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審決分類 審判 査定不服 2項進歩性 特許、登録しない。 G01C
審判 査定不服 5項独立特許用件 特許、登録しない。 G01C
管理番号 1191178
審判番号 不服2006-24078  
総通号数 111 
発行国 日本国特許庁(JP) 
公報種別 特許審決公報 
発行日 2009-03-27 
種別 拒絶査定不服の審決 
審判請求日 2006-10-25 
確定日 2009-01-15 
事件の表示 特願2004-288716「振動型ジャイロスコープ、及び振動型ジャイロスコープの製造方法」拒絶査定不服審判事件〔平成18年 4月20日出願公開、特開2006-105614〕について、次のとおり審決する。 
結論 本件審判の請求は、成り立たない。 
理由 1.手続の経緯
本願は、平成16年9月30日の出願であって、明細書、特許請求の範囲又は図面について平成18年3月9日付けで補正がなされ(以下、「補正1」という。)、平成18年9月15日付け(送達:同年9月26日)で拒絶査定がされ、これに対し、同年10月25日に拒絶査定不服審判が請求されるとともに、同年11月22日付けで明細書、特許請求の範囲又は図面についての手続補正(以下、「本件補正」という。)がなされたものである。

2.本件補正についての補正却下の決定
[補正却下の決定の結論]
本件補正を却下する。
[理由]
(1)補正の内容
本件補正は、特許請求の範囲の請求項1を補正前の
「圧電振動片に加えられる回転の回転角速度を検出する振動型ジャイロスコープであって、
前記圧電振動片は、
基部と、
前記基部から延出された支持梁を介して設けられ、所定の振動を行う複数の駆動部と、前記基部から前記駆動部と同一平面内に延出され、前記駆動部の回転に伴うコリオリ力によって生じた検出振動を検出する検出部と、
前記駆動部の略先端部分に形成され前記複数の駆動部の固有共振周波数のバランス調整用の第一錘部と、
前記検出部の略先端部分に形成され前記検出部の固有共振周波数調整用の第二錘部と、を有し、
前記第一錘部及び第二錘部のうち少なくとも前記第一錘部は、単位面積当たりの質量の異なる複数の調整部で形成されていることを特徴とする振動型ジャイロスコープ。」
から、補正後の
「圧電振動片に加えられる回転の回転角速度を検出する振動型ジャイロスコープであって、
前記圧電振動片は、
基部と、
前記基部からX軸方向に延出された支持梁を介して設けられ、かつ、前記X軸方向と直交するY軸および-Y軸方向に延出し、所定の振動を行う第1の駆動部と、 前記基部から-X軸方向に延出された支持梁を介して設けられ、かつ、前記-X軸方向と直交する前記Y軸および-Y軸方向に延出し、所定の振動を行う第2の駆動部と、
前記基部から前記第1および第2の駆動部と同一平面内において前記Y軸および-Y軸方向に延出し、前記第1、第2の駆動部の回転に伴うコリオリ力によって生じた検出振動を検出する検出部と、
前記第1の駆動部および前記第2の駆動部のそれぞれの略先端部分に幅広形状に形成された前記第1、第2の駆動部の固有共振周波数のバランス調整用の第一錘部と、
前記検出部の略先端部分に幅広形状に形成され前記検出部の固有共振周波数調整用の第二錘部と、
を有し、
前記第一錘部及び第二錘部のそれぞれは、単位面積当たりの質量の異なる複数の調整部で形成されていることを特徴とする振動型ジャイロスコープ。」
に補正する補正事項を含むものである。(下線は補正箇所を示すために当審において付した。)
この補正は、請求項1に記載した発明を特定するために必要な事項である「前記基部から延出された支持梁」について「前記基部からX軸方向に延出された支持梁」及び「前記基部から-X軸方向に延出された支持梁」と限定し、請求項1に記載した発明を特定するために必要な事項である「所定の振動を行う複数の駆動部」について「前記X軸方向と直交するY軸および-Y軸方向に延出し、所定の振動を行う第1の駆動部」及び「前記-X軸方向と直交する前記Y軸および-Y軸方向に延出し、所定の振動を行う第2の駆動部」と限定し、請求項1に記載した発明を特定するために必要な事項である「前記基部から前記駆動部と同一平面内に延出され、前記駆動部の回転に伴うコリオリ力によって生じた検出振動を検出する検出部」について「前記基部から前記第1および第2の駆動部と同一平面内において前記Y軸および-Y軸方向に延出し、前記第1、第2の駆動部の回転に伴うコリオリ力によって生じた検出振動を検出する検出部」と限定し、請求項1に記載した発明を特定するために必要な事項である「前記駆動部の略先端部分に形成され前記複数の駆動部の固有共振周波数のバランス調整用の第一錘部」について「前記第1の駆動部および前記第2の駆動部のそれぞれの略先端部分に幅広形状に形成された前記第1、第2の駆動部の固有共振周波数のバランス調整用の第一錘部」と限定するともに、請求項1に記載した発明を特定するために必要な事項である「前記検出部の略先端部分に形成され前記検出部の固有共振周波数調整用の第二錘部」について「前記検出部の略先端部分に幅広形状に形成され前記検出部の固有共振周波数調整用の第二錘部」と限定するものであり、さらに、請求項1に記載した発明を特定するために必要な事項である「前記第一錘部及び第二錘部のうち少なくとも前記第一錘部」について「前記第一錘部及び第二錘部のそれぞれ」と択一的記載の削除をするものであって、これらは、特許法第17条の2第4項2号の特許請求の範囲の減縮を目的とするものに該当する。(下線は限定箇所を示すために当審で付した。)
そこで、本件補正後の前記請求項1に記載された発明(以下、「本願補正発明」という。)が特許出願の際独立して特許を受けることができるものであるかについて以下に検討する。

(2)引用例記載の事項・引用発明
本願出願前に頒布された刊行物である特開2000-180173号公報(以下「引用例1」という。)には、次の事項(a)?(h)が図面とともに記載されている。
(a)「【発明の属する技術分野】本発明は、振動型ジャイロスコープおよびこれに好適に使用できる振動子、および振動子の製造方法に関するものである。」(段落【0001】)
(b)「従来から、回転系内の回転角速度を検出するための角速度センサとして、圧電体を用いた振動型ジャイロスコープが、航空機や船舶、宇宙衛星などの位置の確認用として利用されてきた。最近では、民生用の分野としてカーナビゲーションや、VTRやスチルカメラの手振れの検出などに使用されている。・・・このような圧電振動型ジャイロスコープは、振動している物体に角速度が加わると、その振動と直角方向にコリオリ力が生じることを利用している。」(段落【0002】、【0003】)
(c)「本発明に係る振動子は、少なくとも一部が固定されている屈曲振動片と、屈曲振動片の屈曲振動と外部の電気信号との間の変換を行うための励振手段または検出手段とを備えている振動子」(段落【0007】)
(d)「本発明は、回転系の回転角速度を検出するための振動型ジャイロスコープであって、前記の振動子を備えていることを特徴とする。」(段落【0009】)
(e)「図1は、本発明の一実施形態に係る圧電単結晶製の振動子を備えた振動型ジャイロスコープを、概略的に示す平面図である。基部31は、振動子の重心GOを中心として、4回対称の正方形をしている。基部31の周縁部31aから、四方に向かって放射状に、二つの駆動振動系1A、1Bと検出振動系2A、2Bとが突出しており、各振動系は互いに分離されている。駆動振動系1Aと1Bとは重心GOを中心として2回対称であり、検出振動系2Aと2Bとは重心GOを中心として2回対称である。・・・駆動振動系1A、1Bは、基部31の周縁部31aから突出する支持部12A、12Bと、支持部12A、12Bの先端12b側から支持部に直交する方向に延びる屈曲振動片13C、13Dを備えている。各屈曲振動片13C、13Dは、更には各屈曲振動片16A、16B、および16C、16Dからなる。各屈曲振動片16A-16Dには、それぞれ駆動電極11A、11Bが設けられている。各検出振動系2A、2Bは、細長い周方向屈曲振動片14C、14Dからなり、各屈曲振動片には検出電極10A、10Bが設けられている。・・・この振動子の駆動振動の振動モードにおいては、各屈曲振動片16A-16Dが、各支持部12A、12Bの各先端部分12b付近を中心として、矢印5A、5Bのように、主として径方向に向かって屈曲振動している。検出振動の振動モードにおいては、各支持部12A、12Bが、固定部12aを中心として周方向に屈曲振動し、これに対応して、各検出振動系2A、2Bの各屈曲振動片14C、14Dが、矢印6A、6Bのように屈曲振動する。」(段落【0012】?【0014】)
(f)「各屈曲振動片16A、16B、16C、16D、14C、14Dにおいて、駆動電極11A、11B、検出電極10A、10Bよりも先端側に、凹部17A、17B、17C、17Dを設ける。なお、8は各屈曲振動片の固定部分であり、9は各屈曲振動片の一方の端部であり、19は各屈曲振動片の他方の端部である。・・・こうした凹部の作用効果について述べる。図2に示すように、屈曲振動片をエッチングによって作製する際には、実線で示す設計形状に対して、破線で示すように、エッチングが更に進行し、即ちオーバーエッチングが起こることがある。この際、屈曲振動片の先端面21のエッチングが進行すると、屈曲振動片の質量が減少するので、その共振周波数が上がる。一方、屈曲振動片の側面22のエッチングが進行すると、屈曲振動片が細くなることから、その共振周波数が下がる。この結果、全体としては、側面22のエッチングの効果が大きくなり、その共振周波数が下がる傾向があることがわかった。・・・そこで、本発明に従い、各屈曲振動片に貫通孔17A-17Dを設けることによって、側面22のオーバーエッチングが破線のように進行したときには、凹部17A-17Dのエッチングも、破線に示すように進行する。言い換えると、各凹部の実線で示す設計形状18A、18B、18C、18Dに対して、各凹部のエッチングが更に進行し、17A-17Dで示す形状の凹部が実際には形成される。この結果、設計された凹部18A-18Dに比べて、実際の凹部17A-17Dが大きくなり、この結果、設計値よりも屈曲振動片の先端側の質量が減少する。・・・例えば、屈曲振動片が水晶からなり、その長さが6mmであり、幅が1.0mmであり、厚さが0.3mmである場合、側面22が設計値よりも1μmエッチングされると、駆動、検出の各共振周波数の差が、設計値に対して約2.85Hz変化する。これに対して、長さ0.4mm、幅0.3mmの貫通孔17A-17Dを設けることによって、設計値に対して、共振周波数差が0.08Hzしか変化しない。」(段落【0015】?【0018】)
(g)「また、屈曲振動片に拡幅部を設け、この拡幅部に凹部を設けることによって、凹部の前記効果を一層大きくできる。・・・・・・図3は、この実施形態に係る振動型ジャイロスコープを示す。図3の振動型ジャイロスコープは、図1のものと基本的に同様である。各屈曲振動片16A、16B、16C、16D、14C、14Dの各先端に、各屈曲振動片の幅よりも大きな幅を有する拡幅部25、26を設け、」(段落【0019】、【0020】)
(h)「本発明の振動子の変位は、特に好ましくは、所定面内で生ずる。この場合には、振動子の全体を、同一の圧電単結晶によって形成することができる。この場合には、まず圧電単結晶の薄板を作製し、この薄板をエッチングにより加工することによって、振動子を作製できる。」(段落【0030】)

・上記記載(e)、(h)及び第1図より、
(イ)「屈曲振動片13Cは、基部31からX軸方向に突出した支持部12Aの先端にX軸方向と直交するY軸および-Y軸に延びており、屈曲振動片13Dは、基部31から-X軸方向に突出した支持部12Bの先端に-X軸方向と直交するY軸および-Y軸に延びており、周方向屈曲振動片14C、14Dは、基部31から屈曲振動片13C、13Dと同一平面内においてY軸および-Y軸方向に延びている」との技術事項が読み取れる。
・上記記載(f)、(g)及び第3図より、
(ロ)「屈曲振動片13C、13Dは、それらの略先端部分に各屈曲振動片13C、13Dの幅よりも大きな幅を有する形状に形成された拡幅部25が設けられ、周方向屈曲振動片14C、14Dは、それらの略先端部分に各周方向屈曲振動片14C、14Dの幅よりも大きな幅を有する形状に形成された拡幅部26が設けられており、各拡幅部25、26に設けられた凹部17A?17Dの形状変化に伴う略先端部分である拡幅部25、26の質量減少により共振周波数が上がることとなり、側面22の形状変化に伴って共振周波数が下がるのを防ぐものとして機能することから、拡幅部25は屈曲振動片13C及び屈曲振動片13Dの共振周波数を設計値の周波数に合わせるための調整用として機能し、拡幅部26は周方向屈曲振動片14C、14Dの共振周波数を設計値の周波数に合わせるための調整用として機能している」との技術事項が読み取れる。

上記記載(a)?(h)及び技術事項(イ)、(ロ)を総合勘案すると、引用例1には次の発明が記載されていると認められる。
「圧電単結晶製の振動子に加えられる回転系の回転角速度を検出する振動型ジャイロスコープであって、
前記圧電単結晶製の振動子は、
基部31と、
前記基部31からX軸方向に突出された支持部12Aの先端に設けられ、かつ、前記X軸方向と直交するY軸および-Y軸方向に延びており、屈曲振動を行う屈曲振動片13Cと、
前記基部31から-X軸方向に突出した支持部12Bの先端に設けられ、かつ、前記-X軸方向と直交する前記Y軸および-Y軸方向に延びており、屈曲振動を行う屈曲振動片13Dと、
前記基部31から前記屈曲振動片13Cおよび屈曲振動片13Dと同一平面内において前記Y軸および-Y軸方向に延びており、前記屈曲振動片13C、13Dの回転に伴うコリオリ力によって生じた検出振動を検出する周方向屈曲振動片14C、14Dと、
前記屈曲振動片13Cおよび屈曲振動片13Dのそれぞれの略先端部分に各屈曲振動片13C、13Dの幅よりも大きな幅を有する形状に形成された前記屈曲振動片13C、13Dの共振周波数調整用の拡幅部25と、
前記周方向屈曲振動片14C、14Dの略先端部分に各周方向屈曲振動片14C、14Dの幅よりも大きな幅を有する形状に形成された前記周方向屈曲振動片14C、14Dの共振周波数調整用の拡幅部26と、
を有し、
振動片の略先端部分の質量を除去することで共振周波数の調整を行うようにしている振動型ジャイロスコープ。」(以下、「引用発明1」という。)

また、原査定の拒絶の理由に引用され、本願出願前に頒布された刊行物である特開2003-133885号公報(以下、「引用例2」という。)には、次の事項(i)が図面とともに記載されている。
(i)「【従来の技術】従来、振動片である音叉型水晶振動片は、例えば図14に示すように構成されている。すなわち、音叉型水晶振動片10は、基部11と、この基部11から突出して形成されている2本の振動腕部12,13を有している。そして、この2本の振動腕部12,13には、図14に示すように、溝12a,13aが表面及び裏面に形成されている。また、このように溝12a,13aが設けられている振動腕部12,13の先端部には粗調用電極14,15と微調用電極16,17が、それぞれ配置されている。
・・・このような粗調用電極14,15と微調用電極16,17は、例えば図15及び図16に示すように形成されている。図15は、図14のA-A’線拡大概略断面図であり、図16は、図14のB-B’線拡大概略断面図である。図15に示すように、振動腕部12の表面にCr(クロム)膜とAu(金)膜が形成され、振動腕部12の表面(図において上部)にAuの重りが配置されることにより、粗調用電極14,15が構成されている。一方、図16に示すように、振動腕部12の表面にCr膜とAu膜を配置することで、微調用電極16,17は構成されている。このように構成される粗調用電極14,15と微調用電極16,17は、音叉型水晶振動片10の周波数を例えば32.768kHzに調整するための電極である。・・・具体的には、先ず、粗調用電極14,15と微調用電極16,17を配置した状態で、音叉型水晶振動片10を共振回路で発振させ、周波数を測定する。そして、この測定された周波数と目標周波数である32.768KHzとの差を出す。このとき、音叉型水晶振動片10の周波数は目標周波数より、低くなるように粗調用電極14,15等が配置されている。次に、この測定された周波数と目標周波数との差に基づき、粗調用電極14,15にYAGレーザを照射し、粗調用電極14,15のAu重り(図15参照)側の部分を除去する。ここで、Au重り等にYAGレーザを照射するとAu重り等の付加質量が減じ、振動片全体の周波数が高くなるようになっている。・・・また、粗調用電極14,15には、質量のあるAu重りがついているため、ワンスポット当りのYAGレーザ照射による電極除去量(質量減少量)が大きくなるため、速やかに、周波数を上げることができ、具体的には周波数を32.768KHz近傍まで上げることができる。このように、32.768KHz近傍まで、周波数を近づけた後、次に、周波数のねらい値まで、周波数を合わせ込む。このとき、微調用電極16,17に対してYAGレーザを照射するが、ワンスポット当りの電極除去量(質量減少量)が小さいため、より精密に周波数を調整することができる。」(段落【0002】?【0005】)

上記記載(i)及び図14、15より、引用例2には次の発明が記載されていると認められる。
「目標共振周波数への調整を容易にするために、振動腕12、13の略先端部分に単位面積当たりの質量の異なる粗調用電極14、15と微調用電極16、17を形成し、振動腕の略先端部分の質量を除去することで共振周波数の調整を行うようにすること。」(以下、「引用発明2」という。)

(3)対比
本願補正発明と引用発明1とを対比する。
引用発明1における
「圧電単結晶製の振動子」、「回転系の」、「振動型ジャイロスコープ」、「基部31」、「突出」、「支持部12A」、「の先端に設けられ」、「屈曲振動」、「屈曲振動片13C」、「支持部12B」、「延びており」、「屈曲振動片13D」、「周方向屈曲振動片14C、14D」、「各屈曲振動片13C、13Dの幅よりも大きな幅を有する形状」、「拡幅部25」、「各周方向屈曲振動片14C、14Dの幅よりも大きな幅を有する形状」及び「共振周波数調整用の拡幅部26」は、
本願補正発明の
「圧電振動片」、「回転の」、「振動型ジャイロスコープ」、「基部」、「延出」、「支持梁」、「を介して設けられ」、「所定の振動」、「第1の駆動部」、「支持梁」、「延出し」、「第2の駆動部」、「検出部」、「幅広形状に」、「第一錘部」、「幅広形状に」及び「固有共振周波数調整用の第二錘部」にそれぞれ相当する。
してみると、両者は
(一致点)
「圧電振動片に加えられる回転の回転角速度を検出する振動型ジャイロスコープであって、
前記圧電振動片は、
基部と、
前記基部からX軸方向に延出された支持梁を介して設けられ、かつ、前記X軸方向と直交するY軸および-Y軸方向に延出し、所定の振動を行う第1の駆動部と、
前記基部から-X軸方向に延出された支持梁を介して設けられ、かつ、前記-X軸方向と直交する前記Y軸および-Y軸方向に延出し、所定の振動を行う第2の駆動部と、
前記基部から前記第1および第2の駆動部と同一平面内において前記Y軸および-Y軸方向に延出し、前記第1、第2の駆動部の回転に伴うコリオリ力によって生じた検出振動を検出する検出部と、
前記第1の駆動部および前記第2の駆動部のそれぞれの略先端部分に幅広形状に形成された第一錘部と、
前記検出部の略先端部分に幅広形状に形成され前記検出部の固有共振周波数調整用の第二錘部と、
を有している振動型ジャイロスコープ。」
で一致し、以下の2点で相違する。
(相違点)
・相違点1
本願補正発明では、第一錘部は第1、第2の駆動部の固有共振周波数のバランス調整用であるとしているのに対し、引用発明1では、拡幅部25(第一錘部に相当)は屈曲振動片13C、13D(第1、第2の駆動部に相当)の共振周波数調整用であるとしている点。
・相違点2
本願補正発明では、第一錘部及び第二錘部のそれぞれは、単位面積当たりの質量の異なる複数の調整部で形成されているのに対し、引用発明1では、拡幅部25及び拡幅部26(第一錘部及び第二錘部に相当)は、当該調整部を有していない点。

(4)当審の判断
上記相違点について検討する。
・相違点1について
この種の振動型ジャイロスコープにおいては、検出部に対して対称に設けられた駆動部同士の固有共振周波数を同一に調整する必要があることは技術常識であるから、引用発明1における屈曲振動片13C、13Dの共振周波数調整用の拡幅部25が、それらの固有共振周波数のバランス調整用として機能していることは当業者ならば明らかである。
してみれば、相違点1は実質的な相違点ではない。
・相違点2について
引用発明1も、引用発明2も、共に、振動子の共振周波数の調整という技術分野に係るものである点で共通しており、しかも、該調整を振動片の略先端部分の質量を減少することにより行うとの技術的手法においても両者は共通している。
してみると、引用発明1における拡幅部25、26について、共振周波数の調整をするべく、引用発明2の「目標周波数への調整を容易にするために、振動腕12、13の略先端部分に単位面積当たりの質量の異なる粗調用電極14、15と微調用電極16、17を形成すること。」という公知技術を適用して本願補正発明のように、「第一錘部及び第二錘部のそれぞれは、単位面積当たりの質量の異なる複数の調整部で形成されている」ようにすることは当業者ならば容易に推考し得たことである。

そして、本願補正発明の作用効果も、引用発明1及び引用発明2から当業者が予測可能なものであって格別のものではない。
したがって、本願補正発明は、引用発明1及び引用発明2に基づいて当業者が容易に発明をすることができたものであるから、特許法29条第2項の規定により特許出願の際独立して特許を受けることができないものである。

(5)むすび
以上のとおり、本件補正は、平成18年法律第55号改正附則第3条第1項によりなお従前の例によるとされる同法による改正前の特許法第17条の2第5項において準用する同法第126条第5項の規定に違反するので、同法第159条第1項において読み替えて準用する同法第53条第1項の規定により却下すべきものである。

3.本願発明について
本件補正は上記のとおり却下されたので、本願の請求項1ないし9に係る発明は、補正1によって補正された明細書、特許請求の範囲及び図面の記載からみて、その特許請求の範囲の請求項1ないし9に記載された事項により特定されるとおりのものと認められるところ、その請求項1に係る発明は次のとおりである。
「圧電振動片に加えられる回転の回転角速度を検出する振動型ジャイロスコープであって、
前記圧電振動片は、
基部と、
前記基部から延出された支持梁を介して設けられ、所定の振動を行う複数の駆動部と、
前記基部から前記駆動部と同一平面内に延出され、前記駆動部の回転に伴うコリオリ力によって生じた検出振動を検出する検出部と、
前記駆動部の略先端部分に形成され前記複数の駆動部の固有共振周波数のバランス調整用の第一錘部と、
前記検出部の略先端部分に形成され前記検出部の固有共振周波数調整用の第二錘部と、
を有し、
前記第一錘部及び第二錘部のうち少なくとも前記第一錘部は、単位面積当たりの質量の異なる複数の調整部で形成されていることを特徴とする振動型ジャイロスコープ。」(以下、「本願発明」という。)

(1)引用例記載の事項・引用発明
原査定の拒絶の理由に引用され、本願出願前に頒布された刊行物である特開平11-72334号公報(以下、「引用例3」という。)には、次の事項(j)?(q)が図面とともに記載されている。
(j)「【発明の属する技術分野】本発明は、回転系内の回転角速度を検出するために使用される角速度センサに用いられる振動子、およびその振動子を用いた振動型ジャイロスコープに関し、特に圧電体を用いた振動子、およびその振動子を用いた振動型ジャイロスコープに関するものである。」(段落【0001】)
(k)「【課題を解決するための手段】本発明に係る振動子は、基部と、この基部から基部の長さ方向に対して交差する方向に延びる少なくとも一本の屈曲振動片とを備えている主アームと、基部の一方の端部を固定する固定部とを備えており、基部および屈曲振動片が実質的に所定平面内に延びるように形成されていることを特徴とする。・・・・・また、本発明は、回転角速度を検出するための振動型ジャイロスコープであって、前記の振動子と、振動子に平面内の振動を励振するための励振手段と、振動子が平面内で回転したときに振動子に対して加わるコリオリ力による振動子の屈曲振動を検出し、検出した屈曲振動に応じた信号を出力するための検出手段とを備えることを特徴とする、振動型ジャイロスコープに係るものである。」(段落【0009】?【0010】)
(l)「図面を参照しつつ、本発明の好適な実施形態を更に説明する。図1は、本発明の一実施形態に係る振動子を示す正面図であり、図2(a)は、直線状の振動子の振動方向を説明するための正面図であり、図2(b)は、図1の振動子の駆動方向を説明するための正面図であり、図3(a)、(b)、(c)は、図1の振動子の各部分の振動方向と振動の原理とを説明するための模式図である。
図1の振動子2の主アーム101Aにおいては、基部3が固定部1から垂直に延びており、基部3の一方の端部3aが固定部1に固定されている。基部3内に所定の励振手段5A、5Bが設けられている。基部3の他方の端部3b側に、基部3に対して垂直方向に延びる2本の屈曲振動片4A、4Bが設けられている。・・・この振動子2の振動のモードについて説明する。図3(a)に模式的に示すように、励振手段5A、5Bに対して駆動電圧を印加し、基部3を、固定部材1との接続部分26を中心として、矢印Hの方向へと屈曲させる。この屈曲に伴い、振動子2の基部3だけでなく、各屈曲振動片4A、4Bの各点も、矢印Iのように移動する。・・・・・・本実施形態ではZ軸を回転軸とし、振動子2をz軸を中心として回転させる。例えば、振動子2が矢印Hの方向に変位したときに、wで示すように振動子2の全体がZ軸を中心として回転すると、矢印Jで示すようにコリオリ力が作用する。この結果、図3(b)に示すように、各屈曲振動片4A、4Bが、それぞれ基部3の他方の端部3bとの接続部分25を中心として矢印J方向へと屈曲する。・・・これとは反対に、図3(c)に示すように、基部3を矢印Kで示すように駆動したときに、wで示すように振動子2の全体がZ軸を中心として回転すると、矢印Lで示すようにコリオリ力が作用する。この結果、各屈曲振動片4A、4Bが、それぞれ基部3の他方の端部3bとの接続部分25を中心として矢印L方向へと屈曲する。これによって、各屈曲振動片4A、4Bを、矢印A、Bのように振動させることができる。・・・このように、基部3の屈曲振動によって、各屈曲振動片4A、4Bにおいて、X-Y平面内に発生するコリオリ力を、各屈曲振動片4A、4Bの接続部分25を中心とする屈曲振動に変換し、その屈曲振動から回転角速度を求めることができる。」(段落【0021】?【0026】)
(m)「また、図1、図3の振動子を使用したとき、各屈曲振動片4A、4Bに対して矢印A、Bで示すような屈曲振動を励振することができる。振動子2がX-Y平面内で回転すると、各屈曲振動片にコリオリ力が加わり、各屈曲振動片のコリオリ力が、基部3に対して加わる。これによって基部3が接続部分26を中心として矢印Gのように屈曲振動する。この基部3の屈曲振動を検出し、検出した屈曲振動に応じた信号を出力することができる。」
(n)「振動子を圧電単結晶によって形成した場合には、励振手段、検出手段5A、5B、6A、6B、6C、6Dとしては、電極を使用する。」(段落【0030】)
(o)「一般に圧電振動型ジャイロスコープでは、測定感度を良好にするために、駆動の振動モードの固有共振周波数と検出の振動モードの固有共振周波数との間に、一定の振動周波数差を保つことが要求されている。本発明の各振動子においては、基部の振動モードの固有共振周波数と屈曲振動片の振動モードの固有共振周波数とが近くなると、感度は良くなるが、応答速度が悪化する。基部の振動モードの固有共振周波数と屈曲振動片の振動モードの固有共振周波数との差が大きくなると、応答速度は良くなるが、感度が悪化する。・・・このため、屈曲振動片の先端側の質量を除去することによって、屈曲振動片の振動モードの固有共振周波数を変化させることができる。また、基部の固定端部とは反対側に、屈曲振動片から突出する突出部を設け、この突出部の質量を除去することによって、基部の振動モードの固有共振周波数を変化させることができる。・・・例えば、図9の振動子42の主アーム101Eにおいては、基部3の他方の端部3b側に、屈曲振動片4A、4Bから突出する突出部35が設けられている。そして、突出部35の一部分37から質量を除去する加工を施すことによって、基部の振動Dの振動モードの固有共振周波数を変化させる。また、各屈曲振動片4A、4Bの各先端側の36A、36Bから質量を除去する加工を行うことによって、各屈曲振動片の振動A、Bの振動モードの固有共振周波数を、それぞれ独立して変化させることができる。この除去加工は、レーザーの照射や機械加工によって実施できる。」(段落【0047】?【0049】)
(p)「図1?図9に示したように、主アームないしその共振片の屈曲振動片の屈曲振動を利用した振動型ジャイロスコープは、回転系に対して垂直に延びる振動子を採用した場合に、従来ない高い感度を達成できるものであった。しかし、本発明者が更に検討を進めた結果、更に次の問題点が残されていたことが判明してきた。即ち、屈曲振動片と基部とからなる主アームが固定部から突出している形態であるために、例えば屈曲振動片の屈曲振動を駆動振動とし、基部の固定部を中心とする屈曲振動を検出した場合に、基部の振動が比較的に早期に減衰し易いために、この検出振動のQ値にいまだ改善の余地があることが判明した。・・・本発明者は、この問題点を解決するために検討を進めた結果、固定部から基部と共に少なくとも一対の共振アームを突出させ、基部の振動に対して共振アームを共振させることを想到した。この場合、共振アームおよび基部の振動を駆動振動として使用することもできるが、共振アームおよび基部の振動を検出振動として使用することが一層好ましい。なぜなら、ジャイロ信号を担う検出振動の方が、駆動振動に比べてはるかに振幅が小さいために、Q値の改善の効果が大きいからである。・・・図10?図12は、この態様に係る各実施形態の振動型ジャイロスコープを示すものである。」(段落【0051】?【0053】)
(q)「このときの好適な振動モードについて、図11(a)?(c)を参照しつつ述べる。前記したように、屈曲振動片45A、45Bを励振して、図11(a)に示す矢印Sのように屈曲振動させる。振動子の全体を前記のように回転させると、矢印Tで示すようにコリオリ力が作用する。このコリオリ力によって基部および一対の共振アームに励起される振動は複数存在する。・・・図11(b)には二次振動を示す。この場合には、基部3と各共振アーム48A、48Bとは、互いに逆相で屈曲振動し、これと同時に、屈曲振動片45A、45Bも直線58に対して外れるように振動する。図11(c)には一次振動を示す。この場合には、基部3と各共振アーム48A、48Bとは、互いに逆相で屈曲振動し、これと同時に、屈曲振動片45A、45Bも直線58に対して外れるように振動する。一次振動の場合と二次振動の場合とでは、各屈曲振動片45A、45Bの振動の方向は逆相になる。・・・ここで、一次振動と二次振動とのいずれを検出振動として使用してもよいが、駆動振動の固有共振周波数と検出振動の固有共振周波数との差が一定範囲になるように選択する必要がある。・・・図12の振動型ジャイロスコープ59Aの振動子60Aにおいては、固定部1から主アーム101Gが突出しており、固定部1から基部3が突出し、基部3の端部3b側に、基部3に対して垂直に延びる屈曲振動片61A、61Bが形成されている。質量部47A、47Bに相当する部分はないので、その分各屈曲振動片を長くする必要がある。各屈曲振動片61A、61Bには、それぞれ、励振手段(検出手段)46A、46B、46C、46Dが設けられている。・・・また、固定部1から一対の共振アーム62A、62Bが突出しており、各共振アームには、それぞれ、検出手段(励振手段)49A、49B、49C、49Dが設けられている。」(段落【0056】?【0060】、図11、図12)

・上記記載(j)、(q)及び図12より、
(ニ)「振動子60Aは圧電振動片で構成される」との技術事項が読み取れる。
・上記記載(k)、(q)及び図12より、
(ホ)「屈曲振動を行う2本の屈曲振動片61A、61Bは、固定部1から延出された基部3を介して設けられ、共振アーム62A、62Bは固定部1から2本の屈曲振動片61A、61Bと同一平面内に突出されている」との技術事項が読み取れる。
・上記記載(o)、(p)、(q)及び図9、図12より、
(ヘ)「屈曲振動片61A、61B及び共振アーム62A、62Bの略先端部分には、質量を除去することにより固有共振周波数を変化させる部分を形成できる」(以下、当該部分をそれぞれ「第一部分」、「第二部分」という。)との技術事項が読み取れる。
・上記記載(p)、(q)及び図11、図12より、
(ト)「振動子60Aの平面内の回転により、屈曲振動している屈曲振動片61A、61Bが回転し、それに伴うコリオリ力によって生じた屈曲振動を共振アーム62A、62Bが検出する」との技術事項が読み取れる。

上記記載(i)ないし(p)及び技術事項(ニ)ないし(ト)を総合勘案すると、引用例3には次の発明が記載されていると認められる。
「振動子60Aに加えられる回転系内の回転角速度を検出する振動型ジャイロスコープであって、
前記振動子60Aは、
固定部1と、
前記固定部1から突出した基部3に対して垂直に延び、屈曲振動を行う2本の屈曲振動片61A、61Bと、
前記固定部1から前記屈曲振動片61A、61Bと同一平面内に延出され、前記屈曲振動片61A、61Bの回転に伴うコリオリ力によって生じた屈曲振動を検出する共振アーム62A、62Bと、
前記屈曲振動片61A、61Bの略先端部分に形成され前記2本の屈曲振動片61A、61Bの固有共振周波数を変化させる第一部分と、
前記共振アーム62A、62Bの略先端部分に形成され前記共振アーム62A、62Bの固有共振周波数を変化させる第二部分と、
を有し、
振動片の略先端部分の質量を除去することで共振周波数の調整を行うようにしている振動型ジャイロスコープ。」(以下、「引用発明3」という。)

また、引用例2には、前記2.(2)に説示したとおりの引用発明2が記載されている。

(2)対比
本願発明と引用発明3とを対比する。
引用発明3における
「振動子60A」、「回転系内」、「振動型ジャイロスコープ」、「固定部1」、「突出」、「基部3」、「に対して垂直に延び」、「屈曲振動」、「2本の屈曲振動片61A、61B」、「コリオリ力によって生じた屈曲振動」、「共振アーム62A、62B」、「第一部分」及び「共振アーム62A、62Bの固有共振周波数を変化させる第二部分」は、
本願発明の
「圧電振動片」、「回転」、「振動型ジャイロスコープ」、「基部」、「延出」、「支持梁」、「を介して設けられ」、「所定の振動」、「複数の駆動部」、「コリオリ力によって生じた検出振動」、「検出部」、「第一錘部」及び「検出部の固有共振周波数調整用の第二錘部」にそれぞれ相当する。
してみると、両者は
(一致点)
「圧電振動片に加えられる回転の回転角速度を検出する振動型ジャイロスコープであって、
前記圧電振動片は、
基部と、
前記基部から延出された支持梁を介して設けられ、所定の振動を行う複数の駆動部と、
前記基部から前記駆動部と同一平面内に延出され、前記駆動部の回転に伴うコリオリ力によって生じた検出振動を検出する検出部と、
前記駆動部の略先端部分に形成される第一錘部と、
前記検出部の略先端部分に形成され前記検出部の固有共振周波数調整用の第二錘部と、
を有している振動型ジャイロスコープ。」
で一致し、以下の2点で相違する。
(相違点)
・相違点1
本願発明では、第一錘部は複数の駆動部の固有共振周波数のバランス調整用であるとしているのに対し、引用発明3では、第一部分(第一錘部に相当)は屈曲振動片61A、61B(複数の駆動部に相当)の固有共振周波数調整用であるとしている点。
・相違点2
本願発明では、第一錘部及び第二錘部のうち少なくとも第一錘部は、単位面積当たりの質量の異なる複数の調整部で形成されているのに対し、引用発明3では、第一部分(第一錘部に相当)及び第二(第二錘部に相当)のうち少なくとも第一部分は、当該調整部を有していない点。

(3)当審の判断
上記相違点について検討する。
・相違点1について
この種の振動型ジャイロスコープにおいては、検出部に対して対称に設けられた駆動部同士の固有共振周波数を同一に調整しなければならないことは技術常識であるから、引用発明3における屈曲振動片61A、61Bの固有共振周波数調整用の第一部分が、それらの固有共振周波数のバランス調整用として機能していることは当業者ならば明らかである。
してみれば、相違点1は実質的な相違点ではない。
・相違点2について
引用発明3も、引用発明2も、共に、振動子の共振周波数の調整という技術分野に係るものである点で共通しており、しかも、該調整を振動片の略先端部分の質量を減少することにより行うとの技術的手法においても両者は共通している。
してみると、引用発明3における第一部分、第二部分について、共振周波数の調整をするべく、引用発明2の「目標周波数への調整を容易にするために、振動腕12、13の略先端部分に単位面積当たりの質量の異なる粗調用電極14、15と微調用電極16、17を形成すること」という公知技術を適用して本願発明のように、「第一錘部及び第二錘部のうち少なくとも第一錘部は、単位面積当たりの質量の異なる複数の調整部で形成されている」ようにすることは当業者ならば容易に推考し得たことである。
そして、本願発明の作用効果も、引用発明3及び引用発明2から当業者が予測可能なものであって格別のものではない。

(5)むすび
以上のとおり、本願発明は、引用発明3及び引用発明2に基づいて当業者が容易に発明をすることができたものであるから、特許法第29条第2項の規定により特許を受けることができない。
したがって、他の請求項に係る発明について審理するまでもなく、本願は拒絶すべきものである。
よって、結論のとおり審決する。
 
審理終結日 2008-11-17 
結審通知日 2008-11-18 
審決日 2008-12-01 
出願番号 特願2004-288716(P2004-288716)
審決分類 P 1 8・ 121- Z (G01C)
P 1 8・ 575- Z (G01C)
最終処分 不成立  
前審関与審査官 関根 洋之  
特許庁審判長 飯野 茂
特許庁審判官 江塚 政弘
南 宏輔
発明の名称 振動型ジャイロスコープ、及び振動型ジャイロスコープの製造方法  
代理人 上柳 雅誉  
代理人 宮坂 一彦  
代理人 藤綱 英吉  

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