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審決分類 審判 査定不服 2項進歩性 特許、登録しない。 G02F
審判 査定不服 5項独立特許用件 特許、登録しない。 G02F
管理番号 1190473
審判番号 不服2007-4573  
総通号数 110 
発行国 日本国特許庁(JP) 
公報種別 特許審決公報 
発行日 2009-02-27 
種別 拒絶査定不服の審決 
審判請求日 2007-02-14 
確定日 2009-01-05 
事件の表示 平成10年特許願第374130号「液晶表示装置」拒絶査定不服審判事件〔平成11年 9月17日出願公開、特開平11-249174〕について、次のとおり審決する。 
結論 本件審判の請求は、成り立たない。 
理由
1.手続の経緯
本願は、平成10年12月28日(パリ条約による優先権主張1997年12月31日、韓国)の出願であって、平成18年10月2日に手続補正がなされ、同年11月13日付で拒絶査定がなされ、これに対し、平成19年2月14日に拒絶査定不服審判請求がなされるとともに、同日付けで手続補正がなされ、さらに、同年3月15日に手続補正がなされたものである。

2.平成19年2月14日付け手続補正についての補正却下の決定

[補正却下の決定の結論]
平成19年2月14日付け手続補正を却下する。

[理由]
(1)補正内容
平成19年2月14日付け手続補正(以下「審判請求時補正」という。)により、特許請求の範囲の請求項6は、
「共通信号を印加するための共通電極と、前記共通電極から分離されており画像信号を印加するための画素電極とを含む第1基板と、
前記第1基板と対向している第2基板と、
前記第1基板と前記第2基板との間に注入されている液晶物質層と、
前記液晶物質層内に散布されており、周囲の液晶分子を表面に対して垂直に配列させる複数のスペーサと、
を含む液晶表示装置であり、
前記スペーサがジビニルベンゼンを主成分とする、液晶表示装置。」と補正された。

上記請求項6に係る審判請求時補正は、平成18年10月2日付け手続補正によって補正された特許請求の範囲の請求項6に記載したスペーサがジビニルベンゼンを「含む」について、スペーサがジビニルベンゼンを「主成分とする」と限定する内容のものである。
したがって、上記請求項6に係る審判請求時補正は、平成18年改正前特許法17条の2第4項2号の特許請求の範囲の減縮を目的とするものに該当する。

そこで、本件審判請求時補正後の請求項6に記載された発明(以下「審判請求時補正発明」という。)が特許出願の際独立して特許を受けることができるものであるかについて検討する。

(2)引用例
原査定の拒絶の理由に引用された、本願の優先日前に頒布された刊行物である特開平8-136935号公報(以下「引用例」という。)には、液晶表示装置に関して、図面とともに、次の事項が記載されている。

ア 「【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、コントラストが高く、かつ輝度むらの無い表示の均一性の高い大容量表示が可能な液晶表示装置に関する。
【0002】
【従来の技術】大容量表示が可能な液晶表示装置では、液晶を挟持する2枚の基板間の間隔を一定に保つために基板間にスペーサがばらまかれるが、これらのスペーサは表示むらの原因となる。表示むらは、スペーサ周辺の液晶分子の配向不良により生じるもので、この液晶分子の配向不良を防ぐ手段として、これまでにスペーサ用ビーズの表面を垂直配向処理と平行配向処理を混在させて行う方式が提案されている。(特開平3-69917号公報)
【0003】
【発明が解決しようとする課題】大容量表示が可能な液晶表示装置にはスーパーツイステッドネマチックタイプ(STN型)と薄膜トランジスタータイプ(TFT型)の2つのタイプがあり、両タイプともに画質の向上が重要な課題で、そのために各種表示むらの低減が必須となっている。前記従来技術はスペーサ用ビーズの表面を垂直配向処理と平行配向処理を混在させ、表示むらの原因である配向不良領域の拡大を防ぐ効果はあったが、配向不良領域を完全に除去することはできないという問題があった。
【0004】ここでスペーサに起因するコントラスト比(白表示透過率と黒表示透過率の比)の低下と表示むらは、スペーサの周辺の液晶分子の配向不良に主に原因がある。図10にSTN型表示装置の画素部の平面図を示す。図10は暗状態(黒)表示を説明しており、画素部47中で、符号45で示す部分は正常な配向でありスペーサ近傍とスペーサから離れた部分で液晶分子は同じ配向となっているが、符号46で示すスペーサ近傍の液晶分子はスペーサから離れた部分のそれと異なる配向状態となり(ドメインと呼ぶ)、光が散乱される。なお符号48は画素部47の周囲を取り巻く非電極部を示す。
【0005】さらに図11により液晶分子の向きについて説明する。図11の(a)は電圧無印加時の白表示の正常の状態で、2枚の基板1間に挟まれた液晶中でスペーサ4周辺の液晶分子3は、基板1の面と平行の向きに配列されており、スペーサ4から離れた液晶分子3も同じ向きである。一方、図11の(b)は、駆動波形発生回路5による電圧印加時の黒表示の場合で上記図10におけるドメインを示し、スペーサ4周辺の液晶分子3は基板1面に平行に向いているのに対して、スペーサ4から離れた液晶分子3は基板1面に垂直方向に向いている。この場合、基板1を通って液晶に照射れさた光は、スペーサ4から離れた域では遮断されるが、スペーサ4近傍域では散乱される。この配向不良は漏れ光となりコントラスト比低下を引き起し、基板単位面積あたりのスペーサ分散数が多い場合、この漏れ光も多くなりコントラスト比低下は増加される。
【0006】本発明はこの課題を解決するもので、その目的はスペーサ周辺の液晶分子の配向不良を抑え、コントラストが高く、かつ輝度むらの無い表示の均一性の高い大容量表示が可能な液晶表示装置を提供することにある。」

イ 「【0010】液晶表示装置には、電圧無印加状態で、黒表示となるノーマリークローズ方式と、白表示となるノーマリーオープン方式がある。図2に両表示方式の印加電圧と透過率の関係を示し、同図(a)はノーマリークローズ方式を、(b)はノーマリーオープン方式を示す。」

ウ 「【0040】〔実施例5〕本発明を実施するのに好適な別の実施例を図8により説明する。実施例5の液晶表示装置は横電界方式で、液晶層を挟持する一対の基板のうちの一方に平行電極を設け、隣合う電極間に電圧を印加することにより基板に平行する電界を液晶に印加するものである。図8の(a)は平面図で、図8の(b)、(c)は縦断面図である。
【0041】先ず初めに、図8の(a)において、電界方向28に対する、偏光板の偏光吸収軸30のなす角φ_(P)、基板と液晶との界面近傍での液晶分子長軸29(光学軸)方向のなす角φ_(LC)、一対の偏光板間に挿入した位相差板の進相軸31のなす角φ_(R)の定義を示す。尚、偏光板及び液晶界面はそれぞれ上下に一対あるので必要に応じてφ_(P1)、φ_(P2)、φ_(LC1)、φ_(LC2)と表す。
【0042】上下基板1a、1bとして、厚みが1.1mmで表面を研磨したガラス基板を2枚用いる。これらの基板間に、誘電率異方性Δεが正でその値が4.5であり、複屈折Δnが0.072(589nm,20℃)のネマチック液晶組成物を挟む。各基板1a、1b内面に塗布したポリイミド系配向制御膜26a、26bをラビング処理して、液晶分子3のプレチルト角を3.5度とする。上下界面上のラビング方向は互いにほぼ平行で、かつ印加電界方向とのなす角度を85度(φ_(LC1)=φ_(LC2)=85°)とした。上下基板1a、1b間のギャップdは球形のポリマビーズを基板間に分散して挾持し、液晶封入状態で4.5μmとした。よってΔn・dは0.324μmである。2枚の偏光板〔日東電工社製G1220DU〕でパネルを挾み、一方の偏光板の吸収軸30をラビング方向29に対してφ_(P1)=45°とし、他方の偏光板の吸収軸軸をそれに垂直、即ちφ_(P2)=-45°とした。これにより、ノーマリオープン特性を得た。
【0043】図8の(b)に示すように、下の基板1b上に信号電極2b_(1)と走査電極2b_(2)とを設け、基板1bに平行に電極2b_(1)、2b_(2)間で電界がかかるようにした。両電極は、いずれも従来のアクティブマトリクス型液晶表示装置と同様の手法で形成した幅16μmのアルミニウムからなるが、電気抵抗の低いものであれば特に材料の制約はなく、クロム、銅等でもよい。これにより、界面にほぼ平行に電界がかかる。画素数は40(×3)×30(即ち、信号波形回路n=120、走査波形回路m=30である。)である。
【0044】本実施例は、基板面に平行に電界を印加するため、横電界方式と呼ばれるタイプである。図8の(b)に示すように、電圧無印加Voffの状態では液晶分子3の長軸は基板1(1a,1b)に平行かつ電界方向に概略垂直に配向している。図8の(c)に示すように電界印加Vonの状態では、液晶分子3の長軸は基板1に平行かつ電界方向に平行に配向する。またノーマリーオープン表示の偏光板配置のため、Voffで白表示、Vonで黒表示となる。ここで特に黒表示時に生じる光漏れが問題となる。図8の(c)に示すVonの状態におけるスペーサビーズ4周辺の液晶分子3の配向状態を、図9の(a)の模式平面図に示す。この図において、ビーズ4から離れた正常部の液晶分子の長軸は、偏光板の吸収軸方向に平行、あるいは垂直となり、黒表示である。しかしビーズ4周辺の液晶分子3は偏光板の吸収軸方向に対してばらばらの方向となり、これが光漏れの原因となる。
【0045】これを解決するために、実施例1に液晶分子をスペーサビーズ表面に平行、かつ基板に垂直配向とした。この配向をえるためのスペーサ周り液晶分子配向手段は、スペーサ表面をポリイミドからなる平行配向処理剤により、平行配向処理を行った。さらに基板に対して垂直方向に10テスラの磁界を10秒間印加した。これにより液晶分子長軸は磁界に平行に配向する。また磁界印加を中止した後も、スペーサビーズ近傍の液晶分子はスペーサ表面の規制力により、基板に対して垂直配向が維持される。この時のスペーサビーズ周辺の液晶分子の配向状態を模式平面図9の(b)に示す。同図においてスペーサビーズ周辺の液晶分子の長軸は基板面に対して垂直配向しており、この状態で上下2枚の偏光板の吸収軸のなす角度ず90°であれば、偏光板の吸収軸とラビング方向のなす角度がいかなる角度であっても、黒表示となるので、光漏れが解消された。
【0046】本実施例ではコントラスト比15:1を得たが、視角を左右、上下に約30度変えた場合でもコントラスト比は10:1以上が得られ、従来方式に比べて極めて小さく、視角を変化させても表示特性はほとんど変化しなかった。また、液晶配向性も良好で、配向不良ドメインは発生しなかった。
【0047】〔実施例6〕実施例6の液晶表示装置は、横電界方式の実施例5において、偏光板9a,9bの吸収軸とラビング方向のなす角度をほぼ平行にし、他の構成は実施例5と同じにした。これによりノーマリークローズ表示となった。本実施例で黒表示時の漏れ光を防止するためには、図4の(c)、(c')に示すように、液晶分子3をスペーサ4表面に対し垂直配向とすれば良い。図4の(c)、(c')に示す同図の配向では電圧無印加状態でスペーサ4近傍とその他の領域で配向が同じになり、漏れ光は減少する。」(下線は当審で付した。)

上記ア?ウの記載事項からみて、引用例には、以下の発明が記載されていると認められる。
「上下基板、該上下基板の各内面に塗布されラビングされた配向制御膜、前記上下基板間に分散されたスペーサ、前記上下基板に挟持された液晶層、および、前記下基板上に設けられた信号電極と走査電極とからなる平行電極を有するパネルと、該パネルを挟む一対の偏光板と、該一対の偏光板間に挿入した位相差板とを備えた横電界方式の液晶表示装置において、
前記液晶層の液晶分子を前記スペーサ表面に対し垂直配向させることにより、黒表示時の電圧無印加状態で前記スペーサ近傍とその他の領域で液晶分子の配向を同じにして漏れ光を防止する、ノーマリークローズ表示の横電界方式の液晶表示装置。」(以下「引用発明」という。)

(3)対比
引用発明と審判請求時補正発明を対比する。

引用発明の「走査電極」、「信号電極」、「下基板」、「上基板」、「上下基板に挟持された液晶層」、「『上下基板間に分散されたスペーサ』であって、『液晶層の液晶分子を』その『表面に対し垂直配向させる』『前記スペーサ』」及び「液晶表示装置」は、それぞれ、審判請求時補正発明の「共通信号を印加するための共通電極」、「共通電極から分離されており画像信号を印加するための画素電極」、「第1基板」、「第1基板と対向している第2基板」、「第1基板と前記第2基板との間に注入されている液晶物質層」、「液晶物質層内に散布されており、周囲の液晶分子を表面に対して垂直に配列させる複数のスペーサ」及び「液晶表示装置」に相当する。

したがって、審判請求時補正発明と引用発明とは、「共通信号を印加するための共通電極と、前記共通電極から分離されており画像信号を印加するための画素電極とを含む第1基板と、
前記第1基板と対向している第2基板と、
前記第1基板と前記第2基板との間に注入されている液晶物質層と、
前記液晶物質層内に散布されており、周囲の液晶分子を表面に対して垂直に配列させる複数のスペーサと、
を含む液晶表示装置」である点で一致し、次の点で相違している。

[相違点]
前記スペーサが、審判請求時補正発明においては「ジビニルベンゼン」を主成分とするのに対し、引用発明においては、そうでない点で相違する。

(4)判断
上記相違点について検討する。

液晶表示装置の技術分野において、「ジビニルベンゼン」を主成分とするスペーサは、本願の優先日前に周知であり(例.特開平8-190098号公報(段落0004、0010、0059、0079、0082参照。)、特開平9-80445号公報(段落0007及び0011の記載、段落0048の「樹脂微粒子(ジビニルベンゼン系重合体微粒子:ミクロパールSPN-206、積水フアインケミカル社製)」の記載参照。)、特開平9-80448号公報(段落0006、0010、0048参照。)、特開平9-101526号公報(段落0007、0010、0024、0027、0029参照。))、引用発明のスペーサとして「ジビニルベンゼン」を主成分とするものを採用することは、上記周知技術に基づいて当業者が容易になし得ることである。

そして、審判請求時補正発明の奏する効果は、引用発明及び上記周知技術から、当業者が予測しうる程度のものにすぎない。

したがって、審判請求時補正発明は、引用発明及び上記周知技術に基づいて、当業者が容易に発明をすることができたものであるから、特許法29条2項の規定により、特許出願の際独立して特許を受けることができないものである。

(5)むすび
以上のとおり、審判請求時補正は、平成18年改正前特許法17条の2第5項において準用する同法126条5項の規定に違反するものであるから、同法159条1項の規定において読み替えて準用する同法53条1項の規定により却下すべきものである。

3.平成19年3月15日付け手続補正についての補正却下の決定

[補正却下の決定の結論]
平成19年3月15日付け手続補正を却下する。

[理由]
(1)本件補正の内容
上記のとおり審判請求時補正は却下されたので、平成19年3月15日付け手続補正(以下「本件補正」という。)が適法であるかどうかの判断の基準となる明細書及び図面は、平成18年10月2日付け手続補正によって補正された明細書及び図面である。

本件補正により、請求項6は、
「共通信号を印加するための共通電極と、前記共通電極から分離されており画像信号を印加するための画素電極とを含む第1基板と、
前記第1基板と対向している第2基板と、
前記第1基板と前記第2基板との間に注入されている液晶物質層と、
前記液晶物質層内に散布されており、周囲の液晶分子を表面に対して垂直に配列させる複数のスペーサと、
を含む液晶表示装置であり、
前記スペーサがジビニルベンゼンを主成分とする、液晶表示装置。」と補正された。
ここで、本件補正後の請求項6に記載された事項は、上記2.(1)で摘記した本件審判請求時補正後の請求項6に記載された事項と同じである。

上記の点を考慮すると、上記請求項6に係る本件補正は、上記2.(1)で述べた内容と同じ内容のものであるから、請求項6に係る審判請求時補正と同じく、平成18年改正前特許法17条の2第4項2号の特許請求の範囲の減縮を目的とするものに該当する。

そこで、本件補正後の請求項6に記載された発明(以下「本件補正発明」という。)が、特許出願の際独立して特許を受けることができるものであるかについて検討する。

(2)引用例
原査定の拒絶の理由に引用された引用例、及びその記載事項は、前記2.(2)に記載したとおりである。

(3)対比
本件補正後の請求項6に記載された事項は、上記2.(1)で摘記した審判請求時補正後の請求項6に記載された事項と同じであるから、引用発明と本件補正発明を対比すると、引用発明と本件補正発明とは、上記2.(3)で述べた、引用発明と審判請求時補正発明との一致点と同じ点で一致し、同じく上記2.(3)で述べた、引用発明と審判請求時補正発明との相違点と同じ点で相違する。

(4)判断
引用発明と本件補正発明との上記相違点は、上記2.(3)で述べた、引用発明と審判請求時補正発明との相違点と同じであるから、本件補正発明は、上記2.(4)で述べた理由と同じ理由で、引用発明及び上記周知技術に基づいて、当業者が容易に発明をすることができたものである。

以上のとおり、本件補正発明は、引用例に記載された発明及び上記周知技術に基づいて、当業者が容易に発明をすることができたものであるから、特許法29条2項の規定により、特許出願の際独立して特許を受けることができないものである。

(5)むすび
以上のとおり、本件補正は、平成18年改正前特許法17条の2第5項において準用する同法126条5項の規定に違反するものであるから、同法159条1項の規定において読み替えて準用する同法53条1項の規定により却下すべきものである。

4.本願発明について

(1)本願発明
平成19年2月14日付け手続補正および平成19年3月15日付け手続補正は上記のとおり却下されたので、本願の請求項6に係る発明(以下「本願発明」という。)は、平成18年10月2日付け手続補正書の特許請求の範囲の請求項6に記載された事項により特定される、以下のとおりのものである。
「共通信号を印加するための共通電極と、前記共通電極から分離されており画像信号を印加するための画素電極とを含む第1基板と、
前記第1基板と対向している第2基板と、
前記第1基板と前記第2基板との間に注入されている液晶物質層と、
前記液晶物質層内に散布されており、周囲の液晶分子を表面に対して垂直に配列させる複数のスペーサと、
を含む液晶表示装置であり、
前記スペーサがジビニルベンゼンを含む、液晶表示装置。」

(2)引用例
原査定の拒絶の理由に引用された引用例、及びその記載事項は、前記2.(2)に記載したとおりである。

(3)対比・判断
本願発明は、前記3.で検討した本件補正発明において、スペーサがジビニルベンゼンを「主成分とする」との限定を、スペーサがジビニルベンゼンを「含む」との特定にとどめたものに相当する。
そうすると、本件補正発明の構成要件をすべて含み、その特定事項をさらに限定したものに相当する本件補正発明が、前記3.(4)に記載したとおり、引用例に記載された発明及び上記周知技術に基づいて、当業者が容易に発明をすることができたものであるから、本願発明も同様の理由により、引用例に記載された発明及び上記周知技術に基づいて、当業者が容易に発明をすることができたものである。

(4)むすび
以上のとおり、本願発明は、引用例に記載された発明及び上記周知技術に基づいて、当業者が容易に発明をすることができたものであるから、特許法29条2項の規定により特許を受けることができない。

よって、結論のとおり審決する。
 
審理終結日 2008-07-30 
結審通知日 2008-08-05 
審決日 2008-08-18 
出願番号 特願平10-374130
審決分類 P 1 8・ 121- Z (G02F)
P 1 8・ 575- Z (G02F)
最終処分 不成立  
前審関与審査官 吉野 公夫柏崎 康司  
特許庁審判長 小牧 修
特許庁審判官 服部 秀男
山村 浩
発明の名称 液晶表示装置  
代理人 小野 由己男  

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