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審決分類 審判 査定不服 5項独立特許用件 特許、登録しない。 H02P
審判 査定不服 2項進歩性 特許、登録しない。 H02P
管理番号 1188536
審判番号 不服2007-8127  
総通号数 109 
発行国 日本国特許庁(JP) 
公報種別 特許審決公報 
発行日 2009-01-30 
種別 拒絶査定不服の審決 
審判請求日 2007-03-20 
確定日 2008-11-27 
事件の表示 特願2003- 21512「動力出力装置」拒絶査定不服審判事件〔平成16年 8月19日出願公開,特開2004-236424〕について,次のとおり審決する。 
結論 本件審判の請求は,成り立たない。 
理由 1.手続の経緯
本願は,平成15年1月30日の出願であって,平成18年8月10日に明細書についての補正がなされたものの,平成19年2月9日付けで拒絶査定がされ,これに対し,同年3月20日に拒絶査定不服審判の請求がなされると共に,同年4月12日に明細書についての補正がなされたものである。

2.平成19年4月12日付け手続補正書による補正(以下「本件補正」という。)についての補正却下の決定

[補正却下の決定の結論]
本件補正を却下する。

[理由]
(1)本件補正後の本願発明
本件補正により,特許請求の範囲の請求項1ないし9のうち,請求項1については,
「第1のインバータと,
第2のインバータと,
内燃機関に連結され,かつ,前記第1のインバータによって通電制御される第1の3相モータコイルと,前記第2のインバータによって通電制御される第2の3相モータコイルとをステータとする2Yモータと,
前記第1の3相モータコイルの第1の中性点と前記第2の3相モータコイルの第2の中性点との間に接続された電源と,
前記第1および第2のインバータの入力側に設けられ,昇圧された前記電源からの電圧を充電可能に構成されたコンデンサと,
車両の駆動輪に連結され,前記コンデンサに蓄えられた電力によって駆動されて前記車両の駆動力を発生する電動機とを備える,動力出力装置。」
と補正された。

上記補正は,本件補正前の請求項1に記載された発明を特定するために必要な事項である「2Yモータ」が「内燃機関に連結され」たものであるとの限定を付加し,かつ,同じく必要な事項である「電動機」が「車両の駆動力を発生す」るものであるとの限定を付加するものであるから,平成18年改正前特許法17条の2第4項2号の特許請求の範囲の減縮を目的とするものに該当する。

そこで,本件補正後の請求項1に係る発明(以下「本願補正発明」という。)が特許出願の際独立して特許を受けることができるものであるか(平成18年改正前特許法17条の2第5項において準用する特許法126条5項の規定に適合するか)について以下に検討する。

(2)引用例
(ア)原査定の拒絶の理由に引用された特開平10-268946号公報(以下「引用例1」という。)には,図面と共に,以下の事項が記載されている。

・「【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は,動力出力装置およびその制御方法に関し,詳しくは,駆動軸に動力を出力する動力出力装置およびその制御方法に関する。」

・「【0105】第2実施例の動力出力装置110が組み込まれた車両は,図22に示すように,クランクシャフト156にクラッチモータ30とアシストモータ40とが取り付けられている代わりにプラネタリギヤ120,モータMG1およびモータMG2が取り付けられている点を除いて第1実施例の動力出力装置20が組み込まれた車両(図2)と同様の構成をしている。」

・「【0106】図20に示すように,第2実施例の動力出力装置110は,大きくは,エンジン150,エンジン150のクランクシャフト156にプラネタリキャリア124が機械的に結合されたプラネタリギヤ120,プラネタリギヤ120のサンギヤ121に結合されたモータMG1,プラネタリギヤ120のリングギヤ122に結合されたモータMG2およびモータMG1,MG2を駆動制御する制御装置180から構成されている。」

・「【0109】モータMG1は,同期電動発電機として構成され,外周面に複数個(実施例では,N極が4個でS極が4個)の永久磁石135を有するロータ132と,回転磁界を形成する三相コイル134が巻回されたステータ133とを備える。」

・「【0110】モータMG2も,モータMG1と同様に同期電動発電機として構成され,外周面に複数個(実施例では,N極が4個でS極が4個)の永久磁石145を有するロータ142と,回転磁界を形成する三相コイル144が巻回されたステータ143とを備える。」

・「【0111】図20に示すように,第2実施例の動力出力装置110が備える制御装置180は,第1実施例の動力出力装置20が備える制御装置80と同様に構成されている。すなわち,制御装置180は,モータMG1を駆動する第1の駆動回路191,モータMG2を駆動する第2の駆動回路192,両駆動回路191,192を制御する制御CPU190,二次電池であるバッテリ194から構成されており,」

・「【0112】また,制御CPU190からは,第1の駆動回路191に設けられたスイッチング素子である6個のトランジスタTr1ないしTr6を駆動する制御信号SW1と,第2の駆動回路192に設けられたスイッチング素子としての6個のトランジスタTr11ないしTr16を駆動する制御信号SW2とが出力されている。この第1の駆動回路191および第2の駆動回路192内の各々6個のトランジスタTr1ないしTr6,トランジスタTr11ないしTr16は,それぞれトランジスタインバータを構成しており,それぞれ,一対の電源ラインL1,L2に対してソース側とシンク側となるよう2個ずつペアで配置され,その接続点に,第1の駆動回路191ではモータMG1の三相コイル134の各々が,第2の駆動回路192ではモータMG2の三相コイル144の各々が接続されている。」

・「【0121】・・・このとき,モータMG1では回転の方向と逆向きにトルクを作用させるから,モータMG1は発電機として動作することになり,トルクTm1と回転数Nsとの積で表わされる電気エネルギPm1をサンギヤ軸125から回生する。モータMG2では,回転の方向とトルクの方向とが同じであるから,モータMG2は電動機として動作し,トルクTm2と回転数Nrとの積で表わされる電気エネルギPm2を動力としてリングギヤ軸126に出力する。
【0122】ここで,電気エネルギPm1と電気エネルギPm2とを等しくすれば,モータMG2で消費する電力のすべてをモータMG1により回生して賄うことができる。このためには,入力されたエネルギのすべてを出力するものとすればよいから,エンジン150から出力されるエネルギPeとリングギヤ軸126に出力されるエネルギPrとを等しくすればよい。すなわち,トルクTeと回転数Neとの積で表わされるエネルギPeと,トルクTrと回転数Nrとの積で表わされるエネルギPrとを等しくするのである。図23に照らせば,運転ポイントP1で運転されているエンジン150から出力されるトルクTeと回転数Neとで表わされる動力を,トルク変換して,エネルギが同一でトルクTrと回転数Nrとで表わされる動力としてリングギヤ軸126に出力するのである。前述したように,リングギヤ軸126に出力された動力は,動力取出ギヤ128および動力伝達ギヤ111により駆動軸112に伝達され,ディファレンシャルギヤ114を介して駆動輪116,118に伝達される。したがって,リングギヤ軸126に出力される動力と駆動輪116,118に伝達される動力とにはリニアな関係が成立するから,駆動輪116,118に伝達される動力を,リングギヤ軸126に出力される動力を制御することにより制御することができる。」

・図20には,実質的に,モータMG1がエンジン150に連結されたものが示されているといえる。また,コンデンサが充電可能に構成されたものであることは明らかなことに照らせば,図20には,電圧を充電可能に構成されたコンデンサが,第1の駆動回路191(「トランジスタインバータ」ともいう。前記【0112】参照)の入力側に設けられていることが示されているといえる。

・前記【0121】及び【0122】における,モータMG2の動力がリングギヤ軸126に出力され,リングギヤ軸126に出力された動力が駆動輪116,118に伝達される旨の記載に照らせば,図20及び図22には,モータMG2が車両の駆動輪116,118に連結され,コンデンサに蓄えられた電力によって駆動されて車両の駆動力を発生することが示されているといえる。

これらの記載事項及び図示内容によれば,引用例1には,
「トランジスタインバータと,
エンジンに連結され,かつ,前記トランジスタインバータによって駆動が制御される三相コイルをステータとするモータMG1と,
前記トランジスタインバータの入力側に設けられ,電圧を充電可能に構成されたコンデンサと,
車両の駆動輪に連結され,前記コンデンサに蓄えられた電力によって駆動されて前記車両の駆動力を発生するモータMG2とを備える,動力出力装置。」
という事項を含む発明(以下「引用発明」という。)が記載されていると認定することができる。

(イ)同じく,原査定の拒絶の理由に引用された特開2002-218793号公報(以下「引用例2」という。)には,図面と共に,以下の事項が記載されている。

・「【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は,駆動装置,動力出力装置およびその制御方法に関する。」

・「【0020】なお,本動力出力装置において,『電動機』には,発電可能な発電電動機も含まれる。」

・「【0026】・・・。実施例の2Yモータ22は前述したように発電電動機として構成されているから,2Yモータ22の回転軸に動力を入力すれば,2Yモータ22により発電できるようになっている。」

・「【0029】・・・。したがって,この回路は,直流電源40のエネルギをコンデンサ38に蓄えるコンデンサ充電回路とみなすことができる。このコンデンサ充電回路は,昇圧チョッパ回路と同様の構成となっているから,コンデンサ38の端子間電圧Vcを直流電源40の電圧Vbより高く自由に操作することができる。」

・「【0034】以上説明した実施例の動力出力装置20によれば,2Yモータ22の三相コイル24,26の中性点間に直流電源40を接続すると共に三相コイル24,26の中性点間の電位差V012を調節することにより,インバータ入力電圧Viとしてのコンデンサ38の端子間電圧Vcを自由に制御することができる。したがって,2Yモータ22の駆動状態に基づいて自由にインバータ入力電圧Viを調節できるから,インバータ入力電圧Viが所定の範囲内に制限されている場合や所定の電圧に固定されている場合に比して,2Yモータ22を効率よく駆動することができる。しかも,直流電源40の電圧Vbを自由に選べるから,直流電源40に対する設計の自由度を著しく大きくすることができる。」

・「【0041】『2YDCにおけるコンデンサ電圧制御』上述のように,本実施形態では,2つの多相コイルの中性点間に直流電源を配置し,2つの多相コイルへの電力供給を制御するインバータのスイッチングを制御することで,2つのインバータの電源であるコンデンサ電圧を制御した。
【0042】ここで,本実施形態の2YDCシステムをインバータの内部を省略して書き直すと図13のように表すことができる。
【0043】すなわち,コンデンサCの一端は一定電圧の電源(例えば,アース)に接続されている。そして,このコンデンサCの両端がインバータINV1,インバータINV2にそれぞれ接続されている。すなわち,コンデンサCの出力が電源としてインバータINV1,INV2に入力されている。
【0044】インバータINV1は,3相の出力U1,V1,W1を有し,ここにモータコイルM1のU,V,Wの3相のコイルがそれぞれ接続されている。また,インバータINV2は,3相の出力U2,V2,W2を有し,ここにモータコイルM2のU,V,Wの3相のコイルがそれぞれ接続されている。
【0045】ここで,モータコイルM1,M2は,別々に示しているが,1つのモータのコイルであり,通常の場合モータに所定角度だけ異なるように配置され,その所定角度だけ異なる位相の電流が供給される。これによって,両モータコイルM1,M2に供給する電流の両方がモータ駆動電流として機能する。
【0046】モータコイルM1,M2の各相モータコイルは中性点で共通接続されており,モータコイルM1,M2の中性点同士がバッテリBを介し接続されている。この例では,モータコイルM1の中性点にバッテリBの正極が接続され,モータコイルM2の中性点にバッテリBの負極が接続されている。
【0047】なお,図示は省略したが,インバータINV1,INV2は,それぞれ第1電源pと第2電源m間(図示の例では第1電源pがアース)に配置された2つのスイッチングトランジスタの直列接続からなるアームを3つ有しており,これらアームの中点が各相コイル端に接続されている。
【0048】従って,インバータINV1,INV2内のスイッチングトランジスタのオンオフを制御することによって,コンデンサCから所望の電流をモータコイルM1,M2に供給し,これらを駆動することができる。さらに,インバータINV1,INV2における上側トランジスタのオン期間と,下側トランジスタのオン期間の長さに差を付けることによって,モータコイルM1,M2における中性点から出入りするモータ駆動用の相電流以外の電流(零相電流)が制御される。
【0049】ここで,本実施形態では,1つのコンデンサCの両端電圧(出力電圧)Vcを電源としてインバータINV1,INV2が駆動される。そして,バッテリBの両端電圧(出力電圧)Eは基本的に変動しない。そこで,零相電流を制御することで,モータコイルM1,M2の中点電位をバッテリBの電圧分だけの差を維持しつつ,任意に設定することができる。」

(3)対比
そこで,本願補正発明と引用発明とを対比すると,まず,引用発明の「トランジスタインバータ」と,本願補正発明の「第1のインバータ」及び「第2のインバータ」とは,「インバータ」という概念で共通する。
また,引用発明の「エンジン」は,本願補正発明の「内燃機関」に相当する。
次に,インバータによる三相コイルの「駆動制御」であれば,それは「通電制御」といえるものであることに照らせば,引用発明の「トランジスタインバータによって駆動が制御される三相コイルをステータとするモータMG1」と,本願補正発明の「第1のインバータによって通電制御される第1の3相モータコイルと,第2のインバータによって通電制御される第2の3相モータコイルとをステータとする2Yモータ」とは,「インバータによって通電制御される3相モータコイルをステータとするモータ」という概念で共通する。
最後に,引用発明の「モータMG2」は,本願補正発明の「電動機」に相当する。

そうすると,両者は,
「インバータと,
内燃機関に連結され,かつ,前記インバータによって通電制御される3相モータコイルをステータとするモータと,
前記インバータの入力側に設けられ,電圧を充電可能に構成されたコンデンサと,
車両の駆動輪に連結され,前記コンデンサに蓄えられた電力によって駆動されて前記車両の駆動力を発生する電動機とを備える,動力出力装置。」
の点で一致し,以下の点で相違している。

・相違点1
3相モータコイルを通電制御するインバータが,本願補正発明では「第1のインバータ」及び「第2のインバータ」の2つのインバータであるのに対し,引用発明では「トランジスタインバータ」であって1つのインバータである点。

・相違点2
ステータに関し,本願補正発明では「第1のインバータによって通電制御される第1の3相モータコイルと,第2のインバータによって通電制御される第2の3相モータコイルと」をステータとしているのに対し,引用発明では「トランジスタインバータによって駆動が制御される三相コイル」をステータとしている点。

・相違点3
モータが,本願補正発明では「2Yモータ」であるのに対し,引用発明では単なる「モータ」である点。

・相違点4
動力出力装置に関し,本願補正発明では「第1の3相モータコイルの第1の中性点と第2の3相モータコイルの第2の中性点との間に接続された電源」を備えるとの特定がなされているのに対し,引用発明ではかかる特定がなされていない点。

・相違点5
コンデンサが,本願補正発明では「第1および第2のインバータ」の入力側に設けられ,「昇圧された電源からの」電圧を充電可能に構成されるものであるのに対し,引用発明では「トランジスタインバータ」の入力側に設けられるものであり,かつ,電圧について「昇圧された電源からの」という特定がなされていない点。

(4)相違点についての判断
引用例2には,第1のインバータ(「インバータINV1」が相当)と,第2のインバータ(「インバータINV2」が相当)と,前記第1のインバータによって通電制御される第1の3相モータコイル(「三相コイル24」又は「モータコイルM1」が相当)と,前記第2のインバータによって通電制御される第2の3相モータコイル(「三相コイル26」又は「モータコイルM2」が相当)とをステータとする2Yモータと,前記第1の3相モータコイルの中性点と前記第2の3相モータコイルの中性点との間に接続された電源(「直流電源40」又は「バッテリB」が相当)と,前記第1および第2のインバータの入力側に設けられ,昇圧された前記電源からの電圧(前記【0029】の摘記事項を参照)を充電可能に構成されたコンデンサ(「コンデンサ38」又は「コンデンサC」が相当)とを備える動力出力装置が記載されている。
また,前記「(2)(イ)」で摘記した【0026】に記載されるとおり,引用例2に記載の2Yモータは,その回転軸に動力を入力することで発電機として用いることができるものである。
ここで,引用発明におけるモータMG1は,前記「(2)(ア)」で摘記した【0121】に記載されるとおり,発電機として動作させるものである。
そして,発電機としての機能を実現できる限りにおいて,引用発明におけるモータMG1を,他の形式の発電機に置き換えることは,当業者が通常の創作活動の一環として適宜なし得るところである。
そうすると,引用発明におけるモータMG1として,引用例2の2Yモータを採用することは当業者が容易になし得たものである。また,2Yモータの採用に伴って,引用例2に記載されるような,インバータや三相モータコイルをそれぞれ2つづつ備えたり,2つの三相モータコイル間の中性点に接続された電源からの電圧をインバータ及び三相モータコイルを用いて昇圧しコンデンサに供給したりすることは,当業者にとって格別の困難性を伴うことなく実施できたことである。
したがって,引用発明において,引用例2の記載事項を参酌し,相違点1ないし5に係る本願補正発明の構成とすることは,当業者が容易に想到し得た事項である。

そして,本願補正発明の作用効果も,引用発明及び引用例2の記載事項から当業者が予測できる範囲のものである。

したがって,本願補正発明については,引用発明及び引用例2の記載事項に基づいて,当業者が容易に発明をすることができたものであるから,特許法29条2項の規定により特許出願の際独立して特許を受けることができない。

(5)むすび
以上のとおりであるから,本件補正は,平成18年改正前特許法17条の2第5項で準用する特許法126条5項の規定に違反するものであり,平成18年改正前特許法159条1項で読み替えて準用する同法53条1項の規定により却下を免れない。

3.本願発明について
本件補正は上記のとおり却下されたので,本願の請求項1に係る発明(以下「本願発明」という。)は,平成18年8月10日付け手続補正書で補正がされた明細書の請求項1に記載された事項により特定される,以下のとおりのものである。

「第1のインバータと,
第2のインバータと,
前記第1のインバータによって通電制御される第1の3相モータコイルと,前記第2のインバータによって通電制御される第2の3相モータコイルとをステータとする2Yモータと,
前記第1の3相モータコイルの第1の中性点と前記第2の3相モータコイルの第2の中性点との間に接続された電源と,
前記第1および第2のインバータの入力側に設けられ,昇圧された前記電源からの電圧を充電可能に構成されたコンデンサと,
車両の駆動輪に連結され,前記コンデンサに蓄えられた電力によって駆動される電動機とを備える,動力出力装置。」

(1)引用例
原査定の拒絶の理由に引用された引用例及びその記載事項は,前記「2.(2)」に記載したとおりである。

(2)対比・判断
本願発明は,前記「2.」で検討した本願補正発明から,発明を特定するために必要な事項である「2Yモータ」が「内燃機関に連結され」たものであるとの限定を省き,かつ,同じく必要な事項である「電動機」が「車両の駆動力を発生す」るものであるとの限定を省いたものである。
そうすると,本願発明の構成要件をすべて含み,さらに前記限定による構成要件を付加したものに相当する本願補正発明が,前記「2.(4)」に記載したとおり,引用発明及び引用例2の記載事項に基づいて当業者が容易に発明をすることができたものであるから,前記限定を省いた本願発明についても同様にして,引用発明及び引用例2の記載事項に基づいて当業者が容易に発明をすることができたものである。

(3)むすび
以上のとおり,本願発明については,引用発明及び引用例2の記載事項に基づいて当業者が容易に発明をすることができたものであるから,特許法29条2項の規定により特許を受けることができない。
したがって,本願は,その余の請求項に係る発明について論及するまでもなく,特許法49条2号の規定に該当し,拒絶をされるべきものである。
よって,結論のとおり審決する。
 
審理終結日 2008-09-19 
結審通知日 2008-09-30 
審決日 2008-10-14 
出願番号 特願2003-21512(P2003-21512)
審決分類 P 1 8・ 121- Z (H02P)
P 1 8・ 575- Z (H02P)
最終処分 不成立  
前審関与審査官 片岡 弘之  
特許庁審判長 田中 秀夫
特許庁審判官 大河原 裕
本庄 亮太郎
発明の名称 動力出力装置、モータ駆動方法およびモータの駆動制御をコンピュータに実行させるためのプログラムを記録したコンピュータ読取り可能な記録媒体  
代理人 森田 俊雄  
代理人 武藤 正  
代理人 深見 久郎  

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