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審決分類 審判 査定不服 2項進歩性 特許、登録しない。 G06F
審判 査定不服 5項独立特許用件 特許、登録しない。 G06F
管理番号 1189440
審判番号 不服2005-23251  
総通号数 110 
発行国 日本国特許庁(JP) 
公報種別 特許審決公報 
発行日 2009-02-27 
種別 拒絶査定不服の審決 
審判請求日 2005-12-01 
確定日 2008-12-11 
事件の表示 特願2003-286053「映像データ記録再生システム、映像データ記録再生方法並びに映像データ記憶装置」拒絶査定不服審判事件〔平成16年 2月12日出願公開、特開2004- 46885〕について、次のとおり審決する。 
結論 本件審判の請求は、成り立たない。 
理由 I.手続きの経緯
本願は、平成6年5月27日に出願した特願平6-115067号の一部を平成15年8月4日に新たな特許出願としたものであって、平成17年10月27日付けで拒絶査定がなされ、これに対し、同年12月1日に拒絶査定不服審判が請求されるとともに、同年12月27日付けで手続補正(以下、「本件補正」という。)がなされたものである。

II.平成17年12月27日付けの手続補正について
[結論]平成17年12月27日付けの手続補正(以下、「本件補正」という。)を却下する。
その理由は以下のとおり。

[理由]
(1)補正後の本願発明
本件補正により、特許請求の範囲は、
「【請求項1】
複数の入出力端子と、映像データ記憶装置とからなる映像データ記録再生システムであって、
イーサーネットでなるコンピュータネットワークを介して制御信号を供給するシステム制御装置を有し、
上記制御信号に基づいて、上記入出力端子に接続された複数の映像データ入力/出力装置から入出力された映像データを、上記映像データ記憶装置に記憶することまたは、上記映像データ記憶装置から読み出すことを特徴とする映像データ記録再生システム。
【請求項2】
上記映像データ記憶装置及び上記システム制御装置と上記イーサーネットでなるコンピュータネットワークを介して接続され、上記システム制御装置の制御に基づいて上記映像データ記憶装置から映像データを読み出して編集を行う編集制御装置をさらに備えることを特徴とする請求項1記載の映像データ記録再生システム。
【請求項3】
上記映像データ記憶装置及び上記システム制御装置と上記イーサーネットでなるコンピュータネットワークを介して接続され、上記システム制御装置の制御に基づいて上記映像データ記憶装置から読み出された映像データを送出する送出装置をさらに備えることを特徴とする請求項1記載の映像データ記録再生システム。
【請求項4】
複数の入出力端子と、映像データ記憶装置とからなる映像データ記録再生システムによって実行される映像データ記録再生方法であって、
上記映像データ記憶装置はイーサーネットでなるコンピュータネットワークを介してシステム制御装置に接続されており、上記イーサーネットでなるコンピュータネットワークを介してシステム制御装置から供給される制御命令に基づいて、
上記入出力端子に接続された複数の映像データ入力装置から映像データを入力する映像データ入力工程と、
上記映像データ入力工程によって上記映像データ入力装置から入力された映像データを上記映像データ記憶装置に記憶する映像データ記憶工程と、
上記映像データ記憶装置から上記映像データを読み出す映像データ読み出し工程と、
上記映像データ読み出し工程により上記映像データ記憶装置から読み出された上記映像データを出力する映像データ出力工程と
を備えることを特徴とする映像データ記録再生方法。
【請求項5】
複数チャンネルの入出力端子と、複数のディスク装置に対して並列的に映像データを記録及び再生する記憶手段と、上記入出力端子から入力された情報データを1チャンネル或いは複数チャンネル同時に上記記憶手段に送り、この記憶手段にて再生された情報データを1チャンネル或いは複数チャンネル同時に任意の順序で上記入出力端子に出力する入出力手段とを有する映像データ記憶装置であって、
イーサーネットでなるコンピュータネットワークを介して制御信号を供給するシステム制御装置に接続し、
上記システム制御信号の制御により、上記複数チャンネルの入出力端子に接続される複数の映像データ入力/出力装置から入出力された映像データを、上記記憶装置に記憶するときまたは、上記記憶装置から読み出すときに、
上記入出力手段は、上記入出力端子から入力された複数チャンネルの映像データを圧縮すると共に、上記複数のディスク装置から再生された情報データを伸長する圧縮/伸長部を有することを特徴とする映像データ記憶装置。
【請求項6】
上記記憶装置として、複数のディスク装置に対して並列的に記録再生を行うディスクアレイ部を用い、
上記入出力手段内に、入力された複数チャンネルの情報データを分配して上記ディスクアレイ部の複数のディスク装置に送り、これらの複数のディスク装置から再生された情報データを集合して複数チャンネルの出力として取り出す分配/集合部を設けることを特徴とする請求項5記載の映像データ記憶装置。」

と補正された。(なお、アンダーラインは、補正箇所を示すために付したものである。)

上記補正は、本件補正前の請求項1?5に係る発明を特定するために必要な事項である「コンピュータネットワーク」について、「イーサネットでなる」とする限定を付加したものであって、特許法第17条の2第3項第2号に掲げる特許請求の範囲の減縮を目的とするものである。

そこで、本件補正後の上記請求項1に係る発明(以下、「本願補正発明」という。)が特許出願の際独立して特許を受けることができるものであるか(特許法第17条の2第5項において準用する同法第126条第5項の規定に適合するか)について以下に検討する。

(2)刊行物の記載

原査定の拒絶の理由に引用された特開平5-122723号公報(以下、「刊行物1」という)には、図面とともに、以下の事項が記載されている。

(A)「【請求項1】 複数の標準方式のデジタル映像信号を媒体に記録するデジタル映像信号記録装置であって、
上記複数の標準方式に対応するデジタル映像信号がそれぞれ供給される複数のインタフェース手段と、
この複数のインタフェース手段の1つを選択する選択手段と、
この選択手段により選択されたインタフェース手段に対応する特定標準方式の画面設定情報に基づいて、当該選択されたインタフェース手段を介して供給される画面単位のデジタル映像信号から複数のコードブロックデータを形成するエンコード手段と、
上記複数のコードブロックデータを所定の順序に配列して記録データを形成する記録データ形成手段とを備えることを特徴とするデジタル映像信号記録装置。」

(B)「【0012】
【課題を解決するための手段】第1のこの発明は、複数の標準方式のデジタル映像信号を媒体Dに記録するデジタル映像信号記録装置であって、複数の標準方式に対応するデジタル映像信号がそれぞれ供給される複数のインタフェース手段11a?11nと、この複数のインタフェース手段の1つを選択する選択手段12と、この選択手段により選択されたインタフェース手段に対応する特定標準方式の画面設定情報に基づいて、当該選択されたインタフェース手段を介して供給される画面単位のデジタル映像信号から複数のコードブロックデータを形成するエンコード手段31,36と、複数のコードブロックデータを所定の順序に配列して記録データを形成する記録データ形成手段32,37とを備えるデジタル映像信号記録装置である。
【0013】第2のこの発明は、媒体に記録されたデータを再生してデジタル映像信号を出力するデジタル映像信号再生装置であって、複数の標準方式にそれぞれ対応する複数のインタフェース手段11a?11nと、この複数のインタフェース手段の1つを選択する選択手段12と、媒体から再生されたデータ中に所定の順序で配列される複数のコードブロックデータを分別する再生データ分別手段34,37と、選択手段により選択されたインタフェース手段に対応する特定標準方式の画面設定情報に基づいて、分別された複数のコードブロックデータから特定標準方式の画面単位のデジタル映像信号を形成するデコード手段35,36とを備え、このデコード手段の出力を選択されたインタフェース手段に供給するようにしたデジタル映像信号再生装置である。」

(C)「【0014】
【作用】この発明によれば、共通の装置を用いて、複数の方式の映像信号が共通の媒体にデジタル記録または再生される。
【0015】
【実施例】以下、図1?図6を参照しながら、この発明によるデジタル映像信号記録または再生装置の一実施例について説明する。
【0016】この発明の一実施例の構成を図1に示す。図1において、1a,1bはそれぞれ525/60方式,625/50方式に対応するD-1VTRであり、1nはHD方式に対応するデジタルVTRであって、各VTR1a,1b,1nは、図示を省略した他の方式のデジタルVTRと共に、各標準方式に専用のインタフェース11a,11b‥‥11nを介して、セレクタ12にそれぞれ接続される。また、各インタフェース11a?11n内のメモリ(図示は省略)には、前述のような各方式の画像データ等のディメンジョン(Px×Ln×Qv)が格納される。
【0017】20はシステム制御回路(マイクロプロセッサ)であって、データバス21を介して、各インタフェース11a?11n及びセレクタ12に接続される。この実施例では、装置を単独、いわゆるスタンド・アローンで使用するため、記録キー22,再生キー23を設けるが、破線で示すように、ホストコンピュータHCによる制御も可能である。
【0018】31はエンコーダ、32はフォーマッタであって、このエンコーダ31には、セレクタ12を介して、複数のインタフェース11a?11nのいずれか1つ、例えば525/60方式のインタフェース11aが接続される。記録モードでは、エンコーダ31の出力が、フォーマッタ32を介して、光学ヘッド33に供給され、光磁気ディスクのような適宜の媒体Dに記録される。34はセパレータ、35はデコーダであって、再生モードでは、光学ヘッド33の再生信号が、セパレータ34を介して、デコーダ35に供給される。このデコーダ35には、セレクタ12を介して、例えば525/60方式のインタフェース11aが接続される。
【0019】記録モードでは、エンコーダ31とフォーマッタ32とが、それぞれシーケンサ36,37を介して、マイクロプロセッサ20に制御される。また、再生モードでは、セパレータ34とデコーダ35とが、それぞれシーケンサ37,36を介して、マイクロプロセッサ20に制御される。そして、光磁気ディスクDを駆動するモータ41は、記録・再生の両モードにおいて、駆動制御回路40を介して、マイクロプロセッサ20に制御される。
【0020】次に、図2?図6をも参照しながら、この発明の一実施例の動作について説明する。まず、図1に実線で示すように、525/60方式対応のD-1VTR1aとこの方式に専用のインタフェース11aが接続されている場合の記録動作について説明する。
【0021】この場合、マイクロプロセッサ20に制御されて、セレクタ12により、インタフェース11aが選択され、このインタフェース11aとセレクタ12とを介して、前出図7に示すような525/60方式の画像データがエンコーダ31に供給される。また、インタフェース11aの選択に応じて、内蔵のメモリ(図示は省略)に格納された、525/60方式の画像データ等のディメンジョン(Px×Ln×Qv)がマイクロプロセッサ20に取り込まれて、シーケンサ36には、マイクロプロセッサ20により、以下に述べるようなデータブロックの分割シーケンスが設定される。」

(D)「【0037】再生時は、記録時とは逆に、光学ヘッド33からの再生信号がセパレータ34に供給され、同時に再生されたIDに従って、図3Cに示すようなコードブロックに再構成される。このとき、前述のような構成ブロックのディメンジョン・データがマイクロプロセッサ20に取り込まれ、シーケンサ36には、マイクロプロセッサ20により、分割とは逆の、データブロックの再構成シーケンスが設定される。
【0038】デコーダ35においては、セパレータ34の出力データから、図3,図2に示されるような中間段階を経て、前出図7,図8に示すような映像データと音声データとが再構成される。そして、セレクタ12も再生信号のIDに従って選択され、デコーダ35からの映像データと音声データとが、対応するインターフェース11aを介して、D-1VTR1aに供給される。」

図1には、セレクタ12が、インタフェース11a?11nと接続される複数の入出力部を有することが示されている。

ここで摘記事項(C)には、「記録モードでは、エンコーダ31の出力が、フォーマッタ32を介して、光学ヘッド33に供給され、光磁気ディスクのような適宜の媒体Dに記録される。・・・再生モードでは、光学ヘッド33の再生信号が、セパレータ34を介して、デコーダ35に供給される。」とあるから、刊行物1に記載のデジタル映像信号記録または再生装置は、「光磁気ディスク記録再生装置」を有することは明らかである。
さらに、同(C)には、「20はシステム制御回路(マイクロプロセッサ)であって、データバス21を介して、各インタフェース11a?11n及びセレクタ12に接続される。」、「記録モードでは、エンコーダ31とフォーマッタ32とが、それぞれシーケンサ36,37を介して、マイクロプロセッサ20に制御される。また、再生モードでは、セパレータ34とデコーダ35とが、それぞれシーケンサ37,36を介して、マイクロプロセッサ20に制御される。そして、光磁気ディスクDを駆動するモータ41は、記録・再生の両モードにおいて、駆動制御回路40を介して、マイクロプロセッサ20に制御される。」とあるから、システム制御回路20は、データバス21を介して制御信号を供給し、この制御信号に基づいて、光磁気ディスク記録再生装置にデジタル映像信号を記録することまたは、光磁気ディスク記録再生装置から読み出すことは明らかである。

これらの記載事項及び図面の内容を総合すると、刊行物1には、次の発明が記載されている。

「複数の入出力部を有するセレクタ12と、光磁気ディスク記録再生装置とからなるデジタル映像信号記録または再生装置であって、
データバス21を介して、システム制御回路20は、各インタフェース11a?11n及びセレクタ12に接続され、制御信号を供給し、
記録時には、上記制御信号に基づいて、上記入出力部に接続された複数のVTR1a?1nから入力されたデジタル映像信号を、上記光磁気ディスク記録再生装置に記録し、
再生時には、上記制御信号に基づいて、上記入出力部に接続されたVTR1aへ、光磁気ディスク記録再生装置から読み出されたデジタル映像信号を、供給することを特徴とするデジタル映像信号記録または再生装置。」

(3)対比
本願補正発明と刊行物1発明とを比較すると、刊行物1発明の「光磁気ディスク記録再生装置」,「デジタル映像信号記録または再生装置」及び「デジタル映像信号」は、本願補正発明の「映像データ記憶装置」,「映像データ記録再生システム」及び「映像データ」にそれぞれ相当する。
また、刊行物1発明の「システム制御回路」は、制御信号を供給するから、本願補正発明の「システム制御装置」に相当する。
そして、刊行物1発明の「入出力部」と、本願補正発明の「入出力端子」は、いずれも映像データの入出力を行うための「入出力部」である点で一致する。
さらに、刊行物1発明の「VTR1a?1n」は、一般に、映像データを入力/出力する装置であるから、本願補正発明の「映像データ入力/出力装置」に相当する。
そして、刊行物1発明において、「光磁気ディスク記録再生装置から読み出されたデジタル映像信号を、」VTR1aへ「供給すること」は、本願補正発明において、映像データ記憶装置から読み出された映像データを、映像データ入力/出力装置へ「出力すること」に他ならず、また、この「光磁気ディスク記録再生装置から読み出されたデジタル映像信号を、」「供給する」VTRは複数あることは明らかである。

そうすると、本願補正発明と刊行物1発明とは、
「複数の入出力部と、映像データ記憶装置とからなる映像データ記録再生システムであって、
制御信号を供給するシステム制御装置を有し、
上記制御信号に基づいて、上記入出力部に接続された複数の映像データ入力/出力装置から入出力された映像データを、上記映像データ記憶装置に記憶することまたは、上記映像データ記憶装置から読み出すことを特徴とする映像データ記録再生システム。」
である点で一致し、以下の点で相違している。

[相違点]
[相違点1]
「入出力部」が、
本願補正発明では、「入出力端子」であるのに対し、刊行物1発明では、「入出力部」である点。

[相違点2]
「制御信号」を、
本願補正発明では、「イーサーネットでなるコンピュータネットワークを介して」供給するのに対し、刊行物1発明では、「データバス21を介して」供給する点。

(4)判断
[相違点1]について
一般に、入出力のための入出力部を「入出力端子」とすることは、周知技術であるから、相違点1に係る構成は、当業者であれば適宜なし得た設計事項である。

[相違点2]について
特開平4-237381号公報(以下、「周知例1」という。)には、図面とともに、以下の記載がある。

「【0007】
【作用】本発明に係る動画像編集処理装置が適用されるシステムは、図1に示すように、通信ネットワーク1、動画像ファイルサーバ2、ワークステーション3、動画像編集ワークステーション6からなる。動画像ファイルサーバ2は動画像記憶部21と通信部22を有し、ワークステーション3は編集指示部31、操作入力部32、画像表示部33、通信部34を有し、動画像編集ワークステーション6は動画像編集部61、操作入力部62、動画像表示部63、通信部64を有している。
【0008】このシステムにおいて、動画像は、主として動画像ファイルサーバ2に保存されている。動画像ファイルの内部構成は、図2に示すように、画像サイズ,色空間等の属性12と、動画像データ13と、そしてリンク情報14からなり、これらに予めインデックス11を付けたことを特徴としている。このような構成の複数の動画像ファイルを想定する。
【0009】本発明では、このインデックス情報を用いて編集操作手段により動画像の編集操作を行う。」

「【0020】なお、第1図に示したシステムには、動画像ファイルサーバ2、ワークステーション3および動画像編集ワークステーション6がそれぞれ1つであるものを示したが、これらの数に制限はなく、複数であってもよい。また、通信ネットワーク1は、同軸ケーブルを用いるイーサネット(Ethernet)に限らず、たとえばFDDI(光ファイバ100MHzネットワーク)や,無線などを用いることができる。」

また、特開平6-119400号公報(以下、「周知例2」という。)には、図面とともに、以下の記載がある。

「【0013】
【実施例】以下、図面を参照して本発明の一実施例を説明する。図1は本発明の一実施例に係る画像データファイリング装置の概略構成を示すブロック図であり、図2は本発明の要部であるバックアップ/リカバリ制御部の構成を示すブロック図である。」

「【0016】通信制御部4は、装置に接続されている通信デバイス13に対する装置制御等を行なうものである。通信デバイス13には所定の通信媒体14が接続されており、その通信媒体14に接続されている他の装置、例えば、画像作成装置や画像編集装置等との間でデータの授受を行なう。通信媒体14としては、例えば、公衆回線やイーサネットケーブル、光ファイバあるいは無線等があり、通信デバイス13は、その通信媒体14に応じた機器、例えば、通信媒体14が公衆回線であればモデム、イーサネットケーブルであればトランシーバ等で構成される。このような通信デバイス13と通信媒体14とに応じて、通信制御部4は所定のプロトコルに従って他の装置との通信を行ない、受信したデータをシステム制御部2に与えたり、システム制御部2から与えられたデータを他の装置に送信する等を行なう。」

「【0021】アプリケーションプログラム部7は、装置の提供している機能、例えば、光磁気ディスク16に記憶されている画像データを検索して、検索した画像データを他の装置に送信したり、あるいは、他の装置から画像データを受信し、受信した画像データを所定の光磁気ディスク16に記憶するために、管理情報にデータの登録を行なう等の各種のアプリケーションプログラムによって構成されている。例えば、システム制御部2から、光磁気ディスク16に記憶されている画像データを検索して、検索した画像データを他の装置に送信するプログラムが起動されると、システム制御部2を介して、光磁気ディスク制御部5や通信制御部4等を起動しながら処理を実行する。」

「【0024】図3は上述の画像データファイリング装置のハードウエア構成を示しているが、H/D18には管理情報以外にも、上述した処理制御部1の各部の処理を実行する処理手順(プログラム)が予め記憶されており、それらのプログラムはシステム起動時にH/D18からCPUメモリ19に読み出され、入力装置11から入力されたオペレータの指示等に従って所定のプログラムがCPU20で実行されるように構成されている。なお、上述した入力装置11、出力装置12、通信デバイス13、オートチェンジャ装置15、H/D18は、CPUメモリ19、CPU20とともにバス21を介して接続されている。」

これら周知例1、2に記載のように、「データを記憶する装置(「動画像ファイルサーバ2」、「画像データファイリング装置」)とデータを編集する装置(「編集指示部31を有するワークステーション3」、「画像編集装置」)とを、イーサーネットでなるコンピュータネットワークを介して接続すること」は、本願の出願時において周知(以下、「周知技術」という。)であったものと認められる。
そうすると、刊行物1発明において、システム制御装置と映像データ記憶装置等を接続するにあたって、データバスに代えて、上記周知技術を用いて、イーサーネットで接続し、制御信号をイーサネットでなるコンピュータネットワークを介して供給することは、当業者であれば適宜なし得た設計事項である。
そして、本願発明のように構成したことによる効果も、刊行物1発明及び上記周知技術から予測できる程度のものである。

したがって、本願補正発明は、刊行物1発明及び周知技術に基づいて、当業者が容易に発明をすることができたものであるから、特許法第29条第2項の規定により特許出願の際独立して特許を受けることができないものである。

(5)むすび
以上のとおり、本件補正は、特許法第17条の2第5項で準用する同法第126条第5項の規定に違反するものであり、同法第159条第1項で準用する同法第53条第1項の規定により却下されるべきものである。

3.本願発明について
平成17年12月27日付けの手続補正は上記の通り却下されたので、本願の請求項1に係る発明(以下、「本願発明」という)。は、平成17年9月26日付け手続補正書の特許請求の範囲の請求項1に記載された事項により特定される、以下のとおりのものである。

「【請求項1】
複数の入出力端子と、映像データ記憶装置とからなる映像データ記録再生システムであって、
コンピュータネットワークを介して制御信号を供給するシステム制御装置を有し、
上記制御信号に基づいて、上記入出力端子に接続された複数の映像データ入力/出力装置から入出力された映像データを、上記映像データ記憶装置に記憶することまたは、上記映像データ記憶装置から読み出すことを特徴とする映像データ記録再生システム。」

(1)刊行物1
刊行物1の記載事項は、前記「2.平成17年12月27日付けの手続補正について」の「(2)刊行物の記載」に記載したとおりである。

(2)対比・判断
本願発明は、前記「2.平成17年12月27日付けの手続補正について」の「(1)補正後の本願発明」で検討した本願補正後の請求項1に係る発明と対比すると、「イーサーネットでなる」との限定を省いたものと認められる。
そうすると、本願発明に包含される本願補正発明が、前記「2.平成17年12月27日付けの手続補正について」の「(4)判断」に記載したとおり、刊行物1発明及び周知技術に基づいて当業者が容易に発明をすることができたものであるから、本願発明も、同様の理由により、刊行物1発明及び周知技術に基づいて、当業者が容易に発明をすることができたものである。

(3)むすび
以上の通り、本願の請求項1に係る発明は、刊行物1発明及び周知技術に基づいて、当業者が容易に発明をすることができたものであるから、特許法第29条第2項の規定により特許を受けることができないものである。
したがって、本願は、その余の請求項について言及するまでもなく拒絶すべきものである。
よって、結論のとおり審決する。
 
審理終結日 2008-09-30 
結審通知日 2008-10-07 
審決日 2008-10-27 
出願番号 特願2003-286053(P2003-286053)
審決分類 P 1 8・ 575- Z (G06F)
P 1 8・ 121- Z (G06F)
最終処分 不成立  
前審関与審査官 木村 貴俊  
特許庁審判長 江嶋 清仁
特許庁審判官 桑原 清
和田 志郎
発明の名称 映像データ記録再生システム、映像データ記録再生方法並びに映像データ記憶装置  
代理人 小池 晃  
代理人 伊賀 誠司  

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