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審決分類 審判 全部無効 特29条の2  G08G
審判 全部無効 2項進歩性  G08G
審判 全部無効 5項1、2号及び6項 請求の範囲の記載不備  G08G
管理番号 1187800
審判番号 無効2007-800221  
総通号数 109 
発行国 日本国特許庁(JP) 
公報種別 特許審決公報 
発行日 2009-01-30 
種別 無効の審決 
審判請求日 2007-10-15 
確定日 2008-10-22 
訂正明細書 有 
事件の表示 上記当事者間の特許第3316244号発明「ナビゲーション表示における案内情報の選択方法」の特許無効審判事件について、次のとおり審決する。 
結論 訂正を認める。 特許第3316244号の請求項1ないし3に係る発明についての特許を無効とする。 審判費用は、被請求人の負担とする。 
理由 1.手続の経緯
(1)特許第3316244号の請求項1ないし3に係る発明(以下、「本件発明1」ないし「本件発明3」といい、これらを一括して「本件発明」という。)についての出願は、平成5年1月21日に出願されたものであって、平成14年6月7日にその特許について特許権の設定登録がされたものである。

(2)これに対し、請求人は、平成19年10月15日に本件発明1ないし3に係る特許について無効審判を請求した。

(3)被請求人は、平成19年12月28日付け訂正請求書にて訂正(以下、「先の訂正」という。)を求めた。

(4)当審は、平成20年4月16日付け訂正拒絶理由通知書で、先の訂正については「特許法第134条の2第5項において準用する平成6年改正前特許法第126条第2項の規定に適合しないので、当該訂正は認められない。」とし、同日付けの当審における無効理由通知書で本件特許については「特許法第29条第2項の規定に違反してなされたものであるから、同法123条第1項第2号に規定し、無効にすべきものである。」とした。

(5)これに対し、被請求人は、平成20年5月21日付け意見書を提出するとともに、同日付けで訂正請求書を提出して訂正(以下、「本件訂正」という。)を求めた。したがって、先の訂正は、特許法第134条の2第4項の規定により取り下げられたものとみなされる。

(6)本件訂正の内容は、以下のとおりである。
a)特許請求の範囲の請求項1、3において「前記画像表示された複数の施設に関する情報から必要とする」を「画像表示された複数の施設に関する情報から必要とする」と訂正する(以下、「訂正事項a」という。)。
b)明細書の段落【0004】、【0014】において「前記画像表示された複数の施設に関する情報から必要とする」を「画像表示された複数の施設に関する情報から必要とする」と訂正する(以下、「訂正事項b」という。)。

2.訂正の可否に対する判断
(1)これらの訂正事項について検討すると、上記訂正事項aは、「前記画像表示された複数の施設に関する情報から必要とする」という記載中の「画像表示された複数の施設に関する情報」という用語に対して、当該請求項1または3の先の段落にこれを指し示す内容が存在しないことから、この「前記」という文言を誤記として認定し、削除するものであるので、誤記の訂正を目的としており、かつ、新規事項の追加に該当しない。また、上記訂正事項bは発明の詳細な説明における明りょうでない記載の釈明のためのものであり、同じく、誤記の訂正を目的としており、かつ、新規事項の追加に該当しない。

そして、上記いずれの訂正事項も、「目的地の設定を効率的に行う」という本件発明の課題に変更を及ぼすものでもないから、実質上特許請求の範囲を拡張し、又は変更するものではない。

(2)したがって、本件訂正は、平成6年改正前特許法第134条第2項ただし書の規定に適合し、かつ、同条第5項の規定において準用する同法第126条第2項の規定に適合するので、当該訂正を認める。

3.本件発明
本件発明1ないし3は、本件訂正に係る訂正明細書及び図面の記載からみて、その特許請求の範囲の請求項1ないし3に記載された次のとおりのものと認める。

(1)本件発明1
「自車位置及び目的位置、方向の案内情報を車両の移動に伴ってランドマークを含む地図情報上に画像表示し、かつ選択可能とするナビゲーション表示における案内情報の選択方法において、
画像表示された複数の施設に関する情報から必要とする施設のエリアが自車位置周辺かそれ以外かを設定するエリア設定ステップと、
前記画像表示された複数の施設に関する情報から少なくとも必要とする施設の種類を設定する条件設定ステップと、
前記エリアの設定が自車位置周辺に設定された場合、設定された施設の種類に基づいて、自車位置を基準に所定の範囲にある施設の情報を抽出する自車位置周辺検索ステップと、
抽出された自車位置周辺の施設をリストアップ表示するリスト表示ステップと、
上記リストアップされた施設から所定の施設を選択すると共に、選択された施設を目的地として決定するかキャンセルするかを選択せしめる目的地決定選択ステップと、
上記目的地決定選択ステップにおいて上記選択された施設が目的地として決定された際に、決定された施設の位置を記憶手段に格納せしめると共に、上記選択された施設位置を地図画面上に表示する目的地格納/表示ステップと、
を有することを特徴とするナビゲーション表示における案内情報の選択方法。」

(2)本件発明2
「上記設定された施設の種類に基づいて、自車位置から設定された種類の施設迄の距離情報を演算算出する距離情報演算算出ステップと、
前記距離情報演算算出結果に基づいて、該自車位置から距離が近い順に上記自車位置周辺の施設をリストアップ表示するリスト表示ステップと、
を有する請求項1に記載のナビゲーション表示における案内情報の選択方法。」

(3)本件発明3
「自車位置及び目的位置、方向の案内情報を車両の移動に伴ってランドマークを含む地図情報上に画像表示し、かつ選択可能とするナビゲーション表示における案内情報の選択方法において、
画像表示された複数の施設に関する情報から必要とする施設のエリアが自車位置周辺かそれ以外かを設定するエリア設定ステップと、
前記画像表示された複数の施設に関する情報から少なくとも必要とする施設の種類を設定する条件設定ステップと、
前記エリアの設定が自車位置周辺に設定された場合、設定された施設の種類に基づいて、自車位置を基準に所定の範囲にある施設の情報を抽出する自車位置周辺検索ステップと、
抽出された自車位置周辺の施設をリストアップ表示するリスト表示ステップと、
前記エリアの設定が自車位置周辺に設定されなかった場合、エリアを複数の領域に区分して画像表示し、選択可能とする区分表示ステップと、
設定された施設の種類と上記区分に基づいて、選択された区分にある施設の情報を抽出する検索ステップと、
抽出された上記区分に含まれる施設をリストアップ表示するリスト表示ステップと、
上記リストアップされた施設から所定の施設を選択すると共に、選択された施設を目的地として決定するかキャンセルするかを選択せしめる目的地決定選択ステップと、
上記目的地決定選択ステップにおいて上記選択された施設が目的地として決定された際に、決定された施設の位置を記憶手段に格納せしめると共に、上記選択された施設位置を地図画面上に表示する目的地格納/表示ステップと、
を有することを特徴とするナビゲーション表示における案内情報の選択方法。」

4.請求人の主張
これに対して、請求人は、以下の(1)ないし(3)の理由を挙げて、本件発明1ないし3に係る特許(以下、「本件特許」という。)は特許法第123条第1項第2号の規定により無効とすべきであると主張し、証拠方法として甲第1号証ないし甲第5号証を提出している。

(1)無効理由1
本件特許は、発明の詳細な説明に記載されていない構成、及び、技術的意義が不明な構成が請求項1ないし3に記載されているので、特許請求の範囲の記載が平成6年改正前特許法第36条第5項第1号及び第2号の規定に適合しないものに対してなされたものであり、また、発明の詳細な説明の記載が同法同条第4項の規定に適合しないものに対してなされたものである。

(2)無効理由2
本件発明は、甲第2号証及び甲第3号証に記載された発明並びに周知の技術に基づいて、当業者が容易に発明をすることができたものであるので、本件特許は、特許法第29条第2項の規定に違反してなされたものである。

(3)無効理由3
本件発明は、本件特許の出願の日前に出願され、その出願後に出願公開された甲第5号証に係る出願の願書に最初に添付した明細書又は図面(以下、「先願明細書等」という。)に記載された発明と同一であるので、本件特許は、特許法第29条の2の規定に違反してなされたものである。

(証拠方法)

甲第1号証:特許第3316244号特許掲載公報
甲第2号証:CELSIOR エレクトロ マルチビジョンの取扱書 表紙、第2-4頁、第16頁、第21頁、第50-54頁、第56頁、第57頁、第60頁及び裏表紙 1992年8月20日発行
甲第3号証:特開平4-123088号公報
甲第4号証:特開平3-137673号公報
甲第5号証:特開平5-197337号公報
なお、平成20年2月13日付け弁駁書と共に提出された甲第6号証(異議2003-70467特許決定公報)及び甲第7号証(CELSIOR エレクトロ マルチビジョンの取扱書 表紙、第2-4頁、第22頁、及び裏表紙)については、平成20年7月25日に実施した第1回口頭審理にて、参考資料として取り扱うものとした(第1回口頭審理調書を参照)。

5.被請求人の主張
一方、被請求人は、無効理由1ないし3はいずれも理由がないものであるとして、以下の主張を行っている。

(1)無効理由1について
本件特許は、特許請求の範囲の記載が平成6年改正前特許法第36条第5項第1号及び第2号の規定に適合しないものに対して特許されたものではなく、また、発明の詳細な説明の記載が同法第4項の規定に適合しないものに対して特許されたものではない。

(2)無効理由2について
本件発明は、甲第2号証及び甲第3号証に記載された発明並びに周知の技術に基づいて当業者が容易に発明をすることができたものでないから、特許法第29条第2項の規定に該当しない。

(3)無効理由3について
本件発明は、甲第5号証に係る先願明細書等に記載された発明と同一でないから、特許法第29条の2の規定に該当しない。

6.当審無効理由の内容
当審における平成20年4月16日付け無効理由通知書において、本件発明は、引用例1に記載された発明並びに周知の技術に基づいて、当業者が容易に発明をすることができたものであり、本件特許は、特許法第29条第2項の規定に違反してなされたものであることから、本件特許は特許法第123条第1項第2号の規定により無効とすべきである(以下、「無効理由4」という。)とし、以下の引用例を提示している。

引用例1 特開昭62-151884号公報
引用例2 CELSIOR エレクトロ マルチビジョンの取扱書(甲第2号証と同じ)
引用例3 特開平4-314082号公報
引用例4 特開平3-137673号公報(甲第4号証と同じ)
(なお、引用例2ないし4は本件発明の出願前の周知の技術について立証するものである。)

7.無効理由4に対する被請求人の主張
本件発明は、引用例1に記載された発明並びに周知の技術に基づいて当業者が容易に発明をすることができたものでないから、特許法第29条第2項の規定に該当しない。

8.甲各号証及び各引用例
(1)甲第2号証
甲第2号証には、図面と共に以下の事項が記載されている。
・「ナビゲーション機能および地図を操作する前に ・・・途中省略・・・ 現在地付近から目的地周辺までの走行ルートを知りたいときは」(2頁)

・「2 1/8万図より詳細な地図をだします。
(1)駅を押します。
・画面の△または▽を押すとリストがかわります。
(2)県名リストから「静岡県」のでている画面を選びます。
・・・ 省略 ・・・
(3)青色のワクに「静岡県」をセットし、ワク内を押します。
(4)鉄道リストから「JR全線」のでている画面を選び、青色のワクに「JR全線」をセットし、ワク内を押します。
(5)駅名リストから「伊東駅」のでている画面を選び、青色のワクに「伊東駅」をセットし、ワク内を押します。
以上の操作で「伊東市付近」の地図がでます。」(56頁、57頁)

・「3 目的地をセットします。
1 +を目的地付近に移動し、地点セットを押します。
・・・ 省略 ・・・
2 確認を押します。
以上の操作で地図に目的地がセットされます。
・リターンを押すと手順1の画面にもどります。
◎セットされた目的地は画面に次のマークで表示されます。」(60頁)

(2)甲第3号証
甲第3号証には、図面と共に以下の事項が記載されている。
・「道路を表す線データ及び施設を表す施設データを含む地図情報の前記施設データが、少なくとも当該施設の区分を示す区分データ、位置を示す位置データ及び施設ごとに付された番号データから構成される前記地図情報を書き込んだ記録媒体と、
この記録媒体を駆動して読出し制御を行うドライブ手段と、
このドライブ手段からの読出信号を表示処理し第1の画面として走査画面に表示する表示手段と、
施設区分を指定して前記第1の画面に施設の位置表示を要求するキー入力手段と、
前記ドライブ手段からの施設データと前記キー入力手段からの入力データとを比較し、キー入力要求のあった区分内施設データを抽出するデータ選別手段と、
このデータ選別手段から出力される区分内施設データの各番号データの示す番号を前記第1の画面に位置表示する施設表示手段と、
前記第1の画面に位置表示した区分内施設に関する前記番号データの示す番号と施設名称を第2の画面として表示するリスト表示手段と、
前記データ選別手段から出力される区分内施設データを格納し、この格納したデータを前記第2の画面によりアクセス可能なメモリと、
アクセスされた前記メモリのデータに対応する施設の経路を探索して前記第1の画面に表示する経路表示手段と、
を具備することを特徴とする自動車用誘導表示装置。」(1頁左下欄5行?同頁右下欄14行)

・「このような構成によれば、表示中の地図情報の地域を走行中、例えば希望施設迄の経路が知りたい場合に、画面操作によって希望施設の区分を指定してサービスを要求すると、表示中の地図画面(第1の画面)に存する全ての指定区分内の施設が所在位置に当該施設に付された番号で表示される。更にユーザーは、これら番号表示された施設をリスト画面(第2の画面)に表し、希望の施設を画面により指定することで、リスト表示された施設のデータを格納したメモリをアクセスして、希望施設までの経路を探索し表示することができる。」(2頁右下欄7行?同欄18行)

・「メインCPU20は、CD-ROM15から読み込んだ地図情報を、グラフィックス表示処理回路24を介してディスプレイ・ユニット50の走査画面57に表示させるとともに、現在位置演算やカーソルによる現在位置の表示処理、そして本発明により設けたサービス処理を行っている。」(3頁右上欄4行?同欄10行)

・「移動体の絶対位置情報がGPS(グローバル・ポジショニング・システム)受信機41によって得られる。GSP受信機41は衛星からの信号をGPSアンテナ42に誘起し、この信号を処理した情報に基づいて現在位置,走行方,位置誤差,走行速度,高度,衛星情報等を計算する。」(3頁右下欄11行?同欄17行)

・「以下の説明では、MD,SD,SF,SEと呼ぶ各フラグを用いて説明する。各フラグは次表のような意味を有する。
◎MD(モードフラグ)
地図情報の画面表示モードを示すフラグ、
MD=1 :走行に伴って自動的に画面をスクロールするモード(標準)
MD=2 :手動で画面をスクロールするモード
MD=3 :サービス画面表示モード
◎SF(サービスフラグ)
本サービス処理モードか否かを示すフラグ、
SF=0 :サービス未選択
SF=1 :サービスが選択
◎SD(サービス・ディスプレイ)
サービス処理モードの内容を示すフラグ、
SD=1 :サービス選択画面表示
SD=2 :行楽地位置番号表示
SD=3 :駅位置番号表示
SD=4 :行楽地リスト表示
SD=5 :駅リスト表示
SD=6 :経路探索表示
◎SE(サービスエントリーフラグ)
SE=0 :画面の書換えを行う
SE=1 :画面の書換えを行わない
また、本実施例は、地図情報上に番号表示した施設データの施設名称及び位置データを格納しておくデータメモリSCを用い、このデータメモリSCに格納したデータについてはCD-ROM15をアクセスすること無く、タッチスイッチ56を介して画面によりアクセスできるようにしている。」(4頁右上欄6行?同頁左下欄16行)

・「本実施例においては、上述したようにサービス処理はモード選択ルーチンと画面表示ルーチンとに分散して行う。これをシーケンシャルに説明すれば、サービス選択ルーチン300でのサービス要求の後、
ステップ(1)必要なフラグの前置設定・・・サブルーチン600のステップ601→602(第8図)。
ステップ(2)サービス選択画面表示・・・サブルーチン700のステップ701→ステップ701-1.704?ステップ706(第12図)。
ステップ(3)希望施設区分選択待ち・・・サブルーチン600のステップ601→ステップ603→ステップ606?611(第8図)。
ステップ(4)地図画面に指定施設区分の番号を重ね書き・・・サブルーチン700のステップ701→ステップ702-ステップ702-1→707?717又は703-703-1→718?728(第12図、第13図)。
ステップ(5)希望施設リスト表示要求待ち・・・ステップ601→603→604→612?615又はステップ601→603→604→605→616?619(第9図)。
ステップ(6)希望施設リスト表示・・・ステップ701→702→703→729→730→731?740又はステップ701→702→703→729→730→741→730?740(第14図、第15図)。
ステップ(7)リスト施設経路要求待ち・・・ステップ601→603→604→605→620→621?627又はステップ601→603→604→605→620→628→629?635(第10図)。
ステップ(8)要求施設の経路探索表示・・・ステップ701→702→703→729→730→741→743→744?746(第15図)。」(5頁右下欄3行?6頁左上欄17行)
(なお、丸の中に記入された数字を括弧内の数字で表現している。)

・「ステップ(2)
ステップ602によって「1」にセットされたSDフラグはステップ701で判定される。ステップ701ではステップ701-1に進み、SE=0〔未表示〕であると、ステップ704→705→706により、第17図に示すように、地図面面の右下隅に例えば“行楽地”62,”駅”63の、左下隅に“戻り”64の表示がなされる(サービス選択画面表示)。これらの表示は、それぞれタッチスイッチ56のスイッチ位置に対応している。この表示とともにSEフラグを「1」にセットしてモード選択ルーチン300に戻る。ユーザーは上記サービス選択画面によっていずれの施設を区分によって指定するかを選択する。」)(6頁右上欄11行?左下欄4行)
(なお、丸の中に記入された数字を括弧内の数字で表現している。)

・「これらステップ735,736の判断がそれぞれ“YES”の時にステップ737により、画面表示位置カウンタの指定する位置に、第20図に示すように、施設番号と施設名称を表示内容とする第2の画面(以下リスト画面と呼ぶ)を表示する。」(7頁右下欄11行?同欄16行)

・「かくして、地図画面に番号表示した施設のうち、リスト表示した施設群から選択した希望施設までの経路を容易に知ることができる。」(8頁右下欄12行?同欄14行)

上記の記載事項及び図示内容を総合すると、甲第3号証には、次の発明(以下、「甲3発明」という。)が記載されているものと認められる。
「施設を地図画面に番号表示し、かつリスト表示した施設群から選択可能とする自動車用誘導表示における案内情報の選択方法において、
地図情報の画面表示モードが走行に伴って自動的に画面をスクロールするモードか手動で画面をスクロールするモードかを選択するモード選択ステップと、
サービス選択画面によって施設をいずれの区分によって指定するかを選択するステップと、
前記地図情報の画面表示モードが走行に伴って自動的に画面をスクロールするモードが選択された場合、指定した区分に基づいて、区分内施設データを抽出するデータ選別ステップと、
サービス選択画面に位置表示した区分内施設に関する施設名称をリスト画面として表示するリスト表示ステップと、
上記リストアップされた施設から所定の施設を選択すると共に、リスト表示した施設群から選択した希望施設までの経路を探索するステップと、
上記希望施設がリスト表示された施設群から選択された際に、リスト作成時にメモリに格納されている、位置データを含む区分内施設データをメモリにアクセスすると共に、上記希望施設までの経路を地図画面上に表示するステップと、
を有する自動車用誘導表示における案内情報の選択方法。」

(3)甲第4号証
甲第4号証には、図面と共に以下の事項が記載されている。
・「移動体の走行地区の地図データと各種サービスデータを記憶しているデータ記憶手段と、前記移動体の現在位置を検出する位置検出手段と、前記データ記憶手段に記憶されている前記データを特定するための選択信号を発生する選択手段と、前記特定されたデータを表示する表示手段と、前記選択信号により前記特定された地図データによる地図と前記移動体の現在位置を前記表示手段にナビゲーション表示させ、前記選択手段から前記サービスデータを特定する前記選択信号を受けた場合、前記データ記憶手段から読出した前記特定のサービスデータによるサービス箇所を前記移動体の現在位置に近い順から前記選択手段により選択可能なように前記ナビゲーション表示面上に表示させ、選択された前記サービス箇所の前記詳細なサービスデータを前記表示手段に表示させる制御手段を備えた移動体用ナビゲーション装置。」(1頁左下欄5行?同頁右下欄1行)

・「本発明における移動体用ナビゲーション装置は、ナビゲーション表示に加えて、選択手段の選択信号により特定されたサービスデータによるサービス箇所を移動体の現在位置に近い順から選択可能なように制御手段により表示手段に表示させ、選択されたサービス箇所の詳細情報も表示させる。」(2頁右上欄9行?同欄14行)

(4)甲第5号証
甲第5号証には、図面と共に以下の事項が記載されている。
・「【請求項1】 自車位置決定部が決定した自車位置情報をデータ部の地図データと組合せて表示部に表示するナビゲーションシステムに、検索条件選択部の選択操作による検索条件設定によって上記データ部の地域情報から該検索条件に基づく情報を検索してそれを表示部に表示する情報検索装置を設けたものにおいて、該情報検索装置に、上記検索条件選択部の選択操作によって検索条件設定を行うか又は自車位置をダイレクトに検索条件設定するかを選択する検索手段選択部を設け、該検索手段選択部で自車位置をダイレクトに検索条件設定する方を選択したとき、上記自車位置決定部から自車位置情報が直接検索条件として設定され、自車位置を基準点として設定距離範囲内の地域情報を検索表示するようにしたことを特徴とする自動車用ナビゲーションシステムの情報検索表示装置。」

・「【0001】
【産業上の利用分野】本発明は自動車用ナビゲーションシステムの一機能である地域情報の検索表示装置に関する。
【0002】
【従来の技術】自動車のナビゲーションシステムにおいて、通常地図情報と特定地点の詳細地図情報が記録されている地図データ記録媒体をもち、自車の走行方向に一致した詳細地図情報が表示部(CRT)に表示されるようにしたものは既に従来よりあり、例えば特開昭63-115190号公報にて公開されている。
【0003】上記のようなナビゲーションシステムにおいて、地域ごとに病院,食堂,ホテル或はガソリンスタンド等その地域に存在している物件情報の検索表示が行えるようになっているものも従来よりある。
【0004】上記従来の装置は、図8(A)に示すように、自車位置を検出するための種々のセンサ類からの情報や外部情報等を処理し自車位置を決定する自車位置決定部1と、地図データ・スタテック情報等のデータ部2と、情報検索装置3と、操作スイッチ4と、インタフェイス・画像処理部5と、表示部(CRT)6とからなり、上記情報検索装置3は図8(B)に示すように、第1検索条件選択部7と、第2検索条件選択部8と、第3検索条件選択部9と、第4検索条件選択部10と、第5検索条件選択部11と、上記各検索条件選択部の選択信号に応じて検索条件を設定する検索条件設定部12と、該検索条件設定部12にて設定された検索条件に基づき地図データ・スタテック情報等のデータ部2から必要情報を上記インタフェイス・画像処理部5を介して受けとり情報の検索を行う検索部13と、該検索部13の検索結果の表示命令を発する表示指示部14とからなる。
【0005】上記第1検索条件選択部7は物件項目(ホテル,病院,食堂,駐車場等)の表示,選択を行うものであり、第2検索条件選択部8は地方(関東,関西,東海,中部等)の表示,選択を行うものであり、第3検索条件選択部9は都道府県の表示,選択を行うものであり、第4検索条件選択部10は市区町村の表示,選択を行うものであり、第5検索条件選択部11は物件名の選択を行うものである。」

・「【0016】情報検索装置3は、本発明の主要部をなすものであり、従来装置と同様物件項目の表示,選択を行う第1検索条件選択部7,地方単位の物件の表示,選択を行う第2検索条件選択部8,都道府県単位の物件の表示,選択を行う第3検索条件選択部9,市区町村単位の物件の表示,選択を行う第4検索条件選択部10,物件名の選択を行う第5検索条件選択部11等を用いた従来通りの検索(以下従来的検索と称す)を行うことができると共に、前記自車位置決定部1から自車の現在位置の情報をもらいその自車位置情報を検索条件としてダイレクトに設定するダイレクト物件検索を行うことができるようになっている。
【0017】即ち、情報検索装置3は図1の(B)に示すように、上記第1乃至第5検索条件選択部7,8,9,10及び11のほかに、検索手段選択部15と自車位置情報取得部16とを有しており、以下に述べるような作用,動作を行う。
【0018】先ず操作スイッチ4で自重位置近辺の情報検索の操作を行うと、インタフェイス・画像処理部5は情報検索装置3に情報検索を行うべき命令信号を送り、その信号で検索手段選択部15はダイレクト物件検索に切換わり(図示ではスイッチオンとなり)、上記第1乃至第5検索条件選択部のうちの地域条件選択用の第2,第3及び第4検索条件選択部8,9及び10の検索条件がキャンセルされ、その代わりに自車位置情報取得部16が自車位置決定部1から自車位置情報を取得してこれを検索条件設定部12に検索条件としてダイレクトに設定する。そこで第1検索条件選択部7にて物件項目を選択すると、検索部13は自車の現在位置の設定距離R範囲内にある該当物件を検索条件として、必要なデータをデータ部2からリストアップし、その複数の情報群は検索部13に蓄積される。情報整理部17は自車位置情報取得部16からの自車位置情報と検索部13に蓄積された情報群とから、自車位置近辺にある数件の物件名を自車位置からの距離に従って設定された順序に並べ変え、且つ一番近い物件名についてカーソル,アンダライン,網掛け等で印を付けて他の物件名と区別しやすいようにし、表示指示部14はこれをインタフェイス・画像処理部5を通して表示部6に表示する。」

・「【0020】即ち、例えば千葉県の船橋付近を走行していて第1検索条件選択部7によって図2のaに示すように表示された物件項目リストのうち、〇〇自動車販売店を選択したとすると、その時検索手段選択部15がダイレクト物件検索になっていると(スイッチオンであると)、bに示す関東地方の〇〇自動車販売店のリストという中間検索条件の表示及び選択なしに、直接cのように自車位置近辺の〇〇自動車販売店名が表示される。そしてその複数の物件名の表示順序は、自車の進行方向で自車に最も近い物件名即ち「船橋営業所」が複数の表示のうちのほぼ中間位置に表示され、それより上方は進行方向,下方は進行方向に対して後方の物件名であって、進行方向では上にいくに従って距離が遠く、後方では下にいくに従って距離が遠いという表示順序を採っている。また進行方向で最も近い物件名は網掛けにより他と区別し、一目で確認できるようになっている。このような表示順序設定は情報整理部17で行われる。」

・「【0028】自車の現在位置から遠く離れた地域、例えば今から行こうとしている目的地付近の物件情報を得たい場合は、検索手段選択部15で従来的検索を選択し(図1ではスイッチオフとする)、従来通りの手順で目的とする物件情報を表示することができる。この場合は図2において、第1検索条件選択部7にてaの物件項目の中の1つを選択した後、第2検索条件選択部8でbのような関東地方の物件リストを表示し、第3検索条件選択部9でcのような千葉県の物件リストを表示するものである。」

・「【0035】上記のように、基準点から設定距離範囲内の物件名リスト或は設定エリア内の物件名リストが表示され、第5検索条件選択部11でその中の1つの物件名を選択すると、最終物件選択部20がデータ部2からその物件の詳細情報を得てそれを表示指示部14,インタフェイス・画像処理部5を通して表示部6に表示し、選択した物件についての詳細情報をドライバ等が認知することができるものである。」

・「【0037】
【発明の効果】以上のように本発明によれば、自動車のナビゲーションシステムに地域の情報検索表示装置を付加したものにおいて、情報検索装置に検索手段選択部を設け、該検索手段選択部でダイレクト検索を選択すると、ナビゲーションシステムの自車位置決定部から得た自車位置情報又は任意の地点情報が検索条件としてダイレクトに設定され、自車位置又は該地点を基準点とし該基準点近辺の複数の物件名が表示部に表示されるようにしたことにより、物件検索時間は大幅に短縮されるとともに操作が楽になり、ドライバは運転に対する集中度を低下させることなく容易に目的とする物件の表示を行いそれを確認することができるものである。」

・図2のaには、物件項目として、レジャーランドやホテルといったものが示されている。

上記の記載事項及び図示内容を総合すると、甲第5号証に係る先願明細書等には、次の発明(以下、「甲5先願発明」という。)が記載されているものと認められる。
「自車の走行方向に一致した詳細地図情報を表示部に表示する、ナビゲーションシステムの情報検索表示における物件情報の選択方法において、
自車の現在位置の設定距離R範囲内にある物件かそれ以外かを選択するステップと、
前記表示部に表示された複数の物件情報に関するレジャーランドやホテルなどの物件項目から一つを選択し設定するステップと、
前記エリアの設定が自車位置周辺に設定された場合、設定された物件項目に基づいて、抽出された自車位置周辺の物件項目をリストアップ表示するリスト表示ステップと、
を有するナビゲーションシステムの情報検索表示における物件情報の選択方法。」

(5)引用例1
引用例1には、図面と共に以下の事項が記載されている。
・「〔発明の概要〕
本発明は地図情報をディジタル化して所定の記憶媒体に記憶させ、記憶媒体から読み出され、画像信号に変換された地図情報を表示装置に表示する情報表示装置において、地図情報としてホテル、駐車場、ガソリンスタンド、ディーラ等の所定の施設を、施設が存在する位置に、道路に重畳して、シンボルで表示するとともに、同種の施設を表すシンボルの各々に、相互に区別でき、かつ連続的に関連する比較的簡易な数字、文字、記号等を併せて表示するようにし、もって地図が見難くなるのを防止するとともに、各施設の位置やより詳細な情報を得るときの操作性を向上させたものである。
〔従来の技術〕
最近CD-ROM等に地図情報を記録しておき、その地図情報を読み出して、車両の現在地とともに表示装置に表示させ、車両を所定の目的地に誘導する車両ナビゲーション装置が研究、開発されている。斯かる従来の装置は、例えばホテル、駐車場、ガソリンスタンド、車のディーラ等の所定の施設がある場合、その名称等をその所在地の近傍に道路とともに表示装置に表示し、運転者の便宜に供するようにしている。」(1頁左下欄20行?2頁左上欄3行)

・「第1図は本発明の情報表示装置を車両ナビゲーション装置に応用した場合のブロック図である。」(2頁左上欄19行?同欄20行)

・「〔作用〕
しかしてその作用を説明する。先ず最初にナビゲーションキー51が操作された場合における基本的動作について説明する。方位センサ7、速度センサ8、GPS装置9等の情報からプロセッサ10は車両の現在地を演算し、検出する。この情報に対応してプロセッサ6はCD-ROM1から現在地を含む地図を読出し、メモリ5に記憶させる。CD-ROM1には複数の縮尺の地図が記録されており、メモリ5には現在地を含む各縮尺の地図が記憶される。プロセッサ6はコントローラ15を制御し、メモリ5に記憶された地図のうち所定の縮尺のデータをメモリ16又は17に書き込ませる。・・・途中省略・・・
次にガイドキー53を操作した場合の作用を説明する。ガイドキー53が操作されたとき、プロセッサ6は例えば第4図に示すように、地図に重畳して、ガイドメニューを表示装置29の所定位置(図においては上下辺の近傍)に表示させる。いまCD-ROM1に、地図情報として、道路、鉄道、海岸線等を表示する線分データだけでなく、ホテル、ガソリンスタンド、車のディーラ、駐車場の各施設のシンボルを表示するシンボルデータも記録されているものとすると、これらのシンボルが必要に応じてその意味するところの文字とともに所定位置に表示される。
表示装置29の前面にはタッチセンサが配置してあり、各施設の表示位置を指等で触れるとそれが検知される。従ってホテル、駐車場、ガソリンスタンド、ディーラのいずれが選択されたかが判断され、いずれかの施設が選択されたとき、ガイドメニューが消去されるとともに、地図に重畳して選択された施設のシンボルがその所在地に表示される。例えばホテルが選択されたとき第5図に示すように、ホテルのシンボルが地図上の所在地に対応して表示される。このシンボルはガイドメニュー表示時に表示されたシンボルと同一である。従って操作者はガイドメニュー表示における文字を見なくとも、シンボルを見るだけで、殆ど直感的に所望の施設を選択することができる。またこのとき選択されない施設は表示されないから、シンボルを捜すこと自体は極めて容易となる。逆にガイドキー53を操作しない場合は、これらのシンボルが表示されていない通常の地図だけの表示となるから、地図が見難くなるようなこともない。・・・途中省略・・・
第5図に示すように、選択されたシンボルが地図に重畳して表示されるとき、表示装置29の所定位置(実施例においては右下辺の近傍)には、選択されたシンボルにより表される施設のより詳細な情報を表示させるための操作スイッチが表示(実施例においてはリストの文字が表示)される。このリストの文字が表示されている部分を指等で、触れると、タッチセンサによりそれが検知され、第6図に示すように、表示装置29の画面から地図が消去され、その代りにそのとき地図上に表示されていたホテルに関するより詳細な情報がリストになって表示される。より詳細な情報とは、例えばホテルの名称、電話番号、住所、特徴等である。従って操作者は第5図に示す表示状態において所望のホテルをその番号で特定し、さらに第6図に示す表示に切り換え、対応する番号が付されたところの情報を見ることにより、その施設のより詳細な情報を知ることができる。このとき地図上に表示されていない施設の情報は表示されないので所望の施設の情報がより見易くなる。また番号等のように連続的な関連性を有するものを用いることにより、リスト中から所望の施設を捜し出すことがさらに容易となる。」(3頁右上欄15行?4頁右下欄15行)

・「〔効果〕
以上の如く本発明は地図情報をディジタル化して所定の記憶媒体に記憶させ、記憶媒体から読み出され、画像信号に変換された地図情報を表示装置に表示する情報表示装置において、地図情報としてホテル、駐車場、ガソリンスタンド、ディーラ等の所定の施設を、施設が存在する位置に、道路に重畳して、シンボルで表示するとともに、同種の施設を表すシンボルの各々に、相互に区別でき、かつ連続的に関連する比較的簡易な数字,文字,記号等を併せて表示するようにしたので、その数字等により施設を区別することができ、従ってより詳細な情報はその番号に対応して別に表示させることが可能になる。その結果通常状態においては地図に施設の名称等を表示する必要がなく、地図が見難くなるのを防止することができる。その結果各施設の位置の確認と、その施設のより詳細な情報の確認を独立に行うことができ,操作性を向上させることができる。」(5頁右上欄15行?同頁左下欄13行)

上記の記載事項及び図示内容を総合すると、引用例1には、次の発明(以下、「引用発明」という。)が記載されているものと認められる。
「地図情報を読み出して車両の現在地とともに所定の施設のシンボルを所在地に対応して表示装置に表示する、車両ナビゲーション装置の施設の選択方法において、
表示装置に表示されたガイドメニューの施設のシンボルから所望の施設のシンボルを選択するステップと、
選択された施設のシンボルに基づいて、車両の現在地を含む地図上にある施設の情報をリストにして表示するステップと、
を有する車両ナビゲーション装置の施設の選択方法。」

(6)引用例2
引用例2は、甲第2号証と同じ刊行物である(上記の「(1)甲第2号証」を参照。)。

(7)引用例3
引用例3には、図面と共に以下の事項が記載されている。
・「【0015】入力装置21の例えば、目的地復帰キ?或いは数字の「1」キ?が操作されてステップS3において登録選択設定と判別した場合にはアドレスAwをポインタPに等しくさせ(ステップS12)、アドレスAwが登録デ?タテ?ブルの最小アドレスA1より小であるか否かを判別する(ステップS13)。Aw≧A1ならば、そのアドレスAwで指定される登録デ?タテ?ブルの記憶位置からデ?タを読み出す(ステップS14)。
Aw<A1ならば、アドレスAwを登録デ?タテ?ブルの最大アドレスAmaxに等しくさせ(ステップS15)、その後、ステップS14に移行する。ステップS14の実行後、読み出したデ?タが目的地座標デ?タであるか否かを判別する(ステップS16)。読み出したデ?タが例えば、予め定められた形式でないため目的地座標デ?タではないと判別した場合にはそのデ?タによる表示をしても無意味であるので後述のステップS20に移行する。読み出したデ?タが目的地座標デ?タである場合には、読み出した目的地座標デ?タが示す目的地を表示させるべくディスプレイ17上に表示すべく目的地座標デ?タをグラフィックコントロ?ラ19に供給する(ステップS17)。これにより例えば、ディスプレイ17上に「目的地:139°30′00″E、36°00′00″N」の如く目的地の経度及び緯度が表示される。次いで、入力装置21の設定キ?が操作されたか否かを判別する(ステップS18)。設定キ?が操作されなければ、入力装置21の目的地復帰キ?が操作されたか否かを判別する(ステップS19)。目的地復帰キ?が操作されなければ、ステップS18に戻る。
目的地復帰キ?が操作されたならば、アドレスAwから1を減算し(ステップS20)、ステップS13に移行する。
設定キ?が操作されたならば、読み出した目的地座標デ?タを目的地座標デ?タDESTとしてRAM9に記憶させ(ステップS21)、ステップS7に進む。」

・「【0017】この目的地設定ル?チンにおいては、CD-ROMに記録された地図デ?タから各地点の経度及び緯度デ?タを得るようになっているが、ユ?ザのキ?操作で経度及び緯度デ?タを入力させるようにしても良い。また、ステップS5において、指定入力があったか否かを判別しているが、指定入力がない場合には入力訂正か否かを判別し、入力訂正の要求がある場合には既に指定された入力デ?タの変更を可能にするようにしても良い。更に、過去に設定された目的地のうちから設定しようとした目的地が見つからない場合も考えられるので、ステップS19において目的地復帰キ?が操作されなかったと判別した場合には他のキ?操作により現動作のキャンセル指令であるか否かを判別し、現動作のキャンセル指令ならば本ル?チンを終了し、そうでなければステップS18に戻るようにしても良い。」

(8)引用例4
引用例4は、甲第4号証と同じ刊行物である(上記の「(3)甲第4号証」を参照。)。

9.無効理由についての判断
(1)上記無効理由1ないし4のうち、まず無効理由1について検討する。
請求項1ないし3の記載において、請求人が発明の詳細な説明に記載されていないと主張する、「自車位置及び目的地の位置、方向の案内情報」を「選択可能とするナビゲーション表示」という記載について検討する。自車位置及び目的地の位置は、例えば、自車位置を正しい位置に修正・選択するとか、目的地をいくつかの候補から選択するとかのように、通常のナビゲーション表示において選択可能なものであることが技術常識である。方向についても、例えば、ナビゲーション表示における方向選択として北が上になるように地図を表示するノースアップと自車の進行方向が上になるように地図を表示するヘッドアップとを選択可能であるものが一般的である。してみると、「自車位置及び目的地の位置、方向の案内情報」を「選択可能とするナビゲーション表示」は、ナビゲーション分野において技術常識であるといえるので、前記記載が発明の詳細な説明に直接的に記載されていなくとも、記載されているに等しい事項というべきである。
また、同じく請求項1ないし3の記載において、請求人が発明の詳細な説明に記載されていないし、技術的意義が不明であると主張する、「前記画像表示された複数の施設に関する情報から必要とする施設のエリアが自車位置周辺かそれ以外かを設定するエリア設定ステップ」については、上記「2.(1)」で検討したとおり、「前記」は誤記であって、本件訂正によって既に削除されており、かつ、「それ以外」という記載についても、例えば目的地周辺が前記「それ以外」に該当することが明らかであるので、発明の詳細な説明に記載されているし、また、その技術的意義は明らかである。
また、同じく請求項1ないし3の記載において、請求人が発明の詳細な説明に記載されていないと主張する、「選択された施設を目的地として決定するかキャンセルするかを選択せしめる目的地決定選択ステップ」について検討する。請求人は特に、「キャンセル」が何を取り消すのかが明確でないと主張するものである。しかしながら、「キャンセル」の意味は、図2のフローチャートに示されるように選択された施設を目的地として決定しないで未処理のまま終了することであるので、キャンセルが「選択された施設を目的地として決定する」処理を取り消すことを意味するものであることは明らかであるから、「選択された施設を目的地として決定するかキャンセルするかを選択せしめる目的地決定選択ステップ」は、実質的に、発明の詳細な説明に記載されているといえる。
すなわち、本件特許における特許請求の範囲の記載は、平成6年改正前特許法第36条第5項第1号及び第2号の規定に適合している。
さらに、請求人は、「キャンセル」を選択せしめる画面表示については発明の詳細な説明に記載がなされていないと主張する。しかしながら、一般的な情報処理において任意の処理を途中で画面の表示に従って中断できるようにする「キャンセル」処理は周知の技術といえるので、「キャンセル」を選択せしめる画面表示が発明の詳細な説明に直接的に記載されていなくとも、記載されているに等しい事項というべきである。
すなわち、発明の詳細な説明の記載は、平成6年改正前特許法第36条第4項の規定に適合している。
そうすると、本件特許における特許請求の範囲の記載は、平成6年改正前特許法第36条第5項第1号及び第2号の規定に適合しており、また、発明の詳細な説明の記載も同法同条第4項の規定に適合しているから、無効理由1には理由がない。

(2)次に、上記無効理由2について検討する。
(2-1)本件発明1について
本件発明1と甲3発明とを対比する。
(ア)後者の「自動車用誘導表示」は、通常、案内情報を車両の移動に伴ってランドマークを含む地図情報上に画像表示するものであり、かつ、前者の「ナビゲーション表示」に相当し、また、後者の「施設」は選択されることで目的位置になるものであることから、
後者の「施設を地図画面に番号表示し、かつリスト表示した施設群から選択可能とする自動車用誘導表示における案内情報の選択方法」と
前者の「自車位置及び目的位置、方向の案内情報を車両の移動に伴ってランドマークを含む地図情報上に画像表示し、かつ選択可能とするナビゲーション表示における案内情報の選択方法」とは、
「目的位置の案内情報を車両の移動に伴ってランドマークを含む地図情報上に画像表示し、かつ選択可能とするナビゲーション表示における案内情報の選択方法」なる概念で共通する。

(イ)後者の「地図情報の画面表示モードが走行に伴って自動的に画面をスクロールするモードが選択された場合」とは、画面中に自車位置が存在することは自明であり、前者のエリアの設定が自車位置周辺の設定された場合に相当するので、後者の「地図情報の画面表示モードが走行に伴って自動的に画面をスクロールするモードか手動で画面をスクロールするモードかを選択するモード選択ステップ」が前者の「画像表示された複数の施設に関する情報から必要とする施設のエリアが自車位置周辺かそれ以外かを設定するエリア設定ステップ」に相当する。

(ウ)後者の「サービス選択画面によって施設をいずれの区分によって指定するかを選択するステップ」が前者の「画像表示された複数の施設に関する情報から少なくとも必要とする施設の種類を設定する条件設定ステップ」に相当する。

(エ)後者の「地図情報の画面表示モードが走行に伴って自動的に画面をスクロールするモードが選択された場合」とは、前者の「エリアの設定が自車位置周辺に設定された場合」に相当し、同様に、
「指定した区分に基づいて」が「設定された施設の種類に基づいて」に相当し、
「区分内施設データを抽出するデータ選別ステップ」が「自車位置を基準に所定の範囲にある施設の情報を抽出する自車位置周辺検索ステップ」に相当する。

(オ)後者の「サービス選択画面に位置表示した区分内施設に関する施設名称をリスト画面として表示するリスト表示ステップ」が前者の「抽出された自車位置周辺の施設をリストアップ表示するリスト表示ステップ」に相当する。

(カ)後者の「希望施設までの経路を探索」する際の「希望施設」は、前者の「目的地」に相当することが明らかであるので、後者の「リスト表示した施設群から選択した希望施設までの経路を探索する」が前者の「選択された施設を目的地として決定する」に相当することから、
後者の「リストアップされた施設から所定の施設を選択すると共に、リスト表示した施設群から選択した希望施設までの経路を探索するステップ」と
前者の「リストアップされた施設から所定の施設を選択すると共に、選択された施設を目的地として決定するかキャンセルするかを選択せしめる目的地決定選択ステップ」とは、
「リストアップされた施設から所定の施設を選択すると共に、選択された施設を目的地として決定する目的地決定選択ステップ」なる概念で共通する。

(キ)後者の「希望施設がリスト表示された施設群から選択された際に、リスト作成時にメモリに格納されている、位置データを含む区分内施設データをメモリにアクセスする」態様と
前者の「目的地決定選択ステップにおいて選択された施設が目的地として決定された際に、決定された施設の位置を記憶手段に格納せしめる」態様とは、
「所定のタイミングに、決定された施設の位置を記憶手段に格納せしめる」という概念で共通し、
後者の「希望施設までの経路」と前者の「選択された施設の位置」とは、「選択された施設の情報」という概念で共通することから、
後者の「希望施設がリスト表示された施設群から選択された際に、リスト作成時にメモリに格納されている、位置データを含む区分内施設データをメモリにアクセスすると共に、希望施設までの経路を地図画面上に表示するステップ」と
前者の「目的地決定選択ステップにおいて選択された施設が目的地として決定された際に、決定された施設の位置を記憶手段に格納せしめると共に、選択された施設位置を地図画面上に表示する目的地格納/表示ステップ」とは、
「所定のタイミングに、決定された施設の位置を記憶手段に格納せしめると共に、選択された施設の情報を地図画面上に表示する目的地格納/表示ステップ」なる概念で共通する。

したがって、両者は、
「目的位置の案内情報を車両の移動に伴ってランドマークを含む地図情報上に画像表示し、かつ選択可能とするナビゲーション表示における案内情報の選択方法において、
画像表示された複数の施設に関する情報から必要とする施設のエリアが自車位置周辺かそれ以外かを設定するエリア設定ステップと、
前記画像表示された複数の施設に関する情報から少なくとも必要とする施設の種類を設定する条件設定ステップと、
前記エリアの設定が自車位置周辺に設定された場合、設定された施設の種類に基づいて、自車位置を基準に所定の範囲にある施設の情報を抽出する自車位置周辺検索ステップと、
抽出された自車位置周辺の施設をリストアップ表示するリスト表示ステップと、
上記リストアップされた施設から所定の施設を選択すると共に、選択された施設を目的地として決定する目的地決定選択ステップと、
所定のタイミングに、決定された施設の位置を記憶手段に格納せしめると共に、上記選択された施設の情報を地図画面上に表示する目的地格納/表示ステップと、
を有するナビゲーション表示における案内情報の選択方法。」
の点で一致し、以下の各点で相違している。

[相違点1]
画像表示し、かつ、選択可能な案内情報が、本件発明1では「自車位置及び目的位置、方向」であるのに対し、甲3発明では「施設」であって、「目的位置」に相当するもののみである点。

[相違点2]
施設を目的地として決定する目的地決定選択ステップに関し、本件発明1では「目的地として決定するかキャンセルするかを選択せしめる」態様であるのに対し、甲3発明では「キャンセルする」態様を選択できるようにすることは特定されていない点。

[相違点3]
決定された施設の位置を記憶手段に格納する所定のタイミングに関し、本件発明1では「目的地決定選択ステップにおいて選択された施設が目的地として決定された際」のタイミングであるのに対し、甲3発明ではリスト作成時である点。

[相違点4]
地図画面上に表示される選択された施設の情報が、本件発明1では「施設位置」であるのに対し、甲3発明では「希望施設までの経路」である点。

以下、上記相違点について検討する。
[相違点1]について
目的地の位置、方向を画像表示し、かつ選択可能とすることは例を示すまでもなく、ナビゲーション表示において周知の技術にすぎない。
そうすると、甲3発明において、上記周知の技術を採用することにより、相違点1に係る本件発明1の構成とすることは、当業者にとって容易であり、また、そのために格別の技術的困難性が伴うものとも認められない。

[相違点2]について
本件発明1における「キャンセル」とは、上記「9.(1)」で検討したとおり、選択された施設を目的地として決定しないで未処理のまま終了するとの意味である。
一方、甲第2号証に開示されるとおり、選択された施設を目的地として決定するか目的地として決定しない(リターン)かを選択せしめるナビゲーションの操作方法は、ナビゲーション表示における周知の技術にすぎない。また、一般的に、プログラムによる処理を操作者の意志で実行しない場合に、前の段階に戻すことの他、何も処理しないで未処理のまま終了することも必要に応じて任意に選択可能な単なる任意選択事項にすぎない。
そうすると、甲3発明において、選択された施設を目的地として決定するか目的地として決定しないかを選択せしめ、目的地として決定しない際には、キャンセルする態様を採用することにより、相違点2に係る本件発明1の構成とすることは、当業者にとって容易であり、また、そのために格別の技術的困難性が伴うものとも認められない。

[相違点3]について
データが必要とされる時点にデータを記憶手段に格納することは、例を示すまでもなく周知の技術にすぎない。
一方、甲3発明においても、決定された施設の位置を記憶手段に格納している。
そうすると、甲3発明において、決定された施設の位置を記憶手段に記憶する時点として上記周知の技術のような必要とされる時点とすることにより、相違点3に係る本件発明1の構成とすることは、当業者にとって単なる設計事項にすぎず、また、そのために格別の技術的困難性が伴うものとも認められない。

[相違点4]について
目的地が決定された際に目的地の位置を地図画面上に表示することは、例えば、甲第2号証に開示されている(60頁)ようにナビゲーション表示における周知の技術にすぎない。
また、引用発明においても目的地と決定された際に希望施設までの経路を表示しているので、選択された施設位置を表示することを示唆している。
そうすると、ナビゲーション表示において、上記周知の技術を採用することにより、相違点4に係る本件発明1の構成とすることは、当業者にとって単なる設計事項にすぎず、また、そのために格別の技術的困難性が伴うものとも認められない。

そして、本件発明1の全体構成により奏される効果も、甲3発明及び周知の技術から予測し得る範囲内のものである。

したがって、本件発明1は、甲3発明及び周知の技術に基いて、当業者が容易に発明をすることができたものであるから、特許法第29条第2項の規定により特許を受けることができないものである。

(2-2)本件発明2について
本件発明2と甲3発明とを対比すると、上記「(2-1)」で検討した相違点に加え、本件発明2は「設定された施設の種類に基づいて、自車位置から設定された種類の施設迄の距離情報を演算算出」し、「距離情報演算算出結果に基づいて、自車位置から距離が近い順に自車位置周辺の施設をリストアップ表示する」と特定されるのに対し、甲3発明では係る特定がなされていない点(以下、「相違点5」という。)で相違するが、ナビゲーション表示において、施設を表示させる際に施設との距離が近い順から表示する点は、例えば、甲第4号証の2頁右上欄9行から同欄14行に記載されているように周知の技術にすぎない。
また、甲3発明が、リスト中から所望の施設を容易に探し出すことができるようにしたものであることに照らせば、甲3発明において、上記周知の技術を採用することにより、上記相違点5に係る本件発明2の構成とすることは、当業者にとって容易であり、また、そのために格別の技術的困難性が伴うものとも認められない。

そして、本件発明2の全体構成により奏される効果も、甲3発明及び周知の技術から予測し得る範囲内のものである。

したがって、上記「(2-1)」での検討内容を踏まえれば、本件発明2は、甲3発明及び周知の技術に基いて、当業者が容易に発明をすることができたものであるから、特許法第29条第2項の規定により特許を受けることができないものである。

(2-3)本件発明3について
本件発明3と甲3発明とを対比すると、本件発明3では「エリアの設定が自車位置周辺に設定されなかった場合、エリアを複数の領域に区分して画像表示し、選択可能とする区分表示ステップ」を有することが特定されるのに対し、甲3発明ではかかる特定がされていない点(以下、「相違点6」という。)で相違するが、この点については、ナビゲーション装置において、甲第2号証の56頁にエリアとして「県」で区分し、選択された「県」にある施設をリストアップする点が記載されているように周知の技術にすぎない。
また、甲3発明が、リスト中から所望の施設を容易に探し出すことができるようにしたものであることに照らせば、甲3発明において、上記周知の技術を採用することにより、上記相違点6に係る本件発明3の構成とすることは、当業者にとって容易であり、また、そのために格別の技術的困難性が伴うものとも認められない。

そして、本件発明3の全体構成により奏される効果も、甲3発明及び周知の技術から予測し得る範囲内のものである。

したがって、本件発明3は、甲3発明及び周知の技術に基いて、当業者が容易に発明をすることができたものであるから、特許法第29条第2項の規定により特許を受けることができないものである。

(2-4)無効理由2のまとめ
以上検討したところによれば、無効理由2には理由があるというべきである。

(3)次に、上記無効理由3について検討する。
(3-1)本件発明1について
本件発明1と甲5先願発明とを対比する。

(ア)後者の「ナビゲーションシステムの情報検索表示における物件情報の選択方法」が前者の「ナビゲーション表示における案内情報の選択方法」に相当する。

(イ)後者の「自車の現在位置の設定距離R範囲内にある物件かそれ以外かを選択するステップ」が前者の「必要とする施設のエリアが自車位置周辺かそれ以外かを設定するエリア設定ステップ」に相当することから、
後者の「自車の現在位置の設定距離R範囲内にある物件かそれ以外かを選択するステップ」と
前者の「画像表示された複数の施設に関する情報から必要とする施設のエリアが自車位置周辺かそれ以外かを設定するエリア設定ステップ」とは、
「必要とする施設のエリアが自車位置周辺かそれ以外かを設定するエリア設定ステップ」なる概念で共通する。

(ウ)後者の「表示部に表示された複数の物件情報に関するレジャーランドやホテルなどの物件項目から一つを選択し設定するステップ」が前者の「画像表示された複数の施設に関する情報から少なくとも必要とする施設の種類を設定する条件設定ステップ」に相当する。

(エ)後者の「設定された物件項目」が前者の「設定された施設の種類」に相当する。

したがって、両者は、
「ナビゲーション表示における案内情報の選択方法において、
必要とする施設のエリアが自車位置周辺かそれ以外かを設定するエリア設定ステップと、
前記画像表示された複数の施設に関する情報から少なくとも必要とする施設の種類を設定する条件設定ステップと、
前記エリアの設定が自車位置周辺に設定された場合、設定された施設の種類に基づいて、自車位置を基準に所定の範囲にある施設の情報を抽出する自車位置周辺検索ステップと、抽出された自車位置周辺の施設をリストアップ表示するリスト表示ステップと、
を有するナビゲーション表示における案内情報の選択方法。」
の点で一致し、以下の各点で相違している。

[相違点1]
ナビゲーション表示に関し、本件発明1においては、「自車位置及び目的地の位置、方向の案内情報を車両の移動に伴ってランドマークを含む地図情報上に画像表示し、かつ選択可能とする」態様であるのに対し、甲5先願発明では「自車の走行方向に一致した詳細地図情報を表示部に表示する」態様である点。

[相違点2]
必要とする施設が、本件発明1では「画像表示された複数の施設に関する情報」に基づくものと特定されるのに対し、甲5先願発明ではそのような特定はなされていない点。

[相違点3]
目的地周辺の施設のリストアップ表示後に、本件発明1においては、「リストアップされた施設から所定の施設を選択すると共に、選択された施設を目的地として決定するかキャンセルするかを選択せしめる目的地決定選択ステップと、上記目的地決定選択ステップにおいて上記選択された施設が目的地として決定された際に、決定された施設の位置を記憶手段に格納せしめると共に、上記選択された施設位置を地図画面上に表示する目的地格納/表示ステップ」を有する点を限定しているのに対し、甲5先願発明ではそのような限定はなされていない点。

以下、上記相違点について検討する。
[相違点1]について
ナビゲーション表示において、自車位置、目的地の位置及び方向といった情報を車両の移動に伴ってランドマークを含む地図情報上に画像表示し、かつ選択可能とすることは、ナビゲーション表示における技術常識といえるものである。
そして、甲5先願発明もナビゲーション表示に関するものであって、しかも「詳細地図情報」を表示するものであるから、前記技術常識に照らせば、甲5発明の「詳細地図情報」には、自車位置や目的地の位置、方向などを表示するものが含まれているし、自車位置や目的地の位置、方向を選択可能とする手段も当然備えているものと解される。
したがって、上記相違点1は実質的な相違点ではない。

[相違点2]について
ナビゲーション表示において、操作者が何らかの選択を行うのを容易とするために、画像表示した情報から選択することは、ナビゲーション表示における技術常識といえるものである。
そして、甲5先願発明もナビゲーション表示に関するものであって、しかも「詳細地図情報」を表示するものであり、かつ、複数の物件項目から一つを選択するものであるから、前記技術常識に照らせば、甲5発明は、画像表示した情報から選択する手段も当然備えているものと解される。
したがって、上記相違点2は実質的な相違点ではない

[相違点3]について
甲5先願発明には、リストアップされた施設から所定の施設を選択すると共に、選択された施設を目的地として決定するかキャンセルするかを選択せしめることは何ら示唆されていないし、目的地をどのように設定するのかを示唆する記載も甲第5号証に係る先願明細書等にはない。
そうすると、甲第5号証に係る先願明細書等の全体を通じてみても、甲5先願発明には、上記相違点3に係る本件発明1の構成が記載も示唆もなされていないうえに、甲5先願発明が「リストから最終的な目的地を設定できる」という本件発明1の効果を奏するものでないことから、上記相違点3は課題解決のための具体化手段における微差ということができない。

したがって、両者の間に相違点3が存在する以上、本件発明1は甲5先願発明と同一とはいえないから、特許法第29条の2の規定に該当しない。

(3-2)本件発明2について
本件発明2は、本件発明1を引用しており、また、少なくとも本件発明1の「リスト表示ステップ」について、「距離情報演算算出結果に基づいて、自車位置から距離が近い順に自車位置周辺の施設をリストアップ表示する」との態様を限定付加したものである。したがって、上記の「(3-1)」に示したように本件発明1は甲5先願発明と同一とはいえないことから、本件発明2も甲5先願発明と同一とはいえず、特許法第29条の2の規定に該当しない。

(3-3)本件発明3について
本件発明3は、本件発明1の構成をすべて有しており、更に、本件発明3においては、自車位置周辺に設定されなかった場合には、エリアに区分し、選択されたエリアにある施設をリストアップする態様を限定付加したものである。したがって、上記の「(3-1)」に示したように本件発明1は甲5先願発明と同一とはいえないことから、本件発明3も甲5先願発明と同一とはいえず、特許法第29条の2の規定に該当しない。

(3-4)無効理由3のまとめ
以上検討したところによれば、無効理由3には、理由がない。

(4)次に、上記無効理由4について検討する。

(4-1)本件発明1について
本件発明1と引用発明とを対比する。

(ア)後者の「車両ナビゲーション装置の施設の選択方法」が前者の「ナビゲーション表示における案内情報の選択方法」に相当することから、
後者の「地図情報を読み出して車両の現在地とともに所定の施設のシンボルを所在地に対応して表示装置に表示する、車両ナビゲーション装置の施設の選択方法」と
前者の「自車位置及び目的位置、方向の案内情報を車両の移動に伴ってランドマークを含む地図情報上に画像表示し、かつ選択可能とするナビゲーション表示における案内情報の選択方法」とは、
「自車位置の案内情報を車両の移動に伴ってランドマークを含む地図情報上に画像表示する、ナビゲーション表示における案内情報の選択方法」なる概念で共通する。

(イ)後者の「表示装置に表示されたガイドメニューの施設のシンボルから所望の施設のシンボルを選択するステップ」は、
前者の「画像表示された複数の施設に関する情報から少なくとも必要とする施設の種類を設定する条件設定ステップ」に相当する。

(ウ)後者の「選択された施設のシンボルに基づいて」が前者の「設定された施設の種類に基づいて」に相当すると共に、後者の「車両の現在地」が前者の「自車位置」と同じ意味であり、後者の「リストにして表示する」際には基準位置の周辺の情報の抽出を行っていることが自明であるので、
後者の「選択された施設のシンボルに基づいて、車両の現在地を含む地図上にある施設の情報をリストにして表示するステップ」と
前者の「エリアの設定が自車位置周辺に設定された場合、設定された施設の種類に基づいて、自車位置を基準に所定の範囲にある施設の情報を抽出する自車位置周辺検索ステップと、抽出された自車位置周辺の施設をリストアップ表示するリスト表示ステップ」とは、
「設定された施設の種類に基づいて、自車位置を基準に所定の範囲にある施設の情報を抽出する自車位置周辺検索ステップと、抽出された自車位置周辺の施設をリストアップ表示するリスト表示ステップ」なる概念で共通する。

したがって、両者は、
「自車位置の案内情報を車両の移動に伴ってランドマークを含む地図情報上に画像表示する、ナビゲーション表示における案内情報の選択方法において、
画像表示された複数の施設に関する情報から少なくとも必要とする施設の種類を設定する条件設定ステップと、
設定された施設の種類に基づいて、自車位置を基準に所定の範囲にある施設の情報を抽出する自車位置周辺検索ステップと、
抽出された自車位置周辺の施設をリストアップ表示するリスト表示ステップと、
を有するナビゲーション表示における案内情報の選択方法。」
の点で一致し、以下の各点で相違している。

[相違点1]
ナビゲーション表示における案内情報に関し、本件発明1では自車位置のみならず「目的地の位置、方向」をも画像表示し、かつ「選択可能とする」態様であるのに対し、引用発明ではかかる態様が特定されていない点。

[相違点2]
本件発明1は「画像表示された複数の施設に関する情報から必要とする施設のエリアが自車位置周辺かそれ以外かを設定するエリア設定ステップ」を有するのに対し、引用発明ではそのようなステップを有しない点。

[相違点3]
自車位置周辺検索ステップが、本件発明1では「エリアの設定が自車位置周辺に設定された場合」に複数の施設の情報を抽出するものであると特定されるのに対し、引用発明ではそのような特定はなされていない点。

[相違点4]
本件発明1は「リストアップされた施設から所定の施設を選択すると共に、選択された施設を目的地として決定するかキャンセルするかを選択せしめる目的地決定選択ステップと、目的地決定選択ステップにおいて上記選択された施設が目的地として決定された際に、決定された施設の位置を記憶手段に格納せしめると共に、上記選択された施設位置を地図画面上に表示する目的地格納/表示ステップ」を有するのに対し、引用発明はそのようなステップを有していない点。

以下、上記相違点について検討する。
[相違点1]について
目的地の位置、方向を画像表示し、かつ選択可能とすることは例を示すまでもなく、ナビゲーション表示において周知の技術にすぎない。
そうすると、引用発明において、上記周知の技術を採用することにより、相違点1に係る本件発明1の構成とすることは、当業者にとって容易であり、また、そのために格別の技術的困難性が伴うものとも認められない。

[相違点2及び3]について
ナビゲーション表示において、自車位置周辺以外の情報、例えば、目的地の周辺の施設の情報は地図で通常提供されているものにすぎず、現に、引用例2には、画像表示された複数の施設(駅)に関する情報から必要とする施設のエリア(県名)が自車位置周辺(現在地周辺)かそれ以外(全国図)かを設定するエリア設定ステップ(目的地設定)が開示されている。このように、画像表示された複数の施設に関する情報から必要とする施設のエリアが自車位置周辺かそれ以外かを設定するエリア設定ステップを用いることは、ナビゲーション表示における単なる周知の技術にすぎない。
また、引用発明は、車両の現在地を含む地図上にある施設の情報をリストにして表示するものであるので、上記周知の技術におけるエリア設定ステップにおける施設のエリアが自車位置周辺の場合の処理に引用発明の車両の現在地を含む地図上にある施設の情報をリストにして表示するステップを実行することに、格別の技術的困難性は見当たらない
そうすると、引用発明において、上記周知の技術を採用することにより、相違点2及び3に係る本件発明1の構成とすることは、当業者にとって単なる設計事項にすぎず、また、そのために格別の技術的困難性が伴うものとも認められない。

[相違点4]について
例えば、引用例3には、リストアップされた施設から所定の施設を選択する(選択)と共に、選択された施設を目的地として決定するかキャンセルするかを選択せしめるステップ(目的地設定)と、そのステップにおいて選択された施設が目的地として決定された際に、決定された施設の位置を記憶手段に格納せしめると共に、選択された施設位置を地図画面上に表示(ディスプレイ上に表示)するステップが開示されている(【0015】ないし【0017】、及び【0019】)。このように、リストアップされた施設から所定の施設を選択すると共に、選択された施設を目的地として決定するかキャンセルするかを選択せしめるステップと、そのステップにおいて上記選択された施設が目的地として決定された際に、決定された施設の位置を記憶手段に格納せしめると共に、上記選択された施設位置を地図画面上に表示するステップを用いることは、ナビゲーション表示における周知の技術にすぎない。
そうすると、引用発明において、上記周知の技術を採用することにより、相違点4に係る本件発明1の構成とすることは、当業者にとって単なる設計事項にすぎず、また、そのために格別の技術的困難性が伴うものとも認められない。

そして、本件発明1の全体構成により奏される効果も、引用発明及び周知の技術から予測し得る範囲内のものである。

したがって、本件発明1は、引用発明及び周知の技術に基いて、当業者が容易に発明をすることができたものであるから、特許法第29条第2項の規定により特許を受けることができないものである。

(4-2)本件発明2について
本件発明2と引用発明とを対比すると、上記「(4-1)」で検討した相違点に加え、本件発明2は「設定された施設の種類に基づいて、自車位置から設定された種類の施設迄の距離情報を演算算出」し、「距離情報演算算出結果に基づいて自車位置から距離が近い順に上記自車位置周辺の施設をリストアップ表示する」と特定されるのに対し、引用発明ではかかる特定がされていない点(以下、「相違点5」という。)で相違するが、ナビゲーション装置において、施設を表示させる際に施設との距離が近い順から表示する点は、例えば、引用例4(甲第4号証)の2頁右上欄9行から同欄14行に記載されているように周知の技術にすぎない。
また、引用発明が、リスト中から所望の施設を容易に探し出すことができるようにしたものであることに照らせば、引用発明において、上記周知の技術を採用することにより、上記相違点5に係る本件発明2の構成とすることは、当業者にとって容易であり、また、そのために格別の技術的困難性が伴うものとも認められない。

そして、本件発明2の全体構成により奏される効果も、引用発明及び周知の技術から予測し得る範囲内のものである。

したがって、上記「(4-1)」での検討内容を踏まえれば、本件発明2は、引用発明及び周知の技術に基いて、当業者が容易に発明をすることができたものであるから、特許法第29条第2項の規定により特許を受けることができないものである。

(4-3)本件発明3について
本件発明3と引用発明とを対比すると、本件発明3では「エリアの設定が自車位置周辺に設定されなかった場合、エリアを複数の領域に区分して画像表示し、選択可能とする区分表示ステップ」を有することが特定されるのに対し、引用発明ではかかる特定がされていない点(以下、「相違点6」という。)で相違するが、この点については、引用例2(甲第2号証)の56頁にエリアとして「県」で区分し、選択された「県」にある施設をリストアップする点が記載されているように、ナビゲーション装置において、周知の技術にすぎない。
また、引用発明が、リスト中から所望の施設を容易に探し出すことができるようにしたものであることに照らせば、引用発明において、上記周知の技術を採用することにより、上記相違点6に係る本件発明3の構成とすることは、当業者にとって容易であり、また、そのために格別の技術的困難性が伴うものとも認められない。

そして、本件発明3の全体構成により奏される効果も、引用発明及び周知の技術から予測し得る範囲内のものである。

したがって、上記「(4-1)」での検討内容を踏まえれば、本件発明3は、引用発明及び周知の技術に基いて、当業者が容易に発明をすることができたものであるから、特許法第29条第2項の規定により特許を受けることができないものである。

(4-4)無効理由4のまとめ
以上検討したところによれば、無効理由4にも理由があるというべきである。

10.被請求人の反論について
被請求人は、平成20年7月25日の第1回口頭審理において、以下の主張を行っている。
(1)本件発明は、アイコン表示を介しないで直接リストアップするものである。
(2)リストアップした施設を目的地に設定することは、甲第1号証ないし甲第5号証及び引用例1ないし4に開示されていない。
(3)自車位置周辺の施設をリストアップすることは、甲第1号証ないし甲第5号証及び引用例1ないし4に開示されていない。

しかしながら、以下の理由により、上記の被請求人の主張を採用することができない。
(1)について
本件発明1ないし3は、リストアップ表示に際してアイコン表示を介するものを除外しておらず、また、「アイコン表示を介しないで直接リストアップする」ための構成が限定されたものでもないので、この主張を採用することができない。
(2)について
リストアップした施設を目的地に設定することは「9.(2-1)(カ)」で検討したように、甲3発明が有する構成であり、格別なものではない。
(3)について
「自車位置周辺」に関し、本件発明1ないし3には、「自車位置を基準に所定の範囲」としか限定されておらず、一般に「所定」は任意のものを含むものと解されることから、甲3発明及び引用発明のものも、「9.(2-1)(エ)」及び「9.(4-1)(ウ)」で検討したように、「自車位置を基準に所定の範囲」の施設をリストアップするものである。

11.むすび
以上のとおり、無効理由2及び4には理由があり、本件発明1ないし本件発明3に係る特許は、いずれも特許法第29条第2項の規定に違反してなされたものであるから、同法第123条第1項第2号に該当し、無効とすべきものである。

審判に関する費用については、特許法第169条第2項の規定で準用する民事訴訟法第61条の規定により、被請求人が負担すべきものとする。

よって、結論のとおり審決する。
 
発明の名称 (54)【発明の名称】
ナビゲーション表示における案内情報の選択方法
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
自車位置及び目的位置、方向の案内情報を車両の移動に伴ってランドマークを含む地図情報上に画像表示し、かつ選択可能とするナビゲーション表示における案内情報の選択方法において、
画像表示された複数の施設に関する情報から必要とする施設のエリアが自車位置周辺かそれ以外かを設定するエリア設定ステップと、
前記画像表示された複数の施設に関する情報から少なくとも必要とする施設の種類を設定する条件設定ステップと、
前記エリアの設定が自車位置周辺に設定された場合、設定された施設の種類に基づいて、自車位置を基準に所定の範囲にある施設の情報を抽出する自車位置周辺検索ステップと、
抽出された自車位置周辺の施設をリストアップ表示するリスト表示ステップと、
上記リストアップされた施設から所定の施設を選択すると共に、選択された施設を目的地として決定するかキャンセルするかを選択せしめる目的地決定選択ステップと、
上記目的地決定選択ステップにおいて上記選択された施設が目的地として決定された際に、決定された施設の位置を記憶手段に格納せしめると共に、上記選択された施設位置を地図画面上に表示する目的地格納/表示ステップと、
を有することを特徴とするナビゲーション表示における案内情報の選択方法。
【請求項2】
上記設定された施設の種類に基づいて、自車位置から設定された種類の施設迄の距離情報を演算算出する距離情報演算算出ステップと、
前記距離情報演算算出結果に基づいて、該自車位置から距離が近い順に上記自車位置周辺の施設をリストアップ表示するリスト表示ステップと、
を有する請求項1に記載のナビゲーション表示における案内情報の選択方法。
【請求項3】
自車位置及び目的位置、方向の案内情報を車両の移動に伴ってランドマークを含む地図情報上に画像表示し、かつ選択可能とするナビゲーション表示における案内情報の選択方法において、
画像表示された複数の施設に関する情報から必要とする施設のエリアが自車位置周辺かそれ以外かを設定するエリア設定ステップと、
前記画像表示された複数の施設に関する情報から少なくとも必要とする施設の種類を設定する条件設定ステップと、
前記エリアの設定が自車位置周辺に設定された場合、設定された施設の種類に基づいて、自車位置を基準に所定の範囲にある施設の情報を抽出する自車位置周辺検索ステップと、
抽出された自車位置周辺の施設をリストアップ表示するリスト表示ステップと、
前記エリアの設定が自車位置周辺に設定されなかった場合、エリアを複数の領域に区分して画像表示し、選択可能とする区分表示ステップと、
設定された施設の種類と上記区分に基づいて、選択された区分にある施設の情報を抽出する検索ステップと、
抽出された上記区分に含まれる施設をリストアップ表示するリスト表示ステップと、
上記リストアップされた施設から所定の施設を選択すると共に、選択された施設を目的地として決定するかキャンセルするかを選択せしめる目的地決定選択ステップと、
上記目的地決定選択ステップにおいて上記選択された施設が目的地として決定された際に、決定された施設の位置を記憶手段に格納せしめると共に、上記選択された施設位置を地図画面上に表示する目的地格納/表示ステップと、
を有することを特徴とするナビゲーション表示における案内情報の選択方法。
【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】この発明はナビゲーション装置に関する。
【0002】
【従来の技術】
車載用のナビゲーション装置は、表示画面上に道路ネットワークや背景、ランドマークや道路名、行政名等の属性等の地図情報を表示し、該地図上に自車の位置を表示すると共に、自車の方向や北方向或いは種々の距離等を表示するように構成されている。そして、該地図上に現在地と目的地を設定した後にナビゲーションを実行するようになっている。ランドマーク等の案内情報としては、例えば下記に示すようなものが一般的である。
インフォーメーション:観光案内、名所旧跡、遊技施設、公園、図書館、ゴルフ場、テニス場、等の概略や詳細をテキスト、絵、写真、音声等で表示。
セーフティ:車の事故などに対してJAF、病院などを表示。
アクセス:空港、新幹線、フェリー等の案内を表示。
ハイウェー:首都高速、都市高速、東名、名神等のインターチェンジ、サービスエリア等を案内表示する。
これらのナビゲーションは全てのスイッチ或いは案内情報のスイッチを使い分けて使用するようになっている。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】
しかし従来のナビゲーション装置及び方法においては、地図データベースと案内情報データベースとを効率的に結び付けたものがないため、自車位置周辺の案内情報を直接得ることが出来ず、そのため目的地の設定に時間がかかり、選び出すのにも時間がかかる等の欠点があった。本発明は上記した従来技術の問題点を解決することを目的とする。
【0004】
【課題を解決するための手段】
上記目的を達成するために本発明は、自車位置及び目的位置、方向の案内情報を車両の移動に伴ってランドマークを含む地図情報上に画像表示し、かつ選択可能とするナビゲーション表示における案内情報の選択方法において、画像表示された複数の施設に関する情報から必要とする施設のエリアが自車位置周辺かそれ以外かを設定するエリア設定ステップと、前記画像表示された複数の施設に関する情報から少なくとも必要とする施設の種類を設定する条件設定ステップと、前記エリアの設定が自車位置周辺に設定された場合、設定された施設の種類に基づいて、自車位置を基準に所定の範囲にある施設の情報を抽出する自車位置周辺検索ステップと、抽出された自車位置周辺の施設をリストアップ表示するリスト表示ステップと、上記リストアップされた施設から所定の施設を選択すると共に、選択された施設を目的地として決定するかキャンセルするかを選択せしめる目的地決定選択ステップと、上記目的地決定選択ステップにおいて上記選択された施設が目的地として決定された際に、決定された施設の位置を記憶手段に格納せしめると共に、上記選択された施設位置を地図画面上に表示する目的地格納/表示ステップと、を有することを特徴とする。
【0005】
【作用】
前記エリア設定ステップにおいて、画像表示された複数の施設に関する情報から必要とする施設のエリアが自車位置周辺かそれ以外かを設定し、更に条件設定ステップにおいて、画像表示された複数の施設に関する情報から少なくとも必要とする施設の種類を設定する。設定されたエリアが自車位置周辺の場合、自車位置周辺検索ステップにおいて前記設定された施設の種類に基づいて、自車位置を基準に所定の範囲にある施設の情報を抽出する。そしてリスト表示ステップにおいて、抽出された自車位置周辺の施設をリストアップ表示し、更に目的地決定選択ステップにおいて、上記リストアップされた施設から所定の施設を選択すると共に、選択された施設を目的地として決定するかキャンセルするかを選択せしめる。そして、目的地格納/表示ステップにおいて、上記目的地決定選択ステップにより選択された施設が目的地として決定された際に、決定された施設の位置を記憶手段に格納せしめると共に、上記選択された施設位置を地図画面上に表示する。
【0006】
【実施例】
以下本発明の実施例を図面に基づいて説明する。図1において、表示画面1上の案内情報画面2においては、案内情報の各項目インフォーメーション3、アクセス4、セーフティ5、ハイウェイ6が表示され、これらを任意に選択可能になっている。この選択は例えば表示に対応するキーやタッチパネルの操作によれば良い。ここでインフォーメーション3を選択したとすると、次に表示エリア選択画面7が表示される。ここには自車位置周辺8、目的地周辺9、全国エリア情報20が表示され、それぞれ任意のものを表示可能である。各データベースには位置データ(緯度、経度)がつけ加えられており、後述するように案内情報から地図上に位置を登録して目的地として設定できるようになっている。自車位置周辺8を選択した場合を、後に図2及び図3により説明し、目的地周辺9を選択した場合を図4と図5により説明する。更にインフォーメーション画面10を選択した場合を図6と図7により説明する。
【0007】
自車位置周辺8又は目的地周辺9を選択すると、自車位置周辺8を選択した場合は自車位置、目的地周辺9を選択した場合は目的地を基準として所定の範囲にある案内情報が読み込まれ、インフォーメーション画面10となり、種々の施設の選択表示がなされる。ここで宿泊施設11を選択したとすると、宿泊施設画面12が表示され、種々の宿泊施設が表示される。今、所定宿泊施設13を選択したとすると、該所定宿泊施設13の詳細が示された所定宿泊施設表示画面14が表示され、ここで位置設定15を選択すると該所定宿泊施設13が目的地として設定登録される。これにより案内情報から直接目的地を設定することができる。案内情報画面2の他のアクセス4、セーフティ5、ハイウェイ6の項目についても、上記と同様に目的地として設定可能になっている。
【0008】
なお、インフォーメーション画面10において項目を選択した場合、自車位置と各施設位置との距離を算出して、距離の近い順に表示するようにすることも可能である。この場合の構成を図3により後に説明する。
【0009】
図2において、自車位置周辺8を選択すると(ステップ30)、データベースから自車位置周辺のランドマークを読み込み、前記したようにインフォーメーション画面10、宿泊施設画面12、所定宿泊施設表示画面14などの画面を順次表示選択する(ステップ31)。そして、位置設定15の選択があると(ステップ32)、その位置をメモリに記憶し(ステップ33)、地図画面に該位置を表示する(ステップ34)。位置設定15の設定がない場合にはキャンセルか否か確認して(ステップ35)、終了すか又はステップ30に戻る。なおここでは、選択した施設位置を地図画面上に表示するように構成しているため、施設位置を具体的に確認することが可能になる。例えば、施設位置が自車が走行中の道路沿いにあるのか、離れた道路沿いにあるのか等の確認ができる効果がある。そのためユーザは、選択した施設が所望のものか確認でき、誤った施設に間違って行ってしまうこと等を防止できる。
【0010】
図3において、自車位置周辺8を選択すると(ステップ36)、データベースから自車位置周辺のランドマークを読み込み、前記したようにインフォーメーション画面10、宿泊施設画面12、所定宿泊施設表示画面14などの画面を順次表示選択する(ステップ37)。そして、自車位置とランドマークの距離を位置データから求め(ステップ38)、距離の近い順にリストアップする(ステップ39)。所定のランドマークが選択され、位置設定15の選択があると(ステップ40)、その位置をメモリに記憶し(ステップ41)、地図画面に該位置を表示する(ステップ42)。位置設定15の設定がない場合には終了する。
【0011】
図4において、目的地周辺9を選択すると(ステップ50)、データベースから目的地周辺のランドマークを読み込み、前記したようにインフォーメーション画面10、宿泊施設画面12、所定宿泊施設表示画面14などの画面を順次表示選択する(ステップ51)。そして、位置設定15の選択があると(ステップ52)、その位置をメモリに記憶し(ステップ53)、地図画面に該位置を表示する(ステップ54)。位置設定15の設定がない場合には終了する。
【0012】
図5において、目的地周辺9を選択すると(ステップ55)、データベースから目的地周辺のランドマークを読み込み、前記したようにインフォーメーション画面10、宿泊施設画面12、所定宿泊施設表示画面14などの画面順次表示選択する(ステップ56)。そして、目的地とランドマークの距離を位置データから求め(ステップ57)、距離の近い順にリストアップする(ステップ58)。所定のランドマークが選択され、位置設定15の選択があると(ステップ59)、その位置をメモリに記憶し(ステップ60)、地図画面に該位置を表示する(ステップ61)。位置設定15の設定がない場合には終了する。
【0013】
図6と図7により表示エリア選択画面7において全国エリア選択20を選択した場合の詳細を説明する。全国エリア選択20を選択すると、図6に示すように全国エリア選択画面16となり、全国エリアが表示される。ここで所定のエリアを選択すると都道府県名選択画面17に切り替わる。この例では関東エリアを選択した例を示しており、関東の各県名が表示される。ここで県名を選択すると、図1の(C)の表示となり、種々の施設の選択表示がなされる。ここで前記と同様に、宿泊施設11を選択したとすると、宿泊施設画面12が表示され、種々の宿泊施設が表示される。また同様に、所定宿泊施設13を選択したとすると、該所定宿泊施設13の詳細が示された所定宿泊施設表示画面14が表示され、ここで位置設定15を選択すると該所定宿泊施設13が目的地として設定登録される。これにより案内情報から直接目的地を設定することができる。図7は上記した各データのツリーを示すものである。
【0014】
【発明の効果】
以上説明したように本発明は、自車位置及び目的位置、方向の案内情報を車両の移動に伴ってランドマークを含む地図情報上に画像表示し、かつ選択可能とするナビゲーション表示における案内情報の選択方法において、画像表示された複数の施設に関する情報から必要とする施設のエリアが自車位置周辺かそれ以外かを設定するエリア設定ステップと、前記画像表示された複数の施設に関する情報から少なくとも必要とする施設の種類を設定する条件設定ステップと、前記エリアの設定が自車位置周辺に設定された場合、設定された施設の種類に基づいて、自車位置を基準に所定の範囲にある施設の情報を抽出する自車位置周辺検索ステップと、抽出された自車位置周辺の施設をリストアップ表示するリスト表示ステップと、上記リストアップされた施設から所定の施設を選択すると共に、選択された施設を目的地として決定するかキャンセルするかを選択せしめる目的地決定選択ステップと、上記目的地決定選択ステップにおいて上記選択された施設が目的地として決定された際に、決定された施設の位置を記憶手段に格納せしめると共に、上記選択された施設位置を地図画面上に表示する目的地格納/表示ステップと、を有することを特徴としているため、自車位置周辺エリアかその他のエリアかを選択可能であり、自車位置周辺を選択した場合、案内情報から自車位置周辺の施設をリストアップし、該リストから所定の施設を選択し、該選択した施設を目的地として設定或いはキャンセルするかを選択できる効果がある。また、目的地として選択し設定した施設位置が記憶手段に格納されると共に地図画面上に表示されるため、自車の走行中の道路沿いにあるのか否かなど施設位置を具体的に確認でき、ユーザにとって好ましい位置にあるか否かなどの確認が可能になる効果がある。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の一実施例を示す説明図。
【図2】本発明の一実施例を示すフローチャート図。
【図3】本発明の他の実施例を示すフローチャート図。
【図4】本発明の他の実施例を示すフローチャート図。
【図5】本発明の他の実施例を示すフローチャート図。
【図6】本発明の他の実施例を示す説明図。
【図7】本発明の他の実施例を示すツリー図。
【符号の説明】
1:表示画面、2:案内情報画面、3:インフォーメーション、4:アクセス、5:セーフティ、6:ハイウェイ、7:表示エリア選択画面、8:自車位置周辺、9:目的地周辺、10:インフォーメーション画面、11:宿泊施設、12:宿泊施設画面、13:所定宿泊施設、14:所定宿泊施設表示画面、15:位置設定、16:全国エリア選択画面、17:都道府県名選択画面、20:全国エリア選択。
 
訂正の要旨 審決(決定)の【理由】欄参照。
審決日 2008-09-10 
出願番号 特願平5-27418
審決分類 P 1 113・ 16- ZA (G08G)
P 1 113・ 121- ZA (G08G)
P 1 113・ 534- ZA (G08G)
最終処分 成立  
前審関与審査官 高橋 学  
特許庁審判長 仁木 浩
特許庁審判官 田中 秀夫
本庄 亮太郎
登録日 2002-06-07 
登録番号 特許第3316244号(P3316244)
発明の名称 ナビゲーション表示における案内情報の選択方法  
代理人 大熊 考一  
代理人 木内 光春  
代理人 町田 正史  
代理人 木内 光春  
代理人 大熊 考一  
代理人 茜ケ久保 公二  
代理人 町田 正史  
代理人 茜ケ久保 公二  

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