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審決分類 審判 査定不服 5項独立特許用件 特許、登録しない。 G08C
審判 査定不服 2項進歩性 特許、登録しない。 G08C
管理番号 1184128
審判番号 不服2006-12616  
総通号数 106 
発行国 日本国特許庁(JP) 
公報種別 特許審決公報 
発行日 2008-10-31 
種別 拒絶査定不服の審決 
審判請求日 2006-06-19 
確定日 2008-09-11 
事件の表示 特願2001-351955「タイヤセンサユニット」拒絶査定不服審判事件〔平成15年5月23日出願公開、特開2003-151064〕について、次のとおり審決する。 
結論 本件審判の請求は、成り立たない。 
理由 1 手続の経緯
本件は、平成13年11月16日にされた特許出願につき、平成18年5月31日付けで拒絶査定(同年6月6日発送)がされたところ、これに対し、同年6月19日に拒絶査定不服審判が請求されるとともに、同日付けで手続補正書(以下、この手続補正書による手続補正を「平成18年6月19日付けの手続補正」又は「本件補正」という。)が提出されたものである。

2 平成18年6月19日付けの手続補正についての補正却下の決定
[補正却下の決定の結論]
平成18年6月19日付けの手続補正を却下する。
[理由]
(1)補正の内容
平成18年6月19日付けの手続補正は、特許請求の範囲の請求項1の記載を、補正前の
「【請求項1】車両の各々のタイヤに取り付けられ各々のタイヤの状態に関する情報を無線で送信するタイヤセンサユニットであって、このタイヤセンサユニットは、車体側に設けられた非接触型給電部から送出されたエネルギに基づいて直流電源を生成する非接触型受電部を備え、この非接触型受電部から前記タイヤセンサユニットの動作に必要な電力を供給するる(当審注:「供給する」の誤記と認める。)タイヤセンサユニットにおいて、前記タイヤの空気圧を検出する圧力センサと、検出したタイヤ空気圧に係る情報を無線送信するための回路部と、前記非接触型受電部とが一枚のシート状の基板に設けられ、この基板は、可塑剤を実質的に含まず、シリル基末端ポリマーを主成分とし、無機充填剤としての炭酸カルシウムを35?45重量%含有する接着剤にてタイヤホイールに接着されていることを特徴とするタイヤセンサユニット。」
から、補正後の
「【請求項1】車両の各々のタイヤに取り付けられ各々のタイヤの状態に関する情報を無線で送信するタイヤセンサユニットであって、このタイヤセンサユニットは、車体側に設けられた非接触型給電部から送出されたエネルギに基づいて直流電源を生成する非接触型受電部を備え、この非接触型受電部から前記タイヤセンサユニットの動作に必要な電力を供給するる(当審注:「供給する」の誤記と認める。)タイヤセンサユニットにおいて、前記タイヤの空気圧を検出する圧力センサと、検出したタイヤ空気圧に係る情報を無線送信するための回路部と、前記非接触型受電部とが可撓性を有する一枚のシート状の基板に設けられ、この基板は、可塑剤を実質的に含まず、シリル基末端ポリマーを主成分とし、無機充填剤としての炭酸カルシウムを35?45重量%含有する接着剤にてタイヤ内のタイヤホイール表面に接着されていることを特徴とするタイヤセンサユニット。」
に補正する補正事項を含むものである。

本件補正は、補正前の請求項1の「一枚のシート状の基板」、「タイヤホイールに接着されている」という記載をそれぞれ「可撓性を有する一枚のシート状の基板」、「タイヤ内のタイヤホイール表面に接着されている」とすることで「基板」及び「接着」についてさらに限定するものであるから、平成18年改正前特許法17条の2第4項2号の特許請求の範囲の減縮を目的とするものに該当する。

そこで、本件補正後の前記請求項1に係る発明(以下「本願補正発明」という。)が特許出願の際独立して特許を受けることができるものであるかについて以下に検討する。

(2)引用例及び引用発明
原査定の拒絶の理由に引用され、本願の出願前の平成9年1月10日に頒布された刊行物である特開平9-5178号公報(以下「引用例」という。)には、図面とともに次の記載がある。

ア 「【0004】【課題を解決するための手段】本発明では、自動車のドライブシャフト等の回転体に対して電気的接続をすることなく、そのトルクを検出するトルク検出システムを開発することによって前記目的を達成した。本発明のトルク検出システムは、トルクを検出すべき回転体上に一体的に装着されるセンサ部と、回転体に近接して配置される計測部とで構成される。センサ部は、トルク検出手段、トルク検出手段の出力信号を増幅及び信号変換して電波送信する回路手段、及び計測部から空間伝送されるエネルギーを受領して回路手段に電力を供給するエネルギー受領手段を備え、計測部は、センサ部に対してエネルギーを空間伝送するエネルギー供給手段、及びセンサ部から送信された電波を受信し復調する受信手段を備える。
【0005】センサ部は、例えば自動車の車輪を駆動するドライブシャフト、あるいはタイヤホイールのリム又はディスクに設けることができる。センサ部をタイヤホイールに装着する場合には、タイヤの空気圧を検出する空気圧センサを同時に備え、その空気圧センサの出力信号も取り込んで電波送信するのが好ましい。計測部は、ドライブシャフトやタイヤホイールに設けられたセンサ部に近接するように、車体側の適当な場所に固設される。
【0006】トルク検出手段は、回転体に貼り付けたストレインゲージで構成することもできるし、あるいは一端が回転体に固定され回転体の軸方向に離間した他端が自由端になっている剛体部材と、回転体に固定されて剛体部材の自由端の変位を検出する半導体微小変位検出素子とから構成することもできる。エネルギー供給手段は、マイクロ波、光、あるいは超音波の形でエネルギーを空間伝送することができる。エネルギー受領手段は、それに対応してマイクロ波受信アンテナ、太陽電池、超音波受波セルとすることができる。
【0007】一例として、マイクロ波によってエネルギーを空間伝送する場合、エネルギー受領手段であるマイクロ波受信アンテナは回転体の円周方向に細分化して配置した複数の要素アンテナから構成することができる。各要素アンテナを互いに逆極性に接続すると、そのカスケード出力の変動周期から回転体の回転速度に関する情報を取り出すことができ、また、各要素アンテナの出力を整流して利用することによりセンサ部で必要な電力をまかなうことができる。」(【0004】?【0007】)

イ 「【0010】【実施例】本発明の第1の実施例を図1?4を用いて説明する。図1は全体のシステムを示すもので、センサ部1はドライブシャフト2の中間に設けられ、耐水性を高めるためモールドされている。ドライブシャフト2に対向して計測ユニット3が車体側に取り付けられる。ドライブシャフト2はデファレンシャルギヤ4とタイヤ5の間をフレキシブルに接続するため、タイヤ5の上下動により変位するが、計測ユニット3はこれらの変位を許容するように距離を置いて設置されている。計測ユニット3は、センサ部1にエネルギーを送り込むためマイクロ波を照射するとともに、センサ部1から送信されたパルスコード電波を受信する。
【0011】センサ部1の構造及び動作を、図2により説明する。センサ部1はフィルム状の基板6の上に構成される。基板6上に形成されたブリッジ回路構成のストレインゲージ7はドライブシャフト2に接着され、トルクによる軸の歪に応じた電圧を発生する。この検出電圧は半導体チップ8に形成された直流アンプ9により増幅され、A/D変換部10に送られてデジタル信号に変換される。次いでシリアル変換部11においてパルスコードに変換され、送信部12において電波となり、アンテナ13から計測ユニット3に向けて送信される。なお、A/D変換とシリアル変換をする代りにPWM変調あるいはFM変調して電波で送信する方法でもよいことは言うまでもない。
【0012】電源変換部14は半導体チップ8で使う電力を作り出すもので、アンテナ15にて受信したマイクロ波エネルギーを入力して整流し、電圧調整して各部に送るとともにコンデンサ16に蓄える。センサ部1の実際の構造を図3に示す。フィルム状の基板6にはストレインゲージブリッジ7とアンテナ13,15が印刷回路にて形成され、これらに接続して半導体チップ8及びコンデンサ16がハンダ付けされる。ストレインゲージ7はホイートストーンブリッジを構成し、トルクによりドライブシャフト2がねじれ方向に歪むとき、その歪みを効率良く検出するために軸方向に対して45度の角度になるように形成される。このようなフィルム状の基板6をドライブシャフト2に接着するのであるが、特にストレインゲージ7の部分は念入りに接着される。センサ部1は小石等が当たったときの衝撃や、水に濡れることに対する防御のためマイクロ波非遮蔽性の樹脂等でモールドされる。
【0013】次に、車体側に取り付ける計測ユニット3の構成及び動作を図4により説明する。計測ユニット3は、マイクロ波発生部17と送信アンテナ18からなるマイクロ波照射部と、それ以外の計測部よりなる。センサ部1からの電波は受信アンテナ19で受け、受信部20に送られて復調し、さらにコード変換部21に送られてデジタル信号に戻される。これをシリアル通信部22に送ると、どのドライブシャフトのトルクか識別できるように、各計測ユニットに固有のアドレス情報を加えてエンジン制御装置や変速機制御装置等に伝送される。」(【0010】?【0013】)

ウ 「【0017】…。図7は本発明の第3の実施例を示すものである。図2の場合と異なるのはアンテナ15の形状である。均一間隔の小さなアンテナが多数配置され、各アンテナ出力は整流されて並列に電源変換回路14に接続される。一方、両端T1,T2からは各アンテナを直列に接続したカスケード出力が取り出されており、整流されずに位相比較器33に入力される。なお、アンテナ15の横にはアンテナ32が設けられ、比較信号を位相比較器33に供給する。 」(【0017】)

エ 「【0020】図10?12は、本発明の第4の実施例を示し、センサをタイヤホイール部に装着した例である。本実施例では、ホイールのリム又はディスク周辺にフィルム6を貼り、その一部に半導体チップを設ける。計測ユニット3からは横向きにマイクロ波が照射される。トルク検出のためのストレインゲージ等はホイールの一部に接着される。マイクロ波受信のためのアンテナ15がまた速度検出機能を兼ねることも、図7の場合と同じである。
【0021】本実施例においては、さらにタイヤの空気圧も測定してデータを送信するようになっている。ホイールを貫通してタイヤの内部の空気圧を測定する半導体圧力センサ等の空気圧センサ35が設けられ、図12に示すように直流アンプ36を介してAD変換器10に接続されている。したがって、本実施例においては常にタイヤの空気圧を測定することができ、警報を発したり、空気圧に見合った制御を行なったりすることができる。」(【0020】?【0021】)

オ 図面の図3には、フィルム状の基板6が一枚であることが示されている。

そうすると、上記エの「図7の場合と同じである」及び上記ウの「図2の場合と異なるのはアンテナ15の形状である」の記載によれば、第4の実施例におけるセンサ部1の基本的な構造は、アンテナ15に関しては図7に示された第3の実施例、アンテナ以外に関しては図2に示された第1の実施例と同様であることが読み取れる。

したがって、引用例には、「自動車のタイヤホイール部に装着されタイヤの空気圧を検出する空気圧センサの出力信号を電波送信するセンサ部1であって、このセンサ部1は、車体側に取り付けられた計測ユニット3から照射されたマイクロ波を受信するアンテナ15及びこのアンテナ15にて受信したマイクロ波エネルギーを入力して整流し、電圧調整する電源変換部14を備え、この電源変換部14から前記センサ部1で必要な電力が送られるセンサ部1において、前記タイヤの空気圧を検出する空気圧センサ35と、検出した空気圧センサ35の出力信号を電波送信する直流アンプ36、AD変換器10、シリアル変換部11、送信部12、及び、アンテナ13と前記アンテナ15及び電源変換部14を有するセンサ部1が一枚のフィルム状の基板6の上に構成され、このフィルム状の基板6は、ホイールのリム周辺に貼られているセンサ部1。」の発明(以下「引用発明」という。)が記載されているものと認められる。

(3)対比・判断

ア 本願補正発明と引用発明との対比

本願補正発明と引用発明とを対比する。

引用発明の「自動車」、「タイヤホイール部に装着され」、「タイヤの空気圧を検出する空気圧センサの出力信号」、「電波送信する」、「センサ部1」、「車体側に取り付けられた」は、本願補正発明の「車両」、「タイヤに取り付けられ」、「タイヤの状態に関する情報」、「無線で送信する」、「タイヤセンサユニット」、「車体側に設けられた」にそれぞれ相当する。

引用発明の「計測ユニット3」、「照射された」、「マイクロ波」は、本願補正発明の「非接触型給電部」、「送出された」、「エネルギ」にそれぞれ相当し、マイクロ波エネルギーを整流すると直流となることを考慮すると、引用発明の「アンテナ15」及び「電源変換部14」は、本願補正発明の「非接触型受電部」に相当する。

引用発明の「センサ部1で必要な電力」、「送られる」は、本願補正発明の「タイヤセンサユニットの動作に必要な電力」、「供給する」にそれぞれ相当する。

引用発明の「空気圧センサ35」、「空気圧センサ35の出力信号」、「直流アンプ36、AD変換器10、シリアル変換部11、送信部12、及び、アンテナ13」、「フィルム状の基板6」は、本願補正発明の「圧力センサ」、「タイヤ空気圧に係る情報」、「回路部」、「シート状の基板」にそれぞれ相当する。そして、フィルム状であれば可撓性を有することが明らかであることと、センサ部1がフィルム状の基板6の上に構成されることはセンサ部1の各要素がフィルム状の基板6の上に構成されることであるから、上記相当関係を考慮すれば、引用発明の「前記タイヤの空気圧を検出する空気圧センサ35と、検出した空気圧センサ35の出力信号を電波送信する直流アンプ36、AD変換器10、シリアル変換部11、送信部12、及び、アンテナ13と前記アンテナ15及び電源変換部14を有するセンサ部1が一枚のフィルム状の基板6の上に構成され」ることは、本願補正発明の「前記タイヤの空気圧を検出する圧力センサと、検出したタイヤ空気圧に係る情報を無線送信するための回路部と、前記非接触型受電部とが可撓性を有する一枚のシート状の基板に設けられ」ることに相当する。

引用発明の「ホイールのリム周辺」と、本願補正発明の「タイヤ内のタイヤホイール表面」とは「タイヤホイール表面」である点で共通している。

引用発明の「貼られている」ことと、本願補正発明の「可塑剤を実質的に含まず、シリル基末端ポリマーを主成分とし、無機充填剤としての炭酸カルシウムを35?45重量%含有する接着剤にて接着されている」こととは「貼られている」点で共通している。

したがって、両者は、

[一致点]
「車両のタイヤに取り付けられタイヤの状態に関する情報を無線で送信するタイヤセンサユニットであって、このタイヤセンサユニットは、車体側に設けられた非接触型給電部から送出されたエネルギに基づいて直流電源を生成する非接触型受電部を備え、この非接触型受電部から前記タイヤセンサユニットの動作に必要な電力を供給するるタイヤセンサユニットにおいて、前記タイヤの空気圧を検出する圧力センサと、検出したタイヤ空気圧に係る情報を無線送信するための回路部と、前記非接触型受電部とが可撓性を有する一枚のシート状の基板に設けられ、この基板は、タイヤホイール表面に貼られているタイヤセンサユニット。」である点で一致し、以下の点で相違している。

[相違点1]
タイヤセンサユニットが取り付けられる位置が、本願補正発明では、「各々の」タイヤの「タイヤ内のタイヤホイール表面」であるのに対して、引用発明では、タイヤの「ホイールのリム周辺」である点。

[相違点2]
タイヤセンサユニットが、本願補正発明では、「可塑剤を実質的に含まず、シリル基末端ポリマーを主成分とし、無機充填剤としての炭酸カルシウムを35?45重量%含有する接着剤にて接着されている」のに対して、引用発明ではどのように貼られているのか特定がなされていない点。

イ 判断

以下、上記相違点について検討する。

[相違点1]について
タイヤセンサユニットを各々のタイヤのタイヤ内のタイヤホイール表面に取り付けることは周知の技術であり(例えば、特開平10-19710号公報(「【0016】【発明の実施の形態】以下、図面に基づいて本発明の一実施形態を説明する。図1は、本発明の第1の実施形態のタイヤ内空気圧モニター装置を示す構成図である。図において、1は車両で、各車輪2、ここでは4つの車輪2にはタイヤ内空気圧を検出する検出部10が設けられ、…。【0017】検出部10は、図2に示すように車両1の各車輪2毎にタイヤ2a内に設けられ、その取付位置は車輪2のホイール2bの内側である。…。」、図1、2)を参照)、かかる周知の技術を引用発明に適用して、本願補正発明のごとく構成することは、当業者が容易になし得たものである。

[相違点2]について
接着剤で接着して貼ることは普通に行われており、可塑剤を実質的に含まず、シリル基末端ポリマーを主成分とし、無機充填剤としての炭酸カルシウムを含有する接着剤は周知の技術である(例えば、原査定の拒絶の理由に引用された特開2000-169822号公報、特開2001-115022号公報を参照)。そして、無機充填剤としての炭酸カルシウムの含有量をどの程度にするかは、例えば、上記特開2001-115022号公報に「【0033】炭酸カルシウムを使用する場合の配合量は、(A)成分のオルガノポリシロキサン100部に対して10?200部、特に40?100部が好ましい。炭酸カルシウムの配合量が少なすぎると、スランプがでるため作業性が悪くなる場合があり、炭酸カルシウムの配合量が多すぎると硬くなるため吐出性が悪く、作業性が悪くなる場合がある。」と記載されているように作業性等を考慮して、好適化すべきものであり、当業者の通常の創作能力の発揮にすぎない。したがって、前記周知の技術を引用発明に適用して、本願補正発明のごとく構成することは、当業者が容易になし得たものである。

そして、本願補正発明の奏する効果も引用例の記載及び周知の技術から当業者が容易に予測し得る範囲のものにすぎない。

したがって、本願補正発明は、引用発明及び周知の技術に基いて、当業者が容易に発明をすることができたものであるから、特許法29条2項の規定により特許出願の際独立して特許を受けることができない。

(4)補正却下の決定のむすび

以上のとおり、本件補正は、平成18年改正前特許法第17条の2第5項において準用する同法第126条第5項の規定に違反するので、特許法第159条第1項において読み替えて準用する同法第53条第1項の規定により却下すべきものである。

3 本願発明
平成18年6月19日付けの手続補正は上記のとおり却下されたので、本願の請求項1?4に係る発明は、平成18年3月24日付けの手続補正書により補正された明細書及び図面の記載からみて、その特許請求の範囲の請求項1?4に記載された事項により特定されるとおりのものであると認められるところ、本願の請求項1に係る発明(以下「本願第1発明」という。)は次のとおりである。
「【請求項1】車両の各々のタイヤに取り付けられ各々のタイヤの状態に関する情報を無線で送信するタイヤセンサユニットであって、このタイヤセンサユニットは、車体側に設けられた非接触型給電部から送出されたエネルギに基づいて直流電源を生成する非接触型受電部を備え、この非接触型受電部から前記タイヤセンサユニットの動作に必要な電力を供給するる(当審注:「供給する」の誤記と認める。)タイヤセンサユニットにおいて、前記タイヤの空気圧を検出する圧力センサと、検出したタイヤ空気圧に係る情報を無線送信するための回路部と、前記非接触型受電部とが一枚のシート状の基板に設けられ、この基板は、可塑剤を実質的に含まず、シリル基末端ポリマーを主成分とし、無機充填剤としての炭酸カルシウムを35?45重量%含有する接着剤にてタイヤホイールに接着されていることを特徴とするタイヤセンサユニット。」

4 引用例
引用例には、図面とともに上記「2」の「(2)」において摘記した事項が記載されており、引用例には、同「(2)」において認定したとおりの引用発明が記載されているものと認められる。

5 対比・判断
本願第1発明は、上記「2」において検討した本願補正発明の発明特定事項のうち、「基板」及び「接着」についての限定を省いたものであり、本願補正発明が、引用発明及び周知の技術に基いて、当業者が容易に発明をすることができたものであるから、本願第1発明も同様の理由により、当業者が容易に発明をすることができたものである。

6 むすび
以上のとおりであるから、本願第1発明は、特許法29条2項の規定により特許を受けることができないものであり、他の請求項2?4に係る発明について判断を示すまでもなく、本願は、拒絶をすべきものである。

よって、結論のとおり審決する。
 
審理終結日 2008-07-03 
結審通知日 2008-07-08 
審決日 2008-07-28 
出願番号 特願2001-351955(P2001-351955)
審決分類 P 1 8・ 121- Z (G08C)
P 1 8・ 575- Z (G08C)
最終処分 不成立  
前審関与審査官 櫻井 健太  
特許庁審判長 杉野 裕幸
特許庁審判官 岡田 卓弥
山川 雅也
発明の名称 タイヤセンサユニット  
代理人 小山 有  

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