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審決分類 |
審判 査定不服 4号2号請求項の限定的減縮 特許、登録しない(前置又は当審拒絶理由) H01G 審判 査定不服 5項独立特許用件 特許、登録しない(前置又は当審拒絶理由) H01G 審判 査定不服 2項進歩性 特許、登録しない(前置又は当審拒絶理由) H01G 審判 査定不服 2項進歩性 特許、登録しない(前置又は当審拒絶理由) H01G |
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管理番号 | 1186385 |
審判番号 | 不服2005-22674 |
総通号数 | 108 |
発行国 | 日本国特許庁(JP) |
公報種別 | 特許審決公報 |
発行日 | 2008-12-26 |
種別 | 拒絶査定不服の審決 |
審判請求日 | 2005-11-24 |
確定日 | 2008-10-16 |
事件の表示 | 平成9年特許願第108787号「電気二重層コンデンサ」拒絶査定不服審判事件〔平成10年11月13日出願公開、特開平10-303072〕について、次のとおり審決する。 |
結論 | 本件審判の請求は、成り立たない。 |
理由 |
第1 手続の経緯 本願は、平成9年4月25日の出願であって、平成17年7月7日付けで拒絶の理由の通知がなされ、これに対して同年8月31日付けで手続補正がなされたが、同年10月21日付けで拒絶査定がなされた。 そして、同年11月24日付けで拒絶査定に対する審判の請求がなされるとともに、同年12月15日付けで手続補正がなされ、その後、当審において、平成19年7月19日付けで審尋がなされ、これに応じて同年8月30日付けで回答書が提出され、さらにその後、平成20年3月28日付けで、上記平成17年12月15日付けの手続補正についての補正の却下の決定及び拒絶の理由の通知(特許法第17条の2第1項第2号に規定する拒絶理由通知)がなされたところ、同年5月26日付けで手続補正がなされたものである。 第2 平成20年5月26日付けの手続補正についての補正の却下の決定 [補正の却下の決定の結論] 平成20年5月26日付けの手続補正を却下する。 [理由] 1 本件補正の基礎となる明細書及び図面 前記「第1」のとおりであるから、平成20年5月26日付けの手続補正(以下「本件補正」という。)の基礎となる明細書及び図面は、平成20年3月28日付けの補正の却下の決定により却下された平成17年12月15日付けの手続補正前の、平成17年8月31日付けの手続補正により補正されたものである。 2 本件補正の内容 (1)本件補正は、上記「1」に示した本件補正の基礎となる明細書である平成17年8月31日付けの手続補正により補正された明細書の特許請求の範囲の請求項2を削除するとともに、同明細書の特許請求の範囲の請求項1並びに発明の詳細な説明の段落「0004」(「課題を解決する手段」の項)、段落「0005」(「発明の実施の形態」の項における最初の段落)及び段落「0011」(「発明の効果」の項)を補正するものである。 (2)本件補正後の特許請求の範囲の請求項1は、以下のとおりである。 「【請求項1】 開口部を有する第1の金属ケースと、この第1の金属ケースの開口縁に装着されたリング状のパッキングと、このパッキングを介して前記第1の金属ケースの開口部を覆った第2の金属ケースと、第1、第2の金属ケース内に収納させた電気的構造体とを備え、前記第2の金属ケースの底面に電気的構造体よりも外側に位置する所にケース内に突出した湾曲部からなる応力吸収部を形成するとともに、前記第2の金属ケースの外周縁を第1の金属ケース側へパッキングを圧縮させてかしめるとともに、前記パッキングの一部が前記応力吸収部と当接した電気二重層コンデンサ。」 3 本件補正の目的の適否 (1)本件補正のうち、請求項2を削除する補正は、特許法第17条の2第4項第1号に掲げる請求項の削除を目的とするものに該当するから、同法同条第4項に規定する要件を満たしている。 (2)本件補正のうち、請求項1についてする補正は、本件補正前の請求項1に係る発明特定事項である「応力吸収部」及び「パッキング」に対して限定を行うものであるから、同法同条第4項第2号に掲げる特許請求の範囲の減縮を目的とするものに該当し、同法同条第4項に規定する要件を満たしている。 (3)上記(1)及び(2)のとおりであるから、本件補正は、特許法第17条の2第4項に規定する要件を満たしているものである。 4 独立特許要件について 上記「3 (2)」のとおり、本件補正は、特許法第17条の2第4項第2号に掲げる特許請求の範囲の減縮を目的とする補正を含むものであるから、以下に、本件補正後における特許請求の範囲に記載されている事項により特定される発明が、特許出願の際独立して特許を受けることができるものであるか否かを検討する。 (1)本件補正発明 本件補正後の請求項1は、前記「2(2)」のとおりである(以下、前記請求項1に係る発明を「本件補正発明」という。)。 (2)刊行物及びその記載事項 当審における拒絶の理由に引用した、実願昭62-199452号(実開平1-103252号)のマイクロフィルム(当審における平成20年3月28日付けの拒絶の理由の通知に「刊行物4」として引用された刊行物。以下「刊行物」という。)には、図面第1図及び第2図とともに、以下のアないしオの事項が、記載されている。 ア 「陽極端子を兼ねる陽極容器の底面に陽極活物質の大きさに合せて電池内方に向かう円周状の突起を設けてなる扁平型電池」(「実用新案登録請求の範囲」の欄) イ 「従来この種扁平型電池を第2図で説明すると、1は・・・耐食性金属・・・封口体で、該封口体1の平坦部内面には・・・陰極集電体2が固着されている。3は・・・陰極活物質・・・4は・・・陽極活物質、5は・・・セパレータ、6は・・・耐食性金属例えば封口体1と同材質よりなる陽極容器、7は・・・陽極集電体、8は・・・絶縁パッキングで、該絶縁パッキング8を介して陽極容器6の開口部を内方に押圧折曲することにより電池を密封するものである。」(明細書第1頁17行目?第2頁16行目:「従来の技術」の項) ウ 「陽極容器6の低部平坦部の一部に陽極活物質4の厚さ、径に合せた円周状の突起9を設けた。」(明細書第3頁18?19行目:「実施例」の項) エ 「第1図は本考案の扁平型電池の側部断面図、第2図は従来の扁平型電池の側部断面図である。」(「図面の簡単な説明」の欄) オ 図面第1図には、「開口部を有する封口体1と、この封口体1の開口縁に装着されたリング状の絶縁パッキング8と、この絶縁パッキング8を介して前記封口体1の開口部を覆った陽極容器6と、前記封口体1、前記陽極容器6内に収納させた陰極集電体2、陰極活物質3、陽極活物質4、セパレータ5及び陽極集電体7とを備え、前記陽極容器6の底部平坦部の一部に前記陰極集電体2、前記陰極活物質3、前記陽極活物質4及び前記陽極集電体7よりも外側に位置する所に前記陽極容器6内に突出した突起9が形成されているとともに、前記陽極容器6の開口部が前記陽極容器6の内方へ押圧折曲され、この前記陽極容器6の押圧折曲された開口部、側面部及び底部に亘って、前記絶縁パッキング8が接している扁平型缶体」が示されている。 カ 以上アないしオを総合すると、刊行物には、 「開口部を有する封口体1と、この封口体1の開口縁に装着されたリング状の絶縁パッキング8と、この絶縁パッキング8を介して前記封口体1の開口部を覆った陽極容器6と、前記封口体1、前記陽極容器6内に収納させた陰極集電体2、陰極活物質3、陽極活物質4、セパレータ5及び陽極集電体7とを備え、前記陽極容器6の底部平坦部の一部に前記陰極集電体2、前記陰極活物質3、前記陽極活物質4及び前記陽極集電体7よりも外側に位置する所に前記陽極容器6内に突出した円周状の突起9を形成するとともに、前記陽極容器6の開口部を前記絶縁パッキング8を介して前記陽極容器6の内方へ押圧折曲することにより、前記陽極容器6の押圧折曲された開口部、側面部及び底部に亘って、前記絶縁パッキング8が接するように密封した扁平型電池」(以下「刊行物発明」という。)が記載されている。 (3)対比 ア 刊行物発明の「封口体1」、「陽極容器6」、「絶縁パッキング8」、「陽極容器6の開口部」、「押圧折曲」は、それぞれ、本件補正発明の「第1の金属ケース」、「第2の金属ケース」、「パッキング」、「第2の金属ケースの外周縁」、「かしめ」に相当する。また、刊行物発明の「陰極集電体2、陰極活物質3、陽極活物質4及び陽極集電体7」の全体は、本件補正発明の「電気的構造体」に相当する。 イ 上記アをも前提にすると、刊行物発明の「陽極容器6の開口部を前記絶縁パッキング8を介して前記陽極容器6の内方へ押圧折曲することにより、前記陽極容器6の押圧折曲された開口部、側面部及び底部に亘って、前記絶縁パッキング8が接するように密封した」との事項は、「絶縁パッキング8」は「扁平型電池」を「密封」するための機能を有しているので、「前記陽極容器6」が「内方へ押圧折曲」、すなわち「かしめ」られた後は、「絶縁パッキング8」が圧縮状態にあることが明らかであるから、刊行物発明の上記事項は、本件補正発明の「第2の金属ケースの外周縁を第1の金属ケース側へパッキングを圧縮させてかしめる」に相当する。 ウ 刊行物発明の「陽極容器6の底部平坦部の一部に」形成した「前記陽極容器6内に突出した円周状の突起9」は、刊行物の第1図を見ると、底面から電池内方へ湾曲した形状のものとなっており、前記「封口体1」、前記「絶縁パッキング8」、前記「陽極容器6」並びに前記「封口体1」及び前記「陽極容器6」内に収納させた諸電気的構造体をも含めた、扁平型電池の全体の構造と相俟って、前記「陽極容器6の開口部」を前記「絶縁パッキング8」を圧縮させながら、前記「封口体1」側へ「押圧折曲」、すなわち「かしめ」た場合、カシメ部分の前記「封口体1」及び前記「陽極容器6」と前記「絶縁パッキング8」への「応力吸収」をする機能を有しているものであることが、力学的にみて明らかである。 したがって、刊行物発明の「前記陽極容器6内に突出した円周状の突起9」は、本件補正発明の「ケース内に突出した湾曲部からなる応力吸収部」に相当する。 エ 刊行物発明の「扁平型電池」は、「扁平型缶体」という点で、本件補正発明の「電気二重層コンデンサ」と共通している。 オ 上記アないしエを前提に、本件補正発明と刊行物発明とを対比すると、 両者は、 「開口部を有する第1の金属ケースと、この第1の金属ケースの開口縁に装着されたリング状のパッキングと、このパッキングを介して前記第1の金属ケースの開口部を覆った第2の金属ケースと、第1、第2の金属ケース内に収納させた電気的構造体とを備え、前記第2の金属ケースの底面に電気的構造体よりも外側に位置する所にケース内に突出した湾曲部からなる応力吸収部を形成するとともに、前記第2の金属ケースの外周縁を第1の金属ケース側へパッキングを圧縮させてかしめた扁平型缶体。」 である点で一致し、 次の2点で相違している。 [相違点1] 本件補正発明は「電気二重層コンデンサ」であるのに対し、刊行物発明は「扁平型電池」である点。 [相違点2] 本件補正発明は「前記パッキングの一部が前記応力吸収部と当接した」構造を備えているのに対し、刊行物発明は「絶縁パッキング8」が「陽極容器6内に突出した円周状の突起9と当接」せず、離れた構造を備えている点。 (4)判断 ア [相違点1]について 「電気二重層コンデンサ」と「扁平型電池」は、小型の電気的素子である点及び「パッキングを介して、上側の缶体(第1の金属ケース)と下側の缶体(第2の金属ケース)との中に電気的構造体を収納した扁平型缶体」という機械的な構造を有する点で、同一ないし類似のものであり、両者の相違は、コンデンサであること及び電池であることそれぞれに従った電気的素子としての電気的機能の相違に対応して、上下それぞれの缶体の中に収納させた電気的構造体を異ならせている点にある。 そうすれば、刊行物発明の「扁平型電池」を「電気二重層コンデンサ」に変更することは、それぞれに要求される電気的機能の違いに対応させて、「扁平型電池」の電気的構造体を、「電気二重層コンデンサ」の電気的構造体に置き換えることにより、当業者が容易になし得たことである。 イ [相違点2]について (ア)本件補正発明が有する「前記パッキングの一部が前記応力吸収部と当接した」構造の技術上の意義については、本願当初明細書に何ら記載されておらず、かつ、本願当初明細書の記載から自明でもない。また、この構造を具備することにより格別の効果を生じるものとも認められない。 したがって、刊行物発明において、本件補正発明のごとく「前記パッキングの一部が前記応力吸収部と当接した」構造を備えるようにすることは、当業者が適宜なし得る設計的事項の範囲内のものである。 (イ)なお、請求人は、平成20年5月26日付けの意見書において、 「すなわち、前記第2の金属ケースの底面に電気的構造体よりも外側に位置する所にケース内に突出した湾曲部からなる応力吸収部を形成するとともに、前記第2の金属ケースの外周縁をパッキングを圧縮させて第1の金属ケース側へかしめることにより、温度変化によるカシメ部分の第1及び第2の金属ケースの変形を、この第1及び第2の金属ケースの応力吸収部とその内側を変形させることで大幅に緩和することができ、また、パッキングを第2の金属ケースの外周縁のかしめによる圧縮と応力吸収部との当接により、パッキングの塑性変形を大幅に緩和することができる。この結果としてパッキングの変形による第1及び第2の金属ケースとパッキング間の隙間拡大が起きず、封口に対する信頼性が高いものとなります。」 と主張している。 しかしながら、「前記第2の金属ケースの底面に電気的構造体よりも外側に位置する所にケース内に突出した湾曲部からなる応力吸収部を形成するとともに、前記第2の金属ケースの外周縁をパッキングを圧縮させて第1の金属ケース側へかしめる」ことと、「温度変化によるカシメ部分の第1及び第2の金属ケースの変形を、この第1及び第2の金属ケースの応力吸収部とその内側を変形させることで大幅に緩和することができ」るということとのメカニズム・因果関係が明らかでなく、 また、「パッキングを第2の金属ケースの外周縁のかしめによる圧縮と応力吸収部との当接」(請求項1における「前記第2の金属ケースの外周縁を第1の金属ケース側へパッキングを圧縮させてかしめるとともに、前記パッキングの一部が前記応力吸収部と当接」との記載内容を指すものと解される。)したことと、「パッキングの塑性変形を大幅に緩和することができる」ということとのメカニズム・因果関係も明らかでないから、 請求人の上記主張は採用できない。 (5)小むすび したがって、本件補正発明は、本願出願前に日本国内において頒布された刊行物に記載された発明に基いて当業者が容易に発明をすることができたものであるから、特許法第29条第2項の規定により、その特許出願の際独立して特許を受けることができないものである。 5 むすび 以上のとおりであるから、補正後の請求項1についての補正を含む本件補正は、特許法第17条の2第5項において準用する同法第126条第5項の規定に適合しないので、同法第159条第1項において読み替えて準用する同法第53条第1項の規定により、却下すべきものである。 第3 本願発明について 1 本願発明 平成20年5月26日付けの手続補正は、前記「第2」のとおり却下され、また、前記「第1」のとおり、平成17年12月15日付けの手続補正も却下されている。 したがって、本願の請求項1に係る発明(以下「本願発明」という。)は、平成17年8月31日付けの手続補正書の請求項1に記載された事項により特定される以下のとおりのものである。 「【請求項1】 開口部を有する第1の金属ケースと、この第1の金属ケースの開口縁に装着されたリング状のパッキングと、このパッキングを介して前記第1の金属ケースの開口部を覆った第2の金属ケースと、第1、第2の金属ケース内に収納させた電気的構造体とを備え、前記第2の金属ケースの底面に1つ以上の湾曲部からなる応力吸収部を形成するとともに、前記第2の金属ケースの外周縁がパッキングを圧縮させて第1の金属ケース側へかしめた電気二重層コンデンサ。」 2 刊行物及びその記載事項 刊行物の記載事項及び刊行物に記載された発明は、前記「第2 4 (2)」に記載したとおりである。 3 対比 ア 刊行物発明の「封口体1」、「陽極容器6」、「絶縁パッキング8」、「陽極容器6の開口部」、「押圧折曲」は、それぞれ、本願発明の「第1の金属ケース」、「第2の金属ケース」、「パッキング」、「第2の金属ケースの外周縁」、「かしめ」に相当する。また、刊行物発明の「陰極集電体2、陰極活物質3、陽極活物質4及び陽極集電体7」の全体は、本願発明の「電気的構造体」に相当する。 イ 上記アをも前提にすると、刊行物発明の「陽極容器6の開口部を前記絶縁パッキング8を介して前記陽極容器6の内方へ押圧折曲することにより、前記陽極容器6の押圧折曲された開口部、側面部及び底部に亘って、前記絶縁パッキング8が接するように密封した」との事項は、「絶縁パッキング8」は「扁平型電池」を「密封」するための機能を有しているので、「前記陽極容器6」が「内方へ押圧折曲」、すなわち「かしめ」られた後は、「絶縁パッキング8」が圧縮状態にあることが明らかであるから、刊行物発明の上記事項は、本願発明の「第2の金属ケースの外周縁がパッキングを圧縮させて第1の金属ケース側へかしめ」ることに相当する。 ウ 刊行物発明の「陽極容器6の底部平坦部の一部に」形成した「前記陽極容器6内に突出した円周状の突起9」は、刊行物の第1図を見ると、底面から電池内方へ湾曲した形状のものとなっており、前記「封口体1」、前記「絶縁パッキング8」、前記「陽極容器6」並びに前記「封口体1」及び前記「陽極容器6」内に収納させた諸電気的構造体をも含めた、扁平型電池の全体の構造と相俟って、前記「陽極容器6の開口部」を前記「絶縁パッキング8」を圧縮させながら、前記「封口体1」側へ「押圧折曲」、すなわち「かしめ」た場合、カシメ部分の前記「封口体1」及び前記「陽極容器6」と前記「絶縁パッキング8」への「応力吸収」をする機能を有しているものであることが、力学的にみて明らかである。 したがって、刊行物発明の「陽極容器6の底部平坦部の一部に」形成した「前記陽極容器6内に突出した円周状の突起9」は、本願発明の「第2の金属ケースの底面」の「1つ以上の湾曲部からなる応力吸収部」に相当する。 エ 刊行物発明の「扁平型電池」は、「扁平型缶体」という点で、本願発明の「電気二重層コンデンサ」と共通している。 オ 上記アないしエを前提に、本願発明と刊行物発明とを対比すると、 両者は、 「開口部を有する第1の金属ケースと、この第1の金属ケースの開口縁に装着されたリング状のパッキングと、このパッキングを介して前記第1の金属ケースの開口部を覆った第2の金属ケースと、第1、第2の金属ケース内に収納させた電気的構造体とを備え、前記第2の金属ケースの底面に1つ以上の湾曲部からなる応力吸収部を形成するとともに、前記第2の金属ケースの外周縁がパッキングを圧縮させて第1の金属ケース側へかしめた扁平型缶体。」 である点で一致し、 本願発明は「電気二重層コンデンサ」であるのに対し、刊行物発明は「扁平型電池」である点、 で相違している。 4 判断 以下、上記「3」における相違点について検討する。 「電気二重層コンデンサ」と「扁平型電池」は、小型の電気的素子である点及び「パッキングを介して、上側の缶体(第1の金属ケース)と下側の缶体(第2の金属ケース)との中に電気的構造体を収納した扁平型缶体」という機械的な構造を有する点で、同一ないし類似のものであり、両者の相違は、コンデンサであること及び電池であることそれぞれに従った電気的素子としての電気的機能の相違に対応して、上下それぞれの缶体の中に収納させた電気的構造体を異ならせている点にある。 そうすれば、刊行物発明の「扁平型電池」を「電気二重層コンデンサ」に変更することは、それぞれに要求される電気的機能の違いに対応させて、「扁平型電池」の電気的構造体を、「電気二重層コンデンサ」の電気的構造体に置き換えることにより、当業者が容易になし得たことである。 5 むすび 以上のとおり、本願発明は、本願出願前に日本国内で頒布された刊行物に記載された発明に基いて当業者が容易に発明をすることができたものであるから、特許法第29条第2項の規定により、特許を受けることができない。 よって、結論のとおり審決する。 |
審理終結日 | 2008-08-07 |
結審通知日 | 2008-08-19 |
審決日 | 2008-09-03 |
出願番号 | 特願平9-108787 |
審決分類 |
P
1
8・
121-
WZ
(H01G)
P 1 8・ 121- WZ (H01G) P 1 8・ 572- WZ (H01G) P 1 8・ 575- WZ (H01G) |
最終処分 | 不成立 |
前審関与審査官 | 田中 晃洋、桑原 清 |
特許庁審判長 |
橋本 武 |
特許庁審判官 |
北島 健次 石川 正幸 |
発明の名称 | 電気二重層コンデンサ |
代理人 | 岩橋 文雄 |
代理人 | 永野 大介 |
代理人 | 内藤 浩樹 |