って構成する電解槽によって化学物質を生成するシステムにおいて、純水を原料水とし、且つ0042に述べる最適操業温度を印加することにより、0042に述べる「非触媒反応抑制による、電極寿命延伸効果」を生じさせ、高能率、且つ低費用で操業を可能ならしめた化学処理システム」と補正し、
段落【0041】に【表4-1】を付加し、
段落【0042】に「表4-1は、表3、表4を合併し、X(t)をグラフに加えたものである、
X(t)=A(t)-B(t)
の値を見ると、22度において最高値を示し、それより、温度が上下何れに離れてもいちじるしく生成量が低下することが伺える。したがって、22度を中心として、出来れば±0.5度以内に、大きくても、±1度以内には保持したい。それを最適操業温度とする。これらを総合すると、温度を最適操業温度とし、水質を純水とした操業システムの実施によって、より少ない電解液原料によって、所要の化学処理が可能となり、電解槽電極の寿命が延伸することにより、電解槽管理の労力、費用及び電解槽更新の労力費用が節減され、触媒化学処理が促進されて所要時間が節減されることが明らかとなった。・・・」の記載を付加する補正を含むものである。

[2-2]新規事項の追加についての判断
上記手続補正が、特許法第17条の2第3項に規定する、願書に最初に添付した明細書、特許請求の範囲又は図面(以下、「出願当初明細書」という。)に記載した事項の範囲内においてしたものであるか否かについて、以下検討する。
補正後の特許請求の範囲を、
「【請求項1】・・・純水を原料水とし、且つ0042に述べる最適操業温度を印加することにより・・・
【請求項2】・・・純水を原料水とし、且つ0042に述べる最適操業温度を印加することにより・・・」と補正し、また、補正後の明細書の段落【0042】に、「X(t)=A(t)-B(t)の値を見ると、22度において最高値を示し、それより、温度が上下何れに離れてもいちじるしく生成量が低下することが伺える。したがって、22度を中心として、出来れば±0.5度以内に、大きくても、±1度以内には保持したい。それを最適操業温度とする。これらを総合すると、温度を最適操業温度とし、水質を純水とした操業システムの実施によって、より少ない電解液原料によって、所要の化学処理が可能となり、電解槽電極の寿命が延伸することにより、電解槽管理の労力、費用及び電解槽更新の労力費用が節減され、触媒化学処理が促進されて所要時間が節減されることが明らかとなった。」の記載を付加する補正は、「化学処理システム」において印加する「最適操業温度」について、「X(t)」の最高値を中心として適切な温度幅とし、該温度幅を「出来れば±0.5度以内に、大きくても、±1度以内」とするものである。
そこで、上記「最適操業温度」に関して、出願当初明細書をみるに、段落【0012】には、「混合酸化剤生成の最適温度を維持する」と記載され、段落【0040】には、「適切な温度幅を設定し、それを最適操業温度とする。」と記載され、【請求項3】には、「第0040項に掲げる最適温度帯で化学処理を行う」と記載され、【表3】には、供給温度と混合酸化剤生成量のグラフが示され、【表4】には、供給温度と原料塩供給量のグラフが示され、両グラフにより、「X(t)=A(t)-B(t)」の値が最高値となる供給温度が開示されているものの、上記「混合酸化剤生成の最適温度」、「最適操業温度」、「最適温度帯」、上記グラフにより開示される「最高値となる供給温度」について、いずれも具体的な温度幅は記載されていないので、上記補正後の「22度を中心として、出来れば±0.5度以内に、大きくても、±1度以内には保持したい。それを最適操業温度とする」における「±0.5度以内」、「±1度以内」という温度幅は、出願当初明細書には記載されていないし、出願当初明細書の上記の記載から自明のものとも認められない。
してみると、上記補正後の記載は、出願当初明細書に記載した事項の範囲を超えるものというべきであるから、当該補正は、特許法第17条の2第3項の規定に違反する。

[2-3]補正の目的についての判断
特許請求の範囲を、
「【請求項1】白金族元素等触媒作用を有する電極を以って構成する電解槽によって化学物質を生成するシステムにおいて、純水を原料水とし、且つ0042に述べる最適操業温度を印加することにより、0042に述べる「非触媒反応抑制による、触媒反応促進効果」を生じさせ、高能率、且つ低費用で操業を可能ならしめた化学処理システム
【請求項2】白金族元素等触媒作用を有する電極を以って構成する電解槽によって化学物質を生成するシステムにおいて、純水を原料水とし、且つ0042に述べる最適操業温度を印加することにより、0042に述べる「非触媒反応抑制による、電極寿命延伸効果」を生じさせ、高能率、且つ低費用で操業を可能ならしめた化学処理システム」
とする補正は、特許法第17条の2第1項第4号に掲げる場合において特許請求の範囲についてする補正であるから、当該補正が同条第4項各号に掲げる事項を目的とするか否かについて、以下検討する。
まず、特許法第17条の2第4項第2号に規定される特許請求の範囲の減縮という目的に該当するか否かについてみるに、補正前の各請求項1?5は、複数項を引用しておらず、当該補正に際して、引用項に基づいて複数項に分割し得るものではないので、当該補正が、特許請求の範囲の減縮を目的とするものであれば、補正後の上記請求項1、2は、補正前の請求項1?5のうちの異なる2つの請求項と、一対一の対応関係になければならない。
すなわち、上記請求項1、2についての補正は、補正前の請求項1?5に記載されていた、
「【請求項1】白金族元素等触媒作用を有する電極を以って構成する電解槽によって化学物質を生成するについて、純水を原料水としてなされる化学処理システム
【請求項2】白金族元素等触媒作用を有する電極を以って構成する電解槽によって化学物質を生成するについて、純水機と接続してなされるもしくは、純水機を内蔵する化学処理システム
【請求項3】白金族元素等触媒作用を有する電極を以って構成する電解槽によって化学物質を生成するについて、第0040項に掲げる適温温度帯で化学処理を行う化学処理システム
【請求項4】適温低位の場合に加熱処理の待機準備をする、又は適温高位の場合に冷却処理の待機準備をする温度調整装置
【請求項5】白金族元素等触媒作用を有する電極を以って構成する電解槽によって化学物質を生成するについて、請求項4の温度調整装置を内蔵する化学処理システム」の発明のうちのいずれか2つの発明を、補正後の上記請求項1、2に記載された化学処理システムの発明に補正しようとするものでなければならない。
そこで、補正前の請求項1?5に記載された発明と補正後の請求項1、2に記載された発明とを対比するに、まず、補正前の請求項4に記載された発明は、「温度調整装置」の発明であるから、上記補正後の請求項1、2に記載された化学処理システムの発明のどちらにも対応しない。
次に、補正前の請求項2には、「純水機と接続してなされるもしくは、純水機を内蔵する」ことが記載されており、同請求項5には、「請求項4の温度調整装置を内蔵する」ことが記載されているが、補正後の請求項1、2には、「純水機と接続してなされるもしくは、純水機を内蔵する」こと、乃至「温度調整装置を内蔵する」ことについては記載されていないので、補正前の請求項2、5に記載された発明は、補正後の請求項1、2に記載された発明の減縮前の発明とはいえず、同補正後のどちらの発明にも対応しない。
そうすると、当該補正が、特許請求の範囲の減縮を目的とするものであれば、補正後の請求項1、2に記載された発明は、補正前の請求項1、3に記載された発明からそれぞれ補正されるものでなければならない。
ところで、補正後の請求項1、2に記載された発明はどちらも、「純水を原料水」とする他、「0042に述べる最適操業温度を印加すること」を発明特定事項として具備しているが、一方、補正前の請求項1には、その「化学処理システム」を特定するために必要な事項として、「白金族元素等触媒作用を有する電極を以って構成する電解槽によって化学物質を生成するについて、純水を原料水としてなされる」が記載されているのみである。
そこで、上記「0042に述べる最適操業温度を印加すること」が、補正前の請求項1に記載される「化学処理システム」の発明を特定するために必要な事項である「白金族元素等触媒作用を有する電極を以って構成する電解槽によって化学物質を生成するについて、純水を原料水としてなされる」を限定するものであるか否かについて検討するに、「0042に述べる最適操業温度を印加すること」とは、補正後の段落【0042】に、「X(t)=A(t)-B(t)」の値が最大になる温度22度を中心として、「出来れば±0.5度以内に、大きくても、±1度以内」を最適操業温度とする旨述べられているので、「最適操業温度」を上記のようにして求め、その「最適操業温度」を印加する意味であると解される。
しかしながら、該「最適操業温度」、及びその求め方は、上記「白金族元素等触媒作用を有する電極を以って構成する電解槽によって化学物質を生成するについて、純水を原料水としてなされる」に含まれる「白金族元素等触媒」、「触媒作用を有する電極」、「電極を以って構成する電解槽」、「化学物質を生成する」、「純水を原料水としてなされる」の各事項とは、「化学処理システム」の操業条件として別個のものであって、一定の関係にもないので、これらの事項のいずれをも概念的に下位の事項に限定するものではない。
そうすると、上記「0042に述べる最適操業温度を印加すること」は、上記「白金族元素等触媒作用を有する電極を以って構成する電解槽によって化学物質を生成するについて、純水を原料水としてなされる」に含まれる事項を限定するものではないので、補正前の請求項1に記載された発明を特定するために必要な事項を限定するものとはいえない。
したがって、補正後の請求項1、2に記載された発明のどちらか一方の発明が、補正前の請求項3に記載された発明を特定するために必要な事項を限定して補正されるものであるとしても、上記補正後の他方の発明は、補正前の請求項1に記載された発明を特定するために必要な事項を限定して補正されるものとはいえないのであるから、当該補正は、特許法第17条の2第4項第2号に掲げる特許請求の範囲の減縮を目的とするものには該当しない。

次に、その他の目的要件についてみるに、上記「0042に述べる最適操業温度を印加すること」を付加する補正は、特許法第17条の2第4項第1号に掲げる請求項の削除、同項第3号に掲げる誤記の訂正に該当しないことは明らかであり、また、同項第4号に掲げる、拒絶理由通知に係る拒絶の理由に示す事項についてする明りょうでない記載の釈明を目的とするものにも該当しない。
したがって、当該補正は、特許法第17条の2第4項の規定に違反する。

[2-4]むすび
以上のとおり、本件補正は、特許法第17条の2第3項及び第4項の規定に違反しているので、同法第159条第1項において読み替えて準用する同法第53条第1項の規定により却下すべきものである。

[3]本願発明
平成17年9月7日付手続補正は上記のとおり却下されたので、本願請求項1?5に係る発明は、願書に最初に添付した特許請求の範囲の請求項1?5に記載された事項により特定されるものと認められるところ、その請求項1に係る発明(以下、「本願発明1」という。)は以下のとおりである。

本願発明1:「白金族元素等触媒作用を有する電極を以って構成する電解槽によって化学物質を生成するについて、純水を原料水としてなされる化学処理システム」

[4]引用刊行物の記載事項
これに対して、原査定の拒絶の理由に引用された、本願出願前に頒布された刊行物である特開昭63-143277号公報(以下、「引用刊行物1」という。)には、以下の事項が記載されている。

引用刊行物1:特開昭63-143277号公報
(a)「(1)チタンまたはチタン合金上に、白金3?42重量%、酸化パラジウム3?34重量%、二酸化ルテニウム42?94重量%の組成を有する白金-酸化パラジウム-二酸化ルテニウムの白金族金属三元混合物と、前記混合物に対して20?40重量%の二酸化チタニウムとからなる混合物の被覆を施した陽極を使用して、塩化ナトリウム濃度10重量%以上の水溶液を10?22℃に保ち、陰極電流密度と陽極電流密度をそれぞれ10?500A/dm^(2)及び10?20A/dm^(2)とし、かつ陽極電流密度と陰極電流密度との比を1:1.4?1:40にして電解することを特徴とする次亜塩素酸ソーダ発生方法。
(2)容器1と、前記容器1の周囲あるいは内部に設けられた冷却コイル4および冷却用コンデンサー5よりなる冷却ユニット6と、前記容器1に固定されタイマー7および整流器8より結線された陰極3および陽極2とからなり、陰極3と陽極2との有効面積比が1:1.4?1:40であり、前記陽極2がチタンまたはチタン合金上に、白金3?42重量%、酸化パラジウム3?34重量%、二酸化ルテニウム42?94重量%の組成を有する白金-酸化パラジウム-二酸化ルテニウムの白金族金属三元混合物と、前記混合物に対して20?40重量%の二酸化チタニウムとからなる混合物の被覆を施したものであることを特徴とする次亜塩素酸ソーダ発生装置。」(特許請求の範囲)、
(b)「・・・食塩水を電解して、電解液中に直接4%以上の高濃度の次亜塩素酸ソーダを容易に製造することのできる方法及びそのための小型の次亜塩素酸ソーダ発生装置に関する。」(第1頁右下欄15?18行)、
(c)「・・・高電流効率で安いランニングコストのままで高濃度の次亜塩素酸ソーダ液が得られる。」(第6頁左上欄17?19行)
が記載されている。

[5]対比・判断
[5-1]引用刊行物1に記載された発明
上記摘記(a)によれば、引用刊行物1には、容器に陰極および陽極を固定して結線し、該陽極として、チタンまたはチタン合金上に、白金族金属三元混合物と、該混合物に対して20?40重量%の二酸化チタニウムとからなる混合物の被覆を施したものを使用して、塩化ナトリウム濃度10重量%以上の水溶液を10?22℃に保ち電解する次亜塩素酸ソーダ発生方法及び装置が記載されており、該方法による次亜塩素酸ソーダ発生システム、乃至該装置を具備する次亜塩素酸ソーダ発生システムが記載されているともいえる。
そうすると、引用刊行物1には、次の「次亜塩素酸ソーダ発生システム」の発明(以下、「引用発明1」という。)が記載されているものと認められる。

引用発明1:「容器に陰極および陽極を固定して結線し、該陽極として、チタンまたはチタン合金上に、白金族金属三元混合物と、該混合物に対して20?40重量%の二酸化チタニウムとからなる混合物の被覆を施したものを使用して、塩化ナトリウム濃度10重量%以上の水溶液を10?22℃に保ち電解する、次亜塩素酸ソーダ発生システム」

[5-2]本願発明1と引用発明1との対比
本願発明1と引用発明1とを対比すると、
(ア)引用発明1における「陽極として、チタンまたはチタン合金上に、白金族金属三元混合物と、該混合物に対して20?40重量%の二酸化チタニウムとからなる混合物の被覆を施したものを使用して、塩化ナトリウム濃度10重量%以上の水溶液を10?22℃に保ち電解する」の「陽極として、チタンまたはチタン合金上に、白金族金属三元混合物と、該混合物に対して20?40重量%の二酸化チタニウムとからなる混合物の被覆を施したもの」は、該陽極により「電解液中に直接4%以上の高濃度の次亜塩素酸ソーダを容易に製造」でき、「高電流効率で安いランニングコストのままで高濃度の次亜塩素酸ソーダ液が得られ」るのであるから(上記摘記(b)(c)参照)、塩化ナトリウム水溶液から高濃度の次亜塩素酸ソーダを生成する電気化学反応を行う、白金族元素等触媒作用を有する電極に他ならない。
(イ)引用発明1の「容器に陰極および陽極を固定して結線し、陽極として・・・を使用して、塩化ナトリウム濃度10重量%以上の水溶液を10?22℃に保ち電解する」における「容器」は、「陽極」が上述したように白金族元素等触媒作用を有する電極に他ならず、その「容器」中で「塩化ナトリウム濃度10重量%以上の水溶液を・・・電解する」のであるから、白金族元素等触媒作用を有する電極を以って構成する電解槽に該当する。
(ウ)引用発明1における「塩化ナトリウム濃度10重量%以上の水溶液を10?22℃に保ち電解する、次亜塩素酸ソーダ発生システム」は、本願発明1における「化学物質を生成する・・・化学処理システム」に相当する。
してみると、両発明は、「白金族元素等触媒作用を有する電極を以って構成する電解槽によって化学物質を生成する化学処理システム」の点で一致し、次の点で相違する。

相違点1:本願発明1では、純水を原料水としてなされるのに対し、引用発明1では、そうでない点。

[5-3]相違点1についての検討
塩化ナトリウム水溶液を電解して次亜塩素酸ソーダ等を生成するについて、純水を原料水として供給することは、次の周知例1、2にも記載されているように、本出願前周知の事項であると認められる。

周知例1:特開平11-128941号公報
(周1a)「【0023】・・・塩化ナトリウムを投入するための開口部を設けた原液タンクと、水道水等を純水にする純水器を設け、この純水器から前記純水を前記原液タンクに送り込む通水路を設けたものであり、電解質である前記塩化ナトリウムを前記開口部から使用者が前記原液タンクに投入し、溶媒の前記純水は前記純水器によって前記水道水等の不純物を含んだ水を前記純水にして前記原液タンクに注水できる・・・」、
(周1b)「【0029】・・・ポンプ8によって原液タンク2から殺菌原液1が陽極板4および陰極板5および隔膜3を有した電解槽6へ送り込まれ、前記電解槽6内で殺菌原液1を前記陽極板4および前記陰極板5に電源装置7より電気を通電させると、前記陽極板4および前記陰極板5と前記殺菌原液1に含まれるイオンおよび電子のやり取りが行われ、前記陽極板4側では次亜塩素酸および次亜塩素酸イオンを含む酸性水11が生成され、前記陰極板5側では水酸化ナトリウムを含むアルカリ性水12が生成され・・・」、
(周1c)「【0031】なお、実施例では、純水および塩化ナトリウムの純度を特に記載していないが純度は高ければ高い程よく、・・・
【0032】また、陽極板4および陰極板5の材質は特に記載していないが、基材としてはチタン等の耐食性の良いもの、また、特に陽極板4に関しては基材がチタンの場合チタン自体が陽イオンなので陽極板4を通電させた場合、陽極すなわちプラス電極とプラスイオンのためチタンが溶出するので、チタンの溶出を防ぐために白金等のマイナスイオン系の材質をメッキするのが望ましい。」

周知例2:特開2001-327975号公報
(周2a)「【0008】・・・本発明は、水道水に含まれる不純物によって配管中にスケールが付着するのを防ぐことを目的とする。
【0009】・・・本発明は、塩素薬剤を水道水に直接混合させるのではなく、専用の添加液(RO水(超純水)、食塩(NaCl),酢酸(・・・))を電気分解して、次亜塩素酸イオン(OCl-)を生成しその後、水道水と混合させることによって、適切な残留塩素濃度を得る残留塩素補正装置である。」、
(周2b)「【0028】【発明の効果】・・・上記構成を有する本発明にかかる残留塩素補正装置は、原液に超純水(RO水)を用いているので、不純物を含まず、次亜塩素酸生成電解槽32で電気分解するに当たって、正確にかつ容易に次亜塩素酸イオンの濃度を制御することができ、塩素混合水の濃度を精度高く制御することができる。」

そうすると、引用発明1の次亜塩素酸ソーダ発生システムにおいて、純水を原料水として供給することは、当業者が容易に想到し得たものというべきである。
そして、上記相違点1に係る本願発明1の特定事項によってもたらされる効果も、引用刊行物1の記載、及び上記周知の事項から当業者が普通に予測し得る程度のものであって、格別なものとはいえない。
したがって、本願発明1は、引用刊行物1に記載された発明、及び上記周知の事項に基づいて当業者が容易に発明をすることができたものである。

[6]むすび
以上のとおりであるから、本願発明1は、特許法第29条第2項の規定により特許を受けることができない。
したがって、他の発明について検討するまでもなく、本願は拒絶されるべきものである。
よって、結論のとおり審決する。
 
審理終結日 2008-05-01 
結審通知日 2008-05-13 
審決日 2008-06-05 
出願番号 特願2002-266291(P2002-266291)
審決分類 P 1 8・ 121- Z (C25B)
P 1 8・ 572- Z (C25B)
P 1 8・ 561- Z (C25B)
最終処分 不成立  
前審関与審査官 小柳 健悟  
特許庁審判長 綿谷 晶廣
特許庁審判官 小川 武
市川 裕司
発明の名称 触媒電解化学処理システム  

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