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審決分類 審判 査定不服 5項独立特許用件 特許、登録しない。 G06F
審判 査定不服 2項進歩性 特許、登録しない。 G06F
管理番号 1183965
審判番号 不服2006-18963  
総通号数 106 
発行国 日本国特許庁(JP) 
公報種別 特許審決公報 
発行日 2008-10-31 
種別 拒絶査定不服の審決 
審判請求日 2006-08-30 
確定日 2008-09-04 
事件の表示 特願2001- 45714「情報処理装置、設計支援システム、プログラム、設計支援情報表示方法、および記憶媒体」拒絶査定不服審判事件〔平成14年 9月 6日出願公開、特開2002-251417〕について、次のとおり審決する。 
結論 本件審判の請求は、成り立たない。 
理由 第1 手続の経緯
本願は、平成13年2月21日の出願であって、平成18年7月26日付けで拒絶査定がされ、これに対し、同年8月30日に拒絶査定不服審判が請求されるとともに、同日付けで手続補正がなされたものである。

第2 平成18年8月30日付けの手続補正についての補正却下の決定
[補正却下の決定の結論]
平成18年8月30日付けの手続補正を却下する。

[理由]
1.本件補正後の特許請求の範囲の記載
本件補正により、特許請求の範囲の記載は、次のとおり補正された。
「【請求項1】
設計の際に用いられる設計情報と設計された形状データとの対応関係を示す情報である参照関係情報を、当該設計の際にユーザが選択した設計情報と形状データとの間の参照関係並びに参照元及び参照先の所在を把握し、かつ、当該形状データの部品形状を表わす形状要素を把握して作成する参照関係情報作成手段と、
前記参照関係情報作成手段により作成された前記参照関係情報を格納する参照関係情報格納手段と、
前記参照関係情報格納手段により格納された前記参照関係情報に基づいて、前記設計情報および前記形状データとの間で参照関係が存在する旨を表示する参照関係情報表示手段と、を備えることを特徴とする情報処理装置。
【請求項2】
前記参照関係情報作成手段にて前記参照関係情報が作成される前記設計情報は、文書、図、および表の少なくとも何れか1つであることを特徴とする請求項1記載の情報処理装置。
【請求項3】
前記参照関係情報作成手段にて前記参照関係情報が作成される前記形状データは、部品または当該部品を構成する部位のデータであることを特徴とする請求項1記載の情報処理装置。
【請求項4】
前記参照関係情報表示手段は、前記設計情報および前記形状データの間で参照関係がある旨の情報を、当該設計情報または当該形状データの前記形状要素に付加して表示することを特徴とする請求項1記載の情報処理装置。
【請求項5】
設計された形状データを表示する形状データ表示手段と、
前記形状データと当該形状データを決定する根拠となる電子化ドキュメントとの対応関係を示す情報である参照関係情報を、前記設計の際にユーザが選択した設計情報と形状データとの間の参照関係並びに参照元及び参照先の所在を把握し、かつ、当該形状データの部品形状を表わす形状要素を把握して作成する参照関係情報作成手段と、
前記形状データ表示手段により表示される前記形状データの前記形状要素に対して、前記参照関係情報作成手段により作成された前記参照関係情報に基づく参照先電子化ドキュメントのリンク内容を埋め込んで表示する埋め込み表示手段と、を備えることを特徴とする情報処理装置。
【請求項6】
前記埋め込み表示手段により埋め込まれて表示された前記リンク内容を有する前記形状要素を指定する指定手段と、
前記指定手段による指定および前記参照関係情報作成手段により作成される前記参照関係情報に基づいて、当該形状要素を決定する根拠となる前記参照先電子化ドキュメントを表示する参照先電子化ドキュメント表示手段と、を更に備えたことを特徴とする請求項5記載の情報処理装置。
【請求項7】
所定の部位または部品を構成する形状データを設計する際に用いられる設計情報を表示する設計情報表示手段と、
前記設計情報表示手段により表示される前記設計情報と当該設計情報によって設計された形状データとの対応関係を示す情報である参照関係情報を、当該設計の際にユーザが選択した設計情報と形状データとの間の参照関係並びに参照元及び参照先の所在を把握し、かつ、当該形状データの部品形状を表わす形状要素を把握して作成する参照関係情報作成手段と、
前記設計情報表示手段により表示される前記設計情報に対して、前記参照関係情報作成手段により作成された前記参照関係情報に基づくリンク内容を埋め込んで表示する埋め込み表示手段と、を備えることを特徴とする情報処理装置。
【請求項8】
前記埋め込み表示手段により埋め込まれて表示された前記リンク内容を有する設計情報を指定する指定手段と、
前記指定手段による指定および前記参照関係情報作成手段により作成される前記参照関係情報に基づいて、指定された前記設計情報によって設計された形状データを表示する形状データ表示手段と、を更に備えたことを特徴とする請求項7記載の情報処理装置。
【請求項9】
設計作業に用いられる設計情報または背景情報を含む電子化ドキュメントを格納する電子化ドキュメント関連モジュールと、
設計作業によって設計された形状データを格納する形状データ関連モジュールと、
前記電子化ドキュメント関連モジュールにより格納された所定の電子化ドキュメントと前記形状データ関連モジュールにより格納された所定の形状データとの対応関係を示す参照関係情報を、前記設計の際にユーザが選択した設計情報と形状データとの間の参照関係並びに参照元及び参照先の所在を把握し、かつ、当該形状データの部品形状を表わす形状要素を把握して作成する参照関係情報関連モジュールと、を備えることを特徴とする設計支援システム。
【請求項10】
前記参照関係情報関連モジュールは、前記電子化ドキュメントから前記形状データへの参照関係、または前記形状データから前記電子化ドキュメントへの参照関係を作成することを特徴とする請求項9記載の設計支援システム。
【請求項11】
前記電子化ドキュメント関連モジュールは、格納された前記電子化ドキュメントを呼び出して表示すると共に、前記参照関係情報関連モジュールにより作成された参照関係情報である参照先形状データへのリンク情報を当該電子化ドキュメントに付加して表示することを特徴とする請求項9記載の設計支援システム。
【請求項12】
前記形状データ関連モジュールは、格納された前記形状データを呼び出して表示すると共に、前記参照関係情報関連モジュールにより作成された参照関係情報である参照先電子化ドキュメントへのリンク情報を当該形状データの前記形状要素に付加して表示することを特徴とする請求項9記載の設計支援システム。
【請求項13】
コンピュータに、
設計の際に用いられる設計情報と設計された結果である形状データとの対応関係を示す情報である参照関係情報を、当該設計の際にユーザが選択した設計情報と形状データとの間の参照関係並びに参照元及び参照先の所在を把握し、かつ、当該形状データの部品形状を表わす形状要素を把握して作成する機能と、
前記設計情報および前記形状データの間で参照関係がある旨の情報を当該設計情報または当該形状データの前記形状要素に付加して表示する機能と、を実現させるためのプログラム。
【請求項14】
コンピュータを、
設計された形状データを表示する形状データ表示手段と、
前記形状データと当該形状データを決定する根拠となる電子化ドキュメントとの対応関係を示す情報である参照関係情報を、前記設計の際にユーザが選択した設計情報と形状データとの間の参照関係並びに参照元及び参照先の所在を把握し、かつ、当該形状データの部品形状を表わす形状要素を把握して作成する参照関係情報作成手段と、
前記形状データ表示手段により表示される前記形状データの前記形状要素に対して、前記参照関係情報作成手段により作成された前記参照関係情報に基づく参照先電子化ドキュメントのリンク内容を埋め込んで表示する埋め込み表示手段と、を含むものとして機能させるためのプログラム。
【請求項15】
前記埋め込み表示手段により埋め込まれて表示された前記リンク内容を有する前記形状要素がユーザにより指定されたことを認識する指定認識手段と、
前記指定認識手段により指定が認識された後、前記参照関係情報作成手段により作成される前記参照関係情報に基づいて、当該形状要素を決定する根拠となる前記参照先電子化ドキュメントを表示する参照先電子化ドキュメント表示手段と、を更に含むものとして機能させるための請求項14記載のプログラム。
【請求項16】
前記参照先電子化ドキュメント表示手段は、前記参照先電子化ドキュメントが複数、存在する場合には、これら複数の参照先電子化ドキュメントを一覧表示し、一覧表示された当該複数の参照先電子化ドキュメントの中から所定の参照先電子化ドキュメントに対する指定を認識した場合には、指定された参照先電子化ドキュメントの詳細情報を表示することを特徴とする請求項15記載のプログラム。
【請求項17】
コンピュータを、
所定の部位または部品を構成する形状データを設計する際に用いられる電子化ドキュメント情報を表示する電子化ドキュメント表示手段と、
前記電子化ドキュメント表示手段により表示される前記電子化ドキュメント情報と当該電子化ドキュメント情報によって設計された形状データとの対応関係を示す情報である参照関係情報を、当該設計の際にユーザが選択した設計情報と形状データとの間の参照関係並びに参照元及び参照先の所在を把握し、かつ、当該形状データの部品形状を表わす形状要素を把握して作成する参照関係情報作成手段と、
前記電子化ドキュメント表示手段により表示される前記電子化ドキュメント情報に対して、前記参照関係情報作成手段により作成された前記参照関係情報に基づくリンク内容を埋め込んで表示する埋め込み表示手段と、を含むものとして機能させるためのプログラム。
【請求項18】
前記埋め込み表示手段により埋め込まれて表示された前記リンク内容を有する電子化ドキュメント情報がユーザにより指定されたことを認識する指定認識手段と、
前記指定認識手段により指定が認識された後、前記参照関係情報作成手段により作成される前記参照関係情報に基づいて、指定された前記電子化ドキュメント情報によって設計された形状データを表示する形状データ表示手段と、を更に含むものとして機能させるための請求項17記載のプログラム。
【請求項19】
設計作業に用いられる電子化ドキュメントの情報と設計作業の結果である形状データの情報との対応関係を示す情報である参照関係情報を、当該設計の際にユーザが選択した設計情報と形状データとの間の参照関係並びに参照元及び参照先の所在を把握し、かつ、当該形状データの部品形状を表わす形状要素を把握して作成するステップと、
前記作成するステップにより作成された参照関係情報を格納するステップと、
表示すべき電子化ドキュメントに一致する参照関係情報を検索するステップと、
検索された前記参照関係情報を用いて参照元電子化ドキュメントの位置に参照先形状データのリンク情報を付加して前記電子化ドキュメントを表示するステップと、を含むことを特徴とする設計支援情報表示方法。
【請求項20】
設計作業に用いられる電子化ドキュメントの情報と設計作業の結果である形状データの情報との対応関係を示す情報である参照関係情報を、当該設計の際にユーザが選択した設計情報と形状データとの間の参照関係並びに参照元及び参照先の所在を把握し、かつ、当該形状データの部品形状を表わす形状要素を把握して作成するステップと、
前記作成するステップにより作成された参照関係情報を格納するステップと、
表示すべき形状データに一致する参照関係情報を検索するステップと、
検索された前記参照関係情報を用いて参照元形状データの前記形状要素に参照先電子化ドキュメントへのリンク情報を付加して前記形状データを表示するステップと、を含むことを特徴とする設計支援情報表示方法。
【請求項21】
コンピュータに実行させるプログラムを当該コンピュータにて読取可能に記憶した記憶媒体において、
前記プログラムは、
設計作業に用いられる電子化ドキュメントの情報と設計作業の結果である形状データの情報との対応関係を示す情報である参照関係情報を、当該設計の際にユーザが選択した設計情報と形状データとの間の参照関係並びに参照元及び参照先の所在を把握し、かつ、当該形状データの部品形状を表わす形状要素を把握して作成する処理と、
前記作成する処理により作成された参照関係情報を格納する処理と、
表示すべき電子化ドキュメントに一致する参照関係情報を検索する処理と、
検索された前記参照関係情報を用いて参照元電子化ドキュメントの位置に参照先形状データのリンク情報を付加して前記電子化ドキュメントを表示する処理と、を前記コンピュータに実行させることを特徴とする記憶媒体。
【請求項22】
コンピュータに実行させるプログラムを当該コンピュータにて読取可能に記憶した記憶媒体において、
前記プログラムは、
設計作業に用いられる電子化ドキュメントの情報と設計作業の結果である形状データの情報との対応関係を示す情報である参照関係情報を、当該設計の際にユーザが選択した設計情報と形状データとの間の参照関係並びに参照元及び参照先の所在を把握し、かつ、当該形状データの部品形状を表わす形状要素を把握して作成する処理と、
前記作成する処理により作成された参照関係情報を格納する処理と、
表示すべき形状データに一致する参照関係情報を検索する処理と、
検索された前記参照関係情報を用いて参照元形状データの前記形状要素に参照先電子化ドキュメントへのリンク情報を付加して前記形状データを表示する処理と、を前記コンピュータに実行させることを特徴とする記憶媒体。」

2.本件補正前の特許請求の範囲
本件補正前の、平成18年7月6日付けの手続補正による特許請求の範囲の記載は次のとおりである。
「【請求項1】
設計の際に用いられる設計情報と設計された形状データとの対応関係を示す情報である参照関係情報を当該設計の際の参照関係から作成する参照関係情報作成手段と、
前記参照関係情報作成手段により作成された前記参照関係情報を格納する参照関係情報格納手段と、
前記参照関係情報格納手段により格納された前記参照関係情報に基づいて、前記設計情報および前記形状データとの間で参照関係が存在する旨を表示する参照関係情報表示手段と、を備えることを特徴とする情報処理装置。
【請求項2】
前記参照関係情報作成手段にて前記参照関係情報が作成される前記設計情報は、文書、図、および表の少なくとも何れか1つであることを特徴とする請求項1記載の情報処理装置。
【請求項3】
前記参照関係情報作成手段にて前記参照関係情報が作成される前記形状データは、部品または当該部品を構成する部位のデータであることを特徴とする請求項1記載の情報処理装置。
【請求項4】
前記参照関係情報表示手段は、前記設計情報および前記形状データの間で参照関係がある旨の情報を、当該設計情報または当該形状データの形状要素に付加して表示することを特徴とする請求項1記載の情報処理装置。
【請求項5】
設計された形状データを表示する形状データ表示手段と、
前記形状データと当該形状データを決定する根拠となる電子化ドキュメントとの対応関係を示す情報である参照関係情報を当該設計の際の参照関係から作成する参照関係情報作成手段と、
前記形状データ表示手段により表示される前記形状データの形状要素に対して、前記参照関係情報作成手段により作成された前記参照関係情報に基づく参照先電子化ドキュメントのリンク内容を埋め込んで表示する埋め込み表示手段と、を備えることを特徴とする情報処理装置。
【請求項6】
前記埋め込み表示手段により埋め込まれて表示された前記リンク内容を有する前記形状要素を指定する指定手段と、
前記指定手段による指定および前記参照関係情報作成手段により作成される前記参照関係情報に基づいて、当該形状要素を決定する根拠となる前記参照先電子化ドキュメントを表示する参照先電子化ドキュメント表示手段と、を更に備えたことを特徴とする請求項5記載の情報処理装置。
【請求項7】
所定の部位または部品を構成する形状データを設計する際に用いられる設計情報を表示する設計情報表示手段と、
前記設計情報表示手段により表示される前記設計情報と当該設計情報によって設計された形状データとの対応関係を示す情報である参照関係情報を当該設計の際の参照関係から作成する参照関係情報作成手段と、
前記設計情報表示手段により表示される前記設計情報に対して、前記参照関係情報作成手段により作成された前記参照関係情報に基づくリンク内容を埋め込んで表示する埋め込み表示手段と、を備えることを特徴とする情報処理装置。
【請求項8】
前記埋め込み表示手段により埋め込まれて表示された前記リンク内容を有する設計情報を指定する指定手段と、
前記指定手段による指定および前記参照関係情報作成手段により作成される前記参照関係情報に基づいて、指定された前記設計情報によって設計された形状データを表示する形状データ表示手段と、を更に備えたことを特徴とする請求項7記載の情報処理装置。
【請求項9】
設計作業に用いられる設計情報または背景情報を含む電子化ドキュメントを格納する電子化ドキュメント関連モジュールと、
設計作業によって設計された形状データを格納する形状データ関連モジュールと、
前記電子化ドキュメント関連モジュールにより格納された所定の電子化ドキュメントと前記形状データ関連モジュールにより格納された所定の形状データとの対応関係を示す参照関係情報を当該設計の際の参照関係から作成する参照関係情報関連モジュールと、を備えることを特徴とする設計支援システム。
【請求項10】
前記参照関係情報関連モジュールは、前記電子化ドキュメントから前記形状データへの参照関係、または前記形状データから前記電子化ドキュメントへの参照関係を作成することを特徴とする請求項9記載の設計支援システム。
【請求項11】
前記電子化ドキュメント関連モジュールは、格納された前記電子化ドキュメントを呼び出して表示すると共に、前記参照関係情報関連モジュールにより作成された参照関係情報である参照先形状データへのリンク情報を当該電子化ドキュメントに付加して表示することを特徴とする請求項9記載の設計支援システム。
【請求項12】
前記形状データ関連モジュールは、格納された前記形状データを呼び出して表示すると共に、前記参照関係情報関連モジュールにより作成された参照関係情報である参照先電子化ドキュメントへのリンク情報を当該形状データの形状要素に付加して表示することを特徴とする請求項9記載の設計支援システム。
【請求項13】
コンピュータに、
設計の際に用いられる設計情報と設計された結果である形状データとの対応関係を示す情報である参照関係情報を当該設計の際の参照関係から作成する機能と、
前記設計情報および前記形状データの間で参照関係がある旨の情報を当該設計情報または当該形状データの形状要素に付加して表示する機能と、を実現させるためのプログラム。
【請求項14】
コンピュータを、
設計された形状データを表示する形状データ表示手段と、
前記形状データと当該形状データを決定する根拠となる電子化ドキュメントとの対応関係を示す情報である参照関係情報を当該設計の際の参照関係から作成する参照関係情報作成手段と、
前記形状データ表示手段により表示される前記形状データの形状要素に対して、前記参照関係情報作成手段により作成された前記参照関係情報に基づく参照先電子化ドキュメントのリンク内容を埋め込んで表示する埋め込み表示手段と、を含むものとして機能させるためのプログラム。
【請求項15】
前記埋め込み表示手段により埋め込まれて表示された前記リンク内容を有する前記形状要素がユーザにより指定されたことを認識する指定認識手段と、
前記指定認識手段により指定が認識された後、前記参照関係情報作成手段により作成される前記参照関係情報に基づいて、当該形状要素を決定する根拠となる前記参照先電子化ドキュメントを表示する参照先電子化ドキュメント表示手段と、を更に含むものとして機能させるための請求項14記載のプログラム。
【請求項16】
前記参照先電子化ドキュメント表示手段は、前記参照先電子化ドキュメントが複数、存在する場合には、これら複数の参照先電子化ドキュメントを一覧表示し、一覧表示された当該複数の参照先電子化ドキュメントの中から所定の参照先電子化ドキュメントに対する指定を認識した場合には、指定された参照先電子化ドキュメントの詳細情報を表示することを特徴とする請求項15記載のプログラム。
【請求項17】
コンピュータを、
所定の部位または部品を構成する形状データを設計する際に用いられる電子化ドキュメント情報を表示する電子化ドキュメント表示手段と、
前記電子化ドキュメント表示手段により表示される前記電子化ドキュメント情報と当該電子化ドキュメント情報によって設計された形状データとの対応関係を示す情報である参照関係情報を当該設計の際の参照関係から作成する参照関係情報作成手段と、
前記電子化ドキュメント表示手段により表示される前記電子化ドキュメント情報に対して、前記参照関係情報作成手段により作成された前記参照関係情報に基づくリンク内容を埋め込んで表示する埋め込み表示手段と、を含むものとして機能させるためのプログラム。
【請求項18】
前記埋め込み表示手段により埋め込まれて表示された前記リンク内容を有する電子化ドキュメント情報がユーザにより指定されたことを認識する指定認識手段と、
前記指定認識手段により指定が認識された後、前記参照関係情報作成手段により作成される前記参照関係情報に基づいて、指定された前記電子化ドキュメント情報によって設計された形状データを表示する形状データ表示手段と、を更に含むものとして機能させるための請求項17記載のプログラム。
【請求項19】
設計作業に用いられる電子化ドキュメントの情報と設計作業の結果である形状データの情報との対応関係を示す情報である参照関係情報を当該設計の際の参照関係から作成するステップと、
前記作成するステップにより作成された参照関係情報を格納するステップと、
表示すべき電子化ドキュメントに一致する参照関係情報を検索するステップと、
検索された前記参照関係情報を用いて参照元電子化ドキュメントの位置に参照先形状データのリンク情報を付加して前記電子化ドキュメントを表示するステップと、を含むことを特徴とする設計支援情報表示方法。
【請求項20】
設計作業に用いられる電子化ドキュメントの情報と設計作業の結果である形状データの情報との対応関係を示す情報である参照関係情報を当該設計の際の参照関係から作成するステップと、
前記作成するステップにより作成された参照関係情報を格納するステップと、
表示すべき形状データに一致する参照関係情報を検索するステップと、
検索された前記参照関係情報を用いて参照元形状データの形状要素に参照先電子化ドキュメントへのリンク情報を付加して前記形状データを表示するステップと、を含むことを特徴とする設計支援情報表示方法。
【請求項21】
コンピュータに実行させるプログラムを当該コンピュータにて読取可能に記憶した記憶媒体において、
前記プログラムは、
設計作業に用いられる電子化ドキュメントの情報と設計作業の結果である形状データの情報との対応関係を示す情報である参照関係情報を当該設計の際の参照関係から作成する処理と、
前記作成する処理により作成された参照関係情報を格納する処理と、
表示すべき電子化ドキュメントに一致する参照関係情報を検索する処理と、
検索された前記参照関係情報を用いて参照元電子化ドキュメントの位置に参照先形状データのリンク情報を付加して前記電子化ドキュメントを表示する処理と、を前記コンピュータに実行させることを特徴とする記憶媒体。
【請求項22】
コンピュータに実行させるプログラムを当該コンピュータにて読取可能に記憶した記憶媒体において、
前記プログラムは、
設計作業に用いられる電子化ドキュメントの情報と設計作業の結果である形状データの情報との対応関係を示す情報である参照関係情報を当該設計の際の参照関係から作成する処理と、
前記作成する処理により作成された参照関係情報を格納する処理と、
表示すべき形状データに一致する参照関係情報を検索する処理と、
検索された前記参照関係情報を用いて参照元形状データの形状要素に参照先電子化ドキュメントへのリンク情報を付加して前記形状データを表示する処理と、を前記コンピュータに実行させることを特徴とする記憶媒体。」

3.補正の目的の適否についての判断
本件補正は、補正前の請求項1,5,7,9,13,14,17,19ないし22において、各請求項に記載された発明を特定するために必要な事項である「設計の際の参照関係から作成」を、「設計の際にユーザが選択した設計情報と形状データとの間の参照関係並びに参照元及び参照先の所在を把握し、かつ、当該形状データの部品形状を表わす形状要素を把握して作成」と限定する補正を含むものであるが、補正により追加された「参照元及び参照先の所在を把握」する点及び「形状データの部品形状を表わす形状要素を把握」する点は、補正前の請求項に記載された補正前の請求項に記載されたいずれの発明を特定するために必要な事項の下位概念化にも該当しない。
したがって、本件補正は、補正前の請求項のいずれかに記載した発明を特定するために必要な事項を限定するものではないから、特許法17条の2第4項2号に規定する、特許請求の範囲の減縮(同法36条5項の規定により請求項に記載した発明を特定するために必要な事項を限定するものであつて、その補正前の当該請求項に記載された発明とその補正後の当該請求項に記載される発明の産業上の利用分野及び解決しようとする課題が同一であるものに限る。)を目的としたものとはいえない。

また、本件補正が、特許法17条の2第4項1号(請求項の削除)、3号(誤記の訂正)、4号(明りょうでない記載の釈明(拒絶理由通知に係る拒絶の理由に示す事項についてするものに限る。))に規定される事項を目的とするものでないことは明らかである。

4.むすび
以上のとおり、本件補正は、特許法17条の2第4項の規定に違反するものであり、特許法159条1項で準用する同法53条1項の規定により却下されるべきものである。

5.なお、仮に、前記補正が特許法17条の2第3項2号の特許請求の範囲の減縮を目的とするものに該当するとした場合に、本件補正後の請求項9に記載された発明(以下、「本願補正発明」という。)が特許出願の際独立して特許を受けることができるものであるか否か(平成18年改正前特許法17条の2第5項において準用する同法126条5項の規定に適合するか)について、以下に検討する。

(1)補正後の本願発明
本件補正後の請求項9に記載された発明(以下、「本願補正発明」という。)は、再掲すると、次のとおりのものである。
「【請求項9】
設計作業に用いられる設計情報または背景情報を含む電子化ドキュメントを格納する電子化ドキュメント関連モジュールと、
設計作業によって設計された形状データを格納する形状データ関連モジュールと、
前記電子化ドキュメント関連モジュールにより格納された所定の電子化ドキュメントと前記形状データ関連モジュールにより格納された所定の形状データとの対応関係を示す参照関係情報を、前記設計の際にユーザが選択した設計情報と形状データとの間の参照関係並びに参照元及び参照先の所在を把握し、かつ、当該形状データの部品形状を表わす形状要素を把握して作成する参照関係情報関連モジュールと、を備えることを特徴とする設計支援システム。」

(2)引用刊行物
ア これに対して、原査定の拒絶の理由に引用された特開平7-28882号公報(以下、「引用例1」という。)には、以下の事項及び図面が記載されている。

(ア) 「【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、機械図面や部品形状といったCADデータを作成するCAD装置に関し、特に作成されたCADデータ以外に部品の使用方法やその他のノウハウ,設計基準等の文書データを蓄積するデータベースを備え、CADデータや文書データのキーワードによる検索時に、関連するデータを同時に検索して表示するようにしたCAD装置に関する。」

(イ) 「【0008】
【課題を解決するための手段】本発明は上記の目的を達成するために、入力手段から入力された情報に従ってCADデータを作成する図面・形状作成手段と、前記作成されたCADデータを表示する表示手段と、前記作成されたCADデータを格納する図面・形状データ格納部を含むデータベースと、該データベースを管理するデータベースマネージャとを備えたCAD装置において、前記入力手段から入力された情報に従ってノウハウや設計基準等の文書データを作成する文書作成手段と、該文書作成手段で作成された文書データを格納する、前記データベース内の文書データ格納部と、前記図面・形状データ格納部に格納されたCADデータに付与された名前を主データ名とし、該主データ名とキーワードと関連する文書データの名前である関連データ名とで構成される関連性データを作成する関連性データ作成手段と、該関連性データ作成手段で作成された関連性データを格納する、前記データベース内の関連性データ格納部とを備え、前記データベースマネージャは、キーワードを指定した検索要求時、指定されたキーワードを含む関連性データを前記関連性データ格納部から検索し、該検索した関連性データを構成する主データ名をデータ名に持つCADデータを前記図面・形状データ格納部から検索して前記表示手段に表示すると共に、その関連データ名をデータ名に持つ文書データを前記文書データ格納部から検索して前記表示手段に表示するようにしている。」

(ウ) 「【0012】図1を参照すると、本発明の一実施例のCAD装置は、入力手段1と、図面・形状作成手段2と、データベースマネージャ3と、データベース4と、表示手段5と、ハードコピー出力手段6と、文書作成手段7と、関連性データ作成手段8と、制御手段9とで構成されている。
【0013】入力手段1は、キーボード,マウス等で構成される。利用者は、CADデータ,文書データ,関連性データを作成する場合、この入力手段1から必要なデータや指示を入力する。またデータベース4を検索する場合、検索に使用するキーワード等を、この入力手段1から入力する。
(中略)
【0016】図面・形状作成手段2は、入力手段1から入力された情報に従って機械図面や部品形状図面等のCADデータを作成する手段であり、既存のCAD装置に基本的に備わる手段である。
【0017】文書作成手段7は、設計基準やノウハウといった文書データをテキストデータ形式あるいはイメージデータ形式で作成する手段であり、一種のエディタである。
【0018】関連性データ作成手段8は、CADデータと文書データとの関連性を示す関連性データを、入力手段1からの入力情報に従って作成する手段であり、これも一種のエディタである。
【0019】データベースマネージャ3は、データベース4に対するデータの登録,検索等を行う手段である。」

(エ) 「【0021】データベース4は、CADデータ,文書データおよび関連性データを蓄積するもので、図示する通り、図面・形状データ格納部10と、文書データ格納部11と、関連性データ格納部12とを有している。
【0022】図面・形状データ格納部10は、CADデータの格納部である。各CADデータは、図2に示すように、それを識別するためのデータ名A-1,A-2,…が付与されて登録される。データベースマネージャ3は、図面・形状データ格納部10をデータ名で検索することにより、該当するCADデータを取得する。
【0023】文書データ格納部11は、文書データの格納部である。各文書データは、図3に示すように、それを識別するためのデータ名B-1,B-2,…が付与されて登録される。データベースマネージャ3は、文書データ格納部11をデータ名で検索することにより、該当する文書データを取得する。
(中略)
【0025】関連性データ格納部12は、関連性データの格納部である。関連性データはこの格納部に表形式で格納される。一つの関連性データは、主データ名と、この主データ名を持つCADデータまたは文書データに対して設定されたキーワードと、この主データ名を持つCADデータまたは文書データに関連する文書データまたはCADデータのデータ名である関連データ名とで構成される。
【0026】図4に関連性データ格納部12に格納されている関連性データの例を示す。同図において、12-1,…,12-i,…は何れも1つの関連性データである。関連性データ12-1には、主データ名にA-1が、キーワードに「ピン」,「径4」,「ステンレス」が、関連データ名にB-1,B-3が設定されている。また、関連性データ12-iには、主データ名にB-1が、キーワードに「ギヤ」が、関連データ名にB-2,A-2が設定されている。」

(オ) 「【0028】利用者が入力手段1の操作によってCADデータの作成開始を指示すると、制御手段9が図面・形状作成手段2を起動する。その後、利用者が入力手段1を操作してCADデータ作成に必要な種々のデータや指示を入力すると、この入力された情報に従って図面・形状作成手段2が図面や部品形状といったCADデータを作成する。この作成された図面や部品形状データは制御手段9によって表示手段5に表示される。また、利用者が入力手段1の操作によってハードコピーを指示した場合、制御手段9はハードコピー出力手段6から上記CADデータのハードコピーを出力する。
【0029】次に、利用者が入力手段1を操作して、作成されたCADデータに付与するデータ名(例えばA-1とする)を指定してその登録を指示すると、制御手段9はデータベースマネージャ3を通じてデータベース4の図面・形状データ格納部10に上記作成されたCADデータを、上記指定されたデータ名A-1を付与して、図2に示したように格納する。
【0030】また、利用者が入力手段1の操作によって文書データの作成開始を指示すると、制御手段9が文書作成手段7を起動する。その後、利用者が入力手段1から設計基準やノウハウ等を示す文章等やグラフなどの図形を入力すると、文書作成手段7がそれらを文書として編集する。この編集された文書データは制御手段9によって表示手段5に表示される。
【0031】次に、利用者が入力手段1を操作して、作成された文書データに付与するデータ名(例えばB-1とする)を指定してその登録を指示すると、制御手段9はデータベースマネージャ3を通じてデータベース4の文書データ格納部11に上記作成された文書データを、上記指定されたデータ名B-1を付与して、図3に示したように格納する。
【0032】また利用者は、入力手段1の操作によって関連性データ作成手段8を適宜呼出して、関連性データを新規に登録したり、既に登録されている関連性データを更新することができる。関連性データ作成手段8は利用者から呼び出されると、新規登録か、更新登録かの選択促進メッセージを表示手段5に表示する。
【0033】利用者が入力手段1の操作によって新規登録を選択すると、関連性データ作成手段8は、表示手段5の画面に、主データ名,キーワード,関連データ名の欄を空白にした関連性データ入力画面を表示する。そして、利用者がこの入力画面に主データ名,キーワード,関連データ名を入力し、登録が指示されると、制御手段9およびデータベースマネージャ3を通じてデータベース4の関連性データ格納部12に登録する。このような操作によって、図4に示したような関連性データ12-1,…,12-i,…を関連性データ格納部12に新規に登録することができる。」

(カ) 「【0036】図面・形状作成手段2,文書作成手段7および関連性データ作成手段8により作成されてデータベース4に格納されたデータは、本CAD装置を使って設計作業を行っているときに適宜検索され利用される。以下、このときの動作を説明する。
【0037】利用者が入力手段1を操作してデータベース4の検索開始を指示すると、制御手段9がデータベースマネージャ3を起動する。データベースマネージャ3は、表示手段5にキーワードの入力促進メッセージを表示する。
【0038】利用者がこれに応じてキーワードを入力すると、データベースマネージャ3は図5に示すようにキーワードを入力し(S1)、入力されたキーワードと同一のキーワードを含む関連性データをデータベース4の関連性データ格納部12から検索する(S2)。
【0039】該当する関連性データが存在しない場合(S3でYES)、エラーメッセージ等を表示して検索処理を終了するが、該当する関連性データが見つかった場合(S3でNO)、その関連性データ中の主データ名がCADデータ名か、文書データ名かを判別し(S4)、CADデータ名であれば、その主データ名をデータ名に持つCADデータを図面・形状データ格納部10から検索して、表示手段5の主表示エリアに表示し(S5)、文書データ名であれば、その主データ名をデータ名に持つ文書データを文書データ格納部11から検索して、表示手段5の主表示エリアに表示する(S6)。
【0040】次に、上記検索された関連性データ中に関連データ名が存在するか否かを判別し(S7)、存在しなければ検索処理を終了する。他方、存在すれば、そのうちの1つの関連データ名に注目し(S8)、その関連データ名がCADデータ名か、文書データ名かを判別し(S9)、CADデータ名であれば、その関連データ名をデータ名に持つCADデータを図面・形状データ格納部10から検索して、表示手段5の副表示エリアに表示し(S10)、文書データ名であれば、その関連データ名をデータ名に持つ文書データを文書データ格納部11から検索して、表示手段5の副表示エリアに表示する(S11)。このような処理S8?S11は、検索された関連性データに存在する全ての関連データ名について繰り返される(S12)。そして、全ての関連データの検索と表示を終えると、検索処理を終了する。」

これらの記載及び図面によれば、引用例1には、
「CADデータ、文書データ、関連性データを作成する場合及びデータベース4を検索する場合、利用者が必要なデータや指示を入力する入力手段1と、
入力された設計基準やノウハウ等を示す文章等を文書作成手段7によって編集し、この編集された文書データにデータ名を付与して格納する文書データ格納部11と、
図面・形状作成手段2により作成されたCADデータにデータ名を付与して格納する図面・形状データ格納部10と、
CADデータと文書データとの関連性を示す関連性データを、入力手段1からの入力情報に従って作成する関連性データ作成手段8と、
作成された関連性データを格納する関連性データ格納部12とを備え、
利用者が入力手段1を操作して検索開始を指示すると、制御手段9はデータベースマネージャ3を起動して、入力されたキーワードを含む関連性データを関連性データ格納部12から検索し、該当する関連性データが見つかった場合、関連性データ中の主データ名がCADデータ名であれば、その主データ名をデータ名に持つCADデータを図面・形状データ格納部10から検索して表示し、主データ名が文書データ名であれば、その主データ名をデータ名に持つ文書データを文書データ格納部11から検索して表示し、次に、検索された関連性データ中に関連データ名が存在する場合、その関連データ名がCADデータ名CADデータ名であれば、その関連データ名をデータ名に持つCADデータを図面・形状データ格納部10から検索して表示し、関連データ名が文書データ名であれば、その関連データ名をデータ名に持つ文書データを文書データ格納部11から検索して表示する、
CAD装置。」
の発明(以下、「引用発明」という。)が記載されていると認められる。

イ 原査定の拒絶の理由に引用された、特開平11-296566号公報(以下、「引用例2」という。)には、図面とともに、次の記載がある。

(ア) 「【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、CADシステム装置およびCADによる製品設計方法に係り、適用機能ごとに分けられた複数の知識ベースを持ち、その知識ベースに基づいて設計部品の形状を自動的に修正し、設計効率をあげるために好適なCADシステム装置およびCADによる製品設計方法に関する。」

(イ) 「【0011】
【課題を解決するための手段】上記目的を達成するために、本発明のCADシステム装置に係る発明の構成は、部品の設計をおこなうCAD(Computer Aided Design)システム装置において、入力装置と、出力装置と、一つ以上の知識ベースと、それらの知識ベースを管理する知識ベース管理装置と、形状要素のデータを修正する形状操作装置とを備え、前記部品の形状を、形状要素の組み合わせによって定義して、また、前記知識ベースには、定義された形状要素に対する形状に関する制約として、形状制約ルールが記載されていて、前記知識ベース管理装置は、前記部品の形状要素の一つを前記入力装置により選択されると、その形状要素に関連した知識ベースの一覧を、前記出力装置上に表示して、表示された前記知識ベース一覧の中から、一つだけ、あるいは複数の知識ベースが選択されると、前記知識ベース管理装置は、選択された形状要素に関連する形状制約ルールを検索して、前記形状操作装置は、その検索された形状制約ルールと、現在の形状要素のデータとを照合して形状検査をおこない、その形状制約ルールに違反している場合には、自動的にその形状要素のデータを修正するようにしたものである。」

(ウ) 「【0039】形状操作装置10aは、部品形状要素定義部10b、部品形状変更駆動部10c、金型形状要素データ生成部10d、加工除去要素データ生成部10f、CAE解析部10e、および加工シミュレーション部10gで構成されている。部品形状要素定義部10bは、部品形状要素の形状を定義する部分である。金型形状要素データ生成部10dは、部品形状要素定義部10bのデータを基にしてその部品を加工するための金型の形状要素データを生成する部分である。加工形状要素データ生成部10fは、金型を加工するための加工除去要素のデータを生成する部分である。CAE解析部10eは、CAE解析をおこなって金型や部品の形状要素を決定する部分である。加工シミュレーション部10gは、金型の加工除去要素を決定するための加工シミュレーションをおこなう。部品形状変更駆動部10cは、金型形状要素データ生成部10dで決定された金型の形状要素やCAE解析部10eでのCAE解析の結果を受け、部品形状要素定義10bを駆動して部品形状要素の定義を変更するようにする。」

(エ) 「【0046】部品としての完成された姿は、これらの形状要素が一体化されてものであるが、本発明のCADシステム装置は、個々の形状要素を設計対象として独立に扱えるものである。そのために、形状要素個々に、形状要素の境界と「シェル」や「リブ」といった形状要素の名称を属性として保持している。このような部品形状の要素を定義するのは、図1に示される部品形状要素定義部10bであった。各部品の形状要素は、ライブラリ資産として形状要素ライブラリ(図示せず)に蓄えられている。CADによる設計にあたっては、この形状要素ライブラリから必要な形状要素を呼び出して、必要によって形状を変形させて組み合わせることになる。その際に形状要素の境界と名称は設計過程で自動的に決定される。あるいは、部品形状を設計した後に、形状要素の境界と名称を明示的に指定して定義してもよい。」

これらの記載及び図面によれば、引用例2には、
「CADシステム装置による設計において、部品の形状を、形状要素の組み合わせによって定義し、知識ベースの形状制約ルールに基づいて形状要素のデータを修正する技術。」
が記載されていると認められる。

(3)対比
そこで、本願補正発明と引用発明とを対比する。
引用発明における「文書データ格納部11」は、文書作成手段7によって編集された「設計基準やノウハウ等を示す文章等」の「文書データ」を格納するものであり、前記「設計基準やノウハウ等を示す文章等」は、「設計作業に用いられる設計情報または背景情報」を含むことは明らかであり、また、前記編集された「文書データ」は「電子化ドキュメント」であるから、引用発明は、「設計作業に用いられる設計情報または背景情報を含む電子化ドキュメントを格納する」構成を備え、該構成と本願補正発明の「設計作業に用いられる設計情報または背景情報を含む電子化ドキュメントを格納する電子化ドキュメント関連モジュール」とは、「設計作業に用いられる設計情報または背景情報を含む電子化ドキュメントを格納する電子化ドキュメント関連手段」である点で共通するといえる。
引用発明における「図面・形状データ格納部10」は、図面・形状作成手段2により作成されたCADデータを格納するものであり、前記CADデータは、「設計作業によって設計された形状データ」であるから、引用発明は、「設計作業によって設計された形状データを格納する」構成を備え、該構成と本願補正発明の「設計作業によって設計された形状データを格納する形状データ関連モジュール」とは、「設計作業によって設計された形状データを格納する形状データ関連手段」である点で共通するといえる。
引用発明の「関連性データ作成手段8」によって作成された「関連性データ」は、「CADデータと文書データとの関連性を示す」データであり、該データと本願補正発明の「電子化ドキュメント関連モジュールにより格納された所定の電子化ドキュメントと形状データ関連モジュールにより格納された所定の形状データとの対応関係を示す参照関係情報」は、いずれも「電子化ドキュメント関連手段により格納された所定の電子化ドキュメントと形状データ関連手段により格納された所定の形状データとの対応関係を示す参照関係情報」である点で一致する。
また、前記「関連性データ」は、「入力手段1からの入力情報に従って作成」されるものであるから、「文書データ」と「CADデータ」との対応関係は、「ユーザーが選択した設計情報と形状データとの間の参照関係」ということができる。
引用発明は、作成された「関連性データ」の検索において、該当する関連性データが見つかった場合、「関連性データ中の主データ名がCADデータ名であれば、その主データ名をデータ名に持つCADデータを図面・形状データ格納部10から検索して表示し、主データ名が文書データ名であれば、その主データ名をデータ名に持つ文書データを文書データ格納部11から検索して表示し、次に、検索された関連性データ中に関連データ名が存在する場合、その関連データ名がCADデータ名CADデータ名であれば、その関連データ名をデータ名に持つCADデータを図面・形状データ格納部10から検索して表示し、関連データ名が文書データ名であれば、その関連データ名をデータ名に持つ文書データを文書データ格納部11から検索して表示する」ものであって、関連性データ格納部12の関連性データは、「参照元及び参照先」としての「CADデータ名」及び「文書データ名」を含み、該「CADデータ名」及び「文書データ名」に基づいて「CADデータ」または「文書データ」を、図面・形状データ格納部10または文書データ格納部11から検索して表示するものであることから、「関連性データ」を作成するにあたって、「参照元及び参照先の所在」を把握していることは自明である。
また、引用発明は、「関連性データ」を作成する「関連性データ作成手段8」と、作成された「関連性データ」を格納する「関連性データ格納部12」とを備える。
以上のことから、引用発明は、「電子化ドキュメント関連手段により格納された所定の電子化ドキュメントと形状データ関連手段により格納された所定の形状データとの対応関係を示す参照関係情報を、ユーザーが選択した設計情報と形状データとの間の参照関係並びに参照元及び参照先の所在を把握して作成する」構成を備えるといえ、該構成を「参照関係情報関連手段」と呼称すれば、引用発明と本願補正発明とは、「電子化ドキュメント関連手段により格納された所定の電子化ドキュメントと形状データ関連手段により格納された所定の形状データとの対応関係を示す参照関係情報を、ユーザーが選択した設計情報と形状データとの間の参照関係並びに参照元及び参照先の所在を把握して作成する参照関係情報関連手段」を備える点で一致するということができる。
そして、引用発明の「CAD装置」は、その機能を総合すれば、本願補正発明と同様に、「設計支援システム」ということができる。

以上を踏まえると、本願補正発明と引用発明とは次の点で一致ないし相違する。
【一致点】
「設計作業に用いられる設計情報または背景情報を含む電子化ドキュメントを格納する電子化ドキュメント関連手段と、
設計作業によって設計された形状データを格納する形状データ関連手段と、
前記電子化ドキュメント関連手段により格納された所定の電子化ドキュメントと前記形状データ関連手段により格納された所定の形状データとの対応関係を示す参照関係情報を、ユーザーが選択した設計情報と形状データとの間の参照関係並びに参照元及び参照先の所在を把握して作成する参照関係情報関連手段と、を備える設計支援システム。」

【相違点1】
「電子化ドキュメント関連手段」、「形状データ関連手段」及び「参照関係情報関連手段」が、本願補正発明は、「モジュール」として構成されているのに対し、引用発明は、「モジュール」として構成することは特定されていない点。

【相違点2】
「ユーザが選択した設計情報と形状データとの間の参照関係」が、本願補正発明は、「設計の際」に選択したものであるのに対し、引用発明は、設計の際に選択したものであることは特定されていない点。

【相違点3】
「参照関係情報」を作成するにあたり、本願補正発明は、「形状データの部品形状を表わす形状要素を把握」するのに対し、引用発明は、形状データの部品形状を表わす形状要素を把握することは特定されていない点。

(4)判断
以下、相違点について検討する。
・相違点1について
システムが備える「手段」を、「モジュール」として構成することは、システム設計において、周知の技術手段であり、引用発明における「電子化ドキュメント関連手段」、「形状データ関連手段」及び「参照関係情報関連手段」としての構成を「モジュール」で構成することに格別の困難性はない。
したがって、相違点1は格別のことではない。

・相違点2について
引用発明において、設計基準やノウハウ等を示す文章等、すなわち「設計情報」は、CADデータの作成、すなわち「形状データ」の「設計」において必要なデータであり、前記「設計情報」は「形状データ」の設計の際参照されるものであることは明らかである。
したがって、利用者、すなわち「ユーザ」にとって、「設計情報」と「形状データ」との間の「参照関係」に関する知識は、設計の時点で当然に把握できていることも自明であり、前記「参照関係」を、利用者が「設計の際」に選択しておくことは、当業者が容易になし得ることである。
そして、ユーザが前記「参照関係」を選択する時点は、装置の構成とは関連しないから、「設計支援システム」であるCAD装置としての作用効果は、前記選択する時点に依存しない。したがって、上記相違点2に伴う作用効果も当然に予測できるものである。

・相違点3について
CAD装置において、CADデータを作成するにあたり、設計対象の物品等の形状要素を把握することは、例えば、上記「5.(2) イ 」に前掲した引用例2には、「CADシステム装置による設計において、部品の形状を、形状要素の組み合わせによって定義し、知識ベースの形状制約ルールに基づいて形状要素のデータを修正する技術」が記載されているように、当業者にとって周知の技術である。
したがって、引用発明においても、関連性データ、すなわち「参照関係情報」を作成するにあたり、作成されたCADデータの部品形状を表わす形状要素を把握することは、当業者が容易に想到し得たものである。

そして、これらの相違点を総合的に勘案しても、本願補正発明の奏する作用効果は、引用発明及び周知技術の奏する作用効果から予測される範囲内のものにすぎず、格別顕著なものということはできない。

したがって、本願補正発明は、引用例1に記載された発明及び周知技術に基づいて、当業者が容易に発明をすることができたものであるから、特許法29条2項の規定により、特許出願の際独立して特許を受けることができないものである。

(5)むすび
以上のとおり、本件補正は、特許法17条の2第3項2号の特許請求の範囲の減縮を目的とするものに該当するとしても、平成18年改正前特許法第17条の2第5項において準用する同法第126条第5項の規定に違反するので、特許法第159条第1項の規定において読み替えて準用する同法第53条第1項の規定により却下すべきものである。

第3 本願発明について
1.本願発明
平成18年8月30日付けの手続補正は上記のとおり却下されたので、本願の請求項9に係る発明(以下、「本願発明」という。)は、平成18年7月6日付けの手続補正書によって補正された明細書及び図面の記載からみて、上記「第2[理由]2.」に記載した特許請求の範囲の請求項9に記載された事項により特定されるとおりのものである。

2.引用刊行物
原査定の拒絶の理由に引用された引用例1、引用例2及びその記載事項は、上記「第2[理由]5.(2)」に記載したとおりである。

3.対比・判断
本願発明は、上記「第2[理由]3.」で検討したとおり、上記「第2[理由]5.」で検討した本願補正発明から、限定事項を省いたものである。
そうすると、本願発明の発明特定事項をすべて含み、さらに発明特定事項を限定したものに相当する本願補正発明が前記「第2[理由]5.(3)」及び「第2[理由]5.(4)」に記載したとおり、引用例1に記載された発明及び周知技術に基づいて、当業者が容易に発明をすることができたものであるから、本願発明も、同様の理由により、引用例1に記載された発明及び周知技術に基づいて、当業者が容易に発明することができたものである。

4.むすび
以上のとおりであるから、本願発明は、特許法29条2項の規定により特許を受けることができないので、他の請求項に係る発明について検討するまでもなく、本願は拒絶されるべきものである。
よって、結論のとおり審決する。
 
審理終結日 2008-07-02 
結審通知日 2008-07-08 
審決日 2008-07-22 
出願番号 特願2001-45714(P2001-45714)
審決分類 P 1 8・ 121- Z (G06F)
P 1 8・ 575- Z (G06F)
最終処分 不成立  
前審関与審査官 加舎 理紅子  
特許庁審判長 西山 昇
特許庁審判官 廣川 浩
原 光明
発明の名称 情報処理装置、設計支援システム、プログラム、設計支援情報表示方法、および記憶媒体  
代理人 古部 次郎  
代理人 古部 次郎  
代理人 古部 次郎  
代理人 古部 次郎  
代理人 古部 次郎  

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