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審決分類 |
審判 査定不服 2項進歩性 特許、登録しない。 G06F 審判 査定不服 4号2号請求項の限定的減縮 特許、登録しない。 G06F |
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管理番号 | 1185554 |
審判番号 | 不服2002-20447 |
総通号数 | 107 |
発行国 | 日本国特許庁(JP) |
公報種別 | 特許審決公報 |
発行日 | 2008-11-28 |
種別 | 拒絶査定不服の審決 |
審判請求日 | 2002-10-21 |
確定日 | 2006-04-04 |
事件の表示 | 平成 8年特許願第502595号「万能電子取引カード,システム及び方法」拒絶査定不服審判事件〔平成 7年12月28日国際公開,WO95/35546,平成10年 2月24日国内公表,特表平10-502193〕について,次のとおり審決する。 |
結論 | 本件審判の請求は,成り立たない。 |
理由 |
第1 手続の経緯 本願は,1995年(平成7年)6月7日(パリ条約による優先権主張1994年(平成6年)6月20日,米国)を国際出願日とする出願であって,平成14年7月10日付けで拒絶査定がなされ,これに対し,同年10月21日に拒絶査定に対する審判請求がなされるとともに,同年11月20日付けで手続補正がなされたものである。 第2 平成14年11月20日付けの手続補正についての補正却下の決定 [補正却下の決定の結論] 平成14年11月20日付けの手続補正を却下する。 [理由] 1 補正の内容 平成14年11月20日付けの手続補正(以下「本件補正」という。)は,本件補正前の特許請求の範囲 「1.ユーザの個人情報,該ユーザがアカウントを持つサービス機関のアカウントのアカウント情報,該ユーザがアカウントを持つ複数のサービス機関のアカウントの取引情報を含む情報の記憶,伝送及び受信を行なう万能電子取引カードであって, 前記ユーザの個人情報,前記ユーザがアカウントを持つ複数のサービス機関のアカウント情報及び該アカウント情報が存在する各サービス機関の取引情報を含む情報を入力する入力手段と, 前記入力手段で入力された前記ユーザの個人情報,前記ユーザがアカウントを持つ複数のサービス機関のアカウント情報及び該アカウント情報が存在する各サービス機関の取引情報を含む情報を記憶するメモリ手段と, 前記個人情報,前記アカウント情報及び前記取引情報を含む情報を各サービス機関と電子的に通信する通信手段と, 前記個人情報,前記アカウント情報及び前記取引情報を含む複数のサービス機関のアカウントの情報を表示する表示手段と, 前記個人情報,前記アカウント情報及び前記取引情報を含む情報を処理する処理手段と, 前記入力手段,前記メモリ手段,前記通信手段,前記表示手段及び前記処理手段をポケット又は財布に適合するように収容する収容手段と, 電源を供給及び蓄積し,前記メモリ手段,前記入力手段,前記表示手段,前記処理手段及び前記通信手段に選択的に給電する給電手段と, 不正使用を防ぐとともに前記メモリ手段に記憶した情報への不正なアクセスを防ぐセキュリティ手段と を具備し,前記取引情報は,取引日,取引額およびユーザ認証を含む万能電子取引カード。 2.前記ユーザ認証は,署名を含む請求項1の万能電子取引カード。 3.前記メモリ手段は,前記サービス機関の認証番号を更に記憶する請求項1の万能電子取引カード。 4.前記表示手段は, 視覚的に認識できるクレジットカードのレプリ力及び視覚的に認識できるユーザの署名のレプリカを表示するのに十分な大きさを持つ接触感知ディスプレイを含む請求項1の万能電子取引カード。 5.取引を進めるために,ユーザがサービス機関グループから1つのサービス機関を選択することを可能にするメニューを前記接触感知ディスプレイ上に提供する請求項4の万能電子取引カード。 6.前記接触感知ディスプレイは,ユーザがサービス機関グループからの選択を可能にする少なくとも1つのレベルと,該ユーザが特定のサービス機関の選択を可能にする少なくとも他の1つのレベルとを含むマルチレベルのメニューを提供する請求項5の万能電子取引カード。 7.ユーザによってサービス機関が選択されたときに,該ユーザの名前及びアカウント番号とともにサービス機関のグラフィックイメージを表示する請求項6の万能電子取引カード。 8.前記接触感知ディスプレイは,前記ユーザが選択されたサービス機関のアカウント情報を見ることを可能にするメニュー表示する請求項7の万能電子取引カード。 9.前記接触感知ディスプレイは,前記ユーザがセキュリティコードを入力することを可能にするメニューを表示する請求項4の万能電子取引カード。 10.前記ユーザの署名を前記メモリ手段に入力し,該署名を前記表示手段に表示する手段を含む請求項1の万能電子取引カード。 11.電話番号を記憶する手段を更に含む請求項1の万能電子取引カード。 12.前記入力手段は,取引通信システムと電子的に直接接続され,該取引通信システムから前記取引情報を電子的に受信する少なくとも1つの電子的伝導コネクタを含むインターフェースを具備する請求項1の万能電子取引カード。 13.前記表示手段は,バーコードリーダアプリケーションのためのバーコードを表示する手段を更に具備する請求項1の万能電子取引カード。 14.情報を入力するためのポインティングデバイスを更に含む請求項1の万能電子取引カード。 15.前記表示手段,前記処理手段及び前記通信手段に電源を選択的に供給する電源手段を更に含む請求項1の万能電子取引カード。 16.前記給電手段は,前記メモリ手段にバックアップ電源を供給する第1の電源手段と,前記メモリ手段,前記入力手段,前記表示手段,前記処理手段及び前記通信手段に選択的に電源を供給する第2の電源手段とを含む請求項1の万能電子取引カード。 17.前記給電手段は,入力及び処理の活性化を検出し,所定の時間入力及び処理の活性化を検出しなければ前記表示手段及び処理手段の電源を断にする手段を更に含む請求項1の万能電子取引カード。 18.不正なユーザが該ユーザのアカウントを用いた不正な取引に使用した場合は少なくとも1つのアカウントを自動的に削除する手段を更に含む請求項1の万能電子取引カード。 19.ポケット又は財布に適合する少なくとも1つの万能電子取引カードと少なくとも1つの通信インターフェースユニットとを含み,ユーザの個人情報,該ユーザがアカウントを持つサービス機関のアカウントのアカウント情報,該ユーザがアカウントを持つ複数のサービス機関のアカウントの取引情報を含む情報の記憶,伝送及び受信を行なう万能電子取引カードを用いた通信システムであって,前記ユーザの個人情報,前記ユーザがアカウントを持つ複数のサービス機関のアカウント情報及びアカウント情報が存在する各サービス機関の取引情報を含む情報を前記万能電子取引カードへ入力する入力手段と, 前記入力手段で入力された前記ユーザの個人情報,前記ユーザがアカウントを持つ複数のサービス機関のアカウント情報及びアカウント情報が存在する各サービス機関の取引情報を含む情報を記憶するメモリ手段と, 前記個人情報,前記アカウント情報及び前記取引情報を含む情報を前記メモリ手段と電子的に通信する通信手段と, 前記個人情報,前記アカウント情報及び前記取引情報を含む複数のサービス機関のアカウントの情報を表示する表示手段と, 前記個人情報,前記アカウント情報及び前記取引情報を含む情報を処理する処理手段と, 電源を供給及び蓄積し,前記メモリ手段,前記入力手段,前記表示手段,前記処理手段及び前記通信手段に選択的に給電する給電手段と, 前記万能電子取引カードの不正使用を防ぐとともに該万能取引カードのメモリ手段に記憶した情報への不正なアクセスを防ぐセキュリティ手段と を具備し,前記取引情報は,取引日,取引額およびユーザ認証を含む万能電子取引カードを用いた通信システム。 20.前記表示手段は, 視覚的に認識できるクレジットカードのレプリカ及び視覚的に認識できるユーザの署名のレプリカを表示するのに十分な大きさを持つ接触感知ディスプレイを含む請求項19の万能電子取引カードを用いた通信システム。 21.前記万能電子取引カードを用いた取引を進めるために,ユーザがサービス機関グループから1つのサービス機関を選択することを可能にするメニューが前記接触感知ディスプレイ上に提供される請求項20の万能電子取引カードを用いた通信システム。 22.前記接触感知ディスプレイは,ユーザがサービス機関グループからの選択を可能にする少なくとも1つのレベルと,該ユーザが特定のサービス機関の選択を可能にする少なくとも他の1つのレベルとを含むマルチレベルのメニューを提供する請求項21の万能電子取引カードを用いた通信システム。 23.ユーザによってサービス機関が選択されたときに,該ユーザの名前及びアカウント番号とともにサービス機関のグラフィックイメージが表示される請求項22の万能電子取引カードを用いた通信システム。 24.前記接触感知ディスプレイは,前記ユーザが選択されたサービス機関のアカウント情報を見ることを可能にするメニューを表示する請求項20の万能電子取引カードを用いた通信システム。 25.前記接触感知ディスプレイは,前記ユーザがセキュリティコードを入力することを可能にするメニューを表示する請求項20の万能電子取引カードを用いた通信システム。 26.前記ユーザの署名を前記メモリ手段に入力し,該署名を前記表示手段に表示する手段が提供される請求項19の万能電子取引カードを用いた通信システム。 27.前記入力手段は,取引通信システムと電子的に直接接続され,該取引通信システムから取引情報を電子的に受信する少なくとも1つの電子的伝導コネクタを含むインターフェースを具備する請求項19の万能電子取引カードを用いた通信システム。 28.前記通信インターフェースユニットは,前記万能電子取引カードとパーソナルコンピュータとの間の受動的インタフェースを具備する請求項19の万能電子取引カードを用いた通信システム。 29.前記通信インターフェースユニットは,前記万能電子取引カードとモデムとの受動的インタフェースを具備する請求項19の万能電子取引カードを用いた通信システム。 30.前記通信インターフェースユニットは,前記万能電子取引カード,モデム情報を処理する手段,情報を記憶する手段,情報を入力する入力手段及び情報を表示する表示手段の受動的インタフェースを具備する請求項19の万能電子取引カードを用いた通信システム。 31.ユーザの個人情報,ユーザがアカウントを持つ複数のサービス機関のアカウント情報及びアカウント情報が存在する複数のサービス機関の取引情報を含む情報を前記万能電子取引カードへ入力する入力手段と,前記入力手段で入力された前記ユーザの個人情報,前記ユーザがアカウントを持つ複数のサービス機関のアカウント情報及びアカウント情報が存在する複数のサービス機関の取引情報を含む情報を記憶するメモリ手段と,前記個人情報,前記アカウント情報及び前記取引情報を含む情報を前記メモリ手段と電子的に通信する通信手段と,前記個人情報,前記アカウント情報及び前記取引情報を含む複数のサービス機関のアカウントの情報を表示する表示手段と,前記個人情報,前記アカウント情報及び前記取引情報を含む情報を処理する処理手段とを含み,前記ユーザの個人情報,該ユーザがアカウントを持つサービス機関のアカウントのアカウント情報,該ユーザがアカウントを持つ複数のサービス機関のアカウントの取引情報を含む情報の記憶,伝送及び受信をそれぞれ行なう複数の万能電子取引カードと, 前記取引情報の入力および記憶を行なう手段と,前記万能電子取引カードと電子的に通信して前記アカウント情報を受信する手段と,前記アカウント情報及び前記取引情報を機関システムと電子的に通信する手段と,個々の万能電子取引カードに前記取引情報を電子的に通信する手段とを含む取引システムと, アカウント番号を生成する手段と,該アカウント番号を割り当て許可する手段と,許可されたアカウント番号を前記万能電子取引カードに電子的に通信する手段と,各許可されたアカウント番号の個人情報を受信して記憶する手段と,個々の万能電子取引カードと通信してアカウント取引を許可する手段と,アカウント取引に関する情報を受信して記憶する手段とを含む機関システムと, 電子情報の交換のために前記取引提供システムと前記万能電子取引カードとの間のインターフェースを司るインターフェース手段と,機関システムとの通信を行なう通信手段とを含み,前記万能電子取引カードと前記取引システムとの間及び該取引システムと前記機関システムとの間の通信を提供する通信システムと を具備する通信システム。 32.個人医療履歴,アカウント情報及び取引情報を含む個人情報を入力,記憶,処理及び伝送する少なくとも1つの万能電子取引カードと, 患者及びヘルスケアー提供者のアカウントを作成して割り当てる手段と,前記万能電子取引カードにアカウント情報を電子的に通信する手段と,各許可されたアカウント番号に関する個人情報を受信して記憶する手段と,アカウント取引を許可するために前記万能電子取引カードと通信する手段と,アカウント取引に関連する情報を受信して記憶する手段と,医療履歴を記憶して通信する手段とを含む少なくとも1つの中央ヘルスケアー情報処理システムと, 前記中央ヘルスケアー情報処理システムと電子的に通信する手段と,前記万能電子取引カードと電子的に通信する手段と,患者情報を記憶するメモリ手段とを含む少なくとも1つのヘルスケアー提供処理システムと, 前記万能電子取引カード,前記中央ヘルスケアー情報処理システム,前記ヘルスケアー提供処理システム間の通信を提供する少なくとも1つの通信システムと を具備するヘルスケアー管理システム。 33.前記ヘルスケアー提供処理システムと前記中央ヘルスケアー情報処理システムとのインターフェースを司るカードインタフェース手段を更に含む請求項30のヘルスケアー管理システム。 34.サービス機関のアカウントを用いて電子的クレジットカード取引を行なう方法であって, 万能電子取引カードのサービス機関グループからあるサービス機関アカウントを選択するステップと, 万能電子取引カード,取引システム,サービス機関システムの間の電子的通信を確立するステップと, 万能電子取引カードから取引システムに選択されたサービス機関のアカウントに関するアカウント情報を伝送するステップと, 取引システムからサービス機関システムにクレジット取引及びサービス機関アカウントに関する情報を伝送するステップと, サービス機関システムにおいてサービスアカウント及び取引情報を審査してアカウントが正当か否か及びクレジット取引がアカウントの所定のクレジット制限内であるか否かを決定するステップと, 正当なアカウント及び所定の制限内のクレジット取引に際して,クレジット取引に関する許可を取引システムへ伝送してサービス機関アカウントに関するサービス機関システムのクレジット取引の取引情報を記憶し,クレジット取引の取引情報を万能電子取引カードへ伝送してサービス機関アカウントに関する万能電子取引カードによるクレジット取引の取引情報を記憶するステップと を具備する方法。 35.アカウントに関する万能電子取引カードの使用をユーザに許可するために万能電子取引カードのユーザに対してサービス機関によりアカウントを発行する方法であって, サービス機関の要求に応答してユーザから所定の情報を獲得するステップと, アカウント番号を含むユーザのアカウント情報を発行するステップと, 万能電子取引カードがあるアカウントに関するクレジット取引を行なうために使用されるとき,ユーザの万能電子取引カードに対してサービス機関アカウントに関する所定のアカウント情報,サービス機関についての所定の情報,万能電子取引カードに表示されるアカウントを電子的に伝送するステップと を具備する方法。 36.前記サービス機関についての所定の情報は,サービス機関のアカウントサービス名とサービス機関のアカウントサーヒスのグラフィックイメージとが含まれる請求項35の方法。 37.万能電子取引カードからパーソナルコンピュータに対してサービス機関アカウントに関する複数のクレジット取引に関するアカウント情報及び蓄積取引情報を伝送する方法であって, パーソナルコンピュータと万能電子取引カードとの間の電子的通信を確立するステツプと, 少なくとも1つのサービス機関アカウントを選択するステップと, 少なくとも1つのサービス機関アカウントから所定の期間で取引されるアカウントに関するクレジット取引を選択するステップと, 選択されたクレジット取引を万能電子取引カードからパーソナルコンピュータの記憶手段に伝送するステッフと を具備する方法。 38.前記選択された取引は,サービス機関より紙で提供される月毎の計算書の形式で前記パーソナルコンピュータ上にその後表示される請求項37の方法。 39.サービス機関システムの遠隔端末として万能電子取引カードを使用する方法であって, 万能電子取引カードから予め許可されたサービス機関アカウントを選択するステップと, パーソナルコンピュータとこのサービス機関アカウントに関するサービス機関システムとの間の電子的通信を確立するステップと, 万能電子取引カードからサービス機関システムに対してユーザ及びサービス機関アカウントの識別情報を伝送するステップと, 前記識別情報が正当である場合に,該識別情報とサービス機関アカウントで許可された情報とを比較するステップと, 識別情報が正当なものであるとき,万能電子取引カードからサービス機関システムに通信されたコマンドに応答して,万能電子取引カードとサービス情報システムとの間で,選択されたアカウント及び取引情報を通信するステップと を具備する方法。 40.前記選択された取引情報は,サービス機関より紙で提供される月毎の計算書の形式で前記万能電子取引カード上にその後表示される請求項39の方法。」 を,本件補正後の特許請求の範囲 「1.電子取引に関する複数のアカウントに対応するアカウント情報を管理する万能電子取引カードであって, ポケットまたは財布に収納可能な筐体と, 前記筐体に設けられ,前記複数のアカウントから所望のアカウントを選択するためのメニューおよび選択されたアカウントに対応するカードのイメージおよび前記電子取引に対応する取引領収書を表示するディスプレイと, 情報を入力する入力手段と, 前記筐体内に収容され,前記複数のアカウントに対応する伝送されない情報および前記複数のアカウントに対応する伝送される情報およびセキュリティ情報および電子形態での取引領収書および個人情報を記憶するそれぞれ記憶する領域を有するメモリと, サービス機関に対応する取引端末およびセントラルコンピュータとデータ通信を確立する通信手段と, 前記筐体内に収容され,前記ディスプレイおよび前記入力手段および通信手段と結合された処理手段と, 前記入力手段および前記メモリおよび前記通信手段および前記処理手段に電源を供給する電源手段と を具備し, 前記処理手段は, セキュリティ情報およびアカウント情報および取引情報を処理する手段と, 選択されたアカウントに対応するセキュリティ情報およびアカウント情報および取引情報の通信を含む電子取引を前記通信手段を介して実行する手段と, 前記メモリにアクセスし,電子形態での取引領収書の格納および取り出しを行う手段と, 複数のサービス機関に対応する複数のアカウントから所望のサービス機関に対応するアカウントを選択するための選択メニューを前記ディスプレイに電子的に表示する手段と, 選択されたアカウントに対応するカードのイメージを前記ディスプレイに電子的に表示する手段と, 前記電子取引に対応する取引領収書を前記ディスプレイに電子的に表示する手段と を有する万能電子取引カード。 2.前記ディスプレイは,接触感知ディスプレイからなり, 前記入力手段は,前記接触感知ディスプレイを含む請求項1記載の万能電子取引カード。 3.前記入力手段は,前記接触感知ディスプレイ上に設けられ,情報を入力するポインティングデバイスを有する請求項2記載の万能電子取引カード。 4.前記通信手段は,前記取引端末との間で赤外線通信を行う赤外線通信手段若しくは前記取引端末との間で無線通信を行う無線通信手段を含む請求項1記載の万能電子取引カード。 5.前記電子形態での取引領収書は,取引が行われた日を示す取引日情報および取引額を示す取引額情報およびユーザによって認証された取引を示す認証情報を含む取引データ情報を含む請求項1記載の万能電子取引カード。 6.前記セキュリティ情報は,カード個別の番号を含む請求項1記載の万能電子取引カード。 7.前記セキュリティ情報は,カード発行者およびユーザ個別のコード化されたセキュリティ情報を含む請求項1記載の万能電子取引カード。 8.前記セキュリティ情報は,ユーザによって選択された個人識別番号を含む請求項1記載の万能電子取引カード。 9.前記セキュリティ情報は,サービス提供期間から受信した識別番号を含む請求項1記載の万能電子取引カード。 10.前記処理手段は, カードの使用開始に際して,ユーザに対して該ユーザの署名およびセキュリティコードの入力要求を前記ディスプレイに表示する手段と, ユーザによって入力された前記署名および前記セキュリティコードを記憶する手段と, ユーザによる前記署名およびセキュリティコードの入力後に前記複数のサービス機関によるサービスの利用を可能状態にする手段と を更に具備する請求項1記載の万能電子取引カード。 11.前記処理手段は, 入力されたユーザの署名イメージを前記メモリに記憶するとともに,該署名イメージを前記ディスプレイ上に表示する手段を含む請求項10記載の万能電子取引カード。 12.前記ディスプレイは, 複数のサービス機関グループの中からから所望のサービス機関グループを選択する第1のレベルと, 該選択されたサービス機関グループの中から所望のサービス機関を選択する第2のレベルと を少なくとも含むマルチレベルのメニューを提供する 請求項1記載の万能電子取引カード。 13.前記処理手段は, 前記入力手段で入力された前記複数のサービス機関に関する電話番号を前記メモリに記憶する手段 を含む請求項1記載の万能電子取引カード。 14.前記処理手段は, 前記複数のサービス機関の利用に関するバーコードリーダアプリケーションのためのバーコードを前記ディスプレイに表示する手段 を含む請求項1記載の万能電子取引カード。 15.前記電源手段は, 前記メモリ,前記入力手段,前記ディスプレイ,前記通信手段,前記処理手段に選択的に電源を供給する手段 を含む請求項1記載の万能電子取引カード。 16.前記電源手段は 前記メモリにバックアップ電源を供給する第1の電源手段と, 前記メモリ,前記ディスプレイ,前記通信手段,前記処理手段に選択的に電源を供給する第2の電源手段と を含む請求項1記載の万能電子取引カード。 17.前記電源手段は, 前記処理手段の処理の活性化を検出し,所定の時間の間前記処理の活性化を検出しない場合は,前記ディスプレイおよび前記処理手段の電源を断にする手段 を含む請求項1記載の万能電子取引カード。 18.前記処理手段は, 不正なユーザが前記アカウントを用いた不正な取引を利用しようとした場合は少なくとも該アカウントを自動的に削除する手段 を含む請求項1記載の万能電子取引カード。 19.各種サービスを管理する機関システムおよび該機関システムで管理される各種サービスの取引を処理する取引システムと通信システムを介して通信可能な万能電子取引カードを用いて,前記機関システムが管理する各種サービスの利用の処理を行うサービス管理システムであって, 前記万能電子取引カードは, 情報を記憶するメモリと, 情報の入力を行う入力手段と, カードの略全面に設けられたディスプレイと, 前記セントラルコンピュータおよび前記取引端末と通信を行う通信手段と, 情報の処理を行う処理手段と, 前記メモリ,前記入力手段,前記ディスプレイ,前記通信手段,前記処理手段に対して電源を供給する電源手段と を具備し, 前記処理手段は, 前記入力手段により入力されたユーザの個人情報および該ユーザがアカウントを持つ複数のサービス機関のアカウント情報を含むユーザ情報を前記メモリに記憶する手段と, 前記複数のサービス機関の選択に用いる選択メニューを前記ディスプレイに表示する手段と, 前記ディスプレイに表示された前記選択メニューに基づき前記複数のサービス機関の中から所望のサービス機関を選択する手段と, 前記サービス機関の選択に応じて,該選択されたサービス機関における該ユーザのアカウント番号を含む該サービス機関の発行するカードのレプリカをグラフィックイメージで前記ディスプレイの略全面に表示する手段と, 選択されたサービス機関によるサービスの利用毎に,前記通信手段を用いて前記セントラルコンピュータおよび前記取引端末と通信し,前記ユーザ情報に基づき認証された該サービスに関する取引情報を前記入力手段を用いて入力して前記メモリに記憶する手段と, 前記メモリに記憶された前記取引情報をユーザの操作に基づき前記ディスプレイに表示する手段と を具備し, 前記取引システムは, 前記取引情報の入力および記憶を行なう手段と, 前記万能電子取引カードと電子的に通信して前記アカウント情報を受信する手段と, 前記アカウント情報および前記取引情報を機関システムと電子的に通信する手段と, 前記万能電子取引カードに前記取引情報を電子的に送信するする手段と を有し, 前記機関システムは, 前記アカウント情報に対応するアカウント番号を生成する手段と, 生成したアカウント番号を前記万能電子取引カードに割り当てて該アカウント番号の利用を許可する手段と, 許可されたアカウント番号を前記万能電子取引カードに電子的に送信する手段と, 前記アカウント番号に対応して前記万能電子取引カードのユーザの個人情報を記憶する手段と, 前記万能電子取引カードと通信してアカウント取引を許可する手段と, 前記アカウント取引に関する情報を受信して記憶する手段と を含み, 前記通信システムは, 電子情報の交換のために前記取引提供システムと前記万能電子取引カードとの間のインターフェースを司るインターフェース手段と, 前記機関システムとの通信を行なう手段と を含み,前記万能電子取引カードと前記取引システムとの間および前記取引システムと前記機関システムとの間の通信を提供する サービス管理システム。 20.サービス機関のアカウントを用いて取引システムによる万能電子取引カードを用いた電子的クレジットカード取引を行なう方法であって, 前記万能電子取引カードの利用可能な前記サービス機関のグループの中から所望のサービス機関のアカウントを選択するステップと, 前記サービス機関のアカウントの選択に応じて,該選択されたサービス機関における該ユーザのアカウント番号を含む該サービス機関の発行するカードのレプリカをグラフィックイメージでカードの略全面に設けられたディスプレイに表示するステップと, 前記万能電子取引カードおよび前記取引システムおよび前記サービス機関システムの間の電子的通信を確立するステップと, 選択されたサービス機関のアカウントに関するアカウント情報を前記万能電子取引カードから前記取引システムへ伝送するステップと, 前記クレジット取引および前記サービス機関のアカウントに関する情報を前記取引システムから前記サービス機関システムへ伝送するステップと, サービスアカウントおよび取引情報を前記サービス機関システムにおいて審査して該アカウントが正当か否かおよび前記クレジット取引が該アカウントの所定のクレジット制限内であるか否かを決定するステップと, 正当なアカウントおよび所定の制限内のクレジット取引に対して前記クレジット取引に関する許可を前記取引システムヘ伝送して前記サービス機関のアカウントに関するサービス機関システムのクレジット取引の取引情報を前記取引システムに記憶し,前記クレジット取引の取引情報を前記万能電子取引カードヘ伝送して前記サービス機関のアカウントに関する前記万能電子取引カードによるクレジット取引の取引情報を前記万能電子取引カードに記憶するステップと を具備する方法。 21.前記サービス機関の要求に応答してユーザから所定の情報を獲得するステップと, アカウント番号を含むユーザのアカウント情報を発行するステップと, 前記アカウントに関するクレジット取引を行なうために前記万能電子取引カードが使用されるとき,前記サービス機関アカウントに関する所定のアカウント情報および前記サービス機関についての所定の情報および前記万能電子取引カードに表示されるアカウントを該万能電子取引カードに対して電子的に伝送するステップと を更に具備する請求項20記載の方法。 22.前記サービス機関についての所定の情報は, 前記サービス機関のアカウントサービス名および前記サービス機関のアカウントサービスのグラフィックイメージとを含む請求項21記載の方法。 23.パーソナルコンピュータと前記万能電子取引カードとの間の電子的通信を確立するステップと, 少なくとも1つのサービス機関アカウントを選択するステップと, 少なくとも1つのサービス機関アカウントから所定の期間で取引されるアカウントに関するクレジット取引を選択するステップと, 選択されたクレジット取引を前記万能電子取引カードから前記パーソナルコンピュータのメモリに伝送するステップと を更に具備する請求項20記載の方法。 24.選択された取引は, 前記サービス機関より紙で提供される月毎の計算書と同一の形式で前記パーソナルコンピュータ上に表示される 請求項23記載の方法。 25.前記万能電子取引カードから予め許可されたサービス機関アカウントを選択するステップと, パーソナルコンピュータと前記サービス機関アカウントに関するサービス機関システムとの間の電子的通信を確立するステップと, 前記万能電子取引カードから前記サービス機関システムに対してユーザおよび前記サービス機関アカウントの識別情報を伝送するステップと, 前記識別情報が正当である場合に,該識別情報と前記サービス機関アカウントで許可された情報とを比較するステップと, 前記識別情報が正当なものであるとき,前記万能電子取引カードから前記サービス機関システムへ通信されたコマンドに応答して,前記万能電子取引カードと前記サービス情報システムとの間で,選択されたアカウントおよび取引情報を通信するステップと を更に具備する請求項23記載の方法。 26.選択された取引情報は, 前記サービス機関より紙で提供される月毎の計算書と同一の形式で前記万能電子取引カード上に表示される 請求項25記載の方法。」 と補正するものである。 本件補正は,平成6年改正前特許法第17条の2第1項第3号の規定に基づき,特許請求の範囲についてする補正であるので,同条第3項第1号?第4号に掲げる事項を目的とするものであるかについて以下に検討する。 2 補正の目的の適否 (1) 当審は,請求人に対し,平成16年4月15日付け審尋において,本件補正による補正後の各請求項が,補正前のどの請求項に対応するのか,また,本件補正の目的は,特許法第17条の2第4項第1号?第4号のいずれに該当するのか不明であるとして,その説明を求めたところ,請求人は,平成16年7月20日付け回答書において,「平成14年11月20日付け手続補正書を再検討すると,上記本件補正は,審判官殿のご指摘の通り特許法第17条の2第4項第1?4号の規定を満足しているとは言いがたい。」と回答した。(なお,本願の出願日は,平成7年6月7日であり,明細書又は図面の補正については,平成6年改正前の特許法が適用されるから,上記特許法第17条の2第4項第1号?第4号は,平成6年改正前特許法第17条の2第3項第1号?第4号の誤記である。) (2) 本件補正前の特許請求の範囲と,本件補正後の特許請求の範囲を対比するに,本件補正前の特許請求の範囲の各請求項に係る発明は, 請求項1?18が「万能電子取引カード」 請求項19?30が「万能電子取引カードを用いた通信システム」 請求項31が「通信システム」 請求項32,33が「ヘルスケアー管理システム」 請求項34が「サービス機関のアカウントを用いて電子的クレジットカード取引を行う方法」 請求項35,36が「アカウントを発行する方法」 請求項37,38が「アカウント情報及び蓄積取引情報を伝送する方法」 請求項39,40が「遠隔端末として万能電子取引カードを使用する方法」 に関するものであり,本件補正後の特許請求の範囲の各請求項に係る発明は, 請求項1?18が「万能電子取引カード」 請求項19が「サービス管理システム」 請求項20?26が「万能電子取引カードを用いた電子的クレジットカード取引を行う方法」 に関するものである。 (3) 上記本件補正前後の各請求項に係る発明のカテゴリ,技術的特徴を検討すると,本件補正後の請求項1?18は,本件補正前の請求項1?18に対応し,請求項19?40に対応していないと認められる。 そこで,本件補正後の請求項1に係る補正について検討するに,本件補正後の請求項1に係る補正の目的が請求項の削除,誤記の訂正,明りょうでない記載の釈明に該当しないことは明らかである。 そして,本件補正後の請求項1と本件補正前の請求項1を対比すると,本件補正前の請求項1においては, (i) 入力手段及び通信手段も,収容手段に収容される旨特定されている。 (ii) 入力手段が入力する情報は,特定されている。 (iii) 取引情報は,取引日,取引額およびユーザ認証を含む旨特定されている。 (iv) セキュリティ手段を具備する。 のに対し,本件補正後の請求項1においては, (i') 入力手段及び通信手段と筺体との関係は,特定されていない。 (ii') 入力手段が入力する情報は,特定されていない。 (iii') 取引情報の内容は,特定されていない。 (iv') セキュリティ手段を具備することは,特定されていない。 から,本件補正後の請求項1には,本件補正前の請求項1に記載されていた発明特定事項が記載されていないことになる。 また,補正後の請求項1と補正前の請求項2?18を対比しても,本件補正前の請求項2?18は,いずれも,本件補正前の請求項1を引用するものであり,上記と同様に,本件補正後の請求項1には,本件補正前の請求項2?18に記載されていた発明特定事項が記載されていない。 してみると,本件補正後の請求項1に係る補正は,特許請求の範囲を拡張(発明特定事項の削除)するものであり,特許請求の範囲の減縮を目的とするものではない。 (4) 以上のことから,本件補正後の請求項1に係る補正の目的は,平成6年改正前特許法第17条の2第3項第1?4号に掲げるいずれにも該当しないから,本件補正後のその他の請求項に係る補正の目的について検討するまでもなく,本件補正は,平成6年改正前特許法第17条の2第3項第1?4号に掲げるいずれの事項を目的とするものでもない。 3 むすび したがって,本件補正は,平成6年改正前特許法第17条の2第3項の規定に違反するので,特許法第159条第1項の規定において読み替えて準用する同法第53条第1項の規定により却下すべきものである。 第3 本願発明について 1 本願発明 平成14年11月20日付けの手続補正は上記のとおり却下されたので,本願の請求項1に係る発明(以下,同項記載の発明を「本願発明」という。)は,平成13年11月13日付け手続補正書により補正された明細書の特許請求の範囲の請求項1に記載された事項により特定される,以下のとおりのものである。 「ユーザの個人情報,該ユーザがアカウントを持つサービス機関のアカウントのアカウント情報,該ユーザがアカウントを持つ複数のサービス機関のアカウントの取引情報を含む情報の記憶,伝送及び受信を行なう万能電子取引カードであって, 前記ユーザの個人情報,前記ユーザがアカウントを持つ複数のサービス機関のアカウント情報及び該アカウント情報が存在する各サービス機関の取引情報を含む情報を入力する入力手段と, 前記入力手段で入力された前記ユーザの個人情報,前記ユーザがアカウントを持つ複数のサービス機関のアカウント情報及び該アカウント情報が存在する各サービス機関の取引情報を含む情報を記憶するメモリ手段と, 前記個人情報,前記アカウント情報及び前記取引情報を含む情報を各サービス機関と電子的に通信する通信手段と, 前記個人情報,前記アカウント情報及び前記取引情報を含む複数のサービス機関のアカウントの情報を表示する表示手段と, 前記個人情報,前記アカウント情報及び前記取引情報を含む情報を処理する処理手段と, 前記入力手段,前記メモリ手段,前記通信手段,前記表示手段及び前記処理手段をポケット又は財布に適合するように収容する収容手段と, 電源を供給及び蓄積し,前記メモリ手段,前記入力手段,前記表示手段,前記処理手段及び前記通信手段に選択的に給電する給電手段と, 不正使用を防ぐとともに前記メモリ手段に記憶した情報への不正なアクセスを防ぐセキュリティ手段と を具備し,前記取引情報は,取引日,取引額およびユーザ認証を含む万能電子取引カード。」 2 引用例 原査定の拒絶の理由に引用された,本願の出願前に頒布された刊行物である米国特許第5276311号明細書(以下「引用例1」という。),実願昭62-167884号(実開平1-72662号)のマイクロフィルム(以下「引用例2」という。),特開平4-158489号公報(以下「引用例3」という。),特開平1-129379号公報(以下「引用例4」という。)には,それぞれ,図面とともに下記の事項が記載されている。 2-1 引用例1(米国特許第5276311号明細書)の記載事項 (ア)「This operation is comparatively simple since it is in fact easily possible, technologically, to accommodate even very extensive electronic storages in a card-like very flat housing having at least one or a plurality of display windows. Besides, this has been practiced before in the form of so-called check-card calculators which perform simple calculation tasks and which only have a thickness hardly larger than that of usual checks or credit cards.(2欄22?30行) (イ)「Particular advantages are provided by the simple form of the electronic multi-function card which has the outer dimensions of usual credit or check cards and ・・・」(3欄17?19行) (ウ)「It is the basic idea of the present invention to provide an electronic multi-function card equipped with an electronic memory, which comprises a plurality of data sets transferred from original credit cards, check cards, identity cards, and the like, and which is designed in such a manner than when selected data are input, the free display windows of the multi-function card will always display the data or the data set of a given credit card or check card, or the like, and will be available for the desired use and, insofar, usual application. The user then only needs to carry with him this single multi-function card which, when not activated, is a neutral electronic card and, when activated in a particular way, will display the logo of the issuing institute, the holder's photo, his signature and other relevant data in a visible manner.」(3欄63行?4欄10行) (エ)「In the non-activated state, which is illustrated in FIG. 1a, such a card may be regarded as a blank page equipped, however, with the usual electronic circuit means which are regarded as standard today, for example microprocessor or computer features, i.e. clock generators and drivers, sequence controls, in particular an electronic storage in a very broad sense, etc. In addition, there may be provided advantageously external mechanical contacts, 100 are shown in FIG. 1b but which may prove very convenient for communication with a checking terminal of the master unit, although it is of course also possible in this connection to input or inquire data by contactless means, for example inductively, or serially by means of photoelectric elements, or the like. It is further understood that at least one electric energy storage must be provided, for example in the form of usual button cells serving as rechargeable batteries 105 placed in compartment 110, and, if desired, also a reserve storage serving the function to protect the data in case a main battery should get exhausted. The batteries may be recharged using solar cells 115.」(4欄39?59行) (オ)「In addition, the electronic area of multi-function card is designed in such a manner that the card will become unserviceable after a given number of unsuccessful attempts to find the correct secret code. This operation is performed by the safety circuit 12 of FIG. 1a.」(8欄47?52行) (カ)「According to the other variant, the user's signature may, if desired, be stored digitally not only in the central computer 410, but also in the storage of the multi-function card so that in the event the terminal should not be in a position at a given moment to call up the signature stored in the central computer 410 and/or the card should be used in a country where this would always be impossible for one reason or other, the local computer may take recourse to the signature stored digitally in the multi-function card, may call up this signature by means of a corresponding secret code directly from the multi-function card, and may then effect the comparison with the personal signature signed at the terminal. In this case, too, the terminal is in a position to verify the identity of the two signatures by a simple "correct" or "error" message.」(9欄48?53行) (キ)「20. A device for selecting data from a plurality of data sources such as credit cards, check cards, customer cards, identify cards, documents, keys, access information and master keys comprising: an electronic multi-function card, said card having storage means for storing a data set from each of the plurality of data sources, said card having at least one display area for displaying said stored data set; input means for producing a secret code; activating means for activating said card for use; processing means responsive to said secret code for enabling said activating means; selection means for selecting a predetermined one of said stored data sets in said activated card; and display means for displaying said selected data set on the card in said display area.」(12欄30?44行) 2-2 引用例2(実願昭62-167884号(実開平1-72662号)のマイクロフィルム)の記載事項 (ク)「複数のアプリケーション別選択エリアを有する記憶手段と,この記憶手段の各選択エリアを所望するアプリケーションエリアに指定するアプリケーション指定手段と,この指定手段により指定された上記記憶手段のアプリケーション別選択エリアに対しアプリケーションデータの書込み読出しを行う制御手段とを具備したことを特徴とするインテリジェントカード装置。」(実用新案登録請求の範囲) (ケ)「次いで,ステップA6において,使用者情報を入力し,ステップA7に進み,振込先口座を指定する。そして,ステップA8において,金額データが入力されると,これらはステップA9において,アプリケーション取引データとして,メモリ部52の所定番地に書き込まれる。」(明細書15頁12?17行) 2-3 引用例3(特開平4-158489号公報)の記載事項 (コ)「クレジット処理端末で用いられ,複数のカード会社のクレジット処理が可能なカードであって, 前記複数のカード会社の各々について,カードの有効性判別に用いられる予め定める利用者識別データを記憶する利用者データ記憶手段と, 前記クレジット処理端末で用いられるとき,前記クレジット端末から与えられるクレジット取引に関するデータを記憶するための取引データ記憶手段と, 前記取引データ記憶手段に記憶されたデータを集計処理するための集計処理手段と, 前記集計処理手段によって集計処理されたデータを表示するための表示手段とを備えた,複数カード会社のクレジット利用が可能なカード。」(特許請求の範囲(1)) (サ)「第5図において,取引データ記憶エリア82には,カード1を用いてクレジット処理が行われるごとに,クレジット取引のデータが記憶される。クレジット取引データには,クレジット取引を行なった日付を示すデータ,利用したカード会社を特定するためのデータ,クレジットの利用金額データおよび一括払い,分割払い,ボーナス一括払いなどの支払条件を示すデータなどがある。」(4頁右上欄4?11行) 2-4 引用例4(特開平1-129379号公報)の記載事項 (シ)「情報を記憶するメモリ部と,情報を入力する入力手段と,これらを制御するための制御部とを有する携帯可能電子装置であって; 前記入力手段からの入力情報および本装置内に存在する固有情報を基に所定の鍵情報を用いて暗号化した確認情報を生成する確認情報生成手段と; この確認情報生成手段で生成された確認情報と前記入力手段から入力される確認情報とを照合することにより前記入力情報の正当性を判断する判断手段と を具備したことを特徴とする携帯可能電子装置。」(特許請求の範囲(1)) (ス)「したがって,外部から入力される入力情報の正当性を判断でき,その判断結果が否定的な場合は更新処理を中止し,肯定的な場合にのみ更新処理を実行することにより,メモリ部に記憶されている特に重要な情報が不正に更新されることを防止することができる。」(2頁右下欄4?9行) 2-5 引用例記載発明 (1) 上記2-1の記載事項を検討するに,電子多機能カードのメモリには,クレジットカード,小切手カード,身分証明カード等のデータが転送され(記載(ウ),(キ)),機械的な接点を有し,チェック端末と電子的に通信ができ,データの入出力が可能である(記載(エ))から,電子多機能カードは,クレジットカード,小切手カード,身分証明カード等のデータの記憶,通信を行うものである。 そして,クレジットカード,小切手カード,身分証明カード等のデータをメモリに転送して記憶させるのであるから,電子多機能カードは該データをメモリに転送する転送手段を有するといえる。 そして,電子多機能カードは,直接的には,チェック端末と電子的に通信をするのであるが,該チェック端末を介して中央コンピュータにも繋がるものであり(記載(カ),図4),電子多機能カードがクレジットカードや小切手カードとして使用される際,クレジットカードや小切手カードのデータを電子的に通信する通信手段を有するといえる。 そして,記載(キ)では,情報処理手段は,入力された秘密コードについて処理する点が特定されているが,クレジットカード,小切手カード,身分証明カード等のデータの記憶,通信等の処理も行っていることは明らかである。 そして,電子多機能カードのハウジングは扁平で,通常のクレジットカードや小切手カードの外形寸法を有する(記載(ア),(イ))のであるから,ハウジングの大きさはポケットまたは財布に適合する寸法であるといえる。 (2) してみると,引用例1には, 「クレジットカード,小切手カード,身分証明カード等のデータの記憶,通信を行う電子多機能カードであって, 前記データを後記メモリに転送する転送手段と, 前記データを記憶するメモリと, 前記データをチェック端末と電子的に通信する通信手段と, 前記データを表示する表示手段と, 前記データを処理する情報処理手段と, 前記転送手段,前記メモリ,前記通信手段,前記表示手段及び前記処理手段を収容し,ポケットまたは財布に適合する寸法であるハウジングと, 充電可能な電池及び主電池が放電した場合にデータを保護する予備電池と, 不正な秘密コードが所定回数入力されると電子多機能カードを使用不能とする安全回路と, を具備する電子多機能カード。 」 の発明(以下「引用例記載発明」という。)が記載されているものと認められる。 3 対比 (1) そこで,本願発明(以下「前者」という。)と引用例記載発明(以下「後者」という。)とを対比するに,後者の「身分証明カードのデータ」,「通信」が前者の「ユーザの個人情報」,「伝送及び受信」にそれぞれ相当することは明らかである。 また,後者の「クレジットカード,小切手カードのデータ」は,ユーザが契約しているクレジットカード会社や銀行というサービス機関が発行するアカウント情報を意味するから,前者の「該ユーザがアカウントを持つサービス機関のアカウントのアカウント情報」に相当する。 そして,後者の「電子多機能カード」は,記憶,通信をするデータに「取引情報」を含まないが,複数のカードとして機能する電子カードであり,かつ,クレジット取引等の取引が可能なカードであるから,前者の「万能電子取引カード」に相当する。 また,前者における情報の入力は,入力された情報をメモリ手段に記憶させるためになされるのであるから,後者の「転送手段」は,取引情報の点を除いて,前者の「入力手段」に相当する。 同様に,後者の「メモリ」,「表示手段」,「情報処理手段」も,取引情報の点を除いて,前者の「メモリ手段」,「通信手段」,「表示手段」,「処理手段」にそれぞれ相当する。 また,後者の「通信手段」は,上記取引情報の点と通信相手の点を除いて,前者の「通信手段」に相当する。 そして,後者の「ハウジング」は,前者の「収容手段」に相当し,後者の「電池」と「予備電池」は,「選択的に」の点は別として,前者の「給電手段」に相当する。 そして,後者の「安全回路」は,不正使用を防ぐ点で,前者の「セキュリティ手段」に相当する。 (2) してみると,両者は, 「ユーザの個人情報,該ユーザがアカウントを持つサービス機関のアカウントのアカウント情報を含む情報の記憶,伝送及び受信を行なう万能電子取引カードであって, 前記ユーザの個人情報,前記ユーザがアカウントを持つ複数のサービス機関のアカウント情報を含む情報を入力する入力手段と, 前記入力手段で入力された前記ユーザの個人情報,前記ユーザがアカウントを持つ複数のサービス機関のアカウント情報を含む情報を記憶するメモリ手段と, 前記個人情報,前記アカウント情報を含む情報を電子的に通信する通信手段と, 前記個人情報,前記アカウント情報を含む複数のサービス機関のアカウントの情報を表示する表示手段と, 前記個人情報,前記アカウント情報を含む情報を処理する処理手段と, 前記入力手段,前記メモリ手段,前記通信手段,前記表示手段及び前記処理手段をポケット又は財布に適合するように収容する収容手段と, 電源を供給及び蓄積し,前記メモリ手段,前記入力手段,前記表示手段,前記処理手段及び前記通信手段に給電する給電手段と, 不正使用を防ぐセキュリティ手段と を具備する万能電子取引カード。」 である点で一致し,以下の点で違する。 [相違点1]前者の万能電子取引カードは,「ユーザがアカウントを持つ複数のサービス機関のアカウントの取引情報」の記憶,伝送及び受信も行うのに対し,後者はそうでない点。 [相違点2]前者の入力手段,メモリ手段,通信手段,表示手段,処理手段が対象とする情報は,「該アカウント情報が存在する各サービス機関の取引情報」を含むのに対し,後者はそうでない点。 [相違点3]前者の通信手段は,「各サービス機関と」通信するのに対し,後者はそうでない点。 [相違点4]前者の「給電手段」は,「選択的に」給電するのに対し,後者はそうでない点。 [相違点5]前者のセキュリティ手段は,「前記メモリ手段に記憶した情報への不正なアクセスを防ぐ」機能も有するのに対し,後者はそうでない点。 [相違点6]前者の情報に含まれる「取引情報」は,「取引日,取引額およびユーザ認証を含む」のに対し,後者はそうでない点。 4 判断 上記相違点について検討する。 (1) 相違点1,2について 引用例2,3は,後者の複数機能電子カードと同じ,複数の機能を有する電子カードに関するものであり,ユーザがアカウントを有する銀行や,クレジット会社との取引データを電子カードの記憶部に記憶することが記載されている。また,該取引データは,銀行や,クレジット会社側の装置から与えられるのであるから,引用例2,3には,該取引データの入力,通信,表示,処理がなされることが示唆されているといえる。 そして,該取引データは,ユーザがアカウントを有する銀行や,クレジット会社のアカウントでなされる取引のデータであるから,「ユーザがアカウントを持つ複数のサービス機関のアカウントの取引情報」であり,また,「アカウント情報が存在する各サービス機関の取引情報」であるということができる。 してみると,後者において,引用例2,3に記載又は示唆された技術事項を適用し,記憶,伝送及び受信を行う情報として,ユーザがアカウントを持つ複数のサービス機関のアカウントの取引情報を追加し,入力手段,メモリ手段,通信手段,表示手段,処理手段が対象とする情報として,アカウント情報が存在する各サービス機関の取引情報を追加することは,当業者が容易に想到し得ることである。 (2) 相違点3について 後者の通信手段は,直接的には,チェック端末と通信するものであるが,該チェック端末を介して中央コンピュータに繋がっており(記載(カ),図4),しかも,電子カードの銀行カードやクレジットカード等が使用される際,銀行やクレジット会社のコンピュータと情報を通信することは,引用例2,3に記載されているから,後者の通信手段がチェック端末を介して各サービス機関と通信するように構成することは,当業者が容易になし得ることである。 (3) 相違点4について 本願明細書には,前者の「選択的に」給電することの定義はされていない。「選択的」給電に関連する記載として,本願明細書には,16頁3?4行に「なお,これらの各手段は電源供給を受けており,UETカードの各要素に選択的に電力が供給される。」,16頁25行?17頁1行に「この実施例では,電力を供給及び蓄積する手段は,メモリ手段にバックアップ電力を選択的に供給する第1の電源手段と,メモリ手段,入力手段,表示手段,処理手段及び通信手段に選択的に電力を供給する第2の電源手段とを含む。加えて,UETカードは,さらに入力及び処理動作を検出し,所定の時間間隔までに入力及び処理動作が検出されなければ表示手段及び処理手段に対する電源を断にする手段を提供する。」と記載されている。 これらの記載に照らせば,前者の「選択的に」給電するとは,メモリ手段用のバックアップ電源を具備することや,所定時間内に入力や処理がなされない場合に表示手段や処理手段への給電を断つことを包含すると解されるところ,メモリにバックアップ電力を給電することは,後者においてもなされており,所定時間内に入力等がない場合に表示手段等への給電を断つことは,電子カードの技術分野において,節電技術として周知の事項である。 してみると,後者において,給電手段が選択的に給電するようにすることは,当業者が容易になし得ることである。 (4) 相違点5について 引用例4には,後者の電子多機能カードと同様の多機能ICカードにおいて,外部からの不正な入力に対し,メモリ部に記憶されている情報へのアクセスを防止することが記載されている。 してみると,後者のセキュリティ手段が不正使用を防止するだけでなく,メモリ手段に記憶した情報への不正なアクセスを防ぐようにすることは,当業者が容易に想到し得ることである。 (5) 相違点6について 引用例3の記載(サ)に,取引情報には,クレジット取引を行った日の日付を示すデータ,クレジットの利用金額データが含まれることが記載されているように,取引情報に取引日及び取引額が含まれることは周知の事項である。 また,前者の「ユーザ認証」は,署名を含むところ,引用例1においても,電子多機能カードにはユーザの署名が記憶されており,この署名は,クレジット取引の際,確認のためにローカルコンピュータによって呼び出される(記載(カ))から,引用例1の署名も,クレジット取引のデータであるということができる。即ち,引用例1においても,入力手段,メモリ手段,通信手段,表示手段,処理手段が対象とする情報に,ユーザ認証が含まれているということができる。 してみると,後者において,入力手段,メモリ手段,通信手段,表示手段,処理手段が対象とする情報として,アカウント情報が存在する各サービス機関の取引情報を追加する際,この取引情報に取引日,取引額及びユーザ認証を含むようにすることは,当業者が直ちに着想することである。 (6) 作用効果について 本願発明の作用効果についてみても,引用例1?4及び上記周知事項から当業者が容易に予測し得る程度のものであり,格別のものとはいえない。 なお,請求人は,審判請求書において,上記補正却下された請求項について,原査定で引用された各引用例には, 「本願発明のように取引端末で各サービス毎に発行される紙の利用レシートおよびサービス機関で月毎に発行される紙の報告書を不要にする構成およびカードに設けられたディスプレイによるサービス機関のグラフィックイメージの表示により,使用可能なサービス機関であることをサービス提供者に確実に明示することができるようにした構成については全く記載されていない。」 と主張する。 しかしながら,引用例1(米国特許第5276311号明細書)には,カード発行会社のロゴをディスプレイに表示することが記載されており,これは,サービス機関のグラフィックイメージを表示していることと同じである。 また,引用例3(特開平4-158489号公報)には,クレジット取引に関するデータが取引データ記憶エリアに記憶されるとともに,該取引データに基づき,ファンクションキーの操作に応じて日付別支払データや,月ごとに集計された月別支払データが,カードに設けられた表示部に表示されることが記載されており,これは,紙のレシートや紙の報告書を不要にする構成を十分示唆しているといえる。 したがって,請求人の主張は理由がない。 また,請求人は,上記平成16年7月20日付け回答書において,補正案を提示し,補正の機会を与えるよう請求しているところ,補正案の請求項1は,本願発明の構成に, 「前記通信手段は, 販売処理コンピュータ若しくはパーソナルコンピュータが接続される通信インターフェースユニットを介して前記個人情報,前記アカウント情報及び前記取引情報を含む情報を各サービス機関と通信し, 前記通信手段により前記各サービス機関から受信した前記アカウント情報を前記メモリ手段に記憶する」 との発明特定事項を追加するものである。 確かに,引用例1(米国特許第5276311号明細書)では,サービス機関のアカウント情報は,単目的電子カード,PROM,フロッピーディスク等を介して電子多機能カードのメモリに記憶されており,サービス機関から受信したアカウント情報をメモリ手段に記憶することは記載されていない。 しかしながら,電子多機能カードは,端末を介してサービス機関とデータの送受信をすることができるのであるから,電子多機能カードにアカウント情報を記憶させる際,引用例1記載の単目的電子カード,PROM,フロッピーディスク等を介する構成に代えて,サービス機関から端末を介してオンラインでアカウント情報を電子多機能カードに記憶させる構成とすることは,当業者が容易になし得ることであり,上記発明特定事項を追加することに格別の進歩性は認められない。 5 むすび したがって,本願発明は,引用例記載発明,引用例1?4に記載された事項及び上記周知事項に基づいて,当業者が容易に発明をすることができたものであるので,特許法第29条第2項の規定により特許を受けることができない。 よって,結論のとおり審決する。 |
審理終結日 | 2004-09-30 |
結審通知日 | 2004-10-05 |
審決日 | 2004-10-18 |
出願番号 | 特願平8-502595 |
審決分類 |
P
1
8・
572-
Z
(G06F)
P 1 8・ 121- Z (G06F) |
最終処分 | 不成立 |
前審関与審査官 | 丹治 彰 |
特許庁審判長 |
小林 信雄 |
特許庁審判官 |
久保田 健 須原 宏光 |
発明の名称 | 万能電子取引カード、システム及び方法 |
代理人 | 木村 高久 |