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審決分類 |
審判 査定不服 2項進歩性 特許、登録しない。 A63F 審判 査定不服 判示事項別分類コード:272 特許、登録しない。 A63F |
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管理番号 | 1183551 |
審判番号 | 不服2005-23509 |
総通号数 | 106 |
発行国 | 日本国特許庁(JP) |
公報種別 | 特許審決公報 |
発行日 | 2008-10-31 |
種別 | 拒絶査定不服の審決 |
審判請求日 | 2005-12-07 |
確定日 | 2008-08-25 |
事件の表示 | 平成 6年特許願第283818号「遊技媒体供給システム」拒絶査定不服審判事件〔平成 8年 6月 4日出願公開、特開平 8-141185〕について、次のとおり審決する。 |
結論 | 本件審判の請求は、成り立たない。 |
理由 |
第1 手続の経緯 本願は平成6年11月17日の出願であって、平成17年10月31日付けで拒絶の査定がされたため、これを不服として同年12月7日付けで本件審判請求がされるとともに平成18年1月6日付けで明細書についての手続補正(以下「本件補正」という。)がされたものである。 第2 補正の却下の決定 [補正の却下の決定の結論] 平成18年1月6日付けの手続補正を却下する。 [理由] 本件補正は特許請求の範囲を補正するものであり、補正前の特許請求の範囲は、「遊技媒体供給システム」の発明を記載した請求項1,2と遊技場の管理装置の発明を記載した請求項3,4から成っており、すべての請求項は独立形式で記載されている。 「遊技媒体供給システム」の発明を記載した請求項についてみるに、補正前請求項1には「前記切換ボタンが押される度に前記表示部の数字を切り換え、前記決定ボタンが押されることにより切り換え表示中の数字を入力数字として決定するように、前記表示部の表示状態を制御する表示制御手段」とあるところ、同構成要件を記載した補正後の請求項は存在しないから、補正前の請求項1は削除されたと解さない限り、平成6年改正前特許法17条の2第3項の規定に違反する。 補正前請求項1が削除されたのであれば、「遊技媒体供給システム」の発明を記載した請求項は単一でなければならないが、補正後の特許請求項の範囲においては請求項1?3が「遊技媒体供給システム」の発明を記載した請求項であり、請求項1は補正前の請求項2と同一文言であり、請求項2,3は請求項1を引用するものである。 そうすると、補正後の請求項2,3は補正前のどの請求項を限定的に減縮したものでもなく、本件補正時に新設された請求項といわなければならず、請求項の新設を平成6年改正前特許法17条の2第3項は認めていない。 なお、特許請求の範囲を減縮する補正は請求項を単位として行わなければならないこと、及び請求項の新設が違法であることについては東京高判平成15年(行ケ)第230号(平成16年4月14日判決言い渡し)及び知財高判平成17年(行ケ)第10192号(平成17年4月25日判決言い渡し)を参照されたい。 [補正の却下の決定のむすび] 以上のとおり、本件補正は平成6年改正前特許法17条の2第3項の規定に違反しているから、同法159条1項で読み替えて準用する同法53条1項の規定により却下されなければならない。 よって、補正の却下の決定の結論のとおり決定する。 第3 本件審判請求についての判断 1.本願発明の認定 本件補正が却下されたから、本願の請求項1に係る発明(以下「本願発明」という。)は、平成17年 9月 7日付けで補正された明細書の特許請求の範囲【請求項1】に記載されたとおりの次のものと認める。 「遊技場コンピュータとの間で遊技データの授受を行う遊技媒体供給システムにおいて、 数字を表示する表示部と、 数字を切り換え指定する切換ボタン、および、前記表示部に表示されている数字を入力数字として決定する決定ボタンを備え、遊技者の暗証番号を切り換え指定する切り換え指定ボタン部と、 前記切換ボタンが押される度に前記表示部の数字を切り換え、前記決定ボタンが押されることにより切り換え表示中の数字を入力数字として決定するように、前記表示部の表示状態を制御する表示制御手段と、 を有することを特徴とする遊技媒体供給システム。」 2.引用刊行物の記載事項 原査定の拒絶の理由に引用された特開平5-115610号公報(以下「引用例」という。)には、以下のア?カの記載が図示とともにある。 ア.「遊技場の遊技交換物のクレジットデータを管理する遊技場の管理装置において、 IDカード読み取り装置と、暗証番号を入力する入力キーと、を有する遊技交換物供給装置と、 前記遊技交換物供給装置に接続され、遊技情報を転送する遊技台と、 前記遊技交換物供給装置および前記遊技台からの各情報から客個人の遊技データを保存する保存手段を有する遊技場コンピュータと、 からなることを特徴とする遊技場の管理装置。」(【請求項1】) イ.「玉貸し機30には玉出し口31の他に表示パネル32と、硬貨投入口33と、紙幣挿入口34と、選択パネル35とが設けられている。表示パネル32には、玉貸出中や釣り銭切れ等を知らせるランプ32a,32bと、投入金額を表示する表示部32cとが設けられている。」(段落【0015】) ウ.「また、玉貸し機30には、テンキー38と、IDカード挿入口39とが設けられている。IDカード挿入口39には、遊技場1の会員となっている遊技者によって、後述する遊技者専用のIDカード90が挿入される。このIDカード90にはそのカード特有のID番号Xが記憶されている。遊技者は自分のIDカード90を挿入し、テンキー38で暗証番号をキー入力する。そして入力した暗証番号とIDカード90のID番号Xとが同一であることが確認されると遊技を開始することができる。」(段落【0016】) エ.「玉貸し機30の内部回路の構成およびその周辺装置との接続関係を示すブロック図である。内部回路50は、主に硬貨・紙幣制御装置51と、玉貸し機制御装置52とから構成される。」(段落【0017】) オ.「玉貸し機制御装置52は、IDカードリーダ54にIDカード90が挿入されると、IDカード90に記憶されているID番号Xを読み取り、RAM55のID番号格納部55dに格納する。そして、このID番号Xと、テンキー38から入力された暗証番号とが一致したときには、遊技者の個人データをインタフェース56および島管理装置40を介してホールコンピュータ2から読み込む。この個人データとしては、クレジット数データCがある。」(段落【0019】) カ.「遊技を終了した時点の各データが玉貸し機30からホールコンピュータ2に送られると、ホールコンピュータ2は、これらのデータを遊技場1の管理データとして記憶する。」(段落【0039】) 3.引用例記載の発明の認定 記載アの「遊技交換物供給装置」と記載イ?カの「玉貸し機30」及び記載アの「遊技場コンピュータ」と記載オ,カの「ホールコンピュータ2」は表現が異なるだけで、同一物である。以下では、記載アの用語を用いる。 記載アの「入力キー」と記載オの「テンキー38」も同一物であり、以下では「テンキー」との用語を用いる。 引用例の記載オ,カによれば、ID番号と暗証番号とが一致したときに「遊技場コンピュータ」から「遊技交換物供給装置」にクレジット数データCが送られ、遊技を終了した時点の各データが「遊技交換物供給装置」から「遊技場コンピュータ」に送られる。 引用例の記載アは「遊技交換物供給装置」を含む「遊技場の管理装置」の発明を記載したものであるが、引用例には「遊技交換物供給装置」の発明も記載されており、それは次のようなものである。 「IDカード読み取り装置、暗証番号を入力するテンキー及び表示部を有し、遊技場コンピュータと接続された遊技交換物供給装置であって、 ID番号と暗証番号とが一致したときに遊技場コンピュータからクレジット数データを取得し、遊技を終了した時点の各データを遊技場コンピュータに送る遊技交換物供給装置。」(以下「引用発明」という。) 4.本願発明と引用発明の一致点及び相違点の認定 引用発明の「クレジット数データ」及び「遊技を終了した時点の各データ」は本願発明の「遊技データ」に相当し、「遊技交換物」と「遊技媒体」及び「装置」と「システム」には表現上の相違しかないから、引用発明は「遊技場コンピュータとの間で遊技データの授受を行う遊技媒体供給システム」といえる。 引用発明の「表示部」に数字を表示することは明らかである(記載イに投入金額を表示できる旨の記載がある。)。 本願発明の「切り換え指定ボタン部」及び「表示制御手段」は、要するに「切換ボタン」及び「決定ボタン」の操作により入力数字を決定する手段であるから、入力数字決定手段の限度では、引用発明の「暗証番号を入力するテンキー」がこれに相当する。その入力数字が「遊技者の暗証番号」であることも一致点である。 したがって、本願発明と引用発明は、 「遊技場コンピュータとの間で遊技データの授受を行う遊技媒体供給システムにおいて、 数字を表示する表示部と、 暗証番号を入力する入力数字決定手段 を有する遊技媒体供給システム。」である点で一致し、次の点で相違する。 〈相違点〉本願発明の「入力数字決定手段」が「数字を切り換え指定する切換ボタン」及び「前記表示部に表示されている数字を入力数字として決定する決定ボタン」を備えた「切り換え指定ボタン部」並びに「前記切換ボタンが押される度に前記表示部の数字を切り換え、前記決定ボタンが押されることにより切り換え表示中の数字を入力数字として決定するように、前記表示部の表示状態を制御する表示制御手段」からなるのに対し、引用発明のそれはテンキーである点。 5.相違点の判断及び本願発明の進歩性の判断 原査定の拒絶の理由に引用された特開平1-123593号公報には、「操作者はまず、ステップS1で表示装置5を見ながら製品コード入力装置3の入カキ-3a,3bを用いて製品コードFを入力する。入カキ-3a,3bの操作方法は、まず「カーソル送り」キー3bで表示装置5の4つのセグメント表示体5a?5dのそれぞれに付加されたカーソル表示体50のうちのひとつを選択点灯させ、次に「数値送り」キー3aを用いてその桁の数値を例えば0→1→2→3・・・と順に送り、所定の数値を設定する。」(3頁左下欄7?16行)及び「上記実施例では、表示装置5を備え、この表示を見ながら、製品コードFを入力する場合について示したが、例えば製品コード入力装置3をテンキー等数値を直接入力できる装置で構成すれば表示装置5はなくてもよい。」(4頁左下欄1?5行)との各記載があり、ここに記載の数値送りキー3a及びカーソル送りキー3bは、本願発明の「数字を切り換え指定する切換ボタン」及び「前記表示部に表示されている数字を入力数字として決定する決定ボタン」にそれぞれ相当する(「キー」と「ボタン」の相違は問題にならないし、カーソル送りキー3bの操作は、操作前の桁の数値の決定になるからこのように認定したが、仮にそのように認定できないにしても、「所定の数値を設定」するために「決定ボタン」が存することは当然である。)ものであり、要するに、切換ボタンにより表示数字を切り換え、その数字が入力すべき数字になった段階で決定ボタンにより決定する数字入力手段が記載されており、当然のことながらこの数字入力手段には「表示部の表示状態を制御する表示制御手段」も含まれている。さらに、上記文献にはこのような数字入力手段とテンキーが代替可能であることも記載されている。なお、本願発明の「切り換え指定ボタン部」の構成は切換ボタンと決定ボタンがあれば自動的に満たされる構成である。 また、上記文献によらずとも、テンキーなしに、切換ボタンと決定ボタンの操作により数字入力をすることは、時刻設定等で多用されており、数字入力手段としての本願発明の構成は周知技術といわざるを得ない。 相違点に係る本願発明の構成は、単にこの周知技術を採用した結果にすぎないから、同構成に至ることは当業者にとって想到容易であり、同構成を採用したことによる格別の作用効果を認めることもできない。 したがって、本願発明は引用発明及び周知技術に基づいて当業者が容易に発明をすることができたものであるから、特許法29条2項の規定により特許を受けることができない。 第4 むすび 本件補正は却下されなければならず、本願発明が特許を受けることができない以上、本願のその余の請求項に係る発明について検討するまでもなく、本願は拒絶を免れない。 よって、結論のとおり審決する。 |
審理終結日 | 2008-06-26 |
結審通知日 | 2008-07-01 |
審決日 | 2008-07-14 |
出願番号 | 特願平6-283818 |
審決分類 |
P
1
8・
121-
Z
(A63F)
P 1 8・ 272- Z (A63F) |
最終処分 | 不成立 |
前審関与審査官 | 瀬津 太朗 |
特許庁審判長 |
津田 俊明 |
特許庁審判官 |
川島 陵司 深田 高義 |
発明の名称 | 遊技媒体供給システム |
代理人 | 横沢 志郎 |
代理人 | 市原 俊一 |