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審決分類 |
審判 査定不服 4号2号請求項の限定的減縮 特許、登録しない。 A63F 審判 査定不服 2項進歩性 特許、登録しない。 A63F 審判 査定不服 5項独立特許用件 特許、登録しない。 A63F |
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管理番号 | 1187981 |
審判番号 | 不服2006-3171 |
総通号数 | 109 |
発行国 | 日本国特許庁(JP) |
公報種別 | 特許審決公報 |
発行日 | 2009-01-30 |
種別 | 拒絶査定不服の審決 |
審判請求日 | 2006-02-21 |
確定日 | 2008-11-13 |
事件の表示 | 特願2000-345641「スロットマシン」拒絶査定不服審判事件〔平成14年 5月21日出願公開、特開2002-143395〕について、次のとおり審決する。 |
結論 | 本件審判の請求は、成り立たない。 |
理由 |
第1 手続の経緯 本願は平成12年11月13日の出願であって、平成17年9月15日付手続補正が平成18年1月19日付けで却下されるとともに、同日付けで拒絶の査定がされたため、これを不服として同年2月21日付けで本件審判請求がされるとともに、同日付けで明細書についての手続補正(以下、「本件補正」という。)がされたものである。 第2 補正の却下の決定 [補正の却下の決定の結論] 平成18年2月21日付けの手続補正を却下する。 [理由] 1.補正内容 本件補正は特許請求の範囲の補正を補正事項に含んでおり、特許請求の範囲の補正に限ってみると、平成16年12月2日付手続補正書により補正された特許請求の範囲に記載された請求項1乃至8のうち、請求項3乃至8を削除するとともに、請求項1乃至2を次の(補正前)から(補正後)へと変更するものである(ただし、(補正前)については下線部を省略)。 (補正前) 「【請求項1】 複数種類の絵柄を施したメインリールを複数列備え、メダル又は玉等の遊技媒体を投入し、ゲームの開始操作により前記複数列のメインリールをリール絵柄表示窓上で移動を開始させ、制御部の内部抽選により予め定められた複数の入賞役のうちいずれかに当選したか否かを確定し、前記各メインリールに対応した停止操作により、各メインリールを、ハズレを含む前記内部抽選の結果に基づいて停止させ、停止した前記リール絵柄表示窓上の前記絵柄の組合せが入賞している場合は該入賞に対応する所定の数の遊技媒体を払い出すスロットマシンであって、 前記メインリールの各々に対応して複数種類の絵柄を施したサブリールを設け、前記制御部は前記サブリールを回転させた後に前記サブリールを停止させ、前記サブリールの所定位置に停止表示されたサブリール上の絵柄の組合せにより前記内部抽選の結果を報知し、 前記制御部は、前記各メインリールに対応した前記停止操作に応じて、前記各メインリールに対応する前記サブリールを停止させる一方、最後の前記停止操作に対応する前記サブリールについては、当該最後の前記停止操作から予め設定された時間の経過後に停止させることを特徴とするスロットマシン。 【請求項2】 前記予め設定された時間は、複数定められた時間の中から抽選で決定されることを特徴とする請求項1に記載のスロットマシン。」 (補正後) 「【請求項1】 複数種類の絵柄を施したメインリールを左右方向に複数列備え、メダル又は玉等の遊技媒体を投入し、ゲームの開始操作により前記複数列のメインリールをリール絵柄表示窓上で移動を開始させ、制御部の内部抽選により予め定められた複数の入賞役のうちいずれかに当選したか否かを確定し、前記各メインリールに対応した停止操作により、各メインリールを、ハズレを含む前記内部抽選の結果に基づいて停止させ、停止した前記リール絵柄表示窓上の前記絵柄の組合せが入賞している場合は該入賞に対応する所定の数の遊技媒体を払い出すスロットマシンであって、 前記メインリールの各々に対応して複数種類の絵柄を施したサブリールを設け、前記制御部は前記サブリールを回転させた後に前記サブリールを停止させ、前記サブリールの所定位置に停止表示されたサブリール上の絵柄の組合せにより前記内部抽選の結果を報知し、 前記サブリールは左右方向に配列され、かつ、各々の前記サブリールは、対応する前記メインリールの上部に配置され、 前記制御部は、前記各メインリールに対応した前記停止操作に応じて、前記各メインリールに対応する前記サブリールを停止させる停止制御を実行する一方、最後の前記停止操作に対応する前記サブリールについては、当該最後の前記停止操作から予め設定された時間の経過後に前記停止制御を実行し、 前記予め設定された時間が前記サブリールにより表示する前記絵柄の組合せに応じて異なるように設定されることを特徴とするスロットマシン。 【請求項2】 前記予め設定された時間は、複数定められた時間の中から抽選で決定されることを特徴とする請求項1に記載のスロットマシン。」 (補正後)の請求項1は(補正前)の請求項1に対して、メインリール及びサブリールの配置を限定し、停止操作と関連するサブリールの停止を「停止させ」るという記載から「停止させる停止制御」の「実行」及び「前記停止制御」の「実行」と改めるとともに、「予め設定された時間」について「前記サブリールにより表示する前記絵柄の組合せに応じて異なるように設定される」との限定を加えたものである。これらの補正事項のうち、最初の点と最後の点では発明を限定しているから、その点で本件補正は特許請求の範囲の減縮(平成18年改正前特許法第17条の2第4項2号該当)を目的とするものと認め、本件補正後の請求項1に係る発明(以下「補正発明」という。)について、特許出願の際独立して特許を受けることができたかを検討することとする。 なお、サブリールを「停止させ」るとの記載を「停止制御」の「実行」と改めた点は、厳密には「停止」自体の時期を定める記載を、停止に関する「制御」の「実行」時期を定める記載に変えるものであり、その意味では発明の拡張とも言い得るが、ここでは誤記の訂正(平成18年改正前特許法第17条の2第4項3号該当)を目的とするものと認める。この点を誤記の訂正と認めない場合には、本件補正は平成18年改正前特許法第17条の2第4項1号、2号、3号、4号のいずれにも該当せず、平成18年改正前特許法第17条の2第4項の規定に違反しているから、補正発明の独立特許要件を検討せずとも、同法第159条第1項で読み替えて準用する同法第53条第1項の規定により却下されなければならないこととなる。 2.補正発明の認定 補正発明は、本件補正により補正された明細書の特許請求の範囲【請求項1】に記載された事項によって特定される、「1.補正内容」において(補正後)【請求項1】として示したとおりのものと認める。 3.引用刊行物に記載される事項の認定 本願出願前に頒布された刊行物であり、原査定の拒絶の理由に引用された、特開2000-308709号公報(以下、「引用例」という。)には、次の記載がされている。 ア.「複数のシンボルを変動表示した後に、遊技者による停止操作に基づいて前記変動表示を停止して入賞ライン上にいずれかのシンボルを表示する複数のシンボル可変表示器を備え、機械内部の入賞抽選処理により特定の抽選当たりがあったとき、特定の抽選当たりのシンボルを入賞ライン上に引き込むように、各シンボル可変表示器の停止動作を制御するようにしたスロットマシンにおいて、前記入賞抽選処理の抽選結果を遊技者へ報知するための複数の報知用シンボルを変動表示した後に前記変動表示を停止して、いずれかの報知用シンボルを表示する抽選報知器と、前記抽選報知器の変動表示を停止させるために遊技者により操作される停止スイッチと、前記抽選報知器の変動表示動作を制御する制御装置とを備え、前記制御装置は、遊技者による停止スイッチの操作に合わせたタイミングで前記抽選報知器の変動表示を停止させる第1の停止制御と、遊技者による停止スイッチの操作からずれたタイミングで前記抽選報知器の変動表示を停止させる第2の停止制御とを選択して実行することが可能であり、前記特定の抽選当たりを報知するための報知用シンボルが停止するタイミングで遊技者が停止スイッチを操作したとき、前記入賞抽選処理により特定の抽選当たりがなかったことを条件として、第2の停止制御を実行するようにしたスロットマシン。」(【請求項1】) イ.「前記抽選報知器は、シンボル可変表示器と同じ個数の表示器で構成されており、前記制御装置は、遊技者による停止スイッチの操作があったとき、シンボル可変表示器の変動表示と抽選報知器の変動表示とを停止させるようにした請求項1に記載されたスロットマシン。」(【請求項2】) ウ.「従来の典型的なスロットマシンは、シンボル可変表示器として、外周面に複数種のシンボルが表された3個のリールを有する。メダル投入口へメダルが投入された後、始動レバーが操作されると、3個のリールが一斉に始動する。リール毎に停止スイッチが設けられており、いずれかの停止スイッチが操作されると、対応するリールが個別に停止する。全てのリールが停止したとき、入賞ライン上に、所定のシンボルによる所定の組み合わせが成立すると、そのゲームは入賞となり、入賞の種類に応じて、予め決められた枚数のメダルがそのゲームの配当として払い出される。・・・・従来のスロットマシンでは、始動レバーの操作があると、機械内部で入賞抽選処理が実行される。遊技者による停止操作があったとき、停止操作のタイミングと抽選結果とに基づいて、入賞ライン上に、所定のシンボルを引き込むようにリールを強制的に停止させる、いわゆる引込制御が行われる。この引込制御では、抽選当たりがあったときは、入賞ライン上に、入賞に関わるシンボルが停止するようにリールの停止動作が制御される。一方、抽選当たりがなかったときは、入賞に関わるシンボルが入賞ライン上に停止しないようにリールの停止動作が制御される。」(段落【0002】-【0005】) エ.「この発明は、上記問題に着目してなされたもので、入賞抽選処理の抽選結果を報知するための抽選報知器を設け、この抽選報知器を変動表示させた後、遊技者による停止スイッチの操作で前記変動表示を停止させることにより、報知動作の多様性を増してゲームの演出効果と興趣とを向上させるとともに、報知動作に遊技的な要素を取り入れられたスロットマシンを提供することを目的とする。」(段落【0010】) オ.「前記リールブロック4は、金属フレーム7に3個のリール8a,8b,8cが一体に組み付けられて成る。各リール8a,8b,8cは、リール枠の外周面に帯状テープを貼設して成る。帯状テープには、特別入賞を成立させる特別入賞シンボル、その他の入賞を成立させる入賞シンボル、入賞に関わらない複数種のシンボルなどが印刷される。なお、この実施例では、前記特別入賞シンボルとして、「ビッグボーナス」に関わる第1の特別入賞シンボルと、「レギュラーボーナス」に関わる第2の特別入賞シンボルとが設けられている。」(段落【0034】) カ.「このスロットマシンでは、メダル投入口16へのメダルの投入またはベット釦スイッチ33,34,35の操作で、いずれかの入賞ラインを有効化させた後、始動レバー14を操作すると、機械内部で入賞抽選処理が行われる。その後、停止スイッチ15a,15b,15cが押操作されたとき、抽選当たりであれば、前記入賞抽選処理の抽選結果に基づく所定のシンボルが、有効化された入賞ライン上へ引き込むように、各リール8a,8b,8cの停止動作が制御される。特に、前記の特別抽選当たりがあると、有効化された入賞ライン上に特別入賞シンボルを引き込むように、各リール8a,8b,8cの停止動作が制御される。」(段落【0043】) キ. 「このスロットマシンでは、入賞抽選処理による抽選結果、具体的には特別抽選当たりがあったことを遊技者に報知するために、シンボル表示窓20a,20b,20cの一側部に、図4に示すような構成の抽選報知器50が設けてある。詳細は後述するが、前記抽選報知器50は、報知動作に遊技者による停止スイッチ15a,15b,15cの操作を介在させるように構成してある。」(段落【0046】) ク.「抽選報知器50は、この実施例のものに限らず、文字や図形などの複数の報知用シンボルを変動表示した後に変動表示を停止して、いずれかの報知用シンボルを表示できる構成のものであれば、例えば、複数の報知用シンボルが表されたリール状のものやベルト状のもの、液晶のような画像表示手段などを用いることもできる。」(段落【0047】) ケ.「前記抽選報知器50を構成する3個の数字表示器50a,50b,50cは、各リール8a,8b,8cの停止スイッチ15a,15b,15cに対応させてある。始動レバー14を操作すると、全てのリール8a,8b,8cとほぼ同時に全ての数字表示器50a,50b,50cが一斉に変動表示を開始し、各リール8a,8b,8cの停止スイッチ15a,15b,15cを押操作すると、対応するリール8a,8b,8cと対応する数字表示器50a,50b,50cとがそれぞれ変動表示を停止し、いずれかの報知用シンボルを表示する。」(段落【0049】) コ.「各数字表示器50a,50b,50cは、原則として、遊技者による停止スイッチ15a,15b,15cの操作に合わせたタイミングで変動表示が停止するように制御されるが、特別抽選当たりがなかったにもかかわらず特別抽選当たりがあったと報知されることがないように、遊技者による停止スイッチ15a,15b,15cの操作からずれたタイミングで各数字表示器50a,50b,50cの変動表示が停止するような制御が取り入れられている。」(段落【0052】) サ.「ここでは、遊技者による停止スイッチ15a,15b,15cの操作に合わせたタイミングの停止制御を「第1の停止制御」、遊技者による停止スイッチ15a,15b,15cの操作からずれたタイミングの停止制御を「第2の停止制御」と呼ぶ。この第2の停止制御は、必ずしも全ての数字表示器50a,50b,50cに対して実施する必要がなく、最後に停止する数字表示器に対してのみ実施すればよい。」(段落【0053】) シ.「図6に示すように、3個の数字表示器50a,50b,50cを横一列に配置して、3桁表示の表示態様としてもよい。」(段落【0055】) ス.「入賞抽選処理で特別抽選当たりがあったとき、各数字表示器50a,50b,50cの数字を揃えた状態で変動表示させ、「ビッグボーナス」の抽選当たりのときは、「1,1,1」や「7,7,7」のように、奇数の同じ報知用シンボルが3個停止するように抽選報知器50の変動表示を停止させ、また、「レギュラーボーナス」の抽選当たりのときは、「2,2,2」や「8,8,8」のように、偶数の同じ報知用シンボルが3個停止するように抽選報知器50の変動表示を停止させる。」(段落【0060】) セ.「上記の実施例では、正面パネル11の位置に抽選報知器50を設けているが、これに限らず、上部パネル12の位置などに設けることもできる。」(段落【0062】) ソ.「もし、遊技者による停止スイッチの操作に合わせたタイミングで最後の数字表示器の変動表示を停止させれば、特別抽選当たりがなかったにもかかわらず当たり報知シンボルが3個並んで表示されることになるから、CPU41は、第2の停止制御を選択して実行し、遊技者による停止スイッチの操作からずらせたタイミングで最後の数字表示器の変動表示を停止させる(ST14-7)。その結果、最後の数字表示器では当たり報知シンボルが停止せず、当たり報知シンボルが3個並んで表示されることはない。」(段落【0075】) タ.【図1】及び【図3】には、リール8a、8b、8c及びこれに対応するシンボル表示窓20a,20b,20cが、明らかに左右方向に複数列備えられた様子が図示されている。 4.引用刊行物記載の発明の認定 記載事項ア.の前段にあるとおり、引用例は「機械内部の入賞抽選処理」と、「シンボル可変表示器」の引き込みによる「停止動作」の「制御」を行う「スロットマシン」における技術に関する。そして、記載事項ア.の後段にあるとおり、引用例はそのような「スロットマシン」において、「入賞抽選処理」の「抽選結果」を「報知」する、「複数の報知用シンボルを変動表示した後に前記変動表示を停止して、いずれかの報知用シンボルを表示する抽選報知器」を設ける技術に関しており、記載事項イ.にあるとおり「抽選報知器」は「シンボル可変表示器」と同じ個数である。 まず、前提となる「スロットマシン」の部分について、その余の引用例の記載事項に基づき補充具体化する。 記載事項ウ.は従来のスロットマシンに関する記載であるが、前提となるスロットマシンについての説明であり、記載事項オ.及びカ.と合わせて、引用発明として把握されるスロットマシンにもそのまま該当する。これらによると、「スロットマシン」は「シンボル可変表示器」として「複数種のシンボル」を備えた「3個のリール8a,8b、8c」を有し、「メダル」の「投入」の後、「始動レバー14」の「操作」でリールが「始動」する。「始動レバー14」の「操作」によって、「機械内部で入賞抽選処理が実行」される。「リール毎に停止スイッチ」が「15a、15b、15c」として設けられており、「停止操作のタイミングと抽選結果とに基づいて」、各リールは「抽選当たりがあったときは、入賞ライン上に、入賞に関わるシンボルが停止するように」、「抽選当たりがなかったときは、入賞に関わるシンボルが入賞ライン上に停止しないように」、「引込制御」を介して停止させられる。かようなゲームの結果、「全てのリールが停止したとき、入賞ライン上に、所定のシンボルによる所定の組み合わせが成立すると、そのゲームは入賞となり、入賞の種類に応じて、予め決められた枚数のメダルがそのゲームの配当として払い出される。」また、記載事項キ.及びタ.によると、リール上のシンボルは「シンボル表示窓20a、20b、20c」上で視認され、リール8a、8b、8c及びシンボル表示窓20a、b、cは「左右方向に複数」配置する形で設けられている。 これらを整理すると、引用例には、「抽選報知器」を設ける「スロットマシン」として、「シンボル可変表示器として複数種のシンボルを備えた3個のリール8a,8b、8c、及びこれに対応したシンボル表示窓20a、20b、20cを、左右方向に複数列配置する形で設け、メダルの投入の後、始動レバー14の操作でリールが始動し、機械内部で入賞抽選処理が実行され、リール毎の停止スイッチ15a、15b、15cの停止操作のタイミングと抽選結果とに基づいて、各リールを、抽選当たりがあったときは入賞ライン上に入賞に関わるシンボルが停止するように、抽選当たりがなかったときは入賞に関わるシンボルが入賞ライン上に停止しないように、引込制御を介して停止させ、全てのリールが停止したとき、入賞ライン上に、所定のシンボルによる所定の組み合わせが成立すると、そのゲームは入賞となり、入賞の種類に応じて、予め決められた枚数のメダルがそのゲームの配当として払い出される」という技術事項が開示されている。 次に、上記の如き「スロットマシン」に設けられる「抽選報知器」の部分について、同様の補充・具体化を行う。 記載事項ク.によると、「抽選報知器50」は「複数の報知用シンボルが表されたリール状のもの」でも良く、記載事項ケ.によると「3個の数字表示器50a,50b,50cは、各リール8a,8b,8cの停止スイッチ15a,15b,15cに対応」しており、「数字表示器50a,50b,50cが一斉に変動表示を開始し、各リール8a,8b,8cの停止スイッチ15a,15b,15cを押操作すると、対応するリール8a,8b,8cと対応する数字表示器50a,50b,50cとがそれぞれ変動表示を停止し、いずれかの報知用シンボルを表示」する。記載事項ソ.によると、停止表示した報知用シンボルは、「当たり報知シンボルが3個並んで表示されること」で「特別抽選当たり」を示すものである。抽選報知器50の配置は、記載事項シ.及びセ.によると「横一列に配置して」「上部パネル12の位置」でもよく、記載事項タ.によると上部パネル12の位置はすなわち「リール8a、8b、8cの上部」に該当する。 すなわち、引用例には「リール状の」抽選報知器を採用した場合において、「リール状の3個の抽選報知器50a、50b、50cは、各リール8a、8b、8cの停止スイッチ15a、15b、15cに対応しており、変動表示の開始の後、各リール8a,8b,8cの停止スイッチ15a,15b,15cを押操作すると、対応するリール8a,8b,8cと対応するリール状の抽選報知器50a,50b,50cとがそれぞれ変動表示を停止し、いずれかの報知用シンボルが表示され、当たり報知シンボルが3個並んで表示されることで特別抽選当たりを示すものであり、抽選報知器50a、50b、50cの配置はリール8a、8b、8cの上部に横一列で良い」という技術事項が開示されている。 さらに、「抽選報知器50」の「停止」についてみると、記載事項ケ.から抽選報知器50a、50b、50cは「各リール8a,8b,8cの停止スイッチ15a,15b,15cを押操作すると・・・それぞれ変動表示を停止」するものとされる一方、記載事項コ.及びサ.によると「第1の停止制御」と「第2の停止制御」とを有している。「第1の停止制御」は「停止スイッチ15a,15b,15cの操作に合わせたタイミングで変動表示が停止する」ものであり、「第2の停止制御」は「停止スイッチ15a,15b,15cの操作からずれたタイミングで・・・変動表示が停止する」ものである。これらの記載事項の関係は、「第1の停止制御」及び「第2の停止制御」のいずれも停止スイッチの「操作」に応じて実行する一方、変動表示の停止自体は、「第2の停止制御」の場合、停止スイッチの「操作からずれたタイミング」となることを示すことが明らかである。そして、再び記載事項サ.に戻ると、「第2の停止制御」は「必ずしも全ての」抽選報知器「50a、50b、50cに対して実施する必要がなく、最後に停止する」抽選報知器「に対してのみ実施すればよい」ことも開示されている。 すなわち、引用例には「抽選報知器50」の「停止」について、「各リール8a,8b,8cの停止スイッチ15a,15b,15cを押操作すると、対応する抽選報知器50a、50b、50cに対して第1の停止制御又は第2の停止制御を実行する一方、第2の停止制御の場合は停止スイッチ15a,15b,15cの操作からずれたタイミングで変動表示が停止する、第2の停止制御は必ずしも全ての抽選報知器に対して実施する必要がなく、最後に停止する抽選報知器に対してのみ実施すればよい」という技術事項が開示されている。 以上をまとめると、引用例には 「シンボル可変表示器として複数種のシンボルを備えた3個のリール8a,8b、8c、及びこれに対応したシンボル表示窓20a、20b、20cを、左右方向に複数列配置する形で設け、メダルの投入の後、始動レバー14の操作でリールが始動し、機械内部で入賞抽選処理が実行され、リール毎の停止スイッチ15a、15b、15cの停止操作のタイミングと抽選結果とに基づいて、各リールを、抽選当たりがあったときは入賞ライン上に入賞に関わるシンボルが停止するように、抽選当たりがなかったときは入賞に関わるシンボルが入賞ライン上に停止しないように、引込制御を介して停止させ、全てのリールが停止したとき、入賞ライン上に、所定のシンボルによる所定の組み合わせが成立すると、そのゲームは入賞となり、入賞の種類に応じて、予め決められた枚数のメダルがそのゲームの配当として払い出されるスロットマシンであって、 リール状の3個の抽選報知器50a、50b、50cは、各リール8a、8b、8cの停止スイッチ15a、15b、15cに対応しており、変動表示の開始の後、各リール8a,8b,8cの停止スイッチ15a,15b,15cを押操作すると、対応するリール8a,8b,8cと対応するリール状の抽選報知器50a,50b,50cとがそれぞれ変動表示を停止し、いずれかの報知用シンボルが表示され、当たり報知シンボルが3個並んで表示されることで特別抽選当たりを示すものであり、 抽選報知器50a、50b、50cの配置はリール8a、8b、8cの上部に横一列で良く、 抽選報知器50a、50b、50cの変動表示の停止については、各リール8a,8b,8cの停止スイッチ15a,15b,15cを押操作すると、対応する抽選報知器50a、50b、50cに対して第1の停止制御又は第2の停止制御を実行する一方、第2の停止制御の場合は停止スイッチ15a,15b,15cの操作からずれたタイミングで変動表示が停止し、第2の停止制御は必ずしも全ての抽選報知器に対して実施する必要がなく、最後に停止する抽選報知器に対してのみ実施すればよい、 スロットマシン」 の発明(以下「引用発明」という)が記載されている。 5.補正発明と引用発明の一致点及び相違点の認定 引用発明における「3個のリール8a,8b、8c」及びそこに設けられた「シンボル」は、補正発明における「メインリール」及びそこに設けられた「絵柄」に相当し、引用発明における「始動レバー14の操作」は補正発明における「ゲームの開始操作」に相当する。また、引用発明における「機械内部」及び「入賞抽選処理」は補正発明における「制御部」及び「内部抽選」に相当し、これによって「予め定められた複数の入賞役のうちいずれかに当選したか否かを確定し」ていることは引用発明においても明らかである。そして、引用発明において「シンボル」の表示が「シンボル表示窓20a、20b、20c」上で行われ、「入賞ライン」もそこに存在することが明らかであるから、「リール毎の停止スイッチ15a、15b、15cの停止操作のタイミングと抽選結果とに基づいて、各リールを、抽選当たりがあったときは入賞ライン上に入賞に関わるシンボルが停止するように、抽選当たりがなかったときは入賞に関わるシンボルが入賞ライン上に停止しないように、引込制御を介して停止させ、全てのリールが停止したとき、入賞ライン上に、所定のシンボルによる所定の組み合わせが成立すると、そのゲームは入賞となり、入賞の種類に応じて、予め決められた枚数のメダルがそのゲームの配当として払い出される」は、補正発明における「前記各メインリールに対応した停止操作により、各メインリールを、ハズレを含む前記内部抽選の結果に基づいて停止させ、停止した前記リール絵柄表示窓上の前記絵柄の組合せが入賞している場合は該入賞に対応する所定の数の遊技媒体を払い出す」に相当する。 すなわち、補正発明において「複数種類の絵柄を施したメインリールを複数列備え、メダル又は玉等の遊技媒体を投入し、ゲームの開始操作により前記複数列のメインリールをリール絵柄表示窓上で移動を開始させ、制御部の内部抽選により予め定められた複数の入賞役のうちいずれかに当選したか否かを確定し、前記各メインリールに対応した停止操作により、各メインリールを、ハズレを含む前記内部抽選の結果に基づいて停止させ、停止した前記リール絵柄表示窓上の前記絵柄の組合せが入賞している場合は該入賞に対応する所定の数の遊技媒体を払い出すスロットマシンであって」とある点は、引用発明との一致点である。 引用発明において「リール状」とした「3個の抽選報知器50a、50b、50c」は補正発明における「サブリール」に相当し、そこにおける「当たり報知シンボル」を含む「いずれかの報知用シンボル」は「複数種類の絵柄」に相当する。引用発明において3個の抽選報知器は各リールの停止スイッチに対応し、また停止スイッチの操作によって対応するリール及び対応する抽選報知器の停止が行われるから、「サブリール」が「前記メインリールの各々に対応して」いることは引用発明と補正発明との一致点である。そして、引用発明において抽選報知器が「変動表示の開始の後」「変動表示を停止」することは、そこに機械内部の制御が介在することが明らかであるから、補正発明における「前記制御部は前記サブリールを回転させた後に前記サブリールを停止させ」に相当する。また、引用発明において変動停止した抽選報知器が「当たり報知シンボルが3個並んで表示」することで「特別抽選当たりを示す」ことは、補正発明における「前記サブリールの所定位置に停止表示されたサブリール上の絵柄の組合せにより前記内部抽選の結果を報知し」に相当する。さらに、引用発明において「リール状」とした「抽選報知器50a、50b、50c」を「リール8a、8b、8cの上部に横一列」で配置することは、補正発明において「前記サブリールは左右方向に配列され、かつ、各々の前記サブリールは、対応する前記メインリールの上部に配置され」ることに相当する。 すなわち、補正発明において「前記メインリールの各々に対応して複数種類の絵柄を施したサブリールを設け、前記制御部は前記サブリールを回転させた後に前記サブリールを停止させ、前記サブリールの所定位置に停止表示されたサブリール上の絵柄の組合せにより前記内部抽選の結果を報知し、前記サブリールは左右方向に配列され、かつ、各々の前記サブリールは、対応する前記メインリールの上部に配置され、」とある点は、引用発明との一致点である。 引用発明において抽選報知器の停止に機械内部の停止制御が介在することは明らかであり、また、「各リール8a,8b,8cの停止スイッチ15a,15b,15cを押操作すると、対応する抽選報知器50a、50b、50cに対して第1の停止制御又は第2の停止制御を実行する」ことは、「第1の停止制御」及び「第2の停止制御」のいずれが行われるとしても、「停止制御」の「実行」は「操作に応じて」いることが明らかであるから、「前記制御部は、前記各メインリールに対応した前記停止操作に応じて、前記各メインリールに対応する前記サブリールを停止させる停止制御を実行する」ことは、補正発明と引用発明との一致点である。 以上をまとめると、補正発明と引用発明は、 「複数種類の絵柄を施したメインリールを左右方向に複数列備え、メダル又は玉等の遊技媒体を投入し、ゲームの開始操作により前記複数列のメインリールをリール絵柄表示窓上で移動を開始させ、制御部の内部抽選により予め定められた複数の入賞役のうちいずれかに当選したか否かを確定し、前記各メインリールに対応した停止操作により、各メインリールを、ハズレを含む前記内部抽選の結果に基づいて停止させ、停止した前記リール絵柄表示窓上の前記絵柄の組合せが入賞している場合は該入賞に対応する所定の数の遊技媒体を払い出すスロットマシンであって、 前記メインリールの各々に対応して複数種類の絵柄を施したサブリールを設け、前記制御部は前記サブリールを回転させた後に前記サブリールを停止させ、前記サブリールの所定位置に停止表示されたサブリール上の絵柄の組合せにより前記内部抽選の結果を報知し、 前記サブリールは左右方向に配列され、かつ、各々の前記サブリールは、対応する前記メインリールの上部に配置され、 前記制御部は、前記各メインリールに対応した前記停止操作に応じて、前記各メインリールに対応する前記サブリールを停止させる停止制御を実行する、スロットマシン。」 である点で一致し、以下の各点で相違する。 <相違点1> 停止操作に応じてサブリールを停止させる停止制御を実行する一方で、補正発明では「最後の前記停止操作に対応する前記サブリールについては、当該最後の前記停止操作から予め設定された時間の経過後に前記停止制御を実行」するのに対し、引用発明はそのような停止制御を行っていない点。 <相違点2> 補正発明では、「前記予め設定された時間」を「前記サブリールにより表示する前記絵柄の組合せに応じて異なるように設定」しているのに対して、引用発明はそのような設定を行っていない点。 6.相違点の判断及び補正発明の独立特許要件の判断 (1)相違点1について スロットマシンにおいては、たとえば特開2000-140199号公報に「内部入賞していることを、・・・所定の時間遅れて報知することにより」(段落【0095】)と記載され、また特開2000-37498号公報に「報知時期の具体例としては、・・・・例えば、3個目のリールを停止させた後の所定時間経過後・・・等を挙げることができる。」(段落【0032】)と記載がされているように、内部抽選結果の報知を所定時間遅らせて行うことは本件出願の時点で周知技術であったうえ、上記特開2000-37498号公報には、当該報知手段として「1又は2以上のリール(ゲームにおける入賞とは無関係の別個に設けられたリールでもよい)」(段落【0026】)との記載もされており、引用発明の如くリール状の抽選報知器を用いた場合にも、そのような周知技術が適宜採用可能であったことは明らかである。 そうであれば、引用発明の如く、変動表示を停止した抽選報知器が当たり報知シンボルを3個並んで表示することで内部の特別抽選当たりを示す、リール変動表示型の抽選報知を行うに際して、特別抽選当たりの場合を含み報知の動作を完了することとなる最後の抽選報知器については、報知自体を所定の時間遅らせるために、「停止制御」の「実行」自体を、最後の「停止操作」から予め設定された時間遅らせるようにして、相違点1に係る補正発明の構成を得ることは、引用発明と上記周知技術とを知る当業者であれば容易に想到できた事項と言わざるを得ない。 (2)相違点2について 上記した特開2000-37498号公報には、前述した「1又は2以上のリール(ゲームにおける入賞とは無関係の別個に設けられたリールでもよい)」(段落【0026】)との記載に加えて、「賞の種類・・・に応じて報知時期を変える」(段落【0033】)ことも記載されており、複数のサブリールを用いた内部抽選報知において、賞の種類に応じて報知の遅れ時間を異ならせることが開示されている。 引用発明は、最後の抽選報知器の停止時に「当たり報知シンボルを3個並んで表示する」絵柄の組合せで特別抽選当たりを示すものであるが、記載事項ソ.にあるように抽選の結果と離れた報知となることを防止するための停止制御は排除されておらず、また引用例中には記載事項ス.にあるように、「奇数の同じ報知用シンボルが3個停止」という絵柄の組合せで「ビッグボーナス」の抽選当たりを、「偶数の同じ報知用シンボルが3個停止」で「レギュラーボーナス」の抽選当たりを報知することも記載されている。 そうであれば、引用発明において、各抽選報知器の表示を抽選結果に沿うように、賞の種類に応じて異なる絵柄で停止させるとともに、賞の種類に応じて報知の遅れ時間も異なるように、相違点1について検討した最後の抽選報知器に対する停止制御の実行までの遅れ時間を、賞の種類に対応する絵柄の組合せに応じて異なるように設定し、相違点2に係る補正発明の構成を得ることは、当業者にとって自明である。 (3)補正発明の独立特許要件の判断 相違点1-2の構成上の容易想到性は上述のとおりであり、これら相違点に係る補正発明の構成を採用したことによる格別の作用効果を認めることもできない。 したがって補正発明は、引用発明及び周知技術並びに特開2000-37498号公報に記載された技術に基づいて、当業者が容易に発明をすることができたものであるから、特許法第29条第2項の規定により特許出願の際独立して特許を受けることができない。 すなわち、本件補正は平成18年改正前特許法第17条の2第5項で準用する同法第126条第5項の規定に違反している。 [補正の却下の決定のむすび] 以上述べたとおり、本件補正は平成18年改正前特許法第17条の2第5項で準用する同法第126条第5項の規定に違反しているので、同法第159条第1項で読み替えて準用する同法第53条第1項の規定により却下されなければならない。 よって、補正の却下の決定の結論のとおり決定する。 第3 本件審判請求についての判断 1.本願発明の認定 平成18年2月21日付け手続補正は当審において却下され、また平成17年9月15日付け手続補正は原審において却下されているから、本願の請求項1に係る発明(以下、「本願発明」という。)は、平成16年12月2日付け手続補正により補正された明細書の特許請求の範囲【請求項1】に記載された事項によって特定される、「第2 補正の却下の決定」の「1.補正内容」において(補正前)【請求項1】として示したとおりのものと認める。 2.引用刊行物記載の発明の認定 本願出願前に頒布された刊行物である、原査定の拒絶の理由に引用された引用例1には、「第2 補正の却下の決定」の「4.引用刊行物記載の発明の認定」において認定したとおりの引用発明が記載されている。 3.本願発明と引用発明の一致点及び相違点の認定 本願発明は補正発明に対して、「第2 補正の却下の決定」の「1.補正内容」で認定した補正がされる前のものであり、すなわちメインリール及びサブリールの配置を限定がされず、「予め設定された時間」について「前記サブリールにより表示する前記絵柄の組合せに応じて異なるように設定される」との限定がされないと共に、停止操作と関連するサブリールの停止が、「停止させる停止制御」の「実行」及び「前記停止制御」の「実行」という記載に代えて、単に「停止させ(る)」と記載されたものである。 これに対して引用発明は、補正発明との一致点が、「第2 補正の却下の決定」の「5.補正発明と引用発明の一致点及び相違点の認定」で認定したとおりのものであるから、本願発明と比較した場合にも、まず「複数種類の絵柄を施したメインリールを複数列備え、・・・・サブリール上の絵柄の組合せにより前記内部抽選の結果を報知し、」という点で一致する。 また、引用発明においては、「第1の停止制御」及び「第2の停止制御」のいずれによる場合であっても、これら停止制御自体が「停止スイッチ15a,15b,15c」の「押操作」に基づいて実行されるのであるから、停止制御の帰結であるサブリールの「停止」についても、スイッチの「停止操作に応じて」なされることとなる。そのため、「前記制御部は、前記各メインリールに対応した前記停止操作に応じて、前記各メインリールに対応する前記サブリールを停止させる」という点も、引用発明と本願発明との一致点である。 さらに、引用発明においては、「第2の停止制御」によって、最後の停止操作に対応する抽選報知器は「操作からずれたタイミングで変動表示が停止」される場合があるが、この場合の「停止」のタイミングが「操作」より先行することはあり得ない。そのため、引用発明と本願発明とは、「最後の前記停止操作に対応する前記サブリール」について、「予め設定された時間」かどうかはおくとしても「当該最後の前記停止操作から」「時間の経過後に停止させる」場合があるという点では共通している。 以上をまとめると、引用発明と本願発明とは 「複数種類の絵柄を施したメインリールを複数列備え、メダル又は玉等の遊技媒体を投入し、ゲームの開始操作により前記複数列のメインリールをリール絵柄表示窓上で移動を開始させ、制御部の内部抽選により予め定められた複数の入賞役のうちいずれかに当選したか否かを確定し、前記各メインリールに対応した停止操作により、各メインリールを、ハズレを含む前記内部抽選の結果に基づいて停止させ、停止した前記リール絵柄表示窓上の前記絵柄の組合せが入賞している場合は該入賞に対応する所定の数の遊技媒体を払い出すスロットマシンであって、 前記メインリールの各々に対応して複数種類の絵柄を施したサブリールを設け、前記制御部は前記サブリールを回転させた後に前記サブリールを停止させ、前記サブリールの所定位置に停止表示されたサブリール上の絵柄の組合せにより前記内部抽選の結果を報知し、 前記制御部は、前記各メインリールに対応した前記停止操作に応じて、前記各メインリールに対応する前記サブリールを停止させる一方、 最後の前記停止操作に対応する前記サブリールについては、当該最後の前記停止操作から、時間の経過後に停止させる場合がある、 スロットマシン」 である点で一致し、以下の点で相違する。 <相違点1’> 本願発明では、最後の停止操作に対応するサブリールについては、最後の停止操作から、「予め定められた時間」の経過後に「停止させる」のに対して、引用発明では、「時間の経過後」に「停止させる場合がある」点。 4.相違点の判断及び本願発明の進歩性の判断 (1)相違点1’について 補正発明との相違点1について検討したように、引用発明において、報知を完了する最後の抽選報知器については、「停止制御」の「実行」自体を最後の「停止操作」から予め設定された時間遅らせるようにすることは、当業者にとって想到困難性がないところ、そうした場合には当該停止制御による「停止」自体も所定時間遅れてされるから、そのようにして相違点1’に係る本願発明の構成を得ることも、同様に想到困難性があるものではない。 また、引用発明自体においても、最後の抽選報知器について「第2の停止制御」により停止操作からずれた時間で停止をさせる場合があることが示されているところ、抽選報知を完結させる最後の抽選報知器については、これに類してリール8a、8b、8cで採用されている引き込み制御を積極的に採用し、リール状の抽選報知器として、絵柄単位で1コマ以内、2コマ以内といった予め定められたいくつかの所定時間経過で停止操作後に停止するようにして、相違点1’に係る本願発明の構成を得ることも、当業者であれば適宜なし得た事項である。 (2)本願発明の進歩性 引用発明との相違点に係る本願発明の構成を得ることは、上に検討したとおり困難ではなく、そのようにして本願発明の構成を採用したことによる効果も格別のものとは認められない。 したがって、本願発明は引用発明に基づいて、また引用発明及び周知技術に基づいて、当業者が容易に発明をすることができたものであるから、特許法29条2項の規定により特許を受けることができない。 第4 むすび 本件補正は却下されなければならず、本願発明が特許を受けることができない以上、本願のその余の請求項に係る発明について検討するまでもなく、本願は拒絶を免れない。 よって、結論のとおり審決する。 |
審理終結日 | 2008-09-11 |
結審通知日 | 2008-09-16 |
審決日 | 2008-09-30 |
出願番号 | 特願2000-345641(P2000-345641) |
審決分類 |
P
1
8・
575-
Z
(A63F)
P 1 8・ 572- Z (A63F) P 1 8・ 121- Z (A63F) |
最終処分 | 不成立 |
前審関与審査官 | ▲吉▼川 康史 |
特許庁審判長 |
小原 博生 |
特許庁審判官 |
有家 秀郎 川島 陵司 |
発明の名称 | スロットマシン |
代理人 | 大塚 康弘 |
代理人 | 木村 秀二 |
代理人 | 大塚 康徳 |
代理人 | 高柳 司郎 |