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審決分類 |
審判 査定不服 2項進歩性 特許、登録しない。 G03G 審判 査定不服 4号2号請求項の限定的減縮 特許、登録しない。 G03G 審判 査定不服 5項独立特許用件 特許、登録しない。 G03G |
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管理番号 | 1183126 |
審判番号 | 不服2006-24945 |
総通号数 | 106 |
発行国 | 日本国特許庁(JP) |
公報種別 | 特許審決公報 |
発行日 | 2008-10-31 |
種別 | 拒絶査定不服の審決 |
審判請求日 | 2006-11-02 |
確定日 | 2008-08-14 |
事件の表示 | 平成 9年特許願第 57320号「多色画像形成装置」拒絶査定不服審判事件〔平成10年 9月25日出願公開、特開平10-254212〕について、次のとおり審決する。 |
結論 | 本件審判の請求は、成り立たない。 |
理由 |
第1 手続の経緯 本願は、平成9年3月12日(優先権主張平成9年1月10日)の出願であって、平成17年10月7日付けで拒絶理由が通知され、同年12月19日に手続補正がなされ、平成18年3月6日付けで拒絶理由が通知され、同年9月27日付けで拒絶査定がなされ、これに対し、同年11月2日に拒絶査定不服審判が請求されるとともに、同年12月4日に手続補正(以下「本件補正」という。)がなされたものである。 第2 本件補正についての補正却下の決定 [補正却下の決定の結論] 本件補正を却下する。 [理由] 1 本件補正の内容 (1)本件補正により、特許請求の範囲は、 「 【請求項1】 複数の感光体をそれぞれ走査する複数の走査ビームを出射する1つの光走査装置を1つのハウジングに一体的に形成し、前記ハウジングより出射される各走査ビームを各々の走査ビームに対応して設けられた複数の各感光体に各々結像させて複数色の画像を形成する多色画像形成装置であって、 前記複数の感光体をそれぞれ具備した複数の感光体ユニットの各外装部を構成する支持部材をそれぞれ前記ハウジングに対して個別に定位置で着脱可能としたことを特徴とする多色画像形成装置。 【請求項2】 請求項1記載の多色画像形成装置において、 前記各支持部材および前記ハウジングには、前記各支持部材を前記ハウジングに対して位置決めする位置決め手段が個別に設けられていることを特徴とする多色画像形成装置。 【請求項3】 請求項2記載の多色画像形成装置において、 前記位置決め手段は、前記各支持部材を前記ハウジングに装着する際に前記ハウジングからの走査ビームの出射方向で互いに押し当てられる当接面を前記支持部材及び前記ハウジングにそれぞれ備え、これら当接面同士の当接により各走査ビームの走査位置に対する感光体位置を位置決めすることを特徴とする多色画像形成装置。 【請求項4】 請求項2又は3記載の多色画像形成装置において、 前記位置決め手段は嵌合する凹凸部の組み合わせからなり、1つの感光体ユニットについて主走査方向上の2箇所に設けられて走査線と感光体軸線方向とが平行になるように感光体位置を位置決めすることを特徴とする多色画像形成装置。 【請求項5】 請求項3又は4記載の多色画像形成装置において、 前記ハウジングは弾性手段を介して揺動可能に前記支持部材に当接されて前記当接状態が保持されることを特徴とする多色画像形成装置。 【請求項6】 請求項3乃至5の何れかに記載の多色画像形成装置において、 前記位置決め手段は、走査ビームの主走査方向の傾きや副走査位置を調節する位置決め部材を備えることを特徴とする多色画像形成装置。」から、 「 【請求項1】 複数の感光体をそれぞれ走査する複数の走査ビームを出射する1つの光走査装置を1つのハウジングに一体的に形成し、前記ハウジングより出射される各走査ビームを各々の走査ビームに対応して設けられた複数の各感光体に各々結像させて複数色の画像を形成する多色画像形成装置であって、 前記複数の感光体をそれぞれ具備した複数の感光体ユニットの各外装部を構成する支持部材をそれぞれ前記ハウジングに対して個別に定位置で着脱可能とし、 前記各支持部材および前記ハウジングには、前記各支持部材を前記ハウジングに対して位置決めする位置決め手段が個別に設けられ、 前記位置決め手段は、前記ハウジングに設けた第1位置決め手段と、前記支持部材に設けた第2位置決め手段と、前記多色画像形成装置の本体を構成する構造体に設けた第3位置決め手段からなり、 前記感光体ユニットは前記第1位置決め手段と前記第2位置決め手段とが非嵌合から正規の嵌合状態に至る過程で、前記第3位置決め手段により仮位置決めの位置から前記第1の位置決め手段に従う位置にずれて前記定位置において前記着脱を可能としたことを特徴とする多色画像形成装置。 【請求項2】 請求項1記載の多色画像形成装置において、 前記各支持部材を前記ハウジングに装着する際に前記ハウジングからの走査ビームの出射方向で互いに押し当てられる当接面を前記支持部材及び前記ハウジングにそれぞれ備え、これら当接面同士の当接により各走査ビームの走査位置に対する感光体位置を位置決めする第4位置決め手段を有することを特徴とする多色画像形成装置。 【請求項3】 請求項1又は2記載の多色画像形成装置において、 前記第1、第2位置決め手段は嵌合する凹凸部の組み合わせからなり、1つの感光体ユニットについて主走査方向上の2箇所に設けられて走査線と感光体軸線方向とが平行になるように感光体位置を位置決めすることを特徴とする多色画像形成装置。 【請求項4】 請求項1乃至3の何れか一つに記載の多色画像形成装置において、 前記ハウジングは弾性手段を介して揺動可能に前記支持部材に当接されて前記当接状態が保持されることを特徴とする多色画像形成装置。 【請求項5】 請求項1乃至4の何れか一つに記載の多色画像形成装置において、 前記第2位置決め手段は、走査ビームの主走査方向の傾きや副走査位置を調節する位置決め部材を備えることを特徴とする多色画像形成装置。」へと補正された(下線は当審で引いた。以下、同じ。)。 (2)上記(1)によれば、本件補正は、以下の内容を含むものである。 ア 本件補正前の請求項2に記載した発明を特定するために必要な事項である「位置決め手段」を「前記ハウジングに設けた第1位置決め手段と、前記支持部材に設けた第2位置決め手段と、前記多色画像形成装置の本体を構成する構造体に設けた第3位置決め手段からな」るとする補正。 イ 本件補正前の請求項2に記載した発明を特定するために必要な事項である「感光体ユニット」を「前記第1位置決め手段と前記第2位置決め手段とが非嵌合から正規の嵌合状態に至る過程で、前記第3位置決め手段により仮位置決めの位置から前記第1の位置決め手段に従う位置にずれて前記定位置において前記着脱を可能としたこと」と限定する補正。 ウ 本件補正前の請求項3の「前記位置決め手段は、前記各支持部材を・・・位置決めすること」との記載を、「前記各支持部材を・・・位置決めする第4位置決め手段を有すること」との記載に変更する補正。 エ 本件補正前の請求項4の「前記位置決め手段」との記載を、「前記第1、第2位置決め手段」との記載に変更する補正。 オ 本件補正前の請求項6の「前記位置決め手段」との記載を、「前記第2位置決め手段」との記載に変更する補正。 カ 本件補正前の請求項1を削除し、請求項に付す番号を一つずつ繰り上げるとともに、当該削除及び繰り上げにともない必然的に生じる請求項の引用番号を変更する補正。 キ 本件補正後の請求項4が引用する請求項に、本件補正後の請求項1を追加する補正。 ク 本件補正後の請求項5が引用する請求項に、本件補正後の請求項1を追加する補正。 2 目的要件違反 (1)上記1(2)アの補正について ア 上記1(2)アの補正は、本件補正前の請求項2に記載した発明を特定するために必要な事項である「位置決め手段」を「前記ハウジングに設けた第1位置決め手段と、前記支持部材に設けた第2位置決め手段と、前記多色画像形成装置の本体を構成する構造体に設けた第3位置決め手段からな」るとする補正であるところ、本件補正前の請求項2における「位置決め手段」が、「前記各支持部材および前記ハウジングには、前記各支持部材を前記ハウジングに対して位置決めする位置決め手段」を意味することは明らかである。すなわち、本件補正前の請求項2における「位置決め手段」は、「前記各支持部材および前記ハウジング」に設けられているもののみを対象とするものであった。 しかしながら、上記1(2)アの補正によれば、「前記多色画像形成装置の本体を構成する構造体に設けた第3位置決め手段」が上記「位置決め手段」の一つとして含まれているところ、「第3位置決め手段」が設けられている「前記多色画像形成装置の本体を構成する構造体」は、「前記各支持部材および前記ハウジング」とは異なる物であるから、上記1(2)アの補正は、本件補正前の請求項2に記載された発明の発明特定事項である「位置決め手段」を限定したものには当たらない。 したがって、上記1(2)アの補正は、平成14年改正前特許法第17条の2第4項第2号に掲げる事項を目的としたものではない。 イ 上記1(2)アの補正が、同1号、同3号及び同4号に掲げる事項を目的としたものではないことは明らかである。 (2)上記1(2)キ及びクの補正について 上記1(2)キ及びクの補正は、引用請求項を追加するものであるから、同各号に掲げる事項を目的としたものではないことが明らかである。 (3)小括 上記(1)及び(2)のとおりであるから、本件補正は、平成14年改正前特許法第17条の2第4項2号に掲げる事項を目的としたものではない。 3 独立特許要件違反 (1)仮に、上記1(2)アの補正が平成14年改正前特許法第17条の2第4項第2号に掲げる目的に該当するとすれば、本件補正前の請求項2についてした補正は、同第2号の特許請求の範囲の減縮を目的とするものに該当する。 そこで、本件補正後の請求項1に記載された発明(以下「本願補正発明」という。)が特許出願の際独立して特許を受けることができるものであるか(平成18年改正前特許法第17条の2第5項において準用する同法第126条第5項の規定に適合するか)について念のため以下に検討する。 (2)引用例 ア 原査定の拒絶の理由に引用された、本願の優先日前に頒布された刊行物である特開平4-127115号公報(以下「引用例1」という。)には、図面とともに以下の事項が記載されている。 (ア)従来の技術 「従来、第10図に示すようなレーザを用いたフルカラー画像記録装置がある。これは、複数のドラム状の感光体を備えたカラー画像形成レーザ記録装置の例である。まず、イエロー(Y)、マゼンタ(M)、シアン(C)、ブラック(BK)の各色画像用の感光体1(添字BK,Y,M,Cは各々ブラック用、イエロー用、マゼンタ用、シアン用を示す)が共通の転写ベルト2上に位置して横方向に配列されている。各感光体1の周囲には帯電チャージャ3、現像装置4等の周知の作像プロセス部材、装置が配設され、転写ベルト2上を搬送される同一転写紙5上に各々の感光体1上の画像を重ね合わせて転写しフルカラー画像を作成するものである。 ここに、各感光体1に対して光書込みを行うためのレーザビーム走査装置6が設けられている。即ち、画像処理部7よりBK,Y,M,Cの各色画像信号がレーザ駆動部に入力され、半導体レーザ等のレーザ光源(図示せず)により変調されたレーザビーム8が射出される。これらのレーザビーム8は、コリメータレンズ、シリンドリカルレンズ(何れも図示せず)を通り、中央配設の共通の偏向器9の対応する反射面に入射され、この偏向器9の回転により偏向走査される。偏向後、各々の対応するレンズ群なるfθレンズ10を通り、対応する各々のミラー群11を介して各々の感光体1上を像面として結像される。この感光体1は帯電チャージャ3により帯電済みであるので、結像により静電潜像が形成され、現像装置4で現像されることになる。 レーザビーム走査装置6についてさらに説明する。前述した半導体レーザ、コリメータレンズ、シリンドリカルレンズの他、偏向器9、fθレンズ10、ミラー群11は一つのユニット、即ち、レーザビーム走査装置6として構成され、組付け性の向上、調整の簡素化等のため、共通の筐体12に取付けられる。また、防塵を目的として上,下カバー13,14を取付けた密閉構造とされている。また、筐体12には各々の色層の光学系毎にスリット15が形成され、下カバー14には防塵ガラス16が取付けられている。ここに、fθレンズ10に着目してみると、中央に位置させた偏向器9に対してレーザビーム8_(C),8_(M)用のfθレンズ10_(C),10_(M)が対となって同一サイドにて走査面に直交する方向(上下方向)に配置され、同様にレーザビーム8_(Y),8_(BK)用のfθレンズ10_(Y),10_(BK)が対となって同一サイドにて走査面に直交する方向に配置されている。これは、一つの偏向器9を有効利用する等のためである。つまり、片側でみると、異なるレーザビーム8_(C),8_(M)に対する2群のfθレンズ10_(C),10_(M)が同一位置に重なる状態で配設されることになる。」(第2頁左上欄第4行?右下欄第2行) (イ)上部に露光装置が配置され、その下に各色用の感光体等がタンデム配置された多色画像形成装置において、感光体、帯電チャージャ等を具備した、外装部を有する各色毎の感光体ユニットを個別に着脱可能とすることは本願の優先日前に技術常識である(たとえば、特開平1-126662号公報の第1頁右下欄第19行?第2頁左上欄第5行、第2頁左上欄第10行?第12行、第2頁右上欄第10行?左下欄第1行、第4頁左下欄第8行?第9行の各記載、特開昭63-180969号公報の第2頁左下欄第5行?第13行の記載、図面、特開昭63-298255号公報の第2頁左下欄第2行?第11行の記載、図面、特開平4-181953号公報の第4頁右上欄第4行?第15行、第4頁左下欄第7行?第16行の各記載、第1図を参照。)から、引用例1には、感光体を具備した、外装部を有する各色毎の感光体ユニットを個別に着脱可能としていることが記載されているに等しいものと認められる。 (ウ)上記(ア)及び(イ)によれば、引用例1には、 「複数のドラム状の感光体を備えたカラー画像形成レーザ記録装置であって、 イエロー(Y)、マゼンタ(M)、シアン(C)、ブラック(BK)の各色画像用の感光体1が共通の転写ベルト2上に位置して横方向に配列されており、 感光体を具備した、外装部を有する各色毎の感光体ユニットを個別に着脱可能としており、 各感光体1に対して光書込みを行うためのレーザビーム走査装置6が設けられており、 画像処理部7よりBK,Y,M,Cの各色画像信号がレーザ駆動部に入力され、半導体レーザ等のレーザ光源により変調されたレーザビーム8が射出され、これらのレーザビーム8は、コリメータレンズ、シリンドリカルレンズを通り、中央配設の共通の偏向器9の対応する反射面に入射され、この偏向器9の回転により偏向走査され、偏向後、各々の対応するレンズ群なるfθレンズ10を通り、対応する各々のミラー群11を介して各々の感光体1上を像面として結像されるものであって、 レーザビーム走査装置6は、半導体レーザ、コリメータレンズ、シリンドリカルレンズの他、偏向器9、fθレンズ10、ミラー群11が一つのユニット、即ち、レーザビーム走査装置6として構成され、組付け性の向上、調整の簡素化等のため、共通の筐体12に取付けられている、 カラー画像形成レーザ記録装置。」の発明(以下「引用発明1」という。)が記載されていると認められる。 イ 当審において新たに発見した、本願の優先日前に頒布された刊行物である特開平8-227258号公報(以下「引用例2」という。)には、図面とともに以下の事項が記載されている。 (ア)「【特許請求の範囲】 【請求項1】 少なくとも露光光学系を有する上ユニットを、下ユニットに対して回動開閉自在に枢支した画像形成装置において、少なくとも像担持体を有する作像マガジンを下ユニットに着脱自在に設け、作像マガジン及び上ユニットに、上ユニットを閉じたとき、互いに係合して、下ユニットに装着されている作像マガジンを上ユニットの露光光学系に対して位置決めする係合部及び被係合部をそれぞれ設け、且つ、上ユニットを閉じ、係合部と被係合部とを互いに係合させた状態で、作像マガジンを上ユニットに押さえ付ける方向に作像マガジンを付勢する作像マガジン付勢手段を設けたことを特徴とする画像形成装置。」 (イ)「【0014】 【実施例】以下、本発明の実施例を図面に従って詳細に説明する。 【0015】図1は、本発明一実施例の画像形成装置を示す概略断面図である。同図において、符号1で示すものは上ユニットであり、2で示すものは下ユニットである。上ユニット1は下ユニット2に対して枢軸3によって回動開閉自在に枢支されている。 【0016】上ユニット1には、前述した操作パネル部と同様に操作パネル部4が設けられると共に、光学筐体5内に、原稿照明用ランプ6と、ミラー7,8,9と、結像レンズ11と、ミラー12,13,14とをそれぞれ所定の光学関係位置を保って配置した露光光学系15が設けられている。本発明は、上ユニット1に、かかる露光光学系15を少なくとも設けた画像形成装置に適用可能である。 ・・・(中略)・・・ 【0018】符号18で示すものは作像マガジンであり、この作像マガジン18のマガジンケース18A内にはドラム状の感光体19として構成された像担持体、帯電装置21、現像装置22、クリーニング装置23等がそれぞれ設けられている。このうち、現像装置22は現像ローラ24、現像剤攪拌ローラ25,26等を有し、又、クリーニング装置23はクリーニングブレード27より成るクリーニング部材を有している。 ・・・(中略)・・・ 【0023】下ユニット2には、給紙部31、転写帯電装置34及び定着装置35等の他に、上述した下レジストローラ36Bが設けられている。又、作像マガジン18には、前述の各要素の他、上レジストローラ36Aが設けられている。本発明は、作像マガジン18に、例えばドラム状感光体19として構成される像担持体を少なくとも設けた画像形成装置に適用可能である。又、露光光学系として、レーザ光などで、像担持体に対して光書き込み走査を行う露光光学系を用いる画像形成装置にも、本発明の適用が可能である。 【0024】作像マガジン18の本体をなすマガジンケース18Aの端部の両側には軸部18b,18b(図2)が固設されていて、下ユニット2の本体フレーム(不図示)に適宜固定された各ブラケット20には凹溝20aがそれぞれ設けられている。一方、下ユニット2には一対の圧縮バネ37,37が、図示手前側と奥側とに、互いに間を置いて設けられている(図2)。作像マガジン18を下ユニット2に装着するときは、上ユニット1を下ユニット2に対して開いた状態で、両軸部18b,18bを両ブラケット20の凹溝20aに嵌め込みながら、マガジンケース18Aを圧縮バネ37,37の上に載せる。又、作像マガジン18を取り外すときは、同じく上ユニット1を開き、軸部18bを凹溝20aから抜き出しつつ、作像マガジン18を上方に持ち上げる。 【0025】本発明は、作像マガジンを下ユニットに着脱自在に設けることを特徴とし、本例では、上述のように作像マガジン18は、下ユニット2に対して上下方向に着脱自在となっている。又、着脱体であるトナー補給容器29も、マガジンケース18Aに対して、上下方向(矢印aで示す)に着脱自在となっている。これに対して、作像マガジン18を図における左右方向に着脱自在に構成しても良く、又、感光体19の軸方向に着脱自在に構成しても良い。 【0026】作像マガジン18と、上ユニット1とには、下ユニット2に対して上ユニット1を閉じたとき、互いに係合して下ユニット2に装着されている作像マガジン18を上ユニット1の露光光学系15に対して位置決めする係合部と、被係合部とがそれぞれ設けられている。本例では、この係合部がマガジンケース18Aの上壁に一体に突設されたピン状突子42より成り、被係合部がそのピン状突子42に係合する円筒状被係合子41より成る。かかる円筒状被係合子41は、露光光学系15における光学筐体5の下壁面に一体に突設されている。 【0027】前述したように、上ユニット1が開放され、作像マガジン18が図1に示した位置に装着セットされた状態で、該マガジンはバネ37,37によって図の位置に押し上げられている。この態勢で、上ユニット1を枢軸3の周りに回動させながら、閉じると、円筒状被係合子41の穴41aが、ピン状突子42に係合し、且つ、フック16がロック板17に係合して、上ユニット1が下ユニット2に対して開かないようにロックされる。 【0028】上ユニット1を閉じるとき、作像マガジン18は、上ユニット1によって、上レジストローラ36Aが下レジストローラ36Bに接する位置(以下、この位置を「画像形成位置」と言う)まで、バネ37の弾力に抗して押し下げられる。この位置で、感光体19は転写帯電装置34に近接する。円筒状被係合子41がピン状突子42に係合することにより、これらの両要素によって、作像マガジン18が画像形成位置に押し下げられた状態で、該マガジンが、図1における上下方向と、左右方向と、感光体19の軸方向とにつき、位置決めされる。このようにして、作像マガジン18は、上ユニット1の露光光学系15に対して露光用光路が感光体19に対応するように位置決めされると共に、下ユニット2に対しても、レジストローラ36A,36B同士が対応するように、又、感光体19が転写帯電装置34に対応するように位置決めされるのである。円筒状被係合子41として構成される被係合部を作像マガジン18の方に、ピン状突子42として構成される係合部を上ユニット1の方にそれぞれ設けても良い。 【0029】上ユニット1を閉じて、円筒状被係合子41をピン状突子42に係合させながら、作像マガジン18を画像形成位置に押し下げると、バネ37の伸張弾力によって、該マガジン18は上向き方向に付勢される。バネ37は、上ユニットを閉じ、係合部と被係合部とを互いに係合させた状態で、作像マガジンを上ユニットに押さえ付ける方向に作像マガジンを付勢する作像マガジン付勢手段の一例を構成するものである。かかる付勢手段の機能により、作像マガジン18は上下方向にふらつくことなく、きちんと、上ユニット1の露光光学系15に対して位置決めされる。作像マガジン18は、バネ37によって支えられることにより、浮沈自在となり、且つ、水平方向の動きも、ある程度、自由になるので、例えば、円筒状被係合子41がピン状突子42に係合するとき、さほどの衝撃を生じることもなく、又、その係合も確実に保証される。」 (ウ)上記(ア)及び(イ)によれば、引用例2には、 「少なくとも露光光学系を有する上ユニットを、下ユニットに対して回動開閉自在に枢支した画像形成装置において、少なくともドラム状の感光体19として構成された像担持体を有する作像マガジンを下ユニットに着脱自在に設け、作像マガジン及び上ユニットに、上ユニットを閉じたとき、互いに係合して、下ユニットに装着されている作像マガジンを上ユニットの露光光学系に対して位置決めする係合部及び被係合部をそれぞれ設け、且つ、上ユニットを閉じ、係合部と被係合部とを互いに係合させた状態で、作像マガジンを上ユニットに押さえ付ける方向に作像マガジンを付勢する作像マガジン付勢手段を設けた画像形成装置であって、 上ユニット1に設けられた光学筐体5内に、露光光学系として、レーザ光などで、像担持体に対して光書き込み走査を行う露光光学系が設けられており、 この係合部が作像マガジンの本体をなすマガジンケース18Aの上壁に一体に突設されたピン状突子42より成り、被係合部がそのピン状突子42に係合する円筒状被係合子41より成っており、かかる円筒状被係合子41は、露光光学系15における光学筐体5の下壁面に一体に突設されており、 作像マガジン18の本体をなすマガジンケース18Aの端部の両側には軸部18b,18bが固設されていて、下ユニット2の本体フレームに適宜固定された各ブラケット20には凹溝20aがそれぞれ設けられており、一方、下ユニット2には一対の圧縮バネ37,37が、図示手前側と奥側とに、互いに間を置いて設けられており、作像マガジン18を下ユニット2に装着するときは、上ユニット1を下ユニット2に対して開いた状態で、両軸部18b,18bを両ブラケット20の凹溝20aに嵌め込みながら、マガジンケース18Aを圧縮バネ37,37の上に載せ、又、作像マガジン18を取り外すときは、同じく上ユニット1を開き、軸部18bを凹溝20aから抜き出しつつ、作像マガジン18を上方に持ち上げるものであって、 上ユニット1を閉じるとき、作像マガジン18は、上ユニット1によって、上レジストローラ36Aが下レジストローラ36Bに接する位置(以下、この位置を「画像形成位置」と言う)まで、バネ37の弾力に抗して押し下げられ、この位置で、感光体19は転写帯電装置34に近接し、円筒状被係合子41がピン状突子42に係合することにより、これらの両要素によって、作像マガジン18が画像形成位置に押し下げられた状態で、該マガジンが、図1における上下方向と、左右方向と、感光体19の軸方向とにつき、位置決めされ、このようにして、作像マガジン18は、上ユニット1の露光光学系15に対して露光用光路が感光体19に対応するように位置決めされると共に、下ユニット2に対しても、レジストローラ36A,36B同士が対応するように、又、感光体19が転写帯電装置34に対応するように位置決めされる、画像形成装置。」の発明が記載されていると認められる。 (エ)上記(ウ)において、「ドラム状の感光体19として構成された像担持体」、「光学筐体」、「作像マガジン」、「マガジンケース」、「円筒状被係合子」、「ピン状突子」及び「『凹溝』と『一対の圧縮バネ』」は、それぞれ、「感光体」、「ハウジング」、「感光体ユニット」、「感光体ユニットの外装部を構成する支持部材」、「第1位置決め手段」、「第2位置決め手段」及び「第3位置決め手段」ということができる。 そうすると、結局、引用例2には、 「感光体ユニットの外装部を構成する支持部材とハウジングとの相対的な位置決めを行うものであって、 前記支持部材を前記ハウジングに対して定位置で着脱可能とし、 前記支持部材および前記ハウジングには、前記支持部材を前記ハウジングに対して位置決めする位置決め手段が設けられ、 前記位置決め手段は、前記ハウジングに設けた第1位置決め手段と、前記支持部材に設けた第2位置決め手段と、前記画像形成装置の本体を構成する構造体に設けた第3位置決め手段からなり、 前記感光体ユニットは前記第1位置決め手段と前記第2位置決め手段とが非嵌合から正規の嵌合状態に至る過程で、前記第3位置決め手段により仮位置決めの位置から前記第1の位置決め手段に従う位置にずれて前記定位置において前記着脱を可能とした画像形成装置。」という技術思想が開示されているということができる。 (3)対比 ア 本願補正発明と引用発明1とを以下に対比する。 (ア)引用発明1の「感光体」、「共通の筐体」、「カラー画像形成レーザ記録装置」及び「感光体ユニット」は、それぞれ、本願補正発明の「感光体」、「ハウジング」、「多色画像形成装置」及び「感光体ユニット」に相当する。 (イ)引用発明1においては、「レーザビーム走査装置6は、半導体レーザ、コリメータレンズ、シリンドリカルレンズの他、偏向器9、fθレンズ10、ミラー群11が一つのユニット、即ち、レーザビーム走査装置6として構成され、組付け性の向上、調整の簡素化等のため、共通の筐体12に取付けられて」おり、「偏向器9」は「中央配設の共通の偏向器9」であるから、引用発明1は、本願補正発明の「1つの光走査装置を1つのハウジングに一体的に形成し」との事項を備えている。 (ウ)引用発明1においては、「画像処理部7よりBK,Y,M,Cの各色画像信号がレーザ駆動部に入力され、半導体レーザ等のレーザ光源により変調されたレーザビーム8が射出され、これらのレーザビーム8は、コリメータレンズ、シリンドリカルレンズを通り、中央配設の共通の偏向器9の対応する反射面に入射され、この偏向器9の回転により偏向走査され、偏向後、各々の対応するレンズ群なるfθレンズ10を通り、対応する各々のミラー群11を介して各々の感光体1上を像面として結像されるものであ」るから、上記(イ)をも踏まえると、引用発明1が、本願補正発明の「複数の感光体をそれぞれ走査する複数の走査ビームを出射する1つの光走査装置を1つのハウジングに一体的に形成し、前記ハウジングより出射される各走査ビームを各々の走査ビームに対応して設けられた複数の各感光体に各々結像させて複数色の画像を形成する」との事項を備えていることは明らかである。 (エ)引用発明1の「感光体を具備した、外装部を有する各色毎の感光体ユニットを個別に着脱可能として」いる事項と、本願補正発明の「前記複数の感光体をそれぞれ具備した複数の感光体ユニットの各外装部を構成する支持部材をそれぞれ前記ハウジングに対して個別に定位置で着脱可能とし」との事項とは、「前記複数の感光体をそれぞれ具備した複数の感光体ユニットの各外装部をそれぞれ個別に着脱可能とし」との点で一致する。 イ してみれば、本願補正発明と引用発明1とは、 「複数の感光体をそれぞれ走査する複数の走査ビームを出射する1つの光走査装置を1つのハウジングに一体的に形成し、前記ハウジングより出射される各走査ビームを各々の走査ビームに対応して設けられた複数の各感光体に各々結像させて複数色の画像を形成する多色画像形成装置であって、 前記複数の感光体をそれぞれ具備した複数の感光体ユニットの各外装部をそれぞれ個別に着脱可能とした多色画像形成装置。」である点で一致し、以下の点で相違する。 [相違点1] 本願補正発明においては、前記複数の感光体をそれぞれ具備した複数の感光体ユニットの各外装部を構成する支持部材をそれぞれ前記ハウジングに対して個別に定位置で着脱可能とし、前記各支持部材および前記ハウジングには、前記各支持部材を前記ハウジングに対して位置決めする位置決め手段が個別に設けられ、前記位置決め手段は、前記ハウジングに設けた第1位置決め手段と、前記支持部材に設けた第2位置決め手段と、前記多色画像形成装置の本体を構成する構造体に設けた第3位置決め手段からなり、前記感光体ユニットは前記第1位置決め手段と前記第2位置決め手段とが非嵌合から正規の嵌合状態に至る過程で、前記第3位置決め手段により仮位置決めの位置から前記第1の位置決め手段に従う位置にずれて前記定位置において前記着脱を可能としたことに対し、 引用発明1においては、前記複数の感光体をそれぞれ具備した複数の感光体ユニットの各外装部をそれぞれ個別に着脱可能とした点。 (4)判断 上記[相違点1]について検討する。 ア 画像形成装置における、光走査装置を有するハウジングと感光体ユニットの支持部材との相対的な位置関係を正確に保つ必要があることは本願の優先日前に周知の課題であり(たとえば、特開平8-15938号公報の【請求項1】、【0001】、実施例の各記載、図1、特開平4-42250号公報の第1頁左下欄第4行?第10行、第2頁左上欄第17行?右上欄第1行、発明の実施例の各記載、第1図、特開平5-94056号公報の【0053】?【0055】の記載、図6?図8を参照。)、また、引用例2の技術思想は、ハウジングと感光体ユニットの外装部を構成する支持部材との相対的な位置決めを行うものであるから、引用発明1の多色画像形成装置において、当該課題を解決するために、引用例2の技術思想を採用して、上記[相違点1]を含む本願補正発明のようにすることは当業者が容易に想到し得たことである。 イ そして、本願補正発明の効果は、引用発明1、引用例2に記載された事項及び上記周知技術から当業者が予測し得たものである。 ウ してみれば、本願補正発明は、引用例1に記載された発明、引用例2に記載された事項及び上記周知技術に基づいて当業者が容易に発明をすることができたものである。 (5)小括 以上のとおりであるから、本願補正発明は、特許法第29条第2項の規定により、特許出願の際独立して特許を受けることができない。 4 本件補正についてのむすび 上記2(3)のとおり、本件補正は、平成14年改正前特許法第17条の2第4項各号に掲げる事項を目的としたものではないから、平成18年改正前特許法第159条第1項の規定において読み替えて準用する同法第53条第1項の規定により却下すべきものである。 仮に、本件補正が、平成14年改正前特許法第17条の2第4項第2号に掲げる事項を目的としたものであるとしても、上記3(5)のとおり、本件補正は、平成18年改正前特許法第17条の2第5項で準用する同法第126条第5項の規定に違反するものであり、同法第159条第1項の規定において読み替えて準用する同法第53条第1項の規定により却下されるべきものである。 第3 本願発明 1 平成18年12月4日付けの手続補正は上記第2のとおり却下されたので、本願の請求項1に係る発明(以下「本願発明」という。)は、平成17年12月19日付け手続補正書により補正された明細書の特許請求の範囲の請求項1に記載された事項により特定されるものであって、上記第2の1(1)において、本件補正前の請求項1として記載したとおりのものである。 2 引用例 (1)原査定の拒絶の理由に引用された引用例1及びその記載事項は、上記第2の3(2)アのとおりである。 (2)原査定の拒絶の理由に引用された特開平8-54817号公報(以下「引用例3」という。)には、図面とともに以下の事項が記載されている。 ア 「【請求項8】 互いに異なる色の印刷を行う複数の画像形成部を筐体内に並設し、これらの画像形成部により順次記録媒体に印刷をしてカラー画像を形成するカラープリンタにおいて、 上記各画像形成部を一体に結合してカラー画像形成ユニットとする結合手段と、 上記カラー画像形成ユニットを上記筐体内に位置決めして固定する固定手段と、 前記カラー画像形成ユニット内における前記画像形成部の位置誤差情報を通知する手段と、 前記通知手段からの位置誤差情報に基づいて印刷タイミングを補正する補正手段とを設けたことを特徴とするカラープリンタ。」 イ 「【0007】 【実施例】本発明の実施例について図面を参照しながら説明する。なお、各図面に共通な要素には同一の符号を付す。図1は本発明の第一実施例を示す一部切欠斜視図、図2は第一実施例のカラープリンタを示す説明図、図3は第一実施例のカラー画像形成ユニットの駆動伝達系を示す説明図、図4、図5は第一実施例のカラー画像形成ユニットの電気系配線を示す説明図である。 ・・・(中略)・・・ 【0012】帯電ローラ6は、矢印A方向に回転する感光ドラム2の表面を一様に帯電する。LEDアレイヘッド17は、LEDアレイ、LEDアレイを駆動するドライブIC、LEDアレイの光を集光するセルフォックスレンズアレイなどから成り、インタフェース部から入力される画像データ信号に対応してLEDアレイを発光させ、感光ドラム2の表面を露光して静電潜像を形成する。 ・・・(中略)・・・ 【0021】上述したようなカラープリンタ13において、カラー画像形成ユニット11を交換する際は、まずカラープリンタ13の上面13aを開けて、各画像形成部7、1、8、9から各LEDアレイヘッド17を取り外す。次に、寿命となったカラー画像形成ユニット11をカラープリンタ13から取り出し、新しいカラー画像形成ユニット11を装着する。 【0022】このとき、イエローの画像形成部7側の側壁に設けられた凸部46をカラープリンタ13内に設けられた固定部材15に、ブラックの画像形成部9側の角部47を固定部材16に当接させる。これにより、カラー画像形成ユニット11がカラープリンタ13に対して位置決め、固定される。」 ウ 「【0053】次に、本発明の第五実施例について説明する。図17は本発明の第五実施例を示す一部切欠斜視図、図18は第五実施例のカラープリンタを示す説明図、図19は第五実施例のカラープリンタの制御系を示すブロック図である。第五実施例は各画像形成部を一体にユニット化し、さらに各画像形成部間の取付誤差を自動的に補正するようにしたものである。 【0054】図17、図18において、イエロー、マゼンタ、シアン、ブラックの各画像形成部7、1、8、9はフレーム151によりカラー画像形成ユニット152として一体に形成されている。フレーム151には係合接続部153が取付けられている。係合接続部153には、各画像形成部7、1、8、9の取付誤差や各感光ドラム2の感光特性等の情報を記憶する記憶手段が内臓され、この記憶手段としてはROM(リードオンリメモリ)が使用される。この係合接続部153は、プリンタ150の筐体に固着した係合受け部154に着脱可能になっている。係合受け部154は後述するプリンタの制御回路に電気的に接続されている。 【0055】カラー画像形成ユニット152の上部で露光窓12の両側には案内ピン穴155が形成されている。この案内ピン穴155は、各LEDヘッド17をカラー画像形成ユニット152に位置決め、固定するためのものである。その他の機械的な構成は前記第一実施例と同様である。なお図18から分かるように、本実施例の各画像形成部7、1、8、9には感光ドラム2上の残留トナーを除去するためのクリーニングローラは設けられていない。」 エ 上記イの【0021】の「カラー画像形成ユニット11を交換する際は、まずカラープリンタ13の上面13aを開けて、各画像形成部7、1、8、9から各LEDアレイヘッド17を取り外す」との第一実施例についての記載及び上記ウの【0055】の「その他の機械的な構成は前記第一実施例と同様である。」との記載に照らせば、同【0055】における案内ピン穴155は、各LEDヘッド17をカラー画像形成ユニット152に位置決め、固定するためのものであるとともに、各LEDヘッド17をそれぞれカラー画像形成ユニット152に対して個別に定位置で着脱可能としていることが明らかである。 オ 上記ア?エによれば、引用例3には、 「カラープリンタであって、 イエロー、マゼンタ、シアン、ブラックの各画像形成部7、1、8、9はフレーム151によりカラー画像形成ユニット152として一体に形成されており、 カラー画像形成ユニット152の上部で露光窓12の両側には案内ピン穴155が形成されていて、この案内ピン穴155は、各LEDヘッド17をカラー画像形成ユニット152に位置決め、固定するためのものであるとともに、各LEDヘッド17をカラー画像形成ユニット152に位置決め、固定するためのものであるとともに、各LEDヘッド17をそれぞれカラー画像形成ユニット152に対して個別に定位置で着脱可能としており、 LEDヘッド17は、LEDアレイ、LEDアレイを駆動するドライブIC、LEDアレイの光を集光するセルフォックスレンズアレイなどからなるもの。」の発明が記載されていると認められる。 カ 上記オから以下のことがいえる。 まず、「カラープリンタ」は、「多色画像形成装置」といえる。 そして、「イエロー、マゼンタ、シアン、ブラックの各画像形成部7、1、8、9はフレーム151によりカラー画像形成ユニット152として一体に形成されて」いる「カラー画像形成ユニット」は、「一体的に形成されたユニット」ということができる。 また、「各LEDヘッド17」は、「LEDアレイ、LEDアレイを駆動するドライブIC、LEDアレイの光を集光するセルフォックスレンズア レイなどからなる」ものであって、複数あるものであるから、「複数のユニット」ということができる。 さらに、「カラー画像形成ユニット152の上部で露光窓12の両側には案内ピン穴155が形成されていて、この案内ピン穴155は、各LEDヘッド17をカラー画像形成ユニット152に位置決め、固定するためのものであるとともに、各LEDヘッド17をそれぞれカラー画像形成ユニット152に対して個別に定位置で着脱可能として」いるから、「複数のユニットをそれぞれ一体的に形成されたユニットに対して個別に定位置で着脱可能とした」構成であると認められる。 そうすると、結局、引用例3には、 「多色画像形成装置であって、 複数のユニットをそれぞれ一体的に形成されたユニットに対して個別に定位置で着脱可能とする。」という技術思想が開示されているといえる。 3 対比 上記第2の3(3)によれば、本願発明と引用発明1とは、 「複数の感光体をそれぞれ走査する複数の走査ビームを出射する1つの光走査装置を1つのハウジングに一体的に形成し、前記ハウジングより出射される各走査ビームを各々の走査ビームに対応して設けられた複数の各感光体に各々結像させて複数色の画像を形成する多色画像形成装置であって、 前記複数の感光体をそれぞれ具備した複数の感光体ユニットの各外装部をそれぞれ個別に着脱可能とした多色画像形成装置。」である点で一致し、以下の点で相違することになる。 [相違点2] 本願補正発明においては、前記複数の感光体をそれぞれ具備した複数の感光体ユニットの各外装部を構成する支持部材をそれぞれ前記ハウジングに対して個別に定位置で着脱可能としたのに対し、 引用発明1においては、前記複数の感光体をそれぞれ具備した複数の感光体ユニットの各外装部をそれぞれ個別に着脱可能とした点。 4 判断 上記[相違点2]について検討する。 (1)画像形成装置における、光走査装置を有するハウジングと感光体ユニットの支持部材との相対的な位置関係を正確に保つ必要があることは本願の優先日前に周知の課題であって(たとえば、原査定の拒絶の理由において引用された上記特開平8-15938号公報の【請求項1】、【0001】、実施例の各記載、図1、同じく原査定の拒絶の理由において引用された上記特開平4-42250号公報の第1頁左下欄第4行?第10行、第2頁左上欄第17行?右上欄第1行、発明の実施例の各記載、第1図、上記特開平5-94056号公報の【0053】?【0055】の記載、図6?図8を参照。)、また、引用例3の技術思想は、多色画像形成装置における、一体的に形成されたユニットと複数のユニットとの相対的な位置関係を正確に保つものであることが明らかである。 そうすると、引用発明1において当該課題を解決するために引用例3の技術思想を採用し、引用発明1における、複数のユニットに相当する各感光体ユニットをそれぞれ、引用発明1における、一体的に形成されたユニットに相当するハウジングに対して個別に定位置で着脱可能とすることは当業者が容易に想到し得たものである。そして、その際、引用発明1の複数の感光体ユニットの外装部が、ハウジングの支持部材となることは自明である。 よって、上記[相違点2]は当業者が容易に想到し得たものである。 (2)そして、本願発明の効果は、引用発明1、引用例3に記載された事項及び上記周知技術から当業者が予測し得たものである。 (3)してみれば、本願発明は、引用例1に記載された発明、引用例3に記載された事項及び上記周知技術に基づいて当業者が容易に発明をすることができたものである。 5 むすび 以上のとおり、本願発明は、引用例1に記載された発明、引用例3に記載された事項及び上記周知技術に基づいて、当業者が容易に発明をすることができたものであるから、特許法第29条第2項の規定により特許を受けることができない。 よって、結論のとおり審決する。 |
審理終結日 | 2008-06-12 |
結審通知日 | 2008-06-17 |
審決日 | 2008-06-30 |
出願番号 | 特願平9-57320 |
審決分類 |
P
1
8・
575-
Z
(G03G)
P 1 8・ 572- Z (G03G) P 1 8・ 121- Z (G03G) |
最終処分 | 不成立 |
前審関与審査官 | 梶田 真也、泉 卓也 |
特許庁審判長 |
赤木 啓二 |
特許庁審判官 |
山下 喜代治 山村 浩 |
発明の名称 | 多色画像形成装置 |
代理人 | 本多 章悟 |
代理人 | 樺山 亨 |