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この審決には、下記の判例・審決が関連していると思われます。
審判番号(事件番号) データベース 権利
無効200680228 審決 特許
不服200512789 審決 特許
不服20058174 審決 特許
不服200617636 審決 特許
無効2007800191 審決 特許

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審決分類 審判 訂正 ただし書き3号明りょうでない記載の釈明 訂正する A01N
審判 訂正 4項(134条6項)独立特許用件 訂正する A01N
審判 訂正 ただし書き1号特許請求の範囲の減縮 訂正する A01N
審判 訂正 発明同一 訂正する A01N
管理番号 1182858
審判番号 訂正2008-390058  
総通号数 106 
発行国 日本国特許庁(JP) 
公報種別 特許審決公報 
発行日 2008-10-31 
種別 訂正の審決 
審判請求日 2008-05-29 
確定日 2008-08-06 
訂正明細書 有 
事件の表示 特許第3216946号に関する訂正審判事件について、次のとおり審決する。 
結論 特許第3216946号に係る明細書を本件審判請求書に添付された訂正明細書のとおり訂正することを認める。 
理由 I.手続の経緯
(優先日) 平成 4年10月 5日
出願 平成 5年 9月30日
審査請求 平成11年 3月26日
拒絶理由通知 平成12年 5月29日付け
意見書・手続補正書 平成12年12月 6日
拒絶理由通知 平成13年 2月 6日付け
意見書・手続補正書 平成13年 4月 5日
特許査定 平成13年 6月15日付け
特許権の設定の登録 平成13年 8月 3日
特許掲載公報発行 平成13年10月 9日
(特許第3216946号公報)
特許異議の申立て 平成14年 4月 9日
取消理由通知 平成14年10月22日付け
特許異議意見書・訂正請求書
平成15年 5月 2日
特許異議の決定 平成15年 6月18日
特許決定公報発行 平成15年10月31日
訂正審判請求(第1回) 平成18年12月25日
訂正拒絶理由通知 平成19年 2月20日付け
訂正審判請求の取下げ 平成19年 4月16日
訂正審判請求(第2回) 平成19年12月17日
訂正拒絶理由通知 平成20年 4月10日付け
意見書 平成20年 5月29日
本件訂正審判請求 平成20年 5月29日
訂正審判請求(第2回)の取下げ
平成20年 7月 3日

II.請求の要旨
本件審判の請求の趣旨は、特許第3216946号の明細書を請求書に添付した全文訂正明細書のとおり訂正することを認める、との審決を求めるものであって、訂正事項a?cは、下記のとおりである。

(1)訂正事項a
平成15年 5月 2日付け訂正請求書によって訂正された特許明細書の特許請求の範囲の請求項1の記載
「【請求項1】シプロコナゾールまたはその金属塩もしくは酸付加化合物と、殺かび剤、殺藻類剤、殺虫剤および殺軟体動物剤のいずれかに属する化合物であって、スルフェンアミド類、ベンズイミダゾール類、チオシアネート類、塩化ベンジルジメチルドデシルアンモニウムもしくは塩化ベンジルジメチルテトラデシルアンモニウムの第4級アンモニウム化合物、モルホリン誘導体、シプロコナゾールを除くアゾール類、ヨウ素誘導体、フェノール誘導体、臭素誘導体、イソチアゾリノン類、ベンゾイソチアゾリノン類、ピリジン類、金属セッケン類、金属酸化物、金属塩、ジアルキルジチオカルバメート類、2,4,5,6-テトラクロロイソフタロニトリルを除くニトリル類、ベンゾチアゾール類、キノリン類、ホウ素化合物、ホルムアルデヒドならびにホルムアルデヒド遊離化合物、カルバメート類、ニトロイミン類およびニトロメチレン類よりなる群から選ばれる少なくとも1種の化合物との組み合わせ物を含有することを特徴とする生命のない工業材料の保護のための殺微生物組成物。」

「【請求項1】シプロコナゾールまたはその金属塩もしくは酸付加化合物と、殺かび剤、殺藻類剤、殺虫剤および殺軟体動物剤のいずれかに属する化合物であって、スルフェンアミド類、ベンズイミダゾール類、チオシアネート類、モルホリン誘導体、シプロコナゾールを除くアゾール類、ヨウ素誘導体、フェノール誘導体、臭素誘導体、イソチアゾリノン類、ベンゾイソチアゾリノン類、ピリジン類、金属セッケン類、金属酸化物、金属塩、ジアルキルジチオカルバメート類、2,4,5,6-テトラクロロイソフタロニトリルを除くニトリル類、ベンゾチアゾール類、キノリン類、ホウ素化合物、ホルムアルデヒドならびにホルムアルデヒド遊離化合物、カルバメート類、ニトロイミン類およびニトロメチレン類よりなる群から選ばれる少なくとも1種の化合物との組み合わせ物を含有するが、但し、
メチルα-メトキシイミノ-2-[(2-メチルフェノキシ)-メチル]フェニルアセテート、
2,4,5,6-テトラクロロイソフタロニトリル、
次式
(R_(1)R_(2)N^(+)R_(3)R_(4))_(n)X^(n-)
[式中、R_(1)?R_(4)は同一または異なり、炭素原子1?18の有機置換基を表すか、あるいは置換基R_(1)?R_(4)のうちの3個は、それらが結合している窒素原子と一緒になってヘテロ芳香族系を形成し、X^(n‐)は有機または無機酸のアニオンを表し、そしてnは1、2または3である。]
で表されるアンモニウム塩
を含まない生命のない工業材料の保護のための殺微生物組成物。」
と訂正する。

(2)訂正事項b
平成15年 5月 2日付け訂正請求書によって訂正された特許明細書の特許請求の範囲の請求項5及び請求項6を削除する。

(3)訂正事項c
平成15年 5月 2日付け訂正請求書によって訂正された特許明細書の特許請求の範囲の請求項7?請求項11をそれぞれ請求項5?請求項9とする。

III.当審の判断
III-1.訂正の目的の適否、新規事項追加の有無及び特許請求の範囲の拡張・変更の存否について

(1)訂正事項aについて
(a)訂正の目的の適否について
訂正事項aは、
イ:「塩化ベンジルジメチルドデシルアンモニウムもしくは塩化ベンジルジメチルテトラデシルアンモニウムの第4級アンモニウム化合物」を削除する訂正(以下、「訂正イ」という。)及び、
ロ:「但し、メチルα-メトキシイミノ-2-[(2-メチルフェノキシ)-メチル]フェニルアセテート、
2,4,5,6-テトラクロロイソフタロニトリル、
次式
(R_(1)R_(2)N^(+)R_(3)R_(4))_(n)X^(n-)
[式中、R_(1)?R_(4)は同一または異なり、炭素原子1?18の有機置換基を表すか、あるいは置換基R_(1)?R_(4)のうちの3個は、それらが結合している窒素原子と一緒になってヘテロ芳香族系を形成し、X^(n‐)は有機または無機酸のアニオンを表し、そしてnは1、2または3である。]
で表されるアンモニウム塩
を含まない」を付け加える訂正(以下、「訂正ロ」という。)を内容とするものであるところ、
訂正イは、シプロコナゾールまたはその金属塩もしくは酸付加化合物と組み合わせられる、「殺かび剤、殺藻類剤、殺虫剤および殺軟体動物剤のいずれかに属する化合物であって」として並記される複数の化合物群の中から、訂正前の請求項1に記載された「塩化ベンジルジメチルドデシルアンモニウムもしくは塩化ベンジルジメチルテトラデシルアンモニウムの第4級アンモニウム化合物」を削除するものであるから、選択肢を絞るもので、特許請求の範囲の減縮を目的とするものであり、
訂正ロは、シプロコナゾールまたはその金属塩もしくは酸付加化合物と、「殺かび剤、殺藻類剤、殺虫剤および殺軟体動物剤のいずれかに属する化合物であって」、請求項1に並記された特定の化合物よりなる群から選ばれる少なくとも1種の化合物との組み合わせ物を含有する生命のない工業材料の保護のための殺微生物組成物が、
「メチルα-メトキシイミノ-2-[(2-メチルフェノキシ)-メチル]フェニルアセテート
2,4,5,6-テトラクロロイソフタロニトリル及び
次式
(R_(1)R_(2)N^(+)R_(3)R_(4))_(n)X^(n-)
[式中、R_(1)?R_(4)は同一または異なり、炭素原子1?18の有機置換基を表すか、あるいは置換基R_(1)?R_(4)のうちの3個は、それらが結合している窒素原子と一緒になってヘテロ芳香族系を形成し、X^(n‐)は有機または無機酸のアニオンを表し、そしてnは1、2または3である。]で表されるアンモニウム塩」を含まないとするものであるから、任意に含有させる添加剤を絞るもので、特許請求の範囲の減縮を目的とするものである。

(b)新規事項追加の有無について
訂正事項aは、「シプロコナゾールまたはその金属塩もしくは酸付加化合物と組み合わせられる殺かび剤、殺藻類剤、殺虫剤および殺軟体動物剤のいずれかであって」として並記される化合物の中から、塩化ベンジルジメチルドデシルアンモニウムもしくは塩化ベンジルジメチルテトラデシルアンモニウムの第4級アンモニウム化合物を削除し、工業材料の保護のための殺微生物組成物が、メチルα-メトキシイミノ-2-[(2-メチルフェノキシ)-メチル]フェニルアセテート、2,4,5,6-テトラクロロイソフタロニトリル及び(R_(1)R_(2)N^(+)R_(3)R_(4))_(n)X^(n-)で表されるアンモニウム塩を含まないものとするものであり、そして、上記特定の化合物を削除若しくは不含とすることにより、本件特許明細書に記載された本件訂正前の各発明に関する技術的事項に何らかの変更を生じさせているものとはいえないから,訂正イ及び訂正ロは本件特許明細書に開示された技術的事項に新たな技術的事項を付加したものではなく、訂正事項aの訂正は、当業者によって、本件特許明細書のすべての記載を総合することにより導かれる技術的事項との関係において、新たな技術的事項を導入しないものであるということができる。
したがって、訂正イ及び訂正ロは、願書に添付した明細書に記載した事項の範囲内においてしたものである。

(c)特許請求の範囲の拡張・変更の存否について
訂正イ及び訂正ロは、ともに、特許請求の範囲を実質上拡張又は変更するものではない。

(d)以上のとおりであるから、訂正事項aは、特許請求の範囲の減縮を目的とするものであり、願書に添付した明細書に記載した事項の範囲内においてしたものであり、特許請求の範囲を実質上拡張又は変更するものではない。

(2)訂正事項bについて
訂正事項bは、請求項を削除するものであるから、特許請求の範囲の減縮を目的とするものであり、願書に添付した明細書に記載した事項の範囲内においてしたものであり、特許請求の範囲を実質上拡張又は変更するものではない。

(3)訂正事項cについて
訂正事項cは、訂正事項bによる請求項5及び請求項6の削除に伴って、請求項の項番7?11を項番5?9に整理するものであるから、明りょうでない記載の釈明を目的とするものであり、願書に添付した明細書に記載した事項の範囲内においてしたものであり、特許請求の範囲を実質上拡張又は変更するものではない。

III-2.独立特許要件の適否について
以上のとおり、訂正事項a及びbは、特許請求の範囲の減縮を目的とするものである。そこで訂正後における特許請求の範囲に記載されている事項により構成される発明が特許出願の際独立して特許を受けることができるものであるか否かについて検討する。

(1)本件訂正発明
訂正後の請求項1?9に係る発明は、審判請求書に添付された全文訂正明細書の特許請求の範囲の請求項1?9に記載された以下のとおりのものである(以下、「訂正発明1?9」という。)

「【請求項1】シプロコナゾールまたはその金属塩もしくは酸付加化合物と、殺かび剤、殺藻類剤、殺虫剤および殺軟体動物剤のいずれかに属する化合物であって、スルフェンアミド類、ベンズイミダゾール類、チオシアネート類、モルホリン誘導体、シプロコナゾールを除くアゾール類、ヨウ素誘導体、フェノール誘導体、臭素誘導体、イソチアゾリノン類、ベンゾイソチアゾリノン類、ピリジン類、金属セッケン類、金属酸化物、金属塩、ジアルキルジチオカルバメート類、2,4,5,6-テトラクロロイソフタロニトリルを除くニトリル類、ベンゾチアゾール類、キノリン類、ホウ素化合物、ホルムアルデヒドならびにホルムアルデヒド遊離化合物、カルバメート類、ニトロイミン類およびニトロメチレン類よりなる群から選ばれる少なくとも1種の化合物との組み合わせ物を含有するが、但し、
メチルα-メトキシイミノ-2-[(2-メチルフェノキシ)-メチル]フェニルアセテート、
2,4,5,6-テトラクロロイソフタロニトリル、
次式
(R_(1)R_(2)N^(+)R_(3)R_(4))_(n)X^(n-)
[式中、R_(1)?R_(4)は同一または異なり、炭素原子1?18の有機置換基を表すか、あるいは置換基R_(1)?R_(4)のうちの3個は、それらが結合している窒素原子と一緒になってヘテロ芳香族系を形成し、X^(n‐)は有機または無機酸のアニオンを表し、そしてnは1、2または3である。]
で表されるアンモニウム塩
を含まない生命のない工業材料の保護のための殺微生物組成物。
【請求項2】シプロコナゾールとテブコナゾールとの組み合わせ物を含有する請求項1記載の組成物。
【請求項3】シプロコナゾールとプロピオコナゾールとの組み合わせ物を含有する請求項1記載の組成物。
【請求項4】シプロコナゾールと銅塩との組み合わせ物を含有する請求項1記載の組成物。
【請求項5】溶剤もしくは希釈剤、乳化剤、分散剤、結合剤もしくは固定剤、および撥水剤よりなる群から選ばれる1種以上を含有する請求項1記載の組成物。
【請求項6】請求項1記載の殺微生物組成物の生命のない工業材料の保護のための使用方法。
【請求項7】唯一の活性殺微生物化合物としてシプロコナゾールまたはその金属塩もしくは酸付加化合物を含有する組成物の生命のない工業材料(但し、木材、レンガ、製紙用中間材料を除く。)の保護のための使用方法。
【請求項8】請求項1記載の組成物を生命のない工業材料に適用することを特徴とする生命のない工業材料の保護方法。
【請求項9】唯一の活性殺微生物組成物としてシプロコナゾールを含有する組成物を生命のない工業材料(但し、木材、レンガおよび製紙用中間材料を除く。)に適用することを特徴とする生命のない工業材料の保護方法。」

(2)独立特許要件の検討対象となる訂正発明
請求項1に係る訂正は、特許請求の範囲の減縮を目的とするものであり、訂正発明2?6及び8はいずれも訂正発明1を引用するものであるから、同各訂正発明は、特許請求の範囲の減縮を目的とするものである。そこで、訂正発明1?6及び8について訂正後における特許請求の範囲に記載されている事項により構成される発明が特許出願の際独立して特許を受けることができるものであるか否かについて検討する。

(3)特許法第29条の2の規定に違反するか否かについて
審判請求人は、本件訂正審判の請求にあたって、3件の公開特許公報を参考資料として提出し、本件訂正発明は、その出願の日前の特許出願であって、その出願後に出願公開がされた当該3件の特許出願の願書に最初に添付した明細書又は図面に記載された発明と同一ではない旨主張しているので、まず、該主張の妥当性を検討する。

(3.1)先願明細書A?Cの記載事項
本件の出願日前の出願に係る特願平5-17655号の願書に最初に添付した明細書(以下、先願明細書Aという。)、同じく特願平4-127999号の願書に最初に添付した明細書(以下、先願明細書Bという。)及び特願平4-237248号の願書に最初に添付した明細書(以下、先願明細書Cという。)には、以下の記載がある。

A.先願明細書Aに記載された事項
(A-1)「A)式I


で表されるシプロコナゾールを
B)式II


〔式中、R^(1) ?R^(4) は互いに同じか異なっており、炭素-窒素結合によって連結されている炭素原子数18までの有機置換基であるかまたは残基R^(1) ?R^(4) の内の三つが窒素原子と一緒にヘテロ芳香族系を形成し、X^(n-)は無機系または有機系のn-塩基性酸のアニオンでありそしてnは1、2または3である。〕で表される無機-または有機アンモニア塩と組合せて含有する殺カビ剤組成物。」(特許請求の範囲の請求項1)
(A-2)「本発明者は、木材を駄目にするカビの防除および予防で驚くほど強力な相乗的活性を示す、シプロコナゾールおよび第四アンモニア塩を基礎とする新規の殺カビ剤は見出した。」(段落【0002】)
(A-3)「本件の場合には、シプロコナゾールを殺カビ剤の活性を著しく向上させる化合物と組合せる。このものはより低い濃度の殺カビ剤を使用することによって同じ活性を得ることを可能とする。更に、本発明の組合せ物は、低い適用率で使用した場合ですら有効である。このものはそれ故に木材およびレンガの木材カビの防除に明らかに適している。」(段落【0005】)

B.先願明細書Bに記載された事項
(B-1)「2,4,5,6-テトラクロロイソフタロニトリルと2-(4-クロロフェニル)-3-シクロプロピル-1-(1H-1,2,4-トリアゾール-1-イル)-ブタン-2-オールとを有効成分として含有することを特徴とする工業用殺菌剤組成物。」(特許請求の範囲、請求項1)
(B-2)「【産業上の利用分野】本発明は、木材製品、塗料、皮革、染料、紙を含む繊維類等の製品又はこれらの製品の製造中に発生し有害となる微生物を防除するための工業用殺菌剤組成物に関するものである。」(段落【0001】)
(B-3)「本発明の有効成分の一種であり、2,4,5,6-テトラクロロイソフタロニトリル(以下TPNと称する)も農業用殺菌剤として開発され、その後木材、塗料の防黴剤として使用された」(段落【0006】)

C.先願明細書Cに記載された事項
(C-1)「(a)以下の式
【化1】(化学構造式は省略)
で表わされるメチルα-メトキシイミノ-2-[(2-メチルフェノキシ)-メチル]-フェニルアセテートと、
(b)・・・シプロコンアゾール・・・から選択されるアゾール有効物質あるいはこれらアゾール有効物質の塩から成る混合物の殺菌有効量を含有し、菌あるいは菌により攻撃された材料、棲息帯、植物あるいは種子に対して有効に作用する殺菌剤。」(特許請求の範囲の請求項1)
(C-2)「【発明の要約】しかるに上記の目的は、(a)以下の式
【化5】(化学構造式は省略)
で表わされるα-メトキシイミノ-2-[(2-メチルフェノキシ)-メチル]-フェニル醋酸メチルエステルと、(b)・・・から選択されるアゾール有効物質あるいはこれらアゾール有効物質の塩から成る混合物の殺菌有効量を含有する殺菌剤の両組成分の相乗効果により達成されることが見出された。」(段落【0007】?【0009】)
(C-3)「本発明混合物は、真菌類を、あるいは保護されるべき種子、植物、材料、土壌面などを真菌類の発生、まん延前に処理するために使用される。」(段落【0024】)

(3.2)訂正発明1について
(3.2.1)先願明細書Aとの対比・判断
(3.2.1.1)先願明細書Aに記載された発明
先願明細書Aには、「A)式I


で表されるシプロコナゾールを
B)式II


〔式中、R^(1) ?R^(4) は互いに同じか異なっており、炭素-窒素結合によって連結されている炭素原子数18までの有機置換基であるかまたは残基R^(1) ?R^(4) の内の三つが窒素原子と一緒にヘテロ芳香族系を形成し、X^(n-)は無機系または有機系のn-塩基性酸のアニオンでありそしてnは1、2または3である。〕で表される無機-または有機アンモニア塩と組合せて含有する殺カビ剤組成物。」(摘記(A-1))と記載されているのでこれを先願発明Aとする。

(3.2.1.2)訂正発明1と先願発明Aとの対比
訂正発明1と先願発明Aとを対比すると、後者の「式I・・・で表されるシプロコナゾール」及び「式II ・・・〔式中、R^(1) ?R^(4) は互いに同じか異なっており、炭素-窒素結合によって連結されている炭素原子数18までの有機置換基であるかまたは残基R^(1) ?R^(4) の内の三つが窒素原子と一緒にヘテロ芳香族系を形成し、X^(n-)は無機系または有機系のn-塩基性酸のアニオンでありそしてnは1、2または3である。〕で表される無機-または有機アンモニア塩」(以下、「特定アンモニウム塩」という。)は、前者の「シプロコナゾール」及び「(R_(1)R_(2)N^(+)R_(3)R_(4))_(n)X^(n-)[式中、R_(1)?R_(4)は同一または異なり、炭素原子1?18の有機置換基を表すか、あるいは置換基R_(1)?R_(4)のうちの3個は、それらが結合している窒素原子と一緒になってヘテロ芳香族系を形成し、X^(n‐)は有機または無機酸のアニオンを表し、そしてnは1、2または3である。]で表されるアンモニウム塩」に相当し、先願明細書Aの「シプロコナゾールを殺カビ剤の活性を著しく向上させる化合物と組合せる。このものはより低い濃度の殺カビ剤を使用することによって同じ活性を得ることを可能とする。」(摘記(A-3))との記載からみて、「特定アンモニウム塩」は、殺かび剤であると認められる。
また、先願明細書Aには、「本発明者は、木材を駄目にするカビの防除および予防で驚くほど強力な相乗的活性を示す、シプロコナゾールおよび第四アンモニア塩を基礎とする新規の殺カビ剤は見出した。」(摘記(A-2))と記載されており、この殺かび剤は木材を駄目にするかびの防除および予防を行うものであり、木材は、生命のない工業材料であるから、この殺かび剤は、「生命のない工業材料の保護のための殺微生物組成物」に相当するものと認められる。

(3.2.1.3)訂正発明1と先願発明Aとの一致点・相違点
そうすると、訂正発明1と先願発明Aとは、
「シプロコナゾールと、殺かび剤との組み合わせ物を含有する生命のない工業材料の保護のための殺微生物組成物。」
である点で一致し、殺かび剤として、訂正発明1は、特定アンモニウム塩を含まないものであるのに対して、先願発明Aは、特定アンモニウム塩を含むものである点(以下、「相違点A」という。)
で相違する。

(3.2.1.4)相違点Aについての判断
そこで、前記相違点について検討するに、先願明細書Aには、木材を駄目にするカビの防除等に相乗的活性を示す、殺かび剤として、上記特定アンモニウム塩を用いることが記載されており、(摘記(A-1)及び(A-2))、シプロコナゾールまたはその金属塩もしくは酸付加化合物と、殺かび剤、殺藻類剤、殺虫剤および殺軟体動物剤のいずれかに属する化合物との組み合わせ物を含有するものではあるが、上記特定アンモニウム塩を含まない生命のない工業材料の保護のための殺微生物組成物は記載されておらず、記載されているに等しい事項から把握されるものでもない。
したがって、上記特定アンモニウム塩を含まない生命のない工業材料の保護のための殺微生物組成物の発明である訂正発明1が、先願明細書Aに記載された発明と同一であるとすることはできない。

(3.2.2)先願明細書Bとの対比・判断
(3.2.2.1)先願明細書Bに記載された発明
先願明細書Bには、請求項1に「2,4,5,6-テトラクロロイソフタロニトリルと2-(4-クロロフェニル)-3-シクロプロピル-1-(1H-1,2,4-トリアゾール-1-イル)-ブタン-2-オールとを有効成分として含有することを特徴とする工業用殺菌剤組成物。」(摘記(B-1))と記載されているのでこれを先願発明Bとする。

(3.2.2.2)訂正発明1と先願発明Bとの対比
訂正発明1と先願発明Bとを対比すると、後者の「2-(4-クロロフェニル)-3-シクロプロピル-1-(1H-1,2,4-トリアゾール-1-イル)-ブタン-2-オール」は、前者の「シプロコナゾール」のことであり、先願明細書Bの「本発明の有効成分の一種であり、2,4,5,6-テトラクロロイソフタロニトリル(以下TPNと称する)も農業用殺菌剤として開発され、その後木材、塗料の防黴剤として使用された」(摘記(B-3))との記載からみて、先願発明Bの「2,4,5,6-テトラクロロイソフタロニトリル」は、防黴剤であり、防黴剤はかびを防除する、すなわち、かびの繁殖を防ぐものであるから殺かび剤としての作用を有するものであると認められる。また、先願明細書Bには、「本発明は、木材製品、塗料、皮革、染料、紙を含む繊維類等の製品又はこれらの製品の製造中に発生し有害となる微生物を防除するための工業用殺菌剤組成物に関するものである。」(摘記(B-2))と記載されており、この工業用殺菌剤組成物は木材製品、塗料、皮革、染料、紙を含む繊維類等の製品又はこれらの製品の製造中に発生し有害となる微生物を防除するためのものであり、木材製品等は、生命のない工業材料であるから、先願発明Bの工業用殺菌剤組成物は、訂正発明1の「生命のない工業材料の保護のための殺微生物組成物」に相当するものと認められる。

(3.2.2.3)訂正発明1と先願発明Bとの一致点・相違点
両者は、
「シプロコナゾールと、殺かび剤との組み合わせ物を含有する生命のない工業材料の保護のための殺微生物組成物。」
である点で一致し、殺かび剤として、訂正発明1では、2,4,5,6-テトラクロロイソフタロニトリルを含まないものであるのに対して、先願発明Aでは、2,4,5,6-テトラクロロイソフタロニトリルを含むものである点(以下、「相違点B」という。)
で相違する。

(3.2.2.4)相違点Bについての判断
そこで、前記相違点について検討するに、先願明細書Bには、木材製品等の製品又はこれらの製品の製造中に発生し有害となる微生物を防除するための工業用殺菌剤組成物として、2,4,5,6-テトラクロロイソフタロニトリルを用いることが記載されており(摘記(B-3))、訂正発明1の構成要件であるシプロコナゾールまたはその金属塩もしくは酸付加化合物と、殺かび剤、殺藻類剤、殺虫剤および殺軟体動物剤のいずれかに属する化合物との組み合わせ物を含有するが、2,4,5,6-テトラクロロイソフタロニトリルを含まない生命のない工業材料の保護のための殺微生物組成物は記載されておらず、記載されているに等しい事項から把握されるものでもない。
したがって、2,4,5,6-テトラクロロイソフタロニトリルを含まない生命のない工業材料の保護のための殺微生物組成物の発明である訂正発明1が、先願明細書Bに記載された発明と同一であるとすることはできない。

(3.2.3)先願明細書Cとの対比・判断
(3.2.3.1)先願明細書Cに記載された発明
先願明細書Cには、請求項1に
「(a)以下の式
【化1】(化学構造式は省略)
で表わされるメチルα-メトキシイミノ-2-[(2-メチルフェノキシ)-メチル]-フェニルアセテートと、
(b)・・・シプロコンアゾール・・・から選択されるアゾール有効物質あるいはこれらアゾール有効物質の塩から成る混合物の殺菌有効量を含有し、菌あるいは菌により攻撃された材料、棲息帯、植物あるいは種子に対して有効に作用する殺菌剤。」(摘記(C-1))と記載されているので、
「メチルα-メトキシイミノ-2-[(2-メチルフェノキシ)-メチル]-フェニルアセテートとシプロコンアゾールの混合物の殺菌有効量を含有し、菌あるいは菌により攻撃された材料、棲息帯、植物あるいは種子に対して有効に作用する殺菌剤。」
を先願発明Cとする。

(3.2.3.2)訂正発明1と先願発明Cとの対比
訂正発明1と先願発明Cとを対比すると、後者の「シプロコンアゾール」は、前者の「シプロコナゾール」に相当し、先願明細書Cの「(a)以下の式
【化5】(化学構造式は省略)
で表わされるα-メトキシイミノ-2-[(2-メチルフェノキシ)-メチル]-フェニル醋酸メチルエステルと、・・・の殺菌有効量を含有する殺菌剤の両組成分の相乗効果により達成されることが見出された。」(摘記(C-2))との記載からみて、「メチルα-メトキシイミノ-2-[(2-メチルフェノキシ)-メチル]-フェニルアセテート」は、殺生物剤であると認められる。また、先願明細書Cには、「本発明混合物は、真菌類を、あるいは保護されるべき種子、植物、材料、土壌面などを真菌類の発生、まん延前に処理するために使用される。」(摘記(C-3))と記載されており、ここで記載された材料には、生命のない工業材料も含まれるものと認められ、また、殺菌剤は殺微生物の含まれるものであるから、先願発明Cの「殺菌剤」は、「生命のない工業材料の保護のための殺微生物組成物」に相当するものと認められる。

(3.2.3.3)訂正発明1と先願発明Cとの一致点・相違点
そうすると訂正発明1と先願発明Cとは、「シプロコナゾールと、殺生物剤との組み合わせ物を含有する生命のない工業材料の保護のための殺微生物組成物。」
である点で一致し、殺生物剤として、訂正発明1では、メチルα-メトキシイミノ-2-[(2-メチルフェノキシ)-メチル]-フェニルアセテートを含まないものであるのに対して、先願発明Aでは、メチルα-メトキシイミノ-2-[(2-メチルフェノキシ)-メチル]-フェニルアセテートを含むものである点(以下、「相違点C」という。)
で相違する。

(3.2.3.4)相違点Cについての判断
そこで、前記相違点について検討するに、先願明細書Cには、菌あるいは菌により攻撃された材料等に対して有効に作用する殺菌剤として、メチルα-メトキシイミノ-2-[(2-メチルフェノキシ)-メチル]-フェニルアセテートを用いることは記載されているが(摘記(C-1))、訂正発明1の構成要件であるシプロコナゾールまたはその金属塩もしくは酸付加化合物と、殺かび剤、殺藻類剤、殺虫剤および殺軟体動物剤のいずれかに属する化合物との組み合わせ物を含有するが、メチルα-メトキシイミノ-2-[(2-メチルフェノキシ)-メチル]-フェニルアセテートを含まない生命のない工業材料の保護のための殺微生物組成物については記載されておらず、記載されているに等しい事項から把握されるものでもない。
したがって、メチルα-メトキシイミノ-2-[(2-メチルフェノキシ)-メチル]-フェニルアセテートを含まない生命のない工業材料の保護のための殺微生物組成物の発明である訂正発明1が、先願明細書Cに記載された発明と同一であるとすることはできない。

(3.3)訂正発明2?6及び8について
訂正発明2?6及び8は、いずれも訂正発明1を引用するものであるから、「メチルα-メトキシイミノ-2-[(2-メチルフェノキシ)-メチル]フェニルアセテート、
2,4,5,6-テトラクロロイソフタロニトリル、
次式
(R_(1)R_(2)N^(+)R_(3)R_(4))_(n)X^(n-)
[式中、R_(1)?R_(4)は同一または異なり、炭素原子1?18の有機置換基を表すか、あるいは置換基R_(1)?R_(4)のうちの3個は、それらが結合している窒素原子と一緒になってヘテロ芳香族系を形成し、X^(n‐)は有機または無機酸のアニオンを表し、そしてnは1、2または3である。]
で表されるアンモニウム塩
を含まない」という構成要件を有するものである。
してみれば、訂正発明2?6及び8は、いずれも上記「(3.2)訂正発明1について」示した理由と同様の理由で先願明細書A?Cに記載された発明と同一であるとすることはできない。

(3.4)小括
上述のとおり、訂正発明1?6及び8は、その出願の日前の特許出願であって、その出願後に出願公開がされた特許出願の願書に最初に添付した明細書である先願明細書A?Cに記載された発明と同一ではないから、特許法第29条の2の規定により特許することができないものではない。

(4)まとめ
また、他に、訂正発明1?6及び8が、特許を受けることができるものではないとする理由を発見しない。
よって、訂正後の訂正発明1?6及び8が、出願の際に独立して特許を受けることができるものではないとすることはできない。

IV.むすび
以上のとおりであるから、本件訂正は、平成6年改正前特許法第126条第1項第1号及び第3号に掲げる事項を目的とし、かつ、同条第2項及び第3項の規定に適合する。
よって、結論のとおり審決する。
 
発明の名称 (54)【発明の名称】
殺微生物組成物
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】シプロコナゾールまたはその金属塩もしくは酸付加化合物と、殺かび剤、殺藻類剤、殺虫剤および殺軟体動物剤のいずれかに属する化合物であって、スルフェンアミド類、ベンズイミダゾール類、チオシアネート類、モルホリン誘導体、シプロコナゾールを除くアゾール類、ヨウ素誘導体、フェノール誘導体、臭素誘導体、イソチアゾリノン類、ベンゾイソチアゾリノン類、ピリジン類、金属セッケン類、金属酸化物、金属塩、ジアルキルジチオカルバメート類、2,4,5,6-テトラクロロイソフタロニトリルを除くニトリル類、ベンゾチアゾール類、キノリン類、ホウ素化合物、ホルムアルデヒドならびにホルムアルデヒド遊離化合物、カルバメート類、ニトロイミン類およびニトロメチレン類よりなる群から選ばれる少なくとも1種の化合物との組み合わせ物を含有するが、但し、
メチルα-メトキシイミノ-2-[(2-メチルフェノキシ)-メチル]フェニルアセテート、
2,4,5,6-テトラクロロイソフタロニトリル、
次式
(R_(1)R_(2)N^(+)R_(3)R_(4))_(n)X^(n-)
[式中、R_(1)?R_(4)は同一または異なり、炭素原子1?18の有機置換基を表すか、あるいは置換基R_(1)?R_(4)のうちの3個は、それらが結合している窒素原子と一緒になってヘテロ芳香族系を形成し、X^(n-)は有機または無機酸のアニオンを表し、そしてnは1、2または3である。]
で表されるアンモニウム塩
を含まない生命のない工業材料の保護のための殺微生物組成物。
【請求項2】シプロコナゾールとテブコナゾールとの組み合わせ物を含有する請求項1記載の組成物。
【請求項3】シプロコナゾールとプロピオコナゾールとの組み合わせ物を含有する請求項1記載の組成物。
【請求項4】シプロコナゾールと銅塩との組み合わせ物を含有する請求項1記載の組成物。
【請求項5】溶剤もしくは希釈剤、乳化剤、分散剤、結合剤もしくは固定剤、および撥水剤よりなる群から選ばれる1種以上を含有する請求項1記載の組成物。
【請求項6】請求項1記載の殺微生物組成物の生命のない工業材料の保護のための使用方法。
【請求項7】唯一の活性殺微生物化合物としてシプロコナゾールまたはその金属塩もしくは酸付加化合物を含有する組成物の生命のない工業材料(但し、木材、レンガ、製紙用中間材料を除く。)の保護のための使用方法。
【請求項8】請求項1記載の組成物を生命のない工業材料に適用することを特徴とする生命のない工業材料の保護方法。
【請求項9】唯一の活性殺微生物組成物としてシプロコナゾールを含有する組成物を生命のない工業材料(但し、木材、レンガおよび製紙用中間材料を除く。)に適用することを特徴とする生命のない工業材料の保護方法。
【発明の詳細な説明】
【産業上の利用分野】
本発明は工業材料の保護のための殺微生物剤としての化合物α-(4-クロロフェニル)-α-(1-シクロプロピル-エチル)-1H-1,2,4-トリアゾール-1-エタノール(シプロコナゾール)の使用、ならびにこの化合物を含有する相乗性混合物に関する。
【背景の技術】
ドイツ特許出願公告第3,406,993号明細書に記載されているアゾール誘導体が植物の保護のために使用出来ることが、開示されている。
【課題を解決するための手段】
本発明は、工業材料の保護のための殺微生物剤として、式(I)
【化2】

のアゾール誘導体、その金属塩もしくは酸付加化合物の使用に関する。
アゾール誘導体は、遊離塩基の形だけでなく、金属塩複合体もしくは酸付加塩の形でも存在し得る。好適な金属塩は、好ましくは、周期表のIVないしVIIと同様に主族のIIないしIVおよび亜族のIならびにIIの金属の塩であり、例として次のものが挙げられる:銅、亜鉛、マンガン、マグネシウム、錫、鉄、カルシウム、アルミニウム、鉛、クローム、コバルトならびにニッケル。
塩の好適な陰イオンは、好ましくは、次の酸から選ばれるものが挙げられる:例えば、塩化水素酸ならびに臭化水素酸のようなハロゲン化水素酸、さらに、リン酸、硝酸ならびに硫酸。
アゾール誘導体の金属塩複合体は、慣例の方法、例えば、エタノールのようなアルコールに金属塩を溶解し、アゾール殺かび剤にその溶液を加えることによって、容易に得ることが出来る。金属塩複合体は、既知の方法、例えば、濾過によって単離でき、もし必要ならば、再結晶化によって精製することが出来る。
好ましくは、次の酸が、アゾール誘導体の酸付加塩の調製に好適である:例えば、塩化水素酸ならびに臭化水素酸、特に塩化水素酸、のようなハロゲン化水素酸、さらにリン酸、硝酸、硫酸、例えば、酢酸、プロピオン酸、2-エチルヘキサン酸、酪酸、マンデル酸、シュウ酸、コハク酸、2-ヒドロキシ-エタン-ジカルボン酸、マレイン酸、フマル酸、酒石酸、クエン酸、サリチル酸、ソルビン酸、乳酸のような一および二官能カルボン酸ならびにヒドロキシカルボン酸、同じく例えば、p-トルエンスルホン酸、p-デシルフェニルスルホン酸、p-ドデシルフェニルスルホン酸、1,4-ナフタレンジスルホン酸、アルカンスルホン酸、安息香酸ならびに任意に置換された安息香酸のようなスルホン酸。
化合物の酸付加塩は、通常の塩形成法、例えば、適切な不活性溶剤に化合物を溶解し、酸、例えば、塩化水素酸を添加することによって容易に得ることが出来、それらは、既知の方法、例えば、濾過によって単離され、さらに場合により、不活性有機溶剤を用いる洗浄によって精製することが出来る。
化合物(R*,R*)-α-(4-クロロフェニル-α-(1-シクロプロピル-エチル)-1H-1,2,4-トリアゾール-1-エタノール(シプロコナゾール)は、特に好適である。
驚くべきことに、これらの化合物は、材料の保護に関連している微生物に対して、広い作用スペクトルと同時に特別に強力な殺微生物、特に殺かび活性を示す;それらは、なかでも、かび類および木材変色菌ならびに木材腐朽菌に対して活性を有する。次の微生物類が、例として挙げられるが、これに限定されるものではない:



使用される活性物質の量は、微生物の種ならびに発生状況、微生物数および生育場所に依存する。使用に際しての最適投与量は、試験系列によって各場合毎に決定することが出来る。しかしながら、一般には、保護される材料に対して活性化合物の0.001?20重量%、好ましくは、0.05?10重量%を用いることで満足出来る。
活性化合物は、濃縮液あるいは粉末、粒剤、溶液、懸濁液、乳濁液もしくはペーストのような一般的慣例の製剤の形で使用することが出来る。
前述の製剤は、本質的に既知の方法、例えば、活性化合物と、少なくとも一種類の溶剤もしくは希釈剤、乳化剤、分散剤および/または結合剤もしくは固定剤、撥水剤、任意に乾燥剤ならびにUV安定剤、さらに、任意に他の処理助剤と同様に着色剤ならびに顔料とを混合することによって作成される。
好適な溶剤もしくは希釈剤は、有機化学溶剤もしくは溶剤混合物および/または極性有機溶剤もしくは溶剤混合物および/または油性もしくは油タイプの有機化学溶剤もしくは溶剤混合物および/または水であり、もし好ましければ、乳化剤および/または湿潤剤とともに使われる。好適に使用される低揮発性の通常水に不溶な油性もしくは油タイプ溶剤は、特別な鉱油/鉱油含有の溶剤混合物もしくはそれらの芳香族留分である。ホワイトスピリット、石油もしくはアルキルベンゼン、さらに加えてスピンドル油ならびにモノクロロナフタレンが、適切なものとして挙げるられる。低揮発度のこれらの溶剤(混合物)の沸騰範囲は、約170℃?350℃未満の範囲にわたる。
上述の油性もしくは油タイプの低揮発性溶剤は、部分的により揮発性の有機化学溶剤に置き換えられる。
木材保存剤を作成するために、上記の溶剤もしくは溶剤混合物のあるものは、極性の有機化学溶剤もしくは溶剤混合物によって好適に置換される。好適に使用される溶剤は、水酸基、エステル基、エーテル基もしくはこの官能基の混合を含有するものである。挙げられる例は、エステル類もしくはグリコールエーテル類である。結合剤は、本発明により、例えば、水によって希釈されるかまたは有機化学溶剤に溶解性、分散性もしくは乳化性であるアクリル樹脂、ビニル樹脂、ポリエステル樹脂、ポリウレタン樹脂、アルキド樹脂、フェノール樹脂、炭化水素樹脂もしくはシリコーン樹脂に基づく、乾性油を結合する合成樹脂であると理解される。使用される結合剤は、溶液、乳濁液もしくは分散液として用いられる。アルキド樹脂と乾性植物油の混合物は、好適に使用出来る。油含量45?70%のアルキド樹脂が、特に好適である。
上記結合剤の全て、またはあるものは、固定剤(混合物)もしくは可塑剤(混合物)によって置き換えることが出来る。これらの添加物は、結晶化もしくは沈殿化と同様に活性物質の揮発を防ぐことを意図している。それらは、好ましくは、結合剤の0.01?30%(使用結合剤を100%として)を置き換える。
可塑剤は、フタル酸ジブチル、ジオクチルもしくはベンジルブチルのようなフタル酸エステル、リン酸トリブチルのようなリン酸エステル、アジピン酸ジ-(2-エチルヘキシル)のようなアジピン酸エステル、ステアリン酸ブチルならびにステアリン酸アミルのようなステアリン酸エステル、オレイン酸ブチルのようなオレイン酸エステル、グリセロールエーテルもしくは高分子量グリコールエーテル、グリセロールエステル同じくp-トルエンスルホン酸エステルなどの化学物質類から選ばれる。
固定剤は、化学的観点から言うと、例えば、ポリビニルメチルエーテルのようなポリビニルアルキルエーテル、またはベンゾフェノンもしくはエチレンベンゾフェノンのようなケトンより成る。
好適な溶剤もしくは希釈剤は、水であり、好ましければ、上記溶剤もしくは希釈剤、乳化剤および分散剤の一種ないし数種との混合液である。
本発明による工業材料は、工業における使用のために作成された生命のない材料のことである。例えば、活性化合物によって微生物的な変化もしくは損壊から保護されるべき工業材料は、微生物によって感染され、または損耗されるところのニカワ、サイズ、紙ならびに板、織物、皮革、木材、ペイントならびにプラスチック商品、冷却潤滑剤およびその他の材料である。微生物の増殖によって損傷を受けることがある生産プラントの部品、例えば、冷却水循環器は、また保護されるべき材料の中に挙げてもよい。本発明の領域における好適な工業材料は、ニカワ、サイズ、紙ならびに板、皮革、木材、製材製品、ペイント、冷却潤滑剤、水性作動液および冷却循環器である。
式(I)の活性化合物、またはそれを含有する組成物もしくは濃縮液は、好ましくは、木材ならびに製材製品を微生物、例えば、木材腐朽菌もしくは木材変色菌から保護するため、特に熱帯木材の保護において使用される。
式(I)の活性化合物もしくはそれを含有する混合物によって保護される木材は、例えば、建築用製材、木製梁材、線路枕木、橋梁資材、桟橋、木製の車、木箱、パレット、コンテナー、電柱、木の塀、型桟、木製の窓ならびに扉、合板、チップボード、建具、または家の建築もしくは建具の製作において、全く一般的に使用される木製品の意味として理解すべきである。
木材の保護は、大規模な含浸処理、例えば、真空、二重真空もしくは加圧処理が行われる場合に、特に効果的である。
式(I)の活性化合物は、作用範囲を拡大するため、または、例えば、昆虫に対する保護も加えるような特別な効果を発揮させるために、好ましくは、少なくとも一種の他の抗菌性の活性物質、殺かび剤および、特に他の活性化合物と混合される。多くの場合、このことが相乗効果を呼び、言い換えれば、混合物の活性は、個々の成分の活性より以上の大きいものになる。混合物のための特に好適な成分は、例えば、次のような成分である:
ジクロフルアニド、トリルフルアニド、ホルペットおよびフルオルホルペットのようなスルフェンアミド類;
カルベダジム、ベノミル、フベリダゾールもしくはそれらの塩のようなベンズイミダゾール類;
チオシアネートメチルチオベンゾチアゾールもしくはメチレンビスチオシアネートのようなチオシアネート類;
塩化ベンジルジメチルテトラデシルアンモニウム、塩化ベンジルジメチルドデシルアンモニウムもしくは塩化ジデシルジメチルアンモニウムのような第4級アンモニウム化合物;
トリデルモルフ、フェンプロピオモルフもしくはファリモルフのようなモルホリン誘導体;
トリアジメホン、トリアジメノール、ビテルタノール、テブコナゾール、プロピオコナゾール、アザコナゾール、ヘキサコナゾール、プロクロラズ、ブロムコナゾール、メトコナゾール、ペンコナゾール、ジフェノコナゾール、フェンブコナゾール、オパスもしくはフェンシラゾールのようなアゾール類;
2(2-クロロシクロプロピル)-1-(2-クロロフェニル)-3-(1,2,4-トリアゾール-1-イル)-プロパン-2-オール;
ジヨードメチル-p-トリルスルホン、3-ヨード-2-プロピニルアルコール、4-クロロフェニル-3-ヨードプロパルギルホルマール、3-ブロモ-2,3-ジヨード-2-プロペニルエチルカーボネート、2,3,3-トリヨードアリルアルコール、3-ブロモ-2,3-ジヨード-2-プロペニルアルコール、3-ヨード-2-プロピニル-n-ブチルカルバメート、3-ヨード-2-プロピニル-n-ヘキシルカルバメート、3-ヨード-2-プロピニルシクロヘキシルカルバメート、3-ヨードー2-プロピニルフェニルカルバメート、O-1-(6-ヨード-3-オキソ-ヘクス-5-イニル)ブチルカルバメート、O-1-(6-ヨード-3-オキソ-ヘクス-5-イニル)フェニルカルバメート、ネプコダイドVP305のようなヨウ素誘導体;
トリブロモフェノール、テトラクロロフェノール、3-メチル-4-クロロフェノール、ジクロロフェン、o-フェニルフェノール、m-フェニルフェノール、p-フェニルフェノールもしくは2-ベンジル-4-クロロフェノールのようなフェノール誘導体;
2-ブロモ-2-ニトロ-1,3-プロパンジオールもしくは2-ブロモ-2-ブロムメチルグルタールジニトリルのような臭素誘導体;
N-メチルイソチアゾリン-3-オン、5-クロロ-N-メチルイソチアゾリン-3-オン、4,5-ジクロロ-N-オクチルイソチアゾリン-3-オンもしくはN-オクチルイソチアゾリン-3-オンのようなイソチアゾリノン類;
4,5-トリスメチレン-N-メチルイソチアゾール-3-オンのようなベンゾイソチアゾリノン;
1-ヒドロキシ-2-ピリジンチオン(およびそれらのナトリウム、鉄、マグネシウムならびに亜鉛塩)もしくはテトラクロロ-4-メチルスルホニルピリジンのようなピリジン類;
ナフテン酸錫、オクタン酸錫、2-エチルヘキサン酸錫、オレイン酸錫、リン酸錫、安息香酸錫、ナフテン酸銅、オクタン酸銅、2-エチルヘキサン酸銅、オレイン酸銅、リン酸銅、安息香酸銅、ナフテン酸亜鉛、オクタン酸亜鉛、2-エチルヘキサン酸亜鉛、オレイン酸亜鉛、リン酸亜鉛、安息香酸亜鉛のような金属セッケン類;
酸化トリブチルチン、Cu_(2)O,CuOもしくはZnOのような酸化物;
ジアルキルチオカルバメートのナトリウムおよび亜鉛塩、テトラメチルチウラムジスルフィドのようなジアルキルジチオカルバメート類;
2,4,5,6-テトラクロロイソフタロジニトリルのようなニトリル類;
2-メルカプトベンゾチアゾールのようなベンゾチアゾール類;
8-ヒドロキシキノリン、およびその銅塩のようなキノリン類;
ホウ酸、ホウ酸エステルもしくはホウ砂のようなホウ素化合物;
ベンジルアルコールモノ(ポリ)-ヘミホルマール、オキサゾリジン、ヘキサヒドロ-S-トリアジン、N-メチロールクロロアセトアミドもしくはパラホルムアルデヒドのようなホルムアルデヒドならびにホルムアルデヒド遊離化合物;
トリス-N-(シクロヘキシルジアゼニウムジオキシ)-アルミニウム、N-(シクロヘキシルジアゼニウムジオキシ)-トリブチル錫もしくはそれらのカリウム塩、またはビス-N-(シクロヘキシルジアゼニウムジオキシ)-銅。
次のようなものを、殺虫剤として加えることが好ましい:
アジンホス-エチル、アジンホス-メチル、1-(4-クロロフェニル)-4-(O-エチル,S-プロピル)ホスホリルオキシピラゾール、クロロピリホス、クマホス、デメトン、デメトン-S-メチル、ダイアジノン、ジクロルボス、ジメトエート、エトプロホス、エトリムホス、フェニトロチオン、フェンチオン、ヘプテノホス、パラチオン、パラチオン-メチル、ホサロン、ホキシム、ピリミホス-エチル、ピリミホス-メチル、プロフェノホス、プロチオホス、スルフプロホス、トリアゾホスならびにトリクロロホンのようなリン酸エステル類;
アルヂカルブ、ベンジオカルブ、2-(1-メチル-プロピル)-フェニルメチルカルバメート、ブトカルボキシム、ブトキシカルボキシム、カルバリル、カルボフラン、カルボスルファン、クロエトカルブ、イソプロカルブ、メトミル、オキサミル、ピリミカルブ、プロメカルブ、プロポキサーおよびチオジカルブのようなカルバメート類;
有機シリコン化合物、好ましくは、ジメチル-(4-エトキシフェニル)シリルメチル3-フェノキシベンジルエーテルのようなジメチル(フェニル)-シリルメチル3-フェノキシベンジルエーテル類もしくは例えば、ジメチル(9-エトキシ-フェニル)-シリルメチル エーテルのような(ジメチルフェニル)-シリルメチル2-フェノキシ-6-ピリジルメチルエーテルもしくは(4-エトキシフェニル)-[3-(4-フルオロ-3-フェノキシフェニル-プロピル]ジメチル-シランのような[(フェニル)-3-(3-フェノキシフェニル)-プロピル](ジメチル)シラン類。
アレスリン、アルファメスリン、ビオレスメスリン、ビフェンスリン、シクロプロスリン、シフルスリン、デカメスリン、シハロスリン、シペルメスリン、デルタメスリン、2,2-ジメチル-3-(2-クロロ-2-トリフルオロ-メチルビニル)シクロプロパンカルボン酸α-シアノ-3-フェニル-2-メチルベンジルエステル、フェンプロパスリン、フェンフルスリン、フェンバレレート、フルシスリネート、フルメスリン、フルバリネート、ペルメスリン、レスメスリンならびにトラロメスリンのようなピレスロイド類;
1-[(6-クロロ-3-ピリジニル)-メチル]-4,5-ジヒドロ-N-ニトロ-1H-イミダゾール-2-アミン(イミダクロプリド)のようなニトロイミンならびにニトロメチレン類。
この方法で作成された本発明による混合物、濃縮物ならびに製剤は、上記のかびに対して作用するだけでなく、もしそれらが殺虫剤を含有する場合は、材料を害する昆虫に対しても作用する。材料を害する次の昆虫が、例として挙げられるが、これに限定されるものではない:


好ましいその他の活性化合物は、殺藻類剤、殺軟体動物剤もしくは、例えば、船底のペイントに繁殖する海産動物に効果のある化合物である。次のものが、特に混合物中の成分として好適である:
ジクロフルアニド、トリルフルアニド;塩化ベンジルジメチルドデシルアンモニウム、塩化ジデシルジメチルアンモニウム;テブコナゾール、プロピオコナゾール、アザコナゾール、ヘキサコナゾール;3-ブロモー2,3-ジヨード-2-プロペニルアルコール、3-ヨード-2-プロピニル-n-ブチルカルバメート;o-フェニルフェノール、m-フェニルフェノール、p-フェニルフェノール、3-メチル-4-クロロフェノール;チオシアナートメチルチオベンゾチアゾール;N-メチルイソチアゾリン-3-オン、5-クロロ-N-メチルイソチアゾリン-3-オン、4,5-ジクロロ-N-オクチルイソチアゾリン-3-オン、N-オクチルイソチアゾリン-3-オン;ベンジルアルコールモノ(ポリ)-ヘミホルマール、N-メチロールクロロアセトアミド;ホキシム;シフルスリン、ペルメスリン、シペルメスリン、デルタメスリン、イミダクロプリド。
工業材料の保護のために使用される殺微生物組成物もしくは濃縮物は、式(I)の活性化合物を濃度で0.01?95重量%、特に0.01?60重量%含有し、さらに加えて、もし好ましければ、一種以上の他の適切な殺かび剤、殺虫剤もしくは上記の他の活性化合物を0.001?95重量%含有する。
本発明による組成物は、より効果的なものに取って代わられる日まで、殺微生物組成物として有効に使用されるであろう。それらは、良好な安定性と、有利な、広範な作用スペクトルを有する。
【実施例】
(実施例1)
担子菌類(Basidiomycetes)の巨大コロニーに対する阻害試験
グロエオフィラム トラベウム(Gloeophyllum trabeum)、コニオホラ プテアナ(Coniophora puteana)、ポリア プラセンタ(Poria placenta)、レンチナスチグリナス(Lentinus tigrinus)、コリオラス ベルシコラー(Coriolus versicolor)ならびにステレウム サンギノレンタム(Stereum sanguinolentum)のコロニーから、菌糸切片が麦芽エキス・ペプトンを含有する寒天培地に移植され、26℃で培養された。活性化合物含有培地上の菌体増殖の阻害が、活性化合物を添加してない培地上の経線方向の増殖と比較され、阻害%として評価された。
濃度10ppmにおいて、100%阻害が、化合物シプロコナゾールを用いて得られる。
本発明の特徴および態様は以下のとおりである。
1.工業材料の保護のための殺微生物剤として、式(I)
【化3】

の化合物、その金属塩もしくは酸付加化合物の使用。
2.保護されるべき工業材料が、木材もしくは製材製品であることを特徴とする第1項記載の使用。
3.第1項記載の式(I)の化合物またはその金属塩もしくは酸付加化合物を含有することを特徴とする工業材料の保護のための殺微生物組成物。
4.付加的な成分として、少なくとも一種類の他の抗微生物活性化合物、殺かび剤および/または作用スペクトルを拡大させ、あるいは特殊な効果を発揮させるための他の活性化合物を含有することを特徴とする第3項記載の組成物。
5.少なくとも一種類の殺虫剤を含有することを特徴とする第4項記載の組成物。
6.工業材料が、第1項記載の式(I)の化合物によって処理されることを特徴とする工業材料の保護の方法。
 
訂正の要旨 審決(決定)の【理由】欄参照。
審決日 2008-07-25 
出願番号 特願平5-265559
審決分類 P 1 41・ 851- Y (A01N)
P 1 41・ 856- Y (A01N)
P 1 41・ 161- Y (A01N)
P 1 41・ 853- Y (A01N)
最終処分 成立  
前審関与審査官 原 健司  
特許庁審判長 原 健司
特許庁審判官 鈴木 紀子
橋本 栄和
登録日 2001-08-03 
登録番号 特許第3216946号(P3216946)
発明の名称 殺微生物組成物  
代理人 志賀 正武  
代理人 志賀 正武  

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