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審決分類 審判 査定不服 2項進歩性 特許、登録しない。 A63F
審判 査定不服 4項4号特許請求の範囲における明りょうでない記載の釈明 特許、登録しない。 A63F
審判 査定不服 特17条の2、3項新規事項追加の補正 特許、登録しない。 A63F
管理番号 1190359
審判番号 不服2007-3577  
総通号数 110 
発行国 日本国特許庁(JP) 
公報種別 特許審決公報 
発行日 2009-02-27 
種別 拒絶査定不服の審決 
審判請求日 2007-02-06 
確定日 2009-01-08 
事件の表示 平成 7年特許願第 42146号「パチンコ遊技機」拒絶査定不服審判事件〔平成 8年 9月10日出願公開、特開平 8-229204〕について、次のとおり審決する。 
結論 本件審判の請求は、成り立たない。 
理由
第一、手続きの経緯
本願は、平成7年3月1日の出願であって、平成17年10月26日付けで拒絶理由が通知され、これに対し、同年12月27日付けで手続補正がなされ、平成18年4月24日付けで最後の拒絶理由が通知され、これに対し、同年7月6日付けで手続補正がなされ、平成19年1月5日付けで、前記平成18年7月6日付けの手続補正の却下の決定がなされるとともに拒絶査定がなされ、これに対し、平成19年2月6日付けで拒絶査定不服の審判請求及び手続補正がなされたものである。

第二、平成19年2月6日付けの手続補正についての補正却下の決定
[補正却下の決定の結論]
平成19年2月6日付けの手続補正(以下、「本件補正」という。)を却下する。
[理由]
(1)補正の目的について
本件補正は、平成17年12月27日付けの手続補正により補正された特許請求の範囲の、
「【請求項1】 遊技球を流下させる遊技領域に設けられた始動口と、遊技領域に設けられた画面表示部と、遊技領域に画面表示部と別に設けられた図柄表示部と、遊技領域に設けられた可動部材と、遊技領域に設けられたアタッカと、種々のキャラクタデータを記憶する記憶部と、表示制御部と、駆動制御部と、大当り制御部とを備え、遊技球が遊技領域から始動口に入賞した場合、表示制御部が記憶部から取り出したキャラクタデータを画面表示部に表示させ、図柄表示部が複数の図柄を可変表示し、駆動制御部が画面表示部に表示されるキャラクタデータの変化に応じて可動部材を駆動し、図柄表示部に表示された図柄が所定の図柄に揃った場合、表示制御部が記憶部から取り出した大当り表示データを画面表示部に表示させ、大当り制御部がアタッカを開く大当り制御を行うことを特徴とするパチンコ遊技機。」
を以下のように補正するものである。

「【請求項1】 遊技球を流下させる遊技領域に設けられた始動口と、遊技領域に設けられた画面表示部と、遊技領域に画面表示部と別に設けられた図柄表示部と、遊技領域に設けられた可動部材と、遊技領域に設けられたアタッカと、種々のキャラクタデータを記憶する記憶部と、表示制御部と、駆動制御部と、大当り制御部とを備え、遊技球が遊技領域から始動口に入賞した場合には表示制御部が記憶部から取り出したキャラクタデータを画面表示部に表示させかつ図柄表示部が複数の図柄を可変表示しかつ駆動制御部が画面表示部に表示されるキャラクタデータの変化に応じて可動部材を駆動し、図柄表示部に表示された図柄が所定の図柄に揃った場合には表示制御部が記憶部から取り出した大当り表示データを画面表示部に表示させかつ大当り制御部がアタッカを開く大当り制御を行うパチンコ遊技機において、可動部材が画面表示部を前側から覆う位置と画面表示部の前側から覆わないように逃げる位置との双方に移動することを特徴とするパチンコ遊技機。」

本件補正の前後において、「遊技球が遊技領域から始動口に入賞した場合」及び「図柄が所定の図柄に揃った場合」に行われるパチンコ遊技機の態様について、何ら異なる態様は認められない。
したがって、本件補正は、平成6年法律第116号改正附則第6条によりなお従前の例によるとされる同法による改正前の特許法第17条の2第3項各号に規定する、請求項の削除、特許請求の範囲の減縮、誤記の訂正、及び明りょうでない記載の釈明のいずれをも目的とするものでないことは明らかであるから、同法第159条第1項において読み替えて準用する同法第53条第1項の規定により却下すべきものである。

(2)新規事項について
本件補正後の特許請求の範囲の請求項1は「可動部材が画面表示部を前側から覆う位置と画面表示部の前側から覆わないように逃げる位置との双方に移動すること」を含むものである。
ところで、願書に最初に添付した明細書には、「覆う位置」と「覆わないように逃げる位置」との記載はなされていない。
また、願書に最初に添付した図面をみても、「可動部材が画面表示部を前側から覆う位置に移動すること」が示されているとは認められない。

そうすると、前記「可動部材が画面表示部を前側から覆う位置と画面表示部の前側から覆わないように逃げる位置との双方に移動すること」は願書に最初に添付した明細書又は図面に記載されていたものでなく、また願書に最初に添付した明細書又は図面の記載から自明な事項であるともいえない。
したがって、本件補正は、願書に最初に添付した明細書又は図面に記載した事項の範囲内においてしたものでなく、上記改正前の特許法第17条の2第2項で準用する同法第17条第2項の規定に違反するものであるから、同法第159条第1項において読み替えて準用する特許法第53条第1項の規定により却下すべきものである。

第三、本願発明について
平成19年2月6日付けの手続補正は上記のとおり却下され、また平成18年7月6日付けの手続補正は上記のとおり既に却下されているので、本願の請求項1に係る発明は、上記平成17年12月27日付けで補正された明細書の記載からみて、その特許請求の範囲の請求項1に記載された次のとおりのものである。
「【請求項1】 遊技球を流下させる遊技領域に設けられた始動口と、遊技領域に設けられた画面表示部と、遊技領域に画面表示部と別に設けられた図柄表示部と、遊技領域に設けられた可動部材と、遊技領域に設けられたアタッカと、種々のキャラクタデータを記憶する記憶部と、表示制御部と、駆動制御部と、大当り制御部とを備え、遊技球が遊技領域から始動口に入賞した場合、表示制御部が記憶部から取り出したキャラクタデータを画面表示部に表示させ、図柄表示部が複数の図柄を可変表示し、駆動制御部が画面表示部に表示されるキャラクタデータの変化に応じて可動部材を駆動し、図柄表示部に表示された図柄が所定の図柄に揃った場合、表示制御部が記憶部から取り出した大当り表示データを画面表示部に表示させ、大当り制御部がアタッカを開く大当り制御を行うことを特徴とするパチンコ遊技機。」(以下、「本願発明」という。)

(あ)原査定の拒絶理由通知に引用された刊行物に記載された発明
刊行物1;特開昭63-125275号公報
刊行物2;特開平7-31726号公報(平成7年2月3日公開)
特開昭63-125275号公報(以下、「引用刊行物1」という。)における、
(1-1)第2頁左下欄第3行乃至第20行には、「〔問題点を解決するための手段〕
すなわち本発明は、遊技盤上のガイドレールで囲まれた遊技部内に、遊技装置、該遊技装置の作動開始条件となる特定入賞口及び前記遊技装置にて得られた遊技態様に対応して打球を受け入れない第1状態から打球を受け入れ易い第2状態へと変換可能な変動入賞装置を具備するパチンコ遊技機において、前記遊技装置を第1遊技手段と第2遊技手段とで構成するとともに、・・・及び前記第1遊技手段のゲーム結果と前記第2遊技手段のゲーム結果との組合せにより前記遊技装置全体の遊技結果を判定する遊技結果判定手段を設け、該遊技結果判定手段の判定した少なくとも一部の遊技結果に対応して前記変動入賞装置が作動することを特徴したパチンコ遊技機である(第2図参照)。」と、
(1-2)第2頁右下欄第1行乃至第3頁右下欄第7行には、「〔実施例〕
本発明に係るいくつかの実施例を、添付図面を参照しながら以下詳細に説明する。
実施例1
第3図で示される遊技装置30は、第1図で示すところの遊技装置9の斜視図であり、第4図は同遊技装置30の側断面図である。図中、31は第2遊技手段であり、表示プレート32の中に取付けられた小型ランプ又はLED(発光ダイオード)33の列の何れかが発光することによりアウト、ヒット、ホームランが表示されるようになっている。・・・37は第1遊技手段であり、表示基板38上に設けられた3個のセグメント表示器39を遊技者はレンズ部材40を通して見ることとなる。41はデジトロンやLCD(液晶表示器)からなる遊技情報表示部であり、前述第2遊技手段31で得られたゲーム結果、即ちアウト、ヒット、ホームランに応じて所定の部分が発光するようになっている。・・・
以上の構成からなる遊技装置30の作動態様を次に説明する。第1図に示す如く第1特定入賞口7もしくは第2特定入賞口8に打球が入賞すると、第1遊技手段37は3個のセグメント表示器39が表示する数字が次々に高速で変化する可変表示動作を開始するとともに、第2遊技手段31はそのランプ又はLED33が左側から右側へ高速にて反復点滅移動を開始する。次に、第1遊技手段37及び第2遊技手段31が作動を同時に開始してから一定時間例えば6秒経過するか、又はこの6秒経過以前に遊技者による変動時間短縮ボタン10の押釦により、セグメント表示器39は左側のものから右側のものへと可変表示動作を順次停止し、それぞれが数字「0」?「9」までのうちの何れか1つのある数字を表示していく。セグメント表示器39の数字表示が終了して更にある一定時間(例えば2秒)が経過した後今度は第2遊技手段31が点滅移動を停止する。・・・なお、第2遊技手段31のゲーム結果は、遊技情報表示部41にも表示される。
遊技装置全体の遊技結果は、遊技結果判定手段において、第1遊技手段37のゲーム結果と第2遊技手段31のゲーム結果との組合せにより、例えば特別遊技態様としての「大当り」、「中当り」、「小当り」そして「ハズレ」の4種類に決定される。第1遊技手段37のゲーム結果と第2遊技手段31のゲーム結果の組合せの例としては、特別遊技態様としての「大当り」が、セグメント表示器39が「555」等のように全ての数字が一致し且つ第2遊技手段31が「ホームラン」となった時、「中当り」はセグメント表示器39が「333」等のように全ての数字が一致しているが第2遊技手段31が「ヒット」となった時、「小当り」はセグメント表示器39が「77Y」(Yは任意の数字)等のように3個の数字の内2個までが一致し且つ第2遊技手段31が「ホームラン」の時である。上記以外の組合わせは全て「ハズレ」である。
・・・遊技結果が「ハズレ」以外の「大当り」、「中当り」及び「小当り」では、変動入賞装置11は打球を受けいれない第1状態から打球を受け入れ易い第2状態へと次のように状態変換される。・・・」と、
(1-3)第4頁左上欄第1行乃至右上欄第4行には、「 実施例2
上記実施例1においては、第2遊技手段31とこれに関連する遊技情報表示部41とを別個に構成したが、第5図に示す如く一つの装置で併用することもできる。この図に示される装置は、例えばLCD(液晶表示器)やデジトロン等で構成され、特定入賞口7、8(第1図)に打球が入賞した場合に、第5図で示される第2遊技手段において、投手がボールを投げるようにし、そのボールの軌跡をLCD等で順次点滅移動させることにより表示し、それに合わせて打者がバットを振り、そのバットの軌跡もLCD等で順次点滅移動させることにより表示する。そして、バットを振り終えた後、「アウト」、「ホームラン」、「ヒット」の内の何れかがゲーム結果として情報表示部51に表示される。・・・
他は実施例1と同様である。この実施例2においても、第1遊技手段のゲーム結果と、上記第2遊技手段のゲーム結果(アウト、ヒット、ホームラン)の組合せにより、遊技装置全体の遊技結果(例えば、大当り、中当り、小当り、ハズレ)が判定される。」と、
(1-4)第5頁右上欄第10行乃至第12行には、「第5図は本発明の第2実施例にかかるパチンコ遊技機の遊技装置における第2遊技手段兼遊技情報表示部を示す図」と、それぞれ記載されている。

したがって、「第2遊技手段とこれに関連する遊技情報表示部とを一つの装置で併用」し、「他は実施例1と同様である実施例2」について、上記の記載事項を併せると、
引用刊行物1には、
「 遊技盤上のガイドレールで囲まれた遊技部内に、
第1遊技手段と第2遊技手段とで構成される遊技装置、及び
該遊技装置の作動開始条件となる特定入賞口、並びに
前記第1遊技手段のゲーム結果と、前記第2遊技手段のゲーム結果(アウト、ヒット、ホームラン)の組合せにより、遊技装置全体の遊技結果(例えば、大当り、中当り、小当り、ハズレ)が判定され、当該遊技結果が「ハズレ」以外の「大当り」、「中当り」及び「小当り」では、打球を受け入れない第1状態から打球を受け入れ易い第2状態へと変換可能な変動入賞装置を具備するパチンコ遊技機において、
特定入賞口7、8に打球が入賞すると、第1遊技手段37は3個のセグメント表示器39が表示する数字が次々に高速で変化する可変表示動作を開始するとともに、第2遊技手段において、投手がボールを投げるようにし、そのボールの軌跡をLCD等で順次点滅移動させることにより表示し、それに合わせて打者がバットを振り、そのバットの軌跡もLCD等で順次点滅移動させることにより表示し、
次に、前記第1遊技手段37のセグメント表示器39は左側のものから右側のものへと可変表示動作を順次停止し、それぞれが数字「0」?「9」までのうちの何れか1つのある数字を表示した後、前記第2遊技手段の情報表示部51に「アウト」、「ホームラン」、「ヒット」の内の何れかがゲーム結果として表示される、パチンコ遊技機。」の発明(以下、「引用発明1」という。)が記載されていると認められる。

特開平7-31726号公報(以下、「引用刊行物2」という。)には、以下の記載がある。
(2-1)「【0013】パチンコ機1は、・・・遊技を行う遊技盤13(図2参照)と、・・・とを有している。・・・」、
(2-2)「【0026】遊技盤の構成
図2は遊技盤13を示す正面図である。図2において、遊技領域の周囲には・・・レール61が配置されている。また、遊技領域のほぼ中央部には中央に機械的に変位可能な可動式の可変表示器62を有する特別図柄表示装置(いわゆる役物装置で、図柄表示装置に相当)63が配置されている。特別図柄表示装置63の下方には、チューリップタイプの普通電動始動口(以下、適宜、普電という)64が配置されるとともに、特別図柄表示装置63の作動結果によって遊技玉を受け入れない第1の状態から受け入れ易い第2の状態に変動する大入賞口としての変動入賞装置(大入賞口のことで、いわゆるアタッカー)65が配置されている。変動入賞装置65は、特別変動入賞装置に相当する。
【0027】・・・特別図柄表示装置63は普通電動始動口64に玉が入賞したとき(ただし、始動記憶のタイミングは後述する)、可変表示器62の特別図柄の内容を変化させ、その図柄が特定の利益状態(すなわち、特別態様遊技状態で、例えば、大当りのゾロ目状態:「777」など)になると、変動入賞装置(アタッカー)65が開放するようになっている。・・・」、
(2-3)「【0029】ここで、特別図柄表示装置63の可変表示器62についての変位動作を説明する。始動入賞口64に玉が入賞すると、可変表示器62の特別図柄の内容が変化(スクロール)し、その図柄がゾロ目状態(例えば、「222」)になると、大当りになる。一方、大当りになる前のリーチ状態(リーチスクロール)の出目のとき(例えば、「2X2」のとき)は、リーチスクロールを行い、このとき可変表示器(左)62Lおよび可変表示器(右)62Rのビール瓶部621a、622aが共に中央側に傾斜してビール瓶を可変表示器(中)62Mのジョッキー部623aに注ぐようなスタイル、すなわちあたかもビール瓶のビールをジョッキーに注ぐようなスタイルに変位動作する。なお、本実施例では可変表示器62の特別図柄の停止は、可変表示器(左)62L→可変表示器(右)62R→可変表示器(中)62Mの順序で行われるようになっている。」、
(2-4)「【0031】次いで、可変表示器(左)62L、可変表示器(中)62M、可変表示器(右)62Rが大当り図柄(例えば、「222」)を示す状態に移行する直前では、ビールのジョッキーの上に人形の顔が重なるようなスタイルとなって、ジョッキー部623aおよび人形部623bが共に一定の傾斜状態(遊技者から見ると、後向きに倒れた状態)になる。なお、このときビール瓶部621a、622aは既に原状態(直立状態)に復帰している。実際に大当りになるときは、可変表示器(左)62L、可変表示器(中)62M、可変表示器(右)62Rの出目が、例えば「222」で停止するが、大当りでないときは、可変表示器(中)62Mの出目がさらにスクロールして次の図柄(例えば、「3」)になるか、あるいは「3」よりもさらにスクロールする。このとき、一定の傾斜状態にあったジョッキー部623aおよび人形部623bは再び元の直立状態に復帰する。このように、可変表示器(左)62L、可変表示器(中)62M、可変表示器(右)62Rの出目のスクロールに応じてビール瓶部621a、622a、ジョッキー部623aおよび人形部623bが上記のメカ的動作を行い、遊技者の期待感を高めることが行われる。」。

したがって、引用刊行物2には、
「遊技領域のほぼ中央部には中央に機械的に変位可能な可動式の可変表示器62を有する特別図柄表示装置63が配置され、
始動入賞口64に玉が入賞すると、
可変表示器62の特別図柄の内容が変化し、その図柄がリーチ状態の出目のとき(例えば、「2X2」のとき)は、リーチスクロールを行い、可変表示器(左)62Lおよび可変表示器(右)62Rのビール瓶部621a、622aが共に中央側に傾斜してビール瓶を可変表示器(中)62Mのジョッキー部623aに注ぐようなスタイル、すなわちあたかもビール瓶のビールをジョッキーに注ぐようなスタイルに変位動作し、次いで、可変表示器(左)62L、可変表示器(中)62M、可変表示器(右)62Rが大当り図柄(例えば、「222」)を示す状態に移行する直前では、ビールのジョッキーの上に人形の顔が重なるようなスタイルとなって、ジョッキー部623aおよび人形部623bが共に一定の傾斜状態になり、大当りのゾロ目状態(「777」など)になると、変動入賞装置(アタッカー)65が開放するパチンコ機1であって、
可変表示器の出目のスクロールに応じてビール瓶部、ジョッキー部および人形部がメカ的動作を行い、遊技者の期待感を高めることが行われる、パチンコ機1。」の発明(以下、「引用発明2」という。)が記載されていると認められる。

(い)本願発明と引用発明1との比較・検討
(い-1)引用発明1の「打球」は、本願発明の「遊技球」に相当し、以下同様に、「ガイドレールで囲まれた遊技部」は「遊技球を流下させる遊技領域」に、「(遊技部内に具備される)特定入賞口」は「遊技領域に設けられた始動口」に、「(遊技部内に具備される)第2遊技手段」は「遊技領域に設けられた画面表示部」に、「(遊技部内に具備される)第1遊技手段」は「遊技領域に画面表示部と別に設けられた図柄表示部」に、「(遊技部内に具備される)変動入賞装置」は「遊技領域に設けられたアタッカ」に、「特定入賞口7、8に打球が入賞すると、」は「遊技球が遊技領域から始動口に入賞した場合、」に、「第2遊技手段において、投手がボールを投げるようにし、そのボールの軌跡をLCD等で順次点滅移動させることにより表示し、」は「キャラクタデータを画面表示部に表示させ、」及び「キャラクタデータの変化」に、「第1遊技手段37は3個のセグメント表示器39が表示する数字が次々に高速で変化する可変表示動作を開始する」は「図柄表示部が複数の図柄を可変表示し」に、「打球を受け入れない第1状態から打球を受け入れ易い第2状態へと変換可能」は「(アタッカを)開く」に、「パチンコ遊技機」は「パチンコ遊技機」に、それぞれ相当する。
(い-2)引用発明1の「第1遊技手段のゲーム結果と、第2遊技手段のゲーム結果の組合せにより、遊技装置全体の遊技結果が判定され、当該遊技結果が「ハズレ」以外の「大当り」、「中当り」及び「小当り」では、」と本願発明の「図柄表示部に表示された図柄が所定の図柄に揃った場合、」とを比較すると、引用発明1の「第1遊技手段のゲーム結果と第2遊技手段のゲーム結果」は「共に表示される」のであるから、「表示部に表示された表示結果が特定のものである場合、」において共通する。

そうすると、両者の一致点及び相違点は次のとおりである。

一致点
遊技球を流下させる遊技領域に設けられた始動口と、遊技領域に設けられた画面表示部と、遊技領域に画面表示部と別に設けられた図柄表示部と、遊技領域に設けられたアタッカとを備え、遊技球が遊技領域から始動口に入賞した場合、キャラクタデータを画面表示部に表示させ、図柄表示部が複数の図柄を可変表示し、表示部に表示された表示結果が特定のものである場合、アタッカを開く、パチンコ遊技機。

相違点A
遊技球が遊技領域から始動口に入賞した場合、画面表示部に表示されるキャラクタデータは、本願発明では表示制御部が種々のキャラクタデータを記憶する記憶部から取り出したものであり、当該記憶部と表示制御部とはパチンコ遊技機に備えられているのに対し、引用発明1では、キャラクタデータ(ボールの軌跡及びバットの軌跡)を表示させるための手段が明らかでない点
相違点B
遊技球が遊技領域から始動口に入賞した場合、本願発明ではパチンコ遊技機に備えられている駆動制御部が、画面表示部に表示されるキャラクタデータの変化に応じて、遊技領域に設けられた可動部材を駆動するのに対し、引用発明1では、画面表示部(第2遊技手段)に表示されるキャラクタデータの変化(投手が投げたボールの軌跡を順次点滅移動させることにより表示)に応じて(それに合わせて)、打者が振ったバットの軌跡を順次点滅移動させることにより表示するものであり、可動部材及びそれを駆動する駆動制御部を備えていない点
相違点C
画面表示部は、本願発明では図柄表示部に表示された図柄が所定の図柄に揃った場合、表示制御部が記憶部から取り出した大当り表示データを表示するのに対し、引用発明1では、第1遊技手段37が数字を表示した後、「アウト」、「ホームラン」、「ヒット」の内の何れかを表示する点
相違点D
アタッカの開放が、本願発明では図柄表示部に表示された図柄が所定の図柄に揃った場合、パチンコ遊技機に備えられている大当り制御部の大当り制御として行われるのに対し、引用発明1では、第1遊技手段のゲーム結果と第2遊技手段のゲーム結果の組合せにより判定される遊技結果が「ハズレ」以外の「大当り」、「中当り」及び「小当り」の場合に行われる点

そこで、上記相違点について検討する。
相違点Aについて
種々のキャラクタデータを記憶する記憶部からキャラクタデータを取り出して表示部にキャラクタデータを表示させるよう制御部を備えることは、パチンコ遊技機においては技術常識であるから、相違点Aに係る構成とすることは当業者が容易になし得たものである。
相違点Bについて
引用発明2は、表示部(可変表示器)に表示されるキャラクタデータの変化(出目のスクロール)に応じて駆動される、遊技領域に設けられた可動部材(ビール瓶部、ジョッキー部および人形部)を備えている。また、当該可動部材を駆動するための駆動制御部をパチンコ遊技機に備えることは、当業者が容易になし得るものである。そして、引用発明1及び引用発明2は、表示部を備えたパチンコ遊技機において共通しているから、引用発明1の「キャラクタデータの変化(投手が投げたボールの軌跡を順次点滅移動させることにより表示)に応じて移動表示されるバットの軌跡」に替えて引用発明2の「キャラクタデータの変化に応じて駆動される可動部材(ビール瓶部、ジョッキー部および人形部)」を適用し、相違点Bに係る構成とすることは当業者が容易になし得たものである。
相違点Cについて
表示部に表示された図柄が所定の図柄に揃った場合、大当り表示データを表示部に表示する技術は、例えば特開平6-246041号公報に示された「リーチ状態において、第4図柄52Dの表示が当り図柄(「KO」)になると、敵のボクサーが倒された状態がキャラクタ表示される可変表示部50」(【0016】、【0020】、【図2】参照)及び特開平6-246042号公報に示された「777等のぞろ目の図柄となれば「HIT」が画面表示されるLCD表示装置5」(【0015】、【0021】、【図4】参照)のように周知・慣用の技術である。また、当該大当り表示データを表示部に表示する際に記憶部から取り出すための表示制御部を備えることは、当業者が容易になし得るものである。したがって、当該周知・慣用の技術を引用発明1に適用し、相違点Cに係る構成とすることは当業者が容易になし得たものである。
相違点Dについて
引用発明2は、図柄表示部(可変表示器)に表示された図柄が所定の図柄に揃った場合(ゾロ目状態)、アタッカ(変動入賞装置65)の開放が大当り制御として行われるパチンコ遊技機(パチンコ機1)である。そして、パチンコ遊技機に備えられたアタッカを制御するための制御部をパチンコ遊技機に備えることは、当該分野においては技術常識であるから、引用発明1にアタッカを開く大当り制御を行う大当り制御部を付加して、相違点Dに係る構成とすることは引用発明2に基づいて当業者が容易になし得たものである。
そして、効果の点においても、引用発明2は、「ビール瓶部、ジョッキー部および人形部がメカ的動作を行い、遊技者の期待感を高めることが行われる」ものであるから、本願発明が格別の効果を有するとは認められない。

(3)むすび
以上のとおり、本願発明は、引用発明1及び引用発明2並びに周知・慣用の技術に基づいて、当業者が容易に発明をすることができたものであるから、特許法第29条第2項の規定により特許を受けることができない。
よって、結論のとおり審決する。

 
審理終結日 2008-11-04 
結審通知日 2008-11-11 
審決日 2008-11-26 
出願番号 特願平7-42146
審決分類 P 1 8・ 574- Z (A63F)
P 1 8・ 121- Z (A63F)
P 1 8・ 561- Z (A63F)
最終処分 不成立  
前審関与審査官 大浜 康夫  
特許庁審判長 小原 博生
特許庁審判官 川島 陵司
▲吉▼川 康史
発明の名称 パチンコ遊技機  
代理人 宮園 純一  
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