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審決分類 |
審判 判定 権利でないもの 属さない(申立て不成立) B65D |
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管理番号 | 1187415 |
判定請求番号 | 判定2008-600025 |
総通号数 | 108 |
発行国 | 日本国特許庁(JP) |
公報種別 | 特許判定公報 |
発行日 | 2008-12-26 |
種別 | 判定 |
判定請求日 | 2008-05-07 |
確定日 | 2008-11-08 |
事件の表示 | 上記当事者間の特許第3598146号の判定請求事件について、次のとおり判定する。 |
結論 | イ号写真及びイ号現物に示す「持ち手」は、特許第3598146号発明の技術的範囲に属しない。 |
理由 |
1.請求の趣旨 請求人であるアイキ産業株式会社(以下、「請求人」という。)が求める本件判定請求の趣旨は、イ号写真及びイ号現物に示す、被請求人であるコトコ株式会社(以下、「被請求人」という。)が製造した、商品名:ソフタッチなる「持ち手」(以下、「イ号物品」という。)が、特許第3598146号発明(以下「本件特許発明」という。)の技術的範囲に属する、との判定を求めるものである。 なお、請求人は、イ号物品が本件特許のうち、請求項1ないし請求項5のいずれに係る発明の技術的範囲に属するものであるかを特定してないが、本件判定請求書には、イ号物品と請求項2ないし5に係る発明との関連については何ら記載されておらず、その全趣旨からみて、イ号物件が、本件特許のうち、請求項1に係る発明の技術的範囲に属するものとの判定を求めるものと解すべきである。 なお、本件判定請求は、同一特許発明、同一イ号物品に対してなされる4回目のものであり、これまで3回の判定請求においては、いずれもイ号物品は本件特許発明の技術範囲に属さないとの判定がなされている。 2.本件特許発明 特許第3598146号の請求項1に係る発明(以下、「本件特許発明」という。)は、特許明細書の記載からみて、その特許請求の範囲の請求項1に記載された次のとおりのものと認められる。 (A)金型の型別れ方向を上下方向として射出成型されてなる持ち手であって、 (B)上方を開放したほぼ半円筒形を呈し中央が細長い水平な握り部(2)と、 (C)この握り部の両端をそれぞれ下方へ曲げた下がり部(3)と、 (D)この下がり部の下端に水平に設けた紐乗せ部(4)と、 (E)この紐乗せ部の前記下がり部と離れた位置から上方に立ち上げた紐止め角(5)と、 (F)この紐止め角の前記下がり部に対向する面から迫り出し下面に水平面に対して傾斜した面を有する抜け止め瘤(6)とを備え、 (G)前記抜け止め瘤が型別れに際して無理抜きされて成形される (H)持ち手。 なお、(A)?(H)は、請求人が判定請求書において付与した分説であり、以下、それぞれ本件特許発明の構成(A)?(H)等という。 3.イ号物品 請求人であるアイキ産業株式会社(以下「請求人」という。)が提出したイ号現物及び同イ号写真からみて、イ号物品は、次のとおり特定されるものと認められる。 (a)持ち手の握り部を上、紐乗せ部を下とした場合に、持ち手の上下方向に分離される金型を用いて射出成型することができる持ち手であって (b)上方を開放したほぼ半円筒形を呈し中央が細長い水平な握り部と、 (c)この握り部の両端をそれぞれ下方へ曲げた下がり部と、 (i)前記握り部の中央と下がり部とはRをなして結合され、 (d)この下がり部の下端に、側方視でその内面と外面とが円弧状であり、ほぼ水平に設けた紐乗せ部と、 (e)この紐乗せ部の前記下がり部と離れた位置からその先端が下がり部側へ傾くように上方に立ち上げた紐止め角と、 (f)この紐止め角の前記下がり部に対向する面から迫り出し下面に水平面に対して傾斜した面を有する抜け止め瘤とを備え、 (g)前記抜け止め瘤を型から抜くことは、金型を上下に分割し、続いて、抜け止め瘤を駒と共に下方向に移動させ、更に続いて、該抜け止め瘤が駒の一部を乗り越えて抜くことができる形状に形成された、 (h)コトコ株式会社が製造した、商品名:ソフタッチなる持ち手。 なお、(a)?(i)は、被請求人が判定請求書において付与した分説であり、以下、それぞれイ号物品の構成(a)?(i)等という。 そのうち、イ号物品の構成(a)?(h)は、請求人が判定請求書において、本件特許発明の構成(A)?(H)にそれぞれ対応するものとして付与したとおりのものである。 一方、イ号物品の構成(i)は被請求人により付加されたものであるが、イ号現物及び同イ号写真から、イ号物品が構成(i)を有することは明白であり、この点について当事者間に争いはない。 4.対比、判断 イ号物品の構成が本件特許発明の構成(A)?(H)を要件を充足するか否かについて検討する。 (1)本件特許発明の構成(A)について 本件特許発明の構成(A)に関連して、本件特許明細書には、「・・・本発明を実施例に基づいて説明する。図1は実施例の斜視図、図2は実施例を上下方向に組み重ねた斜視図である。なお、文中の上下関係は、持ち手を上(図1、A方向を上)、紐乗せ部を下(図1、B方向を下)にした状態で説明する。・・・」(段落【0015】)、「・・・型別れ方向を上下方向にすると、パ-ティング面に対する専有面積が小さい(従来に比して50%)ので、より多くの数が1回の成形で生産出来る。・・・」(段落【0016】)等と記載されている。 してみると、本件特許発明の構成(A)における「上下方向」は、持ち手の握り部を上、紐乗せ部を下とした場合に、金型が別れていく方向を含むものと解することができる。 したがって、本件特許発明の構成(A)とイ号物品の構成(a)は一致しており、イ号物品は、構成(a)を有する点で本件特許発明の構成要件(A)を充足する。 (2)本件特許発明の構成(B)について 本件特許発明の構成(B)とイ号物品の構成(b)は一致しており、 その構成としてべきイ号物品は、構成(b)を有する点で本件特許発明の構成要件(B)を充足する。 (3)本件特許発明の構成(C)について 本件特許発明の構成(C)とイ号物品の構成(c)は一致しており、イ号物品は構成(c)を有する点で、本件特許発明の構成(C)を充足する。 なお、イ号物品の構成(i)に係る、握り部の中央と下がり部とがRをなして結合されることは、イ号物品の構成(c)とは関わりなく、適宜付加又は削除し得るものであるから、イ号物品が本件特許発明の構成(C)を充足するか否かに何ら関わりないものである。 (4)本件特許発明の構成(D)について イ号物品は、その構成として、「この下がり部の下端に、側方視でその内面と外面とが円弧状であり、ほぼ水平に設けた紐乗せ部」なる構成(d)を備えており、上記構成要件(D)と構成(d)とは、「持ち手」という物品を構成する「紐乗せ部」の構造ないし形状を、下がり部の下端にほぼ水平に設けたことを特定している点で、本件特許発明の構成(D)とイ号物品の構成(d)は一致しており、イ号物品は構成(d)を有する点で、本件特許発明の構成(D)を充足する。 なお、上記構成(d)における、紐乗せ部が、側方視でその内面と外面とが円弧状であることは、本件特許発明の構成要件(D)にかかわりなく、適宜付加又は削除し得るものであるから、イ号物品が本件特許発明の構成(D)を充足するか否かに何らかかわりないものである。 (5)本件特許発明の構成(H)について 本件特許発明の構成(H)とイ号物品の構成(h)は一致しており、イ号物品は構成(h)を有する点で、本件特許発明の構成(H)を充足する。 (6)構成要件(E)、(F)及び(G)について 以上のとおり、イ号物品は、本件特許発明の構成(A)ないし(D)及び(H)を充足するから、(E)ないし(G)を充足するか否かについて、次に検討する。 請求人自らがイ号物品と同様の成型方法を示すものとして提出した甲第3号証に示されるように、イ号物品の構成(e)ないし(g)は、金型を分割した後、残存する金型において、抜け止め瘤を駒とともに移動させ、外方に突出させ、更に続いて、抜け止め瘤が駒の一部を乗り越えて抜くことができるような、金型と持ち手との構造上の関連を特定するものと解することができる。 これに対し、本件特許発明の構成(E)ないし(G)は、結局のところ、紐止め角(5)を、紐乗せ部の下がり部と離れた位置から上方に立ち上げるという構成と、抜け止め瘤(6)が、紐止め角の下がり部に対向する面から迫り出し下面に水平面に対して傾斜した面を有するという構成とにより、抜け止め瘤が型別れに際して無理抜きされて成形されることを意味する。 一般に、射出成形の技術分野においては、成形後、金型を分離した後、金型から残存する成型品を取り出す工程を経るものと解されるところ、本件特許発明の構成要件(G)における「型別れ」という用語は、射出成形に係る技術分野において、一般的に使用され、かつ、その意義が一律的に確立しているものとはいえず、金型を分離することを意味するのか、あるいは金型から残存する成型品を取り出すことを意味するのか、必ずしも明確ではない。 本件特許明細書の発明の詳細な説明を参照しても、「抜け止め瘤が型別れに際して無理抜き」を定義する記載が見当たらず(なお、願書に最初に添付された明細書または図面には、金型の型別れ方向については記載されているものの、「抜け止め瘤が型別れに際して無理抜き」との記載自体見当たらない。)、唯一、抜け止め瘤の「離型」について次のように記載されている。 (ア)「・・・また、抜け止め瘤の下面に、水平面に対し傾斜した面があると、コア型から離型する時に滑り、無理抜きを容易にする。・・・」(段落【0006】参照) (イ)「・・・さらに、抜け止め瘤の下面に水平面に対し傾斜した面があるので、コア型から離型する時に滑り、無理抜きを容易にすることができる。・・・」(段落【0017】参照) 以上の記載からみて、「抜け止め瘤が型別れに際して」とは、「金型分離後、抜け止め瘤をコア型(成型品である持ち手が残存する金型)からの離型に際して」と解釈することが最も妥当である。 一方、「無理抜き」とは、射出成形の分野においては、成型品にアンダーカット部、すなわち、成型品を金型から取り出すとき、そのままでは離型できない凸形状部や凹形状部がある際、成型品に外力を与え、成型品の弾性変形により、金型から離型することを意味するものと解される。 その際、金型や成型品の構造、及びそれらの相互関係に由来して、成型品の弾性変形を許容する空間的余地がない場合、金型に駒あるいはピンといったスライド部分を用い、成型品を押し出し、無理抜きを可能とすることは、例えば、射出成形の分野において、本願出願前より当業者に広く知られた技術常識といえる。 以上を前提に、本件特許明細書をみてみると、発明の効果として、次のように記載されている。なお、下線は当審が付したものである。 「【発明の効果】 請求項1の持ち手によれば、金型にスライド部分を作らなくても、紐抜け止め瘤を無理抜きして型開きを上下方向にできる。型別れ方向を上下方向にして握り部をほぼ半円筒形としたので、抜け止め瘤を無理抜きしたうえでパ-ティング面に対する専有面積を小さくしたものを多数成形することができ、安価で提供することができる。また、専有面積を小さくしたうえにスライド部分を不要とした射出成形用の金型を用いて、1回の成形で数多く作れ経済的である。さらに、抜け止め瘤の下面に水平面に対し傾斜した面があるので、コア型から離型する時に滑り、無理抜きを容易にすることができる。しかも、上下方向に積み重ねると、ばらばらの場合よりボリュ-ムが小さくなり、保管、輸送のコストが下がるだけでなく、店舗のレジ回りの貴重な空間を無駄にしない。」(本願明細書段落【0017】) また、本件特許発明の審査経緯をみてみると、本件特許発明の構成要件(G)「前記抜け止め瘤が型別れに際して無理抜きされて成形される」は、審査段階における拒絶理由通知に対して、公知技術との差違を明確にするべく、本件特許発明の構成要件(F)の一部を構成する「下面に水平面に対して傾斜した面を有する」と併せて、追加して補正されたものであり、これに対応して、段落【0017】を上記のとおり補正している。 さらに平成16年6月21日付け意見書の「3.特許すべき理由(2)」、引用文献との比較」において、抜け止め瘤の無理抜きに関連して、拒絶理由で引用された引用文献1ないし3と比較し、例えば、引用文献1の瘤は角から略水平に出ているから無理抜きできない等、要約すれば、引用文献1ないし3には水平面に対し傾斜した面を備えた抜け止め瘤による無理抜きに関連する記載が無いことを主張するとともに、「・・・また、紐止め角の傾斜により、抜け止め瘤があってもスライド部分を不要として型別れ方向を上下方向とすることができるという効果も奏します。」と主張している。 その結果、特許査定に至ったことは明白であるから、本件特許明細書の上記記載及び請求人の主張並びに上述した技術常識を総合すれば、本件特許発明1の構成(E)ないし(G)は、一体不可分のものであり、それにより金型に駒あるいはピンといったスライド部分を設けなくても、抜け止め瘤が金型からの離型に際して、金型との間に抜け止め瘤の弾性変形を可能にする空間が確保され、抜け止め瘤の弾性変形により金型から離型されるという作用・効果を奏するものと解すべきである。 たしかに、本件特許請求の範囲の請求項1には、「(E)この紐乗せ部の前記下がり部と離れた位置から上方に立ち上げた紐止め角(5)」という構成と、「(F)この紐止め角の前記下がり部に対向する面から迫り出し下面に水平面に対して傾斜した面を有する抜け止め瘤(6)とを備え」たという構成が特定されているにすぎず、上述した作用・効果を達成するために、各金型との関係で、紐止め角(5)を、紐乗せ部の下がり部と離れた位置からどのように上方に立ち上げているのか、そして、抜け止め瘤(6)の面が、各金型との関係で、どのように紐止め角の下がり部に対向する面から迫り出し、下面に水平面に対して傾斜し、無理抜きに必要な弾性変形を可能としているのか、何ら具体的に特定されていない。 しかも、本件特許明細書を参酌しても、発明の詳細な説明の欄に、両金型の分離から、残存する持ち手を金型から分離するまでの工程において、アンダーカットの有無等、各金型と持ち手が構造上どのような関係にあるのかに関し、何ら具体的に解明されているわけではなく、また、図面にも、持ち手と両金型の構造上の関係すら図示されておらず、残存する抜け止め瘤が金型からどのように無理抜きされるかについて、当業者が容易に実施し得る程度に記載されているものとはいえない。 その結果、本件特許発明の構成(E)ないし(G)は、紐乗せ部の下がり部と離れた位置から上方に立ち上げたものであり、抜け止め瘤が紐止め角の下がり部に対向する面から迫り出し下面に水平面に対して傾斜した面を有するものであれば、駒あるいはピンといったスライド部分を使用することにより、はじめて無理抜きが可能となるような、紐止め角(5)をその先端が下がり部側へ傾くように上方に立ち上げたものや、金型に対する抜け止め瘤の形状も包含するとの主張も行い得るが、そうした主張は、むしろ本件特許請求の範囲が、発明の構成に欠くことができない事項のみを記載していないこと、そして、発明の詳細な説明の欄に、発明が講じた技術的手段が、当業者が容易に実施し得る程度に具体的に記載されていないことに起因するものというべきである。 したがって、本件特許発明の構成(E)ないし(G)は、少なくとも、イ号物品のように、抜け止め瘤を型から抜くに当たり、金型を上下に分割し、続いて、抜け止め瘤を駒と共に下方向に移動させ、更に続いて、該抜け止め瘤が駒の一部を乗り越えて抜くことができる形状に形成されたものを包含しないと解するのが相当である。 けだし、本件特許発明が、金型に設けた駒あるいはピンといったスライド部分により、無理抜きを可能にするものをもその技術的範囲として包含するとすれば、上述した射出成形における技術常識を含め、本願明細書に記載された事項を超え、過度に広範な技術的範囲を包含するものとなり、新しい技術を公開した者、すなわち産業上利用することができる発明について特許出願をした者に対し、その代償として特許権という独占的な権利を付与し、他方、第三者に対して公開された発明を利用する機会を与え、産業の発達に寄与するという特許制度本来の目的にもとるものであり、権利濫用のそしりを免れなくなるからである。 (6-4)まとめ 以上検討したとおり、イ号物品の構成(e)、(f)及び(g)は、本件特許発明の構成要件(E)、(F)及び(G)とは異なる構成であるから、イ号物品は、本件特許発明の構成要件(E)、(F)及び(G)を充足しない。 なお、念のため、本件特許の請求項2ないし5に係る発明とイ号物品との関係について述べると、イ号物件は、紐止め角(5)が紐乗せ部の下がり部と離れた位置から上方に立ち上がり両方の下がり部(3)の中心を通る面に対して互い違いに傾斜している構成(請求項2)、三日月形リブ(9)が握り部の内側横方向に設けられている構成(請求項3)、握り部(2)の横方向で中央(8)及び両縁(7)を厚く、中央及び両縁の間の部分(10)で薄く形成した構成点(請求項4)、及び下がり部(3)が、ほぼ半瀘斗形状である構成を有しておらず、この点で、イ号物品が請求項2ないし5を充足しないことは明白である。 6.結論 以上のとおりであるから、イ号物品は、本件特許発明の技術的範囲に属しない。 7.付言 上記「1.請求の趣旨」に記載したように、本件判定請求は、同一特許発明、同一イ号物品に対してなされる4回目のものであり、これまで3回の判定請求においては、いずれもイ号物品は本件特許発明の技術範囲に属さないとの判定がなされている。 そもそも特許権の権利行使に関して当事者間に争いが発生した場合、ある特定の物品等が特許発明の技術範囲に属するか否かについての判断は、裁判所の管轄に属するものであり、判定制度はあくまでも、このような権利行使に先だって、審判合議体が特許発明の技術範囲についての見解あるいは参考意見を述べるにすぎないものである。 すなわち判定は、何らの法的拘束力を有さないものであり、だからこそ、特許法上、判定に不服を申し立てたり、裁判所に判定の取り消しを求める制度等も用意されていないのである。 そうしてみると、同一特許発明、同一イ号物品の関係で、イ号物品は本件特許発明の技術範囲に属さないとの判定が既になされている場合、本件特許発明、イ号物品等についての事実認定に重大な影響を及ぼすような特段の事情がない限り、この判定において審判合議体が示した判断自体は有効なものと解すべきであり、これまでになされたいずれの判定においても、そのような事情は何ら見当たらず、いずれの判定も、審判合議体の見解あるいは参考意見として有効なものである。 したがって、仮に、本件特許発明及び同一のイ号物品について、今後さらに新たな判定の請求がなされたとしても、その判定は、審判合議体が過去にした見解を取り消すものではなく、仮にこれまでの判定を覆し、属するとの判定がなされたとすれば、審判合議体が、同一特許発明及び同一イ号物品の関係について、互いに相反する判定をなしたことになり、そもそも判定制度の意義に沿わないものになる。 なお、本件特許に基づき権利行使を行う場合、先に指摘した、本件特許明細書における特許請求の範囲及び発明の詳細な説明の記載不備について、十分に注意を払うべきである(特許法第104条の3第1項参照。)。 |
別掲 |
【イ号物品及びその写真】 (a)持ち手の握り部を上、紐乗せ部を下とした場合に、持ち手の上下方向に分離される金型を用いて射出成型することができる持ち手であって (b)上方を開放したほぼ半円筒形を呈し中央が細長い水平な握り部と、 (c)この握り部の両端をそれぞれ下方へ曲げた下がり部と、 (i)前記握り部の中央と下がり部とはRをなして結合され、 (d)この下がり部の下端に、側方視でその内面と外面とが円弧状であり、ほぼ水平に設けた紐乗せ部と、 (e)この紐乗せ部の前記下がり部と離れた位置からその先端が下がり部側へ傾くように上方に立ち上げた紐止め角と、 (f)この紐止め角の前記下がり部に対向する面から迫り出し下面に水平面に対して傾斜した面を有する抜け止め瘤とを備え、 (g)前記抜け止め瘤を型から抜くことは、金型を上下に分割し、続いて、抜け止め瘤を駒と共に下方向に移動させ、更に続いて、該抜け止め瘤が駒の一部を乗り越えて抜くことができる形状に形成された、 (h)コトコ株式会社が製造した、商品名:ソフタッチなる持ち手。 ![]() |
判定日 | 2008-10-23 |
出願番号 | 特願平7-107985 |
審決分類 |
P
1
2・
082-
ZB
(B65D)
|
最終処分 | 不成立 |
前審関与審査官 | 川本 真裕 |
特許庁審判長 |
石原 正博 |
特許庁審判官 |
熊倉 強 遠藤 秀明 |
登録日 | 2004-09-17 |
登録番号 | 特許第3598146号(P3598146) |
発明の名称 | 持ち手 |
代理人 | 福田 賢三 |
代理人 | 福田 伸一 |
代理人 | 福田 武通 |