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審決分類 審判 査定不服 5項独立特許用件 特許、登録しない。 A63F
審判 査定不服 2項進歩性 特許、登録しない。 A63F
管理番号 1192027
審判番号 不服2006-13617  
総通号数 111 
発行国 日本国特許庁(JP) 
公報種別 特許審決公報 
発行日 2009-03-27 
種別 拒絶査定不服の審決 
審判請求日 2006-06-29 
確定日 2009-02-05 
事件の表示 特願2003- 54845「遊技機」拒絶査定不服審判事件〔平成16年 9月24日出願公開、特開2004-261389〕について、次のとおり審決する。 
結論 本件審判の請求は、成り立たない。 
理由 第1.手続の経緯等

本願は、平成15年2月28日の出願であって、平成17年10月18日付けで拒絶理由が通知され、これに対し平成17年12月22日付けで手続補正がされ、平成18年5月22日付けで拒絶査定がされ、これに対し平成18年6月29日付けで拒絶査定不服審判が請求されるとともに、平成18年7月28日付けで手続補正がされたものである。

第2.平成18年7月28日付けの手続補正についての補正却下の決定

[補正却下の決定の結論]
平成18年7月28日付けの手続補正(以下、「本件補正」という。)を却下する。

[理由]
1.補正後の本願発明
本件補正により、特許請求の範囲の請求項1は、
「遊技者が多数の遊技媒体を取得可能な大当たり状態とするか否かの抽選のための大当たり乱数の取得を、所定の抽選条件が成立した場合に行う大当たり乱数取得手段と、
当該大当たり乱数取得手段で取得した前記大当たり乱数が、大当たりであるか否かを判定する判定手段と、
前記判定手段により判定された判定結果を報知する図柄である特別図柄を決定するための特別図柄乱数の取得を行う特別図柄乱数取得手段と、
当該特別図柄乱数取得手段で取得した前記特別図柄乱数及び、予め定められた所定の制約条件に基づいて決定された前記特別図柄を用いて前記判定結果を報知する特別図柄表示装置とを備えた遊技機であって、
前記特別図柄表示装置に表示された前記特別図柄よりも遊技者の視覚的注意を集め、前記判定結果を表示する図柄であるデモ図柄を表示するデモ図柄表示装置と、
前記デモ図柄表示装置に表示される前記デモ図柄の出現の割合を変更するデモ図柄出現割合変更手段と、
所定の変更条件が成立した場合に、前記デモ図柄出現割合変更手段において各デモ図柄の出現の割合を変更するデモ図柄出現割合変更制御手段とを備え、
前記所定の変更条件は、
当該遊技機が、開閉する開閉部材を備えて当該開閉部材が開放された際に前記遊技媒体が入賞可能であり前記遊技媒体が入賞すると多数の前記遊技媒体が払い出される大入賞口と、大当たり遊技状態である際に前記大入賞口を開放する大入賞口開放手段と、当該大入賞口の開放中に所定数の前記遊技媒体が入賞した時若しくは所定時間が経過した時に前記大入賞口の開放を終了する大入賞口開放終了手段と、前記大入賞口を所定の開放回数開放した時若しくは前記大入賞口の開放中に前記通過検知手段が前記遊技媒体の通過を検知しなかった時に大当たり遊技状態を終了させる大当たり遊技状態終了手段とを備えている時には、前記大入賞口の開放時間が所定時間であった場合、
当該遊技機が、開閉する開閉部材を備えて当該開閉部材が開放された際に前記遊技媒体が入賞可能であり前記遊技媒体が入賞すると多数の前記遊技媒体が払い出される大入賞口と、大当たり遊技状態である際に前記大入賞口を開放する大入賞口開放手段と、当該大入賞口の開放中に所定数の前記遊技媒体が入賞した時若しくは所定時間が経過した時に前記大入賞口の開放を終了する大入賞口開放終了手段と、前記大入賞口を所定の開放回数開放した時若しくは前記大入賞口の開放中に前記通過検知手段が前記遊技媒体の通過を検知しなかった時に大当たり遊技状態を終了させる大当たり遊技状態終了手段と、開閉する開閉部材を備え遊技球が入賞する所定の入賞口へ遊技球が入賞した際に前記開閉部材が開放され前記遊技媒体の入賞が可能となる役物とを備えている時には、大当たり遊技状態中に前記役物へ遊技媒体が入賞した場合、
当該遊技機が、開閉する開閉部材を備えて当該開閉部材が開放された際に前記遊技媒体が入賞可能であり前記遊技媒体が入賞すると多数の前記遊技媒体が払い出される大入賞口と、大当たり遊技状態である際に前記大入賞口を開放する大入賞口開放手段と、当該大入賞口の開放中に所定数の前記遊技媒体が入賞した時若しくは所定時間が経過した時に前記大入賞口の開放を終了する大入賞口開放終了手段と、前記大入賞口を所定の開放回数開放した時若しくは前記大入賞口の開放中に前記通過検知手段が前記遊技媒体の通過を検知しなかった時に大当たり遊技状態を終了させる大当たり遊技状態終了手段と、前記遊技媒体が入賞し、前記遊技媒体の入賞が前記所定の抽選条件の成立の要件となる始動口とを備えている時には、大当たり遊技状態中に前記始動口へ入賞した前記遊技媒体の合計が所定数であった場合、
当該遊技機が、開閉する開閉部材を備えて当該開閉部材が開放された際に前記遊技媒体が入賞可能であり前記遊技媒体が入賞すると多数の前記遊技媒体が払い出される大入賞口と、大当たり遊技状態である際に前記大入賞口を開放する大入賞口開放手段と、当該大入賞口の開放中に所定数の前記遊技媒体が入賞した時若しくは所定時間が経過した時に前記大入賞口の開放を終了する大入賞口開放終了手段と、前記大入賞口を所定の開放回数開放した時若しくは前記大入賞口の開放中に前記通過検知手段が前記遊技媒体の通過を検知しなかった時に大当たり遊技状態を終了させる大当たり遊技状態終了手段とを備えている時には、大当たり遊技状態中に前記大入賞口へ入賞した前記遊技媒体の合計が所定数であった場合、
又は、
当該遊技機が、開閉する開閉部材を備えて当該開閉部材が開放された際に前記遊技媒体が入賞可能であり前記遊技媒体が入賞すると多数の前記遊技媒体が払い出される大入賞口と、大当たり遊技状態である際に前記大入賞口を開放する大入賞口開放手段と、当該大入賞口の開放中に所定数の前記遊技媒体が入賞した時若しくは所定時間が経過した時に前記大入賞口の開放を終了する大入賞口開放終了手段と、前記大入賞口を所定の開放回数開放した時若しくは前記大入賞口の開放中に前記通過検知手段が前記遊技媒体の通過を検知しなかった時に大当たり遊技状態を終了させる大当たり遊技状態終了手段とを備えている時には、大当たり遊技状態が所定回数の前記大入賞口の開放回数で終了した場合
の少なくとも1つの場合に成立することを特徴とする遊技機。」(以下、「本願補正発明」という。)と補正された。

上記補正は、補正前の請求項1から、「前記所定の変更条件」として選択的に複数列記していたもののうち、「前記判定結果が所定回数以上連続して大当たりでなかった後の判定結果が大当たりであった場合、」及び「当該遊技機が、前記特別図柄が前記判定手段において大当たりとなる確率が通常よりも高確率である高確率状態へ移行する確率変動当たりであることを示す確率変動当たり図柄である際に高確率状態へ移行する確率変動手段を備えている時には、所定回数連続して前記特別図柄が前記確率変動当たり図柄であった場合、」を削除したものであるから、限定的減縮に該当し、平成18年法律第55号改正附則第3条第1項によりなお従前の例によるとされる同法による改正前の特許法17条の2第4項2号の特許請求の範囲の減縮を目的とするものに該当する。
そこで、本願補正発明が特許出願の際独立して特許を受けることができるものであるか(上記改正前の特許法17条の2第5項において準用する同法126条5項の規定に適合するか)について以下に検討する。

2.引用文献について
(1)引用文献1の記載事項
原査定の拒絶の理由に引用された特開平7-155443号公報(以下、「引用文献1」という。)には、以下の事項が図面とともに記載されている。

・記載事項1
「遊技者に大きな価値を与える特別遊技状態を生起せしめる遊技内容と、特典付与を報知する報知手段を有するパチンコ機において、
特別遊技状態が生起したことにより特典を付与するか否かの判定を行うに当って、判定時前の遊技球の発射数、図柄表示部の図柄の可変回数、図柄表示部のリーチ回数、或は、遊技球の発射数と獲得球数との差の少なくとも何れかに関連して行うことを特徴とするパチンコ機。」(【特許請求の範囲】【請求項1】)

・記載事項2
「【実施例】(実施例1)本発明の一実施例を、所謂、「3回権利もの」パチンコ機を例として説明する。図1はパチンコ機の正面を示し、遊技板2の上に、ほぼ円状に設けられた外レール3aと内レール3bに囲まれた領域が遊技領域となり、該遊技領域のほぼ中央には後記で詳述する図柄表示器5が配置されている。この図柄表示器5は、1枚の液晶板、或は複数枚の液晶板等で構成可能で、各種の図柄、メッセージ等が表示可能としてあり、ここでは、表示位置に対応して、図柄表示部L1、L2、L3と特定表示部Lに区分して説明する。これらの図柄表示器5の図柄表示部L1、L2、L3は、左右に図柄表示部L1、L2を配置し、中央に図柄表示部L3が配置してあり、下記する麻雀パイを模した図柄等が表示される。具体的には、図柄表示部L1、L2には、「一萬」「三萬」「五萬」「七萬」「九萬」「東」「南」「西」「北」「春」「夏」「秋」「冬」の13種類が、図柄表示部L3には「一萬」「三萬」「五萬」「七萬」「九萬」「東」「南」「西」「北」「春」「夏」「秋」「冬」「白」「發」「中」の16種類が表示可能となっている。又、特定表示部Lの左端部には、後述の特典付与を遊技者に報知する報知手段として、サイコロの目を模した「1」から「6」までの図柄と「?」マークが表示されるラッキー表示器Rが配設され、これらの図柄と、「白」「發」「中」の3種類の図柄の他に、「1局目」、「勝負」、「ドラ」、「ロン」等の麻雀ゲームに関連する用語も併せて、或は、前記図柄表示部L1、L2、L3と共に全体にわたって「デモンストレーション図」、「大当り」等の表示が可能となっている。」(段落【0007】)

・記載事項3
「次に、「当り」であるか否かの判定方法と図柄表示部L1、L2、L3の停止図柄の抽出の具体的な方法について記載する。「当り」の判定は判定カウンタCで行う。即ち、電源投入時に判定カウンタCを「0」とし、1割り込み(2.048ms)毎に1を加算し、「255」となったとき、再度「0」に戻す演算を行う。そして、遊技球がゲート7を通過したことを検出した時か、或は検出した後の所定時間経過後に、判定カウンタCの値が、当りの確率が低確率のときには「77」、高確率のときには「246?255」のとき「当り」と判定する。各図柄表示部L1、L2、L3に表示する停止図柄は、当り図柄格納エリア(Ma、Mb、Mc)と外れ図柄格納エリア(Na、Nb、Nc)に格納されている図柄とし、下記の要領で決定する。図8に示すように、図柄表示部L1、L2、L3に表示される図柄に対応するカウンタC1、C2、C3を設けて、各カウンタC1、C2、C3の値に対応する図柄を決定しておく。即ち、カウンタC1、C2の値が0?12に対応して「一萬」?「冬」を、カウンタC3の値が0?15に対応して「一萬」?「中」とする。そして、電源投入時に全てのカウンタC1、C2、C3を「0」として、2割り込み(4.096ms)毎に、カウンタC3に1を加算し、カウンタC3が15から0となる毎に、カウンタC2に1を加算し、カウンタC2が12から0になる毎に、カウンタC1に1を加算し、カウンタC1は12に1を加算されると0に戻る演算を行う。・・・尚、前記各カウンタC1、C2、C3の演算を行ったとき、カウンタC1、C2、C3の値の組合せが所定の場合、すなわちカウンタC1、C2、C3に対応する図柄の組合せが、前記した当りの組合せ「一萬」「一萬」「一萬」?「九萬」「九萬」「發」(18通り)の場合には、当り図柄格納エリア(Ma、Mb、Mc)にカウンタC1?C3の値を格納し、それ以外の組合せのときには、外れ図柄格納エリア(Na、Nb、Nc)に格納する。以上によって、判定カウンタCが当りのときには、図柄表示部L1、L2、L3に表示される停止図柄は当り図柄格納エリア(Ma、Mb、Mc)の値に対応する図柄が抽出され、外れのときには外れ図柄格納エリア(Na、Nb、Nc)の値に対応する図柄が停止図柄となる。」(段落【0013】)

・記載事項4
「前記した様に、図柄表示部L1、L2、L3が「当り」図柄で停止すると、図柄表示部L3上部付近に「ロン」と表示され、「デモンストレーション」画面が表示される(何れも図略)。そして、「当り」となってから、約2秒後に普通電動役物8の開閉扉9が所定時間(例えば、5.8秒間)、開状態を維持する。遊技板上を落下してきた遊技球は、開閉扉9を開いた状態で区分される通過口11を通過するか、保持部10で保持される。そして、開閉扉9が閉じられると、保持部10に留まっている遊技球は、普通電動役物8の下に落下し、特別装置作動領域12を通過し、「権利発生」となり、図13に示す、大当りとなった図柄が、図柄表示部L1、L2、L3及び特定表示部Lにわたって表示される。・・・その後、遊技球は回転体29により始動入賞口31に誘導されて入賞すると大入賞口15が9.8秒間、開放する。開放した大入賞口15に遊技球が10個入賞したのを検出すると、9.8秒以内でも大入賞口15は閉鎖する。」(段落【0018】)

・記載事項5
「又、ラッキー表示器Rには、図15に示す様に、電源投入時から3回目の権利発生までは「?」マークが表示され、3回目の権利発生のときには、図16に示す、図柄表示部Lの全体に渡って右上部に「?運だめし」と表示され、左部にラッキー図柄のサイコロの目の「1」から「6」が立体的に大きく回転するように可変表示されて、所定時間後に停止表示される。その後は、図17に示すように、当りのデモンストレーション表示に移り、ラッキー表示器Rには、1回目の権利終了後に高確率となってから3回目の権利発生となる時まで、後述の要項で決定されるサイコロの目の「1」から「6」の何れかが表示され、次回の1回目の権利終了後の高確率となるまで維持される。」(段落【0021】)

・記載事項6
「判定カウンタとして、H、Ha、Hbを採用し、判定カウンタHaは、電源投入時に0からスタートし、2割り込み(4.096ms)毎に1づつ加算され、19から0に戻るループカウンタである。又、判定カウンタHbは、電源投入時に0からスタートし、判定カウンタHaが19から0に戻る毎に1づつ加算され、9から0に戻るループカウンタである。一方、判定カウンタHは、後記で詳述する、1回目の権利発生から3回目の権利発生時までに発射した遊技球数、図柄表示部L1、L2、L3の図柄の可変回数、図柄表示部L1、L2、L3のリーチ回数、或は、発射した遊技球数と獲得した遊技球数(賞品球数)との差等である。前記判定カウンタH、Ha、Hbとラッキー図柄との対応は、図18に示すように、0?X1、X1+1?X2、X2+1?X3、X3+1以上の4区分の判定カウンタHと、前記の判定カウンタHa、Hbの値で抽出する。尚、前記4区分目のX3+1以上を、パチンコ機の機種によっては、上限値となったときには、再度ゼロから計数可能に構成してもよい。例えば、判定カウンタHが0?X1、判定カウンタHaが0?5、判定カウンタHbが0か1のときには、ラッキー図柄は、サイコロ目の「1」とする。尚、判定カウンタHの値が大きいほど、ラッキー図柄のサイコロの目「1」を抽出する確率が高くしてあり、判定カウンタHが0?X1のときは、サイコロの目「1」が抽出される確率は100分の6(6/20×2/10)、「2」が抽出される確率は100分の9(6/20×3/10)、又、判定カウンタHがX3+1以上の時には、サイコロの目「1」が抽出される確率は20分の19(19/20×10/10)、「2」或いは「5」が抽出される確率は40分の1(1/20×1/2)である。」(段落【0022】)

・記載事項7
「(実施例2)図20は可変表示部の図柄が予め決められた図柄と一致したときに、特別遊技状態となり、所定条件で特別遊技状態が終了する、他の形式のパチンコ機80の正面図であって、・・・該遊技領域のほぼ中央には後記で詳述する図柄表示器95が配置されている。又、この遊技板86には普通入賞口87?89、後述する図柄表示器95の図柄表示部L(L1、L2、L3)の図柄を変動させる始動口90、91が配置してある。又、大入賞口92は図柄表示器95の下部に配設されていて、前記図柄表示器95の各表示部の図柄が予め決められた組合せとなって大当りとなったとき、一定時間開状態を維持するか特定球数の遊技球を受け入れる。」(段落【0025】)

・記載事項8
「図21は図柄表示器95の正面図であって、中央部に1枚のカラー液晶に表示される図柄表示部Lを有し、異なる表示内容を表す3箇所の表示部L1、L2、L3に区分して表示される。尚、図柄表示部L1、L2、L3は、例えば、数字の「0?9」を示す10通りの図柄が可変表示され、遊技球が始動口90、91に入って図柄が可変し、予め決められた時間経過後に図柄が停止する。そして、表示部L1、L2、L3の図柄が全て一致(10通り)したとき、特別遊技状態として処理を行う。又、Rは図柄可変可能なラッキー表示器である。尚、前記構成のパチンコ機の本発明に関係する主要部の制御ブロックは、図5とほぼ同じである。」(段落【0026】)

・記載事項9
「尚、判定カウンタH、Ha、Hbによるラッキー図柄の選定、特典付与の表示をラッキー表示器Rで行う等は、実施例1と同じであるため、詳細説明を略し、図22に示すフローチャートに従って処理を行う。先ず、判定カウンタHを初期化し(S10)、前回の特別遊技状態が終了したかを判断し(S11)、終了していないときには、この処理を終了する。特別遊技状態が終了しているときには、終了後に特典を付与されたかを判断し(S12)、特典が付与されていない場合にはこの処理を終了する。反対に特典が付与されている場合には、判定カウンタHは、発射された遊技球数を、検出器49(図4)の入力を介して、今回の特別遊技状態が発生するまで計数する(S13、S14)。そして、判定カウンタH、Ha、Hbの値によって、図18に示す表から、ラッキー図柄を抽出する(S15)。その後、ラッキー表示器Rにかかる図柄を直ちに表示してもよいが、遊技者の興趣を向上させるため、ラッキー図柄を可変して、所定時間後に、前記抽出したラッキー図柄を表示して終了する(S16)。その後、特別遊技状態は終了するが、前記ラッキー図柄はラッキー表示器Rに表されているため、特典を付与するかの判定ができる。尚、特典付与の判定時期は、特別遊技状態終了時でなくて、特別遊技状態開始時であっても、特別遊技状態中であってもよい。」(段落【0028】)

・記載事項10
「この様に、実施例1の「3回権利もの」と異なり、単に、図柄表示部L1、L2、L3の図柄が揃ったとき、特別遊技状態となる遊技機であっても、前回の特別遊技状態において特典(獲得した遊技球を使用しての継続遊技)が付与された場合には、同じ遊技者が遊技を継続していることが多いため、今回の特別遊技開始までに相当数の遊技球を使用した遊技者にとって不公平感を抱くので、更に継続して遊技を可能とすることは望ましい。そのため、特典を付与を、前回の特別遊技状態終了後の、遊技球の発射数、図柄表示部L1、L2、L3の図柄が変動する回数、或は、図柄表示部L1、L2の図柄が揃った「リーチ」回数に関連させて決定すると、遊技者に公平感を与えることができる。尚、特典付与のラッキー図柄の出現確率に影響を与える発射遊技球数、図柄変動回数等の計数期間、特典付与を遊技者に知らせる報知手段等は、実施例1と同様に選定することができる。」(段落【0029】)

・記載事項11
図16には、龍の上部に6の目のサイコロと「?運だめし」との文字が描かれている。

以上の記載事項を含む全記載及び図示によれば、引用文献1には次の発明が記載されていると認められる。

「1割り込み(2.048ms)毎に1を加算される判定カウンタCの値が、遊技球がゲート7を通過したことを検出した時に、当りの確率が低確率のときには「77」、高確率のときには「246?255」のとき「当り」と判定し、
図柄表示部L1、L2、L3に表示される図柄に対応するカウンタC1、C2、C3を設けて、カウンタC1、C2の値が0?12に対応して「一萬」?「冬」を、カウンタC3の値が0?15に対応して「一萬」?「中」とし、各カウンタC1、C2、C3の値に対応する図柄を決定しておき、
各カウンタC1、C2、C3の演算を行ったとき、カウンタC1、C2、C3の値の組合せが所定の場合、すなわちカウンタC1、C2、C3に対応する図柄の組合せが、当りの組合せ「一萬」「一萬」「一萬」?「九萬」「九萬」「發」(18通り)の場合には、当り図柄格納エリア(Ma、Mb、Mc)にカウンタC1?C3の値を格納し、それ以外の組合せのときには、外れ図柄格納エリア(Na、Nb、Nc)に格納し、判定カウンタCが当りのときには、図柄表示部L1、L2、L3に表示される停止図柄は当り図柄格納エリア(Ma、Mb、Mc)の値に対応する図柄が抽出され、外れのときには外れ図柄格納エリア(Na、Nb、Nc)の値に対応する図柄が停止図柄となり、
「当り」となって開いた開閉扉9の保持部10で保持された遊技球が特別装置作動領域12を通過すると「権利発生」となり、
「権利発生」となった時には、龍の口から吹き出している炎と「大当り」との文字が描かれた、大当りとなった図柄が、図柄表示部L1、L2、L3及び特定表示部Lにわたって表示され、
3回目の権利発生のときには図柄表示部Lの全体に渡って龍と右上部に「?運だめし」と表示され、左部にラッキー図柄のサイコロの目の「1」から「6」が立体的に大きく回転するように可変表示されて、所定時間後に停止表示され、
1回目の権利発生から3回目の権利発生時までに発射した遊技球数である判定カウンタHが大きいほど、図18のようにラッキー図柄のサイコロの目「1」を抽出する確率が高くしてある、パチンコ機」(以下、「引用発明1」という。)

3.対比
引用発明はパチンコ機であるが、これは遊技機のうちの1種である。
そして、引用発明1について、以下のことが言える。
(1)「1割り込み(2.048ms)毎に1を加算される判定カウンタCの値が、遊技球がゲート7を通過したことを検出した時に、当りの確率が低確率のときには「77」、高確率のときには「246?255」のとき「当り」と判定し、」及び「「当り」となって開いた開閉扉9の保持部10で保持された遊技球が特別装置作動領域12を通過すると「権利発生」となり、」について
引用発明1では、「当り」となった後、遊技球が開いた開閉扉9の保持部10で保持され、更に保持された遊技球が特別装置作動領域12を通過すると「権利発生」となるものであり、いわゆる「権利もの」において「権利発生」となると遊技者が多数の遊技媒体を取得可能な大当り状態となるということは当業者にとって常識である。
また、「1割り込み(2.048ms)毎に1を加算される判定カウンタCの値が、当りの確率が低確率のときには「77」、高確率のときには「246?255」のとき」が、本願補正発明の「大当り状態とするか否かの抽選のための大当り乱数の取得を行い、取得した大当り乱数が大当りであるか否かを判定する」に相当し、「遊技球がゲート7を通過したことを検出した時に、」が本願補正発明の「所定の抽選条件が成立した場合に」に相当することは明らかである。そして、引用発明1は、そのための手段である「大当り乱数取得手段」、「判定手段」を当然有しているものである。
そうすると、引用発明1は、「遊技者が多数の遊技媒体を取得可能な大当り状態とするか否かの抽選のための大当り乱数の取得を、所定の抽選条件が成立した場合に行う大当り乱数取得手段と、大当り乱数取得手段で取得した大当り乱数が大当りであるか否かを判定する判定手段と、」との構成を実質的に具備するものである。
(2)「図柄表示部L1、L2、L3に表示される図柄に対応するカウンタC1、C2、C3を設けて、カウンタC1、C2の値が0?12に対応して「一萬」?「冬」を、カウンタC3の値が0?15に対応して「一萬」?「中」とし、各カウンタC1、C2、C3の値に対応する図柄を決定しておき、各カウンタC1、C2、C3の演算を行ったとき、カウンタC1、C2、C3の値の組合せが所定の場合、すなわちカウンタC1、C2、C3に対応する図柄の組合せが、前記した当りの組合せ「一萬」「一萬」「一萬」?「九萬」「九萬」「發」(18通り)の場合には、当り図柄格納エリア(Ma、Mb、Mc)にカウンタC1?C3の値を格納し、それ以外の組合せのときには、外れ図柄格納エリア(Na、Nb、Nc)に格納し、判定カウンタCが当りのときには、図柄表示部L1、L2、L3に表示される停止図柄は当り図柄格納エリア(Ma、Mb、Mc)の値に対応する図柄が抽出され、外れのときには外れ図柄格納エリア(Na、Nb、Nc)の値に対応する図柄が停止図柄となり、」について
大当りさせるか否かを表示するための図柄は一般に「特別図柄」ということが通常である。そして、引用発明において、停止図柄は判定カウンタCが当りのときは当り図柄格納エリア(Ma、Mb、Mc)の値に対応する図柄が抽出され、外れのときは外れ図柄格納エリア(Na、Nb、Nc)の値に対応する図柄が抽出されるものであり、各図柄格納エリアへの値は、加算・演算されるカウンタC1、C2、C3の値の組合せであるから、カウンタC1、C2、C3の値は「判定手段により判定された判定結果を報知する図柄である特別図柄を決定するための特別図柄乱数」ということができ、引用発明は当該特別図柄乱数の取得を行う特別図柄乱数取得手段を当然有するものである。
また、「当りのときは当り図柄格納エリア(Ma、Mb、Mc)の値に対応する図柄が抽出され、外れのときは外れ図柄格納エリア(Na、Nb、Nc)の値に対応する図柄が抽出される」ということは、予め定められた所定の制約条件に基づいて図柄が決定されるということができ、「図柄表示部L1、L2、L3」は特別図柄を表示するものであるから「特別図柄表示装置」ということができる。そして、「停止図柄」は、上記のように特別図柄乱数に基づいて決定されるものであって、図柄を停止表示させるのはそもそも判定結果を報知するためである。
そうすると、引用発明は「特別図柄乱数取得手段で取得した特別図柄乱数、及び予め定められた所定の制約条件に基づいて決定された特別図柄を用いて判定結果を報知する特別図柄表示装置」なる構成を実質的に具備するものである。
(3)「3回目の権利発生のときには図柄表示部Lの全体に渡って龍と右上部に「?運だめし」と表示され、左部にラッキー図柄のサイコロの目の「1」から「6」が立体的に大きく回転するように可変表示されて、所定時間後に停止表示され、」について
可変表示されて停止表示された状態において、龍とともに表示された「サイコロの目」は、図柄表示部Lに表示されるデモンストレーション用の図柄すなわち「デモ図柄」ということができる。そして、上記「サイコロの目」は「立体的に大きく回転するように可変表示されて、所定時間後に停止表示された」ものであるから、「遊技者の視覚的注意を集め」ることは明らかであり、これを表示する図柄表示部Lは「デモ図柄表示装置」ということができる。また、大当り後の権利発生のときに上記「デモ図柄」は可変表示して停止されるものであるから、「デモ図柄」は、大当りであることを表示する機能を有しており、「判定結果を表示する図柄」ということができる。
そうすると、引用発明は「遊技者の視覚的注意を集め、判定結果を表示する図柄であるデモ図柄を表示するデモ図柄表示装置」なる構成を実質的に具備するものである。
(4)「1回目の権利発生から3回目の権利発生時までに発射した遊技球数である判定カウンタHが大きいほど、図18のようにラッキー図柄のサイコロの目「1」を抽出する確率が高くしてある、」について
引用文献1の図18において、遊技球数である判定カウンタHに応じて、ラッキー図柄のサイコロの目の出現割合が異なることが示されている。これは、サイコロの目の出現の割合を所定の条件である判定カウンタHに応じて変更することを意味しており、引用発明はそのための手段を当然有するものである。
そうすると、引用発明は「デモ図柄表示手段に表示されるデモ図柄の出現の割合を変更するデモ図柄出現割合変更手段」なる構成を実質的に具備するものである。
また、判定カウンタHが変化して異なる区分(0?X1、X1+1?X2、X2+1?X3、X3+1以上)となった時に出現割合が変更されるものであるが、判定カウンタHが変化して異なる区分となることは「所定の変更条件が成立した場合」ということができる。そして、引用発明は出現の割合を変更するよう制御しており、そのための制御手段を有していることは明らかである。
そうすると、引用発明は「所定の変更条件が成立した場合に、デモ図柄出現割合変更手段において各デモ図柄の出現の割合を変更するデモ図柄出現割合変更手段」なる構成を実質的に具備するものである。

本願補正発明は、「所定の変更条件」を具体化した構成を選択的に列記したものであるが、そのうち、「当該遊技機が、開閉する開閉部材を備えて当該開閉部材が開放された際に前記遊技媒体が入賞可能であり前記遊技媒体が入賞すると多数の前記遊技媒体が払い出される大入賞口と、大当たり遊技状態である際に前記大入賞口を開放する大入賞口開放手段と、当該大入賞口の開放中に所定数の前記遊技媒体が入賞した時若しくは所定時間が経過した時に前記大入賞口の開放を終了する大入賞口開放終了手段と、前記大入賞口を所定の開放回数開放した時若しくは前記大入賞口の開放中に前記通過検知手段が前記遊技媒体の通過を検知しなかった時に大当たり遊技状態を終了させる大当たり遊技状態終了手段とを備えている時には、大当たり遊技状態中に前記大入賞口へ入賞した前記遊技媒体の合計が所定数であった場合、」を構成として選択した場合の本願補正発明と引用発明を比較すると、
両者は、
「遊技者が多数の遊技媒体を取得可能な大当り状態とするか否かの抽選のための大当り乱数の取得を、所定の抽選条件が成立した場合に行う大当り乱数取得手段と、
大当り乱数取得手段で取得した大当り乱数が大当りであるか否かを判定する判定手段と、
判定手段により判定された判定結果を報知する図柄である特別図柄を決定するための特別図柄乱数の取得を行う特別図柄乱数取得手段と、
特別図柄乱数取得手段で取得した特別図柄乱数、及び予め定められた所定の制約条件に基づいて決定された特別図柄を用いて判定結果を報知する特別図柄表示装置とを備えた遊技機であって、
遊技者の視覚的注意を集め、判定結果を表示する図柄であるデモ図柄を表示するデモ図柄表示装置と、
デモ図柄表示手段に表示されるデモ図柄の出現の割合を変更するデモ図柄出現割合変更手段と、
所定の変更条件が成立した場合に、デモ図柄出現割合変更手段において各デモ図柄の出現の割合を変更するデモ図柄出現割合変更手段とを備えた遊技機。」である点で一致し、以下の点で相違する。
<相違点1>
デモ図柄が「遊技者の視覚的注意を集め」るのが、本願補正発明では特別図柄表示装置に表示された特別図柄よりも注意を集めるのに対し、引用発明ではそのような構成となっているか不明な点。
<相違点2>
所定の変更条件が、本願補正発明では、「当該遊技機が、開閉する開閉部材を備えて当該開閉部材が開放された際に前記遊技媒体が入賞可能であり前記遊技媒体が入賞すると多数の前記遊技媒体が払い出される大入賞口と、大当たり遊技状態である際に前記大入賞口を開放する大入賞口開放手段と、当該大入賞口の開放中に所定数の前記遊技媒体が入賞した時若しくは所定時間が経過した時に前記大入賞口の開放を終了する大入賞口開放終了手段と、前記大入賞口を所定の開放回数開放した時若しくは前記大入賞口の開放中に前記通過検知手段が前記遊技媒体の通過を検知しなかった時に大当たり遊技状態を終了させる大当たり遊技状態終了手段とを備えている時には、大当たり遊技状態中に前記大入賞口へ入賞した前記遊技媒体の合計が所定数であった場合、」であるのに対し、引用発明ではそのような構成ではない点。

4.判断
上記相違点について検討する。
<相違点1>について
引用発明において、デモ図柄である「サイコロの目」が可変表示される時には、図柄表示部Lの全体に渡って龍と右上部に「?運だめし」と表示され、左部にラッキー図柄のサイコロの目の「1」から「6」が立体的に大きく回転するように可変表示されて停止するものである。このような表示がされると、当該表示に遊技者の視覚的注意が集められることは明らかであるが、当該表示に視覚的注意が集まれば遊技機の他の部分に視覚的注意が向けられないこととなるから、「特別図柄表示装置に表示された特別図柄より」との相違点は本質的相違点ではない。
しかし、当該相違点は、本願補正発明において、特別図柄の表示とデモ図柄の表示とが同時に行われており、引用発明ではデモ図柄の表示時に特別図柄の表示が行われているか不明な点により、生じているものと解することができるので、この点について検討する。
特別図柄の表示とデモ図柄の表示とを同時に行うことは、従来周知(例えば、特開平6-7507号公報、特開平9-234276号公報)であり、引用発明においてデモ図柄の表示中に特別図柄の表示を行うことは単なる設計事項に過ぎない。そして、この場合に「サイコロの目」が可変表示される時には、デモ図柄が特別図柄表示装置に表示された特別図柄よりも注意を集めることは自明である。
<相違点2>について
「遊技機が、開閉する開閉部材を備えて当該開閉部材が開放された際に遊技媒体が入賞可能であり前記遊技媒体が入賞すると多数の前記遊技媒体が払い出される大入賞口と、大当たり遊技状態である際に前記大入賞口を開放する大入賞口開放手段と、当該大入賞口の開放中に所定数の前記遊技媒体が入賞した時若しくは所定時間が経過した時に前記大入賞口の開放を終了する大入賞口開放終了手段と、前記大入賞口を所定の開放回数開放した時若しくは前記大入賞口の開放中に前記通過検知手段が前記遊技媒体の通過を検知しなかった時に大当たり遊技状態を終了させる大当たり遊技状態終了手段とを備えている」は、本願出願前に「1種」又は「デジパチ」と呼ばれるパチンコ機として通常用いられており、従来周知の構成である。
また、大当たり遊技状態中に大入賞口へ入賞した遊技媒体の合計が所定数に達したことを契機に、遊技者に特典を付与する機会を与えるよう構成することは、当審で発見した特開2002-325921号公報(段落0034)(以下、「引用文献2」という。)に示されるように従来公知の技術手段と認められる。
そうすると、引用発明において、「1種」又は「デジパチ」と呼ばれるパチンコ機として通常用いられる構成を採用し、その際所定の条件として上記引用文献2に記載された発明の「大当たり遊技状態中に大入賞口へ入賞した遊技媒体の合計が所定数であった場合、」を採用し、上記相違点2に係る本願補正発明の構成とすることは当業者であれば容易に成し得たことである。
そして、本願補正発明の効果は、引用発明、引用文献2に記載された発明及び上記周知技術から当業者が予測できる範囲のものである。

したがって、本願補正発明は、引用発明、引用文献2に記載された発明及び上記周知技術に基づいて、当業者が容易に発明をすることができたものであるから、特許法29条2項の規定により特許出願の際独立して特許を受けることができないものである。

5.むすび
以上のとおり、本件補正は、上記改正前の特許法17条の2第5項で準用する同法126条第5項の規定に違反するものであり、同法159条第1項で準用する同法53条第1項の規定により却下されるべきものである。

第3.本願発明について

1.本願発明の認定
平成18年7月28日付けの手続補正は上記のとおり却下されたので、本願の請求項1に係る発明(以下、「本願発明」という。)は、平成17年12月22日付けの手続補正書の特許請求の範囲の請求項1に記載された事項により特定される、以下のとおりのものである。
「遊技者が多数の遊技媒体を取得可能な大当たり状態とするか否かの抽選のための大当たり乱数の取得を、所定の抽選条件が成立した場合に行う大当たり乱数取得手段と、
当該大当たり乱数取得手段で取得した前記大当たり乱数が、大当たりであるか否かを判定する判定手段と、
前記判定手段により判定された判定結果を報知する図柄である特別図柄を決定するための特別図柄乱数の取得を行う特別図柄乱数取得手段と、
当該特別図柄乱数取得手段で取得した前記特別図柄乱数及び、予め定められた所定の制約条件に基づいて決定された前記特別図柄を用いて前記判定結果を報知する特別図柄表示装置とを備えた遊技機であって、
前記特別図柄表示装置に表示された前記特別図柄よりも遊技者の視覚的注意を集め、前記判定結果を表示する図柄であるデモ図柄を表示するデモ図柄表示装置と、
前記デモ図柄表示装置に表示される前記デモ図柄の出現の割合を変更するデモ図柄出現割合変更手段と、
所定の変更条件が成立した場合に、前記デモ図柄出現割合変更手段において各デモ図柄の出現の割合を変更するデモ図柄出現割合変更制御手段とを備え、
前記所定の変更条件は、
前記判定結果が所定回数以上連続して大当たりでなかった後の判定結果が大当たりであった場合、
当該遊技機が、前記特別図柄が前記判定手段において大当たりとなる確率が通常よりも高確率である高確率状態へ移行する確率変動当たりであることを示す確率変動当たり図柄である際に高確率状態へ移行する確率変動手段を備えている時には、所定回数連続して前記特別図柄が前記確率変動当たり図柄であった場合、
当該遊技機が、開閉する開閉部材を備えて当該開閉部材が開放された際に前記遊技媒体が入賞可能であり前記遊技媒体が入賞すると多数の前記遊技媒体が払い出される大入賞口と、大当たり遊技状態である際に前記大入賞口を開放する大入賞口開放手段と、当該大入賞口の開放中に所定数の前記遊技媒体が入賞した時若しくは所定時間が経過した時に前記大入賞口の開放を終了する大入賞口開放終了手段と、前記大入賞口を所定の開放回数開放した時若しくは前記大入賞口の開放中に前記通過検知手段が前記遊技媒体の通過を検知しなかった時に大当たり遊技状態を終了させる大当たり遊技状態終了手段とを備えている時には、前記大入賞口の開放時間が所定時間であった場合、
当該遊技機が、開閉する開閉部材を備えて当該開閉部材が開放された際に前記遊技媒体が入賞可能であり前記遊技媒体が入賞すると多数の前記遊技媒体が払い出される大入賞口と、大当たり遊技状態である際に前記大入賞口を開放する大入賞口開放手段と、当該大入賞口の開放中に所定数の前記遊技媒体が入賞した時若しくは所定時間が経過した時に前記大入賞口の開放を終了する大入賞口開放終了手段と、前記大入賞口を所定の開放回数開放した時若しくは前記大入賞口の開放中に前記通過検知手段が前記遊技媒体の通過を検知しなかった時に大当たり遊技状態を終了させる大当たり遊技状態終了手段と、開閉する開閉部材を備え遊技球が入賞する所定の入賞口へ遊技球が入賞した際に前記開閉部材が開放され前記遊技媒体の入賞が可能となる役物とを備えている時には、大当たり遊技状態中に前記役物へ遊技媒体が入賞した場合、
当該遊技機が、開閉する開閉部材を備えて当該開閉部材が開放された際に前記遊技媒体が入賞可能であり前記遊技媒体が入賞すると多数の前記遊技媒体が払い出される大入賞口と、大当たり遊技状態である際に前記大入賞口を開放する大入賞口開放手段と、当該大入賞口の開放中に所定数の前記遊技媒体が入賞した時若しくは所定時間が経過した時に前記大入賞口の開放を終了する大入賞口開放終了手段と、前記大入賞口を所定の開放回数開放した時若しくは前記大入賞口の開放中に前記通過検知手段が前記遊技媒体の通過を検知しなかった時に大当たり遊技状態を終了させる大当たり遊技状態終了手段と、前記遊技媒体が入賞し、前記遊技媒体の入賞が前記所定の抽選条件の成立の要件となる始動口とを備えている時には、大当たり遊技状態中に前記始動口へ入賞した前記遊技媒体の合計が所定数であった場合、
当該遊技機が、開閉する開閉部材を備えて当該開閉部材が開放された際に前記遊技媒体が入賞可能であり前記遊技媒体が入賞すると多数の前記遊技媒体が払い出される大入賞口と、大当たり遊技状態である際に前記大入賞口を開放する大入賞口開放手段と、当該大入賞口の開放中に所定数の前記遊技媒体が入賞した時若しくは所定時間が経過した時に前記大入賞口の開放を終了する大入賞口開放終了手段と、前記大入賞口を所定の開放回数開放した時若しくは前記大入賞口の開放中に前記通過検知手段が前記遊技媒体の通過を検知しなかった時に大当たり遊技状態を終了させる大当たり遊技状態終了手段とを備えている時には、大当たり遊技状態中に前記大入賞口へ入賞した前記遊技媒体の合計が所定数であった場合、
又は、
当該遊技機が、開閉する開閉部材を備えて当該開閉部材が開放された際に前記遊技媒体が入賞可能であり前記遊技媒体が入賞すると多数の前記遊技媒体が払い出される大入賞口と、大当たり遊技状態である際に前記大入賞口を開放する大入賞口開放手段と、当該大入賞口の開放中に所定数の前記遊技媒体が入賞した時若しくは所定時間が経過した時に前記大入賞口の開放を終了する大入賞口開放終了手段と、前記大入賞口を所定の開放回数開放した時若しくは前記大入賞口の開放中に前記通過検知手段が前記遊技媒体の通過を検知しなかった時に大当たり遊技状態を終了させる大当たり遊技状態終了手段とを備えている時には、大当たり遊技状態が所定回数の前記大入賞口の開放回数で終了した場合
の少なくとも1つの場合に成立することを特徴とする遊技機。」

2.引用文献
原査定の拒絶の理由に引用された引用文献1及びその記載事項は、前記第2.2.に記載したとおりである。

3.対比
本願発明は、前記第2で検討した本願補正発明において選択的に列記された「所定の変更条件」として、
「前記判定結果が所定回数以上連続して大当たりでなかった後の判定結果が大当たりであった場合、」及び
「当該遊技機が、前記特別図柄が前記判定手段において大当たりとなる確率が通常よりも高確率である高確率状態へ移行する確率変動当たりであることを示す確率変動当たり図柄である際に高確率状態へ移行する確率変動手段を備えている時には、所定回数連続して前記特別図柄が前記確率変動当たり図柄であった場合、」
を更に加えたものに相当する。

本願発明は、「所定の変更条件」を具体化した構成を選択的に列記したものであるが、そのうち、「前記判定結果が所定回数以上連続して大当たりでなかった後の判定結果が大当たりであった場合、」を構成として選択した場合の本願発明と引用発明を比較すると、
両者は、
「遊技者が多数の遊技媒体を取得可能な大当り状態とするか否かの抽選のための大当り乱数の取得を、所定の抽選条件が成立した場合に行う大当り乱数取得手段と、
大当り乱数取得手段で取得した大当り乱数が大当りであるか否かを判定する判定手段と、
判定手段により判定された判定結果を報知する図柄である特別図柄を決定するための特別図柄乱数の取得を行う特別図柄乱数取得手段と、
特別図柄乱数取得手段で取得した特別図柄乱数、及び予め定められた所定の制約条件に基づいて決定された特別図柄を用いて判定結果を報知する特別図柄表示装置とを備えた遊技機であって、
遊技者の視覚的注意を集め、判定結果を表示する図柄であるデモ図柄を表示するデモ図柄表示装置と、
デモ図柄表示手段に表示されるデモ図柄の出現の割合を変更するデモ図柄出現割合変更手段と、
所定の変更条件が成立した場合に、デモ図柄出現割合変更手段において各デモ図柄の出現の割合を変更するデモ図柄出現割合変更手段とを備えた遊技機。」である点で一致し、以下の点で相違する。
<相違点1>
デモ図柄が「遊技者の視覚的注意を集め」るのが、本願補正発明では特別図柄表示装置に表示された特別図柄よりも注意を集めるのに対し、引用発明ではそのような構成となっているか不明な点。
<相違点3>
所定の変更条件が、本願補正発明では、「前記判定結果が所定回数以上連続して大当たりでなかった後の判定結果が大当たりであった場合、」であるのに対し、引用発明ではそのような構成ではない点。

4.判断
上記相違点について検討する。
<相違点1>について
前記第2.4.で検討した<相違点1>と同じである。
<相違点3>について
上記引用文献1において、「特典を付与を、前回の特別遊技状態終了後の、遊技球の発射数、図柄表示部L1、L2、L3の図柄が変動する回数、或は、図柄表示部L1、L2の図柄が揃った「リーチ」回数に関連させて決定すると、遊技者に公平感を与えることができる。」と記載(上記第2.2.(1)の記載事項10参照)されており、これは特典付与を「可変表示部の図柄が予め決められた図柄と一致したときに、特別遊技状態となり、所定条件で特別遊技状態が終了する、他の形式のパチンコ機80」に適用した場合の「(実施例2)」である(同上記載事項7参照)。
そして、前回の特別遊技状態終了後から今回の特別遊技状態となるまでの間に行われる判定は全て大当りでなく、また、図柄の変動回数と判定回数は同じであるから、「前回の特別遊技状態終了後の図柄表示部L1、L2、L3の図柄が変動する回数」は判定結果がハズレである(大当りでない)連続回数を意味している。すると、「特典を付与を図柄表示部L1、L2、L3の図柄が変動する回数に関連させて決定する」こと、「判定カウンタH、Ha、Hbによるラッキー図柄の選定、特典付与の表示をラッキー表示器Rで行う等は、実施例1と同じであるため、」との記載(同上記載事項9)を考慮すれば、「(実施例2)」においては「判定結果が所定回数以上連続して大当りでなかった後の判定結果が大当りであった場合」にサイコロの目の出現割合が変更されるものと解される。
そうすると、引用発明において、引用文献1の「(実施例2)」に関する技術事項を「所定の変更条件」として採用し、相違点3に係る本願発明の構成とすることは当業者であれば容易に想到し得たことである。

そして、本願発明の効果は、引用発明、引用文献1に記載された技術事項及び上記周知技術から当業者が予測できる範囲のものである。

したがって、本願発明は、引用発明、引用文献1に記載された技術事項及び上記周知技術に基づいて、当業者が容易に発明をすることができたものであるから、特許法29条2項の規定により特許を受けることができないものである。

第4.むすび
以上のとおり、本願発明は、引用文献に記載された発明、引用文献1に記載された技術事項及び上記周知技術に基づいて、当業者が容易に発明をすることができたものであるから、特許法29条2項の規定により特許を受けることができない。
したがって、本願は、他の請求項について検討するまでもなく、拒絶すべきものである。
よって、結論のとおり審決する。
 
審理終結日 2008-11-28 
結審通知日 2008-12-03 
審決日 2008-12-16 
出願番号 特願2003-54845(P2003-54845)
審決分類 P 1 8・ 575- Z (A63F)
P 1 8・ 121- Z (A63F)
最終処分 不成立  
前審関与審査官 太田 恒明  
特許庁審判長 伊藤 陽
特許庁審判官 三原 裕三
池谷 香次郎
発明の名称 遊技機  
代理人 山本 尚  

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