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審決分類 審判 査定不服 2項進歩性 特許、登録しない。 A63F
審判 査定不服 5項独立特許用件 特許、登録しない。 A63F
管理番号 1185641
審判番号 不服2007-32830  
総通号数 107 
発行国 日本国特許庁(JP) 
公報種別 特許審決公報 
発行日 2008-11-28 
種別 拒絶査定不服の審決 
審判請求日 2007-12-06 
確定日 2008-10-06 
事件の表示 特願2004-378047「分離型メダル遊技機」拒絶査定不服審判事件〔平成17年 4月14日出願公開、特開2005- 95674〕について、次のとおり審決する。 
結論 本件審判の請求は、成り立たない。 
理由
第一、手続きの経緯
本願は、平成6年12月13日に出願した特願平6-309053号の一部を平成16年11月29日に新たな特許出願としたものであって、平成19年5月18日付けで拒絶理由が通知され、これに対し、同年8月10日付けで意見書が提出され、同年10月31日付けで拒絶査定がなされ、これに対し、同年12月6日に拒絶査定不服の審判請求がなされるとともに、同年12月25日付け手続補正書によって明細書の一部が補正されたものである。

第二、平成19年12月25日付けの手続補正についての補正却下の決定
[補正却下の決定の結論]
平成19年12月25日付けの手続補正(以下、「本件補正」という。)を却下する。
[理由]
(1)補正後の本願発明
本件補正により、特許請求の範囲の請求項1の記載は、願書に添付された明細書に記載(以下、「補正前」という。)の、
「 上部ユニットとこれに着脱自在に設けた下部ユニットとからなり、前記上部ユニットは遊技機能の主体であるリールユニット、これの制御ボックス及びこれらに附属する機器を収納してなり、前記下部ユニットは外部からメダルの払出信号を受けてメダルを払い出す機能を有するメダルホッパー、電源ボックス及びこれらに附帯する機器を収納してなるとともに、前記上部ユニットの前面には上扉が、また前記下部ユニットの前面には下扉が、それぞれ装着されてなることを特徴とする分離型メダル遊技機。」から、
「 各々の筐体が箱型状を呈する上部ユニットと下部ユニットとを着脱自在に積み重ねてなり、前記上部ユニットは遊技機能の主体であるリールユニット、これの制御ボックス及びこれらに附属する機器を収納してなり、前記下部ユニットは外部からメダルの払出信号を受けてメダルを払い出す機能を有するメダルホッパー、電源ボックス及びこれらに附帯する機器を収納してなるとともに、前記上部ユニットの前面には上扉が、また前記下部ユニットの前面には下扉が、それぞれ装着されてなることを特徴とする分離型メダル遊技機。」へと補正された。

本件補正は、補正前の請求項1に記載された発明の構成に欠くことができない事項である「着脱自在に設けた上部ユニットと下部ユニット」について、「各々の筐体が箱型状を呈する上部ユニットと下部ユニットとを着脱自在に積み重ねてなり、」と限定するとともに、補正前の請求項2を削除するものであるから、本件補正は、平成6年改正前特許法第17条の2第3項第2号の特許請求の範囲の減縮及び同条同項第1号の請求項の削除を目的とするものに該当する。

(2)そこで、本件補正後の請求項1に記載された発明(以下、「本願補正発明」という。)が特許出願の際独立して特許を受けることができるものであるのか(平成6年改正前特許法第17条の2第4項において準用する同法第126条第3項の規定に適合するか)について以下に検討する。

(あ)刊行物に記載された発明
刊行物A;特開平6-23134号公報 (拒絶理由通知書の引用文献2)
刊行物B;特開平5-7664号公報 (拒絶理由通知書の引用文献1)
刊行物C;実願昭63-95846号(実開平2-17177号)の
マイクロフィルム (拒絶理由通知書の引用文献3)

原査定の拒絶理由通知に引用された特開平6-23134号公報(以下、「引用刊行物A」という。)には、以下の技術事項の記載がある。
(A-1)「【0003】
【発明が解決しようとする課題】・・・本発明は上記実情に鑑みてなされたものであって、遊技装置の扉体に対する装着構造を工夫することにより、外装部品の外観意匠を開口部の寸法形状を越える広い範囲に亘って変更することを要する別の遊技装置に取替える場合でも、その遊技装置の製作並びに扉体に対する装着が簡単に行え、しかも、その外観意匠を損なうことなく装着できる遊技設備を提供することを目的とする。
【0004】
【課題を解決するための手段】上記目的を達成する為の本発明の特徴構成は、冒記遊技設備において、前記扉体に装着される遊技装置の全部又は一部が、前記通路側に露出させる状態で装着される外装部品と、前記通路側から隠れる状態で装着される内装部品とを前後に連結して構成され、前記内装部品を前記扉体の前面側から挿入してその背面側に装着可能な開口部が当該扉体に設けられているとともに、前記外装部品が、前記内装部品を前記扉体の背面側に装着した状態で、前記開口部の周縁を覆う状態に装着されている点にあり、かかる構成から次の作用効果を奏する。
【0005】
【作用】・・・
【0006】
【発明の効果】従って、外装部品の外観意匠を開口部の寸法形状を越える広い範囲に亘って変更することを要する別の遊技装置に取替える場合でも、外装部品を分割して製作することなく、外装部品と内装部品とを一体的に扉体に装着でき、遊技装置の製作並びに扉体に対する装着が簡単に行えるとともに、その外観意匠を損なうことなく装着できる。」
(A-2)「【0007】
【実施例】図3は、遊技装置の一例としてのスロットマシン1とメダル貸機2とを並設するとともに、メダル貸機2に投入された紙幣を搬送する紙幣搬送装置4を背中合わせのスロットマシン1の背面間に配設して遊技島3を構成してある遊技設備を示し、前記スロットマシン1は、その遊技装置を、矩形の木製枠体5と前面扉体6とを備えたキャビネット7に組付けて構成され、扉体6が遊技島3前面側の通路に向けて縦軸芯回りで揺動開閉可能な状態で枠体5に枢支されているとともに、枠体5が遊技島3の棚板材8に固定されている。前記遊技装置は、図1,図2に示すように、投入メダルを貯留するとともに賞メダルを払い出すホッパーユニット9,電源ユニット10,三つの図柄移動装置11を各別に駆動させる図柄回動ユニット12,図柄回動ユニット12の制御用基板ケース13等の通路側から隠れる状態で組付けられる内装部品と、入賞状態や遊技方法等を表示する入賞表示パネル14,遊技結果に基づいて決定された図柄の組み合わせを表示窓15から表示する図柄表示パネル16,図柄回動ユニット12を操作して遊技を行う為の操作ユニット17,装飾パネル18,メダル受け皿19等の通路側に露出させる状態で組付けられる外装部品から構成され、ホッパーユニット9と電源ユニット10等が枠体5側に組付けられ、入賞表示パネル14と図柄回動ユニット12,制御用基板ケース13,図柄表示パネル16,操作ユニット17,装飾パネル18,メダル受け皿19等が扉体6側に組付けられている。前記操作ユニット17は、メダルが投入されるメダル投入口20と、図柄回動ユニット12の駆動を開始させる始動レバー21と、三つの図柄移動装置11の駆動を各別に停止させる三つの停止ボタン22とが設けられ、メダル投入口20からメダルを投入して始動レバー21を操作すると三つの図柄移動装置11が駆動を開始して図柄が回動移動され、三つの停止ボタン22を操作すると三つの図柄移動装置11の駆動が各別に停止して決定された図柄の組み合わせが図柄表示パネル16の表示窓15に表示され、その図柄の組み合わせが所定の組み合わせになっているとホッパーユニット9が駆動されてメダル払出し口23から賞メダルがメダル受け皿19に払い出される。
【0008】前記図柄回動ユニット12は制御用基板ケース13と共に板金製の矩形枠体24内に固定され、矩形枠体24の正面視外郭寸法よりも一回り大きな正面視外郭寸法を有する図柄表示パネル16を図柄回動ユニット12の前面側を覆う状態で当該矩形枠体24の開口端に固着して、図柄回動ユニット12と制御用基板ケース13と図柄表示パネル16とを扉体6に対して一体的に装脱可能な装着ユニット25が構成されている。前記装着ユニット25は、その矩形枠体24部分を扉体6の前面側から、当該扉体6に形成した矩形枠体24の正面視外郭寸法よりも若干大きい矩形開口部26に挿入して、図柄表示パネル16の周縁部27背面が扉体6前面に接当している状態で、扉体6背面に固着した板金製の棚状枠28に載置し、ロック機構(図外)で抜け出し不能に固定して扉体6に装着されるもので、内装部品である図柄回動ユニット12と制御用基板ケース13とが通路側から隠れる状態で装着されているとともに、外装部品である図柄表示パネル16が、その周縁部27で開口部26の周縁を全周に亘って覆う状態で、扉体6外面側に装着され、操作ユニット17からの信号ケーブルとホッパーユニット9からの信号ケーブルとがコネクター29を介して制御用基板ケース13に接続されている。尚、前記図柄移動装置11は、無端帯状の図柄ベルト30を上下一対のプーリー31に巻掛けて、前後方向厚さが薄い薄型に構成されている。」

(A-3)【図1】及び【図2】には、「扉体6上半部に形成された矩形開口部26」及び「ホッパーユニット9と電源ユニット10の上方に位置する装着ユニット25」の技術事項が示されている。

したがって、これらの技術事項記載をまとめると、引用刊行物Aには、
「メダル貸機2に並設され、
遊技島3の棚板材8に固定されている矩形の木製枠体5と縦軸芯回りで揺動開閉可能な状態で前記枠体5に枢支されている前面扉体6とを備えたキャビネット7に、遊技装置を組付けて構成されるスロットマシン1であって、
前記遊技装置は、投入メダルを貯留するとともに賞メダルを払い出すホッパーユニット9,電源ユニット10,三つの図柄移動装置11を各別に駆動させる図柄回動ユニット12,図柄回動ユニット12の制御用基板ケース13等の隠れる状態で組付けられる内装部品と、遊技結果に基づいて決定された図柄の組み合わせを表示窓15から表示する図柄表示パネル16,図柄回動ユニット12を操作して遊技を行う為の操作ユニット17,メダル受け皿19等の露出させる状態で組付けられる外装部品から構成され、ホッパーユニット9と電源ユニット10等が枠体5側に組付けられ、図柄回動ユニット12,制御用基板ケース13,図柄表示パネル16,操作ユニット17,メダル受け皿19等が扉体6側に組付けられ、
前記図柄回動ユニット12は制御用基板ケース13と共に矩形枠体24内に固定され、図柄表示パネル16を図柄回動ユニット12の前面側を覆う状態で当該矩形枠体24の開口端に固着して、図柄回動ユニット12と制御用基板ケース13と図柄表示パネル16とを扉体6に対して一体的に装脱可能な装着ユニット25が構成され、
前記装着ユニット25は、その矩形枠体24部分を扉体6の前面側から、当該扉体6上半部に形成された矩形開口部26に挿入して、ホッパーユニット9と電源ユニット10の上方に位置するよう扉体6に装着されるもので、内装部品である図柄回動ユニット12と制御用基板ケース13とが隠れる状態で装着されているとともに、外装部品である図柄表示パネル16が、扉体6外面側に装着され、
操作ユニット17からの信号ケーブルとホッパーユニット9からの信号ケーブルとがコネクター29を介して制御用基板ケース13に接続され、
図柄表示パネル16の表示窓15に表示される図柄の組み合わせが所定の組み合わせになっているとホッパーユニット9が駆動されて賞メダルがメダル受け皿19に払い出されるものであり、
外装部品の外観意匠を開口部の寸法形状を越える広い範囲に亘って変更することを要する別の遊技装置に取替える場合でも、外装部品と内装部品とを一体的に扉体に装着でき、遊技装置の扉体に対する装着が簡単に行える、
スロットマシン1。」の発明(以下、「引用発明A」という。)が記載されていると認められる。

原査定の拒絶理由通知に引用された特開平5-7664号公報(以下、「引用刊行物B」という。)には、以下の技術事項が記載されている。
(B-1)「(57)【要約】・・・
【目的】 パチンコ機又はスロットマシンを貸出機構とゲーム機構とに分離し、パチンコ機又はスロットマシンの何れかの選択及びこれ等のモデルチェンジを無駄なく行い、且つ、遊技場の利用効率を高める。」
(B-2)「【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、プリペイドカード、紙幣又は貨幣による貸出機構を内蔵するパチンコ機又はスロットマシン等の遊技機に関連し、特に、貸出機構を内蔵する一つの基台部に、パチンコ機本体部とスロットマシン本体部とを取替え可能に組合せて使用する遊技機に関する。」
(B-3)「【0005】
【作用】本発明の遊技機は上記構成により、基台部にパチンコ機本体部又はスロットマシン本体部を選択的に取り付け取り外し可能に載置して使用でき、且つ、遊技方法の流行に関係があるゲーム機構を本体部に組み込み、前記流行と関係がない機構を基台部に組み込んでいるので、これを遊技場に設置する場合、遊技機の島を前記基台部を密接して並べて構成し、客の好みに合わせてパチンコ機又はスロットマシンのいずれかを選び、且つ、その時の流行モデルの本体部をその上に載置して使用し、流行が変われば、本体部のみを新流行モデルの本体部に取替え基台部はそのままで長期にわたって使用でき、又、・・・」
(B-4)「【0037】
【発明の効果】従来技術ではパチンコ機とスロットマシンとが夫々別個に外装ケースに一体に組み込まれていたが、本発明の遊技機は上記に示すように、遊技の流行とは関係が無く且つパチンコゲームとスロットマシンゲームとに共通な貸出機能を一つの基台部に収め、この基台部の上に、パチンコゲーム機構を備えた本体部又はスロットマシンゲーム機構を備えた本体部を選択的に載置して使用するので、基台部を密接して横に並べて設置して遊技機の島を作つておけば、客の好みに合わせてパチンコゲーム機構を備えた本体部又はスロットマシンゲーム機構を備えた本体部を選択的に載置して使用し、且つ、流行が変われば本体部のみを新流行のモデルに取り替え、基台部はそのまま長期に亘つて使用できる。」

(B-5)スロットマシンとしての分離状態の斜視図であるである【図1】には、「上方に箱型状の本体部2を、下方に箱型状の基台部1を配置したスロットマシン。」の技術事項が示されている。

したがって、これらの技術事項をまとめると、引用刊行物Bには、
「貸出機構を内蔵する箱型状の基台部1と、ゲーム機構を備えた本体部2とに分離している、スロットマシンであって、
下方に配置された前記基台部1の上方に、前記本体部2を選択的に取り付け取り外し可能に載置して使用することにより、
遊技方法の流行に関係がある本体部2のみを新流行のモデルに取り替え、遊技の流行とは関係が無い基台部1はそのまま長期に亘つて使用でき、モデルチェンジを無駄なく行うことが出来る、スロットマシン。」の発明(以下、「引用発明B」という。)が記載されていると認められる。

原査定の拒絶理由通知に引用された実願昭63-95846号(実開平2-17177号)のマイクロフィルム(以下、「引用刊行物C」という。)において、
(C-1)明細書第4頁第7行乃至第10行には「スロットマシンの装置本体(図示せず)が内蔵されたキャビネット1の前面開口部2に取付けられる前面ドアを上下に分割し、上部ドア(前面ドア)3と下部ドア4とを形成している。」と、
(C-2)明細書第5頁第3行乃至第14行には「キャビネット1の前面開口部2の上部において、前記上部ドア3が取付け可能な口字状の支持枠15を前記キャビネット1に枢着している。・・・前面開口部2の下部においては前記下部ドア4が直接キャビネット1に枢着されている。」と、
(C-3)明細書第6頁第6行乃至第12行には「これにより、上部ドア3を支持枠15を介してキャビネット1に開閉可能に取付けることができる。従って、スロットマシンの装置本体や装置本体が内蔵されるキャビネット1はそのままで・・・外観意匠の異なる上部ドア3に交換することによって新台に交換したのと同様の効果を顧客に与えることができる。」と、それぞれ記載されている。

したがって、これらの記載事項をまとめると、引用刊行物Cには、
「装置本体が内蔵されたキャビネット1の前面開口部2に取付けられる前面ドアを、上部ドア3と下部ドア4との上下に分割したスロットマシンにおいて、
装置本体やキャビネット1はそのままで外観意匠の異なる上部ドア3に交換することによって新台に交換したのと同様の効果を顧客に与えることができる、スロットマシン。」の発明(以下、「引用発明C」という。)が記載されていると認められる。

(い)本願補正発明と引用発明Aとの比較・検討
(い-1)引用発明Aの「図柄回動ユニット12」は、本願補正発明の「遊技機能の主体であるリールユニット」に相当し、以下同様に、「制御用基板ケース13」は「制御ボックス」に、「メダルを払い出すホッパーユニット9」は「メダルを払い出す機能を有するメダルホッパー」に、「電源ユニット10」は「電源ボックス」に、それぞれ相当する。
(い-2)引用発明Aの「装着ユニット25」は、「矩形枠体24内に図柄回動ユニット12と制御用基板ケース13とを固定」するものであり、「その矩形枠体24部分を、扉体6上半部に形成された矩形開口部26に挿入して、扉体6に装着される」ものであり、「別の遊技装置に取替える場合でも、外装部品と内装部品とを一体的に扉体に装着でき」ものであるから、本願補正発明の「遊技機能の主体であるリールユニット、これの制御ボックス及びこれらに附属する機器を収納してなり、筐体が箱型状を呈する上部ユニット」と比較して、「遊技機能の主体であるリールユニット及びこれの制御ボックスを収納してなり、筐体が箱型状を呈する入れ替えユニット」において一致する。
次に、引用発明Aの「遊技島3の棚板材8に固定されている木製枠体5と前記枠体5に枢支されている前面扉体6とを備えたキャビネット7」は、「内装部品であるホッパーユニット9と電源ユニット10等が矩形の枠体5側に組付けられ」るものであり、当該ホッパーユニット9は賞メダルをメダル受け皿19に払い出すものであるから、本願補正発明の「外部からメダルの払出信号を受けてメダルを払い出す機能を有するメダルホッパー、電源ボックス及びこれらに附帯する機器を収納してなるとともに、前面には下扉が装着されてなる、筐体が箱型状を呈する下部ユニット」と比較して、「メダルを払い出す機能を有するメダルホッパー及び電源ボックスを収納してなるとともに、前面には扉が装着されてなる、筐体が箱型状を呈する非入れ替えユニット」において一致する。
更に、引用発明Aの「装着ユニット25」と「キャビネット7」について検討すると、「装着ユニット25」は「キャビネット7の前面扉体6に装着される」ものであり、「別の遊技装置に取替える場合でも、外装部品と内装部品とを一体的に扉体に装着でき」るものであるから、本願補正発明の「上部ユニットと下部ユニットとを着脱自在に積み重ねてなり、」と比較して、「入れ替えユニットと非入れ替えユニットとを着脱自在とし、」において一致する。
(い-3)引用発明Aの「スロットマシン1」は、「キャビネット7に、遊技装置を組付けて構成される」ものであり、「別の遊技装置に取替える場合でも、外装部品と内装部品とを一体的に扉体に装着でき」るものであるから、本願補正発明の「分離型メダル遊技機」に相当する事項を備えている。

そうすると、両者の一致点及び相違点は次のとおりである。

一致点
各々の筐体が箱型状を呈する入れ替えユニットと非入れ替えユニットとを着脱自在とし、前記入れ替えユニットは遊技機能の主体であるリールユニット、これの制御ボックスを収納してなり、前記非入れ替えユニットはメダルを払い出す機能を有するメダルホッパー、電源ボックスを収納してなるとともに、前記非入れ替えユニットの前面には扉が装着されてなる、分離型メダル遊技機。

相違点
(1)着脱自在なユニットが、本願補正発明では積み重ねてなる上部ユニットと下部ユニットであるのに対し、引用発明Aでは非入れ替えユニットとその上半部に装着される入れ替えユニットである点。
(2)入れ替えユニットに収納されるものが、本願補正発明ではリールユニット、これの制御ボックス及びこれらに附属する機器であるのに対し、引用発明Aではリールユニット及びこれの制御ボックスである点。
(3)非入れ替えユニットに収納されるものが、本願補正発明ではメダルホッパー、電源ボックス及びこれらに附帯する機器であるのに対し、引用発明Aではメダルホッパー及び電源ボックスである点。
(4)メダルを払い出す機能を有するメダルホッパーが、本願補正発明では外部からメダルの払出信号を受けて機能するのに対し、引用発明Aでは表示窓に表示される図柄の組み合わせが所定の組み合わせになっていると賞メダルを払い出す点。
(5)本願補正発明では上部ユニットの前面には上扉が、また下部ユニットの前面には下扉が、それぞれ装着されてなるのに対し、引用発明Aでは非入れ替えユニットの前面には扉が装着されているものの、入れ替えユニットの前面に扉が装着されているかどうか明らかでない点。

そこで、上記相違点について検討する。
相違点(1)について
引用発明Bには、箱型状を呈する上部ユニット(本体部2)と下部ユニット(基台部1)とを着脱自在に積み重ね(取り付け取り外し可能に載置して使用)てなる分離型メダル遊技機(分離している、スロットマシン)が記載されている。そして、引用発明Aの「非入れ替えユニットとその上半部に装着される入れ替えユニット」に引用発明Bの「下部ユニット(基台部1)と上部ユニット(本体部2)」を適用し、相違点(1)に係る本願補正発明の構成とすることは、引用発明A及び引用発明Bが「一方のユニットを交換してモデルチェンジを行う分離型メダル遊技機」において共通しているから、当業者が容易になし得ることである。

相違点(2)及び(3)について
「主たる機器に附属、附帯する機器」を「主たる機器」の近傍に配置することは、メダル遊技機の技術分野に限らず、製造時や点検時の作業性を考慮して普通に採用されている技術常識であるから、「主たる機器」を収納するユニットに「主たる機器に附属、附帯する機器」を併せて収納させることは、当業者が容易になし得ることである。そうすると、相違点(2)及び(3)に係る本願補正発明の構成とすることは、引用発明Aに基づいて、当業者が容易になし得ることである。

相違点(4)について
外部からメダルの払出信号を受けてメダルを払い出す機能を有するメダルホッパーは、例えば実願昭57-155231号(実開昭59-61088号)のマイクロフィルムに示される「検出部からの信号によってメダルを排出するホッパー」(明細書の実用新案登録請求の範囲、同第3頁第16乃至18行、同第4頁第14乃至16行、第1及び2図参照)、及び実願昭62-88402号(実開昭63-197583号)のマイクロフィルムに示される「貨幣識別機35からの電気信号に基づきメダルを搬出するホッパー27」(明細書第8頁第3乃至20行、第4及び5図参照)のように、当該技術分野においては周知・慣用の技術であるから、引用発明Aの「メダル貸機に並設されているメダル遊技機(スロットマシン)に収納されたメダルホッパー(ホッパーユニット9)」に当該周知・慣用の技術を適用し、相違点(4)に係る本願補正発明の構成とすることは、当業者が容易になし得ることである。

相違点(5)について
引用発明Bには、下部ユニット(基台部1)と上部ユニット(本体部2)とを有する分離型メダル遊技機(分離している、スロットマシン)が記載され、引用発明Cには、前面ドアを、下扉(下部ドア4)と上扉(上部ドア3)に分割したメダル遊技機(スロットマシン)が記載されている。そうすると、引用発明A乃至引用発明Cは「一部の部材を交換してモデルチェンジを行うメダル遊技機(スロットマシン)」において共通しているから、引用発明Aの「扉(前面扉体6)を備えた非入れ替えユニットとその上半部に装着される入れ替えユニット」に引用発明Bの「下部ユニット(基台部1)と上部ユニット(本体部2)」を適用する際に、引用発明Cの「前面ドアを、下扉(下部ドア4)と上扉(上部ドア3)に分割」した技術を適用し、相違点(5)に係る本願補正発明の構成とすることは、当業者が容易になし得ることである。

また、効果においても、引用発明A乃至引用発明Cが「一部の部材を交換してモデルチェンジを行う」ものであるから、本願補正発明が格別の効果を奏するものとは認められない。

(う)むすび
以上のとおり、本件補正は、平成6年改正前特許法第17条の2第4項で準用する同法第126条第3項の規定に違反するものであり、特許法第159条第1項で準用する特許法第53条第1項の規定により却下されるべきものである。

第三、本願発明について
平成19年12月25日付けの手続補正は上記のとおり却下されたので、本願の請求項1及び2に係る発明は、願書に添付された明細書の記載からみて、その特許請求の範囲の請求項1及び2に記載されたとおりのものと認められるところ、その請求項1に記載された発明は次のとおりのものである。
「 上部ユニットとこれに着脱自在に設けた下部ユニットとからなり、前記上部ユニットは遊技機能の主体であるリールユニット、これの制御ボックス及びこれらに附属する機器を収納してなり、前記下部ユニットは外部からメダルの払出信号を受けてメダルを払い出す機能を有するメダルホッパー、電源ボックス及びこれらに附帯する機器を収納してなるとともに、前記上部ユニットの前面には上扉が、また前記下部ユニットの前面には下扉が、それぞれ装着されてなることを特徴とする分離型メダル遊技機。」(以下、「本願発明」という。)

(あ)刊行物に記載された発明
原査定の拒絶理由通知に引用された刊行物及びその記載事項は前記「第二、(2)(あ)刊行物に記載された発明」に記載したとおりである。

(い)本願発明と引用発明1との比較・検討
本願補正発明は、本願発明の構成に欠くことができない事項である「着脱自在に設けた上部ユニットと下部ユニット」について、「各々の筐体が箱型状を呈する上部ユニットと下部ユニットとを着脱自在に積み重ねてなり、」と限定するものである。
そうすると、本願発明の構成に欠くことができない事項を全て含み、さらに他の発明の構成に欠くことができない事項を付加したものに相当する本願補正発明が、前記「第二、(2)(い)」に記載したとおり、引用発明A乃至引用発明C及び周知・慣用の技術に基づいて、当業者が容易に発明をすることができたものであるから、本願発明も、同様の理由により、引用発明A乃至引用発明C及び周知・慣用の技術に基づいて、当業者が容易に発明をすることができたものである。

(う)むすび
以上のとおり、本願発明は、引用発明A乃至引用発明C及び周知・慣用の技術に基づいて、当業者が容易に発明をすることができたものであるから、本願の他の請求項に係る発明について検討するまでもなく、本願発明は、特許法第29条第2項の規定により、特許を受けることができない。
よって、結論のとおり審決する。

 
審理終結日 2008-08-01 
結審通知日 2008-08-07 
審決日 2008-08-19 
出願番号 特願2004-378047(P2004-378047)
審決分類 P 1 8・ 575- Z (A63F)
P 1 8・ 121- Z (A63F)
最終処分 不成立  
前審関与審査官 瀬津 太朗石塚 良一  
特許庁審判長 小原 博生
特許庁審判官 川島 陵司
▲吉▼川 康史
発明の名称 分離型メダル遊技機  
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