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審決分類 審判 全部無効 特123条1項8号訂正、訂正請求の適否  G01G
審判 全部無効 特許請求の範囲の実質的変更  G01G
審判 全部無効 ただし書き1号特許請求の範囲の減縮  G01G
管理番号 1187085
審判番号 無効2007-800148  
総通号数 108 
発行国 日本国特許庁(JP) 
公報種別 特許審決公報 
発行日 2008-12-26 
種別 無効の審決 
審判請求日 2007-07-27 
確定日 2008-11-12 
事件の表示 上記当事者間の特許第2681104号発明「計量装置」の特許無効審判事件について、次のとおり審決する。 
結論 本件審判の請求は、成り立たない。 審判費用は、請求人の負担とする。 
理由 1.手続の経緯
本件特許第2681104号に係る手続の経緯の概要は以下のとおりである。
昭和61年11月15日 特許出願(特願61-272685号)
平成 7年 3月14日 拒絶査定の謄本の送達
平成 7年 4月14日 拒絶査定不服審判の請求(平成7年審判第 7456号)
平成 9年 5月16日 原査定を取消す旨の審決の謄本の送達
平成 9年 8月 8日 登録(特許第2681104号)
平成19年 2月13日 訂正審判の請求(訂正2007-3900 16)
平成19年 3月19日 訂正を認める旨の審決の謄本の送達
平成19年 7月27日 本件特許無効審判の請求(無効2007- 800148)
平成19年10月19日付け 答弁書の提出(被請求人)
平成19年12月10日付け 弁駁書の提出(請求人)
平成20年 2月14日付け 口頭審理陳述要領書の提出(請求人)
平成20年 2月14日付け 口頭審理陳述要領書の提出(被請求人)
平成20年 2月14日 口頭審理
平成20年 2月29日付け 上申書の提出(請求人)

2.訂正の内容
訂正審判(訂正2007-390016)の審決により認容された訂正事項は以下(1)?(3)のとおりである。(下線は訂正箇所を示すために当審で付した。)
(1)特許請求の範囲の請求項1について、
「前記ゲートの開き始めから閉じるまでの刻々の動作変化を任意に設定する入力手段」を、「前記ゲートの開き始めから閉じるまでの刻々の動作変化を前記モータの動特性データとしてテーブルに任意に設定する入力手段」に訂正する。(以下、「本件訂正」という。)
(2)特許請求の範囲の請求項1について、
「前記入力手段はコントロールパネルに含まれており、」との構成を追加訂正する。
(3)明細書の発明の詳細な説明(特許掲載公報2頁3欄27?35行)について、
「本発明の計量装置は、被計量物品を貯蔵し排出するホッパと、該ホッパの排出口に設けられたゲートと、該ゲートを開閉駆動するモータとを備えた計量装置であって、前記ゲートの開き始めから閉じるまでの刻々の動作変化を任意に設定する入力手段と、設定されたゲートの動作変化に基づいて前記モータを制御する制御手段とを設け、被計量物の種類や供給量に応じて前記ゲートの動作を任意に制御できるようにしたことを特徴とするものである。」とあるのを、
「本発明の計量装置は、被計量物品を貯蔵し排出するホッパと、該ホッパの排出口に設けられたゲートと、該ゲートを開閉駆動するモータとを備えた計量装置であって、前記ゲートの開き始めから閉じるまでの刻々の動作変化を前記モータの動特性データとしてテーブルに任意に設定する入力手段と、設定されたゲートの動作変化に基づいて前記モータを制御する制御手段とを設け、前記入力手段はコントロールパネルに含まれており、被計量物の種類や供給量に応じて前記ゲートの動作を任意に制御できるようにしたことを特徴とするものである。」と訂正する。

3.請求人の主張の概要
請求人は、本件訂正は下記[理由1]、[理由2]の点で訂正要件(平成6年改正前の特許法第126条1項ただし書きまたは特許法第126条2項)に違反しているから、本件特許は平成6年改正後の特許法第123条1項8号により無効とすべきものである旨主張している。
[理由1]
計量装置のゲートとモータとは多数のリンク部材やカムなどによって接続されており、ゲートとモータの関係は非常に複雑であり、ゲートの位置を特定したとしても、モータの回転角を容易には特定できないことが技術常識だから、計量装置の動作を設定し制御する上で、ゲートの動作パラメータとモータの動特性パラメータとは同一視できない。したがって、本件訂正により、入力手段により入力されるパラメータが「ゲートの動作変化」から、「モータの動特性データ」へと変更されたこととなるから、本件訂正は特許請求の範囲の減縮を目的としたものとはいえず、また、実質上特許請求の範囲を変更するものというべきである。
[理由2]
本件訂正により、訂正前の機能的表現であり、その外延が不明確であった「ゲートの刻々の動作変化を任意に設定する」との構成が「前記ゲートの開き始めから閉じるまでの刻々の動作変化を前記モータの動特性データとしてテーブルに任意に設定する入力手段」と明確になったものであるから、本件訂正は実質上特許請求の範囲を変更するものというべきである。

4.被請求人の反論の概要
被請求人は、請求人の主張する[理由1]、[理由2]に対し、それぞれ以下のとおり反論している。
[反論1]
モータの回転角とゲートの位置とは一対一対応関係にあるから、ゲート位置を特定すればモータの回転角が特定できることは明らかであり、本件訂正は、訂正前の「ゲートの開き始めから閉じるまでの刻々の動作変化」を任意に設定する手段について「モータの動特性データとしてテーブルに」設定するように具体化したものであり、本件訂正は特許請求の範囲の減縮を目的としたものである。
[反論2]
本件訂正前の特許請求の範囲には「ゲートの刻々の動作変化」を任意に設定するという限定が存在しており、本件訂正前後において特許請求の範囲の記載は明確性を欠いているものではないから、本件訂正は実質上特許請求の範囲を変更するものではない。

5.当審の判断
(1)訂正の根拠
まず、本件訂正が、願書に添付した明細書又は図面(以下、「本件特許明細書等」という。)に記載した事項の範囲内においてしたものであるかについて検討する。
基準となるべき本件特許明細書等には、以下の記載事項ア?カがある。(下線は当審で付した。)
ア 特許掲載公報2頁3欄37行?43行
「本発明の計量装置は、ホッパゲートを開閉駆動するモータの動特性データを、被計量物品の種類や供給量に応じて予めテーブルに、パルス周期、パルス数、回転方向等に関して設定しておき、該テーブルの情報に応じてホッパゲートを開閉制御するので、ゲート開度を被計量物の供給量に応じて任意に調整でき、計量スピードも任意に変えることができる。」
イ 特許掲載公報2頁4欄14行?23行
「…ステップモータを例えば、第2図のように、
t1期間は等速
t2期間は漸次減速
t2期間は停止
t4期間は逆方向に漸次増速
t5期間は逆方向に等速
t6期間は逆方向に漸次減速
となるように動作させる場合、第2図に対応させた第3図から第1表のテーブルを作ることができる。」
ウ ホッパーゲートの動作特性図である図2及び図3、並びに図3に対応して作成された、モータの動特性値を表す第1表のテーブル。
エ 特許掲載公報3頁6欄15行?16行
「ステップモータは、ドライバ用のテーブルを作ることによって任意に制御できる」
オ 特許掲載公報4頁7欄31行?32行
「ゲート開閉の動作特性を入力装置で簡単に変えることができる」
カ 特許掲載公報2頁4欄1行?2行
「入力装置や表示装置を含むコントロールパネル3」及び第1図中の「コントロールパネル(入力装置、表示装置を含む)」との説明

以上の記載ア?オから、「ゲートの開き始めから閉じるまでの刻々の動作変化をモータにより制御するためにモータの動特性データを表したテーブルを用い、モータの動特性データは入力装置により任意に設定することができる。」との技術事項が読み取れる。
してみると、本件訂正事項である「前記ゲートの開き始めから閉じるまでの刻々の動作変化を前記モータの動特性データとしてテーブルに任意に設定する入力手段」は上記技術事項を簡潔に表現したものであり、本件訂正は、本件特許明細書等に記載した事項の範囲内においてしたものであるといえる。
(2)訂正要件の適合性
次に、本件訂正が特許法第126条に規定する要件を満たしているかについて検討する。
(i)特許請求の範囲の減縮を目的としたものであるか、について
本件訂正は、上記5.(1)で説示した本件特許明細書等に記載の技術事項を根拠に、「前記ゲートの開き始めから閉じるまでの刻々の動作変化を任意に設定する入力手段」とあるのを、「前記ゲートの開き始めから閉じるまでの刻々の動作変化を前記モータの動特性データとしてテーブルに任意に設定する入力手段」に訂正するものである。
そして、モータはそもそもゲートの開閉を制御するために設けられているのであるから、モータの回転角(すなわちパルス数)とゲートの位置(すなわち開度)との間には相応の対応関係が存在するのであり、事実、本件特許明細書等に記載の、ホッパーゲートの動作特性図である図2及び図3、並びに図3に対応して作成されたモータの動特性値を表す第1表のテーブルを見ると、モータの動特性データの一つであるパルス数(モータの回転角に相当する)の増加又は減少に応じてホッパーゲートの開度も連続的に増加又は減少していることが認められる。
してみると、本件訂正は、かかるゲートの位置(開度)とモータの回転角(パルス数)との間に存在する相応の対応関係を踏まえ、ゲートの動作変化を設定する手段について「モータの動特性データとしてテーブルに設定する」ものとしたのであり、設定の手段をより具体的に規定したものと認められるから、特許請求の範囲の減縮を目的としたものであるといえる。

(ii)実質上特許請求の範囲を変更するものであるか、について
本件特許明細書等に記載の特許発明(以下、「訂正前特許発明」という。)の目的は、本件特許明細書等の発明の詳細な説明の(発明が解決しようとする問題点)の記載から、(イ)ホッパに供給される供給量がわずかな場合であっても、従来のものは必ずホッパーゲートを全開にしなければならず、ゲートの開閉周期の短縮による計量速度の向上が望めなかった、(ロ)従来のものはゲートが閉じる直前のスピードをより遅くするような変更ができず、騒音が大きくなっていた、といった課題を解決することにあることが認められる。
訂正前特許発明は、その課題解決のために「ゲートの開き始めから閉じるまでの刻々の動作変化を任意に設定する入力手段」を設けたのであるから、上記目的を達成するための構成要件として見る限りにおいて不明確なものではない。
他方、本件訂正は上記したように、ゲートの動作変化を任意に設定する手段をより具体的に規定したものであり、本件訂正の前後において、入力手段による設定の対象が「ゲートの開き始めから閉じるまでの刻々の動作変化」であることに変わりはない。
してみると、本件訂正前後を通じて特許請求の範囲の記載は明瞭であり、また、本件訂正前後を通じて目的達成のための構成に係る「ゲートの開き始めから閉じるまでの刻々の動作変化を任意に設定する入力手段」を備えた点に変わりはないから、本件訂正は実質上特許請求の範囲を変更するものではない。

また、2.訂正の内容(2)に記載の訂正事項は「前記入力手段」について前記2.(1)訂正の根拠の記載事項カの記載を根拠に、「コントロールパネルに含まれており」との限定を付したものであって、本件特許明細書等に記載した事項の範囲内においてしたものであり、かつ、特許請求の範囲の減縮を目的としたものである。
さらに、2.訂正の内容(3)に記載の訂正事項は明細書の発明の詳細な説明中の(問題点を解決するための手段)の記載事項を訂正後の特許請求の範囲の請求項1の記載に整合させるためのものであるから、本件特許明細書等に記載した事項の範囲内においてしたものであることは明らかであり、また、この訂正は明りょうでない記載の釈明を目的とするものといえる。

6.むすび
以上のとおりであるから、本件訂正は平成6年改正前の特許法第126条1項ただし書及び同条2項の規定に違反してされたものではないから、本件特許は平成6年改正後の特許法第123条1項8号により無効とすべきものとすることはできない。
また、本件審判に関する費用については、特許法第169条第2項で準用する民事訴訟法第61条の規定により、請求人が負担すべきものとする。
よって、結論のとおり審決する。
 
審理終結日 2008-03-17 
結審通知日 2008-03-21 
審決日 2008-04-01 
出願番号 特願昭61-272685
審決分類 P 1 113・ 851- Y (G01G)
P 1 113・ 855- Y (G01G)
P 1 113・ 831- Y (G01G)
最終処分 不成立  
前審関与審査官 榮永 雅夫  
特許庁審判長 二宮 千久
特許庁審判官 飯野 茂
中村 直行
登録日 1997-08-08 
登録番号 特許第2681104号(P2681104)
発明の名称 計量装置  
復代理人 古川 安航  
代理人 加古 尊温  
代理人 角田 嘉宏  
代理人 藤岡 宏樹  
代理人 伊原 友己  
復代理人 佃 誠玄  
代理人 岩坪 哲  
代理人 吉村 雅人  
代理人 速見 禎祥  
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