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審決分類 審判 訂正 4項(134条6項)独立特許用件 訂正しない G11B
管理番号 1185133
審判番号 訂正2005-39066  
総通号数 107 
発行国 日本国特許庁(JP) 
公報種別 特許審決公報 
発行日 2008-11-28 
種別 訂正の審決 
審判請求日 2005-04-20 
確定日 2008-09-16 
事件の表示 特許第3219751号に関する訂正審判事件について、次のとおり審決する。 
結論 本件審判の請求は、成り立たない。 
理由 第1 手続の経緯の概要
本件訂正審判に係る特許第3219751号(遡及出願日 昭和63年6月6日、平成13年8月10日設定登録。)については、特許異議の申し立て(異議2002-70966号)があり、請求項1に係る発明についての特許を取り消す旨の決定があった。これに対し同特許異議の申し立てについての特許権者(本件訂正審判請求人)が、平成17年2月25日に前記決定の取消を求めて訴えを提起し、平成15年改正特許法附則第2条第12項の規定により読み替える特許法第126条第2項ただし書きに規定する期間内に本件訂正審判を請求した。
これに対し、平成18年1月6日付けで、本件訂正は、実質上特許請求の範囲を変更するものであるから、特許第126条第4項の規定に適合しない旨の審決があったところ、平成18年2月15日に同審決の取消を求め訴えの提起がなされ、平成19年1月25日(判決言渡)に、「訂正前の請求項1に記載された事項によって構成される発明の具体的な目的を逸脱してその技術事項を変更するものであり、実質上特許請求の範囲を変更するものであることは明らかである。」とした審決の判断は誤りであると判示され、前記判決が確定したので、本件は、審決取消後再度の審理をするものである。
そして、当審において、平成19年6月14日付けで、期間を指定して訂正拒絶の理由を通知したところ、これに対し、平成19年7月19日付けで意見書が提出されるとともに手続補正がされたものである。


第2 平成19年7月19日付け手続補正の採否について
1.手続補正の内容の概略
平成19年7月19日付け手続補正は、審判請求書及びこれに添付した全文訂正明細書についてするもので、概要、補正前の全文訂正明細書の請求項1に「上記RAM」とあったところを「RAM」と補正し、請求項1の記載に対応する、補正前の全文訂正明細書の発明の詳細な説明の記載、及び請求理由において同請求項の記載を引用する箇所等対応する記載について、前記請求項1についての補正と同様、「上記RAM」とあったところを「RAM」と補正しようとするものである。

2.補正事項の検討
補正前の全文訂正明細書の請求項1において、「上記RAM」の前には、
「少なくともテレビの各番組内容とその開始時刻とその放映チャンネルとを含む情報を、外部から当該放送内容受信装置のRAMに取り込む入力手段と、
前記入力手段によりRAMに取り込まれた上記情報から(後略)」
との記載があるところ、特許査定時の明細書の発明の詳細な説明を参酌すると、上記2箇所の「RAM」は、「RAM53」に対応し、「上記RAM」は、「RAM33」に対応するものと解され、上記2箇所の「RAM」に対して、あえて「上記RAM」と特定することは、明らかな誤記であり、したがって、「上記RAM」を「RAM」と補正することは、明白な誤記の修正にすぎず、審判請求書の要旨を変更するものでないとするのが妥当である。
以上のとおりであるから、平成19年7月19日付け手続補正については、これを採用することとする。


第3 請求の要旨

本件審判の請求の要旨は、特許第3219751号発明(遡及出願日 昭和63年6月6日、平成13年10月15日設定登録。発明の名称「放送内容受信装置」。請求項の数1。)の明細書を、平成19年7月19日付け手続補正により補正された審判請求書に添付した全文訂正明細書のとおりに訂正しようとするものである。


第4 訂正事項及び訂正の目的についての検討
1.訂正事項
平成19年7月19日付け手続補正により補正された審判請求書及びこれに添付した全文訂正明細書によれば、審判請求人(特許権者)が求めている訂正は、次のとおりである。

(1)訂正事項a
特許査定時の明細書の特許請求の範囲の請求項1について、特許請求の範囲の減縮及び明りょうでない記載の釈明を目的として、

「【請求項1】 受信された、テレビの放映内容から、指定されたチャンネルを抽出するチューナを備えた放送内容受信装置において、
少なくともテレビの各番組内容とその開始時刻とその放映チャンネルとを含む情報を、外部から当該放送内容受信装置に取り込む入力手段と、
前記入力手段により取り込まれた上記情報から、当該放送内容受信装置の電源を投入した日の各チャンネルのテレビの番組内容を取り出して、チャンネルの違い毎にテレビ受像機に縦もしくは横の内の1方向に並べて表示するチャンネル表示手段と、
当該放送内容受信装置の電源を投入した日の、前記入力手段により取り込まれた上記情報中の同一チャンネルの番組を、その放送順に、上記1方向と垂直な方向に並べて、上記テレビ受像機に表示する放送順序表示手段と、
該放送順序表示手段及び上記チャンネル表示手段により上記テレビ受像機に表示されたテレビの番組内容の中から任意の番組内容が表示されている位置を指定するための位置指定手段と、
該位置指定手段により指定された位置に表示されている番組内容を、指定されなかった位置の番組内容と識別可能に表示する識別表示手段と、
該識別表示手段にて識別可能に表示された箇所に対応する番組内容を所望の番組として設定するための設定手段と、
該設定手段にて設定された箇所に対応する番組のチャンネルを上記情報から取り出して、所望の番組のチャンネルとして設定するチャンネル補完手段と、
上記設定手段にて設定された箇所に対応する番組の開始時刻を上記情報から取り出して、所望の番組の情報として設定する開始時刻補完手段と、
該開始時刻補完手段により設定された開始時刻になると、上記チャンネル補完手段により設定されたチャンネルを上記チューナに抽出させる放送内容出力手段とを備えたことを特徴とする放送内容受信装置。」(以下、「特許発明」という。)とあるところを、

「【請求項1】 受信された、テレビの放映内容から、指定されたチャンネルの映像信号を抽出するチューナ及び録画再生部を備えた放送内容受信装置において、
少なくともテレビの各番組内容とその開始時刻とその放映チャンネルとを含む情報を、外部から当該放送内容受信装置のRAMに取り込む入力手段と、
前記入力手段によりRAMに取り込まれた上記情報から、当該放送内容受信装置の電源を投入した日の各チャンネルのテレビの番組内容を取り出して、チャンネルの違い毎にテレビ受像機に縦もしくは横の内の1方向に並べて表示するチャンネル表示手段と、
当該放送内容受信装置の電源を投入した日の、前記入力手段により取り込まれた上記情報中の同一チャンネルの番組を、その放送順に、上記1方向と垂直な方向に並べて、上記テレビ受像機に表示する放送順序表示手段と、
該放送順序表示手段及び上記チャンネル表示手段により上記画面に表示される番組表を上記画面に表示可能な一画面分の番組のみに限定する限定手段と、
上記放送順序表示手段、上記チャンネル表示手段及び上記限定手段により上記テレビ受像機に表示された上記番組表の中から任意の番組内容が表示されている位置を、上記チャンネルの方向及び上記放送順の方向それぞれ独立に移動可能なカーソルにより指定するための位置指定手段と、
該位置指定手段により指定された位置に表示されている番組内容を、指定されなかった位置の番組内容と識別可能に表示する識別表示手段と、
該識別表示手段にて識別可能に表示された箇所に対応する番組内容を所望の番組として設定するための設定手段と、
該設定手段にて設定された箇所に対応する番組のチャンネルを上記情報から取り出して、所望の番組のチャンネルとして設定するチャンネル補完手段と、
上記設定手段にて設定された箇所に対応する番組の開始時刻を上記情報から取り出して、所望の番組の情報として設定する開始時刻補完手段と、
該開始時刻補完手段により設定された開始時刻になると、上記チャンネル補完手段により設定されたチャンネルを上記チューナに抽出させる放送内容出力手段と、
上記テレビ受像機に表示された上記番組表を、上記カーソルの移動に伴い移動後の上記カーソル位置に応じた上記番組表に更新させると共に、上記カーソルの移動に伴い上記カーソルの位置情報をRAMに記憶させてその情報を更新させる更新手段と、
上記チューナにより復調された映像信号、録画再生部により再生された映像信号、上記チャンネル表示手段、上記放送順序表示手段及び上記限定手段によって上記テレビ受像機に表示される番組表の映像信号、のうちの何れか一つの映像信号を選択して上記テレビ受像機に出力する映像信号出力部と、
を備えたことを特徴とする放送内容受信装置。」
(以下、「訂正発明」という。アンダーラインは、訂正箇所である。)と訂正する。

(2)訂正事項b
(当審注:審判請求の理由には、特に「訂正事項b」の項目は設けられていないが、検討の便宜上、当審において区別のために付した。)
また、当該請求項1の訂正に伴い、特許査定時の明細書の段落[0005]、[0006]、[0007]、[0013]、[0014]、及び[0029]の記載を明りょうでない記載の釈明を目的として、添付した全文訂正明細書のとおり訂正する。

2.訂正の目的についての検討
訂正事項aに対し、前記判決における裁判所の判断は、
『(3) そして,訂正事項aにおける「録画再生部」は,訂正前の請求項1に明示の記載はないものの,請求項1に係る放送内容受信装置が当然に有しているものにすぎないし,「限定手段」は,訂正前の請求項1の「位置指定手段」による位置指定の前提となる表示すべき番組表の内容を具体的に規定したものであり,「更新手段」は,番組内容の表示位置を指定するための位置指定に関連して,カーソルの移動に伴って必要な処理内容を具体的に規定したものであり,「映像信号出力部」は,請求項1に係る放送内容受信装置に必要とされる映像信号出力部の機能を具体的に規定したものであるから,訂正事項aの具体的内容は,いずれも,訂正前の請求項1に係る発明の目的に含まれるということができる。
3 そうであれば,訂正事項aは,訂正前の請求項1に係る発明の目的を逸脱したということはできず,訂正事項aに係る訂正によって,実質上特許請求の範囲を変更するものではない。』(第4 2(3)及び3)
というものである。
これに従い、訂正事項aは、特許査定時の請求項1に係る発明に対して、「録画再生部」、「限定手段」、「更新手段」、「映像信号出力部」及び「RAM」を発明の構成要件に付加し、「位置指定手段」に限定を加えることで、特許請求の範囲の減縮を目的とするものであると認める。
訂正事項bは、発明の詳細な説明を特許請求の範囲と整合させるためのものであるから、明りょうでない記載の釈明を目的とするものであると認める。
以上のとおりであるから、本件訂正審判に係る訂正事項は、特許法第126条第1項ただし書第1号及び第3号に掲げる事項を目的とするものに該当する。


3.訂正拒絶理由の概要
これに対し、平成19年6月14日付けで通知した訂正拒絶理由の概要は、次のとおりである。

理由1
「上記RAM」とした点は、特許査定時の明細書又は図面に記載した事項の範囲内でするものでないから、特許法第126条第3項の規定に適合しないものである。

理由2
「上記RAM」が、いずれの「RAM」を指すのか不明であるから、請求項の記載が特許法第36条第4項に規定する要件を満たさず、又、発明の詳細な説明には請求項に記載された発明を当業者が実施しうる程度に記載したものとすることができないから、特許法第36条第3項に規定する要件を満たしていない。

理由3
請求項1に係る発明は、出願前に頒布された刊行物に記載された発明に基づいて当業者が容易に発明をすることができたものであるから、特許法第29条第2項の規定により特許を受けることができない。

以上の各理由により、訂正後の請求項1に記載される発明は、特許出願の際独立して特許を受けることができないものであるから、特許法第126条第5項に規定する要件に適合しないというものである。

ところで、平成19年7月19日付け手続補正を採用するとしたことにより、上記理由1及び理由2の原因であった「上記RAM」は、「RAM」に補正されたので、上記理由1及び理由2については、それぞれ拒絶の理由が解消した。

そこで、以下、上記理由3について、検討を加えることにする。


第5 訂正発明の独立特許要件についての検討

1.訂正発明
訂正後の請求項1に係る発明は、平成19年7月19日付け手続補正により補正された全文訂正明細書の請求項1に記載されたとおりのものであると認める。
前記「第4 1. (1)」の <訂正事項a>に記載した「訂正発明」のとおりである。

2.引用例及びその記載事項

(1)刊行物一覧
訂正拒絶理由通知で「刊行物一覧」に提示した刊行物は以下のとおりである。
刊行物1:米国特許第4,706,121号明細書
(1987年11月10日)
刊行物2:特開昭60-61935号公報
刊行物3:特開昭49-135513号公報
刊行物4:雑誌「Cable Vision」1987年9月14日号の抜粋
刊行物5:特開昭56-47812号公報
刊行物6:特開昭62-60372号公報
刊行物7:特開昭63-54884号公報
刊行物8:特開昭61-74475号公報
刊行物9:特開昭61-74476号公報
刊行物10:特開昭61-113379号公報
刊行物11:実願昭56-56229号
(実開昭57-170166号)のマイクロフィルム
刊行物12:特開昭61-260292号公報
刊行物13:特開昭62-214423号公報
刊行物14:特開昭61-270983号公報
刊行物15:特開昭62-159988号公報

(2)上記刊行物1として掲げた米国特許第4,706,121号明細書(1987年11月10日。以下、「引用例」という。)には、“TV SCHEDULE SYSTEM AND PROCESS(TVスケジュールのシステムと方法)”に関し、以下の技術事項が、図面とともに記載又は開示されている。なお、下線は当審で付したものである。以下に摘記した引用例の記載は、当審による翻訳文(括弧内は、原文特許明細書の記載箇所)、及び原文記載の順とした。

(i)「1. 発明の分野
本発明は、ユーザがスケジュールから予め選択した番組を呈示するよう、テレビ受像機を制御するための電子システムと方法に関する。特に、本発明は、種々の形で組み合わせられる選択基準をユーザが使用して放送番組の選択を行うことができるようにする電子システムと方法に関する。さらに詳しくは、本発明は、放送形態のスケジュール情報を受信し、次いでそのスケジュール情報を処理して選択を行う電子システムと方法に関する。本発明はさらに、ユーザがメニューから簡単な選択を行うことにより、ビデオ・カセット・レコーダ(VCR)を無人でプログラムできるようにするシステムに関する。」(第1欄第10?24行)
(1. Field of the Invention
This invention relates to an electronic system and a process for controlling a television set to present programs selected in advance from a schedule by a user. More particularly, it relates to such an electronic system and process which allows the user to make the broadcast program selection criteria that can be combined in different ways. Most especially, the invention relates to such an electronic system and process which receives the schedule information in broadcast form and then processes the schedule information to make the selections. The invention further relates to a system that will enable a user to program a video cassette recorder(VCR)for unattended operation by making a simple selection from a menu.)

(ii)「発明の概要
したがって、本発明の目的はユーザが供給する選択基準によるスケジュール情報から視聴する放送番組を選択することで、ユーザがテレビ受像機を制御できるようにするシステム及び方法を提供することである。
本発明の別の目的は、放送としてスケジュール情報を受信するシステムと方法を提供することである。
本発明の別の目的は、直前のスケジュール変更及び追加に対応できる該システム及び方法を提供することである。
本発明のさらに別の目的は、番組選択を行うために、ユーザが供給する選択基準をシステムによって組み合わせることができる該システムを提供することである。
本発明のまたさらに別の目的は、選択基準が包含または除外のいずれかの基準として使用される該システム及び方法を提供することである。
本発明の別の目的は、手動チャンネル選択を行う必要が除去され、全ての番組がメニュー項目をポイントすることで選択される該システム及び方法を提供することである。
本発明のまたさらに別の目的は、選択された放送番組の時刻にテレビ受像機がオンになっているかどうかを判定し、テレビ受像機がオンになっていない場合、選択された番組をVCRまたは他の番組録画装置に自動的に供給する該システム及び方法を提供することである。」(第3欄第2?30行)
( SUMMARY OF THE INVENTION
Accordingly, it is an object of this invention to provide a system and process which allows a user to control a television set by selecting broadcast programs for viewing from schedule information with user-supplied selection criteria.
It is another object of the invention to provide such a system and process which receives the schedule information as a broadcast.
It is another object of the invention to provide such a system and process which is capable of accommodating last minute schedule changes and additions.
It is a further object of the invention to provide such a system in which the user supplied selection criteria can be combined by the system to make program selection.
It is a still further object of the invention to provide such a system and process in which the selection criteria can be either criteria of inclusion or exclusion.
It is another object of the invention to provide such a system and process in which the need to make manual channel selection is eliminated and all programs are selected by pointing to menu items.
It is still another object of the invention to provide such a system and process which will determine if the television set is turned on at the time of the selected broadcast program and automatically supply the selected program to a VCR or other program recording device if the television set is not turned on.)

(iii)「記憶手段はデータプロセッサによって選択された番組に関するスケジュール情報を受信するよう接続される。プログラム可能なチューナがテレビ受像機への接続のために提供される。プログラム可能チューナは、データプロセッサからの制御信号を受信するよう接続されるので、選択された番組の放送時に選択された番組に関する放送信号をテレビ受像機に供給することができる。」(第4欄第44?52行)
(A storage means is connected to receive the schedule information for programs selected by the data processor. A programmable tuner is provided for connection to the television receiver. The programmable tuner is connected to receive control signals from the data processor for causing the programmable tuner to supply broadcast signals for the selected programs to the television receiver at the time of the selected program broadcasts.)

(iv)「本発明によるシステム及び方法の好適な形態では、スケジュール情報は、水平または垂直帰線期間といった従来のテレビ放送では使用されていない部分を使って放送されたり、周波数変調(FM)放送といった別個の放送としても放送されたりする。」(第4欄第61?67行)
(In a preferred form of a system and process in accordance with the invention, the schedule information is also broadcast, either during an otherwise unused portion of a conventional television broadcast, such as during a horizontal or vertical flyback interval, or as a separate broadcast, such as a frequency modulation(FM)broadcast.)

(v)「図2は、水平または垂直帰線のような、TVフレーム中で普通使用されない部分を使用して、従来のテレビ放送の一部としてテレビ・スケジュール情報を放送するために使用される、同様のシステム50のブロック図である。マイクロコンピュータ22のI/Oポート24は線路52によってバッファ54に接続され、・・・」(第6欄第60?66行)
(FIG.2 is a block diagram of a similar system 50 that is used to broadcast the television schedule information as part of an otherwise conventional television broadcast, using a normally unused portion of the TV frame, such as the horizontal or vertical flyback. The I/O port 24 of the microcomputer 22 is connected by line 52 to a buffer 54,・・・)

(vi)「図3は、図1のFM受信機システム20と組み合わせて使用される受信機及びテレビ受像機制御システム90のブロック図である。FMアンテナ92はシステム20からの放送信号を受信し、同信号は線路96上でFM受信機94に供給される。FM受信機94はFM放送信号を線路100上のSCA副搬送波復号器98に供給する。復号器98はFM放送信号からスケジュール情報信号を分離し、スケジュール情報信号を線路104上のデータ復調器102に供給する。データ復調器102はスケジュール情報信号をデジタル形式に変換し、デジタル・スケジュール・データ信号を線路108上のシステム制御ユニット106、特にシステム制御ユニット106のCPU110に供給する。メモリ111は113でCPU110に接続される。
・・・(中略)・・・
CPU110は、ユーザ選択に基づいて、線路134上のプログラム可能TVチューナ132に制御出力を供給する。ユーザ選択基準に基づいてスケジュール情報から選択された番組を識別する情報が、CPU110によってメモリ111に記憶される。CPUは、適当な時間に情報を引き出して制御出力を生成する。チューナは線路135上のアンテナ133から従来のTV放送信号を受信する。CPU110は、線路108上の番組スケジュールデータからの情報信号、線路114上の制御プログラム入力、及び線路120上のユーザ入力を線路138上のビデオ表示生成器136に供給する。生成器136からの出力ビデオ表示信号は線路142上のビデオ・スイッチャ140に供給される。ビデオ・スイッチャはまた、線路144上のチューナ132からのTV番組信号と、CPU110からの線路146上の、チューナ132との生成器136の切り換えを行う制御信号とを受信する。ビデオ・スイッチャ140はチューナ132または生成器142からの信号を、線路148上のTV受信機126と線路152上のビデオ・カセット・レコーダ(VCR)150に供給する。CPU110は線路154によってVCR150に接続され、VCRをオンにする。大部分のVCRの場合、線路154はVCRの一時停止入力に接続される。CPUは、線路158によってアラーム156に接続され、テレビ受像機126がオフの場合それをオンにし、選択された番組が視聴できるようにするための、番組放送の少し前(例えば5分前)であることをユーザに知らせる。受信機システム90の動作は、図5と関連する制御装置116の構造と動作の説明の中で詳述される。」(第7欄第33?第8欄22行)
(FIG.3 is a block diagram of a receiver and television receiver control system 90 which is used in combination with the FM transmitter system 20 of FIG.1. An FM antenna 92 receives the broadcast signals from the system 20, which are supplied to FM receiver 94 on line 96. FM receiver 94 supplies the FM broadcast signals to an SCA subcarrier decoder 98 on line 100. The decoder 98 strips the schedule information signals from the FM broadcast signals and supplies the schedule information signals to a data demodulator 102 on line 104. The data demodulator 102 converts the schedule information signals to digital form and supplies the digital schedule data signals to system control unit 106 on line 108, more particularly, to CPU 110 of the system control unit 106. A memory 111 is connected to the CPU 110 at 113.
・・・・・
The CPU 110 supplies control outputs, based on user selections, to a programmable TV tuner 132 on line 134. Information identifying programs selected from the schedule information on the basis of the user selection criteria is stored in memory 111 by the CPU 110. The CPU retrieves the information at the appropriate time for generating the control outputs. The tuner receives conventional TV broadcast signals from antenna 133 on line 135. The CPU 110 supplies information signals from the program schedule data on line 108, control program inputs on line 114 and user inputs on line 120 to a video display generator 136 on line 138. Output video display signals from the generator 136 are supplied to a video switcher 140 on line 142. The video switcher also receives TV program signals from tuner 132 on line 144, and a control signal for switching between the tuner 132 and the generator 136 on line 146 from the CPU 110. The video switcher 140 supplies the signals from the tuner 132 or the generator 142 to the TV receiver 126 on line 148 and to a video cassette recorder (VCR) 150 on line 152. The CPU 110 is connected to the VCR 150 by line 154, for turning on the VCR. For most VCRs, the line 154 should be connected to the pause input of the VCR. The CPU is connected to an alarm 156 by line 158 for indicating to a user a short time (e.g., five minutes) before a selected program is to be broadcast that the TV receiver 126 should be turned on if it is off, so that the selected program can be viewed. The operation of the receiver system 90 will be explained further in the explanation of the construction and operation of the controller 116 in connection with Figure 5. )

(vii)「図4は、図2に示される送信機システム50と共に使用される別の受信機システム160のブロック図である。アンテナ162は送信機システム50からTV放送信号を受信し、それを線路166上のプログラム可能TVチューナ164に供給する。チューナ164は放送信号を、線路170上の番組データ・タイミング制御装置168、線路171上のデータ復調器169及び線路174上のビデオ・スイッチャ172に供給する。制御装置168の出力は線路176上の復調器169に供給される。復調器169は、TV放送信号から分離されデジタル化された番組スケジュール情報信号を、線路182上のシステム制御ユニット180のCPU178に供給する。メモリ179は181でCPU178に接続され、選択された番組情報を受信し、これを適当な時間にプログラム可能チューナ164用の制御信号を生成するCPU178へ供給する。ユーザIDコードとCPUへの制御プログラム入力は線路186上のROM184によって提供される。ユーザ番組選択及び他のユーザ入力は、線路192上の遠隔制御送信機188-遠隔受信機190の組み合わせによって提供される。CPU178への他の入力は線路196上のシステム・クロック194によって供給される。さらに、線路198はTV受信機200の電源に接続されており、これによってCPU178はTV受信機200がオンになっているかを判定できる。線路192上のユーザ入力と制御プログラムから、CPUは、線路202上で供給されるプログラム可能TVチューナ164用の制御信号と、線路206上でビデオ表示生成器204に供給されるビデオ表示情報信号を生成する。生成器204はビデオ表示情報信号をビデオ表示信号に変換し、これは線路208上のビデオ・スイッチャ172に供給される。CPU178は線路210上のビデオ・スイッチャ172用の制御信号を供給し、TV受信機200及びVCR216への線路212及び214上のビデオ・スイッチャ172のビデオ信号出力を、生成器204からのスケジュール情報ビデオ信号とチューナ164からの番組ビデオ信号の間で切り換える。CPU178は、所望のテレビ番組信号がチューナ164によって受信され、CPU178が線路198からの入力からTV受信機200がオンになっていないと判定した場合、線路218上のVCRをオンにする制御信号を提供する。CPU178は線路219によってアラーム217に接続され、TV受信機200がオフになっている場合、それをオンにする信号として、選択された番組の放送直前にユーザに可聴信号を提供する。ケーブルTVまたはTV番組受信機システム160の動作は、図5?図13と関連して以下さらに説明される。」(第8欄第23?第9欄4行)
(FIG.4 is a block diagram of another receiver system 160, which may be used with the transmitter system 50 shown in FIG.2. Antenna 162 receives the TV broadcast signal from the transmitter system 50 and supplies it to a programmable TV tuner 164 on line 166. The tuner 164 supplies the broadcast signal to a program data timing controller 168 on line 170, to data demodulator 169 on line 171 and to a video switcher 172 on line 174. The output of controller 168 is supplied to the demodulator 169 on line 176. The demodulator 169 supplies the program schedule information signals, which have been stripped from the TV broadcast signals and digitized, to CPU 178 of system control unit 180 on line 182. A memory 179 is connected to the CPU 178 at 181 to receive selected program information and to supply the selected program information at the appropriate time for the CPU 178 to generate control signals for the programmable tuner 164. User ID code and control program inputs to the CPU are provided by ROM 184 on line 186. User program selections and other user inputs are provided by a remote control transmitter 188-remote receiver 190 combination on line 192. Other inputs to the CPU 178 are supplied by system clock 194 on line 196, and on line 198, connected to the power supply for TV receiver 200, in order to allow CPU 178 to determine if the TV receiver 200 is turned on. From the user inputs on line 192 and the control program, the CPU generates control signals for the programmable TV tuner 164, which are supplied on line 202, and video display information signals, which are supplied to video display generator 204 on line 206. The generator 204 converts the video display information signals to video display signals, which are supplied to the video switcher 172 on line 208. The CPU 178 supplies control signals for the video switcher 172 on line 210 to switch the video signal outputs of the video switcher 172 on lines 212 and 214 to the TV receiver 200 and VCR 216 between the schedule information video signals from generator 204 and the program video signals from tuner 164. The CPU 178 provides a control signal for turning on the VCR on line 218 when a desired television program signal is being received by tuner 164 and CPU 178 determines from the input on line 198 that TV receiver 200 is not turned on. The CPU 178 is connected to alarm 217 by line 219 for providing an audible signal to a user shortly before broadcast of a selected program if the TV receiver 200 is turned off, as a signal to turn it on. The operation of the cable TV or TV program receiver system 160 will be described further below in connection with FIGS. 5-13. )

(viii)「2.キーボード操作の概要
図5は、図3及び図4の遠隔制御送信機116及び188で使用されるキーボード220の配置を示す。キー222-244は以下の意味を有する。
MG222:番組の直接一覧表示及び即時選択のためのマスターガイド
PG224:記憶された機能を設定し、ヘルプ情報にアクセスするための番組ガイド。
TV226:従来のチャンネル選択を選ぶ。
SEL228:TV上に表示されるメニューから番組を選択する。
C230:PGモードで記憶された番組を取り消す。MGモードのチャンネル制限のオン・オフを切り替える。
↑232:ポインタを一覧表示の一番上に向けて動かす。ポインタが一番上の行にある時押すと前のページに自動スクロールする。
↓234:ポインタを一覧表示の一番下に向けて動かす。ポインタが一番下の行にある時押すと次のページに自動スクロールする。
→236:次のページに移動する。ポインタの位置は変更されない。最後のページが表示されている場合1週間の一覧表示の始めに戻る。
←238:前のページに移動する。ポインタは変更されない。一覧表示がすでに始めにある場合、1週間の一覧表示の終わりに戻る。
P240 :前に数字キーを押さない場合、 Pは一覧表示をゴールデンアワーだけに制限する。数字キーの後に入力した場合、 Pは午後を示す。
A242 :前に数字キーを押さない場合、Aは一覧表示を選択されたテーマだけに制限する。数字キーの後に入力した場合、Aは午前を示す。
244 :翌日に進み、時間は変更されない。1週間の曜日毎に移動する。」(第9欄46行?第10欄10行)
(2. Summary of Keyboard Operation
FIG.5 shows the layout of keyboard 220 used in the remote control transmitters 116 and 188 of FIG.3 and 4. The keys 222-244 have the following significance:
MG 222: Master Guide for direct listing and immediate selection of program.
PG 224: Program Guide for setting up stored features and accessing help information.
TV 226: Selects conventional channel selection.
SEL 228: Selects program from menu to be displayed on TV
C 230: Cancels stored program in the PG mode; toggles channel restriction on and off in the MG mode.
↑232:Moves pointer to top of listing;auto scrolls to previous page if pressed when pointer is on top line.
↓234:Moves pointer to bottom of listing;auto scrolls to next page if pressed when pointer is on bottom line.
→236:Moves to next page;pointer location unchanged. Wraps to start of week listing when last page is displayed.
←238:Moves to previous page;pointer unchanged. Wraps to end of week if listing is already at start.
P 240: If not preceded by a numeric key, P will restrict listing to prime time only. If entered after a numeric key, P indicates PM.
A 242: If not preceded by a numeric key, A will restrict listing to selected themes only. If after a numeric key, A will indicate AM.
244: Advances to the next day, hour unchanged. Wraps around by days of the week. )

(ix)「 MGマスタ・ガイド・モード
このモードでは、一覧表示から番組を直接選択できる。平均的なユーザにとって、マスタ・ガイド(MG)モードが使用する唯一のモードである。MGモードにアクセスするには、MGキー222を一度押す。MGモードを出るにはMGキー222をもう一度押すか、ポインタが所望の番組の位置にある場合SELキー228を用いる。
TVキーが押された後、TVスケジューラ160が手動モードにある場合、キーボード220は数字キーだけを押すことで従来のTVセレクタとして使用される。手動チャンネル・セレクタとして使用される場合、新しいチャンネルが選択される都度、チャンネル番号が画面の一番下の行に表示される。特定のチャンネル上で受信された信号にサービス名が関連する場合、チャンネル番号でなくチャンネル名が表示される。すなわち、チャンネル3がHBOである場合、HBOが表示される。チャンネルが選択される都度、チャンネル番号またはチャンネル名、番組の名称、番組開始後の経過時間、及び番組の残り時間が画面の一番下の行に表示される。例えば、ユーザがそのチャンネルを走査すると、次のように表示される。
----------------------------------
HBO プライジーの名誉 番組開始後の経過時間 55分
番組終了までの残り時間 35分
----------------------------------
・・・(中略)・・・
以下は、MGキー222が押された時の画面の一例である。一覧表示は常に直前30分前から開始される。ポインタは常に最後になされた選択(この例では、ウオール・ストリート・ウイーク)に置かれることに注意されたい。
----------------------------------
9:00 ホテル・シリーズ チャンネル7
ニュース チャンネル2
ウオール・ストリート・ウイーク チャンネル17
映画 F2、チャンネル20
9:15 映画 HBO
9:30 SF通り チャンネル2
水曜日、6月30日、ゴールデンアワー:午後6時?午後11時、テーマ2、 時刻:午後9時23分、チャンネル・グループ2、
残り時間:7分、ウオール・ストリート・ウイーク
----------------------------------
画面一番下の3行のステータス行以外に、画面は16行の番組情報を一覧表示することに注意されたい。」(第10欄第12?62行)
( MG Master Guide Mode
This mode allows direct selection of a program from the listing. For the average user, the Master Guide(MG)mode is the only mode used. To access the MG mode, press the MG key 222 once: to exit mode, press the MG key 222 a second time, or use the SEL key 228 if the pointer is positioned at the desired program.
TV keyboard 220 may be used as a conventional TV selector by pressing the digit keys only, when the TV scheduler 160 is in the manual mode after the TV key is pressed. When used as a manual channel selector, each time that a new channel is selected, a channel number will appear on the bottom line of the screen. If a service name is associated with a signal received on a particular channel, the channel name will be displayed, rather than the channel number. Thus, if channel 3 is HBO, HBO will be displayed. Each time a channel is selected, a channel number or channel name, the name of the program, how long the program has been on, and how long remains for the program will appear on the bottom lines of the screen. For example, when the user scans the channel, it will show:
----------------------------------
HBO Prizzi's Honor on for 55 minutes
end in 35 minutes
----------------------------------
・・・・・
The following is a typical screen when the MG key 222 is pressed. Listing always starts at the nearest previous half-hour. Note that the pointer always is positioned at the last selection made(Wall Street Week, in this example.)
----------------------------------
9:00 Hotel series Ch7
News Ch2
Wall Street Week Ch17
Movie F2,Ch20
9:15 Movie HBO
9:30 Streets of SF Ch2
Wed.Jun 30, Prime:6 pm 11pm, theme 2 on
Time:9:23 PM Channel group 2 on Time
remaining: 7min, Wall Street Week
----------------------------------
Note that screen will list 16 lines of program information not including the three status lines at the bottom of the screen.)

(x)「3.MGモードでの詳細な操作
MGキー222が押されると、TV画面は至近の0分ちょうどの時刻に始まる番組の一覧を表示する。例えば、時刻が2:17である場合、表示は2:00から始まる。必要であれば、ユーザは一覧表示が始まる時刻を入力することができる。例えば、5が入力されると、一覧表示は5時から始まる。現在の午前または午後が、所望一覧表示の時刻と同じである場合、午前または午後を明確に入力する必要はないことに注意されたい。画面の一番下には2行のステータス表示があり、実際の時刻と日付、及び何らかの検索制限(ゴールデンアワー、テーマ、及びチャンネル)が作動しているかを示す。コールデンアワーが作動している場合、番組一覧表示を(PGモードでユーザによって指定された)ゴールデンアワーに制限する。開始時刻が午後 6 時に設定されている場合、 MGキー222が押されると、現在の時刻が午後6時以前であれば一覧表示は午後6時から始まる。現在の時刻が午後9:05で、ゴールデンアワー開始時間が午後6時である場合、午後6時に始まる一覧表示は特に有用でないので一覧表示は午後9時から始まる。
ユーザは、いつでも時刻の数字を入力することでゴールデンアワー制限を無効にすることができる。一覧表示は無効にする操作を行った時点ですぐ開始される。また、平均的なユーザの場合、ゴールデンアワーを設定する必要がないことにも注意されたい。番組マスタが最初に使用される時、デフオルトで午後 6 時から午後1 1 時に設定されている。
カーソル・キー232?236を使用して異なる番組を選択することができる。アップダウンカーソル・キー232?234はカーソルを一度に1行上又は1行下に移動させる。一覧表示の一番上又は一番下に到達すると、アップキー234は1つ前のページを自動的に画面に表示し、ダウンキーは次のページを画面に表示させる。」(第11欄第26?57行)
(3. Detailed Operation in the MG mode When the MG key 222 is pressed, the TV screen will display a listing of programs starting at the nearest full hour. For example, if the time is 2:17, the display will start at 2:00. If desired, the user can enter the hour when the listing will start. For example, if 5 is entered, the listing will start at 5. Note that there is no need to enter an explicit AM or PM if the current AM or PM is same as the desired listing time. At the bottom of the screen is a two line status display, showing the actual time and date, and whether any of the search restrictions (prime, theme, and channel) are activated. If the prime is on, the prime time will limit the program listing to the prime time (specified by the user in the PG mode). If the start time is set to 6 pm, when the MG key 222 is pressed, the listing will start at 6 pm if the current time is 6 pm or earlier. If the current time is 9:05 pm, and the prime start time is 6 pm, then the listing will start at 9 pm, since a listing starting at 6 pm is not particularly useful.
Note that the user can override the prime time restriction by entering an hour digit at any time. The listing will immediately start at the override time. Also note that for the average user, the prime time need not be set. It is set to 6 pm to 11 pm by default when the Program Master is first used.
The cursor keys 232-236 can be used to select a different program. The up/down cursor keys 232-234 will move the cursor one line up or one line down at a time. When the top or the bottom of the listing is reached, the up key 234 will cause the screen to automatically display a previous one page, while the down key will cause the screen to display the next page. )

(xi)「4.番組ガイド(PG)モード
高度なユーザの場合、番組マスタを設定して、ある種類の番組(テーマ)のみ、あるチャンネルのみ、及びゴールデンアワーのようなある時間内の番組のみを一覧表示することができる。さらに、番組マスタは毎週の番組と特別番組を記憶することができる。記憶された番組を使用して、ユーザの介入なしにアラームを起動またはVCRを使用可能にすることができる。PGモードはメニュー選択のみで一連の番組を無人録画するために使用され、ユーザはVCRのチャンネル、時刻、日付または番組の長さを設定する必要はない。」(第12欄第12?23行)
(4. Program Guide (PG) Modes
For advanced users, the Program Master can be set up to list only the types of program (theme), only certain channels and only programs within a certain time, such as Prime Time. In addition, the Program Master can store weekly programs and special programs. The stored program can be used to trigger an alarm or enable a VCR without user intervention. The PG mode may be used for unattended recording of a series of programs by only menu selection, without the user having to set the VCR with channel, time, date, or length of program. )

(xii)「PG+スケジュール設定
このモードでは、ユーザは、通常毎週のシリーズとシリーズものでない番組の特別イベントについて、週毎の覚え書きカレンダを作成することができる。覚え書き処理は、番組が開始される前のある時間以前にTVがオンになっていない場合アラームを設定する。番組が開始される時TVがオンになっていない場合、覚え書き処理はVCRをオンにし、番組の録画を開始する。
スケジュールはシリーズの1つの番組またはシリーズの全ての番組に応答するようプログラムできる。例えば、毎日または毎週のショーを、特定の日付または番組一覧表示中の番組がある日全てについてスケジュールに入れることができる。
番組マスタは、放送局によってシリーズ全ての番組に割り当てられたリンク・コードを使用してシリーズ全ての番組をリンクし、スケジュールに入れることができる。例えば、不規則な時刻と間隔で放送されるNBAプレーオフ・シリーズは、NBA一覧表示を選択し、「全番組」という接尾辞を一覧表示に割り当てることで完全にスケジュールに入れられる。シリーズの終了時、一覧表示は自動的に「放送済」という接尾辞が付くように変更される。1週間後、ユーザがそれを削除していなければ、一覧表示は自動的に削除される。番組選択の後にAキー242を入力しない場合、番組は1回のものだけだと想定される。いつでもAキー242を押して「全番組」応答を適用することができる。
スケジュールモードに入ると、分割画面によって、上の8行にスケジュールされた番組、下の8行に番組一覧が表示される。この一覧表示はMG一覧表示と同一であるが、16番組ではなく短縮した一覧が表示される。ゴールデンアワー、チャンネル、及びテーマといった他のMGパラメータは全て有効である。ユーザはスケジュールを設定する前にMGステータスを見直すべきである。2ページの表示を使用してスケジュール一覧表示に16までの番組を入力することができる。2ページ目にアクセスするにはページ・キー232及び234を使用する。アップ又はダウンキー232,234スケジュール一覧表示を切り替えられる。」(第15欄第19?57行)
( PG+Schedule Setup
This mode allows the user to create a weekly reminder calendar, typically for weekly series and special events of non-weekly programs. The reminder process will set an alarm if the TV is not on before a certain time before the start of the program. If the TV is not on when the program starts, the reminder process will turn on the VCR to start recording the program.
The schedule may be programmed to respond to either a single program of a series or all programs of a series. For example, a daily or weekly show may be scheduled for a particular day or for all occurrences in the program listing.
The Program Master will automatically link and schedule all programs of a series using a linking code assigned to all programs of a series by the broadcaster. For example, the NBA playoff series which occurs at an irregular time and interval may be completely scheduled just by selecting the NBA listing and assigning an ALL suffix to the listing. At the end of the series, the listing is automatically revised with the suffix, OLD. After one week, the listing will automatically be deleted, if the user has not already deleted it. If a program selection is not followed by the A key 242, the program is assumed to be one time only. The A key 242 can be pressed at any time to affect ALL responses.
When the schedule mode is entered, a split screen displays the scheduled program on the top eight lines and the program list on the bottom eight lines. This listing is identical to the MG listing, except that a shortened listing is displayed instead of 16. All other MG parameters, such as Prime, Channel, and Theme are in effect. The user should review the MG status before setting up the schedule. Up to 16 programs can be entered in the schedule listing using two pages of display. The page keys 232 and 234 are used to access the second page. Either the up or down keys 232 and 234 will toggle the schedule listing. )

(xiii)「番組をスケジュールに追加するには、Pキー240を使用してカーソルを番組一覧表示(表示の下半分)に切り替える。カーソル、ページ、または+キー232?234、236?238または244を使用して希望する番組を探す。SELキー228を使用してスケジュール中に番組を記憶する。上の画面はすぐに新しく追加された番組を表示する。ページが一杯の場合、番組マスタは自動的に次のページに切り換える。両方のページが一杯の場合、ステータス行は「ページが一杯」メッセージを表示する。
予定された番組を取り消して訂正を行うか新しく追加するための空きを作るには、Pキー240を使用して上の表示に切り換える。アップダウン又はページキー232?238を使用してカーソルを削除する番組に置く。Cキー230を押して番組を取り消す。
スケジュールへの変更は全てSELまたはCを押すことで有効になり、MGキー222で更新を開始する必要はない。終了するには、MGまたはTVキー222または226を使用する。
有人操作の場合、予定された番組が開始されると、最初にTVをオンにするとき、番組の名前が字幕としてTV画面に重ねられる。TVキーを押すと字幕は消える。無人操作の場合、番組名は画面に重ならないので、VCR録画を妨げることはない。」(第16欄第18?44行)
( To add a program to the schedule, use the P key 240 to toggle the cursor to the program listing (lower half of display). Use the cursor, page, or + keys 232-234, 236-238 or 244 to locate the desired program. Use the SEL key 228 to store the program in the schedule. The upper screen will immediately display the new addition. If the page is full, the Program Master will automatically switch to the next page. If both pages are full, the status line will show a FULL message.
To cancel a scheduled program, either to make a correction or make room for a new addition, use the P key 240 to switch to the upper display. Position the cursor to the program to be deleted, using the up/down or page keys 232-238. Press the C key 230 to cancel the program.
All changes to the schedule are effective upon pressing SEL or C, and do not require the MG key 222 to initiate update. To exit, use the MG or TV key 222 or 226.
During attended operation, when a scheduled program is activated, the name of the program will be superimposed onto the TV screen as a subtitle when the TV is first turned on. Pressing the TV key 226 will clear the subtitle. During an unattended operation, no name will be superimposed onto the screen, so that VCR recording will not be disturbed. )

(xiv)「 5.フローチャートの説明
以下は図3のCPU110または図4のCPU178に関するプログラム・シーケンスの説明である。
データ復調器102(図3)またはデータ復調器169(図4)から受信されたデータは図6の一時バッファ300に記憶される。バッファは、放送の休止時間システム・クロック128(図3)または194(図4)によって有効になる。別の実現例では、バッファ300は常に有効である。図3のROM112または図4のROM184中の加入者のIDが、図6の決定ブロック301によって受信されたデータと比較される。一致が見られれば、番組マスタはプログラミング・データを受信する用意ができる。別の実現例では、プログラミング・データを受信するためIDの一致は必要ない。
データの各ブロックが受信されると、302のエラー検査論理によってデータの完全性が検証される。エラーが存在しなければ、受信されたデータは番組一覧表示バッファ303に記憶され、前の番組一覧表示データを置換する。エラーが存在し304で訂正可能と判定された場合、ブロックは305で訂正された後番組一覧表示バッファ303に記憶される。ブロックエラー分析302は巡回冗長コード化に基づいており、周知の方法で短いバーストエラーに影響を与えるエラーを訂正する。
エラーが訂正不能であると判定された場合、訂正不能なブロックの番号がエラーログ306に記録される。この場合受信機は307によって、番組の更新を終了する前に別の完全な送信を待つよう設定される。図1及び図2のマイクロコンピュータ22は、受信機90又は160(図3及び図4)での訂正不能エラーの訂正を考慮して番組一覧表示を何回か送信するようプログラムされている。
最終決定ブロック308が送信中の最終ブロック・コマンドを検出すると、番組一覧表示の更新が終了する。CPUは309で制御をコマンド列プロセッサ310、図7に渡す。」(第16欄第45?第17欄13行)
(5. Flow Diagram Description
The following is a description of the program sequences for the CPU 110 in FIG.3 or the CPU 178 in FIG.4.
Received data from data demodulator 102, FIG.3 or data demodulator 169, FIG.4, is stored in temporary buffer 300 of FIG.6. The buffer is enabled by the system clock 128, FIG.3 or 194, FIG.4 during down time of the broadcast. In another implementation, the buffer 300 is always enabled. The ID of the subscriber in ROM 112 of FIG.3 or ROM 184 of FIG.4. is compared with the received data, by decision block 301 of FIG.6. If a match is found, the Program Master is ready to receive programming data. In another implementation, no ID match is required to receive the progrmming data.
As each block of data is received, the data integrity is verified by error checking logic at 302. If no error exists, the received data is stored in the program list buffer 303, replacing the previous program list data. If an error exists and is determined to be correctable at 304, the block is corrected at 305 and then stored in the program list buffer 303. The block error analysis 302 is based on cyclic redundancy coding to correct errors that affect short burst errors in a known manner.
If the error is determined to be uncorrectable, the number of the uncorrectable block is logged in an error log 306. The receiver is set by 307 in this case to wait for another complete transmission before terminating the program update. The microcomputer 22 of FIGS. 1 and 2 is programmed to repeat transmissions of the program list for a number of times to allow for correction of uncorrectable errors at the receiver 90 or 160 (FIGS. 3 and 4).
When the last decision block 308 detects a last block command in the transmission, update of the program listing is terminated. The CPU passes control at 309 to the command string processor 310, FIG. 7. )

(xv)「MGキー222が入力されると、MGモードが選択される、図8。このモードに入る際、システム・クロック時間とカレンダがステータス行バッファ350に記憶される。設定一覧表示ポインタ351が現在の時刻と日付に基づいて最も近い0 分ちょうどの時刻に調整される。
番組一覧表示の検索352がなされる。検索はチャンネル・バッファ、テーマ・バッファ、ゴールデンアワー・バッファ、及び検索の方向の状態に依存する。ページ356が「上へ」の場合、検索は一覧表示ポインタから始まり前方に進む。ページが「下へ」の場合357、検索方向は現在の一覧表示ポインタから後方358に進む。検索が上記の基準を満足すると、番組一覧表示が画面バッファ353に配置される。検索は画面バッファが一杯になる354まで続き、一杯の場合検索は終了する。ステータス行情報は画面バッファに送られTVによって表示355される。
CPU110(図3)または178(図5)は画面バッファを選択してビデオ表示生成器136(図3)または204(図4)を駆動し、かつビデオ・スイッチャ140(図3)または172(図4) を操作してTV126(図3)または200 (図4)をプログラム可能TVチューナ132 (図3)または164(図4)から生成器136または204 に切り換える。
360で数字キー246(図5)が検出されると、検索時間が363で入力された数字に一致するよう変更される。362でPまたはAキーが検出されると、時刻の午後または午前がそれに応じて変更される。364で画面バッファは消去され、新しい検索が開始されて、一覧表示ポインタが新しい検索時間に設定される。
365で+キー244の入力が検出されると、検索日付が366で増分され、場面バッファ364が消去されて新しい検索が開始され、一覧表示ポインタが次の日に設定される。366の増分検索日付は増分が番組一覧表示の最後の日付を越えて進んだ場合一覧表示日付の最初に戻る。
370でSELキーの入力が検出された場合、プログラム可能チューナ132または164のチャンネルはMG表示の現在のカーソル位置で 375で一覧表示されたチャンネルに設定される。MGモードは376で終了し、TV126または200はビデオ・スイッチャ140または172によってチューナ132または164に切り換えられる。
371でMGキー222の入力が検出された場合、MGモードは176で終了し、TV126または200は、MGモードが起動する前にプログラム可能チューナ132または164で設定されたチャンネルに切り換えられる。
373でP、CまたはAキー240、230または242の閉鎖が検出された場合、377でゴールデンアワー・バッファ、チャンネル・バッファ及びテーマ・バッファがオフまたはオンになる。364で画面バッファは消去され、新しい検索が開始され検索基準の1つが変更される。
374でカーソル・キー232または234の閉鎖が検出された場合、画面カーソルは378でカーソルの上下に対応して上下する。353で画面バッファは更新され、新しいカーソル位置を反映する。」(第17欄33行?第18欄20行)
( If the MG key 222 is entered, the MG mode is selected, FIG. 8. Upon entry, the system clock time and calendar is stored in the status line buffer 350. The set list pointer 351 is adjusted to the nearest hour based on the current time and date.
A search of the program listing 352 is made. The search is dependent on the status of the channel buffer, the theme buffer, the prime time buffer, and the direction of search. If the page 356 is up, the search direction is forward starting from the list pointer. If the page is down 357, the search direction will be backward 358 from the current list pointer. When the search satisfies the above criteria, the program listing is placed into the screen buffer 353. The search continues until the screen buffer is full 354 in which case the search is terminated. The status lines information is passed to the screen buffer and displayed 355 by the TV.
The CPU 110 (FIG. 3) or 178 (FIG. 5) selects the screen buffer to drive the video display generator 136 (FIG. 3) or 204 (FIG. 4), and also operates the video switcher 140 (FIG. 3) or 172 (FIG. 4) to switch the TV 126 (FIG. 3) or 200 (FIG. 4) from the programmable TV tuner 132 (FIG. 3) or 164 (FIG. 4) to the generator 136 or 204.
If a digit key 246 (FIG. 5) is detected at 360, the search time is changed to agree with the digit entered at 363. If the P or A key is detected at 362, the PM or AM of the time will be changed accordingly. The screen buffer is cleared at 364 and a new search is started with the list pointer set to the new search time.
If a + key 244 entry is detected at 365, the search date is incremented at 366, the screen buffer is cleared 364 and a new search is started with the list pointer set to the next day. The increment search date at 366 will return the start of listing date if incrementing will go beyond the last date of the programming listing.
If an SEL key entry is detected at 370, the channel of the programmable tuner 132 or 164 will be set to the channel listed at 375 at the current cursor position of the MG display. The MG mode is terminated at 376 and the TV 126 or 200 is switched by the video switcher 140 or 172 to the tuner 132 or 164.
If an MG key 222 entry is detected at 371, the MG mode is terminated at 176 and the TV 126 or 200 is switched to the channel that was set in the programmable tuner 132 or 164 before the MG mode was activated.
If a P, C or A key 240, 230 or 242 closure is detected at 373, the prime buffer, channel buffer and theme buffer are toggled off or on at 377. The screen buffer is cleared at 364, and a new search is commenced with one of the search criteria changed.
If a cursor key 232 or 234 closure is detected at 374, the screen cursor will be positioned up or down at 378 corresponding to the up or down cursor. The screen buffer is updated at 353 to reflect the new cursor position.)
また、Fig.8に353としてスクリーンバッファを更新すること(UPDATE SCREEN BUFFER)が示されており、引用例のシステムには、353の動作に対応する更新手段が備わっていることが明らかである。

(xvi)「再びコマンド列フローチャート、図7を参照すると、327で+キー244が検出された場合、スケジュール・モードが選択される。スケジュールのフローチャート、図12を参照すると、スケジュール・モードが有効になるとCPU110または178はTV126または200上に表示されるスケジュール画面バッファを選択する。480でスケジュールは画面の上半分に示される。481で番組一覧表示が画面の下半分に示される。一覧表示された各番組の残り時間が、現在の時刻と番組時間の長さを参照することで計算される。
482でPキー240が検出された場合、カーソルは画面の一覧表示区分からスケジュール区分に移動する。488でPキー240が使用され2つの区分の間でカーソルを切り換える。
483でカーソル・キー232?234が検出された場合、489でカーソルはMG表示と同じ時刻の行に配置される。カーソルが画面の一番下に達した時に画面がスクロールするのではなく、カーソルが画面の中央を交差しようとした時、すなわち表示の別の区分に入る時スクロールが開始される。
483でページ・キー236?238が検出された場合、カーソルのある区分は489でページの方向に応じて前方または後方にスクロールする。
484でSELキー228が検出され、490でカーソルが番組一覧表示区分に置かれた場合、カーソルがポイントする一覧表示が既存の一覧表示とぶつかりあうのを避けるため計算される。希望する新しい一覧表示スケジュールが既存の一覧表示と重なる、またはぶつかりあう場合、ステータス行フィールドに警告メッセージが表示される。スケジュールを更新するには、ユーザはSELキー228に2番目の時間を入力する必要がある。警告メッセージが無視された場合、後の方の入力は無人VCR操作の目的でサポートされない。すなわち、ユーザは無人録画が開始される前に発生しうるエラーについて知らされる。
SELキー228 が入力されると、491で選択された一覧表示はスケジュール区分の最後にコピーされる。スケジュール区分が一杯の場合、ステータス行は、スケジュール一覧表示を削除して新しい一覧表示のための空きを作らなければならないことを示す。一覧表示が変更されると、480で表示は更新される。」(第19欄49行?第20欄23行)
(Referring again to the command string flow diagram, FIG. 7, if the + key 244 is detected at 327, the schedule mode is selected. Referring to the schedule flow diagram, FIG. 12, the CPU 110 or 178 selects the schedule screen buffer to be displayed on TV 126 or 200 when the schedule mode is enabled. The schedule is presented on the upper half of the screen at 480.
The program listing is presented on the lower half of the screen at 481. The remaining time for each listed program is computed by referencing against the current time and the length of program time. If the P key 240 is detected at 482, the cursor moves from the listing section to the schedule section of the screen. The P key 240 is used to toggle the cursor between the two sections at 488.
If a cursor key 232-234 is detected at 483, the cursor will be positioned at 489 a line at a time as in the MG display. However, instead of causing the screen to scroll when the cursor reaches the bottom of the screen, scrolling starts when the cursor attempts to cross the middle of the screen, that is, cross into the other section of the display.
If a page key 236-238 is detected at 483, the section with the cursor will scroll at 489 forward or backward depending on the page direction.
If the SEL key 228 is detected at 484, and if the cursor is located in the program list section at 490, the listing pointed to by the cursor will be computed for non-conflict with existing listing. If the desired new listing schedule overlaps or conflicts with the existing listing, a warning message will appear in the status line field. The user is required to enter the SEL key 228 a second time to update the schedule. If the warning message is ignored, the latter entry will not be supported for purposes of unattended VCR operation. Thus, the user is informed of a possible error before unattended recording is started.
When the SEL key 228 is entered, the selected list is copied to the end of the schedule section at 491. If the schedule section is full, the status line will indicate that a schedule listing must be deleted to make room for the new listing. When a list is changed, the display is updated at 480. )

(xvii)「 アラームと無人録画
アラームフローチャート、図13を参照すると、500でスケジュール検索が1分に1度なされる。501でシステム・クロック時刻がスケジュール時間内である場合、502でTV受像機126または200はオンかオフかが試験される。TV126または200がオンの場合、アラームを発生した予定された一覧表示の名前を示す字幕が508で表示される。509でTVキー226 が検出された場合、510で字幕は削除される。予定された番組がアクティブになった時キー226が検出されなければ、511でアラーム156または217が鳴る。502でTV126または200がオンでない場合、503でアラーム156または217は予定された番組の開始5分前に鳴る。504でTVがまだオンでない場合、505でプログラム可能チューナ、図3の132または図4の164のプログラム可能チューナが予定された番組に変更される。506で、それぞれライン154またはライン218上の信号によって、VCR150または216はオンになり、その番組を録画する。507で番組が終了すると、500で新しい検索が開始される。」(第20欄第38?58行)
(Alarm and Unattended Recording
Referring to the alarm flow chart, FIG. 13, a schedule search is made once a minute at 500. If the system clock time is within the schedule time at 501, the TV set 126 or 200 is tested to see if it is on or off at 502. If the TV 126 or 200 is on, a sub-title showing the name of the scheduled list that produced the alarm will be displayed at 508. If the TV key 226 is detected at 509, the sub-title will be deleted at 510. If the TV key 226 is not detected when the scheduled program is active, the alarm 156 or 217 will be sounded at 511.
If the TV 126 or 200 is not on at 502, the alarm 156 or 217 will be sounded five minutes before the start of the scheduled program at 503. If the TV is still not on at 504, the programmable tuner 132 of FIG.3 or 164 of FIG.4 will be set to the scheduled program at 505. The VCR 150 or 216 will be turned on by a signal on line 154 or line 218, respectively, to record the program at 506. At the end of the program at 507, a new search is commenced at 500.)

(xviii)「放送形式
各番組一覧表示は以下の情報によって構成される。
--------------------------------
開始時刻 時間、分
番組の長さ 時間、分
チャンネル番号 2桁の数字
テーマ分類番号 2桁の数字
テーマ下位分類番号 2桁の数字
リンク番号(シリーズ番組の場合のみ) 3桁の数字
オプシション拡張一覧表示 300文字までのテキスト
番組の終了 1つの文字
衛星記号 2つの文字
衛星名 5つの文字
暗号化及び特殊放送標識 1つの文字
-------------------------------- 」
(第20欄第66行?第21欄第15行)
( Broadcast Format
Each program listing is framed with the following information;
--------------------------------
Start time hour, minute
Duration of program hour, minute
Channel number two digits
Theme classification number two digits
Theme subclassification number two digits
Linking number(only for serial shows) three digits
Optional expanded listing text up to 300 characters
End of Program single character
Satellite symbol two characters
Satellite name five characters
Encrypted and any special broadcast indicators one character
-------------------------------- )

(xix)「TVスケジューラへの入力として、直接放送の代わりに放送情報を含むディスケットを使用することができる。ディスケットは、プログラム可能TVチューナを制御するコンピュータによって読み取られる。」(第22欄第14?18行)
(A diskette containing broadcast information could be used instead of a direct broadcast as an input to the TV scheduler. The diskette can be read by a computer that controls a programmable TV tuner.)

(xx)「1. スケジュール情報からの放送番組のユーザ選択を可能にするようテレビ受像機を制御するシステムであって、データ・プロセッサと、前記データ・プロセッサに接続される前記スケジュール情報のための第1入力手段と、前記データ・プロセッサに接続される第2ユーザ選択入力手段とを備え、前記データ・プロセッサはユーザ入力に基づいて前記スケジュール情報から番組を選択するよう構成され、さらに前記データ・プロセッサによって選択された番組に関する前記スケジュール情報を受信するよう接続される記憶手段と、前記テレビ受像機に接続されるプログラム可能チューナとを備え、前記プログラム可能チューナは、前記プログラム可能チューナに選択された前記番組に関する放送信号を前記テレビ受像機に供給させるため選択された放送の時刻に前記データ・プロセッサから制御信号を受信するよう接続され、前記データ・プロセッサは、前記データ・プロセッサによって選択された放送番組の時刻に作動信号を番組録画器に供給し、かつ選択された前記番組に関する前記放送信号を前記番組録画器に供給するよう構成され、前記システムは、前記テレビ受像機が前記番組録画器に供給された選択された前記番組に関する前記放送信号以外の番組を受信できるようにするよう構成されたシステム。」(第22欄第27?51行)
(1. A system for controlling a television receiver to allow user selection of broadcast programs from schedule information, which comprises a data processor, a first input means for the schedule information connected to said data processor, a second user selection input means connected to said data processor, said data processor being configured to select programs from the schedule information based on user inputs, storage means connected to receive the schedule information for programs selected by said data processor, and a programmable tuner for connection to the television receiver, said programmable tuner being connected to receive control signals from said data processor at a time of a selected broadcast for causing said programmable tuner to supply broadcast signals for the selected program to the television receiver, said data processor being configured to supply an actuating signal to a program recorder at the time of a broadcast program selected by said data processor and to supply the broadcast signal for the selected program to said program recorder, said system being configured to allow said television receiver to receive a different program than the broadcast signal for the selected program supplied to said program recorder.)

(xxi)「12.スケジュール情報から放送番組のユーザ選択を可能にするようテレビ受像機を制御するシステムであって、データプロセッサと、前記データプロセッサに接続される、スケジュール情報のための第1入力手段と、前記データプロセッサに接続される、第2ユーザ選択入力手段と、を備え、前記データプロセッサは、ユーザ入力に基づくスケジュール情報から番組を選択するよう構成され、前記データプロセッサによって選択された番組のためのスケジュール情報を受け取るよう接続される記憶手段と、前記テレビ受像機に接続されるプログラム可能チューナと、を備え、前記プログラム可能チューナは、選択された番組を前記プログラム可能チューナがテレビ受像機に供給するために、選択された放送の時刻に前記データプロセッサからの制御信号を受信するように接続され、前記データプロセッサは、複数のユーザ選択メニューを前記テレビ受像機上に表示するための信号をビデオ表示生成器に供給するよう構成され、前記第2ユーザ選択入力手段は、前記スケジュール情報から番組を選択するためにメニューからの選択を行う複数のキーを有し、前記データプロセッサはスケジュール情報から番組を選択するための前記メニュー選択の組み合わせを可能とするよう構成された、システム。」(第23欄第59?第24欄第15行)
(12. A system for controlling a television receiver to allow user selection of broadcast programs from schedule information, which comprises a data processor, a first input means for the schedule information connected to said data processor, a second user selection input means connected to said data processor, said data processor being configured to select programs from the schedule information based on user inputs, storage means connected to receive the schedule information for programs selected by said data processor, and a programmable tuner for connection to the television receiver, said programmable tuner being connected to receive control signals from said data processor at a time of a selected broadcast for causing said programmable tuner to supply broadcast signals for the selected programs to the television receiver, said data processor being configured to provide signals to said video display generator for presenting a plurality of user selection menus on the television receiver, and said second user selection input means includes a plurality of keys for making selections from the menus for choosing programs from the schedule information, said data processor being configured to allow combinations of the menu selections for choosing programs from the schedule information.)

以上の記載及び図面を総合勘案すると、引用例には、次の発明(以下、「引用発明」という。)が記載されているとすることができる。

「テレビ受像器と、
VCRと、
TV放送信号を受信し、選択された番組の放送時に選択された番組に関する放送信号を供給することができ、前記テレビ受像器及び前記VCRに接続されるプログラム可能チューナと、
を含み、スケジュール情報から放送番組のユーザ選択を可能にするよう前記テレビ受像器及び前記VCRを制御するTVスケジュールシステムであって、
CPUと、
前記CPUに接続され、前記プログラム可能チューナから供給されるTV放送信号から分離されてデジタル化された番組スケジュール情報信号を前記CPUに供給するデータ復調器と、
前記データ復調器から受信されたデータが記憶される一時バッファ、及び前記データを、誤り検査・訂正等の後、番組一覧表示データとして記憶する番組一覧表示バッファの各記憶手段と、
複数のユーザ選択メニューを前記テレビ受像器上に表示するためビデオ表示生成器と画面バッファを有し、
手動モードでは、チャンネルが選択される都度、チャンネル番号またはチャンネル名、番組の名称、番組開始後の経過時間、及び番組の残り時間が画面の一番下の行に表示し、
MG(マスタ・ガイド)モードでは、番組の開始時間、番組名、チャンネル名、その他ステータス等が一覧表示し、
PG(番組ガイド)モードでは、画面を分割して、番組の開始時間、番組名、チャンネル名を含む予約スケジュールと、MGモードと同様の一覧表示する表示手段と、
MGモードが設定されると、システム・クロック時間とカレンダをステータス行バッファに記憶し、設定一覧表示ポインタを現在の時刻と日付に基づいて最も近い0分ちょうどの時刻に調整し、前記画面バッファが一杯になるまで番組一覧表示の検索をする手段と、
ユーザ番組選択その他のユーザ入力を提供する、線路上の遠隔制御送信機と遠隔受信機の組み合わせであって、
前記遠隔制御送信機には、前記一覧表示から番組の選択を行うために、
SEL:TV上に表示されるメニューから番組を選択する、
↑/↓:ポインタを一覧表示の一番上/下に向けて動かし、ポインタが一番上/下の行にある時押すと前/次のページに自動スクロールする、
→/←:次/前のページに移動し、ポインタの位置は変更されないで、最後/最初のページが表示されている場合1週間の一覧表示の始め/終わりに戻る、
+:翌日に進み、時間は変更されないで、1週間の曜日毎に移動する、
等の複数のキーが含まれ、
異なる番組の選択に使用する、前記複数のキーのうち、↑↓→←のカーソルキーを使用してカーソルを一行上下、1ページ前後に移動させる手段と、
前記画面バッファは、カーソルの上下に対応して更新され、新しいカーソル位置を反映し、番組一覧表示の次ページ又は前のページを表示する際にも、前記画面バッファをクリアする手段を有し、
カーソルが一覧表示にあるときにSELキーで選択した番組に対して、PGスケジュールモードでは、スケジュール画面バッファを選択し、選択された、番組のチャンネルと開始時刻が含まれる一覧表示をスケジュール区分にコピーする手段と、
スケジュール検索がなされ、前記プログラム可能チューナが予定された番組に変更される制御手段と、
前記プログラム可能チューナは、選択された番組を前記プログラム可能チューナが前記テレビ受像器に供給するために、選択された放送の時刻に前記CPUからの制御信号を受信するように接続され、
スケジュールに設定された時刻になると、番組一覧表示で設定された各チャンネルの番組が前記プログラム可能チューナに設定され、前記VCRで当該番組を録画するように制御する手段を有し、
前記テレビ受像器及び前記VCRへのビデオ信号出力を、前記ビデオ表示生成器からのスケジュール情報ビデオ信号と前記プログラム可能チューナからの番組ビデオ信号との間で切り換えるビデオスイッチャと、
を備えたTVスケジュールシステム。」

3.対比
訂正発明と引用発明とを対比する。
(あ)引用発明の、
「テレビ受像機と、
VCRと、
TV放送信号を受信し、選択された番組の放送時に選択された番組に関する放送信号を供給することができ、前記テレビ受像器及び前記VCRに接続されるプログラム可能チューナと、
を含み、スケジュール情報から放送番組のユーザ選択を可能にするよう前記テレビ受像器及び前記VCRを制御するTVスケジュールシステム」
は、訂正発明の、
「受信された、テレビの放送内容から、指定されたチャンネルの映像信号を抽出するチューナ及び録画再生部を備えた放送内容受信装置」
に相当する。

(い)引用発明の、
「CPUに接続され、前記プログラム可能チューナから供給されるTV放送信号から分離されてデジタル化された番組スケジュール情報信号を前記CPUに供給するデータ復調器と、
前記データ復調器から受信されたデータが記憶される一時バッファ、及び前記データを誤り検査・訂正等の後、番組一覧表示データとして記憶する番組一覧表示バッファの各記憶手段」
についてであるが、一覧表示される内容に番組の開始時間、番組名、チャンネル名、その他ステータス等が含まれるからには、「番組スケジュール情報」に、番組の開始時間、番組名、チャンネル名が含まれるのは当然であり、また、「RAM」が記憶手段の一種であることが常識であることも踏まえると、訂正発明の「入力手段」と比較すると、
「少なくともテレビの各番組内容とその開始時刻とその放映チャンネルとを含む情報を、外部から当該放送内容受信装置の(記憶手段)に取り込む」
点において一致している。

(う)引用発明のMG(マスタ・ガイド)モードでは、番組開始時刻、番組名(内容)、チャンネル等が一覧表示されるところ、当該一覧表示は、復調器がTV放送信号から分離されデジタル化された番組スケジュール情報信号を一時バッファ、一覧表示バッファに記憶したデータから取り出して画面バッファに入力し、ビデオ表示生成器がビデオ信号を生成して表示するもので、その表示には各チャンネルの番組内容が含まれ、開始時刻の早いものから放送順に表示するものである。
すると引用発明のビデオ表示生成器及び画面バッファを含む一覧表示のための表示手段は、訂正発明の、「チャンネル表示手段」と比較すると、「前記入力手段により(記憶手段)に取り込まれた上記情報から、各チャンネルのテレビの番組内容を取り出して、テレビ受像機に並べて表示する」点で一致し、また、訂正発明の「放送順序表示手段」と比較すると、「前記入力手段により取り込まれた上記情報中の番組を、その放送順に、上記テレビ受像機に表示する」点で一致する。

(え)引用発明におけるビデオ表示生成器及び記憶手段を含む番組一覧表示のための表示手段は、少なくともチャンネルと時間と放送内容をもつ放送形式の情報が番組一覧表示される意味での「番組表」(以下同様)といえる。引用発明の「画面バッファ」は、「前記画面バッファが一杯になるまで番組一覧表示の検索がなされ」ることや、「番組一覧表示の次ページ又は前のページを表示する際にも、前記画面バッファをクリアする」こと等から、画面に表示される番組一覧表示は、一画面分に限定されているとすることができる。したがって、引用発明の「検索する手段」及び「クリアする手段」は、訂正発明の、「放送順序表示手段及び上記チャンネル表示手段により上記画面に表示される番組表を上記画面に表示可能な一画面分の番組のみに限定する限定手段」に相当する機能を備えるものということができる。

(お)引用発明では、遠隔制御送信機の↑↓→←の各カーソル・キーにより、上/下にカーソル位置を移動させ、または前/次のページに移動して、一覧表示からユーザによる番組選択を可能とするものであるから、前記各カーソルキーは、訂正発明の「位置指定手段」と比較すると、
「上記放送順序表示手段、上記チャンネル表示手段及び上記限定手段により上記テレビ受像機に表示された上記番組表の中から任意の番組内容が表示されている位置を、移動可能なカーソルにより指定する」
ためのものである点において一致する。

(か)引用発明では、カーソル位置は、カーソルキーの操作により上/下または前/次のページにその位置が移動させられ、その位置により選択されている番組が識別できるものであるから、引用発明は、「該位置指定手段により指定された位置に表示されている番組内容を、指定されなかった位置の番組内容と識別可能に表示する識別表示手段」を実質上備えている。

(き)引用発明の「カーソルが一覧表示にあるときにSELキーで選択した番組に対して、」「PGスケジュールモードではスケジュール画面バッファを選択し、選択された、番組のチャンネルと開始時刻が含まれる一覧表示をスケジュール区分にコピーする手段」は、訂正発明の「識別表示手段にて識別可能に表示された箇所に対応する番組内容を所望の番組として設定するための設定手段」に相当する機能を果たしているものである。

(く)引用発明では、前記「カーソルが一覧表示にあるときにSELキーで選択した番組に対して」「PGスケジュールモードではスケジュール画面バッファを選択し、選択された、番組のチャンネルと開始時刻が含まれる一覧表示をスケジュール区分にコピーする」とされた番組については、一覧表示からスケジュール区分にコピーされるものであるから、当該スケジュールには、番組のチャンネル及び開始時刻が含まれるのは当然である。
引用発明では、さらに「スケジュール検索がなされ、前記プログラム可能チューナが予定された番組に変更される制御手段」、「スケジュールに設定された時刻になると、番組一覧表で設定された各チャンネルの番組が前記プログラム可能チューナに設定され、前記VCRで当該番組を録画するように制御する手段」が含まれている。
すると、引用発明は、訂正発明の、
「設定手段にて設定された箇所に対応する番組のチャンネルを上記情報から取り出して、所望の番組のチャンネルとして設定するチャンネル補完手段と、
上記設定手段にて設定された箇所に対応する番組の開始時刻を上記情報から取り出して、所望の番組の情報として設定する開始時刻補完手段と、
該開始時刻補完手段により設定された開始時刻になると、上記チャンネル補完手段により設定されたチャンネルを前記プログラム可能チューナに抽出させる放送内容出力手段」に相当する手段を備えているとすることができる。

(け)引用発明は、↑及び↓の各カーソルキー操作によりポインタが、一覧表示の一番上または一番下に到達したとき、及び→/←のカーソルキー操作により番組一覧表示の次ページ又は前のページを表示するものであるところ、前記前又は次のページを表示することは、ポインタの位置に応じて番組一覧表示を更新することに他ならないから、訂正発明の「前記テレビ受像機に表示された番組表を、カーソルの移動に伴い移動後のカーソル位置に応じた上記番組表に更新させる」手段に相当する手段を備えるものである。
さらに、引用発明の「画面バッファ」は、「カーソルの上下に対応して更新され、新しいカーソル位置を反映し、番組一覧表示の次ページ又は前のページを表示する際にも、前記画面バッファをクリアする手段」を有するのであるから、前記画面バッファを「クリア」及び「更新」する手段は、訂正発明の「更新手段」と比較して「前記テレビ受像機に表示された上記番組表を、カーソルの移動に伴い移動後の上記カーソル位置に応じた上記番組表に更新させると共に、上記カーソルの移動に伴い」「(記憶手段)の情報を更新させる」点において一致する。

(こ)引用発明の「ビデオ・スイッチャ」は、「前記TV受信機及び前記VCRへのビデオ信号出力を、前記ビデオ表示生成器からのスケジュール情報ビデオ信号と前記プログラム可能チューナからの番組ビデオ信号との間で切り換える」機能を有するものであるところ、前記ビデオ表示生成器では、番組を一覧表示する際には、チャンネル表示手段、放送順序表示手段、限定手段により表示される、番組名称、チャンネル番号またはチャンネル名、番組開始時刻を含む番組表の映像信号が生成されることが明らかであるから、引用発明の「ビデオスイッチャ」と、訂正発明の「映像信号出力部」とを比較すると、両者は「チューナにより復調された映像信号、上記チャンネル表示手段、上記放送順序表示手段及び上記限定手段によって上記テレビ受像機に表示される番組表の映像信号、のうちの何れか一つの映像信号を選択して上記テレビ受像機に出力する」点で一致する。

そうすると、訂正発明と引用発明とは、次の点で一致する。
<一致点>
受信された、テレビの放映内容から、指定されたチャンネルの映像信号を抽出するチューナ及び録画再生部を備えた放送内容受信装置において、
少なくともテレビの各番組内容とその開始時刻とその放映チャンネルとを含む情報を、外部から当該放送内容受信装置の(記憶手段)に取り込む入力手段と、
前記入力手段により(記憶手段)に取り込まれた上記情報から、各チャンネルのテレビの番組内容を取り出して、テレビ受像機に並べて表示するチャンネル表示手段と、
前記入力手段により取り込まれた上記情報中の番組を、その放送順に、上記テレビ受像機に表示する放送順序表示手段と、
該放送順序表示手段及び上記チャンネル表示手段により上記画面に表示される番組表を上記画面に表示可能な一画面分の番組のみに限定する限定手段と、
上記放送順序表示手段、上記チャンネル表示手段及び上記限定手段により上記テレビ受像機に表示された上記番組表の中から任意の番組内容が表示されている位置を、移動可能なカーソルにより指定するための位置指定手段と、
該位置指定手段により指定された位置に表示されている番組内容を、指定されなかった位置の番組内容と識別可能に表示する識別表示手段と、
該識別表示手段にて識別可能に表示された箇所に対応する番組内容を所望の番組として設定するための設定手段と、
該設定手段にて設定された箇所に対応する番組のチャンネルを上記情報から取り出して、所望の番組のチャンネルとして設定するチャンネル補完手段と、
上記設定手段にて設定された箇所に対応する番組の開始時刻を上記情報から取り出して、所望の番組の情報として設定する開始時刻補完手段と、
該開始時刻補完手段により設定された開始時刻になると、上記チャンネル補完手段により設定されたチャンネルを上記チューナに抽出させる放送内容出力手段と、
上記テレビ受像機に表示された上記番組表を、上記カーソルの移動に伴い移動後の上記カーソル位置に応じた上記番組表に更新させると共に、上記カーソルの移動に伴い(記憶手段)の情報を更新させる更新手段と、
上記チューナにより復調された映像信号、上記チャンネル表示手段、上記放送順序表示手段及び上記限定手段によって上記テレビ受像機に表示される番組表の映像信号、のうちの何れか一つの映像信号を選択して上記テレビ受像機に出力する映像信号出力部と、
を備えた放送内容受信装置。

そして、次の各相違点で相違する。
(相違点a)
訂正発明の「入力手段」においては、「RAM」に取り込むのに対し、引用発明においては、「一時バッファ」及び「番組一覧バッファ」に記憶するものである点。

(相違点b)
画面表示される番組の内容に関し、訂正発明においては、「当該放送内容受信装置の電源を投入した日」の番組を表示するものであるのに対し、引用発明においては、このことについて特に示されていない点。

(相違点c)
番組表に関し、訂正発明においては、「チャンネルの違い毎に縦もしくは横の内の1方向に並べて表示するチャンネル表示手段」、「同一チャンネルの番組を放送順に上記1方向と垂直な方向に並べる放送順序表示手段」により画面に表示される番組表であるのに対し、引用発明における番組の一覧表示は、少なくともチャンネル(チャンネル表示手段)、放送順、及び番組内容が一覧表示される意味において番組表といえるものであり、「チャンネルの違い毎に縦もしくは横の内の1方向に並べて」及び「同一チャンネルの番組を、その放送順に、上記1方向と垂直な方向に並べて」表示するものではない点。

(相違点d)
訂正発明においては、位置指定手段について「チャンネルの方向及び上記放送順の方向それぞれ独立に移動可能なカーソルにより指定する」と特定しているのに対し、引用発明のカーソル乃至はポインタは、上下に移動するものである点。

(相違点e)
訂正発明においては、「カーソルの移動に伴い上記カーソルの位置情報をRAMに記憶させてその情報を更新させる更新手段」を備えるのに対し、引用発明では、カーソルの位置情報をRAMに記憶させることについて特に示されていない点。

(相違点f)
訂正発明においては、映像信号出力部は、チューナにより復調された映像信号、録画再生部により再生された映像信号、番組表の映像信号のうちのいずれか一つの映像信号を選択するものであるのに対し、引用発明では、ビデオスイッチャが、VCRにより再生された映像信号をテレビ受像機に出力することについて特に示されていない点。

4.判断
4-1.そこで、上記各相違点について検討する。
(1)相違点aについて:
書込み読出し可能な記憶手段としてRAMは例示するまでもなく周知のものであるから、引用発明においても、復調器から受信した番組スケジュール情報を記憶するバッファに、単に周知のRAMを用いることは当業者が容易に想到しうることである。

(2)相違点bについて:
引用発明は、「MGモードが設定されると、システム・クロック時間とカレンダをステータス行バッファに記憶し、設定一覧表示ポインタを現在の時刻と日付に基づいて最も近い0分ちょうどの時刻に調整し、画面バッファが一杯になるまで番組一覧表示の検索をする手段」を有するのであるから、通常、電源を投入してMGモードを設定した場合に、「電源を投入した日の」番組一覧表示を検索することとなるのは当然のことにすぎない。また、一般には、むしろ、その日の番組情報をみようとして電源をオンするのが普通であるとも考えられるし、主電源をオンすることによってスケジュール画像の表示ステップとし、テレビ画面上に当日のスケジュールを表示させること、すなわち、電源がオンされた日の必要なスケジュール情報を画面表示することは本願出願前に周知の技術である〔必要があれば、特開昭61-74475号公報(刊行物8。特に、第3頁右下欄?第4頁左上欄、第6頁左上欄の記載、第2図の表示ステップi、第3図F、G等)、及び、特開昭61-74476号公報(刊行物9。特に、第4頁左上欄?同頁右上欄の記載、第2図の表示ステップi、第3図F、G等)を参照。〕から、引用発明においても、テレビ番組を画面上に番組表示しようとする際、電源がオンされた日のテレビのスケジュール情報であるテレビ番組情報を画面表示することは当業者が容易に想到しうるものである。

(3)相違点cについて:
引用発明は、テレビ放送の番組内容をその開始時刻とその放映チャンネルとともに、放送順に縦の方向に並べて画面に表示するものである(摘記事項(ix)を参照。)が、テレビ番組内容を放映チャンネル毎に時刻情報とともに並べ表形式で表示することは新聞、雑誌等のテレビ番組欄や、特開昭61-113379号公報(刊行物10)、及び実願昭56-56229号(実開昭57-170166号公報)のマイクロフィルム(刊行物11)等にて周知の表示形式にすぎない。
したがって、引用発明においても、上記周知のもののようにテレビ番組内容を放映チャンネル毎に時刻情報とともに放送順に並べ表形式で画面上に表示し(この場合、チャンネルを表示する「チャンネル表示手段」、番組を表示する「放送順序表示手段」を具えることになることは明らか)、番組設定したい領域を選択指示することによりその領域に対応する番組を選択することは当業者が容易に想到しうるものである。

(4)相違点dについて:
表示形式が指定の仕方に影響を及ぼすのは当然であるから、前記「相違点cについて:」で示したように、引用発明において、「チャンネル表示手段」と「放送順序表示手段」とを一方向と他方向に並べて新聞のテレビ・ラジオ番組欄等にて周知の番組表のような形式で表示することとした場合には、表示形式の変更に付随して、番組を指定するポインタの動かし方を変更することは当然配慮される程度のことにすぎず、番組を指定するカーソルまたはポインタについても前記一方向と他方向、即ち上下左右に移動可能とすることは当然の設計事項にすぎないものである。必要ならば、刊行物2又は刊行物7を参照されたい。

(5)相違点eについて:
カーソルを画面上に表示するに際して、その位置情報を一時的な記憶手段に保持することは普通に行われていることで、当該一時的な記憶手段をRAMとすることも周知の事項を単に適用したにすぎない。前記カーソルを移動させる際には、前記位置情報も更新するのは当然であり、周知の技術事項にすぎない。必要ならば、例えば、刊行物12の座標記憶部、又は刊行物13のカーソル位置レジスタに、カーソル位置を記憶させて、カーソルの移動に伴い、位置情報を更新することが開示されている。
引用例においても摘記事項(xv)に、「新しいカーソル位置を反映させる。」との記載があることからすると、画面バッファに記憶される情報に、カーソル位置情報も含ませることは前記周知技術も参照することにより、当業者が容易に想到しうるものである。

(6)相違点fについて:
テレビ放送の映像信号と、VCR(ビデオ・カセット・レコーダ)又はVTR(ビデオ・テープ・レコーダ)により再生される映像信号とを、一台のテレビ受像機を共用して視聴することは通常行われることにすぎない。必要ならば、例えば、刊行物14に示される、映像信号スイッチ5が、VTR2、テレビ・チューナ6、文字コードを映像信号で出力するNTSCエンコーダ12を切り替えて出力する構成、又は刊行物15に示されるシステムコントロール部11が、VD1乃至はVD3を出力可能とした構成を参照されたい。
したがって、引用発明においても、ビデオスイッチャに、VCRの再生出力を入力し、テレビ受像機に対して選択的に入力するように構成する程度のことは当業者が容易に想到しうるものである。
審判請求人が、請求理由(5-3)の「理由9:」(請求書27頁)において主張する作用効果についても、前記刊行物14,15に示されるような構成を採用することで当然予想される程度のものにすぎない。

また、各相違点を総合しても、訂正発明が格別な作用効果を奏するものでもない。

4-2.なお、審判請求人が、請求理由(5-3)で主張する「本件異議の決定における認定が訂正によって誤りとなった具体的理由」に対して、以下に整理して見解を示す。
「理由1:」については、「相違点e」及び同相違点についての判断において、既に示したことである。
「理由2:」で、審判請求人は、引用発明は、テレビ番組の一部が「放送順に」表示されたものでない旨の主張をしているが、引用例に記載された事項を正しく理解しない主張である。引用例では、表示形式の都合上、同じ時刻に開始される番組を、同一の時間枠にまとめて表示しているのであって、開始時刻が同じ番組に「順序」が付けられないのはいうまでもないことであるから、このような表示形式を理由に「放送順」でないとする根拠とはならない。引用例においても、9:00開始の番組に続いて、9:15開始の番組、さらに9:30開始の番組が表示されているのであるから開始時刻が異なる番組については、開始時刻の早いものから「放送順に」表示されていることが明らかである。
「理由3:」については、「相違点d」及び同相違点についての判断において、既に示したことである。
「理由4:」において、「単なる記憶手段ではなく、カーソルキーの入力に応じて番組表の選択位置が移動すると、RAMに記憶された番組データにおけるカーソル位置情報も、それに応じて更新するという高度な機能の実現手段である」等の主張をしているが、記憶手段としてのRAM自体にそのような機能が備わっているはずもなく、記憶手段としてRAMを用いること自体が容易との判断は妥当なものである。前記「高度な機能」は、結局のところ「更新手段」に帰するものであるから、この点については「相違点eについて:」の項で検討したとおりである。
「理由5:」において、審判請求人は、甲第4号証及び甲第5号証(前記刊行物10,11に相当。)に記載された番組表は、「紙からなる」もので「単なる絵として表示されるだけ」のもので、受信装置側がデータとして利用できるものではないとの主張を行っているが、前記刊行物10,11は、周知の番組表の形式の例示として提示するもので、受信側がデータとして利用できる番組表は、引用例において既に示したことにすぎない。例示されたものが、紙であれ、単なる絵であれ、表示形式として周知である以上、当該周知の表示形式を、TV画面に表示するデータとすることに格別阻害要因となるべき事項はないのであるから、引用例における表示形式を刊行物10,11等にて周知の時刻とチャンネルを縦・横に並べた表示形式とすることが当業者にとって容易に想到しうる事項であるとの判断は妥当なものである。
「理由6:」審判請求人が主張する訂正発明の作用効果については、相違点c、dについての判断で示したように、新聞雑誌等で周知の表示形式の番組表を採用することで当然予想される程度のものにすぎない。
「理由7:」において、審判請求人は、「番組表から番組を選択することを全く想定していない引用例に記載の発明に対して番組表を適用し、さらに、チャンネルの方向や放送順の方向にカーソルを移動させて番組を選択するという技術まで引用例に記載の発明に対して適用することは、ありえないと考えられる。」と主張しているが、引用例に記載されたシステムでは、MGモード及びPGモードにおいて、まさに、番組表から番組を選択するものに他ならない。したがって、引用例に記載されたシステムに対して、異なる表示形式の番組表を適用する動機付けは十分存在するものである。
「理由8:」において、引用例に記載されたシステムに刊行物10,11のような周知の表示形式を適用することに、いわゆる阻害要因がある旨の主張も行っている。その概要は、仮に前記のように適用した場合には、テーマ設定、ゴールデンアワー設定、チャンネル制限一覧表示の各機能において、番組表が穴だらけになるから、適用を妨げる要因となりうるというものである。これに対しては、(xii)に摘記したように、「PG+スケジュール設定」の機能においては、「下の8行に番組一覧が表示される。この一覧表示はMG一覧表示と同一であるが、・・・短縮した一覧が表示される」とあるように、スケジュール設定に用いられるモードでは、必ずしも、番組表が穴だらけになることはないのであるから、番組表の表示形式として新聞や雑誌等で周知の表示形式を採用することに格別の障害が生じるわけではない。引用例に記載されたシステムにおけるテーマ設定、ゴールデンアワー設定、チャンネル制限一覧表示等の機能は、訂正発明とは何ら関係のない事項にすぎない。
「理由9:」については、相違点fについての判断において示したことである。引用発明が「ビデオの映像信号に字幕を付すことができない」、訂正発明が「視聴予約時間になった際に、ビデオカセットの再生映像からテレビ放送の映像に自動的に切り換えることが可能」等の主張は、いずれも、訂正発明を特定する技術事項に含まれない事項を前提とするものであるから、訂正発明に基づいた主張ではない。

4-3.また、審判請求人は、訂正拒絶理由に対して提出された平成19年7月19日付け意見書の「2.補正後の訂正発明の進歩性について」において、拒絶理由に対して次のような意見を述べているので、ここで、見解を示す。
当該意見とは、
『(2-1)訂正発明1と刊行物1に記載された発明との一致点の認定の誤りについて
訂正拒絶理由通知では、訂正発明1と刊行物1に記載された発明との一致点として、
「前記入力手段により(記憶手段に)取り込まれた上記情報から、各チャンネルのテレビの番組内容を取り出して、テレビ受像機に並べて表示するチャンネル表示手段と、
前記入力手段により取り込まれた上記情報中の番組を、その放送順に、上記テレビ受像機に表示する放送順序表示手段と、
該放送順序表示手段及び上記チャンネル表示手段により上記画面に表示される番組表を上記画面に表示可能な一画面分の番組のみに限定する限定手段と、
上記放送順序表示手段、上記チャンネル表示手段及び上記限定手段により上記テレビ受像機に表示された上記番組表の中から任意の番組内容が表示されている位置を、移動可能なカーソルにより指定するための位置指定手段と」
が挙げられています(第34頁第8?17行)。
しかしながら、刊行物1において画面に出力されるものは、訂正発明における「番組表」とは全く異なるものですので、刊行物1において「番組表」が出力されることを前提とした、上記一致点の認定は全て誤りです。 ・・・(中略)・・・
よって、刊行物1に記載されたシステムは、「かなりの量のスケジュール情報」に対し、「選択基準」に基づく検索を行い、その検索でヒットした番組だけを選択して画面に表示するというものです。
・・・(中略)・・・
以上詳述しましたとおり、刊行物1記載の発明において、画面に出力される内容は、「PGモード」はいうまでもなく、「MGモード」においても、「選択基準」に基づいて検索した結果、ヒットした番組のみを選択的に並べたものです。 それに対し、訂正発明が出力するものは「番組表」です。補正後の訂正発明における「番組表」とは、補正後の訂正明細書の請求項1における「前記入力手段によりRAMに取り込まれた上記情報から、当該放送内容受信装置の電源を投入した日の各チャンネルのテレビの番組内容を取り出して、チャンネルの違い毎にテレビ受像機に縦もしくは横の内の1方向に並べて表示するチャンネル表示手段と、
当該放送内容受信装置の電源を投入した日の、前記入力手段により取り込まれた上記情報中の同一チャンネルの番組を、その放送順に、上記1方向と垂直な方向に並べて、上記テレビ受像機に表示する放送順序表示手段と、
該放送順序表示手段及び上記チャンネル表示手段により上記画面に表示される番組表を上記画面に表示可能な一画面分の番組のみに限定する限定手段と、 上記放送順序表示手段、上記チャンネル表示手段及び上記限定手段により上記テレビ受像機に表示された上記番組表の中から任意の番組内容が表示されている位置を、上記チャンネルの方向及び上記放送順の方向それぞれ独立に移動可能なカーソルにより指定するための位置指定手段と」との記載、本件の願書に添付された図4から明らかなとおり、チャンネルの軸と、時間の軸とをそれぞれ備え、各番組がそのチャンネルと時間とに対応した位置に配置されたものです。
また、「番組表」は、全ての番組の中から、使用者が好みの番組を探すために用いるものですから、「番組表」の意義が、所定範囲内の全ての番組を、そのチャンネルと時間とに対応した位置に系統的且つ連続的に、隙間無く配置したものであることは技術常識です。このことは、刊行物3,10,11における「番組表」が全て、上記のものであることにより明確に裏付けられます。すなわち、刊行物3の図面、刊行物10の第4図、及び刊行物11の図4に表された「番組表」は、全て、チャンネル軸(横軸)と時間軸(縦軸)との両方について、全ての番組が系統的且つ連続的に、隙間なく配置されています。
以上詳述しましたように、補正後の本件訂正発明における「番組表」の意義は、チャンネルの軸と、時間の軸とをそれぞれ備え、所定範囲内の全ての番組が、そのチャンネルと時間とに対応した位置に系統的且つ連続的に、隙間無く配置されたものです。
よって、補正後の本件訂正発明における「番組表」は、刊行物1における出力内容(「選択基準」に基づいてシステムが検索した結果、ヒットした番組のみを選択的に並べたもの)とは大きく相違します。
(2-2)本件訂正発明1と刊行物1との相違点の検討
上述しましたとおり、刊行物1の発明において画面に出力されるものは、「番組表」とは大きく相違するものですが、これを、「番組表」に置換することは決してできません。その理由を説明します。
(イ)・・・(中略)・・・。
すなわち、刊行物1の発明において、「選択基準」に基づいてシステムが検索した結果、ヒットした番組のみを選択的に画面に出力するという事項は、一覧表示される番組の数を減らし、上述した課題を解決するために必須の構成です。仮に、画面に出力する内容を、所定範囲内の全ての番組を含む「番組表」に置き換えると、ユーザが調べる番組数が増えてしまい、上述した課題が解決できなくなってしまいます。
よって、刊行物1の発明に「番組表」を適用することには、明確な阻害事由が存在します。
(口)・・・(中略)・・・。仮に、刊行物1の発明において、「番組表」を画面に出力しようとすると、検索で絞って除外した番組を、再度「番組表」に戻す等、非常に不自然且つ複雑な操作が必要になってしまいます。このような、一度除外した番組を再度復活させるという操作は、いずれの刊行物にも示唆さえされておらず、その操作をどうやって行うかは、当業者には見当もつきませんから、決して当業者が行うことはできません。』
というものである。

請求人によるこのような主張に対して以下に反論する。
請求人は、引用例の「MGマスタ・ガイド・モード」での記載(摘記事項(ix)とそれに続く部分)の表示例を根拠に『「選択基準」に基づいて検索した結果、ヒットした番組のみを選択的に並べた』と主張するが、画面下3行のステータス行を参照すると、ゴールデンアワーが午後6時から11時、テーマ2オン、及びチャンネルグループ2オンと表示されており、同表示は、引用例において選択基準に基づいた検索の機能を説明するために、前記ステータス行に示された選択基準を採用した場合の一例にすぎないと解すべきものである。
その根拠として、摘記事項(viii)に記載した「2.キーボード操作の概要」に、「C230」キーについて、「MGモードのチャンネル制限のオン・オフを切り替える。」、「P240」キーについて、「前に数字キーを押さない場合、 Pは一覧表示をゴールデンアワーだけに制限する。」、及び「A242」キーについて、「前に数字キーを押さない場合、Aは一覧表示を選択されたテーマだけに制限する。」との意味が記載されている。また、同様の内容が、引用例第11欄の第8行?第24行付近にわたるキー操作の一覧表において、次のように記載されている。

「高度なユーザによって使用されるキー:C230 チャンネル一覧表示制限を切り換える。
P240 ゴールデンアワー一覧表示を切り換える。また午後を設定する。
A242 テーマ一覧表示を切り換える。また午前を設定する。」
(Keys used by advanced users:
C230 Toggles channel listing restriction
P240 Toggles prime time listing or sets PM
A242 Toggles theme listing or sets AM)
また、引用例第18欄11行?13行にも、Fig.8のフロー図を参照して、次のような記載がある。
「373でP、CまたはA キー240、230または242の閉鎖が検出された場合、377でゴールデンアワー・バッファ、チャンネル・バッファ及びテーマ・バッファがオフまたはオンになる。」
(If a P, C or A key 240, 230 or 242 closure is detected at 373, the prime buffer, channel buffer and theme buffer are toggled off or on at 377.)

これらの記載から明らかなように、チャンネル、ゴールデンアワー、及びテーマの、それぞれについての制限は、いずれも、キー操作により切り換え、すなわち、オンオフすることができるものである。それ故、MGモードでの表示では、ステータス行に、
「実際の時刻と日付、及び何らかの検索制限(ゴールデンアワー、テーマ、及びチャンネル)が作動しているかどうかを示す(11欄35行?37行)」
(showing the actual time and date, and whether any of the search restrictions (prime, theme, and channel) are activated. )
ことにより、各制限のオンオフを使用者に知らせる記載がある。

さらに、各制限について個別に指摘すると、先ず、テーマの制限については、
「異なったテーマに関心を有する何人かの視聴者に対応するため、番組マスタは 4 つまでのテーマ一覧表示を作成する機能を有する。PGAに入った後多数の一覧表示を作成するには、すぐ(1?4の)数字を入力する。別のリストを作成するには、ユーザは PGモードを出てから新しい数字によって再び PGA に入らなければならない.なお、ユーザが番号付き一覧表示を作成する時、番組マスタはまだ全ての番組が一覧表示されるデフオルト・モード(テーマ・オフ・モード)を提供している。番号付きリストが作成されない場合、番組マスタはテーマ・オフとテーマ・オンの2 つのモードだけを提供する。ここでも、平均的なユーザの場合、これはテーマ・モードの最も一般的な設定である。
MGモード画面が表示されている時、番号付きテーマが存在する場合、画面の一番下のテーマ・インジケータが現在のテーマ番号を一覧表示する。Aキー242が押される度に、テーマ番号は次のテーマ番号に進む。例えば、テーマ2とテーマ4の2つの一覧表示がある場合、Aキー242が押される度に、画面にはテーマ2が表示され、次にテーマ4、次にテーマなし(テーマ・オフ)が表示され、次にテーマ2に戻る。番組マスタは、番組マスタがオフになる時の最後のテーマ設定を記憶し、MGキー222が押されると自動的にこのモードに設定される。」(13欄20行?40行)
(To accommodate several viewers with different theme interests, the Program Master has the facility to create up to four theme lists. To create a multiple list, after PG A is entered, enter a digit (from 1 to 4) immediately. To create another list, the user must exit the PG mode and re-enter PG A with a new digit. Note that when the user creates a numbered list, the Program Master still provides a default mode where all programs are listed (theme off mode). If no numbered list is created, the Program Master provides only two modes: theme off and theme on. Again, for the average user, this is the most common setup of the theme mode.
When the MG mode screen is displayed, the theme indicator at the bottom of the screen will list the current theme number if a numbered theme list exists. Each time the A key 242 is pressed, the theme number advances to the next theme number. For example, if there are two lists, theme 2 and theme 4, each time the A key 242 is pressed, the display shows theme 2, then theme 4, then no theme (theme off), and then back to theme 2. )
との記載があり、4つまでのテーマ一覧表示の有無にかかわらず、デフオルト・モード(テーマ・オフ・モード)では、全ての番組が表示され、テーマによる制限がないモードが常に選択可能であることを示している。

同様に、ゴールデンアワー制限についても、
「この機能によって、ユーザはゴールデンアワー・スケジュールを設定し、一覧表示をゴールデンアワー中の番組だけに制限することができる。MGモードがアクセスされると、画面の一番下にはゴールデンアワーだけの一覧表示がオンかオフかを示すステータス行が表示される。」(13欄61行?65行)
(This feature allows the user to set up the prime time schedule for restricting the listing to only programs falling within the prime time. When the MG mode is accessed, at the bottom of the screen is a status line indicating if the prime time only listing is on or off.)
及び、
「ゴールデンアワーは、起動されると、一覧表示を指定された時刻に制限する。」
(14欄22行)
(Prime time, when activated, will restrict listing to the specified hours.)
との記載があり、ゴールデンアワーの制限がない状態では、表示時間の制約がないことが明らかである。

また、チャンネル制限についても、
「多数の一覧表示を作成するには、PGCを入力した後続けて1?4の数字を入力する。何らかの他の数字を入力するとヘルプ画面が表示される。MGが入力されると、ステータスは制限一覧表示が1つの場合の単純なチャンネル・オンまたはオフの代わりにチャンネル・グループnを表示する。常に全てのチャンネルが一覧表示されるデフォルト・チャンネル・モードが存在する。MGモードでは、Cキーが押される度に、チャンネル・グループ番号が変更される。それ以上グループ番号がない場合、デフォルト・チャンネル・モードが表示される。」(15欄7行?17行)
(To create multiple lists, follow the PG C entry with a number from 1 to 4. Any other number will display a help screen. When MG is entered, the status will show Channel Group n instead of simply Channel ON or OFF for a single restriction list. There is always a default channel mode where all channels are listed. While in the MG mode, each time the C key is pressed, the Channel Group number is changed. If there are no more Group numbers, then the default channel mode is displayed. )
との記載から明らかなように、デフォルト・チャンネル・モードでは、「常に全てのチャンネルが一覧表示される」ことが明らかである。

以上の記載から、刊行物1に記載された発明が『かなりの量のスケジュール情報」に対し、「選択基準」に基づく検索を行い、その検索でヒットした番組だけを選択して画面に表示する』『画面に出力される内容は、「PGモード」はいうまでもなく、「MGモード」においても、「選択基準」に基づいて検索した結果、ヒットした番組のみを選択的に並べたものです』とする主張は誤りで、刊行物1に記載された発明は『「選択基準」に基づいてシステムが検索した結果、ヒットした番組のみを選択的に並べたもの』だけのものでなく、チャンネル、テーマ、ゴールデンアワーの制限なく一覧表示されるモードが設けられているものである。
また、審判請求人は、訂正発明1における「番組表」について、『本件訂正発明1における「番組表」の意義は、チャンネルの軸と、時間の軸とをそれぞれ備え、所定範囲内の全ての番組が、そのチャンネルと時間とに対応した位置に系統的且つ連続的に、隙間無く配置されたものです』とした形態のもので『刊行物1において画面に出力されるものは、訂正発明1における「番組表」とは全く異なるものですので、刊行物1において「番組表」が出力されることを前提とした、上記一致点の認定は全て誤りです。』と主張する。
しかしながら、刊行物1に記載された発明は、出力内容(「選択基準」に基づいてシステムが検索した結果、ヒットした番組のみを選択的に並べたもの)でないことは上記したとおりである。
そして、刊行物1に記載された発明は、少なくともチャンネルと時間と放送内容をもつ放送形式(上記(xix)参照)の情報が番組一覧表示される意味で「番組表」といえるもので、上記請求人が主張する「番組表」の形態は上記「3.対比・判断」において、(相違点c)で相違点として認め、この点は「4.判断」の「(3)相違点cについて:」で、刊行物1に記載された発明においても、新聞雑誌等のテレビ欄その他の周知例等にて周知の表示形式にすぎず、したがって「チャンネルの軸と、時間の軸とをそれぞれ備え、所定範囲内の全ての番組が、そのチャンネルと時間とに対応した位置に系統的且つ連続的に、隙間無く配置」することは当業者が容易に想到しうると判断するものである。

また、『刊行物1の発明において画面に出力されるものは、「番組表」とは大きく相違するものですが、これを、「番組表」に置換することは決してできません。』であるが、スケジュール情報については、上記摘示事項(iv)(v)(vi)(xx)(xxi)に加え、
「さらに、当業者に明らかなように、図示及び説明された本発明の形態及び細部には様々な変更が可能である。例えば、スケジュール情報は、コンピユサーブ(Compuserve) またはザ・ソース(The Source)といった情報ユーティリティを通じてパーソナル・コンピュータによりアクセス可能であり、ユーザはユーティリティのメインフレームに対して選択入力を行い、メインフレーム上で選択プログラムを実行した後で選択された番組情報をダウンロードするか、または自分の地域に関する番組スケジュール情報をダウンロードした後パーソナル・コンピュータ上でダウンロードされた番組スケジュール情報により番組選択を行うことができる。テレビ受像機とVCRはパーソナル・コンピュータの周辺機器として制御することができる。また、ユーザはパーソナル・コンピュータから選択された番組情報を利用して本発明の方法によりテレビ受信機またはVCRを手動で操作することができる。TVスケジューラへの入力として、直接放送の代わりに放送情報を含むディスケットを使用することができる。ディスケツトは、プログラム可能TVチューナを制御するコンピュータによって読み取られる。」(第21欄第65?第22欄18行)
(It should further be apparent to those skilled in the art that various changes in form and details of the invention as shown and described may be made. For example, the schedule information could be accessible with a personal computer through an information utility, such as Compuserve or The Source, and the user could either make the selection inputs to the utility's mainframe for running a selection program on the mainframe and then download the selected program information, or download the program schedule information for his or her locality, then run the selection program with the downloaded program schedule information on the personal computer. The television set and VCR could then be controlled as peripherals of the personal computer. Alternatively, the user could employ the selected program information from the personal computer to control the television receiver or VCR manually in the process of this invention. A diskette containing broadcast information could be used instead of a direct broadcast as an input to the TV soheduler. The diskette can be read by a computer that controls a programmable TV tuner. )

と、スケジュール情報は、CPUで読み取られる「ディスケット」をあげている。これは、記憶保持動作が不要な記憶手段として予め記憶された記憶手段で、番組表の情報を常時備えている、CPUで読み取られる「ディスケット」は、「仮に、刊行物1の発明において、「番組表」を画面に出力しようとすると、検索で絞って除外した番組を、再度「番組表」に戻す等、非常に不自然且つ複雑な操作が必要になってしまいます。このような、一度除外した番組を再度復活させるという操作は、いずれの刊行物にも示唆さえされておらず、その操作をどうやって行うかは、当業者には見当もつきませんから、決して当業者が行うことはできません。」との検索で絞った除外した番組を、再度「番組表」に戻す不自然さ且つ複雑な操作を必要とするものでない。
また、上記CPUで読み取られる「ディスケット」を用いない場合においても、一般的に、ある基準にしたがって、情報の検索を行う場合、検索対象となる元の情報が存在するのは当然のことで、前記検索対象を、全ての基準を網羅する「全体」の情報とすることは普通のことにすぎない。刊行物1の発明においても、特定のチャンネル、ゴールデンアワー、テーマの、各選択基準を適用するに当たって、その選択の前提として、検索の対象となる全ての番組が情報として存在することはいうまでもない事項である。

そして、請求人の主張する『刊行物1の発明に「番組表」を適用することには、阻害事由が存在します。』ということはない。

よって、意見書おける審判請求人の上記主張は、これを採用することができない。

5.訂正発明の独立特許要件についてのむすび
以上のとおり、訂正発明は、引用発明に基づき、周知技術も参酌することにより当業者が容易に発明をすることができたものであるから、特許法第29条第2項の規定により、特許を受けることができないものである。


第6 むすび
以上のとおりであるから、本件訂正は、訂正後における特許請求の範囲に記載されている事項により特定される発明が、特許法第29条第2項の規定により、特許出願の際独立して特許を受けることができないものであるから、特許法第126条第5項の規定に適合しないものである。
したがって、本件審判請求に係る訂正は、認めることができない。
よって結論のとおり審決する。
 
審理終結日 2007-11-27 
結審通知日 2005-12-08 
審決日 2007-12-11 
出願番号 特願2000-294017(P2000-294017)
審決分類 P 1 41・ 856- Z (G11B)
最終処分 不成立  
前審関与審査官 山澤 宏  
特許庁審判長 山田 洋一
特許庁審判官 小松 正
早川 卓哉
新宮 佳典
江畠 博
登録日 2001-08-10 
登録番号 特許第3219751号(P3219751)
発明の名称 放送内容受信装置  
代理人 足立 勉  

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