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審決分類 |
審判 全部無効 4項(5項) 請求の範囲の記載不備 A63F 審判 全部無効 2項進歩性 A63F 審判 全部無効 特120条の4、2項訂正請求(平成8年1月1日以降) A63F |
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管理番号 | 1184678 |
審判番号 | 無効2005-80077 |
総通号数 | 107 |
発行国 | 日本国特許庁(JP) |
公報種別 | 特許審決公報 |
発行日 | 2008-11-28 |
種別 | 無効の審決 |
審判請求日 | 2005-03-11 |
確定日 | 2008-08-18 |
訂正明細書 | 有 |
事件の表示 | 上記当事者間の特許第2634474号「スロットマシン」の特許無効審判事件についてされた平成18年 3月16日付け審決に対し、知的財産高等裁判所において審決取消の決定(平成18年(行ケ)第10195号 平成18年8月25日決定)があったので、さらに審理のうえ、次のとおり審決する。 |
結論 | 訂正を認める。 本件審判の請求は、成り立たない。 審判費用は、請求人の負担とする。 |
理由 |
理 由 1.手続の経緯 (1)本件特許第2634474号の請求項1乃至3に係る発明(以下「本件特許発明」という。)についての出願は、平成2年2月10日に出願され、平成9年4月25日に特許の設定登録がなされた。 (2)これに対して、平成17年3月11日に、請求人、石井 豪より特許無効の審判が請求され、平成18年3月16日に、請求項1、3に係る発明についての特許を無効とし、請求項2に係る発明についての審判請求は成り立たない旨の審決がなされたところ、平成18年4月26日に被請求人、アルゼ株式会社より当該審決の取消しを求める訴え(知的財産高等裁判所・平成18年(行ケ)第10195号事件)が提起された。 (3)その後、平成18年7月24日に訂正審判(訂正2006-39124号及び訂正2006-39125号)が請求され、知的財産高等裁判所により特許法第181条第2項の規定に基づく審決の取消しの決定がされた。 (4)そして、平成19年2月22日付けで特許法第134条の3第2項の規定による通知がなされ、その通知により指定された期間内である平成19年3月9日に訂正請求がされ、これに対して平成19年4月23日に請求人から弁駁書が提出された。 2.平成19年3月9日の訂正請求について (1)訂正事項 平成19年3月9日の訂正請求の内容は、本件特許発明の明細書を、訂正請求書に添付した訂正明細書によって訂正しようとするものであって、次の事項を訂正内容とするものである。 (訂正事項1) 特許明細書の特許請求の範囲の請求項1(特許公報第1欄第7行)及び請求項3(特許公報第3欄第11行)に「所定数」とあるのを、「25枚以上の所定枚数」と訂正する。 (訂正事項2) 特許明細書の特許請求の範囲の請求項1(特許公報第1欄第8、9行)及び請求項3(特許公報第3欄第12、13行)に「投入コインカウンタ及び配当コインカウンタの各々の計数値に基づきコインの配当データを求める」とあるのを、「投入コインカウンタの積算枚数をNT_(1)とし、その時点までに払い出された配当コインカウンタの積算枚数をST_(1)とし、該スロットマシンに予め設定されているペイアウト率をKとしたとき、 式 X=(ST_(1)/K)-NT_(1)で表される配当データXを求める」と訂正する。 ところで、訂正明細書の請求項3には、「投入コインカウンタの積算枚数をST_(1)とし、その時点までに払い出された配当コインカウンタの積算枚数をNT_(1)とし、」と記載されているが、訂正請求書の訂正事項b、請求項3の【訂正後】の項には、「投入コインカウンタの積算枚数をNT_(1)とし、その時点までに払い出された配当コインカウンタの積算枚数をST_(1)とし、」と記載され(第4頁末行?第5頁第1行)、請求項1や発明の詳細な説明の記載からも、訂正明細書の上記記載は誤記であり、訂正請求書の訂正事項bにおける記載が正しいものと認められる。 (訂正事項3) 特許明細書の特許請求の範囲の請求項1(特許公報第1欄第11行)に「前記配当データを表示する」とあるのを、「遊技者に、前記配当データXを表示する」と訂正する。 (訂正事項4) 特許明細書の特許請求の範囲の請求項1(特許公報第1欄第11、12行)に「表示用操作ボタンの押下」とあるのを、「遊技者による表示用操作ボタンの押下」と訂正する。 (訂正事項5) 特許明細書の特許請求の範囲の請求項3(特許公報第3欄第14行)に「配当データを記憶する」とあるのを、「配当データXを記憶する」と訂正する。 (訂正事項6) 特許明細書の特許請求の範囲の請求項3(特許公報第3欄第15、16行)に「この記憶手段から読み出された配当データを、投入コインの積算枚数を横軸としてグラフ表示する」とあるのを、「遊技者による表示用操作ボタンの押下に応答して前記記憶手段から読み出された配当データXを縦軸として、そして投入コインの積算枚数を横軸として、遊技者に、グラフ表示する」と訂正する。 (訂正事項7) 願書に最初に添附した明細書(以下、「当初明細書」という。)の第6頁第6?14行(特許公報第4欄第26?34行)及び平成8年11月1日付け手続補正書の第2頁第1、2行に「投入されたコインの枚数を積算する投入コインカウンタと、払い出された配当コインの枚数を積算する配当コインカウンタとを設けるとともに、所定の時点ごとにこれらのカウンタの計数値に基づいてコインの配当データを求める手段と、この手段により求められた配当データを記憶する記憶手段と、表示用操作ボタンの押下操作に応答し、前記記憶手段から配当データを順次に読み出して表示手段に表示させる制御手段」とあるのを、「投入されたコインの枚数を積算する投入コインカウンタと、払い出された配当コインの枚数を積算する配当コインカウンタと、前記投入コインカウンタの計数値が25枚以上の所定枚数増加するごとに、投入コインカウンタの積算枚数をNT_(1)とし、その時点までに払い出された配当コインカウンタの積算枚数をST_(1)とし、該スロットマシンに予め設定されているペイアウト率をKとしたとき、 式 X=(ST_(1)/K)-NT_(1)で表される配当データXを求める手段と、この手段により求められた配当データXを記憶する記憶手段と、遊技者に、前記配当データXを表示する表示手段と、遊技者による表示用操作ボタンの押下に応答して前記記憶手段から配当データXを順次に読み出して前記表示手段に表示させる制御手段」と訂正する。 (訂正事項8) 当初明細書の第7頁第15?17行(特許公報第5欄第4?6行)に「前記両カウンタの計数値そのもの、あるいは両者の比や差などによって表される配当データ」とあるのを、「前記両カウンタの計数値に基づき、ペイアウト率Kを考慮した値によって表される配当データX」と訂正する。 (訂正事項9) 当初明細書の第7頁第18?20行(特許公報第5欄第7?9行)に「過去の配当データ」とあるのを、「過去の配当データX」と訂正する。 (訂正事項10) 当初明細書の第10頁第14行(特許公報第6欄第7行)に「コイン配当データ」とあるのを、「コイン配当データX」と訂正する。 (訂正事項11) 当初明細書の第11頁第15?19行(特許公報第6欄第25?29行)に「なお、配当コインの積算枚数ST_(1)から投入コインの積算枚数NT_(1)を引いた値をXとしてもよいが、Xの値がオーバースケールしにくいように、上式のようにペイアウト率を考慮した値にして表示するのがよい。」とあるのを、「なお、Xの値がオーバースケールしにくいように、上式のようにペイアウト率Kを考慮した値にして表示する。」と訂正する。 (訂正事項12) 当初明細書の第14頁第19、20行(特許公報第8欄第28、29行)に「ドライバ20?22にックパルスを供給する。」とあるのを、「ドライバ20?22にクロックパルスを供給する。」と訂正する。 (訂正事項13) 当初明細書の第24頁第10?15行(特許公報第10欄第41?46行)に「さらに、表示する配当データとしても上述した演算式によるものに限られず、例えば投入コインの枚数が一定量増加するごとに、単に配当コインの積算枚数を表示したり、あるいはその期間内のペイアウト率を算出してこれを表示するようにしてもよい。」とあるのを削除する。 (訂正事項14) 当初明細書の第24頁第17行、第26頁第1行及び平成8年11月1日付け手続補正書の第2頁第12行(特許公報第10欄第48行、第11欄第15行及び第12欄第3行)に「配当データ」とあるのを、「配当データX」と訂正する。 (訂正事項15) 当初明細書の第25頁第5、6行及び平成8年11月1日付け手続補正書の第2頁第9行(特許公報第11欄第6、7行)に「ゲームデータが表示用操作ボタンの押下ごとに表示手段によって表示」とあるのを、「ゲームデータが遊技者による表示用操作ボタンの押下ごとに表示手段によって表示」と訂正する。 なお、訂正請求書に記載されている訂正事項eの「ドアパネル3」(当初明細書の第9頁第2行、特許公報第5欄第28行)、訂正事項gのうち「上式のように」(当初明細書の第11頁下から2行目、特許公報第6欄第29、30行)、訂正事項hのうち「ドライバ」(当初明細書の第14頁末行、特許公報第7欄第29行)、訂正事項iの「100枚を越えるたびに」(当初明細書の第21頁第8行、特許公報第9欄第39行)及び訂正事項jの「積算」(当初明細書の第22頁第12行及び平成7年2月27日付け手続補正書の第3頁第11行、特許公報第10欄第9行)については、当初明細書及び手続補正書に誤記はなく、特許公報のみの誤記なので、訂正事項とはしない。 (2)訂正の適否について (訂正事項1について) 上記訂正事項1は、訂正前の請求項1及び3における「所定数」を、「25枚以上の所定枚数」と限定するものである。 ところで、「25枚以上」という用語は、当初明細書に記載されてはいないが、「コイン配当データXは投入コインの積算枚数が100枚増えるごとに算出されるが、この間隔は50枚あるいは25枚ごとなど適宜変えることができ、」との記載があり(特開平3-234274号公報(以下、「公開公報」という。)の第3頁右下欄末行?第4頁左上欄第3行)、25枚が最小枚数として例示されていることから、25枚を下限とすることも自明な事項と認められる。 よって、訂正事項1は、特許明細書に記載された事項の範囲内において特許請求の範囲を減縮するものであって、実質上特許請求の範囲を拡張し又は変更するものではないと言える。 (訂正事項2について) 上記訂正事項2は、訂正前の請求項1及び3における「配当データを求める手段」について、「投入コインカウンタ及び配当コインカウンタの各々の計数値に基づきコインの配当データを求める」ものから、「投入コインカウンタの積算枚数をNT_(1)とし、その時点までに払い出された配当コインカウンタの積算枚数をST_(1)とし、該スロットマシンに予め設定されているペイアウト率をKとしたとき、 式 X=(ST_(1)/K)-NT_(1)で表される配当データXを求める」ものに限定するものである。 そして、訂正後の計算式については、当初明細書中に記載されており(公開公報の第4頁左上欄第6?13行)、投入コインカウンタ及び配当コインカウンタの各々の計数値だけでなく、ペイアウト率も利用して配当データを求めるものとなっている。 よって、訂正事項2は、特許明細書に記載された事項の範囲内において特許請求の範囲を減縮するものであって、実質上特許請求の範囲を拡張し又は変更するものではないと言える。 (訂正事項3、4及び6について) 上記訂正事項3、4及び6は、訂正前の請求項1及び3において、配当データを遊技者に対して表示すること、表示用操作ボタンが遊技者によって押下されることを限定するものである。 そして、これらの事項については、当初明細書中に「遊技者は、配当データ参照ボタン14を押すことによって過去のゲームのコイン配当状況を知ることができ、」(公開公報の第6頁左下欄第14?16行)、「遊技者は表示器16を観察することによって模擬遊技中のコインの配当状況の推移を知ることができる。」(公開公報の第7頁左上欄第4?6行)といった記載があり、配当データを表示する対象及び表示用操作ボタンを押下する者が不特定であったものを遊技者に限定するものとなっている。 また、訂正事項6では、配当データXを縦軸とする点の限定も付加しているが、この点は、当初明細書の第3図に記載されている。 よって、訂正事項3、4及び6は、特許明細書に記載された事項の範囲内において特許請求の範囲を減縮するものであって、実質上特許請求の範囲を拡張し又は変更するものではないと言える。 (訂正事項5、9、10及び14について) 訂正事項5、9、10及び14はいずれも「配当データ」を「配当データX」と訂正するものである。 これらの訂正は、請求項1及び3に用いる数式を分かり易くするために、もともと特許明細書で用いられていた「X」を付加したものであるから、いずれも特許明細書に記載された事項の範囲内において、明りょうでない記載の釈明を目的とするものであって、実質上特許請求の範囲を拡張し又は変更するものでもないと言える。 (訂正事項7、8、11、13、15について) 訂正事項7、8、11、13、15は、上記訂正事項1?4及び6の訂正によって特許請求の範囲の記載が訂正されたことに伴い、特許請求の範囲の記載と発明の詳細な説明の記載との整合を図るためのものである。 そして、これらの訂正事項は、上記した訂正事項1?4及び6についての判断理由と同様の理由により、いずれも特許明細書に記載された事項の範囲内において、明りょうでない記載の釈明を目的とするものであって、実質上特許請求の範囲を拡張し又は変更するものでもないと言える。 (訂正事項12について) 訂正事項12は、明らかな誤記の訂正を目的としたものであり、実質上特許請求の範囲を拡張し又は変更するものでもない。 (3)むすび 以上のとおり、上記訂正事項1?15は、いずれも、特許法第134条の2第1項ただし書及び同条第5項の規定により準用する同法第126条第3、4項の規定に適合するので、平成19年3月9日付けの訂正を認める。 3.請求人の主張 審判請求人は、審判請求書、平成17年10月27日付け意見書、平成19年4月23日付け弁駁書において、本件特許は、下記理由及び証拠から特許法123条第1項第2号又は同法123条第1項第4号により無効にすべきものであると主張する。 (1)無効理由1 本件特許は、特許法第36条第4項第2号に規定する要件を満たしていないので、特許法第123条第1項第4号の規定により、無効とされるべきである。 (1-1)請求項1、請求項3について 当該請求項には、「配当データ」が記載され、この「配当データ」は、請求項で「前記投入コインカウンタの計数値が所定数増加するごとに、投入コインカウンタ及び配当コインカウンタの各々の計数値に基づき求められる」と定義されている。 しかし、発明の詳細な説明では、配当データの具体例として、X=(ST1/K)-NT1が示され、「さらに、表示する配当データとしても上述した演算式によるものに限られず、例えば投入コインの枚数が一定量増加するごとに、単に配当コインの積算枚数を表示したり、あるいはその期間内のペイアウト率を算出してこれを表示するようにしてもよい。」(特許公報第10欄第41?46行)と記載されているだけである。 ここで、前述した「投入コインカウンタ及び配当コインカウンタの各々の計数値に基づき求められる」を解釈すると、権利範囲として、「投入コインカウンタ及び配当コインカウンタの各々の計数値」を加工して利用したデータのすべてが含まれてしまう。 このままでは、「配当データ」としてどのような構成までを含めるのかということが不明瞭であり、その結果発明の構成に欠くことができない事項のみを記載しているとはいえないから、特許法第36条第4項第2号に規定する要件を満たしていない(審判請求書第11頁第16行?第13頁第9行の主張)。 請求項の記載では、特許請求の範囲が広すぎて、実施可能要件に欠ける(平成17年10月27日付け意見書第3頁第18?22行の主張)。 平成19年3月9日付けの訂正によって、「投入コインカウンタの計数値が25枚以上の所定枚数増加するごとに」と訂正されたが、その訂正により、例えば、投入コインカウンタの計数値が1万枚、或いは10万枚という数値が権利範囲に含まれることとなり、グラフが成立しないこととなってしまうから、発明の範囲が不明確である(平成19年4月23日付け弁駁書第3頁第11行?第4頁第1行の主張)。 (1-2)請求項2について 当該請求項には「仮想配当データ」が記載されているが、当該「仮想配当データ」は、「第1カウンタの計数値が所定数増加するごとに、これらのカウンタの計数値に基づいて求められる」もの全てを含むことになるが、「仮想配当データ」の実施例は1つしか示されていないので、「仮想配当データ」としてどのような構成までを含めるのかということが不明瞭であり、その結果発明の構成に欠くことができない事項のみを記載しているとはいえない。 したがって、請求項2の記載は、特許法第36条第4項第2号に規定する要件を満たしていない(審判請求書第13頁第10行?第14頁第16行の主張)。 (2)無効理由2 請求項1、請求項3に係る本件発明は、特許法第29条第2項の規定に反して特許されたものであるから、特許法第123条第1項第2号の規定により、無効とされるべきものである。 (2-1)請求項1について 当該請求項に記載の発明は、甲第1号証に記載の発明、あるいは甲第1号証及び甲第3号証に記載の発明から容易に発明できたものである(審判請求書第14頁第18行?第19頁第4行の主張)。 (2-2)請求項3について 当該請求項に記載された発明は、甲第1号証に記載の発明と甲第2号証に記載の発明との単なる組合せであり、進歩性がない(審判請求書第19頁第5行?第22頁下から3行目の主張)。 (2-3)請求項1、3について 「投入コインカウンタの計数値が25枚以上の所定枚数増加するごとに」との訂正が不明確な訂正でないとしても、この数値「25枚」は単なる設計事項であるといえる(平成19年4月23日付け弁駁書第4頁第2?13行の主張)。 コイン配当データXの値を、X=(ST1/K)-NT1とすることによって、作用・効果が「Xの値がオーバースケールしにくいようになる」としているが、この記載は誤りであり、オーバースケールするか否かという点においては、X=(ST1/K)-NT1であっても、X=ST1-NT1であっても、ほとんど関係がない。その結果、前記数式に伴う限定は単なる設計事項に過ぎない(平成19年4月23日付け弁駁書第4頁第14行?第7頁第4行の主張)。 当該請求項の記載では、ペイアウト率についての言及がないので、「ペイアウト率=1」を含み、「ペイアウト率=1」としたときの訂正後の請求範囲は、「投入コインカウンタの積算枚数をNT1とし、その時点までに払い出された配当コインの積算枚数をST1としたとき、X=ST1-NT1で表される配当データXを求める手段」となるから、依然審決に記載された理由により、進歩性を有さない発明となっている(平成19年4月23日付け弁駁書第7頁第5?14行の主張)。 (証拠) 甲第1号証:特開昭56-156180号公報 甲第2号証:実開昭61-71184号公報 甲第3号証:実開昭63-13193号公報 4.被請求人の主張 被請求人は、「本件特許無効審判の請求は成り立たない。審判費用は請求人の負担とする。との審決を求め」(答弁の趣旨)、答弁書において、下記の理由により、本件特許は無効とされるべきものではないと主張する。 (1)無効理由1(特許法第36条第4項第2号違反)について (1-1)請求項1、請求項3について 本件請求項1及び請求項3に係る発明は、実施例において具体的に示された構成を記載したものではないけれども、本件発明の技術的思想を上位概念により把握し、これを表現したものであり、「発明の構成に欠くことができない事項のみを記載しているとはいえない」と判断することはできない。 権利範囲として、「投入コインカウンタ及び配当コインカウンタの各々の計数値」を加工して利用したデータのすべてを含んでしまうことは、本件発明の進歩性の有無に関る問題であって、本件明細書の特許請求の範囲の記載が特許法第36条第4項第2号の規定を満足するか否かの判断とは別のことである。 したがって、本件請求項1及び請求項3に係る発明は、特許法第36条第4項第2号の規定に違反していない(平成17年5月30日付け答弁書第7頁第17行?第9頁第15行の主張)。 (1-2)請求項2について 本件請求項2に係る発明は、実施例において具体的に示された構成を記載したものではないけれども、本件発明の技術的思想を上位概念により把握し、これを表現したものであり、「発明の構成に欠くことができない事項のみを記載しているとはいえない」と判断することはできない。 権利範囲として、「第1カウンタの計数値が所定数増加するごとに、これらのカウンタの計数値」を加工して利用したデータのすべてを含んでしまうことは、本件発明の進歩性の有無に関る問題であって、本件明細書の特許請求の範囲の記載が特許法第36条第4項第2号の規定を満足するか否かの判断とは別のことである。 したがって、本件請求項2に係る発明は、特許法第36条第4項第2号の規定に違反していない(平成17年5月30日付け答弁書第9頁第16行?第10頁下から5行目の主張)。 (2)無効理由2(特許法第29条第2項違反)について (2-1)請求項1について 当該請求項に係る発明は、甲第1号証及び甲第3号証記載のものに基づいて、当業者が容易に発明できたものであるとは言えず、特許法第29条第2項の規定に違反していない(平成17年5月30日付け答弁書第10頁下から3行目?第15頁第8行の主張及び平成17年10月31日付け意見書第7頁第11行?第13頁下から6行目の主張)。 当該請求項に係る発明は、当業者であっても、刊行物A(甲第3号証)、刊行物C(甲第1号証)に基づいて、容易に想到できるとはいえず、これらの刊行物からは期待できない格別の効果が期待できるものであるから、特許法第29条第2項の規定に違反してされたものではなく、同法第123条第1項第2号に該当するものではない(平成17年10月31日付け意見書第7頁第11行?第13頁下から6行目の主張)。 訂正発明1(訂正後の請求項1の発明)における配当データXは、スロットマシンに予め設定されているペイアウト率Kを考慮した、式X=(ST_(1)/K)-NT_(1)で求められる値であるので、刊行物A(甲第3号証)記載の入賞率(コインの投入数に対する払出し数)と異なる。また、刊行物Cには、訂正発明1の構成要件のうち、「遊技者に、前記配当データXを表示する表示手段と、遊技者による表示用操作ボタンの押下に応答して前記記憶手段から配当データXを順次に読み出して前記表示手段に表示させる制御手段とを備えた」点について記載されていない。そして、作用効果として前記配当データXを表示手段に表示することにより、配当データXをオーバースケールすることなく表示手段に表示することができる(平成19年3月9日付け訂正請求書第16頁下から5行目?第21頁下から5行目の主張)。 (2-2)請求項3について 当該請求項に係る発明は、甲第1号証及び甲第2号証記載のものに基づいて、当業者が容易に発明できたものであるとは言えず、特許法第29条第2項の規定に違反していない(平成17年5月30日付け答弁書第10頁下から3行目?第15頁第8行の主張)。 当該請求項に係る発明は、当業者であっても、刊行物A(甲第3号証)、刊行物B(甲第2号証)に基づいて、容易に想到できるとはいえず、これらの刊行物からは期待できない格別の効果が期待できるものですから、特許法第29条第2項の規定に違反してされたものではなく、同法第123条第1項第2号に該当するものではない(平成17年10月31日付け意見書第13頁下から5行?第15頁下から4行の主張)。 訂正発明3(訂正後の請求項3の発明)における配当データXは、スロットマシンに予め設定されているペイアウト率Kを考慮した、式 X=(ST_(1)/K)-NT_(1)で求められる値であるので、刊行物A(甲第3号証)記載の入賞率(コインの投入数に対する払出し数)と異なる。また、刊行物Bには、訂正発明3の構成要件のうち、「式 X=(ST_(1)/K)-NT_(1)で表される配当データXを求める手段と、この手段により求められた配当データXを記憶する記憶手段と、遊技者による表示用操作ボタンの押下に応答して前記記憶手段から読み出された配当データXを縦軸として、そして投入コインの積算枚数を横軸として、遊技者に、グラフ表示する表示手段とを備えたこと」について何ら記載が無く、示唆さえされていない。 また、前記式 X=(ST_(1)/K)-NT_(1)で表される配当データXを求める手段を採択し、前記配当データXを表示手段に表示することにより、配当データXを限られたスペースの表示手段に制約されることなく、またオーバースケールすることなく縦軸としてグラフ表示することができる(平成19年3月9日付け訂正請求書第21頁下から4行目?第25頁下から6行目の主張)。 5.本件発明 平成19年3月9日付けの訂正は上記2.のとおり認められるので、本件特許第2634474号の請求項1?3に係る発明(以下「本件発明1?3」という)は、当該訂正明細書の特許請求の範囲の請求項1?3の記載及び訂正請求書の訂正事項bの記載等から見て次のとおりのものと認められる。 (本件発明1) 「コインの投入後にゲームが開始され、入賞が得られたときには配当コインを払い出すスロットマシンにおいて、 投入されたコインの枚数を積算する投入コインカウンタと、配当コインの枚数を積算する配当コインカウンタと、前記投入コインカウンタの計数値が25枚以上の所定枚数増加するごとに、投入コインカウンタの積算枚数をNT_(1)とし、その時点までに払い出された配当コインカウンタの積算枚数をST_(1)とし、該スロットマシンに予め設定されているペイアウト率Kとしたとき、 式 X=(ST_(1)/K)-NT_(1)で表される配当データXを求める手段と、この手段により求められた配当データXを記憶する記憶手段と、遊技者に、前記配当データXを表示する表示手段と、遊技者による表示用操作ボタンの押下に応答して前記記憶手段から配当データXを順次に読み出して前記表示手段に表示させる制御手段とを備えたことを特徴とするスロットマシン。」 (本件発明2) 「コインの投入後にシンボル列を移動してゲームが開始され、入賞が得られたときには配当コインを払い出すスロットマシンにおいて、 乱数をサンプリングするサンプリング手段と、サンプリングされた乱数に対応して入賞の種類及び前記配当コインの枚数を決める入賞設定手段と、この入賞設定手段で決められた入賞の種類が得られるように前記シンボル列の停止位置を決める停止制御手段と、模擬遊技開始部材と、この模擬遊技開始部材の操作によりコインの投入の有無に係わらずコインの投入を逐次仮想しながら、シンボル列を停止させたままで前記サンプリング手段及び入賞設定手段を繰り返し作動させる模擬遊技実行手段と、仮想されたコインの投入枚数を積算する第1カウンタと、模擬遊技開始部材の操作後に前記入賞設定手段で得られた配当コインの枚数を積算する第2カウンタと、第1カウンタの計数値が所定数増加するごとに、これらのカウンタの計数値に基づいてコインの仮想配当データを求める手段と、この手段により得られた仮想配当データを記憶する記憶手段と、この記憶手段から読み出された仮想配当データを表示する表示手段とを備えたことを特徴とするスロットマシン。」 (本件発明3) 「コインの投入後にゲームが開始され、入賞が得られたときには配当コインを払い出すスロットマシンにおいて、 投入されたコインの枚数を積算する投入コインカウンタと、配当コインの枚数を積算する配当コインカウンタと、前記投入コインカウンタの計数値が25枚以上の所定枚数増加するごとに、投入コインカウンタの積算枚数をNT_(1)(「ST_(1)」とあるが誤記と認める。)とし、その時点までに払い出された配当コインカウンタの積算枚数をST_(1)(「NT_(1)」とあるが誤記と認める。)とし、該スロットマシンに予め設定されているペイアウト率Kとしたとき、 式 X=(ST_(1)/K)-NT_(1)で表される配当データXを求める手段と、この手段により求められた配当データXを記憶する記憶手段と、遊技者による表示用操作ボタンの押下に応答して前記記憶手段から読み出された配当データXを縦軸として、そして投入コインの積算枚数を横軸として、遊技者に、グラフ表示する表示手段とを備えたことを特徴とするスロットマシン。」 6.甲第1号証?甲第3号証の刊行物記載事項 (A)甲第3号証について 甲第3号証の刊行物である実願昭61-106360号(実開昭63-13193号)のマイクロフィルム(以下、「刊行物A」という。)には、「出玉状況表示装置付き遊技機」の発明に関して、第1図?第3図とともに、次の事項が記載されている。 (A-1)「2.実用新案登録請求の範囲 遊技台と、この遊技台の投入口より投入された遊技球の数をカウントする投入検出器と、前記遊技台の払出し口から払いだされた遊技球の数をカウントする払出し検出器と、これら投入検出器と払出し検出器からの出力を比較する比較器と、前記遊技台もしくは遊技台の近傍に配置し、前記比較器からの出力を出玉状況として表示する表示器とからなる出玉状況表示装置付き遊技機。」(明細書第1頁第4?12行) (A-2)「[従来の技術] ぱちんこ遊技機、回胴遊技機、アレンジボール遊技機およびじゃん球遊技機(これらを総称して遊技機という。)は、多くの人達に愛好され楽しまれている。・・・ このため、愛好家達は遊技を始めるに際し、慎重に遊技台の選択を行なうとともに、遊技台の過去の出玉状況(本考案で出玉状況とは、入賞率、現在までの入賞具合の推移、当りの出た回数、時間、あるいは出玉に関する全ての状況の全部もしくは一部をいう。)にもとづいて将来の出玉状況を予測し、この予測結果が当るかどうかをゲーム的に楽しむ傾向にある。」(明細書第2頁第1行?末行) (A-3)「[解決すべき問題点] しかしながら、従来の遊技機においては、出玉状況の良い遊技台を選択する際の判断資料となるものがほとんど表示されておらず、僅かに大当りした回数のみを当り札で表示する程度であった。したがって、入賞率(遊技球の投入数に対する払出し数)、現在までの入賞具合の推移、あるいは当りの出た時間とその回数等、愛好家達が今後の出玉状況の傾向を予測する上で必要な、遊技台の過去の出玉状況に関する情報が得られず、単に当り札の枚数を参考にして判断するしかなかった。」(明細書第3頁第1?11行) (A-4)「 第1図は本考案を回胴遊技機(通称、パチスロ)に応用した一実施例の正面図、第2図は表示器の拡大正面図、第3図は表示装置のブロック構成図を示す。 第1図において、10は回胴遊技機の遊技台であり、その基本的構成は、従来のものと同じ構成となっている。この遊技台10の正面には、メダル投入口11、入賞メダル払出し口12、回動窓13、スタートレバー14a、停止ボタン14bなどが設けてある。 また、遊技台10の内部には、メダル投入口11より投入されたメダルの数をカウントする投入メダル検出器15(第1図には図示してないが、通常は投入口11の裏側近辺に設けてある。)、メダル払出し口12より払い出されたメダルの数をカウントする払出しメダル検出器16(第1図には図示してないが、通常は遊技台内部に設けたメダルホッパ内に設けてある。)、回胴(図示せず)あるいはCPUからなる制御部(図示せず)などが設けてある。 21は表示器であり、遊技台10の正面の比較的見易い位置に取り付けてある。この表示器21は、前述の投入メダル検出器15と払出しメダル検出器16、投入メダル検出器15からの信号と払出しメダル検出器16からの信号を比較する比較器22、および当りの状態を検出する回胴位置検出器23とで出玉状況表示装置を形成している。 表示器21は、比較器22からの出力(投入メダル数に対する払出しメダル数の比率)を受けて、これを時々刻々グラフ21aで示すことにより、入賞率と入賞具合の推移を表示する。」(明細書第5頁第4行?第6頁第17行) 上記記載事項(A-1)?(A-4)及び図面に示された内容を総合すると、刊行物Aには、次の発明(以下、「引用発明A」という。)が記載されている。 「回胴遊技機において、 投入されたメダルの数をカウントする投入メダル検出器15と、払い出されたメダルの数をカウントする払出しメダル検出器16と、前記投入メダル検出器15からの信号と前記払出しメダル検出器16からの信号を比較する比較器22と、遊技台10の正面の比較的見易い位置に取り付けてあり、前記比較器22からの出力を受けて、これを時々刻々グラフ21aで示すことにより、入賞率と入賞具合の推移を表示する表示器21とからなる回胴遊技機。」 (B)甲第2号証について 甲第2号証の刊行物である実願昭59-156481号(実開昭61-71184号)のマイクロフィルム(以下、「刊行物B」という。)には、「プレイデータ表示装置」の発明に関して、第1、2図とともに、次の事項が記載されている。 (B-1)「 考案の目的 この考案は、前述のような従来技術の欠点を解消して、ゲームの流れのパターンを容易に把握することができるとともにプレイデータの数値をアナログ的に容易に把握することのできるプレイデータ表示装置を提供することを目的としている。」(明細書第2頁第14行?第3頁第2行) (B-2)「 符号4は多数のゲーム機(パチンコ台やスロットマシンなど)を示している。図には代表的に2台のゲーム機4が示してある。 プリンタ本体1からはケーブル5が伸びており、各ゲーム機4はリード線6を介してそのケーブル5に電気的に接続されている。また、各ゲーム機4とケーブル5の間にはメモリー基板7が設けてある。これらのメモリー基板7はそれぞれ対応するゲーム機4のプレイデータを記憶するようになっており、必要に応じてケーブル5を経てプリンタ本体1に伝えられるようになっている。」(明細書第5頁第6?17行) (B-3)「ある時点におけるグラフ図形の位置をみれば、それまでの投入数を横軸から知ることができ、その投入数と当り数との差引数を縦軸から知るとができる。」(明細書第7頁第1?4行) (C)甲第1号証について 甲第1号証の刊行物である特開昭56-156180号公報(以下、「刊行物C」という。)には、「メダル遊技機」の発明に関して、図面とともに、次の事項が記載されている。 (C-1)「 そこで本発明は、メダルの投入を検知するメダル検知装置と、メダル検知装置からの検知信号により所定のゲームを行なう遊技装置と、ゲーム終了時ゲーム結果によって得点を表示する得点表示装置と、得点に応じた枚数のメダルを払い出すメダル払い出し装置と、これら各装置を制御する演算部とを有するメダル遊技機において、演算部をメダル検知装置の検知信号及びメダル払い出し装置の払い出し信号の各累計を記憶し、所定の入力によりこれら累計の一方又は双方を得点表示装置に表示するよう形成することで、別体のカウンターを設置せず、得点表示装置にてメダル枚数表示を行なう様にし、製造コストの低廉化を図り、あわせて、枚数表示を読み易くし、作業能率の向上を図ること等を目的に創作されたものである。」(第2頁左上欄第2?18行) (C-2)「 本発明は、投入メダル(M)枚数と、払い出しメダル(M)枚数とが、各々演算部(10)に累計記憶され、適宜入力によつてその枚数を得点表示装置(40)に出力するので、そのゲーム機の稼働状態の把握が容易に行なえる。又各ゲーム終了時の得点を表示する得点表示装置(40)を、メダル(M)枚数表示に用いるので、別体としてのカウンター等を用いる必要がなく、製造コストの低減が図れる。あわせて、ゲーム終了時の得点を表示する得点表示装置(40)は、その性質上遊技客の見易いゲーム機表側に設けるので、メダル(M)枚数を示した数字の読み取りが容易に行なえ、作業能率の向上にも寄与する。 なお演算部(10)を、投入メダル(M)枚数と払い出しメダル(M)枚数との差を計算し、この数字を得点表示装置(40)に表示する様に形成すると、ゲーム機の稼動状態の把握が一層容易に行なえ便利である。」(第2頁右下欄第4行?第3頁左上欄第2行) (C-3)「 又演算部(10)から得点表示装置(40)にメダル(M)枚数を表示する出力を送る為の演算部(10)への入力は、例えばゲーム機の表板(図示せず)の開放に連動させることもできるし、1日のゲーム終了時に遊技場内の集中管理室からの指令によつて行なうように形成しても良い。」(第3頁左欄第16行?同頁右欄第2行) 7.当審の判断 (1)無効理由1(特許法第36条第4項第2号違反)について (1-1)請求項1、請求項3の「配当データX」について 審判請求人は、3.(1-1)に記載したように、請求項1及び3の記載では、「配当データ」としてどのような構成までを含めるのかということが不明瞭であり、その結果発明の構成に欠くことができない事項のみを記載しているとはいえない。また、特許請求の範囲が広すぎて、実施可能要件に欠けると主張している。 しかし、平成19年3月9日付けの訂正明細書により、「配当データX」を、式 X=(ST_(1)/K)-NT_(1)で表しており、この訂正により請求人の主張する請求項1及び3の不備は解消したと言える。 (1-2)請求項1、請求項3の「25枚以上の所定枚数」について 審判請求人は、3.(1-1)の最終段に記載したように、「投入コインカウンタの計数値が25枚以上の所定枚数増加するごとに」との訂正では、投入コインカウンタの計数値が非常に大きい数値が含まれ、グラフが成立しないこととなってしまうから、発明の範囲が不明確である旨主張している。 しかし、特許明細書及び平成17年5月30日付け訂正明細書における請求項1及び3にも「投入コインカウンタの計数値が所定数増加するごとに」と記載され、所定数には上限も下限もなかったところ、審判請求人は平成17年10月27日付けの意見書において、訂正無効理由通知で挙げた請求項1と引用発明Aとの相違点(b)及び請求項3と引用発明Aとの相違点(a)について、所定数は1枚を含む概念であるから、相違点ではなく一致点である旨の主張(所定数の下限についての主張)はしているものの、所定数の上限については、審判請求書及び上記意見書において、格別の主張を行っていない。 平成19年3月9日付けの訂正明細書は、上限も下限もなかった「所定数」を改めて、下限を付加した「25枚以上の所定枚数」と減縮する訂正をしたものであり、その訂正によって上記のような記載不備が発生したとの審判請求人の主張は首尾一貫しない。 また、特許明細書における「所定数」及び平成19年3月9日付けの訂正明細書における「25枚以上の所定枚数」は、いずれも発明の詳細な説明(特に、〔従来の技術〕、〔発明が解決しようとする課題〕及び〔発明の目的〕の項)の記載に照らせば、投入コインの総数と配当コインの総数との比が必ずしもペイアウト率には一致しない、限られた短い期間内におけるゲームの結果を知ることができるような数に設定されることが把握できる。 よって、「所定数」や「25枚以上の所定枚数」にその上限が設定されていないからといって、請求項1及び3の記載が不明瞭なものと言うことはできない。 (1-3)請求項2の「仮想配当データ」について 審判請求人は、3.(1-2)に記載したように、請求項2の記載では、「仮想配当データ」としてどのような構成までを含めるのかということが不明瞭であり、その結果発明の構成に欠くことができない事項のみを記載しているとはいえないと主張している。 しかし、平成2年改正前の特許法施行規則(第24条、様式第16備考14のロ)には、発明の構成が実際上どのように具体化されるかを示す実施例は、特許出願人が最良の結果をもたらすと思うものをなるべく他種類掲げて記載することが規定されてはいるが、同規則は全ての実施例を記載することまで要求するものではない。 しかも、請求項2に記載された発明全体をみても不明瞭な点は認められない。 したがって、当該請求項が、平成2年改正前の特許法第36条第4項第2号に規定する要件を充足していないということはできない。 (1-4)まとめ 以上検討したことから、本件特許明細書、すなわち、訂正明細書の記載に、請求人が主張するような記載不備はないといえる。 (2)無効理由2(29条2項)について (2-1)本件発明1及び3と引用発明Aとの対比 そこで、本件特許発明と引用発明Aとを比較すると、引用発明Aの「回胴遊技機」は、本件特許発明の「スロットマシン」に相当し、以下同様に、 「投入されたメダルの数」は「投入されたコインの枚数」に、 「カウントする」は「積算する」に、 「投入メダル検出器15」は「投入コインカウンタ」に、 「払い出されたメダルの数」は「配当コインの枚数」に、 「払出しメダル検出器16」は「配当コインカウンタ」に、 「表示器21」は「表示手段」に、 「グラフ21aで示す」は「グラフ表示する」に、 それぞれ相当する。 また、刊行物Aの記載全体等から見て、次のことが言える。 a.引用発明Aにおける、「回胴遊技機」は、メダル(コイン)の投入後にゲームが開始され、入賞が得られたときには所定数のメダル(配当コイン)を払い出すものであることが明らかである。 b.引用発明Aにおける、「前記投入メダル検出器15からの信号と前記払出しメダル検出器16からの信号を比較する比較器22」と、本件特許発明における「式 X=(ST_(1)/K)-NT_(1)で表される配当データXを求める手段」とは、「投入されたコインの枚数と配当コインの枚数の計数値に基づき入賞状況を求める手段」である点で共通している。 c.引用発明Aにおける「表示器21」は、遊技台10の正面の比較的見易い位置に取り付けてあるから、遊技者に、入賞状況を表示する表示手段であることが明らかである。 d.引用発明Aにおいて「比較器22からの出力を受けて、これを時々刻々グラフ21aで示すことにより、入賞率と入賞具合の推移を表示する」ことと、本件発明1において、「遊技者による表示用操作ボタンの押下に応答して前記記憶手段から配当データXを順次に読み出して前記表示手段に表示させる制御手段」とは、入賞状況を表示手段に表示させる指令及び表示制御を行なう「表示指令・制御手段」において共通する。 e.引用発明Aにおいて「比較器22からの出力を受けて、これを時々刻々グラフ21aで示すことにより、入賞率と入賞具合の推移を表示する」ことと、本件発明3において、「遊技者による表示用操作ボタンの押下に応答して前記記憶手段から読み出された配当データXを縦軸として、そして投入コインの積算枚数を横軸として、遊技者に、グラフ表示する」こととは、「入賞状況を遊技者に、グラフ表示する」点において共通する。 以上を総合すると、本件発明1と引用発明Aは、 「コインの投入後にゲームが開始され、入賞が得られたときには配当コインを払い出すスロットマシンにおいて、 投入されたコインの枚数を積算する投入コインカウンタと、配当コインの枚数を積算する配当コインカウンタと、投入されたコインの枚数と配当コインの枚数の計数値に基づき入賞状況を求める手段と、遊技者に、前記入賞状況を表示する表示手段と、表示指令・制御手段とを備えたスロットマシン。」 の点で一致し、以下の点で相違している。 [相違点1] 本件発明1は、「投入コインカウンタの計数値が25枚以上の所定枚数増加するごと」のタイミングで配当データXを求め、該配当データXを記憶手段に記憶させているのに対し、引用発明Aは、各信号を比較するタイミングが逐次であり、その比較結果を記憶する構成が明らかでない点。 [相違点2] 本件発明1においては、投入コインカウンタの積算枚数をNT_(1)とし、その時点までに払い出された配当コインカウンタの積算枚数をST_(1)とし、該スロットマシンに予め設定されているペイアウト率Kとしたとき、式 X=(ST_(1)/K)-NT_(1)で表される配当データXを求めるのに対し、引用発明Aでは、投入メダル検出器15からの信号と払出しメダル検出器16からの信号を比較している点。 [相違点3] 本件発明1においては、遊技者による表示用操作ボタンの押下に応答して前記記憶手段から順次に読み出した配当データXに基づいて表示するのに対し、引用発明Aでは、時々刻々表示しており、比較器22からの逐次出力に基づいて表示する点。 また、同様に本件発明3と引用発明Aは、 「コインの投入後にゲームが開始され、入賞が得られたときには配当コインを払い出すスロットマシンにおいて、 投入されたコインの枚数を積算する投入コインカウンタと、配当コインの枚数を積算する配当コインカウンタと、投入されたコインの枚数と配当コインの枚数の計数値に基づき入賞状況を求める手段と、遊技者に、前記入賞状況を遊技者に、グラフ表示する表示手段とを備えたスロットマシン。」 の点で一致し、上記相違点1?3と同様の点及び以下の点で相違している。 [相違点4] 本件発明3においては、配当データXを縦軸として、そして投入コインの積算枚数を横軸として、グラフ表示しているのに対し、引用発明Aは、縦軸及び横軸のパラメータが明らかでない点。 (2-2)各相違点についての検討 [相違点1について] データを求めるタイミングについては、どの程度の精度が求められるかに応じて、当業者が適宜のタイミングを選択できることであるから、そのタイミングとして、「投入コインカウンタの計数値が25枚以上の所定枚数増加するごと」とすることも、本件発明1、3及び引用発明Aともに、基礎となるデータが、「投入されたコインの枚数」及び「配当コインの枚数」であることからして、当業者が適宜採用できる程度の事項である。 また、引用発明Aにおいて、グラフ表示の為には、表示すべきデータを記憶しておかなければならないこと、その為の記憶手段が必要なことは、当業者における技術常識である。 したがって、相違点1は格別のものではない。 [相違点2について] 本件発明1及び3においては、配当データXを、投入コインカウンタの積算枚数をNT_(1)とし、その時点までに払い出された配当コインカウンタの積算枚数をST_(1)とし、該スロットマシンに予め設定されているペイアウト率Kとしたとき、式 X=(ST_(1)/K)-NT_(1)により求めており、該式を用いることにより、訂正請求書の第21頁第4?8行及び第25頁第8?12行に記載されるように「配当データXをオーバースケールすることなく表示手段に表示することができる」という作用効果を奏するものと認められる。 この作用効果について、審判請求人は、上記3.(2-3)に記載したように、コイン配当データXの値を、X=(ST1/K)-NT1とすることによって、作用・効果が「Xの値がオーバースケールしにくいようになる」としているが、この記載は誤りであり、オーバースケールするか否かという点においては、X=(ST1/K)-NT1であっても、X=ST1-NT1であっても、ほとんど関係がない。その結果、前記数式に伴う限定は単なる設計事項に過ぎないと主張している(平成19年4月23日付け弁駁書第4頁第14行?第7頁第4行)。 審判請求人は、その根拠を、±500超でオーバースケールするとして、 投入コインの積算枚数をNT1=500、その時点までに払い出された配当コインの積算枚数をST1=1000とした組合せ(以下、「組合せ1」という。)と、 投入コインの積算枚数をNT1=1000、その時点までに払い出された配当コインの積算枚数をST1=500とした組合せ(以下、「組合せ2」という。)について、 K=1.2、1.0、0.8として、コイン配当データXを計算すると、 K=1.0の場合、組合せ1でX=+500、組合せ2でX=-500となって、いずれもオーバースケールしないのに、K=1.2としたときには、組合せ2でX=-583となってオーバースケールし、K=0.8としたときには、組合せ1でX=+750となってオーバースケールしてしまうから、ペイアウト率Kを考慮すると「Xの値がオーバースケールしにくいようになる」との記載は誤りであると主張している(平成19年4月23日付け弁駁書第5頁第19行?第6頁下から6行目)。 しかし、この説明はペイアウト率Kの定義を無視したものであり、正しくない。 ペイアウト率Kは、スロットマシンごとに予め適当な値に設定されるものであって、ゲームの消化回数が多くなるにしたがって、投入コインの総数に対する配当コインの総数の比は前記ペイアウト率に近い値になってゆくものである(特許公報第3欄第29?45行参照)。 すなわち、投入コインの積算枚数(NT_(1))が大きい枚数、例えば3000の場合、配当コインの積算枚数(ST_(1))は3000×Kとなる確率が高いから、コイン配当データX=(ST_(1)/K)-NT_(1)=(3000×K/K)-3000=3000-3000=0となる確率も高くなり、投入コインの積算枚数が大きくなっても、ペイアウト率Kの設定値にかかわらず、コイン配当データXがオーバースケールしにくいのである。 これに対して、ペイアウト率Kを考慮しない式、X=ST_(1)-NT_(1)によってコイン配当データを求めると、NT_(1)=3000、K=1.2の場合には、ST_(1)=3600となる確率が高いから、コイン配当データX=ST_(1)-NT_(1)=3600-3000=+600となる確率が高く、NT_(1)=3000、K=0.8の場合には、ST_(1)=2400となる確率が高いから、コイン配当データX=ST_(1)-NT_(1)=2400-3000=-600となる確率が高くなって、いずれもオーバースケールしやすいのである。 審判請求人はまた、上記3.(2-3)に記載したように、当該請求項の記載では、ペイアウト率についての言及がないので、「ペイアウト率=1」を含み、「ペイアウト率=1」としたときの訂正後の請求範囲は、「投入コインカウンタの積算枚数をNT1とし、その時点までに払い出された配当コインの積算枚数をST1としたとき、X=ST1-NT1で表される配当データXを求める手段」となるから、依然審決に記載された理由により、進歩性を有さない発明となっていると主張している(平成19年4月23日付け弁駁書第7頁第5?14行)。 しかし、K=1の時に計算結果が同じになることをもって、ペイアウト率Kを全く考慮しない式 X=ST_(1)-NT_(1)に基づいて、ペイアウト率Kを考慮する式 X=(ST_(1)/K)-NT_(1)が容易に導き出せるという主張には飛躍がある。 また、式 X=(ST_(1)/K)-NT_(1)に基づく演算においては、ST_(1)をKで割る過程が必ず入るので、式 X=ST_(1)-NT_(1)で表される配当データXを求める手段と式 X=(ST_(1)/K)-NT_(1)で表される配当データXを求める手段とが同一であるということもできない。 よって、出願人の上記主張は採用できない。 さらに、コイン配当データXを求めるに際して、ペイアウト率Kを考慮し、コイン配当データXをオーバースケールしにくくする発想は、刊行物B及びC(甲第2及び1号証)のいずれにも記載されておらず、該発想を記載した他の証拠を発見することもできない。 したがって、相違点2に係る本件発明1及び3の構成は、刊行物A?C(甲第1?3号証)並びに他の証拠に基づいて当業者が容易に想到し得たものということができない。 [相違点3について] 要求に応じて動作する、オン・デマンドは周知の動作指令手段であり、遊技機においても遊技データの取得・表示手段として、上記6.(C-3)に記載した様に刊行物C(甲第1号証)には、オン・デマンド型のデータ取得・表示手段が示されている。 したがって、引用発明Aにおけるグラフ表示の為のデータ取得・表示手段として、刊行物Cに記載されたオン・デマンド型のデータ取得・表示手段を採用することは当業者が適宜なし得る程度の事項である。 さらに、動作指令手段としての、押下するタイプの操作用ボタンは周知の手段であるから、当該動作指令手段として、押下するタイプの操作用ボタンを用い、該操作ボタンの押下に応答して配当データXのグラフを表示することは当業者が通常実施する単なる設計的事項である。 したがって、相違点3は格別のものではない。 [相違点4について] 上記6.(B)に記載した様に刊行物B(甲第2号証)には、プレイデータの数値をアナログ的に把握する為の手段として、それまでの投入数(投入コインの積算枚数)を横軸にし、その投入数と当り数との差引数を縦軸にしてグラフ表示した、プレイデータ表示装置が示されている。 そして、当該プレイデータ表示装置における表示手法を引用発明Aに適用し、配当データXを縦軸とし投入コインの積算枚数を横軸としてグラフ表示することは、いずれのデータもスロットマシンに関するプレイデータであるから、当業者ならば容易になし得ることである。 したがって、相違点4は格別のものではない。 (2-3)まとめ 以上検討したことから、上記相違点2に係る本件発明1及び3の構成は、上記(2-2)[相違点2について]の項で検討したとおり、刊行物A?C(甲第1?3号証)に記載された発明並びに他の証拠に記載された発明に基づいて当業者が容易に想到し得たものということができない。 8.むすび 以上のとおり、本件発明1?3の特許は、審判請求人が主張する理由及び証拠によっては、無効とすべきものということができない。 審判に関する費用については、特許法第169条第2項の規定で準用する民事訴訟法第61条の規定により、請求人が負担すべきものとする。 よって、結論のとおり審決する。 |
発明の名称 |
(54)【発明の名称】 スロットマシン (57)【特許請求の範囲】 【請求項1】 コインの投入後にゲームが開始され、入賞が得られたときには配当コインを払い出すスロットマシンにおいて、 投入されたコインの枚数を積算する投入コインカウンタと、配当コインの枚数を積算する配当コインカウンタと、前記投入コインカウンタの計数値が25枚以上の所定枚数増加するごとに、投入コインカウンタの積算枚数をNT_(1)とし、その時点までに払い出された配当コインカウンタの積算枚数をST_(1)とし、該スロットマシンに予め設定されているペイアウト率をKとしたとき、 で表される配当データXを求める手段と、この手段により求められた配当データXを記憶する記憶手段と、遊技者に、前記配当データXを表示する表示手段と、遊技者による表示用操作ボタンの押下に応答して前記記憶手段から配当データXを順次に読み出して前記表示手段に表示させる制御手段とを備えたことを特徴とするスロットマシン。 【請求項2】 コインの投入後にシンボル列を移動してゲームが開始され、入賞が得られたときには配当コインを払い出すスロットマシンにおいて、 乱数をサンプリングするサンプリング手段と、サンプリングされた乱数に対応して入賞の種類及び前記配当コインの枚数を決める入賞設定手段と、この入賞設定手段で決められた入賞の種類が得られるように前記シンボル列の停止位置を決める停止制御手段と、模擬遊技開始部材と、この模擬遊技開始部材の操作によりコインの投入の有無に係わらずコインの投入を逐次仮想しながら、シンボル列を停止させたままで前記サンプリング手段及び入賞設定手段を繰り返し作動させる模擬遊技実行手段と、仮想されたコインの投入枚数を積算する第1カウンタと、模擬遊技開始部材の操作後に前記入賞設定手段で得られた配当コインの枚数を積算する第2カウンタと、第1カウンタの計数値が所定数増加するごとに、これらのカウンタの計数値に基づいてコインの仮想配当データを求める手段と、この手段により得られた仮想配当データを記憶する記憶手段と、この記憶手段から読み出された仮想配当データを表示する表示手段とを備えたことを特徴とするスロットマシン。 【請求項3】 コインの投入後にゲームが開始され、入賞が得られたときには配当コインを払い出すスロットマシンにおいて、 投入されたコインの枚数を積算する投入コインカウンタと、配当コインの枚数を積算する配当コインカウンタと、前記投入コインカウンタの計数値が25枚以上の所定枚数増加するごとに、投入コインカウンタの積算枚数をST_(1)とし、その時点までに払い出された配当コインカウンタの積算枚数をNT_(1)とし、該スロットマシンに予め設定されているペイアウト率をKとしたとき、 で表される配当データXを求める手段と、この手段により求められた配当データXを記憶する記憶手段と、遊技者による表示用操作ボタンの押下に応答して前記記憶手段から読み出された配当データXを縦軸として、そして投入コインの積算枚数を横軸として、遊技者に、グラフ表示する表示手段とを備えたことを特徴とするスロットマシン。 【発明の詳細な説明】 〔産業上の利用分野〕 本発明はスロットマシンに関し、詳しくは、過去に実行されたゲームについての情報や、ゲームを模擬的に実行させたときの様子を表示する表示器を備えたスロットマシンに関するものである。 〔従来の技術〕 スロットマシンゲームでは、ゲームの開始に先立ってコイン(あるいはメダルやトークン)を投入し、ゲームにより入賞が得られたときには入賞のランクに応じた枚数の配当コインが得られるようになっている。 投入コインの総数に対する配当コインの総数の比はペイアウト率と称され、スロットマシンごとに予め適当な値に設定されている。例えば最近のスロットマシンには、ゲームの開始時に乱数をサンプリングし、その乱数に基づいて入賞,ハズレを決めた上で、電気的にリールの停止制御を行うようにしたものがあるが、このようなスロットマシンでは、発生される乱数に対して入賞,ハズレを対応づける段階、そして入賞ごとに配当コインの枚数を決める段階で確率的にペイアウト率を設定することができる。また、リールの回転を全くランダムに停止させるものでも、各リール相互間のシンボルの組み合わせ総数と入賞に該当するシンボルの組み合わせ数との比率、さらに入賞ごとの配当コインの枚数を決める段階で、やはり確率的にペイアウト率を決めることができる。そして、ゲームの消化回数が多くなるにしたがって、投入コインの総数に対する配当コインの総数の比は前記ペイアウト率に近い値になってゆく。 上記のように、スロットマシンにはペイアウト率が設定されてはいるが、実際に遊技者がゲームを行うのは、限られた短い期間であることが多く、その短い期間内では投入コインの総数と配当コインの総数との比は必ずしも前記ペイアウト率には一致しない。そして、これを理由にゲームに勝敗が生じることになる。このような事情を考慮すると、すでに多量の配当コインが払い出されているスロットマシンは、以後は比較的入賞が得にくくなる可能性があるが、このような傾向は慣れた遊技者が感覚的に知得していることでもある。 〔発明が解決しようとする課題〕 以上のように、スロットマシンゲームで多くの配当メダルを獲得できるか否かは、すでに行われたゲームの結果に影響される可能性がある。ところがこれまでのスロットマシンでは、すでに行われたゲームの結果について全く知ることができないため、熟練した遊技者は上述した傾向を知りながらも、自分が遊技するスロットマシンを選択するときの情報として生かすことができなかった。もちろん、他人の遊技状態をしばらく観察してからゲームを行うこともできるが、そのためには徒に時間を浪費することになり、効率的でない。 〔発明の目的〕 本発明は上記課題を解決するためになされたもので、ゲームを開始する時点までに行われた過去のゲームの過程を簡単に知ることができるようにしたスロットマシンを提供することを目的とし、さらにはコインを用いずに模擬遊技を実行できるようにし、その模擬遊技による配当データの推移を知ることができるようにしたスロットマシンを提供することを目的とする。 〔課題を解決するための手段〕 本発明は上記目的を達成するために、投入されたコインの枚数を積算する投入コインカウンタと、払い出された配当コインの枚数を積算する配当コインカウンタと、前記投入コインカウンタの計数値が25枚以上の所定枚数増加するごとに、投入コインカウンタの積算枚数をNT_(1)とし、その時点までに払い出された配当コインカウンタの積算枚数をST_(1)とし、該スロットマシンに予め設定されているペイアウト率をKとしたとき、 で表される配当データXを求める手段と、この手段により求められた配当データXを記憶する記憶手段と、遊技者に、前記配当データXを表示する表示手段と、遊技者による表示用操作ボタンの押下に応答して前記記憶手段から配当データXを順次に読み出して前記表示手段に表示させる制御手段とを用いるようにしたものである。 また、サンプリング手段を用いて乱数をサンプリングした後、その乱数に対応して入賞の種類及び配当コインの枚数を入賞設定手段で決めるようにしたスロットマシンでは、コインの投入を行わなくても、コインの投入を仮想しながらサンプリング手段及び入賞設定手段を繰り返し作動させる模擬遊技を可能とし、この模擬遊技の実行中に、仮想したコインの投入枚数と入賞設定手段で決められた配当コイン枚数とをそれぞれカウンタで積算して、これらの計数値からコインの配当データを求めて逐次それを表示手段に表示させることも本発明の目的を達成する上で有効である。なお、表示手段に配当データXを表示するにあたっては、投入コインの積算枚数を横軸にとってグラフ表示するのが好適である。 〔作用〕 ゲームの開始ごとに投入されるコインは、その都度投入コインカウンタで積算され、またゲームの結果、配当コインが得られたときには、その枚数が配当コインカウンタでその都度積算される。これらのカウンタでの計数値はゲームが消化されてゆくごとに増えてゆくが、投入コインカウンタの計数値が所定数増加するごとに、前記両カウンタの計数値に基づき、ペイアウト率Kを考慮した値によって表される配当データXは、逐次記憶手段に記憶されてゆく。そして、この記憶手段からは過去の配当データXが読み出され表示手段に表示されるから、遊技者は過去の配当データXを確認することができるようになる。 また、サンプリングされた乱数に対応して入賞の種類並びに配当コインの枚数を設定し、これに該当するようにシンボル列の移動を停止制御するスロットマシンの場合、コインを実際に投入しなくてもゲームを模擬的に実行する模擬遊技実行手段が設けられている。模擬遊技実行手段は、コインの投入がなくてもシンボル列を停止させたままで高速で繰り返される。そして、模擬遊技期間中における仮想の投入コイン枚数と、サンプリングされた乱数に対応して決められる仮想の配当コイン枚数とから仮想の配当データが求められ、表示手段に表示される。したがって遊技者は、この仮想配当データを観察した上で、任意の時点から実際のゲームを開始させることができる。 以下、図面に表された実施例をもとに、本発明について詳述する。 〔実施例〕 本発明を用いたスロットマシンの外観を示す第2図において、本体2の前面には、保守,点検時に開かれるドアパネル3がヒンジ止めされている。ドアパネル3には3個の窓4が設けられ、これらの窓4を通して本体2内で回転される3個のリール5,6,7を各々観察することができる。 符号8は、ゲームの開始に先立ち遊技者がコインを投入するためのコイン投入口を示す。このスロットマシンでは、1回のゲームを実行させるために必要なコインの投入枚数は1?3枚のいずれでもよく、その投入枚数によって入賞判定ラインの本数を選ぶことができる。すなわち、前記窓4には横3本、斜め2本の入賞判定ラインが記されており、投入コインの枚数が1,2,3枚と増えるにしたがって、横1本,横3本,さらに斜め2本を加えた合計5本と、有効化される入賞判定ラインの本数が増えてゆく。 遊技者が1?3枚のコインを投入してスタートレバー10を操作すると、本体2内でリール5?7が一斉に回転した後、これらのリール5?7は各々ランダムなタイミングで停止する。そして全リールが停止したとき、投入コインの枚数に応じて有効化されている入賞判定ライン上に停止しているシンボルの組み合わせが入賞に該当していると、その入賞のランクに応じて予め決められた枚数の配当コインが受皿11に排出される。 ドアパネル3にはさらに配当データ参照ボタン14と模擬遊技ボタン15とが設けられている。配当データ参照ボタン14を押すと、過去に消化されたゲームについてのコイン配当データが、本体2の上部に設けられた表示器16に表示される。表示器16には液晶表示パネルが用いられているが、小型のCRTを代用することもできる。 第3図は、配当データ参照ボタン14を押したときに表示器16に表示されるコイン配当データXの表示例を示している。配当データ参照ボタン14を押した時点で、すでに投入コインの積算枚数が2000枚に達するゲームが消化されていると、その期間中におけるコイン配当データXが、投入コインの積算枚数を横軸として図示のようにグラフで表示される。なお、コイン配当データXは投入コインの積算枚数が100枚増えるごとに算出されるが、この間隔は50枚あるいは25枚ごとなど適宜変えることができ、また、補間法を使うことによって、コイン配当データXの変化を曲線で表示することができる。 コイン配当データXの算出時点での投入コインの積算枚数をNT_(1)、その時点までに払い出された配当コインの積算枚数をST_(1)、このスロットマシンに予め設定されているペイアウト率をKとしたとき、コイン配当データXの値は で表される。これにより、どの程度のコインを投入した時点で、どの程度の配当コインが得られたかを確認することができる。なお、Xの値がオーバースケールしにくいように、上式のようにペイアウト率Kを考慮した値にして表示する。また、投入コインの積算枚数NT_(1)がオーバースケールになるような場合には、表示画面を横スクロールさせて対応すればよい。 なお、ジャックポットなどのように、配当コインの枚数が多量に及ぶ入賞が得られた期間Jについては、第3図に破線で示したように、その期間に該当する領域でグラフを点滅表示させることにより、遊技者に対してさらに有用な情報を与えることができる。 模擬遊技ボタン15を押したときには模擬遊技が実行され、その模擬遊技期間中における仮想コイン配当データが表示器16に表示される。模擬遊技は、詳しくは後述するように、実際にコインを投入しなくても、仮想的にコインを3枚投入したものとして、スタートレバー10の操作とは無関係に高速で繰り返される。この模擬遊技ではリール5?7は停止したままであり、もちろん入賞したとしても実際には配当コインの払出しも行われることがない。 模擬遊技が繰り返されることによって、仮想的に投入されたコインの積算枚数は3枚ずつ増加し、また入賞があった場合には仮想的な配当コインの積算枚数も増加する。仮想投入コインの積算枚数をNT_(2)、仮想配当コインの積算枚数をST_(2)、ペイアウト率をKとしたとき、仮想コイン配当データYは、前述したコイン配当データXと同様に仮想投入コインの積算枚数NT_(2)が100枚を越えるごとに次式で算出される。 こうして算出された仮想コイン配当データYは、第4図に示したように、仮想投入コインの積算枚数NT_(2)が100枚を越えるごとに順次に表示されてゆく。模擬遊技は、例えば1秒あたり100回程度の高速で繰り返されるから、遊技者は表示器16を適当な期間観察することによって、コイン配当に関してスロットマシンがどのような傾向をもって作動しているかを知ることができる。そして、例えば仮想投入コインの積算枚数が1500枚に達するまでに、第4図に示したような傾向が認められ、破線のように推移してゆくと遊技者が予想したときには、その時点で模擬遊技ボタン15を押して模擬遊技を終了させ、その後、実際にコインの投入を行ってゲームを開始すればよい。 第1図は本発明のスロットマシンに用いられている回路構成を概略的に示している。リール5?7の回転及び停止は、プログラムROM17に格納されたゲームプログラムにしたがい、マイクロプロセッサユニット(以下、MPUという)18によって制御される。スタートレバー10の操作によりスタート信号発生器19からスタートパルスが出力されると、MPU18は各リールごとに設けられたドライバ20?22にクロックパルスを供給する。ドライバ20?22は、供給されたクロックパルスの個数に対応してステッピングモータ24?26に駆動パルスを供給し、これによりリール5?7が回転する。 RAM27には、ドライバ20?22に供給されたクロックパルスの数を計数するカウンタが設けられており、その計数値はMPU18によって監視されている。リール5?7の基準位置には遮光片5a?7aが一体に形成され、その通過がホトセンサ28?30で検知されたときに、前記各カウンタの計数値は「0」にクリアされる。したがって、前記カウンタの計数値は、リール5?7が1回転する範囲内での回転角に対応した値となる。そして、リール5?7の基準位置からのシンボルの配列ピッチと、配列されたシンボルの種類とは予め分かっているから、前記計数値に基づいて入賞判定ラインに現れているシンボルの種類を識別することができる。 乱数発生器33から発生された乱数はゲームの開始後にMPU18によってサンプリングされ、RAM27内の所定アドレス位置に格納される。こうしてサンプリングされた乱数は、実行されたゲームにどのようなランクの入賞を与えるかを決定するために用いられる。なおRAM27は、上述したクロックパルスを計数するカウンタの他に、ゲームプログラムが実行される過程で得られる各種のデータやフラグを一時的に保存するための記憶領域も備えている。 入賞確率テーブル31は、サンプリングされた乱数に基づいて入賞のランクを決めるときに参照されるもので、例えば、乱数の数値範囲が「0?9999」とすると、この全数値範囲を「0?49」の大ヒット領域,「50?249」の中ヒット領域,「250?1499」の小ヒット領域,「1500?9999」のハズレ領域にグループ分けしたROMで構成されている。そして、サンプリングされた乱数の値がどの領域に属する値であるかによって、入賞の有無及びランクが決められる。また配当テーブル32は、入賞のランクに対する配当コインの枚数、並びに入賞に該当するシンボルの組み合わせに対する配当コインの枚数を格納したROMで構成されている。 投入コインセンサ34はコイン投入口8以降のコイン通路に設けられ、ゲームの開始に先立って投入されるコインを検知し、その検知信号をMPU18に入力する。そして、MPU18は1ゲーム当りの投入コインの枚数によって入賞判定ラインの有効化本数を決める。また、投入コインカウンタ35は、スロットマシンの稼働期間中に、各ゲームごとに投入されたコインの枚数を順次に積算してゆく。 コイン払出し器38はゲームを行って入賞が得られたときに、入賞のランクに応じた枚数の配当コインを払い出す。コイン払出し器38から払い出される配当コインは払出しコインセンサ39で検知され、その枚数は配当コインカウンタ40で積算される。この配当コインカウンタ40は、投入コインカウンタ35と同様に、スロットマシンの稼働期間中における配当コインの枚数を積算してゆく。そして、投入コインカウンタ35の計数値が100枚を越えるごとに、MPU18は、配当コインカウンタ40の計数値を参照してコイン配当データXを算出し、その値をRAM27の所定アドレス域に順次に格納する。 こうしてRAM27に格納されたコイン配当データXは、配当データ参照ボタン14が押され、表示信号発生器41からMPU18に表示信号が入力されたときに読み出され、その値はLCDドライバ37を介して表示器16に表示される。 仮想投入コインカウンタ42,仮想配当コインカウンタ43は、模擬遊技ボタン15が押され、模擬遊技信号発生器45からMPU18に模擬遊技信号が与えられたときに作動し、それぞれ模擬遊技の実行中における仮想の投入コインの枚数,仮想の配当コインの枚数を積算する。そして、仮想投入コインカウンタ42の計数値が100枚を越えるごとに、MPU18は、仮想配当コインカウンタ43の計数値を参照して仮想コイン配当データYを算出する。こうして算出された仮想コイン配当データYの値は、RAM27の所定アドレス域に順次に格納されるとともに、LCDドライバ37を介して表示器16に表示される。 以上のように構成されたスロットマシンの作用について、第5図のフローチャートにしたがって説明する。 通常のゲームを行うときには、1?3枚のコインを投入してからスタートレバー10を操作する。1ゲーム当りのコインの投入枚数Nによって、入賞判定ラインの有効化本数が決められる。また、この投入枚数Nは投入コインカウンタ35で加算され積算枚数NT_(1)として更新される。さらに投入枚数NはRAM27内でも積算され、積算枚数NO1が更新されてゆく。 乱数発生器30からの乱数がMPU18でサンプリングされると、その乱数の値が入賞確率テーブル31と対照され、そのゲームについてどのようなランクの入賞を発生させるかが決められる。そして、ドライバ20?22には徐々に周波数が高くなるクロックパルスが供給され、ステッピングモータ24?26によりリール5?7の回転が開始される。そして、適宜のタイミングでMPU18はストップ信号を発生し、クロックパルスの周波数を低くしながらステッピングモータ24?26の停止制御を開始する。この停止制御時には、RAM27内で計数されているクロックパルスの個数が監視され、入賞確率データ31で決められた入賞が満足されるようにステッピングモータ24?26の停止位置が決められる。 リール5?7が停止した後には、ステッピングモータ24?26の停止位置に基づき、入賞判定ライン上におけるシンボルの組み合わせの確認が行われる。そして、その組み合わせが入賞に該当しているときには、配当テーブル32が参照され、決められた枚数の配当コインが払い出される。 配当コインの払出し処理時には、配当コインセンサ39が配当コインを1枚ずつ検知し、その検知信号は配当コインカウンタ40で加算される。この配当コインカウンタ40は、それまでに行われたゲームの全てについて配当コインの枚数を積算して計数しているから、入賞のあるたびに配当コインの積算枚数ST_(1)は更新される。 RAM27内で積算された積算枚数NO1が100枚を越えるごとに、配当コインデータXの算出処理が行われる。そして、算出された配当コインデータXはRAM27に順次格納され、この算出処理が行われたときには積算枚数NO1が「0」にクリアされる。したがってRAM27には、投入コインの枚数が100枚を越えるたびにコイン配当データXがメモリされてゆく。 こうしてRAM27にメモリされたコイン配当データXは、配当データ参照ボタン14を押したときにMPU18によって順次に読み出され、第3図に示したように表示器16に表示される。したがって遊技者は、配当データ参照ボタン14を押すことによって過去のゲームのコイン配当状況を知ることができ、これを参考にして自分が遊技するスロットマシンを選択することができるようになる。 一方、模擬遊技ボタン15が操作され、模擬遊技信号発生器45から模擬遊技開始信号がMPU18に入力されると、仮想的に3枚のコイン投入があったものとして模擬遊技が実行される。模擬遊技は、乱数のサンプリング処理,入賞確率テーブル31による入賞決定処理が通常のゲーム通り行われ、入賞が決定された時点で配当テーブル32を参照して配当コインS2の枚数が決められる。この模擬ゲームは、再び模擬遊技ボタン15が押されない限り続行される。 模擬遊技が行われる過程では、仮想の投入コインの枚数は3枚ずつ増えてゆき、これが仮想投入コインカウンタ42で積算されるとともに、RAM27内でも積算される。また、模擬遊技期間中に入賞があると、配当テーブル32を参照して得られた仮想の配当コイン枚数S2が仮想配当コインカウンタ43で積算される。そして、RAM27における仮想の投入コインの枚数が100枚に達するごとに仮想コイン配当データYが算出される。こうして算出された仮想コイン配当データYは、RAM27に順次にメモリされ、また、模擬遊技ボタン15の押圧と同時に作動されているLCDドライバ37を介して第4図のように表示器16に表示されてゆく。 遊技者は表示器16を観察することによって模擬遊技中のコインの配当状況の推移を知ることができる。そして、第5図のフローチャートに示すように、乱数のサンプリング処理は、コインの投入後に行われる実際のゲームであれ、模擬遊技であれ共通のフロー中で行われる。したがって、例えば表示器16によりコインの配当傾向が上向きになった時点で再度模擬遊技ボタン15を押して模擬遊技を中止させ、引続きコインの投入を行って実際のゲームを開始させるなど、それまでの配当傾向を参考にした上でゲームを行うことができるようになる。 以上、図示した実施例をもとに本発明について説明してきたが、配当データ表示用の表示器16については、適宜取り外しができるように着脱式のものにしてもよい。また、本発明はシンボル列をリールに配列したスロットマシンだけでなく、シンボル列をCRTに移動表示するようにしたビデオタイプのスロットマシンにも用いることができる。この場合には、シンボル列を表示するCRTの一部を配当データの表示エリアにすることも可能である。 また本発明は、リールごとにストップボタンが設けられ、このストップボタンを押したタイミングに基づいてリールの係止制御を開始するストップボタン付きスロットマシンにも全く同様にして適用することができる。 なお、上記実施例では投入コインの枚数が一定枚数増えるごとに配当データXの算出を行っているが、投入コインの枚数が一定枚数増えるごとに、その時点での配当コインの積算枚数をRAMに保存しておき、表示するときに演算を行って配当データを得ることも、もちろん可能である。 〔発明の効果〕 上述したように、本発明のスロットマシンによれば、遊技するスロットマシンを選択するときに、遊技者にとって有用となる過去のゲームデータが遊技者による表示用操作ボタンの押下ごとに表示手段によって表示されるから、これをもとに遊技者は新たな興趣のもとでゲームを楽しむことができるようになる。 また、模擬遊技を可能とすることによって、遊技者はそのスロットマシンの配当傾向を知った上で実際のゲームを開始することができるようになり、単にゲームの繰り返す従来のスロットマシンと比較して、配当の推移を予想するという新たな興味のもとでゲームを楽しむことができる。さらに、本発明では配当データXが投入コインの積算枚数を横軸にしたグラフとして表示されるから、過去のゲームデータを分かりやすく的確に表示することができる。 【図面の簡単な説明】 第1図は本発明に用いられる回路構成の概略を示すブロック図である。 第2図は本発明を用いたスロットマシンの外観図である。 第3図は過去に行われたゲームの配当データXの表示例を示す説明図である。 第4図は模擬遊技における仮想配当データの表示例を示す説明図である。 第5図は本発明のスロットマシンで行われる処理の流れを示すフローチャートである。 5,6,7……リール 14……配当データ参照ボタン 15……模擬遊技ボタン 16……表示器 18……MPU 31……入賞確率テーブル 32……配当テーブル 35……投入コインカウンタ 40……配当コインカウンタ 42……仮想投入コインカウンタ 43……仮想配当コインカウンタ 37……LCDドライバ。 |
訂正の要旨 |
審決(決定)の【理由】欄参照。 |
審理終結日 | 2006-02-22 |
結審通知日 | 2006-02-27 |
審決日 | 2006-03-16 |
出願番号 | 特願平2-29893 |
審決分類 |
P
1
113・
532-
YA
(A63F)
P 1 113・ 121- YA (A63F) P 1 113・ 832- YA (A63F) |
最終処分 | 不成立 |
前審関与審査官 | 神 悦彦 |
特許庁審判長 |
小原 博生 |
特許庁審判官 |
藤田 年彦 渡部 葉子 |
登録日 | 1997-04-25 |
登録番号 | 特許第2634474号(P2634474) |
発明の名称 | スロットマシン |
代理人 | 藤田 和子 |
代理人 | 清水 俊介 |
代理人 | 岩渕 正樹 |
代理人 | 中込 秀樹 |
代理人 | 今井 博紀 |
代理人 | 松永 暁太 |
代理人 | 中込 秀樹 |
代理人 | 岩渕 正紀 |
代理人 | 田中 康久 |
代理人 | 佐藤 玲太郎 |
代理人 | 八木沢 史彦 |
代理人 | 長沢 美智子 |
代理人 | 藤田 和子 |
代理人 | 小野寺 隆 |
代理人 | 八木沢 史彦 |
代理人 | 小椋 崇吉 |
代理人 | 岩渕 正紀 |
代理人 | 井口 嘉和 |
代理人 | 進藤 利哉 |
代理人 | 清水 俊介 |
代理人 | 松永 暁太 |
代理人 | 井口 嘉和 |
代理人 | 佐藤 武史 |
代理人 | 正林 真之 |
代理人 | 長沢 幸男 |
代理人 | 長沢 美智子 |
代理人 | 佐藤 武史 |
代理人 | 小野寺 隆 |
代理人 | 進藤 利哉 |
代理人 | 黒田 博道 |
代理人 | 今井 博紀 |
代理人 | 岩渕 正樹 |
代理人 | 田中 康久 |
代理人 | 小椋 崇吉 |
代理人 | 佐藤 玲太郎 |
代理人 | 正林 真之 |
代理人 | 長沢 幸男 |